【実施例】
【0028】
図1は本発明の大型飛行機解体用剪断機を備えた飛行機用解体作業車の一実施例の構成を示す説明図である。
図2は
図1に示した大型飛行機解体用剪断機の構成を示す説明図である。
図3は
図2に示した大型飛行機解体用剪断機の第1ジョー部の先端刃の拡大図、側面図及び平面図である。
図4は
図2の第2ジョー部の先端刃受け刃の平面図である。
図5は
図2に示した大型飛行機解体用剪断機の要部の剪断動作を示す説明図である。
【0029】
図1に示す通り、本実施例の大型飛行機用解体作業車10は、自走車両11と、この自走車両11に旋回可能、伏仰可能に搭載された油圧作動ブーム14の先端に取り付けられた解体用剪断機20とからなる。より詳しくは、自走車両11にはエンジン出力又は外部電源から供給される電力で駆動される旋回ステージ12が搭載されている。
【0030】
ステージ12上には、走行時に前向きとなるように運転キャビン13が前部左側に設けられており、また、中央部には油圧作動ブーム14が起伏シリンダ15で起伏可能に枢支されており、ブーム14は先端に油圧ピストン・シリンダからなる油圧駆動手段16で伏仰可能に枢支された解体用剪断機20を有している。また、このステージ12の後方には油圧発生装置17が搭載されている。尚、このブーム14は車両11をトレーラトラック等によって搬送する際には所定の角度に伏仰され、折りたたまれる。
【0031】
図2に示す通り、大型飛行機解体用剪断機20は、図示しない回動手段によって回動するフレーム台を備えたフレーム装置21上で自在に保持される。フレーム装置21は支点22によって油圧作動ブーム14へ傾斜可能に取付けられている。フレーム装置21は運転キャビン13の操縦によって回動手段及び油圧駆動手段16を駆動して様々な角度に回動及び伏仰される。
【0032】
解体用剪断機20は、フレーム装置21のフレーム台上に設置された2つのパネルを備えた本体部23と、本体部23の2つのパネルの間に配された開放位置と閉鎖位置との間で相対的に支点24を中心として回動される第1ジョー部25と第2ジョー部26と、第1ジョー部25を支点24を中心にして回動させる第1油圧駆動手段27と、第2ジョー部26を支点24を中心にして回動させる第2油圧駆動手段28とを備える。
【0033】
第1ジョー部25は、支点24より前方の剪断刃として、剪断対象物に対して最初に切っ先が侵入する先端刃31と、先端刃31の侵入方向に対して鈍角状に曲折して第1ジョー部25の両面に各々配置された一対の第1平行剪断刃33と、第1平行剪断刃取付部に対して鈍角状に曲折して第1ジョー部25の両面に各々配置された一対の第2平行剪断刃34とを備える。
【0034】
第2ジョー部26も、支点24より前方の剪断刃として、第1ジョー部25との相対移動の際に先端刃31と一対の第1平行剪断刃33との全部及び一対の第2平行剪断刃34の各々の一部が通過する先端刃31の外周面を囲むように配された溝部35と、先端刃31が通過する外周囲を囲み第1平行剪断刃領域が通過する以外の領域の溝部35の内壁面に沿って配された先端刃受け刃36と、第1平行剪断刃33の各々が通過する領域の溝部35の内壁面に沿って各々配置された一対の第1平行剪断刃受け刃38と、第2平行剪断刃34の各々が通過する領域の溝部35の内壁面に沿って各々配置された一対の第2平行剪断刃受け刃39とを備える。
【0035】
より詳しくは、
図2の第1ジョー部25の先端部は、第1ジョー部25の先端部に着脱可能に取付けられ、
図3に示す通り、先端刃31の切っ先は第1ジョー部25の厚さよりも小さい刃幅を有し、剪断対象物に対して当接可能な小口面31aを備える。小口面31aの幅方向の長手辺は、
図4に示す通り、第2ジョー部26の先端受け刃36の幅受け刃36aと対向して配置され、これら幅辺同士で剪断することにより、小口面31aが穿設される。
【0036】
小口面31aの両側には一対の先端テーパー刃31bが後端に向うに従って連続的に刃幅が増加されるように配置されており、これら一対の先端テーパー刃31bの外方の稜線部が刃部となり、第1ジョー部25と第2ジョー部26とが回動して交差することにより、一対の先端テーパー刃31bと先端テーパー刃受け刃36bとがすり合わされて剪断対象物が剪断される。
【0037】
