特許第6353606号(P6353606)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6353606油圧式の車両ブレーキ装置のための圧力発生器
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  • 6353606-油圧式の車両ブレーキ装置のための圧力発生器 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353606
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】油圧式の車両ブレーキ装置のための圧力発生器
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/138 20060101AFI20180625BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20180625BHJP
   F16H 25/22 20060101ALI20180625BHJP
   F16H 1/28 20060101ALI20180625BHJP
   H02K 7/102 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   B60T13/138 A
   F16H25/20 E
   F16H25/22 Z
   F16H1/28
   H02K7/102
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-519790(P2017-519790)
(86)(22)【出願日】2015年4月27日
(65)【公表番号】特表2017-521324(P2017-521324A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】EP2015059020
(87)【国際公開番号】WO2015197234
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2017年2月27日
(31)【優先権主張番号】102014212409.3
(32)【優先日】2014年6月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(72)【発明者】
【氏名】タンドラー,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェー,アンドレアス
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−098969(JP,A)
【文献】 特表2003−529725(JP,A)
【文献】 特開2012−229741(JP,A)
【文献】 特開2005−147170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/138
F16H 25/20
F16H 25/22
F16H 1/28
H02K 7/102
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧式の車両ブレーキ装置のための圧力発生器であって、
該圧力発生器が、
ねじ伝動装置(8)であって、回動可能で軸線方向に固定された、ねじ山を備える構成部材(7)、および軸線方向に移動可能で回動不能である、対向ねじ山を備える構成部材(6)を備え、構成部材(6)の対向ねじ山が回動可能な構成部材(7)のねじ山に係合しており、回動可能な構成部材(7)の回転駆動により、軸線方向に移動可能な構成部材(6)が軸線方向に移動されるねじ伝動装置(8)と、
ねじ伝動装置(8)の回動可能な構成部材(7)を回転駆動させるための遊星歯車装置(22)とを備える圧力発生器であって
圧力発生器(1)が、シリンダ(4)と、該シリンダ(4)内で移動可能なピストン(3)とを有するピストン‐シリンダユニット(2)を備え、
ピストン(3)またはシリンダ(4)が、ねじ伝動装置(8)の軸線方向に移動可能な構成部材(6)に結合されており、ねじ伝動装置(8)の回動可能な構成部材(7)の回転駆動により、ねじ伝動装置(8)の軸線方向に移動可能な構成部材(6)を介してピストン‐シリンダユニット(2)のピストン(3)がシリンダ(4)に対して移動され、
ねじ伝動装置(8)の回動可能な構成部材(7)が遊星歯車装置(22)の遊星キャリア(19)を形成していることを特徴とする油圧式の車両ブレーキ装置のための圧力発生器において、
前記ピストン‐シリンダユニット(2)の前記ピストン(3)が中空ピストンであり、前記ねじ伝動装置(8)の軸線方向に移動可能な前記構成部材(6)が、前記ピストン(3)の内部に同軸的に配置されている圧力発生器
【請求項2】
請求項1に記載の圧力発生器において、
前記圧力発生器(1)が中空の結合部材(12)を備え、結合部材(12)の内部にねじ伝動装置(8)が収容されており、結合部材(12)には、ねじ伝動装置(8)の回動可能な構成部材(7)が軸線方向に固定して結合されている圧力発生器。
【請求項3】
請求項2に記載の圧力発生器において、
