(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の土砂吸出防止シートは、浚渫した後、河口付近に堆積した浚渫土砂が海中に吸出されるのを防止するとともに海中環境の悪化を防止するのに用いることができる。上記土砂吸出防止シートは、アミノ酸及び/又は複数のアミノ酸が連結してなるアミノ酸化合物(以下において、「アミノ酸等」とも記す。)を含有する再生セルロース繊維を含んでいる。再生セルロース繊維が、親水性が高く水分を保持しやいため、上記土砂吸出防止シートは、藻類等が繁殖しやすい。特に、再生セルロース繊維が藻類等の栄養分となるアミノ酸等を含んでいるため、上記土砂吸出防止シート自体に藻類等が繁殖し、付着しやすく、藻類等が小魚の産卵、育成の場となり、浚渫後も魚が住み着きやすい海中環境を整えることができる。また、再生セルロース繊維が腐食することにより、藻類等の栄養分となるアミノ酸等を放出することもできる。以下において、特に指摘がない場合、再生セルロース繊維は、アミノ酸及び/又は複数のアミノ酸が連結してなるアミノ酸化合物を含有する再生セルロース繊維を意味する。本発明において、「複数のアミノ酸」とは、2個以上のアミノ酸を意味する。
【0012】
上記土砂吸出防止シートは、不織布シートの全体質量に対して、再生セルロース繊維を10質量%以上と、他の繊維を90質量%以下含む不織布シートで構成されている。上記他の繊維は、特に限定されないが、合成繊維であることが好ましい。合成繊維が腐食しにくいため、再生セルロース繊維が腐食した場合でも、引張強度を保持することができる。好ましくは、上記不織布シートは、不織布シートの全体質量に対して、再生セルロース繊維を10〜50質量%含み、合成繊維を50〜90質量%含む。より好ましくは、再生セルロース繊維を15〜45質量%含み、合成繊維を55〜85質量%含む。さらに好ましくは、再生セルロース繊維を15〜40質量%含み、合成繊維を60〜85質量%含む。
【0013】
上記再生セルロース繊維は、特に限定されないが、セルロース100質量%に対してアミノ酸等を1〜50質量%含有することが好ましく、より好ましくは3〜40質量%含み、さらに好ましくは4〜30質量%含む。アミノ酸等の含有量が上記範囲であると、繊維としての強度を維持しつつ、藻類等が繁殖し、付着しやすくなる。
【0014】
上記再生セルロース繊維は、特に限定されないが、耐久性の観点から、繊度が0.1〜100dtexであることが好ましく、0.3〜50dtexであることがより好ましく、0.5〜30dtexであることがさらに好ましく、0.5〜20dtexであることが特に好ましい。また、上記再生セルロース繊維は、特に限定されないが、カード通過性を考慮すると、繊維長が25〜65mmであることが好ましく、28〜60mmであることがより好ましく、35〜55mmであることがさらに好ましい。
【0015】
上記アミノ酸は、特に限定されず、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン等が挙げられる。
【0016】
上記複数のアミノ酸が連結してなるアミノ酸化合物としては、特に限定されないが、天然タンパク質を用いることができる。天然タンパク質としては、例えば、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、大豆タンパク質、牛乳タンパク質、セリシン、フィブロインなどが挙げられる。上記複数のアミノ酸が連結してなるアミノ酸化合物としては、特に限定されないが、カゼインや牛乳タンパク質を用いることが好ましい。カゼインとしては、アルファカゼイン、ベータカゼイン、カーパーカゼインのいずれかを含んでいてよく、カーパーカゼインを含むことが好ましい。牛乳タンパク質は、主にアルファカゼイン、ベータカゼイン、カーパーカゼインからなり、特に水溶性の高いカッパーカゼインが両親媒性物質の役割をしてミセルを形成することにより、牛乳タンパク質を水中で安定する状態として供給することができる。このため、複数のアミノ酸が連結してなるアミノ酸化合物として、牛乳タンパク質、特にカゼインを用いると、アミノ酸等が水中へ溶け出すことがあり、土砂吸出防止シートにより藻類等が付着し成育しやすい環境となる。上記複数のアミノ酸が連結してなるアミノ酸化合物としては、牛乳タンパク質を含む牛乳及び/又は脱脂粉乳を用いることが好ましい。上記複数のアミノ酸が連結してなるアミノ酸化合物を含有する再生セルロース繊維としては、例えば、ダイワボウレーヨン社の脱脂粉乳を練り込んだレーヨン繊維「ミレー」(商品名)を用いることができる。
