(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記油分誘導開口部は、前記油分捕集部材の、前記フィルタの周囲を囲む内壁に、前記内壁の高さ全体に亘り設けられることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のレンジフード。
前記油分捕集部材の上流側の端部に、前記油分捕集部材の内壁より内側に延在する上流延在部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のレンジフード。
円盤状の前記フィルタの周囲を囲む前記油分捕集部材の内壁の曲率は、円盤状の前記フィルタの周縁部の曲率の10倍以下の曲率のみからなることを特徴とする請求項2乃至8いずれかに記載のレンジフード。
前記油分捕集部材の、前記フィルタの周囲を囲む内壁の表面および/または前記上流延在部の下流側の表面は、撥油性を有することを特徴とする請求項5乃至9いずれかに記載のレンジフード。
前記油分捕集部材の下流側の端部に、前記油分捕集部材の内壁より内側に延在する下流延在部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至10いずれかに記載のレンジフード。
前記フィルタの周囲を囲む前記油分捕集部材の下流側の端部と前記フィルタの下流側円盤面との最短距離は、前記油分捕集部材の上流側の端部と前記フィルタの上流側円盤面との最短距離以上であることを特徴とする請求項2乃至11いずれかに記載のレンジフード。
【背景技術】
【0002】
台所などに設置されるレンジフードは、レンジフードの下方で行われる調理によって発生する湯気や油煙等を、ファンによって発生させた空気の流れとともに吸入し、吸入した空気と共にその油煙等を屋外などへと排出するものである。しかし、油煙に含まれる油分をそのまま屋外などへ排出することは、環境上好ましくない上、空気の流路におけるレンジフードの下流に通常存在するファンやダクトなどの設備に油分を付着させ、洗浄等のメンテナンスに多大の労力/費用を必要とし、設備の劣化を促進させることとなる。
従って、従来から、レンジフードは、フィルタなどにおいて油煙に含まれる油分を捕獲して回収するための工夫が数多くなされている。
【0003】
フィルタでの捕集効率を高める工夫として、例えば特許文献1に開示された技術がある。本文献では、所定形状の金属薄板に数ミリメートルのピッチでスリットを縦方向に縦設して成る列を複数形成し、各列におけるスリット相互で区画された舌片全体を一方向に屈折傾斜させてスリット相互間に平面部分を残すことなく縦幅が数ミリメートルの通気口を設けて成るフィルタ単体を形成し、このフィルタ単体又は複数枚を組み合わせて取り付けたレンジフードが開示されている。このレンジフードでは、フィルタで捕集した油分を、傾斜を利用して、油溜まりへ回収している。
【0004】
また、特許文献2では、フード体の下方開放部を被蓋する一段奥まった覆板の平行な二縁または三縁もしくは四縁寄りの部分に幅狭な吸引口を形成し、その吸引口から流速を速めて流入する廃ガスを、吸引口直後に設けられた無端状に連設された環状廃ガス衝突手段に充分接触させ方向変換して排気装置の吸引力による遠心分離作用で含有する油脂分をその環状廃ガス衝突手段に付着させ、その環状廃ガス衝突手段に付着した油脂分をその吸引口を横断して廃ガス突き当り面に臨む自由端から同廃ガス突き当り面裏面に落下させて、その油脂分を廃ガス突き当り面の傾斜を利用してオイル受け部に回収するレンジフードが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のレンジフードは、レンジフードを構成する、油分を捕集した部材と油分を回収する油溜まりとの間の部材を傾斜させることで重力により、フィルタ等で捕集した油分を油溜まりへ回収している。しかし、油分を重力により回収する方法だと、すべての油分が流化しきれず、一部は油溜まりへと到達する前に停滞し、固着してしまう問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、油溜まりへ油分を誘導する部材を傾斜させるなど重力を利用せずに、捕集した油分を固着させることなく迅速に油溜まりへ誘導し、回収するレンジフードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、レンジフードのファンを稼働させながらフィルタを回転させることにより、油分を捕集すると共にフィルタの周囲に旋回流を発生させて、その旋回流を利用して油分を流動させることにより、油分を回収することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
上記課題を解決するために、空気の流れを発生させるファンと、その空気の流れの流路上であってファンより上流側に存在し、空気の流れを通過させる孔を有するフィルタと、そのフィルタを回転させる電動機と、フィルタの周囲を囲み、油分を油溜まりに誘導する油分誘導開口部を有する油分捕集部材と、を備え、ファンが空気の流れを発生させると共に電動機がフィルタを回転させることにより、空気に含まれる油分をフィルタの回転により発生する
