特許第6353625号(P6353625)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353625
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】物品取扱い装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/28 20060101AFI20180625BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   B65G47/28 L
   B65G47/90 B
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-204343(P2014-204343)
(22)【出願日】2014年10月2日
(65)【公開番号】特開2016-26966(P2016-26966A)
(43)【公開日】2016年2月18日
【審査請求日】2017年9月8日
(31)【優先権主張番号】特願2014-129259(P2014-129259)
(32)【優先日】2014年6月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治
(72)【発明者】
【氏名】秦野 耕一
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−860(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/013608(WO,A1)
【文献】 特開2005−111607(JP,A)
【文献】 国際公開第91/11885(WO,A1)
【文献】 特開2003−165619(JP,A)
【文献】 特開2008−63121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/22 − 47/32
B65G 47/90 − 47/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を供給してくる搬送装置の物品供給方向に沿って複数台のピックアンドプレイス装置を順に配置し、
各ピックアンドプレイス装置毎に搬送装置上に設定した各ピック設定範囲のそれぞれから、各ピックアンドプレイス装置により物品をピックする物品取扱い装置であって、
上流側のピックアンドプレイス装置によってピックされずに下流側のピックアンドプレイス装置に向けて搬送されてくる搬送装置上の物品のうち、下流側のピックアンドプレイス装置のピック設定範囲から外れる位置にある搬送経路上の物品に対し、上流側のピックアンドプレイス装置のピック設定範囲と下流側のピックアンドプレイス装置のピック設定範囲の間で、該物品が下流側のピックアンドプレイス装置のピック設定範囲に向かう搬送経路に入るように該物品を搬送装置の物品供給方向に直交する幅方向に変位させる幅寄せ装置を設けてなる物品取扱い装置。
【請求項2】
前記幅寄せ装置が搬送装置の幅方向に沿う一部に固定配置される固定式幅寄せ部を有してなる請求項1に記載の物品取扱い装置。
【請求項3】
前記幅寄せ装置が搬送装置の幅方向に沿って進退する可動式幅寄せ部を有してなる請求項1に記載の物品取扱い装置。
【請求項4】
前記幅寄せ装置が、上流側のピックアンドプレイス装置から下流側のピックアンドプレイス装置に向けて搬送されてくる物品の供給状況に応じて、幅寄せ部の前進位置と後退位置を制御可能にする請求項3に記載の物品取扱い装置。
【請求項5】
前記幅寄せ装置が搬送装置の幅方向に空気圧を吹出し可能にする空圧式幅寄せ部を有してなる請求項1に記載の物品取扱い装置。
【請求項6】
前記幅寄せ装置が、上流側のピックアンドプレイス装置から下流側のピックアンドプレイス装置に向けて搬送されてくる物品の供給状況に応じて、空圧式幅寄せ部の吹出しを制御可能にする請求項5に記載の物品取扱い装置。
【請求項7】
前記幅寄せ装置が搬送装置の幅方向に沿う一部に固定配置されるベルトコンベヤ式幅寄せ部を有してなる請求項1又は4に記載の物品取扱い装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品取扱い装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品供給ラインで、物品を供給してくる搬送装置の物品供給方向に沿って複数台のピックアンドプレイス装置を配置し、各ピックアンドプレイス装置に供給されてきた物品を当該ピックアンドプレイス装置によりピックして排出先へプレイスするものがある。
【0003】
特許文献1に記載の物品取扱い装置では、複数台のピッカー(ピックアンドプレイス装置)が搬送コンベヤ(搬送装置)による個別製品(物品)の搬送方向に沿って順に配置され、各ピッカーに供給されてきた個別製品を当該ピッカーによりピックし、排出先である容器にプレイスすることとしている。この物品取扱い装置では、個別製品の搬送コンベヤの搬送方向と容器の搬送コンベヤの搬送方向を逆方向、かつ互いに平行をなす方向に設定し、これによって各ピッカーによるピック作業とプレイス作業の処理量(ピックアンドプレイス能力)の均等化を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-218104
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、物品を供給してくる搬送装置の物品供給方向に沿って配置されるピックアンドプレイス装置への搬送装置による物品の供給は、ピックアンドプレイス装置のピックアンドプレイス能力の低下を防ぐために、物品を不足することなく適切な量でピックアンドプレイス装置へ向けて供給する必要がある。また、ピックアンドプレイス装置によりピックされる物品の搬送装置上での位置、姿勢を画像処理装置で正しく認識したり、画像処理後のぶつかり合い等による不測の位置ずれを防ぐために、物品が絡み合うことなく分散して供給する必要がある。
【0006】
従って、例えば上流側の1台のピックアンドプレイス装置が搬送装置上に設定したピック設定範囲(ピックすることを決定した範囲)R1への物品1(例えばディップチューブ付トリガーキャップ)の適正な供給は、図14(A)に示す如くになされることにより、当該ピックアンドプレイス装置のピック時における当該ピックアンドプレイス装置への物品の供給が不足することなく、かつ絡み合うことなく分散供給されるものになる。即ち、図14では、搬送装置が1秒間に距離x移動するものとし、ピック設定範囲R1の長さx、ピック設定範囲R1の区間aとその上流の区間b、c、dの長さをxとし、ピックアンドプレイス装置のピックアンドプレイス能力は1個/秒とする。図14(A)によれば、ピックアンドプレイス装置に物品を供給する長区間a〜b〜c〜dにおける供給量の変動が小さく、各短区間a、b、c、dにおける供給量の変動も小さいから、ピックアンドプレイス装置への物品の供給が長時間的にも瞬間的にも不足しない。また、各区間a、b、c、dにおいて物品同士が接触せず、分散供給されている。
【0007】
しかるに、特許文献1に記載の如くの複数台のピックアンドプレイス装置への物品1の供給では、上流側のピックアンドプレイス装置が図14(A)に示した状態で供給されてくる物品1をピックしたとき、下流側のピックアンドプレイス装置への物品1の供給状態は図14(B)の如くになって、一見、下流側のピックアンドプレイス装置も最大のピックアンドプレイス能力を発揮できると考えがちである。
