(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353675
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】LED照明器具及びLED照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 7/22 20180101AFI20180625BHJP
F21K 9/27 20160101ALI20180625BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20180625BHJP
F21V 17/16 20060101ALI20180625BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20180625BHJP
F21S 8/04 20060101ALI20180625BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20180625BHJP
【FI】
F21V7/22
F21K9/27
F21S2/00 231
F21V17/16 300
F21V17/00 150
F21S8/04 120
F21Y115:10
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-60856(P2014-60856)
(22)【出願日】2014年3月24日
(65)【公開番号】特開2015-185374(P2015-185374A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年3月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(74)【代理人】
【識別番号】100161322
【弁理士】
【氏名又は名称】白坂 一
(72)【発明者】
【氏名】峯田 昌明
【審査官】
下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−053267(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3184896(JP,U)
【文献】
特開2010−212043(JP,A)
【文献】
特開2012−104324(JP,A)
【文献】
特開2013−084557(JP,A)
【文献】
特開2013−012305(JP,A)
【文献】
特開2007−266358(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3148721(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 7/22
F21K 9/27
F21S 2/00
F21S 8/04
F21V 17/00
F21V 17/16
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯具に取り付けられるLED照明器具であって、
光源となるLED基板を設置する本体と、
前記本体の前記LED基板のLED出射光側に装着される透光性カバーと、を備え、
前記本体の表面を白色とするとともに、
前記本体は半円筒形であり、かつ、前記本体は前記灯具の反射面と離間して取り付けられている
ことを特徴とするLED照明器具。
【請求項2】
前記本体の幅方向両端部に嵌合溝を有し、
前記透光性カバーの幅方向両端部に前記嵌合溝と嵌合する嵌合爪を有し、
前記嵌合溝の表面は白色である
ことを特徴とする請求項1に記載のLED照明器具。
【請求項3】
前記本体の表面を白色粉体塗装したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のLED照明器具。
【請求項4】
前記本体の表面を陽極酸化処理で白色にしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のLED照明器具。
【請求項5】
前記本体は下面部に前記LED基板が設置される設置部を備えた半円筒形であり、前記透光性カバーは上面部が開口した半円筒形であって、これら本体と透光性カバーの幅方向両端部を嵌着して略円筒状のランプ本体を構成したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のLED照明器具を取り付けるための灯具を備えており、該灯具は、前記透光性カバーを透過した前記LED基板のLED出射光を照射面方向に反射させる反射面を有していることを特徴とするLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば商用交流電源を用いて発光ダイオード(以下、LED(Light Emitting Diode)と適宜、称する)を点灯させるLED照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、白熱電球等の照明光源よりも発熱量、消費電力が少なく、長寿命なLEDを発光素子として利用した照明器具が開発されている。
【0003】
このような中、LEDを用いた照明器具において、より発光効率が高いものが求められるようになっている。
【0004】