渦状の空気の動きによって油分捕集部材に捕集し、油分捕集部材に捕集された油分を油分誘導開口部を介して油溜まりへ誘導するレンジフードであって、フィルタの単位時間当たりの回転数は、
渦状の空気の動きを発生させるために230rpm以上であることを特徴とするレンジフードが提供される。
これによれば、油溜まりへ油分を誘導する部材を傾斜させるなど重力を利用せずに、捕集した油分を固着させることなく迅速に油溜まりへ誘導し、回収するレンジフードを提供することができる。
【0010】
さらに、フィルタは円盤状であり、電動機の回転軸はフィルタの円盤の中心に取り付けられることを特徴としてもよい。
これによれば、簡易な構造を有し、さらには薄型のレンジフードを提供できる。
【0011】
さらに、油分誘導開口部は、油分捕集部材の、フィルタの周囲を囲む内壁に設けられることを特徴としてもよい。
これによれば、フィルタの回転が引き起こす旋回流により油分捕集部材の内面を流動する油分を回収できる。
【0012】
さらに、油分誘導開口部は、油分捕集部材の、フィルタの周囲を囲む内壁に、内壁の高さ全体に亘り設けられることを特徴としてもよい。
これによれば、フィルタの回転が引き起こす旋回流により、油分捕集部材の内面を流動する油分を確実に回収できる。
【0013】
さらに、油分捕集部材の上流側の端部に、油分捕集部材の内壁より内側に延在する上流延在部をさらに備えることを特徴としてもよい。
これによれば、捕集した油分が、レンジフードの下方へ垂れ落ちることを防止することができる。
【0014】
さらに、油分誘導開口部は、油分捕集部材の上流延在部に設けられることを特徴としてもよい。
これによれば、フィルタの回転が引き起こす旋回流により、重力により上流延在部の下流側の表面に垂れ、流動する油分も回収できる。
【0015】
さらに、油分誘導開口部は、上流延在部であって、内壁と接する部分に設けられることを特徴としてもよい。
これによれば、重力により上流延在部の下流側の表面に垂れた油分であって、旋回流により遠心方向に流動する油分も回収できる。
【0016】
さらに、油分捕集部材の内壁は、角を有さないことを特徴としてもよい。
これによれば、旋回流により流動する油分が滞留しにくい油分捕集部材を有するレンジフードを提供できる。
【0017】
さらに、円盤状のフィルタの周囲を囲む油分捕集部材の内壁の曲率は、円盤状のフィルタの周縁部の曲率の10倍以下の曲率のみからなることを特徴としてもよい。
これによれば、旋回流により流動する油分がより滞留しにくい油分捕集部材を有するレンジフードを提供できる。
【0018】
さらに、油分捕集部材の、フィルタの周囲を囲む内壁の表面および/または上流延在部の下流側の表面は、撥油性を有することを特徴としてもよい。
これによれば、フィルタの回転が引き起こす旋回流により、油分が流動しやすい油分捕集部材を有するレンジフードを提供できる。
【0019】
さらに、油分捕集部材の下流側の端部に、油分捕集部材の内壁より内側に延在する下流延在部をさらに備えることを特徴としてもよい。
これによれば、フィルタの下流側で外周方向に向かって飛散する油分を捕獲することにより、フィルタの孔を通過した油分も捕集できる割合が増加し、油捕集効率がさらに高いレンジフードを提供できる。
【0020】
さらに、フィルタの周囲を囲む油分捕集部材の下流側の端部とフィルタの下流側円盤面との最短距離は、油分捕集部材の上流側の端部とフィルタの上流側円盤面との最短距離以上であることを特徴としてもよい。
これによれば、油分捕集部材のフィルタより下流側の長さが小さくても、フィルタの下流側で外周方向に向かって飛散する油分を捕獲することにより、フィルタの孔を通過した油分も捕集できる割合が増加し、油捕集効率が高いレンジフードを提供できる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、油溜まりへ油分を誘導する部材を傾斜させるなど重力を利用せずに、捕集した油分を固着させることなく迅速に油溜まりへ誘導し、回収するレンジフードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係るレンジフードの第一実施例の断面図。
【
図2】本発明に係るレンジフードの第一実施例におけるフィルタとその周辺部を示す正面図(A)、側面図(B)、底面図(C)、背面図(D)。
【
図3】本発明に係るレンジフードの第一実施例におけるフィルタとその周辺部を示す下方から見た斜視図。
【
図4】本発明に係るレンジフードの第一実施例におけるフィルタとその周辺部を示す拡大断面図(断面の位置は
図2におけるA−A断面)。
【
図5】本発明に係るレンジフードの第一実施例における油分捕集部材を示す正面図(A)、底面図(B)、側面図(C)、断面図(D)、拡大断面図(E)、斜視図(F)、拡大斜視図(G)。
【
図6】本発明に係るレンジフードの第一実施例における油溜まりを示す正面図(A)、平面図(B)、底面図(C)、左側面図(D)、右側面図(E)、右上斜視図(F)、右下斜視図(G)、左上斜視図(H)、左下斜視図(I)、B−B断面図(J)。
