特許第6353566号(P6353566)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テイ・エス テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6353566-車両用シート 図000002
  • 特許6353566-車両用シート 図000003
  • 特許6353566-車両用シート 図000004
  • 特許6353566-車両用シート 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353566
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/64 20060101AFI20180625BHJP
   B60N 2/42 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   B60N2/64
   B60N2/42
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-21398(P2017-21398)
(22)【出願日】2017年2月8日
(62)【分割の表示】特願2015-197433(P2015-197433)の分割
【原出願日】2010年7月9日
(65)【公開番号】特開2017-81562(P2017-81562A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2017年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】郭 裕之
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−096216(JP,A)
【文献】 実開平02−149545(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0195873(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/64
B60N 2/42
A47C 7/40
A47C 7/00
B60R 21/02
B29C 44/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックフレームの左右部分を構成する左右のサイドフレームと、
前記左右のサイドフレームに左右方向で隣接するとともに、前記サイドフレームを補強する左右の側部を有する補強フレームと、
前記一方のサイドフレームに隣接するように前記補強フレームとは別体に設けられ、他部材から荷重が入力される入力部材と、
左右方向に延びて、前記左右のサイドフレームに接合される板状部材と、
左右方向に延びて、前記左右の側部に取り付けられたワイヤと、を備え、
前記入力部材は、前記サイドフレームの後部において、前記サイドフレームに直接固定された板状の第1壁を有し、
前記ワイヤは、上下方向において前記入力部材の前記サイドフレーム側の部位の範囲内に位置する部分を有し、
前記サイドフレームは、上部が下部よりも前後方向に幅狭になるとともに、前部および後部が左右方向内側に折り曲げられ、
前記第1壁は、前記サイドフレームのうち幅狭となる上部に取り付けられていることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
前記第1壁は、幅狭の前記上部から前記上部よりも前後方向に幅広になる部分にわたって取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記第1壁は、凹部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記第1壁を前記サイドフレームに固定する固定部は、前記凹部よりも上方に設けられていることを特徴とする請求項に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記第1壁は、前記固定部において、前記サイドフレームに溶接されていることを特徴とする請求項に記載の車両用シート。
【請求項6】
前記第1壁は、上下左右に延び、左右方向外側の角が丸まっていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートへの他部材からの荷重を受ける入力部材が設けられている車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、矩形のリング状に形成されるパイプフレーム(補強フレーム)と、パイプフレームに固定されるブラケット(入力部材)とを備える車両用シートが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−103275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、入力部材を備えた車両用シートにおいて、従来とは異なる構造とすることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、従来とは異なる構造