【0017】
上記合成繊維は、特に限定されず、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維などを用いることができる。引張強度が高く、水を吸っても性能がほとんど変化しない観点から、ポリエステル繊維を用いることが好ましい。上記ポリエステル繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維を用いることができる。
【0018】
上記合成繊維は、特に限定されないが、耐久性の観点から、繊度が0.1〜100dtexであることが好ましく、0.3〜50dtexであることがより好ましく、0.5〜30dtexであることがさらに好ましく、0.5〜20dtexであることが特に好ましい。また、上記合成繊維は、特に限定されないが、カード通過性を考慮すると、繊維長が25〜100mmであることが好ましく、30〜90mmであることがより好ましく、35〜70mmであることがさらに好ましい。
【0019】
上記不織布シートにおいて、不織布の形態は特に限定されないが、引張強度に優れるという観点から、ニードルパンチ不織布であることが好ましい。上記再生セルロース繊維と上記合成繊維を混綿した繊維ウェブをニードルパンチング処理してニードルパンチ不織布を得ることができる。
【0020】
上記不織布シートは、二層以上の繊維層を含む積層不織布シートであり、少なくとも一の繊維層が、再生セルロース繊維を含む第1繊維層であり、少なくとも一の繊維層が、合成繊維からなる第2繊維層であることが好ましい。第1繊維層の再生セルロース繊維が腐食した場合でも、第1繊維層と比較して耐腐食性に優れた合成繊維からなる第2繊維層によりシートの形状を維持することができ、耐久性が高い。上記積層不織布シートにおいて、不織布の形態は特に限定されないが、引張強度に優れるという観点から、ニードルパンチ不織布であることが好ましい。再生セルロース繊維のみで構成された繊維ウェブ或いは再生セルロース繊維と合成繊維を混綿した繊維ウェブと、合成繊維のみで構成された繊維ウェブを積層した後、ニードルパンチング処理することで、積層不織布シートを得ることができる。上記積層不織布シートは、第1繊維層及び第2繊維層に加えて、他の繊維層を含んでもよい。他の繊維層は、2層以上であってもよい。他の繊維層に含まれる繊維は特に限定されず、天然繊維及び/又は合成繊維を含んでもよい。
【0021】
上記土砂吸出防止シートは、不織布シートのみで構成されてもよく、必要に応じて、ネット状物を含んでもよい。例えば、上記不織布シートとネット状物を積層して用いることができる。不織布シートとネット状物は一体化していなくてもよいが、好ましくは、不織布シートとネット状物は積層一体化されてなる。不織布シートがネット状物と積層されていると、ネット状物の補強効果に起因して、優れた引張強力を得ることができる。不織布シートとネット状物との積層一体化は、例えば、ホックリングを用いて行うことができる。上記ネット状物は、後述の土砂充填用袋体の説明に示すとおりであり、例えば、合成樹脂製ネット、天然繊維製ネット、金属ネットを用いることができる。中でも、水中に沈めて用いる場合には、沈降安定化しやすい観点から比較的重量が重い金属ネットが好ましく、現場での取り扱い性や移送時の折り畳み性を必要とする場合には、合成樹脂製ネットが好ましく、施工後にネット状物が腐敗し分解することが望まれる場合には、天然繊維製ネットが好ましい。
【0022】
具体的には、例えば、不織布シートと金属ネットとを積層一体化した土砂吸出防止シートは、消波ブロックの根固め材や沈床マットとして利用することができる。
図1には不織布シートと金属ネットとを積層一体化した土砂吸出防止シートが示されている。