【
図7】本発明に係るレンジフードの第一実施例における作用説明断面図。
【
図8】本発明に係るレンジフードの第一実施例における作用説明拡大断面図。
【
図9】本発明に係るレンジフードの第一実施例における作用説明図。
【
図10】本発明に係るレンジフードの第一実施例の変形例1における油分捕集部材を示す正面図(A)、底面図(B)、側面図(C)、A−A断面図(D)、拡大断面図(E)、斜視図(F)、拡大斜視図(G)。
【
図11】本発明に係るレンジフードの第一実施例の変形例2における油分捕集部材を示す正面図(A)、底面図(B)、側面図(C)、A−A断面図(D)、拡大断面図(E)、斜視図(F)、拡大斜視図(G)。
【
図12】本発明に係るレンジフードの第一実施例の変形例3における油分捕集部材を示す正面図(A)、底面図(B)、側面図(C)、A−A断面図(D)、拡大断面図(E)、斜視図(F)、拡大斜視図(G)。
【
図13】本発明に係るレンジフードの第二実施例の正面図(A),平面図(B)、底面図(C)、側面図(D)。
【
図14】本発明に係るレンジフードの第二実施例の斜視図(A)、整流板を取り外した斜視図(B)、さらに油溜まりを取り外した斜視図(C)、さらにフィルタを取り外した斜視図(D)。
【
図15】本発明に係るレンジフードの第二実施例におけるフィルタユニットの分解斜視図。
【
図16】本発明に係るレンジフードの第二実施例におけるフィルタユニット付近の断面図。
【
図17】本発明に係るレンジフードの第二実施例におけるフィルタユニット付近の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1は、本発明に係る第一実施例におけるレンジフード1を示す。レンジフード1は、下方で行われる調理によって発生する湯気や油煙等を捕集するための、上方に凹状の内面パネル81を内面に有する薄型のフード部80を有する。フード部80は、そのほぼ中央に位置するフード開口部2付近で、排気ダクトDに接続された送風機ボックス82と連結される。送風機ボックス82は、内部にファンケーシング61を有し、ファンケーシング61は、内部にシロッコファンであり空気の流れを発生させるファン60を有する。ファン60の吸入口62は、フード部80のフード開口部2に位置するように配置される。従って、ファン60が稼働するとフード開口部2は負圧となり、内面パネル81の下方の空気はフード開口部2を通して吸入され、排気ダクトDを通して外部に排出される。即ち、フード開口部2は、ファン60が発生させた空気の流れの流路上であって、ファン60より上流側に位置する。
【0025】
フード開口部2には、内面パネル81との間に空気の流路となりうる隙間が生じないように取り付けられる取付板50と、空気の流れを通過させる孔を有する円盤状のフィルタ10と、フィルタ10の円盤の中心に回転軸を連結され、フィルタ10を回転させる電動機20と、電動機20を取付板50に取り付けるための電動機取付具40と、取付板50に取り付けられ、フィルタ10の外周縁を囲み、油分を油溜まりに誘導する油分誘導開口部を有する油分捕集部材30と、が存在する。従って、レンジフード1は、ファン60が発生させる空気の流れの流路上であって、ファン60よりその流れの上流側に存在し、その空気の流れを図視で下から上に通過させる孔を有するフィルタ10を、回転可能に備える。
【0026】
内面パネル81の下方の空気は、調理によって発生する湯気や油煙等を含んでおり、ファン60が稼働すると、フード開口部2に存在する、即ちファン60が発生させた空気の流れの流路上であってファン60より上流側に位置するフィルタ10の孔に吸引され、その孔を通過することになる。フィルタ10は、電動機20により回転可能に設けられており、レンジフード1が稼働すると、ファン60が空気の流れを発生させると共に電動機20がフィルタ10を回転させる。レンジフード1は、フィルタ10を回転させることにより、空気に含まれる油分を油分捕集部材30に捕集する。また、レンジフード1は、フィルタ10を回転させることにより生じるフィルタ10付近の旋回流を利用して、油分捕集部材30に捕集された油分を油分誘導開口部32を介して油溜まり31へ誘導する。なお、捕集および回収の仕方は後述する。
【0027】