【0008】
しかしながら、図14(B)においては、下流側のピックアンドプレイス装置が搬送装置上に設定したピック設定範囲R2の区間aの物品1aと、区間bの物品1bの距離(両物品のピックされる位置の搬送方向間距離、本例では両ディップチューブ付トリガーキャップの本体の搬送方向間距離)yは、距離xを越えている。本例では、この距離yは、下流側のピックアンドプレイス装置の1個処理時間(1秒)に対応する移動距離(搬送装置は1秒間に距離x移動)を越えている。即ち、距離の差(y−x)に対応する時間は、下流側のピックアンドプレイス装置の待ち時間となり、下流側のピックアンドプレイス装置は最大のピックアンドプレイス能力を発揮できない。
【0009】
他方、下流側のピックアンドプレイス装置も最大のピックアンドプレイス能力を発揮できるように、上流側のピックアンドプレイス装置に図14(C)に示す如くの多量の物品1を供給すると、搬送装置上の各区間a、b、c、dで物品が確実に分散されず、物品が互いに接触し易くなり、画像処理装置の認識率の低下、物品の位置ずれによるピックの失敗、物品の絡み合いによるつまりトラブル等を生じ易い。即ち、物品を下流側のピックアンドプレイス装置に適した量で供給すると、上流側のピックアンドプレイス装置には供給過多になってしまう。従って、上流側から下流側までの複数台のピックアンドプレイス装置のそれぞれが共に最大のピックアンドプレイス能力を発揮できない。
【0010】
本発明の課題は、上流側から下流側までの複数台のピックアンドプレイス装置の全てにおいて、各ピックアンドプレイス装置のピック時における当該ピックアンドプレイス装置への物品の供給を不足させることなく、かつ分散供給することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、物品を供給してくる搬送装置の物品供給方向に沿って複数台のピックアンドプレイス装置を順に配置し、各ピックアンドプレイス装置毎に搬送装置上に設定した各ピック設定範囲のそれぞれから、各ピックアンドプレイス装置により物品をピックする物品取扱い装置であって、上流側のピックアンドプレイス装置によってピックされずに下流側のピックアンドプレイス装置に向けて搬送されてくる搬送装置上の物品のうち、下流側のピックアンドプレイス装置のピック設定範囲から外れる位置にある搬送経路上の物品に対し、上流側のピックアンドプレイス装置のピック設定範囲と下流側のピックアンドプレイス装置のピック設定範囲の間で、該物品が下流側のピックアンドプレイス装置のピック設定範囲に向かう搬送経路に入るように該物品を搬送装置の物品供給方向に直交する幅方向に変位させる幅寄せ装置を設けてなるようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上流側から下流側まで数台のピックアンドプレイス装置の全てにおいて、各ピックアンドプレイス装置のピック時における当該ピックアンドプレイス装置への物品の供給を不足させることなく、かつ分散供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は実施例1の物品取扱い装置を示す平面図である。
図2図2は実施例1の物品取扱い装置を示す正面図である。
図3図3図1の要部拡大図である。
図4図4は幅寄せ装置を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
図5図5は物品取扱い装置を示す平面図である。
図6図6は物品取扱い装置を示す平面図である。
図7図7は実施例2の物品取扱い装置を示す平面図である。
図8図8は実施例2の物品取扱い装置を示す正面図である。
図9図9は実施例3の物品取扱い装置を示す平面図である。
図10図10はピックアンドプレイス装置の動作を示す側面図である。
図11図11はピックアンドプレイス装置の取扱い対象物品例を示す模式図である。
図12図12は物品取扱い装置の取扱い対象物品例を示す模式図である。
図13図13は物品取扱い装置の取扱い対象物品例を示す模式図である。
図14図14はピックアンドプレイス装置に対する物品の供給状態を示す模式図である。
図15図15は物品取扱い装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例1)(図1図6図15)
図1図2に示す実施例1の物品取扱い装置100は、多数の物品1を供給してくる供給用搬送装置10の物品供給方向に沿う上流側から下流側までの各位置のそれぞれに、複数台のピックアンドプレイス装置30(本実施例では第1〜第3の3台のピックアンドプレイス装置31〜33)を順に配置している。各ピックアンドプレイス装置の上流には、画像処理装置50へ画像情報を伝えるカメラ51が設置されている。各ピックアンドプレイス装置30は、ピックした物品1を排出用搬送装置20にプレイスする。従って、各ピックアンドプレイス装置30は、各ピックアンドプレイス装置30毎に供給用搬送装置10上に設定した各ピック設定範囲Rのそれぞれから物品1をピックし、この物品1を排出用搬送装置20にプレイスする。
【0015】
このとき、図1において、Tは搬送装置10に沿って配置されたピックアンドプレイス装置30が物品1をピックし得るピック可能範囲、Sはピックアンドプレイス装置30がシリアルタイプスカラーロボットであるときの第1軸の回転中心、Rはピックアンドプレイス装置30が物品1をピックすることの決定をしたピック設定範囲である。Vは、スカラーロボットの第1軸の回転中心に近く、各軸の急激な角度変化を伴ってピック困難となる範囲V1と、Tの範囲においてV1を搬送方向に延長した、ピックアンドプレイス装置30が物品1をピックしないことの決定をした範囲である。Tの範囲において、Wはスカラーロボットの第1軸の回転中心から遠く、物品1の排出用搬送装置20へのプレイスまでの距離が長く、わずかでも移動時間が長くなるから、ピックアンドプレイス装置30が物品1をピックしないことの決定をした範囲である。そして、搬送装置10の物品供給方向に直交する幅方向において、Aは搬送装置10上でピック設定範囲Rに向けて物品1を搬送する搬送経路、Bは搬送装置10上で範囲Vに対応し、搬送経路Aに隣接して搬送装置20の側に位置する搬送経路、Cは搬送装置10上で範囲Wに対応し、搬送経路Aに隣接して搬送装置20の反対側に位置する搬送経路を示す。
【0016】
物品取扱い装置100にあっては、上流側のピックアンドプレイス装置30U(本実施例では第1と第2のピックアンドプレイス装置31、32)によってピックされずに下流側のピックアンドプレイス装置30D(本実施例では第3ピックアンドプレイス装置33)に向けて搬送されてくる搬送装置10上の、上流側のピックアンドプレイス装置と下流側のピックアンドプレイス装置の間にある物品1のうち、搬送装置10の物品供給方向に直交する幅方向において下流側のピックアンドプレイス装置30Dのピック設定範囲Rに向かう幅に入っておらず、そのまま搬送されればピック設定範囲Rから外れることとなる搬送経路B、C上の物品1に対し、上流側のピックアンドプレイス装置30Uのピック設定範囲Rと下流側のピックアンドプレイス装置30Dのピック設定範囲Rの間で、物品1が下流側のピックアンドプレイス装置30Dのピック設定範囲Rに向かう搬送経路Aに入るように物品1を搬送装置10の上記幅方向に変位させる幅寄せ装置40を設けている。
【0017】
幅寄せ装置40を有さない場合、搬送装置10の物品供給方向に沿って、直列に複数台のピックアンドプレイス装置30のピック設定範囲Rが配置されている物品取扱い装置100においては、各ピックアンドプレイス装置30への物品1の供給のバランスを最適化することが困難である。