図1Aは該実施形態の土砂吸出防止シートの斜視図であり、
図1Bは同土砂吸出防止シートを矢印5の方向から見た部分的断面図である。
図1A及び
図1Bに示しているように、土砂吸出防止シート1は、不織布シート2と金属ネット3を含み、不織布シート2と金属ネット3は積層化され、適当な間隔で設けられている複数のホックリング4で一体化されている。また、金属ネットからなる直方体の篭の内部に不織布シートを配置することにより、細かい土砂等を充填できる、ふとん篭として利用することができる。
【0023】
上記不織布シートは、特に限定されないが、目付が100〜3000g/m
2であることが好ましく、200〜1500g/m
2であることがより好ましく、200〜700g/m
2であることがさらに好ましい。目付が上記の範囲であると、土砂吸出防止シートとして十分な引張強度と耐久性を発揮する。
【0024】
上記不織布シートは、耐久性に優れるという観点から、初期引張強度が10N/5cm以上であることが好ましく、300N/5cm以上であることがより好ましく、700N/5cm以上であることがさらに好ましい。なお、初期引張強度の上限は、2000N/5cm以下であることが好ましく、ネット状物と積層して使用する場合は、800N/5cm以下であってもよい。また、上記不織布シートは、初期伸度が20%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、100%以上であることがさらに好ましい。本発明において、初期引張強度及び初期伸度は、後述するとおりに測定する。
【0025】
上記不織布シートは、再生セルロース繊維分解後(以下、劣化後ともいう)の引張強度残存率が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。再生セルロース繊維分解後の引張強度残存率が上記の範囲内であると、再生セルロース繊維が腐食しても、シートとしての強度を保つことができる。本発明において、再生セルロース繊維分解後の引張強度残存率は、後述のとおりに測定・算出する。
【0026】
上記不織布シートは、再生セルロース繊維分解後の引張強度が、初期引張強度×(100−再生セルロース繊維の質量含有率)/100の70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。このような引張強度を有する不織布シートは、繊維ウェブをニードルパンチング処理することにより得られ、特には、再生セルロース繊維のみで構成された繊維ウェブ或いは再生セルロース繊維と合成繊維を混綿した繊維ウェブと、合成繊維のみで構成された繊維ウェブを積層しニードルパンチング処理することにより得ることができる。
【0027】
<初期引張強度及び初期伸度の測定>
初期引張強度及び初期伸度は、絶乾サンプルを用い、JIS L 1096 8.12.1 A法(ストリップ法)に準じた引張試験で測定する。具体的には、土砂吸出防止シート(不織布シート)を幅5cm、長さ15cmになるように切り取り、切り取った不織布シートを、105℃に調整した乾燥器で60分間乾燥させ、絶乾サンプルとする。次いで、絶乾サンプルを引張試験機(オリエンテック社製、品番「テンシロン UCT−1T」)で、サンプル幅5cm、ゲージ間距離10cm、ヘッドスピード200mm/分で引張り、引張強度及び伸度を測定し、それぞれ、初期引張強度及び初期伸度とする。
<劣化後の引張強度及び劣化後の伸度の測定>
上記と同様の手順で得た絶乾サンプルを70%の硫酸に4時間浸漬し、再生セルロース繊維を融解させ、溶解後のサンプルを水で洗浄した後、105℃に調整した乾燥器で60分間乾燥させる。JIS L 1096 8.12.1 A法(ストリップ法)に準じ、得られた劣化サンプルを引張試験機(オリエンテック社製、品番「テンシロン UCT−1T」)で、サンプル幅5cm、ゲージ間距離10cm、ヘッドスピード200mm/分で引張り、引張強度及び伸度を測定し、それぞれ、劣化後の引張強度及び劣化後の伸度とする。
<劣化後の引張強度残存率>
上記の測定で得られた初期引張強度及び劣化後の引張強度に基づき、下記式により劣化後の引張強度残存率を算出する。