遊星歯車装置(22)の内歯車(21)が前記結合部材(12)内に回動不能に配置されている圧力発生器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧力発生器において、
前記ピストン‐シリンダユニット(2)の前記ピストン(3)が、ピストン‐シリンダユニット(2)の前記シリンダ(4)内で軸線方向に移動可能に案内され、および/またはピストン‐シリンダユニット(2)のシリンダ(4)に配置された部分(14,15)に沿って案内されている圧力発生器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧力発生器において、
前記圧力発生器(1)が、前記遊星歯車装置(22)を回転駆動するための電子式中空シャフトモータ(27)を備え、該電子式中空シャフトモータ(27)の内部に、前記ねじ伝動装置(8)および/または前記遊星歯車装置(22)が少なくとも部分的に収容されている圧力発生器。
【請求項6】
請求項に記載の圧力発生器において、
前記遊星歯車装置(22)の太陽歯車(20)が電子式中空シャフトモータ(27)の中空シャフト(26)に対して回動不能である圧力発生器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧力発生器において、
電子式中空シャフトモータ(27)が鉢状の中空シャフト(26)を備え、該中空シャフト(26)が、端壁(25)の外側に回転軸受(33)を備える圧力発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載の特徴を有する油圧式の車両ブレーキ装置のための圧力発生器に関する。圧力発生器は、特に外力ブレーキ装置において設けられるが、例えばスリップ制御装置において使用することもできる。
【背景技術】
【0002】
ねじ伝動装置は既知である。ねじ伝動装置は、例えばスピンドルおよびスピンドルナットを備え、スピンドルナットの雌ねじ山はスピンドルのねじ山に係合する。スピンドルナットまたはスピンドルのいずれか一方の回転駆動により、他方の部分、すなわちスピンドルまたはスピンドルナットが軸線方向に移動される。滑動するねじを備えるねじ装置の他に、転動体を備えるねじ装置、例えばボールねじ装置またはローラねじ装置がある。一般に、スピンドルナットまたはスピンドルのいずれか一方は、回動可能であり、軸線方向に固定されており、ねじ山を備えるねじ伝動装置の構成部材であってもよい。他方の部分、すなわち、スピンドルまたはスピンドルナットは、軸線方向に移動可能であり、回動不能であり、対向ねじ山を備えるねじ伝動装置の構成部材とみなすことができる。ねじ山と対向ねじ山とは、直接または間接的に、例えば転動体を介して係合し、ねじ伝動装置の回動可能な構成部材の回転駆動により、軸線方向に移動可能な構成部材が軸線方向に移動される。
【0003】
同様に、太陽歯車と、太陽歯車と噛み合い、太陽歯車を中心とした回転駆動時に回転する遊星歯車と、太陽歯車を同心的に取り囲む内歯車とを備える遊星歯車装置が既知である。遊星歯車は同様に内歯車と噛み合い、回転駆動時には内歯車内で回転する。遊星歯車は、太陽歯車および内歯車に対して同軸的に配置された遊星キャリアに、偏心的および回動可能に配置されている。
【発明の概要】
【0004】
請求項1に記載の特徴を有する本発明による圧力発生器は、シリンダと、シリンダ内で移動可能なピストンとを有するピストン‐シリンダユニットを備える。シリンダ内へピストンをシリンダに対して移動することにより、油圧を形成し、ブレーキ液を排除もしくは圧送することができる。本発明による圧力発生器では、ピストンまたはシリンダはねじ伝動装置の軸線方向に移動可能な構成部材に結合されており、ねじ伝動装置の回動可能な構成部材の回転駆動により、ねじ伝動装置の軸線方向に移動可能な構成部材が軸線方向に移動され、軸線方向に移動可能な構成部材を介してピストン‐シリンダユニットのピストンがシリンダに対して移動される。このようにして、油圧を生成する、すなわちブレーキ液を排除もしくは圧送することができる。
【0005】
ねじ伝動装置の回動可能な構成部材を回転駆動させるために、本発明による圧力発生器は遊星歯車を備え、本発明によれば、ねじ伝動装置の回動可能な構成部材は、遊星歯車装置の遊星キャリアを形成している。特にスピンドルナット、または一般に雌ねじ山を備えるねじ伝動装置の中空部分は遊星キャリアとして、遊星歯車装置の遊星歯車を、回転軸線から等しい間隔をおいて回動可能に、偏心的に固定するために適している。
【0006】
従属請求項は、請求項1に記載の発明の有利な構成および実施形態を対象としている。
【0007】
請求項2では、中空の、例えば管状の結合部材を設けており、結合部材には、ねじ伝動装置、ねじ伝動装置の長さの少なくとも一部、および必要に応じて付加的に遊星歯車装置が省スペースで収容されており、結合部材はねじ伝動装置をピストン‐シリンダユニットに結合する。ねじ伝動装置の回動可能な構成部材は、軸線方向に固定されて結合部材に結合されており、ピストン‐シリンダユニットのシリンダまたはピストンは、直接または間接的に1つ以上の構成部材を介して結合部材に結合されている。これは、ねじ伝動装置の軸線方向に移動可能な構成部材に結合されていないピストン‐シリンダユニットの部分である。ピストン‐シリンダユニットのピストンが、シリンダの内部へシリンダに対して移動されることにより油圧を生成した場合、これにより、ねじ伝動装置の軸線方向に移動可能な構成部材に対して押圧力が引き起こされ、反力として結合部材が、結合部材に軸線方向に固定されているねじ伝動装置の回動可能な構成部材に伝達する引っ張り力が結合部材の内部に引き起こされる。圧力生成のために加えられる必要がある、または反力として作用する引っ張り力および押圧力は、このようにして内部の力としてねじ伝動装置内に閉じ込められ、ピストン‐シリンダユニットに伝達され、したがって、これらの力が外部に向かって作用することはない。