【0018】
上流側のピックアンドプレイス装置30Uに供給される物品1が個数不足にならず、かつ適度に分散された供給状態では、当然のことながら上流側のピックアンドプレイス装置30Uは最大のピックアンドプレイス能力を発揮する。このとき、上流側のピックアンドプレイス装置30Uが多くの物品1をピックすると、通常は下流側のピックアンドプレイス装置30Dは物品の不足を生じて能力低下となってしまう。これに対し、幅寄せ装置40によれば、上流側のピックアンドプレイス装置30Uを通過した物品1を搬送装置10の幅方向に変移させ、下流側のピックアンドプレイス装置30Dのピック設定範囲Rに物品を送り込み補充するため、下流側のピックアンドプレイス装置30Dが物品不足になって能力が低下してしまうことを防止できる。幅寄せ装置40で物品1の供給状態が変化するため、幅寄せ構装置40の下流側のピックアンドプレイス装置30Dの上流には、画像処理装置50へ画像情報を伝えるカメラ51の設置が必要である。
【0019】
一方、下流側のピックアンドプレイス装置30Dが物品不足にならないように、上流側のピックアンドプレイス装置30Uに多量の物品1を供給すると、上流側のピックアンドプレイス装置30Uでは、物品1同士が近接したり重なったりする。
【0020】
物品1同士が近接したり重なったりすると、画像処理装置50の認識率が当然に低下する。また、ピック時に物品1同士が接触して位置ずれしてしまうことで、物品1の位置が画像処理装置50による位置情報と異なるものとなってピックが失敗したり、ピックされた物品1が他の物品1を突き飛ばし、物品1の詰まりトラブル等を引き起こしてしまう。
【0021】
幅寄せ装置40によれば、上流側のピックアンドプレイス装置30U及び下流側のピックアンドブレイス装置30Dの全てに、最適な供給状態で物品1を供給でき、これらのトラブルを防止できる。即ち、幅寄せ装置40によって、搬送装置10の物品供給方向に沿って、直列に複数台のピックアンドプレイス装置30のピック設定範囲が配置されている物品取扱い装置100において、全てのピックアンドプレイス装置30が最大能力を発揮することができる。
【0022】
物品取扱い装置100が取扱う物品1は特に限定されないが、例えばディップチューブ付ポンプキャップ、ディップチューブ付トリガーキャップ、キャップ(ねじ込み式、打ち込み式)、ボトル、中空成形品、樹脂成形品等が挙げられる。特に、ピックアンドプレイス装置30のピック設定範囲Rに対してサイズが大きい物品や軽い物品の取扱いに適している。サイズが大きい物品は、搬送装置10上のピック設定範囲を一定の時間に通過する物品1の個数が、サイズが小さい物品と比較して少なくなるため、通常の方法では各ピックアンドプレイス装置30への供給のバランスを最適化することが不可能となる場合が多く、全てのピックアンドプレイス装置30が最大能力を発揮することが困難なためである。また、軽い物品1の方が搬送装置10上にて移動させ易く、幅寄せ装置40による幅寄せが容易である。図1図2ではディップチューブ付ポンプキャップを例示している。
【0023】
供給用搬送装置10は、特に限定されないが、幅寄せ装置40による物品1の幅寄せが容易なベルトコンベヤが最適である。搬送面の表面が樹脂であるトップチェーンコンベヤも好適である。特にベルトコンベヤのベルト表面等搬送面の材質は物品1の幅寄せが容易となるように、やや滑り性の良いものが適している。あまりに滑りが良すぎると幅寄せのときに、物品1の移動が大きくなり過ぎることがあるから、物品1の形状や材質、物品1とベルト等の搬送面の摩擦状態によって適宜選定される。物品1が、断面が円形の容器等の転がり易い物品1である場合には、転がりを防止するために、ベルト等の搬送面はやや滑り性の悪いものを選定することが良い場合もある。この場合には、例えば表面の凹凸がある形状や、高分子ゲル材料、粘着性の高い合成及び天然ゴム材料等が採用される。
【0024】
供給用搬送装置10の搬送速度は、物品1のサイズや後述する画像処理装置50の性能に応じて適宜設定される。ピックアンドプレイス装置30がピックできる能力に対して供給速度が大き過ぎると、ピックできない物品の比率が増える。その物品は再度供給部に戻されることが一般的であるため、搬送装置10を何度も循環する物品の比率が増加し、物品1の表面が傷付いたり、物品1が変形してしまう危険性がある。逆に供給速度が小さ過ぎると、ピックアンドプレイス装置30への物品1の供給が不足し、能力が低下してしまう。搬送装置10の搬送速度は、一般には、5〜40m/min程度である。ピックアンドプレイス装置30が物品1をピックできる領域に対して物品1の大きさが小さいときには、ピックできない物品の比率を増やさないように、即ち循環する物品の比率を低減させるため、また画像処理精度を高めピック位置精度の向上のため、5〜15m/min程度と低速にすると良い。ピックアンドプレイス装置30のピック設定範囲Rに対して物品1のサイズが大きいときには、ピックアンドプレイス装置30への物品1の供給が不足しないように、10〜40m/minと高速にする。ここでいうピックアンドプレイス装置30のピック設定範囲Rに対して物品1のサイズが小さいときとは、ピックアンドプレイス装置30のピック設定範囲Rに物品1が存在できる個数が、5〜10個程度以上のものを指す。また、ピックアンドプレイス装置30のピック設定範囲Rに対して物品1のサイズが大きいときとは、ピックアンドプレイス装置30のピック設定範囲Rに物品1が存在できる個数が5〜10個程度以下のものを指す。尚、将来的に、ピックアンドプレイス装置30である例えばロボットの動作速度向上や位置精度向上、画像処理装置50の処理速度向上や位置精度向上が進むと、物品1の供給速度は、上述の速度範囲の速い領域が一般的になると予測され、更には、上述の速度範囲を超えるところでもピックアンド処理可能になることが考えられる。搬送装置10は、連続走行運転に限らず、例えばピック時は一時停止する等の間欠走行運転でも良い。
【0025】
ピックアンドプレイス装置30としては、カムやリンク機構、エアー式や電動式の直線シリンダーを組合わせる等の同一の動作を繰り返す機械式のピックアンドプレイス装置、毎回同じ動作を繰り返すロボット、又は、与えられた情報に基づいて毎回のピックアンドプレイス動作を変化させることが可能なロボット等が使用される。ピックアンドプレイス装置30は、搬送装置10の物品供給方向に沿って、複数台配置される。複数台のピックアンドプレイス装置30は、一般には搬送装置10の物品供給方向に直交する方向に沿う左右の設置位置を概ね同一位置とするが、若干ずらしても良い。複数台のピックアンドプレイス装置30は、一般には概ね同一方式の装置が用いられるが、異なる方式のものを混在して用いても良い。
【0026】
機械式のピックアンドプレイス装置30の場合、その動作は、機械式のピックアンドプレイス装置の上流に設けられた物品1の有無を検知する物品検知装置の検知結果に基づいて行なわれる。物品検知装置の検知方式は限定されないが、例えば、光学式、磁気式、渦電流式、超音波式等の物品1の有無や物品1までの距離を検出するセンサが使用される。
【0027】
ピックアンドプレイス装置30がロボットの場合、特に限定されないが、シリアルタイプの垂直多関節ロボット及びスカラーロボット等、パラレルリンクタイプのロボット等が選定される。ロボットの据付けは特に限定されないが、物品1の供給や排出を妨げないように、壁掛けや天井に設けた支持フレームFからの吊下げ(壁掛け式、天吊り式とも言う)が好ましい。ロボットの自由度は、空間の位置決め3軸と所望の方向にするための1軸を有する、最低でも4自由度が必要であり、通常は4〜7軸の自由度を有すものが選定される。