劣化後の引張強度残存率(%)=(劣化後の引張強度/初期引張強度)×100%
【0028】
本発明の土砂充填用袋体は、上記土砂吸出防止シートを袋状に縫製してなる。土砂充填用袋体は、中に土砂を詰めて、水害時の応急対策や、土木工事に用いることができる。河川や河口付近など水辺で用いれば、袋体に苔などが付着しやすく、魚が生活しやすい水中環境を早期に整えることができ、好適である。上記土砂充填用袋体の形状は、目的によって適宜に決めればよく、特に限定されず、四角形、円柱形、角柱形、逆円錐形、逆角錐形などが挙げられる。例えば、土砂を充填した後に人手で移動させる場合には、縦40〜80cm、横30〜60cmの四角形であってよい。
図2は、本発明の一実施形態の土砂充填用袋体の模式的正面図である。該実施形態の土砂充填用袋体は、土砂を充填した後に人手で移動させることができる。
図2に示しているように、土砂充填用袋体10は、土砂吸出防止シート11を2枚重ね合わせ、3辺を縫目12に沿って縫製して袋状にしたものである。土砂充填用袋体10の注入口の付近に注入口を閉じる閉紐13を設けてもよい。また、土砂を充填した後、クレーンなどの重機で移動させる場合には、底面直径が80〜140cm、高さが80〜140cmの円柱形であってよい。
図3は、本発明の他の一実施形態の土砂充填用袋体に土砂を充填した状態を示す模式的斜視図である。該実施形態の土砂充填用袋体は、土砂を充填した後にクレーンなどの重機で移動させる場合に用いることができる。
図3に示しているように、土砂充填用袋体20は、土砂吸出防止シートが縫製されてなる円柱型の収納袋21と、収納袋21に縫製により固定されている補強布22と、補強布22に縫製により固定されている吊りベルト23を含む。収納袋21には、土砂が充填されている。
【0029】
本発明の土砂充填用袋体は、土砂吸出防止シートと、その外側に配置されたネット状物とで構成されていることが好ましい。上記ネット状物は、例えば、合成樹脂製ネット、天然繊維製ネット、金属ネットを用いることができる。中でも、柔軟であり、折り畳みやすく、取り扱いに優れる観点から合成樹脂製ネットが好ましい。
【0030】
本発明の土砂充填用袋体は、上記土砂吸出防止シートと、合成樹脂製ネットで構成されていることがより好ましい。上記合成樹脂製ネットは、特に限定されず、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維等の合成繊維からなるフィラメント糸、紡績糸、及びそれらの加工糸を、経糸及び緯糸として用いて形成することができる。強度が高く、水を吸っても物性がほとんど変化しない観点から、上記合成樹脂製ネットを構成する経糸及び緯糸は、ポリエステル繊維からなるフィラメント糸であることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート繊維からなるフィラメント糸であることがより好ましい。
【0031】
上記金属ネットは、金属線を織り、編み、又はねじり成形した金網、溶接金網、エキスパンドメタルなどを用いることができる。また、金属ネットは、塩化ビニル樹脂やポリエチレン樹脂で樹脂被覆した金属ネットであってもよく、アルミニウムなどでメッキされた金属ネットであってもよい。
【0032】
上記ネット状物は、特に限定されないが、メッシュの幅が1〜150mmであることが好ましく、3〜100mmであることがより好ましい。メッシュの幅が1mm以上であると土砂吸出防止シートに藻類等が繁殖し、付着することを妨げない。また、メッシュの幅が150mm以下であると、十分な引張強度を得ることができ、土砂充填用袋体の移送が容易である。
【0033】
図4に基づいて、土砂吸出防止シートと、合成樹脂製ネットで構成されている土砂充填用袋体を説明する。具体的には、
図4Aは該土砂充填用袋体の模式的正面図であり、
図4Bは同土砂充填用袋体の内袋の正面図であり、
図4Cは該土砂充填用袋体の外袋の正面図である。
