(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態に係るハイブリッド建設機械100について説明する。
【0011】
ハイブリッド建設機械100の動作は、流体圧制御システム101によって制御される。例えば、流体圧制御システム101は、油圧ショベルの掘削アタッチメントを駆動する各アクチュエータの作動を制御する装置である。以下では、流体圧制御システム101が油圧ショベルのブーム1(負荷)を駆動するブームシリンダ10の伸縮作動を制御する場合について説明する。
【0012】
流体圧制御システム101は、アクチュエータとしてのブームシリンダ10と、ブームシリンダ10へ作動油(作動流体)を供給する流体圧ポンプとしてのメインポンプ21と、を備える。流体圧制御システム101はさらに、パイロットポンプ22と、メイン制御弁30と、メイン通路23と、第1通路41と、第2通路42と、メインコントローラ50と、を備える。
【0013】
ブームシリンダ10の内部は、ブームシリンダ10内を摺動自在に移動するピストン13aによって、ロッド側圧力室11とボトム側圧力室12とに区画されている。一端がピストン13aに結合されるピストンロッド13bの他端には、ブーム1が連結されている。
【0014】
メインポンプ21及びパイロットポンプ22は、作動油を吐出する油圧供給源であって、斜板の傾斜角が調整可能な可変容量型ポンプである。メインポンプ21及びパイロットポンプ22は、ハイブリッド建設機械に搭載された原動機としてのエンジン8によって駆動される。エンジン8には、エンジン8の回転数を検出する回転数検出器としての回転数センサ9が設けられる。
【0015】
メインポンプ21の斜板の傾斜角は、傾斜角制御器20によって制御される。傾斜角制御器20は、メインコントローラ50により制御される。メインポンプ21の斜板の傾斜角を制御することでメインポンプ21の容量が変化し、メインポンプ21が吐出可能な作動油の流量の最大値が変化する。
【0016】
メインポンプ21から吐出された作動油は、メイン通路23を通じてメイン制御弁30に供給される。このようにメインポンプ21とメイン制御弁30とは、メイン通路23によって接続されている。メイン通路23には、メインポンプ21から吐出された作動油の他に、アシスト回生システム102のアシストポンプ61から吐出された作動油がアシスト通路62を通じて導かれる。また、メイン通路23には第1回生通路75が接続され、メインポンプ21から吐出された作動油は、第1回生通路75を通じてアシスト回生システム102の回生モータ71に供給される。
【0017】
メイン制御弁30とブームシリンダ10のロッド側圧力室11とは第1通路41によって接続され、メイン制御弁30とブームシリンダ10のボトム側圧力室12とは第2通路42によって接続される。第2通路42には、ボトム側圧力室12から排出された作動油の一部が流れ込む第2回生通路72が接続される。第2回生通路72に流入した作動油は、アシスト回生システム102の回生モータ71に供給される。
【0018】
メイン制御弁30は、ブームシリンダ10に対する作動油の給排を切り換えるものである。メイン制御弁30は、油圧ショベルの乗務員が操作レバーを手動操作することに伴ってパイロットポンプ22からパイロット弁24を通じてパイロット室31,32に供給される作動油のパイロット圧によって操作される。
【0019】
パイロット室31にパイロット圧が供給された場合には、メイン制御弁30は位置aに切り換わる。これにより、メインポンプ21から吐出される作動油が第1通路41を通じてロッド側圧力室11に供給され、ボトム側圧力室12の作動油が第2通路42を通じてタンクTへと排出される。その結果、ブームシリンダ10内のピストンロッド13が
図1中下側に移動し、ブームシリンダ10が収縮して、ブーム1が下降する。
【0020】
パイロット室32にパイロット圧が供給された場合には、メイン制御弁30は位置bに切り換わる。これにより、メインポンプ21から吐出される作動油が第2通路42を通じてボトム側圧力室12に供給され、ロッド側圧力室11の作動油が第1通路41を通じてタンクTへと排出される。その結果、ブームシリンダ10内のピストンロッド13が