既設の従来の灯具(ランプ取付具)に取り付けられた直管形蛍光ランプは、直管形蛍光ランプの円筒状の発光面の全面が発光し、直管形蛍光ランプの長手軸方向の軸から放射状に光を出射するため、床面側に出射された光のほか、床面と反対側の灯具側に出射された光が灯具の反射板によって床面側に反射される光もある。
【0005】
しかし、直管形LEDランプを上記と同じ構造の反射板を有する灯具に取り付けた場合、直管形蛍光ランプと異なり、直管形LEDランプの発光面は光源となるLED基板を設置する面を境として、床面側の半円筒部分だけである。そのため、直管形LEDランプから直接灯具の反射板に出射し反射板によって反射される光はないため、反射灯具の反射板によって床面側に反射される光は殆どなく反射板による床面側の光量増量は見込めず、発光効率が良いとはいえなかった。
【0006】
照明器具の発光効率の向上を企図する手段としては、例えば、特許文献1に記載されるように陽極酸化処理によってチタン・シリコン等でコーティングしたアルミ板材をシェードとして用いることにより、下方への光反射率を高めた直管形蛍光灯照明器具がある。しかしながら、この高反射率のシェードを既設の照明器具に適用する場合、既設の照明器具のシェードの寸法形状に合致したものを作成し、既設の照明器具のシェードを取り外し、高反射率のシェードを装着することになる。そのため、工事費が高価なものとなってしまうだけでなく、取り外したシェードの処分を行わねばならず、資源のムダを招き、省エネルギー化に疑義を生ずるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−184147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記背景技術を鑑みてなされたものであり、照明器具の発光効率を向上させるために他の部材を別途取り付けることなく、従来の灯具または既設の灯具に取り付けるだけで照明の効率を向上させることができるLED照明器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1の発明にあっては、
灯具に取り付けられるLED照明器具であって、光源となるLED基板を設置する本体と、前記本体の前記LED基板のLED出射光側に装着される透光性カバーと、を備え、前記本体の表面を白色と
するとともに、前記本体は半円筒形であり、かつ、前記本体は前記灯具の反射面と離間して取り付けられている。
【0010】
上記課題を解決するため、請求項2の発明にあっては、
前記本体の幅方向両端部に嵌合溝を有し、前記透光性カバーの幅方向両端部に前記嵌合溝と嵌合する嵌合爪を有し、前記嵌合溝の表面は白色である。
【0011】
上記課題を解決するため、請求項3の発明にあっては、
前記本体の表面を白色粉体塗装した。
【0012】
上記課題を解決するため、請求項4の発明にあっては、
前記本体の表面を陽極酸化処理で白色にした。
【0013】
上記課題を解決するため、請求項5の発明にあっては、
前記本体は下面部に前記LED基板が設置される設置部を備えた半円筒形であり、前記透光性カバーは上面部が開口した半円筒形であって、これら本体と透光性カバーの幅方向両端部を嵌着して略円筒状のランプ本体を構成した。
【0014】
上記課題を解決するため、請求項6の発明にあっては、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のLED照明器具を取り付けるための灯具を備えており、該灯具は、前記透光性カバーを透過した前記LED基板のLED出射光を照射面方向に反射させる反射面を有している。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来からの構成の灯具に本発明の直管形LED照明器具を取り付けるだけで、発光時に透光性カバーから出射した光のうち直接床面に向かわなかった光が、該灯具に設けた反射板あるいは反射面と本体表面との間で反射するとともに、反射板あるいは反射面で反射された光が床面側に向かうため発光効率が向上できる。
【0016】
また、LEDから透光性カバー内部に進行した光は、本体との結合部分において本体表面で吸収されることなく反射され透光性カバー外部へ脱し、床面を照射する光となるため発光効率が更に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例による直管形LED照明器具と灯具の部品構成を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施例による直管形LED照明器具と灯具を示す外観斜視図である。
【
図3】本発明の直管形LED照明器具の側面図である。
【
図5】直管形LED照明器具を灯具に取り付けた場合の光の反射状態を示す断面概略図であり、(a)は本発明の直管形LED照明器具と同形状の本体を白色にしていない場合の反射状態、(b)は本発明の直管形LED照明器具の反射状態である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の直管形LED照明器具1は、
図1に示すように、上面部が開口した半円筒形の長尺の透光性カバー11と、光源となる長尺のLED基板14が設置される下面部が開口した長尺の半円筒形の本体12とを有しており、これらは後述するように幅方向両端部が嵌合されて円筒状のランプ体を構成している(