かかるレンジフード1は、従来のスロットフィルタやHEPAフィルタ等を用い、スリットや目を細かくしたり、重ね合わせて複層としたりすることにより油捕集効率を向上させることに比べ、圧力損失が小さい状態で高い油捕集効率を有することができる。即ち、従来のスロットフィルタやHEPAフィルタ等を用いて、スリットの目を細かくする、あるいは重ね合わせて複層することで油捕集効率を向上させると、フィルタの通気部が複雑な流路を形成するため、通気抵抗が高くなる傾向があるが、かかるレンジフード1の場合には、フィルタの回転によって油捕集効率を高めているため、このような複雑な流路を形成する必要がない。よって従来のフィルタと比較して低い通気抵抗を維持したまま高い油捕集効率を得ることができる。また、フィルタに油分が付着し目詰まりを起こすことが少なくなることにより、フィルタ自体の洗浄の労力が低減し、使用するに従って圧力損失が増加することを防止でき、さらに、空気流路におけるフィルタより下流部分にほとんど油分が付着しないため、フィルタより下流部分を清掃/洗浄する手間を大幅に軽減するレンジフードを提供できる。さらに、フィルタ10を回転させることにより生じるフィルタ10付近の旋回流を利用して、油分捕集部材30に捕集された油分を油分誘導開口部32を介して油溜まり31へ誘導することにより、油溜まり31へ油分を誘導する部材を傾斜させるなど重力を利用せずに、捕集した油分を固着させることなく迅速に油溜まり31へ誘導し、回収するレンジフードを提供することができる。
【0028】
ファン60のファンの種類は特に限定されず、空気の流れを生じさせる軸流ファンなどのその他のファンであってよい。好ましくは、本実施例に使用された、静圧の高いシロッコファンである。また、フード部80の下方には、フード部80と着脱可能であり、フード部80との間に隙間を有して吸込力を高める整流板70を備える。本実施例におけるレンジフード1は整流板70を備えるが、整流板70の存在は特に限定されず、あってもなくてもよい。整流板が存在しない場合または整流板を取り外した場合には、フード部80の内面である上方に凹状の内面パネル81と、内面パネル81に隙間が生じないように取り付けられた取付板50と、円盤状のフィルタ10と、取付板50に取り付けられフィルタ10の外周縁を囲むように設けられた油分捕集部材30とが、直接使用者から視認できる。また、油分捕集部材30は、油溜まり31を備える。
【0029】
また、本実施例では、フィルタ10は円盤状をなした薄板から形成されているが、これに限定されず、例えば、フィルタは筒状であってもよい。この場合、筒状のフィルタは、筒の中心軸に電動機の回転軸が連結されることにより筒が回転し、筒の側面に空気の流れを通過させる孔を有する。空気の流れは、筒の側面の外側から内側に通過するように構成される。また、油分捕集部材は、筒の側面を取り囲むようにして設けられる。筒は横置きでも、縦置きでもよい。筒が横置きの場合は、油分捕集部材は、空気を吸入する下方に開放した開口部と空気をファン側に流すために開放した開口部を備える。筒が縦置きの場合は、フィルタは筒の側面から空気の流れを吸入するために筒の底面は開口せず、また、油分捕集部材はフィルタ側面全体を取り囲むように設けられる。簡易な構造を有し、薄型のレンジフードを提供できるので、本実施例のような円盤状をなし薄板から形成されたフィルタが好ましい。
【0030】
また、本実施例では、フィルタ10は一枚の薄板から形成されているが、複数枚の薄板から形成されてよいし、一枚のフィルタが空気の流れの流路上に複数配置されてもよい。かかる構成によれば、仮にフィルタの回転速度が十分でない場合にも、油分の捕集率がより高くなる。
【0031】
また、本実施例では、フィルタ10の両側の表面における孔以外の部分は、突起物や凹凸がなく、平らで滑らかである平滑な面であるが、これに限定されず、一般的なスロットフィルタのようにスリット(孔)と共に切り起こしなどの突起物があってもよい。本実施例のようにフィルタが平滑な面を備えれば、フィルタでの空気の流れの通気抵抗がさらに小さくなり、さらにはフィルタの回転抵抗も小さくなるのでフィルタを回転させる電動機は小さなトルクを有するもので十分となる。また、フィルタ上に切り起こしなどの突起部がないため空気を切る騒音が小さいレンジフードを提供できる。また、これらにより、フィルタを高速に回転させることが容易になる。また、油分のほとんどはフィルタの表面で捕集され、フィルタの孔の側面で油分を捕集することはほとんどないので、フィルタの孔が油で目詰まりすることがさらに少なくなり、さらに切り起こしなどの突起部がないためフィルタ自身の清掃/洗浄が容易になる。
【0032】
図2〜6は、レンジフード1のフィルタ10とその周辺部(以下、フィルタユニットと言う)に関する部品を示す。フィルタユニット3は、フード開口部2に取り付けられる取付板50と、空気の流れを通過させる孔を有する円盤状のフィルタ10と、フィルタ10の円盤の中心に回転軸を連結され、フィルタ10を回転させる電動機20と、電動機20を取付板50に取り付けるための電動機取付具40と、取付板50に取り付けられ、フィルタ10の周囲を囲むように設けられた油分捕集部材30と、油分捕集部材30の一部に取り付けられた油溜まり31とを備える。
【0033】
取付板50は、中央部に円形の取付板開口部51を備えたほぼ正方形の平板である。本実施例では、平板の周囲は曲率を持って上方に湾曲するが、これに限定されず、内面パネル81のフード開口部2に取り付けられる構成を有すればよい。取付板50とフード開口部2の取り付けは、隙間などを有さずになされ、この取り付け部分には空気の流れは通過しない。従って、取付板開口部51は、ファン60が発生させた空気の流れを通過させる唯一の部分となり、取付板開口部51はファン60が発生させる空気の流れの流路となる。
【0034】