図1中上側に移動し、ブームシリンダ10が伸長して、ブーム1が上昇する。
【0021】
一方、パイロット室31,32にパイロット圧が供給されない場合には、メイン制御弁30は位置cに切り換わる。これにより、ブームシリンダ10に対する作動油の給排が遮断される。その結果、ブームシリンダ10の伸縮が停止し、ブーム1は所定位置に保持される。
【0022】
このように、メイン制御弁30は、ブームシリンダ10を収縮させる収縮位置a、ブームシリンダ10を伸長させる伸長位置b、及びブームシリンダ10の負荷を保持する遮断位置cの3つの切り換え位置を有している。
【0023】
流体圧制御システム101は、アシスト回生システム102をさらに備える。アシスト回生システム102は、メインポンプ21から吐出される作動油又はブームシリンダ10収縮作動時にボトム側圧力室12から排出される作動油の油圧エネルギを電気エネルギとして回収する回生制御と、ブームシリンダ10伸長作動時に補助力を付与するアシスト制御と、を実行する。
【0024】
アシスト回生システム102は、回生モータ71と、モータジェネレータ81と、蓄電装置91と、インバータ82と、アシストポンプ61と、第1回生通路75と、第2回生通路72と、アシスト通路62と、を備える。
【0025】
モータジェネレータ81は、蓄電装置91の電力を駆動源として回転してアシストポンプ61を駆動する電動機としての機能と、回生モータ71の回転によって発電する発電機としての機能と、を有する回転電機である。
【0026】
モータジェネレータ81、回生モータ71、及びアシストポンプ61は、同軸回転する。モータジェネレータ81の回転軸が回転すると、回生モータ71及びアシストポンプ61の回転軸が連係して回転する。同様に、回生モータ71の回転軸が回転すると、モータジェネレータ81及びアシストポンプ61の回転軸が連係して回転する。
【0027】
回生モータ71は、斜板の傾斜角を制御することで、出力トルクの制御が可能な可変容量型モータである。回生モータ71は、メインポンプ21から吐出され第1回生通路75を通じて供給される作動油、又は、ブームシリンダ10のボトム側圧力室12から排出され第2回生通路72を通じて供給される作動油によって駆動される。回生モータ71の斜板の傾斜角は、傾斜角制御器73によって制御される。傾斜角制御器73は、メインコントローラ50により制御される。回生モータ71の斜板の傾斜角を制御することで回生モータ71の容量が変化し、回生モータ71が発生可能なトルクの最大値が変化する。
【0028】
第1回生通路75には、回生モータ71に対する作動油の供給と停止を切り換える第1切換弁76が設けられる。第1切換弁76は、メインポンプ21から回生モータ71に作動油を供給する連通位置fと、回生モータ71への作動油の供給を停止する遮断位置gと、を有する電磁弁であり、メインコントローラ50によって位置が切り換えられる。
【0029】
第2回生通路72には、回生モータ71に対する作動油の供給と停止を切り換える第2切換弁74が設けられる。第2切換弁74は、ブームシリンダ10のボトム側圧力室12から回生モータ71に作動油を供給する連通位置dと、回生モータ71への作動油の供給を停止する遮断位置eと、を有する電磁弁であり、メインコントローラ50によって位置が切り換えられる。
【0030】
アシストポンプ61は、斜板の傾斜角が調整可能な可変容量型ポンプである。アシストポンプ61は、モータジェネレータ81によって駆動され、アシスト通路62を通じてメイン通路23に作動油を供給する。アシストポンプ61の斜板の傾斜角は、傾斜角制御器63によって制御される。傾斜角制御器63は、メインコントローラ50により制御される。アシストポンプ61の斜板の傾斜角を制御することでアシストポンプ61の容量が変化し、アシストポンプ61が吐出可能な作動油の流量の最大値が変化する。
【0031】