【0028】
ピックアンドプレイス装置30の先端には、エンドエフェクタeと呼ばれる物品把持装置を備えている。物品把持方法は特に限定されないが、一例として、バキュームパッド、エア式開閉チャック、電動式開閉チャック、磁石等が挙げられる。この中でも特に、バキュームパッドはピックの際に物品1を把持する時間が短く、ピックアンドプレイス処理時間が短縮できて高能力のピックアンド処理が可能となる。エア式開閉チャック、電動式開閉チャックは、物品1にバキュームパッドで吸着可能な平面が無かったり狭かったりするときに使用する。特に、電動式開閉チャックは物品1の形状に応じた開閉距離の設定が容易であるため、形状や大きさの異なる物品1を扱うときに適している。
【0029】
ピックアンドプレイス装置30は、物品1を把持し、その方向を所望する方向に整列する。所望する方向は、水平、垂直、斜め等の任意の方向とされる。ピックアンドプレイス装置30は、搬送装置10上の物品1の高さ(図2のh)を超える高さまで物品1を上昇させ、水平移動しながら物品1の方向を整えて排出用搬送装置20の上空まで移動し、物品1を下降させて搬送装置20上に該物品1をプレイスする。排出用搬送装置20は連続走行運転に限らず、間欠走行運転でも良い。従って、物品1をプレイスするとき、排出用搬送装置20は動いていても良いし、一時停止しても良い。物品1をプレイスするとき、搬送装置20は動いている方が、処理能力を高くすることができて好ましい。ピック&プレイス装置のプレイス精度が高くない際には、物品1をプレイスするとき、排出用搬送装置20は一時停止している方が、プレイスミスの防止となって好ましい。
【0030】
ピックアンドプレイス装置30の1サイクル時間は、0.2〜3.0sec程度である。例えばパラレルリンクロボットやスカラーロボットの4自由度タイプでは、0.2〜1.5sec程度と短時間で処理が行なわれるが、自由度が少ないので物品1の整列方向は限定される。シリアルリンクタイプの垂直多関節ロボットの6自由度タイプでは、1.5〜3.0sec程度と時間は長くなるが、自由度が大きいため、任意の方向に物品1を整列できる。
【0031】
本実施例では、前述した如く、第1〜第3の3台のシリアルタイプのスカラーロボット(垂直多関節ロボットでも可)からなるピックアンドプレイス装置30(31〜33)が用いられる。
【0032】
ピックアンドプレイス装置30を構成するロボットの動作は、ロボットの上流に設置された物品1の位置や方向の情報を検知可能な装置の検知結果に基づいて行なわれる。検知可能な装置は特に限定されないが、例えば、画像処理装置50と、搬送装置10の移動状態を検知するセンサ60の組合せ使用、又は画像処理装置50の単独使用等が挙げられる。
【0033】
画像処理装置50と、搬送装置10の移動状態を検知するセンサ60の組合せにおいて用いられるセンサ60の例としては、ロータリーエンコーダ61が挙げられる。ロータリーエンコーダ61は搬送装置10の駆動軸や従動軸に連結設置され、或いは、搬送装置10がベルトコンベヤの場合にはそのベルト表面に接触して回転するローラに連結設置される。連結設置されることで、搬送装置10の駆動軸や従動軸、或いはローラからエンコーダー61の回転軸へと、軸回転の加速伝達、等速伝達、減速伝達等が行なわれる。ロボットの上流に設置されたカメラ51は搬送中の動いている物品1を撮影し、その画像検知範囲P1内から得られる情報を処理する画像処理装置50により、搬送装置10による搬送中の物品1の位置や方向を認識し、更に、ロータリーエンコーダ61によって搬送装置10の移動状態を把握することで、ロボットがピックするときの物品1の位置と方向が演算装置70にて計算され、ロボットはその計算結果に基づいて、搬送装置10上の動き、或いは停止している物品1のピックを行なう。
【0034】
画像処理装置50を単独で使用する代表例の第1は、ロボットのエンドエフェクタeと呼ばれる物品把持装置近傍にカメラ51を設けるものである。撮影時、搬送装置10は動いていても一時停止していても良い。カメラ51から得られる情報を処理する画像処理装置50で物品1の位置や方向を認識し、更にロボットの姿勢情報と併せて、ロボットがピックするときの物品1の位置と方向が演算装置70にて計算され、その計算結果に基づいて、ロボットは搬送装置10上の動き、或いは停止している物品1のピックを行なう。
【0035】
画像処理装置50を単独で使用する代表例の第2は、ロボットが物品1をピックする付近を撮影できるようにカメラ51を設けるものである。撮影及びピック時に搬送装置10は一時停止する。カメラ51から得られる情報を処理する画像処理装置50で物品1の位置や方向を認識し、ロボットはその情報に基づいて停止中の物品1のピックを行なう。ロボットのピック終了後に搬送装置10は一定距離、物品1を搬送した後に一時停止し、繰り返し処理を行なう。
【0036】
この中でも特に、ロボットの上流に設置されたカメラ51が物品を撮影し、画像検知範囲P1内から得られる情報を処理する画像処理装置50で搬送中の物品1の位置や方向を認識し、ロータリーエンコーダ61によって搬送装置10の移動状態を把握することで、ロボットがピックするときの物品の位置と方向の情報が演算装置70にて計算され、その計算結果に基づいてロボットが動いている物品1のピックを行なう方法は、搬送装置10を停止させないため処理能力が高く、近年ではロボットメーカーから基本ソフトウェアが提供されているためロボットの制御も容易で、最も好ましい。
【0037】
排出用搬送装置20は、特に限定されないが、ベルトコンベヤ、桟付コンベヤ、トップチェーンコンベヤ、ローラーコンベヤ等の搬送装置、物品1を一定位置に保持できる搬送袴や搬送パレット等が挙げられる。搬送装置20は単数でも複数であっても良い。また搬送装置20の搬送方向についても、特に限定されない。例えば、搬送装置10と同方向、逆方向、直角方向等があり、高さ方向についても、水平、上昇、下降方向のいずれでも良い。前述した如く、物品1をプレイスするとき、搬送装置20は動いていても、停止していても良い。搬送装置20が動いていると該搬送装置20を停止させる必要がないため、ピックアンドプレイス装置30が高速のときに、ピックアンドプレイス装置30を待たせることなくプレイスでき、高能力となる。搬送装置20が停止していると、物品1をプレイスするときに物品1を安定的に搬送装置20上に移載できるため、物品1の転倒を防止したり、その位置ずれも最小に抑えることができる。
【0038】
幅寄せ装置40は、搬送装置10による搬送中の物品1の流れを幅寄せ部41によって変えるものであり、搬送装置10における物品1の流れ幅(物品1が搬送装置10による搬送中に占めるその幅方向長さ範囲)を狭くするように物品1を幅寄せする。幅寄せ部41は板状、棒状等、任意形状の幅寄せ部材から構成でき、特に限定されるものではないが、搬送装置10の幅方向の片側から所望する幅寄せ位置までの長さ以上を有するものとされる。尚、図1図5図6図7において、搬送装置10上でJは幅寄せ装置40による幅寄せ前の物品流れ幅を示し、Kは幅寄せ装置40による幅寄せ後の物品流れ幅を示す。
【0039】
幅寄せ部41の物品1と接する面が、搬送装置10のコンベヤ面に対する角度γ(図4(B))は、90度以下とする。90度にすると幅寄せ部41の製作が容易で好ましい。90度未満にすると極端に物品の供給量が増えたときに、物品1が幅寄せ部41を乗り越えて詰まりを防止できるので最も好ましい。しかし、γは小さ過ぎて物品1が過度に幅寄せ部41を乗り越えてしまわないように一定以上の大きさとするほうが良い。好ましいγの角度は、60〜85度である。
