特許第6353721号(P6353721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353721
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20060101AFI20180625BHJP
   G02B 7/04 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   G03B5/00 J
   G02B7/04 E
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-135440(P2014-135440)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-14704(P2016-14704A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118898
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 立昌
(72)【発明者】
【氏名】松久 治可
【審査官】 渡邉 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−117457(JP,A)
【文献】 特開2008−191497(JP,A)
【文献】 特開平09−237426(JP,A)
【文献】 特開2009−009027(JP,A)
【文献】 特開2012−032607(JP,A)
【文献】 特開2013−044924(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0050828(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0309282(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 − 7/16
G03B 5/00 − 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ枠と、
該レンズ枠を駆動方向に対して弾性支持する支持部と、
前記レンズ枠を光軸方向と光軸に交差する方向の一方又は両方に駆動する駆動部とを備え、
前記支持部は、前記レンズ枠を光軸周りに囲む支持部材を備え、
前記レンズ枠の外側面と前記支持部材の内側面に、一方に突出部を設けて他方に凹部を設け、前記凹部内に接触すること無く前記突出部を配置することで前記凹部と前記突出部との間に粘着性部材を溜める粘着性部材収容部を設け
前記支持部材が、前記レンズ枠を光軸と交差する方向に駆動するための可動支持部材であることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記レンズ枠の外側面には光軸周りにコイルが巻かれており、前記突出部は、前記コイルの巻き範囲の外側に突出するフランジ部から突出していることを特徴とする請求項記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記突出部の中央外側面と前記凹部の中央内側面との間には、光軸方向に沿って粘着性部材を溜める前記粘着性部材収容部が設けられることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記凹部は、前記レンズ枠の光軸方向に沿った可動範囲に対して前記突出部が底付きしない底面を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載されたレンズ駆動装置を備えたカメラ。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載されたレンズ駆動装置を備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コイルとマグネットからなる電磁駆動式の駆動部を備えるレンズ駆動装置が知られている。このようなレンズ駆動装置には、レンズ枠を光軸方向に沿って駆動するオートフォーカス用の駆動装置と、レンズ枠を光軸方向に交差する方向に駆動する手振れ補正用の駆動装置があり、下記特許文献1に記載されたカメラは、オートフォーカス用の駆動装置と手振れ補正用の駆動装置を合わせて備えている。
【0003】
このようなレンズ駆動装置は、レンズ枠が板バネなどの弾性支持部材を介して支持部材に取り付けられており、駆動部が発生する推力と弾性支持部材の弾性力が釣り合ったところでレンズ枠の位置を制御する。下記特許文献1に記載された従来技術は、オートフォーカス用レンズ駆動装置全体を、光軸に直交し、かつ互いに直交する第1の方向(X方向)及び第2の方向(Y方向)に移動させることにより、手振れ補正を行うようにした手振れ補正装置であって、オートフォーカス用レンズ駆動装置の底面部で離間して配置されたベースと、このベースの外周部で一端が固定され、光軸に沿って延在し、オートフォーカス用レンズ駆動装置全体を第1の方向(X方向)及び第2の方向(Y方向)に揺動可能に支持する複数本のサスペンションワイヤを備えている。
【0004】