の車両用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するため、本発明に係る車両用シートは、シートバックフレームの左右部分を構成する左右のサイドフレームと、前記左右のサイドフレームに左右方向で隣接するとともに、前記サイドフレームを補強する左右の側部を有する補強フレームと、前記一方のサイドフレームに隣接するように前記補強フレームとは別体に設けられ、他部材から荷重が入力される入力部材と、左右方向に延びて、前記左右のサイドフレームに接合される板状部材と、左右方向に延びて、前記左右の側部に取り付けられたワイヤと、を備え、前記入力部材は、前記サイドフレームの後部において、前記サイドフレームに直接固定された板状の第1壁を有し、前記ワイヤは、上下方向において前記入力部材の前記サイドフレーム側の部位の範囲内に位置する部分を有する。
【0007】
本発明によれば、入力部材がサイドフレームに直接固定された板状の第1壁を有するので、従来とは異なる構造の車両用シートを提供することができる。
【0008】
なお、前記第1壁は、凹部を有していてもよい。
【0009】
また、前記第1壁を前記サイドフレームに固定する固定部は、前記凹部よりも上方に設けられていてもよい。
【0010】
また、前記第1壁は、前記固定部において、前記サイドフレームに溶接されていてもよい。
【0011】
また、前記第1壁は、上下左右に延び、左右方向外側の角が丸まっていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来とは異なる構造の車両用シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートを示す斜視図である。
図2】ブラケット周りの構造を前側から見た拡大斜視図である。
図3図2のI−I断面図(a)と、II−II断面図(b)と、III−III断面図(c)である。
図4】ブラケット周りの構造を後側から見た拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
本発明に係る車両用シートは、図1に示すようなシートフレーム1の外側に、ウレタンフォームなどからなるシートクッションを被せることで構成されている。シートフレーム1は、シートバックフレーム2と、着座部フレーム3を有する。なお、本発明において、前後、左右、上下は、シートに座る乗員を基準とする。
【0015】
シートバックフレーム2は、一対のサイドフレーム4と、補強フレームの一例としてのパイプフレーム5と、ロアフレーム6と、入力部材の一例としてのブラケット7とを備えて構成されている。
【0016】
サイドフレーム4は、シートバックフレーム2の左右下側部分を構成する板状の部材であり、図2に示すように、パイプフレーム5よりも前方(前後方向の少なくとも一方)に突出するように形成されている。これにより、シートバック側部の前方への張り出し形状が形成されるとともに、図示せぬエアバック等の部品を、前後方向に延びた板状のサイドフレーム4に良好に固定することが可能となっている。
【0017】
具体的に、サイドフレーム4は、図3(a)に示すように、その適所に左右に貫通する孔41が形成されるとともに、その前部42が左右方向内側に曲がった後、後方に曲がる断面視U字状に折り曲げられている。これにより、サイドフレーム4の前部42の剛性が向上している。
【0018】
また、サイドフレーム4の後部43は、左右方向内側に向けて略L字状に折り曲げられて、パイプフレーム5に溶接により接合されている。なお、図3(a)においては、溶接トーチTによって溶接したポイントを大きめの黒のドットで示している。
【0019】
図1に示すように、パイプフレーム5は、サイドフレーム4を補強する補強フレームであり、円筒状(閉断面形状)に形成されるとともに、略矩形のリング状に折り曲げられている。そして、パイプフレーム5の左右下側部分が、各サイドフレーム4の左右方向内側に隣接して接合されている。これにより、パイプフレーム5の下部51(サイドフレーム4から斜め下方に延びる部分も含む)は、ロアフレーム6とともに左右方向に荷重を伝達する荷重伝達部として機能するようになっている。
【0020】
また、パイプフレーム5の左右の側部52,53には、上下に複数回屈曲形成された2本のワイヤWが上下に間隔を空けるように接合されており、これらのワイヤWに板状の樹脂からなる受圧部材Cが固定されている。これにより、車両が後突荷重を受けたときに、パイプフレーム5内の受圧部材Cとともに乗員が後方に沈み込むことで、乗員に対する後突荷重の影響が緩和されるようになっている。
【0021】
ロアフレーム6は、左右方向に延びる板状部材であり、各サイドフレーム4の下部に接合されて連結されるとともに、パイプフレーム5の下部51に接合されている。これにより、左右方向外側からブラケット7に加わった荷重が、ロアフレーム6と前述したパイプフレーム5の下部51を介してブラケット7とは左右反対側に伝達されるようになっている。
【0022】
ブラケット7は、パイプフレーム5やサイドフレーム4とは別体に構成される部品であり、左側(一方)のサイドフレーム4の左側(左右方向外側)に隣接するように接合されている。詳しくは、ブラケット7は、車両のサイドピラーやドアなどの側部パネル(他部材)に近接して配置されており、車両に加わる側突荷重が側部パネルを介して入力されるようになっている。
