特許第6353758号(P6353758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6353758測定装置および測定方法、ならびにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353758
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】測定装置および測定方法、ならびにプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/02 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   G01R27/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-196297(P2014-196297)
(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公開番号】特開2016-70660(P2016-70660A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】成沢 明洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】飯島 淳司
(72)【発明者】
【氏名】鳴沢 知弘
(72)【発明者】
【氏名】永井 健司
【審査官】 山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−010028(JP,A)
【文献】 特開平11−178197(JP,A)
【文献】 特開平09−061505(JP,A)
【文献】 特開2004−132797(JP,A)
【文献】 特開2008−300177(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3003659(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/02
G01R 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池のインピーダンスを測定する測定装置において、
測定用交流信号を発生する交流信号発生手段と、
前記交流信号発生手段により発生された前記測定用交流信号が印加された前記電池の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段により検出された前記電池の電圧値を基に前記インピーダンスを測定するインピーダンス測定手段と、
前記交流信号発生手段による前記測定用交流信号の発生を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記交流信号発生手段により発生された前記測定用交流信号のN(Nは自然数)周期ごとに割り込みを発生するタイマ機能を有し、
前記インピーダンス測定手段による測定期間においては、前記割り込みを許可せず、
前記インピーダンス測定手段による測定期間が終了したのち、前記割り込みを許可し、
許可された前記割り込みが発生した場合、前記交流信号発生手段を制御して、前記測定用交流信号を停止させる
ことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置において、
前記交流信号を発生しない状態で、前記電池の両端の電圧をサンプリングして、サンプリング結果の平均値を求めることにより、前記電池の直流電圧値を測定する直流電圧値測定手段
をさらに備え、
前記電圧検出手段は、前記直流電圧値測定手段により測定された前記電池の直流電圧値の逆方向電圧が印加された信号を、ゲインアンプを用いて増幅することにより前記電圧を検出する
ことを特徴とする測定装置。
【請求項3】
電池のインピーダンスを測定する測定装置の測定方法において、
測定用交流信号を発生する交流信号発生ステップと、
前記交流信号発生ステップの処理により発生された前記測定用交流信号のN周期(Nは自然数)ごとに割り込みを発生する割り込み発生ステップと、
前記交流信号発生ステップの処理により発生された前記測定用交流信号が印加された前記電池の電圧を検出する電圧検出ステップと、
前記電圧検出ステップの処理により検出された前記電池の電圧値を基に前記インピーダンスを測定するインピーダンス測定ステップと
を含み、
前記インピーダンス測定ステップの処理による測定期間においては、前記割り込みを許可せず、
前記インピーダンス測定ステップの処理による測定期間が終了したのち、前記割り込みを許可し、
許可された前記割り込みが発生した場合、前記測定用交流信号を停止する
ことを特徴とする測定方法。
【請求項4】
電池のインピーダンスを測定する測定装置において実行されるプログラムであって、