【0040】
幅寄せ部41の搬送面からの最大高さH(図4(A)、(B))は、搬送装置10上の物品1の高さhと同等以上とされる。搬送装置10上の物品1の高さh以上にすると、物品1を確実に幅寄せでき、詰まりも生じないことから好ましい。通常は、搬送装置10上の物品高さhの1.2〜4倍程度とされる。例えば図11のキャップの場合には、物品1の平面部が通常上向きとなるため、図に示すhが搬送装置10上の物品1の高さとなり、図12のポンプキャップの場合も物品1は通常寝ている状態となるため、図に示すhが搬送装置上の物品1の高さとなる。
【0041】
幅寄せ部41の表面は、物品1の流れを妨げて詰まりの発生が生じないように、滑りの良い表面状態であることが好ましい。材質は特に限定されないが、滑りの良い表面である材質が選定される。例えば、磨き加工された金属板、フッ素等の滑り性を良くするコーティングやメッキ処理がなされた金属板、超高分子ポリエチレン等の滑りの良い樹脂材料、滑り性向上のためナノレベルで微細加工された金属板等が採用される。超高分子ポリエチレン等の滑り性の良いテープを貼っても良い。幅寄せ部41の物品1と接する側の上方から見た形状は、図1の如くの直線でも、又は曲線をなすものでも良く、物品1の流れ方に応じて、適宜最適化すると良い。
【0042】
幅寄せ部41が物品1と接触するときの角度(図3のα)は、小さい方が物品を詰まらせることなく幅寄せが可能であるが、小さ過ぎると搬送方向に沿う長さが長くなって幅寄せ部41の設置スペースが大きくなるため、αは20〜60度、好ましくは30〜45度とされる。
【0043】
幅寄せ部41と搬送装置10の搬送面(ベルト表面)との隙間は、物品1が挟まって詰まることがないように最小の間隔とされている。幅寄せ部41が搬送装置10の搬送面と接触すると搬送面を傷めるため、例えばその隙間は1〜3mm程度とされる。物品1の詰まりの心配がなければ、隙間は更に大きくしても良い。
【0044】
幅寄せ装置40は、図3に示す固定式幅寄せ装置40Aの如く、搬送装置10の幅方向に沿う一部に固定配置される固定式幅寄せ部41Aを有するものでも良いし、図3図5に示す可動式幅寄せ装置40B、40Cの如く、搬送装置10の幅方向に沿って進退する可動式幅寄せ部41B、41Cを有するものでも良い。
【0045】
可動式幅寄せ装置40Bは、図3に示す如く、駆動部42により回転駆動される幅寄せ部41Bを前進位置(図3の実線)と後退位置(図3の破線)の間でスイングされる。駆動部42による回転動作は、例えば電気式やエアー式駆動装置により行なわれる。
【0046】
可動式幅寄せ装置40Cは、図5に示す如く、搬送装置10の物品供給方向に対して角度βをなす前後動作方向において、駆動部43により幅寄せ部41Cを前進位置(図5の実線)と後退位置(図5の破線)の間で直線移動される。βは90度又は90度より小さくされる。βは90度以下とする方が、物品1の流れを妨げにくいのでより好ましい。βは小さ過ぎても、幅寄せ部41Cの移動スペースが大きくなってしまうから、60〜85度程度が特に好ましい。幅寄せ部41Cが搬送装置10の物品供給方向と直交する方向に移動する距離をストロークStとすると、ストロークStは特に限定されないが、例えば物品1の最大長さ程度又はそれ以下とすると物品1の詰まりを確実に防止することができる。好ましくは、物品1の最大長さの50〜110%程度である。物品1が詰まりにくい形状の場合には、例えば物品1の最大長さの1.1〜10倍程度に設定しても良い。幅寄せ部41Cの可動の動作タイミングは特に限定されないが、例えば、ピックアンドプレイス装置30が低能力である際は「2秒間前進位置と2秒間後退位置を繰り返す」と前進位置を短くする。また、ピックアンドプレイス装置30が高能力である際は「10秒間前進位置、2秒間後退位置」と前進位置を長くするといったタイミングで動作する。前後動作は、例えば電気式やエアー式の駆動装置にて行なわれる。
【0047】
尚、図5に示した物品取扱い装置100では、ピックアンドプレイス装置30のピック可能範囲Tが搬送装置10の搬送面上に占める範囲を、ピックアンドプレイス装置30のピック設定範囲Rとする。また、搬送装置10上における排出用搬送装置20寄り部分を物品1がピックアンドプレイス装置30のピック設定範囲Rに向けて搬送される搬送経路Aとし、搬送装置10上で搬送経路Aに隣接するとともに、排出用搬送装置20と反対側に位置する部分をピックアンドプレイス装置30が物品1をピックできない範囲に対応する搬送経路Dとする。
【0048】
可動式幅寄せ装置40B、40Cでは、上流側のピックアンドプレイス装置30Uから下流側のピックアンドプレイス装置30Dに向けて搬送されてくる物品1の供給量等の供給状況に応じて、幅寄せ部41B、41Cの前進位置と後退位置を制御する。図3図5に示す如く、幅寄せ装置40B、40Cより上流側のピックアンドプレイス装置30Uが物品1をピックする搬送経路A内の幅方向に並置される複数のスポットセンサ80(検出部に幅があり、検知対象がその幅のなかに存在すれば検知可能なセンサ等でも可)を設置する。このスポットセンサ80が物品1を検知したときには、幅寄せ部材41B、41Cを後退位置として、下流側のピックアンドプレイス装置30Dへ向かう物品1の流れを変化させず、この物品1よりも先行する物品1が幅寄せ部41B、41Cによって流れを変化されてこの物品1に接触したり絡まったりすることを防止する。逆に、このスポットセンサ80が物品1を検知していないときは、幅寄せ部41B、41Cを前進位置として上流側のピックアンドプレイス装置と下流側のピックアンドプレイス装置の間にある物品1の流れを変化させ、幅寄せ部41B、41Cによって流れを変化された物品1が後続する他の物品1に接触したり絡まったりすることなく、下流側のピックアンドプレイス装置30Dがピックできるような物品供給とする。幅寄せ部41B、41Cの前進と後退の動作のタイミングは、「スポットセンサ80の検出位置から幅寄せ部41B、41Cまでの搬送方向の距離」と「搬送装置10の移動速度」に応じて、微調整される。
【0049】
幅寄せ装置40として、図6に示す如く、エアーノズルからなる空圧式幅寄せ部41Dを備えた空圧式幅寄せ装置40Dを用いることもできる。幅寄せ部41Dを構成するエアーノズルの配置、本数、エアーによる打撃力は、適度に物品1の幅寄せを行なえるように適宜調整される。例えば図6に示す複数のノズルn1、n2、n3のエアー吹出口を徐々に搬送装置10の幅方向中央部に寄せる配置とすると、少ないエアーで、しかも確実に物品1を目標の流れ位置まで変化させることができる。また、エアーによる幅寄せを行なうときには、搬送装置10の搬送面を滑り易い素材にする方が、物品1の幅寄せを容易に行なうことができて好ましい。幅寄せ装置40Dのエアーによる幅寄せも上述のスポットセンサ80と同様のセンサを用いて、幅寄せ部41D(エアーノズルn1、n2、n3)のエアー吹き出し動作を物品1の供給量に応じて制御することができる。尚、図6において、T、R、A、Dは図5におけると同様である。
【0050】
幅寄せ装置40として、図15に示す如く、ベルトコンベヤ411による幅寄せ部41Eを備えたベルトコンベヤ式の幅寄せ装置40Eを用いることもできる。ベルトコンベヤ式とし、物品1の搬送方向の下流側に向けて、即ち矢印で示す押出し方向にベルトコンベヤ411の搬送側面41Fが動くように構成することで、物品1を幅寄せしながら同時に、確実に搬送方向に押し出すことができるので、幅寄せ装置40における詰まり発生トラブルを防止することができる。ベルトコンベヤ式幅寄せ装置40Eは、そのベルト面41Fが、供給用搬送装置10のベルト面に対して、概ね垂直になるように設置される。