また、この従来技術は、フォーカスコイルが周囲に巻かれたレンズ枠が、オートフォーカス用の板バネを介してレンズ枠の周囲に配置されるマグネットホルダに支持されており、レンズ枠の前端を支持する板バネの外周部にサスペンションワイヤの前端が固定されている。これによりオートフォーカス用レンズ駆動装置は、板バネを介してレンズ枠を弾性支持するマグネットホルダが光軸方向に延在する複数のサスペンションワイヤの前端に宙吊り状態で支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−65140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のレンズ駆動装置は、レンズ枠が板バネなどの弾性支持部材を介して支持されているため、レンズ枠が光軸に対して交差する方向の力を受けると、レンズ枠に振動が発生し、レンズ枠を安定して光軸方向に動かすことができなくなる。また、前述したように手ぶれ補正を行うものでは、手ぶれ補正のための駆動がレンズ枠の振動の振動源になるので、レンズ枠を光軸方向に沿って安定的に動かすことがより難しくなる。特に、レンズ駆動装置の小型化・軽量化の要求によって駆動部が小型化されて推力が小さくなっており、これに対応するためには板バネの力量を弱くする必要があるが、このような事情によってもレンズ枠は振動が生じ易くなっている。
【0007】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、レンズ枠の振動を抑制してレンズ枠を光軸方向に安定的に動かすこと、板バネの力量に影響を与えること無くレンズ枠の振動を効果的に抑制すること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明によるレンズ駆動装置は、以下の構成を具備するものである。
レンズ枠と、該レンズ枠を駆動方向に対して弾性支持する支持部と、前記レンズ枠を光軸方向と光軸に交差する方向の一方又は両方に駆動する駆動部とを備え、前記支持部は、前記レンズ枠を光軸周りに囲む支持部材を備え、前記レンズ枠の外側面と前記支持部材の内側面に、一方に突出部を設けて他方に凹部を設け、前記凹部内に接触すること無く前記突出部を配置することで前記凹部と前記突出部との間に粘着性部材を溜める粘着性部材収容部を設け、前記支持部材が、前記レンズ枠を光軸と交差する方向に駆動するための可動支持部材であることを特徴とするレンズ駆動装置。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置の分解斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る全体構成を示した説明図((a)が平面図、(b)が(a)のX−X断面図)である。
図3】本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置における可動支持部材と板バネを示した説明図((a)が前側板バネ11,12をレンズ枠2と可動支持部材10に装着した状態を示した平面図であり、(b)が前側板バネ11,12を外した状態のレンズ枠2と可動支持部材10の平面図)である。
図4】本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置におけるレンズ枠の周囲に配置される可動支持部材と板バネ(前側板バネ11,12)の側面図である。
図5】粘着性部材溜まりを形成する突出部と凹部を詳細に示した説明図((a)が平面図、(b),(c)が(a)のX−X断面図)である。
図6】本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置を備えた電子機器を示した説明図((a)がカメラ、(b)が携帯情報端末)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置の分解斜視図を示しており、図2は、本発明の実施形態に係る全体構成を示している((a)が平面図、(b)が(a)のX−X断面図)。
【0011】
レンズ駆動装置1は、レンズ枠2、支持部3、駆動部4を備えている。レンズ枠2は、図示省略したレンズバレルを取り付けるレンズバレル取り付け口2Sを備える。レンズバレル取り付け口2Sの中心軸がレンズの光軸になる。以後、レンズの物体側を「前」として説明し、レンズの像側を「後」として説明する。図においては、光軸方向をZ方向で示し、光軸に交差する方向をX,Y方向で示す。
【0012】
駆動部4は、レンズ枠2を光軸方向と光軸に交差する方向の一方又は両方に駆動する。図示の例は、光軸方向に駆動するオートフォーカス用の駆動部と光軸に交差する方向に駆動する手振れ補正用の駆動部を備える例を示しているが、これに限らずオートフォーカス用の駆動部のみであってもよい。図示の例では、駆動部4は、レンズ枠2の外側面に光軸周りに巻かれたフォーカスコイル20、レンズ枠2の周囲に配置される4個のマグネット21、4個のマグネット21のうち磁界の方向が直交する2個の後方にそれぞれ配置される手振れ補正コイル22(22A,22B)を備えている。
【0013】
支持部3は、レンズ枠2を駆動部4の駆動方向に対して弾性支持する。駆動部4の推力と支持部3の弾性力の釣り合いでレンズ枠2の位置が制御される。図示の例は、レンズ枠2を光軸方向と光軸に交差する方向に沿って弾性的に支持する例を示しているが、これに限らず、レンズ枠2を光軸方向にのみ弾性的に支持するものであってもよい。