アシスト通路62には、メイン通路23への作動油の供給と停止を切り換える第3切換弁64が設けられる。第3切換弁64は、アシストポンプ61からメイン通路23に作動油を供給する連通位置hと、メイン通路23への作動油の供給を停止する遮断位置iと、を有する電磁弁であり、メインコントローラ50によって位置が切り換えられる。本実施形態では、アシスト通路62に第3切換弁64を設けているが、これに代えて、メインコントローラ50によって開度が制御される電磁比例絞り弁と、その下流に設けられ、アシストポンプ61からメインポンプ21への作動油の流れのみを許容するチェック弁と、を設けてもよい。
【0032】
モータジェネレータ81は、インバータ82を介して蓄電装置91の蓄電器92に接続されている。
【0033】
インバータ82は、インバータコントローラ51によって制御され、直流を交流に又は交流を直流に変換する。モータジェネレータ81を電動機として機能させる場合は、インバータ82において、蓄電装置91から出力される直流電力が任意の周波数の三相交流電力に変換され、モータジェネレータ81に供給される。一方、モータジェネレータ81を発電機として機能させる場合には、インバータ82において、モータジェネレータ81から出力される三相交流電力が直流電力に変換され、蓄電装置91に供給される。
【0034】
インバータコントローラ51は、メインコントローラ50に接続されており、メインコントローラ50とCAN(Controller Area Network)通信を行う。インバータコントローラ51は、メインコントローラ50から送信される指示に従いインバータ82を制御するとともに、インバータ82の状態情報をメインコントローラ50に送信する。
【0035】
次に、
図2及び
図3を参照して、蓄電装置91について説明する。
図2は、蓄電装置91を長手方向において鉛直方向に切断した断面図であるが、蓄電器92の断面については省略して示している。
図3は、
図2のIII−III線に沿う断面図である。
【0036】
蓄電装置91は、充電と放電が可能な蓄電器92と、重量物である蓄電器92を収容するケーシング93と、を備える。蓄電装置91には、蓄電器92の充電状態の監視等を行う蓄電コントローラ52が接続されている。
【0037】
蓄電器92は、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池といった二次電池である。蓄電器92は、単体でもよいし、多数のセルを直列に接続したものでもよい。なお、蓄電器92としては、二次電池に限らず、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタなど、静電容量により電気エネルギを充放電するものを用いてもよい。
【0038】
ケーシング93は、底壁93aと側壁93bと頂壁93cとを有する六面体の箱状容器であり、ケーシング93内の底壁93a上に設けられ蓄電器92を所定の高さに支持する嵩上げブラケット94と、ケーシング93の底壁93aに固定されケーシング93を防振支持する防振部材96と、を備える。
【0039】
嵩上げブラケット94は、断面形状が略U字状の鋼材であり、上方には、蓄電器92が載置される平面部を有する。嵩上げブラケット94は、溶接等によってケーシング93の底壁93aに固定される。嵩上げブラケット94によって、蓄電器92はケーシング93の底壁93aから所定距離だけ離れた高さで支持されるため、蓄電器92の下面とケーシング93の底壁93aとの間には、嵩上げ空間95が形成される。嵩上げ空間95は、防振部材96をケーシング93の底壁93aに固定するために必要とされる空間である。すなわち、嵩上げブラケット94の高さは、底壁93aに固定される防振部材96が蓄電器92と干渉しないように設定される。嵩上げブラケット94は、U字状の鋼材に限定されず、蓄電器92が載置可能な形状を有していればどのような形状でもよい。
【0040】
防振部材96は、底壁93aを上下方向から挟持する一対のゴム部96aと、ゴム部96aに挿通固定される中空円筒状の金属筒96fと、中央に孔が形成され、金属筒96fに当接して配置される円板プレート97と、円板プレート97の孔と金属筒96fの中空部とを挿通し、ゴム部96aをケーシング93の設置面である車体フレーム99に対して固定する図示しないボルトと、を有する。本実施形態において、防振部材96は、2つの嵩上げブラケット94の間に位置し、底壁93aの四隅に配置されている。