【0008】
圧力生成器を小型に構成するために、請求項4では、ピストン‐シリンダユニットのピストンが中空ピストンとして形成され、中空ピストン内にはねじ伝動装置の軸線方向に移動可能な構成部材が同軸的に配置されている。ねじ伝動装置は、少なくとも部分的に、中空ピストン内に配置されていてもよい。
【0009】
同様に圧力発生器を小型に構成するために、請求項6では、遊星歯車装置を駆動可能な電子式中空シャフトモータが設けられ、電子式中空シャフトモータ内には、ねじ伝動装置および/または遊星歯車装置が少なくとも部分的に収容されている。「部分的に」とは、特にねじ伝動装置に関して、ねじ伝動装置の長さの一部が中空シャフトモータ内に収容されており、ねじ伝動装置が中空シャフトモータから突出していることを意味する。
【0010】
本発明のさらなる特徴が、請求項および図面に関連した本発明の実施形態の次の説明により明らかになる。個々の特徴は、本発明の実施形態においてそれぞれ単独で実現されていてもよいし、また任意に組み合わせて実現されていてもよい。唯一の図面は、本発明による圧力発生器の軸線方向断面図を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による圧力発生器の軸線方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す本発明による圧力発生器1は、油圧式の外力ブレーキ装置において圧力生成のために用いられる。スリップ制御のために使用することも可能である。圧力発生器1は、ピストン3およびシリンダ4を有するピストン‐シリンダユニット2を備え、シリンダ4は、図示しない車両ブレーキ装置の油圧ブロック5の円筒状凹部として構成されている。油圧ブロック5は、車両ブレーキ装置のスリップ制御部の油圧構成要素、例えば電磁弁、逆止弁、油圧蓄積器、およびピストン‐シリンダユニット2などを機械的に保持し、油圧回路を形成する役割を果たす。スリップ制御される車両ブレーキのためのこのような油圧ブロック5は既知であり、ここでは詳細に説明しない。外力ブレーキ装置では、ピストン‐シリンダユニット2は、足または手により操作されるマスタシリンダの代わりに圧力を生成する役割を果たす。マスタシリンダは、外力ブレーキのためにブレーキ力目標値発生器としての役割を果たし、外力ブレーキが停止した場合に補助ブレーキのためのブレーキ圧を生成することができる。
【0013】
ピストン‐シリンダユニット2のピストン3は中空ピストンとして構成されており、中空ピストン内に同軸的に配置され、堅固に結合されたスピンドル6を備える。スピンドル6は、中空に形成されたピストン3に突入するスピンドルナット7の内部に同軸的に配置されている。回動可能であり、軸線方向に固定されたスピンドルナット7を回転駆動することにより、スピンドル6およびスピンドル6と共にピストン3が軸線方向に移動され、ピストン3はシリンダ4内に油圧を生成する。スピンドル6およびスピンドルナット7は共にねじ伝動装置を形成している。図示の実施形態では、ねじ伝動装置はボールねじ駆動装置として構成されており、ボールねじ駆動装置は、ねじ山および対向ねじ山としてスピンドル6およびスピンドルナット7に形成されたらせん状の溝内で転動する転動体としてボール9を備える。一般に、スピンドル6およびスピンドルナット7は、ねじ伝動装置8の構成部材とみなすことができ、スピンドルナット7は、回動可能であり、軸線方向に固定されており、ねじ山を備えるねじ伝動装置8の構成部材を形成しており、スピンドル6は、軸線方向に移動可能であり、回動不能であり、対向ねじ山を有するねじ伝動装置8の構成部材を形成している。ボールねじとしての実施形態では、スピンドルナット7のねじ山およびスピンドル6の対向ねじ山はボール9を介して間接的に係合しており、上述のように、スピンドルナット7の回転駆動により、スピンドル6はピストン3と共に軸線方向に移動される。本発明の実施形態では、逆の場合、すなわち、回動可能であり、軸線方向に固定されたスピンドル、および回動不能であり、軸線方向に移動可能なスピンドルナットとすることも可能であり(図示しない)、この場合には、スピンドルナットは、ピストン3と結合されている、例えば一体的であり、スピンドルの回転駆動時にはピストン3を移動させる。
【0014】