【0023】
そして、ブラケット7は、図2に示すように、サイドフレーム4に形成された開口の一例としての2つの孔41を通してパイプフレーム5に溶接により直接固定されている。これにより、側突荷重の入力角度や大きさがどのような場合であっても、サイドフレーム4の変形による影響を受けずに、荷重をブラケット7からパイプフレーム5に良好に伝達することが可能となっている。なお、図2図4においては、溶接した部分を、ドットのハッチングで示している。
【0024】
具体的に、ブラケット7は、前後方向に分割された前側箱状部材8と後側箱状部材9とを嵌め合わせることで構成されており、左右方向に直交する面で切った場合に各箱状部材8,9で閉断面形状が形成されるようになっている。
【0025】
前側箱状部材8は、左右方向よりも上下方向に長く延びる、第1壁の一例としての板状の前壁81と、前壁81の上端から後方に延びる上壁82と、前壁81の左右方向外側の端から後方に延びる外壁83と、前壁81の下端から後方に延びる下壁84とを一体に備えている。すなわち、前側箱状部材8は、後方および左右方向内側に開口した箱状に形成されている。
【0026】
前壁81には、当該前壁81の上下端から離れた部位に前後方向内側に凹む2つの凹部81a(凹凸形状)がそれぞれ所定の間隔を空けて上下に並んで形成されている。これにより、前壁81の剛性が向上するので、側突荷重を剛性の高い前壁81によって良好にパイプフレーム5に伝達することが可能となっている。さらに、このように凹部81aが前壁81の上下端から離れて形成されることで、前壁81の上下端にある角部を左右に連続して形成することができ、連続した角部によって左右方向外側から内側へ荷重を良好に伝達することも可能となっている。
【0027】
また、各凹部81aは、前壁81の左右方向内側の端部81bに形成されることで、前方および左右方向内側に開口している。これにより、端部81bの縁81cが前後に屈曲形成されるので、側突荷重の出力側の縁81cの剛性を高めることができ、良好に側突荷重をパイプフレーム5等に伝達することが可能となっている。
【0028】
また、各凹部81aの底壁81dには、前壁81の縁81cよりも左右方向内側に延びる延設部81e(入力部材の左右方向内側の一部)が形成されている。この延設部81eは、前述したサイドフレーム4の孔41を通ってパイプフレーム5まで延び、当該パイプフレーム5に突き当てられた状態で溶接されている。
【0029】
このように延設部81eのみを孔41に通す構造とすることで、孔41の大きさを、延設部81eに対応した大きさにすればよいので、孔41を小さくして、サイドフレーム4の剛性を向上させることが可能となっている。具体的に、本実施形態では、孔41は、パイプフレーム5の前後幅よりも小さく形成されるとともに、前壁81の縁81c全体の上下長さよりも小さく、かつ、延設部81eよりも上下に大きく形成される長孔形状となっている。
【0030】
なお、孔41の大きさは、少なくとも、ブラケット7の左右方向内側の端部(側突荷重を出力する側の端部)の断面形状の面積と同等以下の大きさであればよい。このような大きさで孔41を形成すると、例えばブラケット7の左右方向内側の端部全体を通すような大きさの孔をサイドフレームに形成する場合に比べ、サイドフレーム4の剛性を上げることが可能となっている。
【0031】
なお、本実施形態では、延設部81eを設けたが、本発明はこれに限定されず、延設部81eを設けなくてもよい。この場合には、パイプフレーム5と前壁81の縁81cとの間に多少の間隔ができるが、このような間隔が空いていても溶接することは可能であり、パイプフレーム5とブラケット7とを直接固定することができる。
【0032】
また、延設部81eは、図3(a)に示すように、パイプフレーム5の前後方向における中央部5aに固定されている。これにより、ブラケット7からの荷重がパイプフレーム5の中央部5aに集中して伝わるので、荷重をより良好に伝達することが可能となっている。
【0033】
また、パイプフレーム5の前後方向の中心5bは、ブラケット7の前後幅内に位置している。これにより、側突時に、ブラケット7がパイプフレーム5の円筒面状の外面で滑って前後に外れてしまうのを抑えることができるので、荷重をより良好に伝達することが可能となっている。
【0034】
また、図2に示すように、前壁81の縁81cの上部および下部は、サイドフレーム4に溶接により固定されている。すなわち、前壁81は、サイドフレーム4とパイプフレーム5の両方に直接固定されている。これにより、ブラケット7に入力された荷重が、パイプフレーム5だけでなく、サイドフレーム4も介して荷重伝達部(ロアフレーム6およびパイプフレーム5の下部51)に伝達されるので、荷重をより良好に伝達することが可能となっている。なお、荷重伝達部に伝わった荷重は、ブラケット7と反対側に設けられているコンソールボックスなどを通じて車体側へ伝達させることができる。
【0035】