図4Aに示しているように、土砂充填用袋体100は、内袋110と、内袋110の外側に配置されている合成樹脂製外袋120を含む。内袋110は、袋状に形成されている土砂吸出防止シートである。土砂吸出防止シートを袋状に縫製することで内袋を得ることができる。合成樹脂製外袋120は、袋状に形成されている合成樹脂製ネットである。合成樹脂製ネットを袋状に縫製することで合成樹脂製外袋120を得ることができる。すなわち、土砂充填用袋体100は、袋状の土砂吸出防止シート110と、袋状の土砂吸出防止シート110の外側に配置されている袋状の合成樹脂製ネット120を含む。内袋110と合成樹脂製外袋120は、いずれも、逆円錐形である。合成樹脂製外袋120が合成樹脂製ネットで構成されているため、土砂吸出防止シートに藻類等が繁殖し、付着することを妨げない。また、土砂吸出防止シートにおける再生セルロース繊維が腐食した場合、アミノ酸が水中に放出されることを妨げない。
図4A及び
図4Bに示しているように、袋状の土砂吸出防止シート110の注入口部分には、注入口を閉じる閉紐111が、一定間隔で、表面及び裏面に計6本配置されている。閉紐の数及び配置は上記に限定されず適宜に決めることができる。
図4A及び
図4Cに示しているように、袋状の合成樹脂製ネット120の固定口部分には、固定口絞りロープ121が、固定口部分を一周するように2本と、表面及び裏面の中間部分に1本ずつ、互いに連結されて配置されている。
図4Bに示しているように、袋状の土砂吸出防止シート110は、斜線で示した部分だけ袋状の合成樹脂製ネット120より大きくなるようにしている。
図4Aに示しているように、袋状の土砂吸出防止シート110と、袋状の合成樹脂製ネット120は、表面及び裏面において、面ファスナー130により固定されている。袋状の土砂吸出防止シート110と、袋状の合成樹脂製ネット120の固定は、面ファスナーに限定されず、他の手段、例えば、縫製などにより行ってもよい。
図4A〜
図4Cには、逆円錐形の土砂充填用袋体を示しているが、該実施形態の土砂充填用袋体の形状は特に限定されず、円柱形、角柱形、逆角錐形であってもよい。該実施形態の土砂充填用袋体の大きさも限定されず、目的に応じて適宜決めることができる。円柱形や逆円錐形の場合、円の直径(最大幅)は、200〜400cmであり、高さは30〜100cmであることが好ましい。該実施形態の土砂充填用袋体は、土砂を充填した後、クレーンなどの重機で移動させることができる。
【0034】
図5に示しているように、浚渫した後、浚渫土砂を充填した土砂充填用袋体200を河川に配置することで、河口付近に堆積した浚渫土砂300が海中に吸出されるのを防止することができる。また、土砂充填用袋体200の内袋が、アミノ酸等を含有する再生セルロース繊維を含む土砂吸出防止シートで構成されているため、土砂吸出防止シート自体に藻類等が繁殖し、付着しやすく、藻類等が小魚の産卵、育成の場となり、浚渫後も魚が住み着きやすい海中環境を整えることができる。また、浚渫土砂を充填した土砂充填用袋体海底へ沈めることで、海中環境を整えることができる。なお、
図5では、土砂充填用袋体200の多くが海面から露出した状態を示しているが、土砂充填用袋体200の多くが海水に浸かる状態であってもよい。
【0035】
図示はないが、浚渫した後、土砂吸出防止シートを河川に配置し、土砂吸出防止シートを砂袋等で固定することで、河口付近に堆積した浚渫土砂が海中に吸出されるのを防止してもよい。土砂吸出防止シートが、アミノ酸等を含有する再生セルロース繊維を含んでいるため、土砂吸出防止シート自体に藻類等が繁殖し、付着しやすく、藻類等が小魚の産卵、育成の場となり、浚渫後も魚が住み着きやすい海中環境を整えることができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0037】
実施例及び比較例で用いた繊維を示した。
(繊維A)
アミノ酸等を含有する再生セルロース繊維:繊度1.4デニール(1.56dtex)、カット長38mmである脱脂粉乳を含有するレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン社製、商品名「ミレー」、セルロース100質量%に対して脱脂粉乳を5質量%含む)
(繊維B)
合成繊維:繊度6デニール(6.67dtex)、カット長51mmであるポリエチレンテレフタレート繊維