【0041】
ゴム部96aは、ゴム等の弾性材料で形成される弾性体であり、大径部96bと、大径部96bから突出して形成され大径部96bと比較して小径の小径部96cと、大径部96bと小径部96cとの間に形成される円環状の肩面96dと、大径部96bと小径部96cに渡って設けられ、金属筒96fが挿通固定される貫通孔96eと、を有する。小径部96cは、底壁93a及び後述のスペーサ部材98に形成された貫通孔93dに嵌入可能な外径を有している。肩面96dは、小径部96cが貫通孔93dに嵌入されたときに、対向する他のゴム部96aの肩面96dとともに底壁93a及びスペーサ部材98を挟持する。
【0042】
スペーサ部材98は、底壁93aの下面に溶接等により固定されており、一対のゴム部96aに挟持される底壁93aの肉厚を補完するとともに、貫通孔93dの周囲の底壁93aを補強する。スペーサ部材98は、嵩上げブラケット94の下方まで延設されており、嵩上げブラケット94が溶接固定される部分の底壁93aも補強している。底壁93aが十分な厚さを有していればスペーサ部材98は設けなくともよい。
【0043】
次に、防振部材96のケーシング93への組付手順及びケーシング93の車体フレーム99への固定手順について説明する。まず、一対のゴム部96aの小径部96cが、底壁93aの上方向と下方向とから底壁93a及びスペーサ部材98に形成された貫通孔93dにそれぞれ嵌入される。嵌入された小径部96cの先端面は、貫通孔93d内において、互いに当接する。これとともに、対向するゴム部96aの肩面96dによって、底壁93a及びスペーサ部材98が挟持される。次に、ゴム部96aの貫通孔96eに、金属筒96fが挿通固定される。続いて、上方から円板プレート97を介して、図示しないボルトが金属筒96fの中空部に挿通される。このボルトと車体フレーム99に設けられる図示しないナット部材とを結合することによって、防振部材96は、ケーシング93の底面93aに固定されるとともにケーシング93の設置面である車体フレーム99に固定される。この結果、ケーシング93は防振部材96のゴム部96aを介して車体フレーム99に防振支持される。なお、金属筒96fは、上記構成に限定されず、各ゴム部96aに予め挿通固定されていてもよい。また、車体フレーム99側にスタッドボルトを設け、円板プレート97側にナット部材を設け、これらを結合することによりケーシング93を車体フレーム99に固定してもよい。
【0044】
通常、防振部材を介してケーシングをケーシング設置面に防振支持する場合、防振部材を設置するためのブラケットをケーシングの横方向や下方向に追加する必要がある。しかしながらブラケットを追加すると、ケーシングが横方向や下方向に大型化してしまい、搭載性が悪化してしまうとともにケーシングの製造コストが増加してしまう。これに対して、本実施形態では、
図2及び
図3に示されるように、ケーシング93内に収容される重量物である蓄電器92を嵩上げして配置し、嵩上げによって形成される嵩上げ空間95内に防振部材96の一部が配置される。具体的には、上方から貫通孔93dに嵌入されるゴム部96a,金属筒96f,円板プレート97及びボルトの一部が嵩上げ空間95内に配置される。このように、本実施形態では、ブラケットを追加することなく、ケーシング93に防振部材96を設けることが可能であるため、ケーシング93をコンパクトにすることができる。
【0045】
次に、防振部材96の配置の変形例について説明する。
図4に示される変形例1において、防振部材96は、嵩上げブラケット94とケーシング93の側壁93bとの間に配置される。防振部材96は、重量物である蓄電器92の重心から離れた位置に配置されるため、防振性を向上することができる。
【0046】
図5に示される変形例2において、防振部材96は、嵩上げブラケット94の内部に配置される。この場合、嵩上げブラケット94の上面には、防振部材96を固定するボルトを締め付けるために、図示しない工具用孔が設けられる。防振部材96は、嵩上げブラケット94の内部というデッドスペースに配置されるため、他の嵩上げ空間95を蓄電装置91に関連する他の装置等を配置するために有効利用することができる。