電動機取付具40は、取付板50の空気の流れの下流側に、取付板開口部51を跨ぐようにして設けられる。電動機取付具40は、ほぼ中央部に電動機20の回転軸21を通すための穴41を有する。電動機取付具40は、穴41が平面視で取付板開口部51の中心となるように、取付板50に取り付けられる。
【0035】
電動機20は、その回転軸を電動機取付具40の穴41に図視で上方から下方に向けて(空気の流れの下流側から上流側に向けて)貫通させて、電動機取付具40に固定される。電動機20の回転軸21は、平面視で円形の取付板開口部51の中心となる。
【0036】
フィルタ10は、電動機20の回転軸21の先端部分に、フィルタ10の面が回転軸21に垂直になるように着脱自在に取り付けられる。フィルタ10の外形は円形であり、フィルタ10は、フィルタ10の中心において、円形の取付板開口部51の中心に位置する電動機20の回転軸21に取り付けられるので、フィルタ10の外形と取付板開口部51の外形は、同心円の円形となる。本実施例においては、フィルタ10の直径は、取付板開口部51に下流延在部52があるので、取付板開口部51の直径より大きい。下流延在部52は、油分捕集部材30の上流側の端部に、油分捕集部材30の内壁より内側、即ち電動機20の回転軸側に延在する。この下流延在部52は、孔を通過した油分も捕集できる割合を増加させ、油捕集効率が高いレンジフードを提供できるので好ましい。
【0037】
フィルタ10の正面視における位置は、取付板50の下面より下方、即ち、空気の流れの上流側である。従って、油分捕集部材30は、フィルタ10の外周縁を取り囲むように取付板50に取り付けられる。フィルタ10の外周縁と油分捕集部材30の内壁との距離は、両者が接しないために0より大きい必要があるが、油分が漏れないようになるべく小さい方が好ましい。本実施例においては、2.5mm程度である。また、フィルタ10は、外形が円形の薄板をパンチングメタルにより作製され、材質はステンレス、板厚は0.5mm、直径は285mmであるが、もちろんこれに限定されない。
【0038】
本実施例では、フィルタ10の孔11(
図8に示す)の形状は円形であり、孔11の直径は約0.75〜5mmである。円盤状のフィルタ10における孔11は、円盤の回転中心を中心とした同心円状に配列されている。しかし、孔の形状、大きさ、配列はこれに限定されない。例えば、孔の配列は、孔が正三角形の頂点に開けられる、孔が正四角形の頂点に開けられる、または、不規則にランダムに開けられるなど、どのような配列であってもよい。また、孔の形状は、以下に示す変形例の他、三角形、正方形、正多角形などどのような形状であってもよい。
【0039】
図5は、本実施例における油分捕集部材30を示す。油分捕集部材30は、フィルタ10の上流側表面に当たって弾き飛ばされ、油分捕集部材30の内壁に衝突した油分を捕集する。詳細は後述する。
【0040】
油分捕集部材30は、円盤状のフィルタ10の外周縁を取り囲む円筒部を有する。円筒部の外径は294mm、内径は290mmであり、フィルタ10の直径よりわずかに大きい程度である。両者の隙間は、油分が漏れないようになるべく小さいことが好ましい。油分捕集部材30の高さは、特に限定されないが、油分捕集部材30の下流側の端部(上端)とフィルタ10の下流側の円盤面との最短距離は、油分捕集部材30の上流側の端部(下端)とフィルタ10の上流側の円盤面との最短距離と等しいか、それ以上となる高さを有することが好ましい。これにより、フィルタ10の下流側で外周縁方向に向かって飛散する油分を捕獲することにより、孔11を通過した油分も捕集できる割合が増加し、油捕集効率をより高くすることができる。
【0041】
油分捕集部材30は、下流側の端部(上端)にフランジを備え、取付板50に取り付けやすくなっている。また、油分捕集部材30は、洗浄のため、取り外し自在に設けられることが好ましい。また、油分捕集部材30は、円筒部の上流側の端部(下端)に円筒部の内壁より内側に延在した上流延在部34を有し、油分捕集部材30の側面に衝突し垂れて落ちてくる油OLを受け止めることができる。さらに、フィルタ10の回転が引き起こす旋回流により、重力により上流延在部34の下流側の表面に垂れ、流動する油分も回収できる。また、油分誘導開口部32は、油分捕集部材30の、フィルタ10の周囲を囲む円筒部の内壁に、その内壁の高さ全体に亘り設けてもよい。これによれば、フィルタ10の回転が引き起こす旋回流により、油分捕集部材30の内面を流動する油分を確実に回収できる。
【0042】
油分捕集部材30は、油分を油溜まり31に誘導する油分誘導開口部32を有する。油分誘導開口部32は、本実施例では、油分捕集部材30のフィルタ10の周囲を囲む円筒部の内壁と上流延在部34の両方に、その内壁とその上流延在部34の境界を含めて開口される。これによれば、フィルタ10の回転が引き起こす旋回流により油分捕集部材30の円筒部の内面を流動する油分を回収できると共に、重力により上流延在部34の下流側の表面に垂れ、流動する油分も回収できる。油分誘導開口部32は、油分捕集部材30の円周方向の一部に形成され、油分が流れる程度の大きさを有する限り、その大きさや形状は特に限定されない。