図4に示すように、後側箱状部材9は、左右方向よりも上下方向に長く延びる板状の後壁91と、後壁91の上端から前方に延びる上壁92と、後壁91の左右方向外側の端から前方に延びる外壁93と、後壁91の下端から前方に延びる下壁94とを一体に備えている。すなわち、後側箱状部材9は、前方および左右方向内側に開口した箱状に形成されている。
【0036】
後壁91には、当該後壁91の上下端から離れた部位に前後方向内側に凹む2つの凹部91a(凹凸形状)がそれぞれ所定の間隔を空けて上下に並んで形成されている。これにより、後壁91の剛性が向上するので、側突荷重を剛性の高い後壁91によって良好に左右方向内側に伝達することが可能となっている。さらに、このように凹部91aが後壁91の上下端から離れて形成されることで、後壁91の上下端にある角部を左右に連続して形成することができ、連続した角部によって左右方向外側から内側へ荷重を良好に伝達することも可能となっている。
【0037】
各凹部91aは、前側箱状部材8の各凹部81aに前後で対向するように配置されており、その各底壁91dと各凹部81aの各底壁81dとは、図3(a)に示すように、互いに接するように配置されている。これにより、互いに隣接した2つの底壁81d,91dによって、ブラケット7の前後方向の略中央部に肉厚の部分が構成されるので、側突荷重の伝達を良好に行うことが可能となっている。
【0038】
また、互いに隣接した2つの底壁81d,91dは、溶接により接合されている。これにより、ブラケット7の剛性を高めることができるので、側突荷重の伝達を良好に行うことが可能となっている。
【0039】
また、互いに隣接した2つの底壁81d,91dは、パイプフレーム5の前後幅内に位置している。これにより、2つの底壁81d,91dを合わせることで肉厚となった部分を介して側突荷重をパイプフレーム5に良好に伝達することが可能となっている。
【0040】
さらに、パイプフレーム5の前後方向の中心5bは、各底壁81d,91dを合わせた肉厚部分の前後幅内に位置している。これにより、2つの底壁81d,91dを合わせることで肉厚となった部分を介してパイプフレーム5の中心5b付近に荷重を集中して伝達させることが可能となっている。
【0041】
また、図4に示すように、後壁91の左右方向内側の端部91bは、サイドフレーム4に溶接により固定されている。より詳しくは、図3(a)に示すように、後壁91の左右方向内側の端部91bは、サイドフレーム4のL字状に折り曲げられた後部43と、パイプフレーム5の左側後部とで形成される閉断面形状部分に接合されている。これにより、後壁91から左右方向内側に伝達される側突荷重が、閉断面形状部分で良好に受けられて、パイプフレーム5に良好に伝達されるようになっている。
【0042】
さらに、図2,3に示すように、後側箱状部材9の上壁92、外壁93および下壁94は、前側箱状部材8の上壁82、外壁83および下壁84に覆い被さるように配置されて、各壁82〜84に溶接により固定されている。
【0043】
これにより、図3(b)に示すように、ブラケット7の上壁72には、その前後端から離れた位置に、各箱状部材8,9の各上壁82,92(2枚の板状部)の重ね合わせによる段差72a(凹凸形状)が形成されている。そのため、上壁72の前後方向の略中央部が、各上壁82,92の重ね合わせによって肉厚に形成されるので、上壁72の剛性を高めて、側突荷重の伝達を良好に行うことが可能となっている。
【0044】
さらに、このように段差72a(凹凸形状)が上壁72の前後端から離れて形成されることで、上壁72の前後端にある角部を左右に連続して形成することができ、連続した角部によって左右方向外側から内側へ荷重を良好に伝達することも可能となっている。
【0045】
また、同様に、図3(a),(c)に示すように、ブラケット7の外壁73と下壁74にも、各箱状部材8,9の各外壁83,93や各下壁84,94の重ね合わせによる段差73a,74aが形成されている。これにより、外壁73と下壁74においても、剛性が高まるとともに、下壁74の前後端にある角部を左右に連続して形成して、左右方向外側から内側へ荷重を良好に伝達することが可能となっている。
【0046】
また、段差72a,73a,74aは、後側箱状部材9が前側箱状部材8に覆い被さるように嵌め合わされることによって、ブラケット7の上壁72、外壁73および下壁74にわたって連続して形成されている。これにより、外壁73の肉厚部分が、上壁72および下壁74の肉厚部分に連続して形成されるので、外壁73の肉厚部分で受けた側突荷重を、連続した上下の肉厚部分を介して良好に左右方向内側へ伝達することが可能となっている。
【0047】
以上のような本実施形態の車両用シートにおける効果を以下にまとめて示す。
ブラケット7がサイドフレーム4ではなくパイプフレーム5に直接固定されるので、側突荷重の入力角度や大きさがどのような場合であっても、サイドフレーム4の変形による影響を受けずに、荷重をブラケット7からパイプフレーム5に良好に伝達することができる。
【0048】
ブラケット7がパイプフレーム5とは別体に構成されているので、それぞれを自由な形状に形成でき、組付性も向上させることができる。
【0049】
ブラケット7とパイプフレーム5をサイドフレーム4に形成した開口(孔41)を通して固定することで、例えばブラケットとパイプフレームの固定箇所を避けるようにサイドフレームを前後や上下に分割させる必要がないので、サイドフレーム4の剛性を向上させることができる。