【0038】
(実施例1)
繊維Aを80質量部と、繊維Bを120質量部とを混綿し、目付が200g/m
2である繊維ウェブ(以下において、混綿ウェブと記す。)を作製した。次に、繊維Bのみからなる目付が200g/m
2である繊維ウェブ(以下において、PETウェブと記す。)を作製した。その後、混綿ウェブとPETウェブとを積層し、ニードルパンチング処理して、実施例1の不織布シートを得た。得られた不織布シートは、アミノ酸等を含む再生セルロース繊維を20質量%含み、目付が400g/m
2であった。
【0039】
(実施例2)
繊維Aを80質量部と、繊維Bを140質量部とを混綿し、目付が220g/m
2である混綿ウェブを作成した。次に、繊維Bのみからなる目付が200g/m
2であるPETウェブを作成した。その後、混綿ウェブとPETウェブとを積層し、ニードルパンチング処理して、実施例2の不織布シートを得た。得られた不織布シートは、アミノ酸等を含む再生セルロース繊維を19質量%含み、目付が420g/m
2であった。
【0040】
(実施例3)
繊維Aを60質量部と、繊維Bを100質量部とを混綿し、目付が160g/m
2である混綿ウェブを作成した。次に、繊維Bのみからなる目付が200g/m
2であるPETウェブを作成した。その後、混綿ウェブとPETウェブとを積層し、ニードルパンチング処理して、実施例3の不織布シートを得た。得られた不織布シートは、アミノ酸等を含む再生セルロース繊維を16.7質量%含み、目付が360g/m
2であった。
【0041】
(比較例1)
繊維Bのみからなる目付が300g/m
2であるPETウェブを作成し、これをニードルパンチング処理して、比較例1の不織布シートを得た。得られた不織布シートは、アミノ酸等を含む再生セルロース繊維を含まず、目付が300g/m
2であった。
【0042】
実施例及び比較例の不織布シートの初期引張強度及び初期伸度、劣化後の引張強度及び劣化後の伸度を下記のように測定した。また、下記のように、劣化後の引張強度残存率を算出した。これらの結果を下記表1に示した。
【0043】
<初期引張強度及び初期伸度>
初期引張強度及び初期伸度は、絶乾サンプルを用い、JIS L 1096 8.12.1 A法(ストリップ法)に準じた引張試験で測定した。具体的には、土砂吸出防止シート(不織布シート)を幅5cm、長さ15cmになるように切り取り、切り取った不織布シートを、105℃に調整した乾燥器で60分間乾燥させ、絶乾サンプルとした。次いで、絶乾サンプルを引張試験機(オリエンテック社製、品番「テンシロン UCT−1T」)で、サンプル幅5cm、ゲージ間距離10cm、ヘッドスピード200mm/分で引張り、引張強度及び伸度を測定し、それぞれ、初期引張強度及び初期伸度とした。
<劣化後の引張強度及び劣化後の伸度>
上記と同様の手順で得た絶乾サンプルを70%の硫酸に4時間浸漬し、再生セルロース繊維を融解させ、溶解後のサンプルを水で洗浄した後、105℃に調整した乾燥器で60分間乾燥した。JIS L 1096 8.12.1 A法(ストリップ法)に準じ、得られた劣化サンプルを引張試験機(オリエンテック社製、品番「テンシロン UCT−1T」)で、サンプル幅5cm、ゲージ間距離10cm、ヘッドスピード200mm/分で引張り、引張強度及び伸度を測定し、それぞれ、劣化後の引張強度及び劣化後の伸度とした。
<劣化後の引張強度残存率>
上記の測定で得られた初期引張強度及び劣化後の引張強度に基づき、下記式により劣化後の引張強度残存率を算出した。
劣化後の引張強度残存率(%)=(劣化後の引張強度/初期引張強度)×100%
【0044】
【表1】
【0045】
実施例1〜3の不織布シートの劣化後の引張強度残存率は85%以上であり、再生セルロース繊維が腐食しても、シートとしての強度を保つことができることが分かった。
【0046】
また、実施例1〜3及び比較例1の不織布シートを用いて、縦10cm横15cmのサンプルを作成し、海藻、苔とともに、水槽に入れて、約20℃の温度で30日間観察したところ、実施例1〜3の不織布シートは、比較例1の不織布シートと比較して、約2倍の藻類等の付着が観察された。