【0043】
図6は、本実施例における油溜まり31を示す。油溜まり31は、油分誘導開口部32により誘導され、油分捕集部材30から流れ出る油分を回収できるように、油分誘導開口部32を十分に覆うようにして、油分捕集部材30に着脱自在に設けられる。油溜まり31は、本実施例では、油分誘導開口部32の円周方向の長さの倍以上の長さを有し、油分捕集部材30の外側面と底部の外側に適合するような形を有する。このようにすることで、フィルタ10を回転させることにより、空気に含まれる油分を油分捕集部材30に捕集し、油分捕集部材30に捕集された油分を油分誘導開口部32を介して油溜まり31へ誘導することができる。
【0044】
なお、レンジフード1の高さは、フード部80の高さと送風機ボックス82の高さからなるが、送風機ボックス82の高さはほぼファン60の高さから規定される。また、整流板70の上面と油分捕集部材30の下端との隙間から油分等を含む空気を吸引して排気するため、この隙間が大きい方が通気抵抗は少ないため有利である。したがって、薄型のレンジフードを提供するためには、フィルタユニット3の高さを小さくすることが重要になる。本実施例では、フィルタユニット3は、フィルタ10が円盤状をなした薄板から形成されているので薄く、好ましい。
【0045】
図7および
図8は、レンジフード1における空気の流れに伴う油分を捕集する作用を説明するものである。
図7は、レンジフード1全体における空気の流れの作用を示す。レンジフード1の下方で行われる調理によって発生する湯気や油煙等と共に、暖められた空気Aはレンジフード1の方へ立ち上る。レンジフード1が運転を開始しファン60が回転し始めると、ファン60は空気の流れを図視で下から上の方向へ発生させる。そうすると、整流板70辺りに立ち上った空気は、整流板70と内面パネル81の間から吸い込まれ、その後フィルタ10の孔11を通過して、ファンケーシング61内のファン60の吸入口62に吸入される。そして、その後、送風機ボックス82から排気ダクトDへ排出される。
【0046】
フィルタ10の単位時間当たりの回転数は、フィルタの孔の開口状態にもよるが、少なくとも230rpm(Rotation Per Minute)以上であればよい。フィルタ10が比較的高速に回転すると、フィルタ10の表面(孔11のない部分)が、その表面に接する空気を摩擦力により引きずり、空気の粘性により付近の空気にもその動きが伝わることで、フィルタ10の表面付近には空気の動きが生じ、フィルタ10は回転運動をしているので、空気の動きは回転軸を中心とした渦状となる。
【0047】
この渦状の空気の動きは、フィルタ10の両面、即ちフィルタ10の下面と上面の両方、換言すれば、フィルタ10の空気の流れAの上流側の面と下流側の面の両方に発生する。本実施例においては、ファン60が発生させる空気の流れAが、図視で下から上へ、フィルタ10の孔11を通って流れているので、フィルタ10の下流側では、渦状の空気の動きはフィルタ10の表面から引き離されつつ、フィルタ10の外周縁に向かうらせん状流が発生し、ファン60により吸入口62から吸引される。一方、フィルタ10の上流側では、渦状の空気の動きはフィルタ10の表面に押さえつけられ、フィルタ10の外周縁に向かう渦状流を伴う密度の高い空気層が形成される。
【0048】
図8は、フィルタユニット3における空気の流れの作用を示す。調理等で発生した油分OP1は、空気の流れAと共に流されてフィルタ10の上流側の面付近に到達する。上流側の面付近に到達した油分OP2は、一部(粒子径の小さい油分)は密度の高い空気層の外周縁に向かう渦状流により、また、他の一部(粒子径の大きい油分)はフィルタ10の上流側の表面(孔11のない部分)に衝突することにより、フィルタ10の外周縁方向に弾き飛ばされる。その結果、円盤状のフィルタ10の外周縁を取り囲むように備えられた油分捕集部材30の側面である円筒部の内壁に、油分OP3として捕集され、油分捕集部材30の円筒部の下部や、底部である上流延在部34に油OLとして回収される。
【0049】
図9は、油分捕集部材30の側面の下部や底部に回収された油OLが、油分誘導開口部32に誘導される作用を説明するための図である。油分捕集部材30の側面の下部や底部に回収された油OLは、フィルタ10の回転軸21を中心とする回転(本実施例では反時計回りの回転)に伴いフィルタ10と油分捕集部材30のとの間の空間にフィルタ10の回転方向と同じ向きに発生した空気の流れにより、油分捕集部材30の側面の下部または底部を回動する。そうすると、油OLは、少なくとも1周廻る前に油分誘導開口部32に到達し、油分誘導開口部32を介して、油溜まり31に回収されることとなる。これによれば、油溜まり31へ油分を誘導する部材を傾斜させるなど重力を利用せずに、捕集した油分を固着させることなく迅速に油溜まりへ誘導し、回収するレンジフードを提供することができる。なお、逆に、フィルタ10を45度に傾斜させた場合であっても、油OLが油分捕集部材30の側面の下部や底部を回動することが確認されている。
【0050】