【0047】
防振部材96は、底壁93aの四隅だけではなく、中央付近に追加して配置してもよい。防振部材96は、嵩上げ空間95内にその一部が配置されていれば、その個数や位置は自由に設定される。また、防振部材96は、上記構成のものに限らず、ケーシング93の底壁93aに固定されるとともに車体フレーム99に固定され、ゴムのような弾性部材を介してケーシング93を車体フレーム99に対して防振支持可能なものであれば、どのような構成のものでもよい。
【0048】
蓄電コントローラ52は、インバータコントローラ51と同様に、メインコントローラ50とCAN通信を行う。蓄電コントローラ52は、メインコントローラ50から送信される指示に従いケーシング93内に配置された図示しない電子機器を制御するとともに、蓄電装置91の状態情報、例えば、蓄電器92の充電状態をメインコントローラ50に送信する。
【0049】
次に、
図1を参照して、ハイブリッド建設機械の流体圧制御システム101の作用について説明する。
【0050】
まず、ブーム1の下降時に、必要に応じて実施されるアシスト回生システム102による回生制御について説明する。
【0051】
油圧ショベルの乗務員によってブームシリンダ10を収縮させるレバー操作が行われると、メイン制御弁30は収縮位置aに切り換わる。これにより、ブームシリンダ10のロッド側圧力室11に作動油が供給されるとともに、ボトム側圧力室12から作動油が排出される。
【0052】
この時、蓄電装置91が充電可能な状態にある場合、第2切換弁74が連通位置dに切り換えられ、ボトム側圧力室12から排出される作動油の一部が、第2回生通路72を通じて回生モータ71に供給される。同時に、アシストポンプ61の容量が最小となるように、アシストポンプ61の斜板の傾斜角が制御される。
【0053】
これにより、回生モータ71に同期してモータジェネレータ81が回転するため、モータジェネレータ81にて発電が行われ、蓄電装置91が充電される。つまり、ブームシリンダ10から排出される作動油の油圧エネルギが電気エネルギに変換される。
【0054】
一方、蓄電装置91が例えば満充電状態であり充電可能な状態にない場合には、第2切換弁74が遮断位置eに切り換えられ、ブームシリンダ10のボトム側圧力室12から排出される作動油は全て第2通路42を通じてタンクTへと排出される。
【0055】
次に、メインポンプ21から供給される作動油によって実施されるアシスト回生システム102による回生制御について説明する。
【0056】
油圧ショベルの乗務員によるレバー操作がない状態では、メイン制御弁30は遮断位置cとなり、油圧ショベルに搭載されるブームシリンダ10を含む各アクチュエータは停止した状態となる。この状態でも、メインポンプ21は、エンジン8の回転によって駆動を維持し、スタンバイ状態となる。
【0057】
油圧ショベルの乗務員によるレバー操作がない状態、つまり油圧ショベルに搭載されるブームシリンダ10を含む各アクチュエータが停止した状態が所定時間継続した場合には、第2切換弁74が遮断位置eに切り換えられると共に、第1切換弁76が連通位置fに切り換えられ、スタンバイ状態のメインポンプ21から吐出された作動油は、第1回生通路75を通じて回生モータ71に供給される。同時に、アシストポンプ61の容量が最小となるように、アシストポンプ61の斜板の傾斜角が制御される。
【0058】
これにより、回生モータ71に同期してモータジェネレータ81が回転するため、モータジェネレータ81にて発電が行われ、蓄電装置91が充電される。このように、スタンバイ状態のメインポンプ21から吐出される作動油は、タンクTに直接戻されるのではなく、回生モータ71に導かれて有効利用されてからタンクTに戻される。つまり、メインポンプ21から吐出される作動油の油圧エネルギが電気エネルギに変換される。
【0059】