測定用交流信号の発生を制御する交流信号発生制御ステップと、
前記交流信号発生制御ステップの処理により発生された前記測定用交流信号のN周期(Nは自然数)ごとに割り込みを発生する割り込み発生ステップと、
前記交流信号発生制御ステップの処理により発生された前記測定用交流信号が印加された前記電池の電圧の検出を制御する電圧検出制御ステップと、
前記電圧検出制御ステップの処理により検出された前記電池の電圧値を基に前記インピーダンスを測定するインピーダンス測定ステップと
を含み、
前記インピーダンス測定ステップの処理による測定期間においては、前記割り込みを許可せず、
前記インピーダンス測定ステップの処理による測定期間が終了したのち、前記割り込みを許可し、
許可された前記割り込みが発生した場合、前記測定用交流信号を停止する
ことを特徴とするプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置および測定方法、ならびにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電池の内部インピーダンスを測定する場合、被測定電池に対して所定周波数の交流測定信号が供給され、その状態における被測定電池の端子間電圧値および電流値が測定される。
【0003】
このインピーダンス測定は、多くの場合、被測定電池が起電力(電池電圧)を持った状態で行われる。そのため、従来、被測定電池の直流成分が測定回路内に流れ込まないように、交流測定信号の発生部と被測定電池との間に直流阻止用のコンデンサを接続するとともに、電圧の測定部の入力段にも直流阻止用のコンデンサを接続して測定を実施するようになされていた(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかしながら、上述した技術では、測定用交流信号の周波数が低周波数である場合に大容量のコンデンサが必要となる。大容量のコンデンサを充電するには長時間を要するばかりでなく、その充電に伴って被測定電池が放電することになる。そうすると、被測定電池の状態(例えば、電池内部の温度)が変化し、これによって電池内部の反応抵抗等が変化してしまうことがあるため、測定精度が下がってしまう恐れがある。
【0005】
そのため、測定回路内に直流阻止用のコンデンサを設けることなく、被測定電池に交流信号を加え、その交流信号による被測定電池の端子間電圧と被測定電池に流れる電流とから被測定電池の内部インピーダンスの測定を可能とする技術がある(例えば、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−178197号公報
【特許文献2】特開2014−10028号公報
【0007】
図1を参照して、測定回路内に直流阻止用のコンデンサを設けることなく、交流信号による被測定電池の端子間電圧と被測定電池に流れる電流とから被測定電池の内部インピーダンスを測定するインピーダンス測定回路について説明する。
【0008】
図1のインピーダンス測定装置は、被測定電池Bに測定用の交流信号を供給する交流測定信号発生部10と、被測定電池Bの端子間電圧を測定する電圧測定部20と、被測定電池Bに流れる電流を検出する電流検出部30と、インピーダンス等を算出する測定制御部40とを備えている。所定の電池電圧(起電力)+Vbを持った状態で、その内部インピーダンスが測定される。被測定電池Bによる直流成分の測定回路内への流れ込みを防止するため、第1直流電圧発生部11と第2直流電圧発生部22とが用いられる。
【0009】
第1直流電圧発生部11は、第1開閉スイッチ12を直列に備えた状態で、交流測定信号発生部10と、被測定電池Bの一方の端子である+側の端子T1との間に接続される。第1直流電圧発生部11は、オペアンプ(演算増幅器)11aからなり、その+入力端子(非反転入力端子)には、可変直流電源11bが接続されている。この場合、可変直流電源11bは正電源として、その正極側が+入力端子に接続され、負極側は接地に接続されている。また、オペアンプ11aの−入力端子(反転入力端子)側には入力抵抗R1が接続されているとともに、−入力端子と出力端子との間には帰還抵抗R2が接続されている。この構成により、第1直流電圧発生部11は、可変直流電源11bにて設定された電圧に応じた正極(+)の直流電圧を発生する。
【0010】
電圧測定部20は、被測定電池Bの端子T1,T2間の電圧を検出する差動増幅器21を備え、第2直流電圧発生部22は差動増幅器21の出力側に接続されている。第2直流電圧発生部22も、オペアンプ(演算増幅器)22aからなり、その+入力端子(非反転入力端子)には、可変直流電源22bが接続されるが、この場合、可変直流電源22bは負電源として、その負極側が+入力端子に接続され、正極側は接地に接続されている。また、オペアンプ22aの−入力端子(反転入力端子)側には入力抵抗R3が接続されているとともに、−入力端子と出力端子との間には帰還抵抗R4が接続されている。この構成により、第2直流電圧発生部22は、可変直流電源22bにて設定された電圧に応じた負極(−)の直流電圧を発生する。第2直流電圧発生部22の出力側には、増幅器23を介してA/D変換器24が接続されている。