油分捕集部材は、フィルタ10の周囲を囲む内壁の表面および/または上流延在部34の下流側の表面に撥油性を有することが好ましい。これによれば、フィルタ10の回転が引き起こす旋回流により、油分が流動しやすくなる。撥油性は、例えば、撥油剤又は撥油剤を添加した樹脂を塗工する等、部材の表面を撥油性処理することにより生ずる。また、油分捕集部材30の円筒部の内壁は、角を有さないことが好ましい。これによれば、旋回流により流動する油分が滞留しにくい。なお、角とは、表面の凹凸によりできる隅やかどである。また、円盤状のフィルタ10の周囲を囲む油分捕集部材の円筒部の内壁の曲率は、円盤状のフィルタ10の周縁部の曲率の10倍以下の曲率のみからなることが好ましい。これによれば、小さな凹凸がないことで、旋回流により流動する油分がより滞留しにくい。
【0051】
非常に細かい微粒子となった油分は、空気の流れAと共にフィルタ10の孔を通過することになるが、その内の一部は、下流延在部52や油分捕集部材30のフィルタ10より下流側の内壁に衝突して回収できる。最終的に回収できなかった油分の一部は、これより下流側に位置するファン60や排気ダクトD等に付着するが、フィルタ10の孔を通過したほどの微粒子となった油分の大部分は、そのまま空気の流れAに乗って排気ダクトDを通って屋外へ排出される。従って、本発明に係る本実施例のレンジフード1は、空気流路におけるフィルタ10より下流部分にほとんど油分を付着させず、フィルタ10より下流部分のファン60や排気ダクトDなどを清掃/洗浄する手間を大幅に軽減することができる。
【0052】
<第一実施例の変形例1>
図10は、本発明に係る第一実施例における油分捕集部材の変形例1を示す。第一実施例と重複する説明は省略し、異なる点のみを説明する。油分捕集部材30Aは、油分を油溜まり31に誘導する油分誘導開口部32Aを有する。油分誘導開口部32Aは、本変形例では、油分捕集部材30Aのフィルタ10Aの周囲を囲む円筒部の内壁の下部に、底部となる上流延在部34Aに接するように開口される。これによれば、フィルタ10Aの回転が引き起こす旋回流により油分捕集部材の内面を流動する油分を回収できる。
【0053】
油分捕集部材30Aの側面の下部や底部に回収された油OLは、フィルタ10Aの回転に伴い発生した空気の流れにより、油分捕集部材30Aのフィルタ10の周囲を囲む円筒部の内壁の下部または底部である上流延在部34Aを回動する。そうすると、油OLは、少なくとも1周廻る前に油分誘導開口部32Aに到達し、仮に油OLが底部にあっても遠心力が働き、油分誘導開口部32Aを介して、油溜まり31Aに回収することができる。
【0054】
<第一実施例の変形例2>
図11は、本発明に係る第一実施例における油分捕集部材の変形例2を示す。第一実施例と重複する説明は省略し、異なる点のみを説明する。油分捕集部材30Bは、油分を油溜まり31に誘導する油分誘導開口部32Bを有する。油分誘導開口部32Bは、本変形例では、油分捕集部材30Bの上流延在部34Bに、油分捕集部材30Bのフィルタ10Bの周囲を囲む円筒部の内壁に接するように開口される。
【0055】
油分捕集部材30Bの円筒部の内壁の下部や上流延在部34Bに回収された油OLは、フィルタ10Bの回転に伴い発生した空気の流れにより、油分捕集部材30Bの円筒部の内壁下部または上流延在部34Bを回動する。そうすると、底部にある油OLは、少なくとも1周廻る前に油分誘導開口部32Bに到達し、また仮に油OLが円筒部の内壁にあっても重力によりやがて上流延在部34Bに到達し、油分誘導開口部32Bを介して、油溜まり31Bに回収することができる。
【0056】
<第一実施例の変形例3>
図12は、本発明に係る第一実施例における油分捕集部材の変形例3を示す。第一実施例と重複する説明は省略し、異なる点のみを説明する。油分捕集部材30Cは、油分を油溜まり31に誘導する油分誘導開口部32Cを有する。油分誘導開口部32Cは、本変形例では、油分捕集部材30Cの底部に、側面に接するように、変形例2に比べ直径方向の幅がより広く開口される。
【0057】
油分捕集部材30Cの側面の下部や底部に回収された油OLは、フィルタ10の回転に伴い発生した空気の流れにより、油分捕集部材30Cの側面の下部または底部を回動する。そうすると、底部にある油OLは、少なくとも1周廻る前に油分誘導開口部32Cに到達し、また仮に油OLが側面にあっても重力によりやがて底部に到達し、油分誘導開口部32Cを介して、油溜まり31に回収することができる。
【0058】
<第二実施例>
図13および
図14は、本発明に係る本実施例におけるレンジフード1Dを示す。第一実施例と重複する説明は省略し、異なる点のみを説明する。レンジフード1Dのフード部80Dは、内面に、下方で行われる調理によって発生する湯気や油煙等を捕集するための、上方に凹状の内面パネル81Dを有する。フード開口部(図示せず)には、内面パネル81Dとの間に空気の流路となりうる隙間が生じないように、取付板50Dが取り付けられる。
【0059】