【0051】
ベルトコンベヤ411の搬送側面41Fの高さ、即ち、ベルトコンベヤ411が物品1に接触する面である搬送側面41Fの幅は、物品1が確実にベルトコンベヤ411の搬送側面41Fに触れるように、また、ベルトコンベヤ式の幅寄せ装置40Eが高くなってピックアンドプレイス装置の動作の妨げとならないように、好ましくは、供給用搬送装置10上にある物品1の最大高さの1.2〜2.0倍とされる。
【0052】
ベルトコンベヤ411の搬送側面41Fが物品1と接触するときの角度(図15のα1)は、小さい方が物品1を詰まらせることなく幅寄せが可能であるが、小さ過ぎると搬送方向に沿う長さが長くなってベルトコンベヤ式幅寄せ装置40Eの設置スペースが大きくなるため、α1は20〜60度、好ましくは30〜45度とされる。
【0053】
ベルトコンベヤ式幅寄せ装置40Eの搬送側面41Fと供給用搬送装置10のベルト面の隙間は、物品1の最小サイズよりも小さくすることで、物品1が隙間に挟まれることを防止できる。更に、ベルトコンベヤ式幅寄せ装置40Eの搬送側面41Fと供給用搬送装置10のベルト面の隙間は、1〜5mm程度と小さくすることで、ベルトコンベヤ式幅寄せ装置40Eの搬送側面41Fが確実に物品1に作用して、物品1を幅寄せすることができる。また、ベルトコンベヤ411の搬送側面41Fは、ベルトコンベヤ式幅寄せ装置40Eの図示しないフレームの下側位置と概ね一致することが、物品1がフレームと擦れて傷が付いたり、フレームと搬送側面41Fとの間に物品1が挟まるようなトラブルを防止できて好ましい。
【0054】
ベルトコンベヤ式幅寄せ装置40Eに用いるベルトの物品1に接触する面、即ちベルト表面の材質は特に限定されないが、物品1との摩擦係数が大きく、グリップ力の高い材質のほうが、大量に物品1が搬送された場合でも、物品1を確実に幅寄せして搬送方向に押し出せるので、詰まりの発生を更に防止できて好ましい。
【0055】
ベルトコンベヤ式幅寄せ装置40Eの供給用搬送装置10の搬送方向への速度成分は、供給用搬送装置10の搬送速度と概ね一致するようにすると、物品1が供給用搬送装置10の上で供給用搬送装置10の搬送方向において滑らず、供給用搬送装置10との間で搬送方向への無用な力が加わることがないので、物品1が転がることを防止する等できて、より安定的に物品1を幅寄せすることができる。即ち、ベルトコンベヤ式幅寄せ装置40Eの供給用搬送装置の搬送速度をv1、供給用搬送装置10の搬送速度をvとすると、概ねv1=v/cos(α1)に調整され、ベルトコンベヤ式幅寄せ装置40Eの供給用搬送装置の搬送送度v1は、供給用搬送装置10の搬送速度vよりも(1/cos(α1))倍程度速くなる。
【0056】
ベルトコンベヤ式幅寄せ装置40Eは、前述の図3に示す如く、駆動部42により回転駆動される幅寄せ部41Bを前進位置(図3の実線)と後退位置(図3の破線)の間でスイングしても良い。また、前述の図5の如く、駆動部43により幅寄せ部41Cを前進位置(図5の実線)と後退位置(図5の破線)の間で直線移動されるように設置されても良い。前進位置と後退位置の制御については、前述と同様に、上流側のピックアンドプレイス装置30Uから下流側のピックアンドプレイス装置30Dに向けて搬送されてくる物品1の供給量等の供給状況に応じて、ベルトコンベヤ式幅寄せ装置40Eの前進位置と後退位置が制御される。
【0057】
以下、図1図3に示した物品取扱い装置100の具体例について説明する。
物品取扱い装置100は、供給用搬送装置10において第1、第2のピックアンドプレイス装置31、32が物品1のピックを行なうと設定したピック設定範囲Rに対応する搬送経路Aと、搬送経路A以外の搬送経路B、Cに物品を供給し、搬送経路B、C上の物品1を、第2ピックアンドプレイス装置32(上流側のピックアンドプレイス装置30U)とその下流の第3ピックアンドプレイス装置33(下流側のピックアンドプレイス装置30D)の間に設けた幅寄せ装置40(40A、40B)によって、第3のピックアンドプレイス装置33(下流側のピックアンドプレイス装置30D)のピック設定範囲Rに物品1の流れを変える。上流側のピックアンドプレイス装置30Uと下流側のピックアンドプレイス装置30Dの間で、搬送経路Cには固定式幅寄せ装置40Aが設置され、搬送経路Bには可動式幅寄せ装置40Bが設置される。また、ピックアンドプレイス装置30を構成する本例のスカラーロボットは4自由度を有している。3自由度で平面位置と垂直位置を定め、残りの1自由度で物品1を回転させて方向を定めることが可能である。ピックアンドプレイス装置30の先端にあるエンドエフェクタeには開閉式チャックが備えられており、搬送装置10上のピック位置にて物品1をチャックが把持し、上昇、平行移動、下降して、チャックが解放する物品1を排出用搬送装置20にプレイスする。
【0058】
(1)第1、第2のピックアンドプレイス装置31、32は、その上流に設置されたカメラ51が、搬送装置10による搬送によって動いている物品1を撮影し、この画像検知範囲Tから得られる情報を処理する画像処理装置50が、その物品1の位置や方向を認識し、更に、ロータリーエンコーダ61によって搬送装置10の移動状態を把握することで、ピックアンドプレイス装置31、32のロボットがピックする物品1の位置と方向が演算装置70にて計算され、ピックアンドプレイス装置31、32のロボットはその計算結果に基づいて、搬送装置10上のピック設定範囲Rにおいて動き、或いは停止している物品1のピックを行なう。
【0059】
ピックアンドプレイス装置31、32は、搬送装置10上の各ピックアンドプレイス装置31、32に対応するピック設定範囲R内において、下流側に設けた幅寄せ装置40(40A、40B)に近い側の物品1を優先的にピックする。こうすることで、このピック設定範囲Rを通過する物品1が下流に設けた幅寄せ装置40にて幅寄せされる先行物品に接触したり、物品形状によっては絡み合ったりすることを防止できる。物品1が接触してしまったり絡み合ったりすると、第2のピックアンドプレイス装置32の下流に設置したカメラ51に撮影される物品1の認識率が低下する。また、幅寄せ装置40により幅寄せされた物品1を第3のピックアンドプレイス装置33がピックするときに、それらの接触したり絡み合った物品1が飛ばされて、思いもかけないところで詰まり等のトラブルを引き起こすことがある。
【0060】
(2)第1、第2のピックアンドプレイス装置31、32は、ピックした物品1の方向を整列し、排出用搬送装置20上にプレイスする。本例ではポンプキャップのノズル部が先行する方向に整列している。このとき、下流のピックアンドプレイス装置33が後続する物品1を容易にプレイスできるように、搬送装置20上での先後の物品間隔は、物品1の長さ以上になるようにプレイスされることが好ましい。間隔をある程度以上にすることで、広い領域にプレイスできるので下流のピックアンドプレイス装置33のプレイスは容易になるし、ある程度以下にすることで、搬送装置20に物品1を高密度に並べることができて高能力となる。例えば3台のピックアンドプレイス装置31からなる場合は、第1のピックアンドプレイス装置31によってなされる物品間隔は、その物品間に下流の2台のピックアンドプレイス装置32、33が後続の物品1をプレイスできるように、物品長さの205〜250%程度とすることが好ましい。第2のピックアンドプレイス装置32によってなされる物品間隔は、その物品間に下流の1台のピックアンドプレイス装置33がプレイスできるように、物品長さの105〜150%程度とすることが好ましい。