【0014】
図示の例では、支持部3は、可動支持部材10、前側板バネ(板バネ)11,12、後側板バネ(板バネ)13、支持ワイヤー14、ベース支持部材15を備えている。可動支持部材10は、レンズ枠2を光軸周りに囲んで、レンズ枠2を光軸方向に弾性支持し、自身が光軸と交差する方向に弾性支持される。図示の可動支持部材10は光軸周りに角部を有する矩形状になっており、角部が前述したマグネット21を保持するマグネット保持部10Pになっている。
【0015】
可動支持部材10の前端取り付け部10A,10Bには、前側板バネ11の外側取り付け部11A,11Bが取り付けられ、前側板バネ11の内側取り付け部11Cがレンズ枠2の前面2Aに設けられる前側取り付け部2A1に取り付けられる。可動支持部材10の前端取り付け部10C,10Dには、前側板バネ12の外側取り付け部12B,12Aが取り付けられ、前側板バネ12の内側取り付け部12Cがレンズ枠2の前面2Aに設けられる前側取り付け部2A2に取り付けられる。
【0016】
前側板バネ11は、外側取り付け部11A,11Bと内側取り付け部11Cとの間に弾性部11D,11Eを備えており、同様に、前側板バネ12は、外側取り付け部12A,12Bと内側取り付け部12Cとの間に弾性部12E,12Dを備えている。
【0017】
可動支持部材10の後端取り付け部10Eには、後側板バネ13の外側取り付け部13Aが取り付けられ、後側板バネ13の内側取り付け部13Bがレンズ枠2の後面に設けられる後側取り付け部2Cに取り付けられる。後側板バネ13は、外側取り付け部13Aと内側取り付け部13Bの間に弾性部13Cを備えている。
【0018】
レンズ枠2の前側が、弾性部11D,11E,12D,12Eを備える前側板バネ11,12を介して可動支持部材10の前側に支持されており、レンズ枠2の後側が弾性部13Cを備える後側板バネ13を介して可動支持部材10の後側に支持されている。これによって、光軸方向の駆動に対してはレンズ枠2が可動支持部材10に弾性的に支持されている。
【0019】
ベース支持部材15は、レンズ枠2及び可動支持部材10の後側に配置され、底板15Bにレンズを通った光を通過させる中央開口15Aを備えている。図示の例では、ベース支持部材15は、可動支持部材10と同様に、光軸周りに角部を有する矩形状になっており、角部にワイヤー保持部15Cを備えている。
【0020】
支持ワイヤー14(14A,14B,14C,14D)は、湾曲に対して弾性を有しており、後端がベース支持部材15のワイヤー保持部15Cに保持されて光軸に沿って立設されている。そして、支持ワイヤー14A,14B,14C,14Dの前端は、可動支持部材10に取り付けられている前側板バネ11,12の外側取り付け部11A,12A,11B,12Bに取り付けられており、支持ワイヤー14がレンズ枠2を弾性支持する可動支持部材10を宙吊り状に支持している。これによって、レンズ枠2は支持ワイヤー14の弾性的な湾曲によって光軸に交差する方向の駆動に対して弾性的に支持されている。
【0021】
ベース支持部材15は、外部接続端子15Fを備え、底板15Bに外部接続端子15Fと接続する回路を備えることで、駆動部4への給電端部を構成している。独立した複数の端子を有する外部接続端子15Fの一部は、底板15Bが備える回路を経由してベース支持部材15のコイル支持部15Dに支持される手振れ補正コイル22(22A,22B)の両端に接続されており、この手振れ補正コイル22の給電端子になっている。
【0022】
また、外部接続端子15Fの一部は、底板15Bが備える回路からワイヤー保持部15Cに保持された支持ワイヤー14A,14Bと前側板バネ11,12を経由してフォーカスコイル20の両端に接続されており、このフォーカスコイル20の給電端子になっている。
【0023】
更に、外部接続端子15Fの一部は、底板15Bが備える回路を経由してベース支持部材15のセンサー支持部15Eに支持される位置検出センサー6(6A,6B)に接続されており、位置検出センサー6(6A,6B)の入出力端子になっている。
【0024】
フォーカスコイル20と手振れ補正コイル22への給電をそれぞれ独立して制御することで、レンズ枠2のフォーカス制御と手振れ補正制御をそれぞれ行うことができる。その際、手振れ補正制御は位置検出センサー6(6A,6B)の検出信号によるフィードバック制御がなされる。ベース支持部材15の後方にはフィルター枠Fが装着され、更にその後方には図示省略した撮像素子が装着される。また、可動支持部材10の外周を囲むように中央開口5Aを備える保護枠5がベース支持部材15に装着されている。
【0025】
図3及び図4は、レンズ枠2の周囲に配置される可動支持部材10と板バネ(前側板バネ11,12)を示している。図3(a)が前側板バネ11,12をレンズ枠2と可動支持部材10に装着した状態を示した平面図であり、図3(b)が前側板バネ11,12を外した状態のレンズ枠2と可動支持部材10の平面図である。図4は、レンズ枠2の周囲に配置される可動支持部材10と板バネ(前側板バネ11,12)の側面図である。
【0026】