スピンドルナット7は、回転軸受10によって回動可能に支承されており、軸線方向に固定して保持されている。この実施形態では、回転軸受10は、ピストン3に向いていない方のスピンドルナット7の端部に配置されており、4点軸受として構成されている。4点軸受として構成されたスピンドルナット7の回転軸受10の軸受リング11は、管状のアーマチャ12の軸受収容部に配置されており、2つの軸受リング11のいずれか一方は、アーマチャ12の内部でカラー13によって軸線方向に支持される。カラー13は、スピンドルナット7の回転軸受10のための軸線方向のスラスト軸受とみなすこともできる。管状の固定装置12は、フランジ部分15の管状のカラー14に堅固に結合されており、フランジ部分15は、油圧ブロック5の凹部に固定されたフランジ16を備える。フランジ部分15は、シリンダ4、ピストン3、スピンドル6、およびスピンドルナット7と同軸的であり、フランジ部分15のカラー14は、ピストン3を軸線方向に移動可能に案内する。この実施形態では、管状の固定装置12はカラー14に圧入されることにより、カラー14もしくはフランジ部分15に堅固に結合されている。他の結合形式も可能である。ピストン3が圧力生成のためにシリンダ4に押し込まれた場合には、押圧力がスピンドル6およびスピンドルナット7に作用し、スピンドルナット7は、回転軸受10を介して固定装置12の内部でカラー13により軸線方向に支持される。固定装置12はフランジ部分15に堅固に結合されており、フランジ部分15は油圧ブロック5に結合されており、押圧力に対する反力としてスピンドル6およびスピンドルナット7に生じる引っ張り力は、固定装置12、カラー14、およびフランジ部分15のフランジ16を介して直接経路で、シリンダ4を備える油圧ブロック5に取り込まれる。圧力生成時に生じる押圧力および引っ張り力は、このようにして短い経路で閉ループ内部の力として案内されるので、支持される必要のある力が外部に向かって作用することはない。
【0015】
スピンドルナット7は、ピストン3に向いていない方の端部に、ピン18と共に回動可能にスピンドルナット7に配置された3つの遊星歯車17を備える。このようにして、スピンドルナット7は、遊星歯車17のための遊星キャリア19を形成している。遊星歯車17は、同軸的に配置された太陽歯車20、および遊星歯車17を包囲する同様に同軸的な内歯車21と噛み合う。内歯車21は、カラー13の、スピンドルナット7の回転軸受10に向いていな側で、管状の固定装置12に圧入されており、したがって、内歯車21は回動不能である。遊星歯車17、太陽歯車20、および内歯車21は、本発明による圧力発生器1においてスピンドルナット7を回転駆動させる役割を果たす遊星歯車装置22を形成している。
【0016】
太陽歯車20はシャフト23に対して回動不能であり、シャフト23は、電子式中空シャフトモータ27の鉢状の中空シャフト26の端壁25に設けられたカラー24に回動不能に圧入されている。中空シャフト26は、外側に磁極または永久磁石28を備え、電子式中空シャフトモータ27のロータとみなすこともできる。中空シャフト26は、遊星歯車装置22、ねじ伝動装置8、固定装置12、およびフランジ部分15のカラー14を同心的に取り囲んでいる。中空シャフト26は、フランジ16の近傍で、回転軸受29である玉軸受によって回動可能に支承されている。
【0017】
電子式中空シャフトモータ27は、直径が段状に変化する同様に鉢状のモータケーシング30を備え、モータケーシング30の開かれた端部は、フランジ部分15のフランジ16で固定されている。モータケーシング30は内側にステータ磁石31として電磁石を備える。ステータ磁石31を備えるモータケーシング30は、電子式中空シャフトモータ27のステータとみなすこともできる。フランジ16に向いていないモータケーシング30の閉じられた端部には、中空シリンダ状の軸受収容部32が形成されており、この軸受収容部32には、回転軸受33として玉軸受が配置されている。シャフト23は回転軸受33によって回動可能に支承されており、遊星歯車装置22の太陽歯車20はシャフト23に対して回動不能であり、シャフト23は、中空シャフト26のカラー24に圧入されていることにより、中空シャフト26に対して回動不能である。したがって、回転軸受33は、電子式中空シャフトモータ27の中空シャフト26を、フランジ16から遠く離れた端部で回動可能に支承しており、同時に遊星歯車装置22の太陽歯車20を回動可能に支承している。電子式中空シャフトモータ27の中空シャフト26が回転駆動された場合には、中空シャフト26に対しては回動不能な遊星歯車装置22の太陽歯車20が回転駆動され、遊星歯車17を回転運動させ、遊星歯車17は、上述のように、同時に遊星歯車装置22の遊星キャリア19を形成するスピンドルナット7の回転駆動を引き起こす。
【0018】
回動を防止するために、ピストン3およびスピンドル6は、六角横断面を有する軸線方向の止まり穴34を備え、この止まり穴34には六角ロッド35が突入し、六角ロッド35は、シリンダ4の底部で油圧ブロック5に回動不能にねじ込まれている。
【符号の説明】
【0019】
1 圧力発生器
2 ピストン‐シリンダユニット
3 ピストン
4 シリンダ
5 油圧ブロック
6 スピンドル
7 スピンドルナット
8 ねじ伝動装置
9 ボール
10 回転軸受
11 軸受リング
12 固定装置
13 カラー
14 カラー
15 フランジ部分
16 フランジ
17 遊星歯車
18 ピン
19 遊星キャリア
20 太陽歯車
21 内歯車
22 遊星歯車装置
23 シャフト
24 カラー
25 側壁
26 中空シャフト
27 電子式中空シャフトモータ
28 永久磁石
29 回転軸受
30 モータケーシング
31 ステータ磁石
32 軸受収容部
33 回転軸受
34 穴
35 六角ロッド
図1