【0061】
(3)第1、第2のピックアンドプレイス装置31、32がピックしない範囲V、Wを通過した物品1について、幅寄せ装置40(40A、40B)によって、それらの下流の第3のピックアンドプレイス装置33のピック設定範囲Rに向かう搬送経路Aに入れるようにその流れを変え、物品1の流れ幅を狭くする。固定式幅寄せ装置40Aは常に上流側のピックアンドプレイス装置と下流側のピックアンドプレイス装置の間にある物品1の幅寄せを行ない、可動式幅寄せ装置40Bは、スポットセンサ80からの情報に基づき動作する。スポットセンサ80が物品1を検知した場合には、幅寄せ部41Bを後退位置として物品1の流れを変化させず、幅寄せ部41Bによって流れの変化した先行物品がスポットセンサ80によって検知された後続物品に接触したり絡まったりすることを防止する。このスポットセンサ80が物品1を検知していない場合には、幅寄せ部41Bを前進位置として物品1の流れを変化させ、下流のピックアンドプレイス装置33がピックできるような物品供給とする。
【0062】
(4)第3のピックアンドプレイス装置33は、その上流に設置されたカメラ51が搬送装置10による搬送によって動いている物品1を撮影し、その画像検知範囲P内から得られる情報を処理する画像処理装置50によって搬送中の物品1の位置や方向を認識し、更に、ロータリーエンコーダ61によって搬送装置10の移動状態を把握することで、ピックアンドプレイス装置33のロボットがピックするときの物品1の位置と方向が演算装置にて計算され、ピックアンドプレイス装置33のロボットはその計算結果に基づいて、動き、或いは停止している物品1のピックを行なう。カメラ51が撮影する位置は、幅寄せによって撮影中の物品1の位置が変化することを防止するため、幅寄せ装置40(40A、40B)よりも下流側に定める。
【0063】
(5)第3のピックアンドプレイス装置33は、ピックした物品1の方向を整列し、排出用搬送装置20上にプレイスする。本例ではポンプキャップのノズル部が先行する方向に整列している。このとき、第1、第2のピックアンドプレイス装置31、32によってプレイス済の物品1の間に、物品1をプレイスする。このようにして、搬送装置20に物品1を高密度も並べることができる。搬送装置20上で物品1の間にプレイスする方法は特に限定されないが、例えば、不図示のセンサやカメラで搬送装置20上の物品1の有無を確認してプレイスする方法、搬送装置20のコンベヤベルトを仮想的に一定距離間隔に区切ったエリアを想定し、その空き位置にプレイスする方法等が挙げられる。
【0064】
(実施例2)(図7図8
図7図8に示す実施例2の物品取扱い装置100Aが実施例1の物品取扱い装置100と実質的に異なる点は、ピックアンドプレイス装置30に代わるピックアンドプレイス装置130(第1、第2の2台のピックアンドプレイス装置131、132)としてパラレルリンクタイプのロボットを用いたことにある。物品取扱い装置100Aが物品取扱い装置100と実質的に同様な部材には、同一の符号を付すものとする。
【0065】
尚、物品取扱い装置100Aでは、図7に示す如く、ピックアンドプレイス装置130のピック可能範囲Tのうちで、供給用搬送装置10の搬送面上に対応する範囲を、ピックアンドプレイス装置130のピック設定範囲Rとする。また、供給用搬送装置10上の排出用搬送装置20寄り部分を、ピックアンドプレイス装置130のピック設定範囲Rに向けて物品1が搬送される搬送経路Aとし、搬送装置10上で搬送経路Aに隣接するとともに、搬送装置20と反対側に位置する部分をピックアンドプレイス装置130が物品1をピックできない範囲に対応する搬送経路Dとする。
【0066】
物品取扱い装置100Aは、具体的には、多数の物品1を供給してくる搬送装置10の物品供給方向に沿う上流側及び下流側の2位置のそれぞれに、2台のピックアンドプレイス装置131、132を順に配置している。そして、搬送装置10により供給される多数の物品1を、2台のピックアンドプレイス装置131、132でピックし、物品1の方向整列を行ない、排出用搬送装置20にプレイスを行なう。物品1は、上(口部側)及び下(底側)から見ると楕円形状のボトルである。第1のピックアンドプレイス装置131のピック設定範囲Rと、ピックできない範囲のそれぞれに対応する搬送経路A、Dのそれぞれに物品を供給し、搬送経路Dに供給された物品1について、第1のピックアンドプレイス装置131(上流側のピックアンドプレイス装置130U)と下流に設けた第2ピックアンドプレイス装置132(下流側のピックアンドプレイス装置130D)の間に設けた幅寄せ装置40によって、第2のピックアンドプレイス装置132のピック設定範囲Rに向けてその流れを変えている。
【0067】
幅寄せ装置40は、第1のピックアンドプレイス装置131と、その下流に設けた第2のピックアンドプレイス装置132の間の、排出用搬送装置20(プレイス側)から遠い側に1式設置されている。幅寄せ装置40は、固定式幅寄せ装置40Aで、幅寄せ部41Aは板状としている。幅寄せ部41Aの物品と接する側の上方から見た形状は、直線である。
【0068】
供給用搬送装置10は、ベルトコンベヤであり、多数の物品1が任意の姿勢で搬送され、ピックアンドプレイス装置131、132に供給される。
【0069】
ピックアンドプレイス装置130は、パラレルリンクタイプのロボットであり、天井からの吊下げ設置である。 本実施例のパラレルリンクタイプのロボットは4自由度を有している。3自由度で平面位置と垂直位置を定め、残りの1自由度で、物品1を回転させて方向を定めることが可能である。ピックアンドプレイス装置130の先端にあるエンドエフェクタeにはバキュームパッドvが備えられており、ピック位置にて物品を吸着し、上昇、水平移動、下降して真空破壊によって物品1をプレイスする。
【0070】
第1のピックアンドプレイス装置131は、その上流に設置されたカメラ51が搬送中の動いている物品1を撮影し、得られる情報を処理する画像処理装置50によって搬送中の物品1の位置や方向を認識し、更にロータリーエンコーダ61によって搬送装置10の移動状態を把握することで、ロボットがピックするときの物品1の位置と方向が演算装置70にて計算され、ロボットはその計算結果に基づいて、動き、或いは停止している物品1のピックを行なう。
【0071】
このとき、第1のピックアンドプレイス装置131は、第1のピックアンドプレイス装置131の下流に設けた幅寄せ装置40に近い側の物品1を優先的にピックする。こうすることで、下流に設けた幅寄せ装置40にて搬送経路Aに幅寄せされる先行物品が、搬送経路Aを搬送されてくる後続物品に接触したり、物品形状によっては絡み合ったりすることを防止できる。物品1が接触してしまったり絡み合ったりすると、第1のピックアンドプレイス装置131の下流に設置したカメラ51に撮影された物品1の認識率が低下する。また、物品1をピックするときに接触したり絡み合った物品1が飛ばされ、思いもかけないところで詰まり等のトラブルを引き起こすことがある。
【0072】
第1のピックアンドプレイス装置131は、ピックした物品1の方向を整列し、排出用搬送装置20のベルトコンベヤにプレイスする。本実施例ではボトルの底部が先行する方向に整列している。このとき、第2のピックアンドプレイス装置132がプレイスを容易にできるように、搬送装置20上での物品間隔は、物品の長さL以上になるようにプレイスされる。間隔をある程度以上にすることで、第2のピックアンドプレイス装置132のプレイスが容易になるし、ある程度以下にすることで、搬送装置20上に物品1を高密度で並べることができる。この間隔はプレイス後の物品長さの120〜180%程度とすることが好ましい。