【0011】
電流検出部30には、帰還抵抗R5を有するオペアンプ31よりなる電流−電圧変換器が用いられるが、電流検出部30と被測定電池Bの他方の−端子T2との間には、第2開閉スイッチ32が接続される。電流検出部(電流−電圧変換器)30の出力側には、増幅器33を介してA/D変換器34が接続されている。
【0012】
測定制御部40には、好ましくは中央演算処理ユニット(CPU)やマイクロコンピュータ等が用いられる。測定制御部40は、A/D変換器24にてデジタル変換された被測定電池Bの端子間電圧値V1と、A/D変換器34にてデジタル変換された被測定電池Bに流れる電流の電圧換算値V2とから、被測定電池Bの内部インピーダンスZを算出し、例えば表示部41に表示する。
【0013】
まず、測定前の準備ステップとして、第1および第2開閉スイッチ12,32をともに「開(オフ)」として、被測定電池Bを交流測定信号発生部10と電流検出部30とから切り離し、第2直流電圧発生部22の可変直流電源22bの発生電圧を「0」として、電圧測定部20にて被測定電池Bの電池電圧(起電力)+Vbが測定される。
【0014】
そして、第1直流電圧発生部11の可変直流電源11bは、第1直流電圧発生部11より被測定電池Bの電池電圧+Vbに実質的に等しい+Vbなる直流電圧を発生する。同様に、第2直流電圧発生部22の可変直流電源22bは、第2直流電圧発生部22より、被測定電池Bの電池電圧+Vbとは逆極性の−Vbなる直流電圧を発生する。
【0015】
次に、測定ステップとして、第1および第2開閉スイッチ12,32をともに「閉(オン)」にする。これにより、交流測定信号発生部10からの交流信号に、第1直流電圧発生部11より発生された+Vbなる直流電圧が加算(重畳)されて被測定電池Bに供給される。このとき、交流測定信号発生部10の信号源側と被測定電池Bは、直流的に同電位であるため、電流検出系の電流検出部30には、交流測定信号発生部10から供給される測定用の交流信号ISのみが流れることになる。
【0016】
また、電圧検出系では、被測定電池Bの端子間(T1,T2)電圧が差動増幅器21にて検出され、その端子間(T1,T2)電圧には電池電圧+Vbが含まれているが、電池電圧+Vbは、第2直流電圧発生部22により発生される−Vbなる直流電圧により打ち消されるため、測定用の交流信号ISによる電圧降下分のみが電圧測定部20にて測定されることになる。
【0017】
このように、電流検出系の電流検出部30には、被測定電池Bの直流電流が流れず、また、電圧検出系の電圧測定部20においても、被測定電池Bの電池電圧Vbが打ち消されるため、各検出系は直流により飽和することなく、各増幅器23,33で、それら検出系の交流信号を所定のゲインで増幅することができる。
【0018】
電圧測定部20にて測定された端子間(T1,T2)電圧V1は、増幅器23にて所定に増幅されたのち、A/D変換器24にてデジタル値に変換され、測定制御部40に与えられる。また、被測定電池Bに流れる電流ISは、電流検出部30にて電圧として検出され、その電圧換算値V2は、増幅器33にて所定に増幅されたのち、A/D変換器34にてデジタル値に変換され、測定制御部40に与えられる。
【0019】
測定制御部40は、電圧検出系のA/D変換器24から入力される端子間(T1,T2)電圧V1と、電流検出系のA/D変換器24から入力される電流ISの電圧換算値V2とから、V1/V2なる演算を行って被測定電池Bの内部インピーダンスZを算出し、例えば表示部41に表示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従来、測定用の交流信号を電池に印加することにより、電池の内部インピーダンスを測定する場合においては、サンプリングのタイミングとは無関係に測定用の交流信号が出力された状態が維持されていたか、または、サンプリングが終了された時点で、交流信号の出力が停止されていた。
【0021】
例えば、上述した特許文献1に記載の技術を用いた場合、すなわち、カップリングコンデンサにより電池電圧をキャンセルするようになされている場合、測定対象の接続にかかわらず、常に測定用の交流信号が出力されている。
【0022】
また、上述した特許文献2に記載の技術を用いた場合、サンプリングが終了した時点で測定用交流信号の出力が停止されていた。そのため、例えば、図2に示されるように、測定用の交流信号の停止タイミングが、交流信号が0位相となるタイミングからずれてしまった分だけ、被測定対象となる電池に電荷が充電または放電してしまう。このため、測定前の電圧値と測定後の電圧値が異なるものとなってしまう。