取付板50Dは、中央部に円形の取付板開口部51Dを備えた底面視ほぼ矩形である。取付板50Dは、内面パネル81Dに取り付けられたときに、正面側から背面側に下方向に傾斜するように、周囲に幅の異なる傾斜部を有する。正面側の傾斜部の幅は小さく、背面側の傾斜部の幅は大きく、側面側の傾斜部の幅は正面側から背面側にかけて大きくなっている。この取付板50Dの周囲に有する傾斜部により、取付板50Dの下面は、水平ではなく、正面側から背面側に下方向に傾斜する。また、整流板70Dは、取付板50Dの下面の傾斜にほぼ平行となるように、取り付けられる。
【0060】
取付板50D(後述するように正確には油分捕集底部材33D)の背面側には、油分捕集誘導開口部32Dを備え、その油分捕集誘導開口部32Dを覆うように、取付板50Dの下面に油溜まり31Dが取り付けられる。このように、油分捕集誘導開口部32Dと油溜まり31Dが背面側の最も低い位置に備えられるので、重力により油分を回収し易くなる。
【0061】
もっとも、
図9において説明したように、油分捕集部材30D等に付着された油は、フィルタ10Dの回転に伴いフィルタ10Dと油分捕集部材30D等との間の空間に発生した空気の流れにより、部材を傾斜させるなど重力を利用せずに、捕集した油分を固着させることなく迅速に油溜まりへ誘導し、回収することができる。従って、油分捕集誘導開口部32Dと油溜まり31Dが背面側の最も低い位置に備えられることは必須ではないが、油分捕集誘導開口部32Dに到達した油をさらに油溜まり31Dに誘導するには好ましい。なお、油分捕集部材30D等に付着された油は、上述したように傾斜を上方に向けて上ることができ、空気の流れにより油分捕集部材30D等を回動することができる。
【0062】
図15は、本実施例におけるフィルタユニット3Dの分解斜視図である(電動機などの一部の部材は省略する)。取付板開口部51Dは、取付板50Dの中央部にある。油分捕集側部53Dは、取付板開口部51Dの周囲を囲むようにして、下流側に立ち上がるように形成されている。取付板開口部51Dは平面視で円形なので、油分捕集側部53Dは円筒の側面を形成する。
【0063】
フィルタ10Dの正面視(または側面視)における位置は、取付板50Dの下面より上方、即ち、第一実施例に比して空気の流れの下流側である。従って、油分捕集側部53Dが円盤状のフィルタ10Dの外周縁を取り囲むように構成される。
【0064】
また、油分捕集側部53Dの円筒形の内径と同じ内径を有する油分捕集部材30Dは、油分捕集側部53Dの円筒部の内壁が一致するように、取付板50Dと組み合わされ、フィルタ10Dの外周縁の下方をほぼ取り囲むように取付板50に取り付けられる。油分捕集部材30Dは、円筒部の内壁の開口部となる油分誘導開口部32D’を備え、油分誘導開口部32D’が背面側に位置するようにレンジフード1Dに取り付けられる。
【0065】
油分捕集底部材33Dは、円筒部を形成する油分捕集部材30Dの下に当接し、円筒の底部の一部をなすように取り付けられ、油分捕集側部53Dや油分捕集部材30Dに付着し垂れてくる油分の受け皿となる。油分捕集底部材33Dは、最も背面側であって、油分捕集部材30Dの油分誘導開口部32D’と適合する位置に、油分誘導開口部32Dを有する。油分誘導開口部32D’は、油分捕集部材30Dの、フィルタ10Dの周囲を囲む円筒部の内壁に、その内壁の高さ全体に亘り設けられる。これにより、フィルタ10Dの回転が引き起こす旋回流により、油分捕集部材30Dの内面を流動する油分を確実に回収できる。なお、油分捕集部材30Dの油分誘導開口部32D’は円筒部の内壁に付着した油分を誘導する開口部であるのに対し、油分捕集底部材33Dの油分誘導開口部32Dは、円筒部の底部である油分捕集底部材33Dに付着した油分を油溜まり31Dへ誘導する開口部である。
【0066】
図16は、本実施例におけるフィルタユニット付近の断面図である。取付板50Dの一部をなす油分捕集側部53Dは、フィルタ10Dの外周縁を取り囲む。また、直径方向の断面がL字型の油分捕集部材30Dは、L字型の縦の部分が油分捕集側部53Dの円筒部の内壁と一致するように、取付板50Dの油分捕集側部53Dと組み合わされ、フィルタ10Dの外周縁の下方をほぼ取り囲む。油分捕集部材30Dは、油分捕集側部53Dの下に確実に取り付けられるので、両者の間から油分が漏れ出すことはない。油分捕集底部材33Dの上面は、油分捕集部材30DのL字型の横の部分と当接し、また、油分捕集底部材33Dの下面は、取付板50Dの下面と一致するように取り付けられる。
【0067】
図17は、本実施例におけるフィルタユニット付近の拡大断面図である。円筒部の側面の内壁の開口部となる油分誘導開口部32D’と、円筒部の底部の開口部となる油分誘導開口部32Dとが、対応する位置に存在する。これにより、油分捕集側部53Dや油分捕集部材30Dに付着し、フィルタ10Dの回転に伴いフィルタ10Dと油分捕集側部53Dや油分捕集部材30Dとの間の空間に発生した旋回流により、捕集した油分を固着させることなく迅速に油溜まりへ誘導し、回収することができる。
【0068】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。