【0073】
幅寄せ装置40によって、第1のピックアンドプレイス装置131がピックできない範囲に供給された物品1を、その下流に設けた第2のピックアンドプレイス装置132がピックできるピック設定範囲Rに向けるように物品1の流れを変え、物品1の流れ幅を狭くしている。
【0074】
第2のピックアンドプレイス装置132は、その上流に設置されたカメラ51が搬送中の動いている物品を撮影し、画像検知範囲P内から得られる情報を処理する画像処理装置50によって搬送中の物品の位置や方向を認識し、更に、ロータリーエンコーダ61によって搬送装置10の移動状態を把握することで、ロボットがピックするときの物品1の位置と方向が演算装置にて計算され、ロボットはその計算結果による情報に基づいて、動き、或いは停止している物品1のピックを行なう。カメラ51が撮影する位置は、幅寄せ装置40による幅寄せによって撮影中の物品の位置が変化することを防止するため、幅寄せ装置40よりも下流位置としている。
【0075】
第2のピックアンドプレイス装置132は、ピックした物品の方向を整列し、排出用搬送装置20のベルトコンベヤにプレイスする。本実施例ではボトルの底部が先行する方向に整列している。このとき、第1のピックアンドプレイス装置131によってプレイスされた物品の間に、物品1をプレイスする。このようにして搬送装置20に物品を高密度で並べることができる。物品の間にプレイスする方法は特に限定されないが、例えば、不図示のセンサやカメラで物品の有無を確認してプレイスする方法、コンベヤベルトを仮想的に一定距離間隔に区切ったエリアを想定し、その空き位置にプレイスする方法等が挙げられる。
【0076】
(実施例3)(図9図10
図9図10に示す実施例3の物品取扱い装置100Bが実施例1の物品取扱い装置100と異なる点は、ピックアンドプレイス装置30に代わる機械式のピックアンドプレイス装置140(第1〜第3の3台のピックアンドプレイス装置141〜143)を用いたことにある。物品1は平たい円盤状物品である。物品取扱い装置100Bが物品取扱い装置100と実質的に同様な部材には、同一の符号を付すものとする。
【0077】
尚、物品取扱い装置100Bでは、図9に示す如く、搬送装置10の搬送経路のうち、搬送装置10の幅方向中央の搬送経路Aをピックアンドプレイス装置140によって物品1がピック可能とされる経路とし、搬送装置10の幅方向両側の搬送経路A1、A2をピックアンドプレイス装置141によって物品1がピックできない経路としている。
【0078】
ピックアンドプレイス装置140は、先端にあるエンドエフェクタeにバキュームパッドvを備えており、図10に示す如く、ピック位置にて物品1を吸着し、上昇、水平移動、下降して真空破壊によって物品1をプレイスする。機械式ピックアンドプレイス装置140によるピックは、物品の全体が搬送経路Aを通過する物品1に対して行なわれる。ピックできる物品1の数を多くするため、搬送経路Aはピックアンドプレイス装置140がピック可能なできるだけ大きな範囲に設定される。
【0079】
第1の機械式ピックアンドプレイス装置141は、その上流に設置されたカメラや光学式等のセンサ(不図示)によって搬送経路Aを通過する物品を検出し、そのセンサの検出時からの搬送装置10による物品1の搬送タイミングに合わせて該物品1をピックアンドプレイスする。
【0080】
第1のピックアンドプレイス装置141(上流側のピックアンドプレイス装置140U)と第2のピックアンドプレイス装置142(下流側のピックアンドプレイス装置140D)の間には、第1の幅寄せ装置151が設けられる。第1のピックアンドプレイス装置141の下流側の搬送装置10上で、第2のピックアンドプレイス装置142がピック不能な搬送経路A1に跨った物品1を、この第1の幅寄せ装置151により、第2のピックアンドプレイス装置142によってピック可能な搬送経路Aまで幅寄せしている。
【0081】
第2の機械式ピックアンドプレイス装置142は、その上流に設置されたカメラや光学式等のセンサ(不図示)によって搬送経路Aを通過する物品を検出し、その検出時からの搬送装置10による物品1の搬送タイミングに合わせて該物品1をピックアンドプレイスする。
【0082】
第2のピックアンドプレイス装置142(上流側のピックアンドプレイス装置140U)と第3のピックアンドプレイス装置143(下流側のピックアンドプレイス装置140D)の間には、第2の幅寄せ装置152が設けられる。第2のピックアンドプレイス装置142の下流側の搬送装置10上で、第3のピックアンドプレイス装置143がピック不能な搬送経路A2に跨った物品を、この幅寄せ装置152により、第3のピックアンドプレイス装置143によってピック可能な搬送経路Aまで幅寄せしている。
【0083】
第3のピックアンドプレイス装置143は、センサ(不図示)の検出時からの搬送タイミングに合わせて、物品1をピックアンドプレイスする。
【0084】
第2、第3のピックアンドプレイス装置142、143は、それらに対する上流側のピックアンドプレイス装置によるピック作業によりそれらのピックアンドプレイス装置142、143に向かってくる搬送経路A上の物品が減少しそうになる場合にも、幅寄せ装置151、152によって当該搬送経路Aに物品が幅寄せされて補充される結果、物品が供給不足になることなく、ピックアンドプレイス作業を効率良く行なうことができる。
【0085】
図11は、本発明の物品取扱い装置(100、100A、100B)が取扱い対象とするボトル、キャップの例示である。図12は、本発明の物品取扱い装置(100、100A、100B)が取扱い対象とするディップチューブ付ポンプキャップの例示である。図13は、本発明の物品取扱い装置(100、100A、100B)が取扱い対象とするディップチューブ付トリガーキャップの例示である。搬送装置により搬送中の物品は、ピックアンドプレイス装置に供給されるため、その最大長さを有する部分が搬送装置上に接触するように寝転がったものが大部分となる。更に物品は搬送装置との接触面が最大となるような向きで安定した搬送姿勢となる。そのときの高さが搬送装置上における物品高さhとなる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明によれば、上流側から下流側までの複数台のピックアンドプレイス装置の全てにおいて、各ピックアンドプレイス装置のピック時における当該ピックアンドプレイス装置への物品の供給を不足させることなく、かつ分散供給することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 物品
10 搬送装置
30、31、32、33、130、131、132、140、141、142、143 ピックアンドプレイス装置
30U、130U、140U 上流側のピックアンドプレイス装置
30D、130D、140D 下流側のピックアンドプレイス装置
40、151、152 幅寄せ装置
40A 固定式幅寄せ装置
40B、40C 可動式幅寄せ装置
40D 空圧式幅寄せ装置
40E ベルトコンベヤ式幅寄せ装置
41A 固定式幅寄せ部
41B、41C 可動式幅寄せ部
41D 空圧式幅寄せ部
41E ベルトコンベヤ式幅寄せ装置
R ピック設定範囲
図1
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