以上のように、油圧ショベルの乗務員によるレバー操作がない状態が所定時間継続した場合には、メインポンプ21から吐出される作動油にて回生モータ71が回転することによってモータジェネレータ81が発電機として機能して蓄電装置91が充電されるスタンバイ充電が行なわれる。スタンバイ充電の際には、メインポンプ21の容量がスタンバイ充電に最適となるように制御されると共に、エンジン8の回転数もスタンバイ充電に最適となるように制御されるため、メインポンプ21から吐出される作動油の流量は変動の少ない安定したものとなる。このように、スタンバイ充電では、メインポンプ21から安定して吐出される作動油によって回生が行なわれるため、ブーム1の下降時に行われる回生と比較して、充電電流の変動が小さく、安定した連続充電が行なわれる。
【0060】
次に、ブーム1の上昇時に、必要に応じて実施されるアシスト回生システム102によるアシスト制御について説明する。
【0061】
油圧ショベルの乗務員によってブームシリンダ10を伸長させるレバー操作が行われると、メイン制御弁30は伸長位置bに切り換わる。これにより、ブームシリンダ10のボトム側圧力室12に作動油が供給されるとともに、ロッド側圧力室11の作動油が第1通路41を介してタンクTへと排出される。
【0062】
メインポンプ21等を駆動するエンジンは運転効率の良い所定の回転速度及び負荷で運転しているため、ブームシリンダ10を素早く伸長させたい場合に、メインポンプ21による吐出流量のみでは、ボトム側圧力室12に供給する作動油の流量が不足することがある。そのような場合に、アシスト回生システム102によるアシスト制御が実行される。
【0063】
アシスト制御時には、第3切換弁64を連通位置hに切り換えると共に、モータジェネレータ81を電動機として駆動して、アシストポンプ61を駆動する。同時に、回生モータ71のトルクが最小となるように、回生モータ71の斜板の傾斜角が制御される。これにより、アシストポンプ61から吐出された作動油はアシスト通路62を通じてメイン通路23に合流するため、ブームシリンダ10伸長作動時にアシストポンプ61による補助力を付与することができる。したがって、ブームシリンダ10を素早く伸長させることが可能となる。このように、モータジェネレータ81が電動機として機能する場合には、蓄電装置91がブームシリンダ10(駆動体)の駆動源として機能する。
【0064】
以上の実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0065】
本実施形態では、重量物である蓄電器92を嵩上げしてケーシング93内に収容し、嵩上げブラケット94により形成された嵩上げ空間95内に防振部材96の一部が配置されている。このため、ケーシング93に伝わる振動を防振部材96により抑制することができるとともに、防振部材96を固定するブラケット等をケーシング93の外部に設ける必要がないのでケーシング93をコンパクトにすることができる。
【0066】
また、防振部材96を、蓄電器92が載置される2つの嵩上げブラケット94の間に配置することにより、ケーシング93の横方向の大きさを蓄電器92を収容するために必要な最低限の大きさに設定することが可能となる。このため、ケーシング93をコンパクトにすることができる。
【0067】
また、防振部材96を、嵩上げブラケット94とケーシング93の側壁93bとの間に配置することにより、重量物である蓄電器92の重心から離れた位置に防振部材96が配置されるため、防振性を向上することができる。
【0068】
また、蓄電装置91はゴム部96aを介して車体フレーム99に固定されるため、車体フレーム99から蓄電装置91へ伝わる上下方向と水平方向の振動を低減することができる。特に、蓄電装置91は電子回路を有するため、回路素子を振動から保護することができる。また、建設機械の場合、作業中は車体の振動が大きくなるが、防振部材96によりケーシング93に伝わる振動を抑制することができる。
【0069】
また、ハイブリッド建設機械100では、蓄電装置91以外にインバータ82などハイブリッドに関連する装置を限られたスペースに搭載しなければならないが、蓄電装置91がコンパクトになることにより、これらの搭載性を向上させることができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。