図4)。このランプ体の両端部には、
図1、
図3に示すような口金13a、13bが装着されている。なお、本体12にはLEDを点灯駆動するための点灯装置(不図示)が収納されている。
【0019】
灯具2は、ランプを取り付けるための取付体となるものであり、この実施例では下面が開口した埋入型を使用している。灯具2は
図5に模式的に示すように、天井面3の開口部に埋入されるものであり、全体が略山形に形成され、下方(照射面方向)に向かって拡口した反射面22を有している。なお、灯具2の上面部には電源ケーブル23(
図1、
図2)が接続されている。
【0020】
直管形LED照明器具1は、
図2に示すように、灯具2のソケット21aに口金13aが、ソケット21bに口金13bが嵌入され電気的に接続されて灯具2に保持される。
【0021】
図3は本発明の直管形LED照明器具の側面図である。LED15が配設されたLED基板14は本体12の設置部16に設置され、LED15の出射光側を覆うように透光性カバー11が本体12に取り付けられる。
【0022】
本実施例では、本体12の幅方向の両端部に設けた嵌合溝12a、12bに、透光性カバー11の幅方向の両端部に設けた嵌合爪11a、11bが嵌合して透光性カバー11が取り付けられる。LED15を点灯させると出射光が透光性カバー11を透過して床面を直接照らす。一方、本発明の本体12は嵌合溝12a、12bを含む表面全面を白色に塗装しているため、LED15から出た光の一部は透光性カバー11を形成する材料内を光路Aや光路Bのように通過し嵌合溝12a、12bの表面で本体12の外側に反射される。
【0023】
本実施例では本体12の表面全面に白色を施しているが、必要であれば本体12の内面側に施しても良く、必要な領域だけに白色を施しても良い。また、ここでの「白色」とは色彩学上の白色又は白色系のみならず、LED光を反射できる金属色、鏡面仕様、等も含まれる。白色塗装の方法としては、粉体塗装、焼付塗装の他、浸漬塗装等があるが、嵌合溝12a、12bは狭くて細長い面で構成されている。また面と面の合わせ面は稜線となっている。粉体塗装では細長い面、稜線にかかわらず顔料が乗り、金属地肌が表面に現れないので反射効率が高い。しかし、焼付塗装や浸漬塗装等の溶剤型の塗装では、溶剤の表面張力により塗膜の中央部が膨らみその領域に顔料成分が引き込まれるため多くの顔料成分が分布するため、稜線部分にはあまり顔料成分が分布せず金属地肌が現れ反射効率が低下する。したがって、粉体塗装が最適である。
【0024】
実施例は白色塗装であるが、陽極酸化処理で白色にしても溶剤型の塗装で見られた稜線部分の金属地肌の出現がないため反射効率は高い。
【0025】
図5(a)、(b)は、灯具2にLED照明器具を取り付けた状態の断面概略図である。尚、この実施例では、灯具2は天井面3に埋め込まれている。
図5(a)は、本発明の直管形LED照明器具と同形状であるが本体12を白色にしていない場合の出射光の灯具2の反射面22に反射されている状態を矢印で示している。本体12に載置されたLED基板14に配設されたLED15からの出射光は殆どが透光性カバー11を透過し床面側に進む。LED15から両側の本体12の嵌合溝12a、12b側へ出射した光は灯具2に設けられた反射面22によって若干であるが床面側へ反射される。しかし、LED基板15よりも天井3の方向には光が進まず反射面22に反射される光は更に少ない。
【0026】
図5(b)は、本発明の直管形LED照明器具であり、本体12の表面を白色に塗装した場合の出射光の灯具2の反射面22に反射されている状態を矢印で示している。本体12に載置されたLED基板14に配設されたLED15からの出射光は殆どが透光性カバー11を透過し床面側に進む。一方、LED15から両側の本体12の嵌合溝12a、12b側へ出射した光は灯具2に設けられた反射面22によって床面側へ反射される。更に反射面22で反射された光のうち、灯具2の奥側に進んだ光は灯具2の反射面22で反射された後本体12の表面で反射され、灯具2の反射面22で反射され床面側に出射したり、再度本体12の表面で反射した後、灯具2の反射面22で床面側に出射されるように、本体12の白色塗装された表面が反射面となり、LED15から出射した光の殆どが床面側に出射することができる。
【0027】
このように、本体12の表面を白色塗装することで、従来無駄になっていた光が本体12の表面で反射され床面側へ出射されるため、床面側の照度が上昇し発光効率が向上したことになる。
【0028】
以上のように、照明器具の発光効率を向上させるために他の部材を別途取り付けることなく、従来の灯具または既設の灯具に取り付けるだけで照明の効率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、例えば、主に、事業所や店舗等の商業施設等の比較的広い施設の天井面に設置される直管形照明装置の灯具に広く適用することができ、他の部材を別途取り付けることなく、従来からの構成の灯具に取り付けるだけで照明の効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 直管形LED照明器具
2 灯具
11 透光性カバー
12 本体
13a、13b 口金
14 LED基板
15 LED
21a、21b ソケット
22 反射面
23 電源ケーブル