【0023】
近年、例えば、携帯型電話機などの小容量のバッテリーが多く利用されるようになり、容量の小さな電池を精度良く測定することが求められる。小容量のバッテリーにおいては、測定のために被測定対象となる電池に電荷が充電または放電してしまった場合、測定前の電圧値と測定後の電圧値とが顕著に変わり、電池の生産ラインにおいて、検査工程での測定の前後で電池の状態が変わってしまうことは好ましくない。
【0024】
そこで、本発明は、上記課題を解決すること、すなわち、被測定対象となる電池に電荷を充電したり、または、電池が電荷を放電してしまうことを防ぐことができる、測定装置および測定方法、ならびにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決するために、本発明の受信装置の一側面は、測定用交流信号を発生する交流信号発生手段と、交流信号発生手段により発生された測定用交流信号が印加された電池の電圧を検出する電圧検出手段と、電圧検出手段により検出された電池の電圧値を基にインピーダンスを測定するインピーダンス測定手段と、交流信号発生手段による測定用交流信号の発生を制御する制御手段とを備え、制御手段は、交流信号発生手段により発生された測定用交流信号のN周期ごとに割り込みを発生するタイマ機能を有し、インピーダンス測定手段による測定期間においては、割り込みを許可せず、インピーダンス測定手段による測定期間が終了したのち、割り込みを許可し、許可された割り込みが発生した場合、交流信号発生手段を制御して、測定用交流信号を停止させることを特徴とする。
【0026】
本発明の測定装置の他の側面は、交流信号を発生しない状態で、電池の両端の電圧をサンプリングして、サンプリング結果の平均値を求めることにより、電池の直流電圧値を測定する直流電圧値測定手段をさらに備え、電圧検出手段は、直流電圧値測定手段により測定された電池の直流電圧値の逆方向電圧が印加された信号を、ゲインアンプを用いて増幅することにより電圧を検出することを特徴とする。
【0027】
本発明の測定方法の一側面は、測定用交流信号を発生する交流信号発生ステップと、交流信号発生ステップの処理により発生された測定用交流信号のN周期ごとに割り込みを発生する割り込み発生ステップと、交流信号発生ステップの処理により発生された測定用交流信号が印加された電池の電圧を検出する電圧検出ステップと、電圧検出ステップの処理により検出された電池の電圧値を基にインピーダンスを測定するインピーダンス測定ステップとを含み、インピーダンス測定ステップの処理による測定期間においては、割り込みを許可せず、インピーダンス測定ステップの処理による測定期間が終了したのち、割り込みを許可し、許可された割り込みが発生した場合、測定用交流信号を停止することを特徴とする。
【0028】
本発明のプログラムの一側面は、測定用交流信号の発生を制御する交流信号発生制御ステップと、交流信号発生制御ステップの処理により発生された測定用交流信号のN周期ごとに割り込みを発生する割り込み発生ステップと、交流信号発生制御ステップの処理により発生された測定用交流信号が印加された電池の電圧の検出を制御する電圧検出制御ステップと、電圧検出制御ステップの処理により検出された電池の電圧値を基にインピーダンスを測定するインピーダンス測定ステップとを含み、インピーダンス測定ステップの処理による測定期間においては、割り込みを許可せず、インピーダンス測定ステップの処理による測定期間が終了したのち、割り込みを許可し、許可された割り込みが発生した場合、測定用交流信号を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、被測定対象となる電池に電荷が充電したり、または、電池が電荷を放電してしまうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来の測定装置の概要を示す図である。
図2】従来の測定装置における電池への電圧の印加について説明するための図である。
図3】測定装置の構成について説明するための図である。
図4】測定装置の処理について説明するためのフローチャートである。
図5】測定装置における電池への電圧の印加について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施の形態の測定装置について、図3図5を参照しながら説明する。
【0032】
図3を参照して、測定装置51について説明する。
【0033】
測定装置51は、入力部71、制御部72、信号発生部73、電圧検出部74、DCV測定部75、電池電圧キャンセル処理部76、および、出力部77を含んで構成されている。
【0034】
入力部71は、例えば、ボタン、キー、タッチパネルなどの入力デバイスで構成され、ユーザの操作入力を受け、制御部72に、ユーザの操作入力を示す信号を供給する。