前側板バネ11,12の外側取り付け部11A,11B,12A,12Bは、支持ワイヤー14の先端に固定される角部40と、可動支持部材10の前端に固定される固定部41と、固定部41と角部40とを弾性的に連結する一対の腕部42と、一対の腕部42間を連結する連結部43とを備えている。角部40は、可動支持部材10の角部10Hに対応した位置に配置されており、略三角形状の外側取り付け部11A,11B,12A,12Bの頂点に位置している。固定部41は、略三角形状の外側取り付け部11A,11B,12A,12Bの中央部に位置しており、可動支持部材10の前端取り付け部10A,10B,10C,10Dにおける取り付け面10Jに固定されている。
【0027】
一対の腕部42は、略三角形状の外側取り付け部11A,11B,12A,12Bの外周部に位置しており、可動支持部材10の前端に固定される固定部41に対して角部40の位置を上下に変位できるように、固定部41と角部40とを弾性的に連結している。連結部43は、一対の腕部42の間をアーチ状に連結しており、連結部43と角部40との間には開口が形成されている。
【0028】
これに対して、前側板バネ11,12の外側取り付け部11A,11B,12A,12Bが取り付けられる可動支持部材10の前端取り付け部10A,10B,10C,10Dは、角部10Hが平面視で凹状に形成されてその内側が支持ワイヤー14の配置スペースになっており、その上に前側板バネ11,12の角部40が配置されて支持ワイヤー14の先端に固定されている。角部10Hの近接位置には、前側板バネ11,12の一対の腕部42の外側に突出するように回転止め凸部10Gが角部10H毎に一対設けられ、この回転止め凸部10Gによって前側板バネ11,12の腕部42などが保護されている。
【0029】
そして、可動支持部材10の前端取り付け部10A,10B,10C,10Dには、前側板バネ11,12における一対の腕部42の下に位置して腕部42との間に隙間を設ける段部10Kと、前側板バネ11,12における連結部43の下に位置して連結部43に沿って凹んだ粘着性部材溜まり10Lが設けられている。
【0030】
可動支持部材10における段部10Kは、前側板バネ11,12の固定部41が固定される取り付け面10Jから一段下がって形成され、前側板バネ11,12における腕部42の湾曲を許容するだけの凹みを有している。また、粘着性部材溜まり10Lは取り付け面10Jから下がって段部10Kの凹みより更に深い凹みを有しており、粘着性部材溜まり10Lの外側には取り付け面10Jと面一の高さを有する壁部10Nが設けられている。この壁部10Nは前側板バネ11,12の角部40と連結部43の間の開口内に位置している。粘着性部材溜まり10Lには振動減衰用の粘着性部材が溜められ、その粘着性部材が粘着性部材溜まり10L上に位置する前側板バネ11,12の連結部43に接触するように溜められる。
【0031】
粘着性部材溜まり10Lは、取り付け面10Jとの段差が内壁になっており、壁部10Nとの段差が外壁になっている。更に粘着性部材溜まり10Lは、段部10Kとの段差が左右の壁になっている。このように粘着性部材溜まり10Lは周囲に壁を有する凹みになっているので、その中に溜められて比較的高い粘性を有する振動減衰用の粘着性部材は、外に流れ出ること無く粘着性部材溜まり内に収まった状態を維持することができる。
【0032】
可動支持部材10の内側に配置されるレンズ枠2には、その外側面の四方にストッパー突起2Bと振動減衰用の突出部30を設けており、可動支持部材10には、そのストッパー突起2Bに対応してストッパー受け10Mを設け、突出部30に対応して内側面に凹部31を設けている。可動支持部材10に設けられたストッパー受け10Mは、レンズ枠2に設けられたストッパー突起2Bが当たることで、可動支持部材10内でのレンズ枠2の過剰な動きを規制している。レンズ枠2の光軸方向の可動範囲は、ストッパー受け10Mの底面10M1にストッパ突起2Bのストッパ面2B2が当たることで規制されており、レンズ枠2の光軸に交差する方向の可動範囲はストッパー受け10Mの側面にストッパ突起2Bのストッパ面2B1が当たることで規制されている。
【0033】
可動支持部材10に設けた凹部31とその中に突出する突出部30との間には振動減衰用の粘着性部材が収容する粘着性部材収容部32が設けられ、この粘着性部材によってレンズ枠2の不要な振動を抑制している。ここでは、可動支持部材10の内側面に凹部31を設けてレンズ枠2の外側面に突出部30を設けているが、その逆に、レンズ枠2の内側面に凹部31を設けて可動支持部材10の外側面に突出部30を設けてもよい。
【0034】
図5は、粘着性部材収容部32を形成する突出部と凹部を詳細に示した説明図((a)が平面図、(b),(c)が(a)のX−X断面図)である。凹部31は突出部30に対して広い幅を備えており、光軸に交差する方向における凹部31内での突出部30との隙間S1,S2は、光軸に交差する方向におけるレンズ枠2の可動範囲より大きく設定されている。また、光軸方向における凹部31の底面33と突出部30の底面との隙間S3も、光軸方向におけるレンズ枠2の可動範囲より大きく設定されており、凹部31は、レンズ枠2の光軸方向に沿った可動範囲に対して突出部30が底付きしない底面33を有している。これによって、常時凹部31内に接触すること無く突出部30が配置されている。ここで、可動支持部材10に対するレンズ枠2の可動範囲は、前述したストッパー突起2Bとストッパー受け10Mによって規制されている。