【0050】
ブラケット7の一部(延設部81e)のみを開口(孔41)を通してパイプフレーム5に固定したので、ブラケットの左右方向内側の側部全体を通すような開口をサイドフレームに形成する必要がないので、サイドフレーム4の剛性をより向上させることができる。
【0051】
サイドフレーム4に形成する開口を孔41としたので、例えば開口を前方または後方に開放された溝状(切欠状)に形成する構造に比べ、サイドフレーム4のうちブラケット7とパイプフレーム5の固定箇所よりも上側部分と下側部分を、固定箇所の前後で繋ぐことができるので、サイドフレーム4の剛性をより向上させることができる。
【0052】
閉断面形状となるパイプフレーム5にブラケット7を固定したので、ブラケット7からの荷重を、変形し難いパイプフレーム5を介して荷重伝達部(ロアフレーム6およびパイプフレーム5の下部51)に良好に伝達することができる。
【0053】
ブラケット7がサイドフレーム4とパイプフレーム5の両方に直接固定されるので、ブラケット7に入力された荷重が、パイプフレーム5だけでなく、サイドフレーム4も介して荷重伝達部に伝達されるので、荷重をより良好に伝達することができる。
【0054】
パイプフレーム5の中心5bがブラケット7の前後幅内に位置するので、側突時に、ブラケット7がパイプフレーム5の円筒面状の外面で滑って前後に外れてしまうのを抑えることができ、荷重をより良好に伝達することができる。
【0055】
ブラケット7がパイプフレーム5の前後方向における中央部5aに固定されるので、ブラケット7からの荷重がパイプフレーム5の前後方向の中央部5aに集中して伝わるので、荷重をより良好に伝達することができる。
【0056】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以下の他の形態に示すように、適宜変形して実施することが可能である。
前記実施形態では、補強フレームとして円筒状のパイプフレーム5を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば多角形状のパイプフレームや円柱や多角柱状の部材などであってもよい。
【0057】
前記実施形態では、入力部材を2つの箱状部材8,9からなるブラケット7としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、1つの箱状部材で構成されるブラケットでもよいし、板厚の大きな板状部材であってもよい。
【0058】
前記実施形態では、荷重伝達部をロアフレーム6とパイプフレーム5の下部51とで構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、補強フレームであるパイプフレーム5に荷重伝達部(下部51)を一体に形成したが、パイプフレームを下方に開口するコ字状に形成した場合には、パイプフレームの各下端部を連結する別体のフレームを荷重伝達部としてもよい。また、例えば、前記実施形態におけるパイプフレーム5の下部51を途中で分断してロアフレーム6に接合した場合には、途中まで延びる下部51とロアフレーム6を荷重伝達部としてもよい。
【0059】
前記実施形態では、ブラケット7とパイプフレーム5を溶接により固定したが、本発明はこれに限定されず、例えばボルトなどによって固定してもよい。
前記実施形態では、開口として孔41を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば前方または後方に開口する切欠などであってもよい。
【0060】
前記実施形態では、ブラケット7の一部(延設部81e)を開口(孔41)に通したが、本発明はこれに限定されず、補強フレームの一部を開口に通してブラケットに直接固定してもよい。
【0061】
前記実施形態では、補強フレーム(パイプフレーム5)の全体を閉断面形状としたが、本発明はこれに限定されず、補強フレームのうち少なくとも入力部材が固定される部分が、閉断面形状であればよい。
【0062】
前記実施形態では、入力部材として車両の側突荷重を受ける部材としたが、本発明はこれに限定されず、例えばアームレスト取付部材のように乗員から荷重を受ける部材であってもよく、エアバック取付部材のようにエアバックユニットが作動したときにエアバックから荷重を受ける部材であってもよい。また、例えば、重量が大きなモータ等を取り付けるための取付部材のように、モータ等の自重(荷重)を受ける部材であってもよい。
【0063】
前記実施形態では、入力部材をサイドフレームの外側に設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、前記実施形態における補強フレーム(パイプフレーム5)の左右方向内側にさらに板状のサイドフレームが設けられる場合には、このサイドフレームの左右方向内側に前述したようなアームレスト取付部材等を配置し、このアームレスト取付部材等を補強フレームに直接固定してもよい。
【符号の説明】
【0064】
2 シートバックフレーム
4 サイドフレーム
5 パイプフレーム
6 ロアフレーム
7 ブラケット
52,53 側部
W ワイヤ
図1
図2
図3
図4