尚、先端刃31は、第1ジョー部25への取付ボルト(図示せず)を取り外して、この先端刃31は小口面31aの中心を通る軸で180°回転させることにより、一方の小口面31aの刃及び先端テーパー刃31bが摩耗した場合に、対向する小口面31aの刃及び先端テーパー刃31bと交換することができ、先端刃31の寿命を倍にすることが可能となる。
【0038】
図2及び
図3のa図に示す通り、第1ジョー部25の一対の先端テーパー刃31bの各々の後端部には、各々の取付部に対して鈍角状に曲折して後続の第1平行剪断刃33の各々に亘って互いの距離を離す方向に配された一対のテーパー刃32が配置されている。このテーパー刃32の第2ジョー部26の対向位置には、
図4に示す通り、テーパー刃受け刃37が備わっている。
【0039】
尚、一対のテーパー刃32、一対の第1平行剪断刃33、一対の第2平行剪断刃34、及びこれらと対向する一対のテーパー刃受け刃37、一対の第1平行剪断刃受け刃38、一対の第2平行剪断刃受け刃39については、直方体状の取り換え可能な刃で構成され、4つの長手辺を剪断刃として構成されているため、個々の取付ボルト(図示せず)を取り外して、個々の剪断刃を取り換えて装着することにより、個々の剪断刃の寿命を4倍とすることが可能となる。
【0040】
第1ジョー部25及び第2ジョー部26の動きとしては、即ち、例えば翼状の剪断対象物50を剪断する場合を説明する。
図5のa図に示す通り、開放状態の第1ジョー部25及び第2ジョー部26を徐々に閉塞させていく。この場合、第1ジョー部25の先端刃31の切っ先の小口面31aが剪断対象物50に対して、略垂直方向に押圧するように第1ジョー部25と第2ジョー部26とを調整する(a図)。
【0041】
図5のb図に示す通り、a図に示した状態から第1油圧駆動手段27及び第2油圧駆動手段28とを駆動して、小口面31aを剪断対象物50に侵入させるように押圧する。即ち、
図3に示す通り、第1ジョー部25の厚さよりも小さい幅を有し、剪断対象物に対して当接可能な小口面31aを有する先端刃31は略垂直方向から剪断対象物50に当接して第1ジョー部25及び第2ジョー部26を各々の油圧駆動手段27,28で回動するため、押圧力が良好に剪断応力が発生し、高強度のアルミ合金の剪断対象物でも容易に先端刃の切っ先が侵入し、穿設孔が形成される。
【0042】
また、先端刃31の侵入に伴って、穿設孔が徐々に広くなり、先端刃受け刃36の先端テーパー刃受け刃36bで剪断されつつ、
図5のb図からc図に示す通り、支点24側の第1平行剪断刃33と第1平行剪断刃受け刃38との剪断によって貫通孔が切り開かれ、
図5のd図に示す通り、第2平行剪断刃34と第2平行剪断刃受け刃39との剪断によって剪断対象物50が剪断される。
【0043】
図6は別の実施例の大型飛行機解体用剪断機の構成を示す説明図であり、a図は側面図、b図は先端刃の拡大図、c図は先端刃受け刃の拡大図である。
図6に示された実施例の大型飛行機解体用剪断機60では、
図2に示した実施例と同様に、解体用剪断機60は、本体部63の2つのパネルの間に配された開放位置と閉鎖位置との間で相対的に支点64を中心として回動される第1ジョー部65と第2ジョー部66とが第1油圧駆動手段67と第2油圧駆動手段68とで回動される。
【0044】
第1ジョー部65は、
図2の第1ジョー部25と同様に、先端刃71と一対の第1平行剪断刃73と一対の第2平行剪断刃74とを備える。先端刃61の切っ先には小口面71aと、先端テーパー刃71bとを備える。更に、その後端には、一対のテーパー刃72、一対の第1平行剪断刃73、一対の第2平行剪断刃74を備える。第2ジョー部66はも、第1ジョー部65の先端が通過する溝部75の内壁に、幅受け刃76aと先端テーパー刃受け刃76bとからなる先端刃受け刃76と、テーパー刃受け刃77と、第1平行剪断刃受け刃78と、第2平行剪断刃受け刃79とを備える。
【0045】
このような第2ジョー部66について、幅受け刃76aと一対の先端テーパー刃受け刃76bとからなる先端刃受け刃76部分が、第1ジョー部65に対向する方向に傾斜して配されている。即ち、傾斜角度を先端刃の小口部の押圧方向が剪断対象物に対して垂直となるように調整することにより、切っ先が押圧箇所から外れることがなく油圧の圧力が良好に押圧箇所により集中して成されることができる。