【0035】
そして、突出部30の中央外側面と凹部31の中央内側面との間には、光軸方向に沿って粘着性部材Gを溜める粘着性部材収容部32が設けられている。突出部30の中央先端には先端凹部30Aが形成されており、この先端凹部30Aと凹部31の内面との間が粘着性部材収容部32になる。レンズ枠2の外側面には光軸周りにフォーカスコイル20が巻かれているが、突出部30は、フォーカスコイル20の巻き範囲の外側に突出するフランジ部34から突出して形成されている。
【0036】
このように可動支持部材10内に配置されるレンズ枠2は、可動支持部材10に直接接触すること無く、光軸方向に沿って移動できるようになっており、これによってレンズ枠2の光軸方向に沿った駆動力の低減を図っている。また、可動支持部材10とレンズ枠2との間には、突出部30と凹部31との間に振動減衰用の粘着性部材Gを溜める粘着性部材収容部32が形成されているので、レンズ枠2に振動が生じてもこの振動を速やかに減衰させることができ、レンズ枠2を振れなく安定して動作させることができる。
【0037】
凹部31内に配置される突出部30は、常時凹部31の内面に突出部30が接触しないように可動範囲が規制されているので、突出部30と凹部31との間に配置される粘着性部材Gが衝撃や振動によって凹部31の外に流れ出すことがない。
【0038】
また、可動支持部材10内でのレンズ枠2のオートフォーカス動作において、可動支持部材10に対してレンズ枠2が最もベース支持部材15側に移動した場合でも、図5(c)に示すように凹部31の底面33と突出部30の底面との隙間S3が確保されているので、レンズ枠2のオードフォーカス動作によって凹部31内の粘着性部材Gが外に流れ出すことがない。また常時隙間S3が確保されていることで、オートフォーカス動作でレンズ枠2が図5(c)に示すように末端まで移動した場合にも再度の始動時にヒステリシスが発生しない。
【0039】
レンズ枠2に設けられる突出部30は、フォーカスコイル20の巻き範囲の外側に突出するフランジ部34から突出しているので、フォーカスコイル20の巻き方向に沿って粘着性部材Gが流れて拡がってしまうような不具合も生じない。
【0040】
このように本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置1は、レンズ枠2の振動を抑制してレンズ枠2を光軸方向に安定的に動かすことができ、レンズ枠2を弾性的に支持する板バネの力量に影響を与えること無くレンズ枠2の振動を効果的に抑制することができる。
【0041】
図6は、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置1を備えた電子機器を示している。本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置1は、図5(a)に示したカメラ100に搭載することで、小型化が可能になると共に、高いオートフォーカス性能或いは手振れ補正性能を得ることができる。また、図5(b)に示した携帯情報端末(携帯電話、スマートフォンなどを含む)200に搭載することで、機器全体の薄型化、カメラ機能部分の高機能化及び省スペース化が可能になる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。なお、前述した実施形態における粘着性部材は、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂、グリスなどで、制振性を有する部材であればよい。
【符号の説明】
【0043】
1:レンズ駆動装置,2:レンズ枠,2A:前面,
2B:ストッパー突起,2B1,2B2:ストッパー面,
2A1,2A2:前側取り付け部,2S:レンズバレル取り付け口,
2C:後側取り付け部,
3:支持部,4:駆動部,5:保護枠,5A:中央開口,
6(6A,6B):位置検出センサー,
10:可動支持部材,10A,10B,10C,10D:前端取り付け部,
10E:後端取り付け部,10P:マグネット保持部,
10F:外周面,10G:回転止め凸部,10H:角部,
10J:取り付け面,10K:段部,10L:粘着性部材溜まり,
10M:ストッパー受け
11,12:前側板バネ(板バネ),
11A,11B,12A,12B:外側取り付け部,
11C,12C:内側取り付け部,
11D,11E,12D,12E:弾性部,
13:後側板バネ(板バネ),
13A:外側取り付け部,13B:内側取り付け部,
13C:弾性部,14(14A,14B,14C,14D):支持ワイヤー,
15:ベース支持部材,15A:中央開口,15B:底板,
15C:ワイヤー保持部,15D:コイル支持部,15E:センサー支持部,
15F:外部接続端子,
20:フォーカスコイル,21:マグネット,
22(22A,22B):手振れ補正コイル,
30:突出部,30A:先端凹部,31:凹部,S1,S2,S3:隙間,
32:粘着性部材収容部,33:底面,34:フランジ部,
40:角部,41:固定部,42:腕部,43:連結部,
F:フィルター枠,100:カメラ,200:携帯情報端末,G:粘着性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6