【0035】
制御部72は、測定器の全体を制御するものであり、その内部にタイマを有している。また、制御部72は、電圧検出部74から供給された電圧測定結果に基づいて、被測定物である電池のインピーダンスを求め、たとえば、同期整流検波方式を用いて、R−X、Z―θ、Vrms−Irmsなどを算出し、出力部77を制御して、測定結果を出力させる。測定結果としては、算出されたそれぞれの値以外にも、電圧値が含まれていてもよい。
【0036】
なお、制御部72は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置を用いて実現することが可能であるが、1つのCPUを用いて、上述した測定結果を演算する機能と、測定器の全体を制御する機能とを実現するようにしてもよいし、複数のCPUを用いて、上述した測定結果を演算する機能と、測定器の全体を制御する機能とを実現するようにしてもよい。
【0037】
信号発生部73は、例えば、DDS(Direct Digital Synthesizer)などの交流信号発生回路と、被測定物である電池の両端と接続するための端子を含んで構成され、制御部72の制御に基づいて、測定用の交流信号を発生し、所定のタイミングで出力を開始したり、出力を停止することができるようになされている。また、信号発生部73から発生される測定用の交流信号は、電池に対して交流の定電流が流れるように制御されている。
【0038】
なお、DDSへのレジスタ設定が通信を用いているためにDDSの動作の制御にタイムラグが発生してしまう場合、DDSの出力段にスイッチを設け、制御部72の制御に基づいてスイッチのON/OFFを制御することにより、信号発生部73からの測定用交流信号の発生のタイムラグを防止することができる。
【0039】
電圧検出部74は、被測定物である電池の両端と接続するための端子から入力される信号に基づいて、信号発生部73により発生された測定用交流信号が印加された電池の電位を測定して、内部のゲインアンプで増幅したのち、A/D変換を実行して、測定結果を制御部72に供給する。
【0040】
DCV測定部75は、測定開始に先立って、交流信号を発生しない状態において、任意の時間、被測定物である電池の両端の電圧をサンプリングして、その電圧値の平均値を求めることにより、被測定物である電池の電圧値、すなわち、直流電圧値を測定し、測定結果を制御部72に供給する。
【0041】
電圧検出部74内に設けられている電池電圧キャンセル処理部76は、制御部72からの制御信号に基づいて、DCV測定部75により測定された被測定物である電池の両端の電圧値と逆方向の電圧値を電圧検出部74に出力して、ゲインアンプに供給される電圧値を、電圧検出部74に入力される電圧値から被測定物である電池の電圧値を引いた値とする。
【0042】
出力部77は、例えば、液晶画面などの表示手段を含んで構成され、制御部72の制御に基づいて、測定結果やエラー発生などをユーザに通知する。また、ブザー等の音声出力手段を含んで構成し、エラー等が発生した場合、音声を用いてエラーをユーザに通知するようにしてもよい。
【0043】
次に、図4のフローチャートを参照して、測定器が実行する処理について説明する。
【0044】
ステップS1において、DCV測定部75は、交流信号を印加しない状態で、任意の時間、電圧値をサンプリングする。
【0045】
ステップS2において、DCV測定部75は、サンプリングデータを平均して被測定物の電圧値(直流成分)を算出し、制御部72に出力する。
【0046】
ステップS3において、制御部72は、被測定物の直流電圧値の算出結果に基づいて、電池電圧キャンセル処理部76の出力電圧の方向と大きさを制御する。電池電圧キャンセル処理部76は、制御部72からの制御信号に基づいて、DCV測定部75により測定された被測定物である電池の両端の電圧値と逆方向の電圧値を電圧検出部74に出力する。したがって、ゲインアンプの前段の回路は、電圧検出部74に入力される電圧から、電池の直流電圧値だけオフセットされた交流電圧信号を発生する。
【0047】
ステップS4において、制御部72は、交流電圧信号の1周期ごとであって、測定用の交流信号の正弦波が0位相となるタイミングにおいて割り込みが発生するタイマを起動する。
【0048】
信号発生部73がDDSを用いて交流信号の発生をスタートさせた場合、信号は0位相から出力される。例えば、測定用交流信号がまず正方向から発生される場合、次に割り込みが発生されるのは、測定用の交流信号の電流値が負から正に切り替わる0位相の時となり、測定用交流信号がまず負方向から発生される場合、次に割り込みが発生されるのは、測定用の交流信号の電流値が正から負に切り替わる0位相の時である
【0049】
ステップS5において、制御部72は、ステップS4の処理において起動されたタイマの割り込みを禁止した状態で、各部を制御し、インピーダンスを測定する。
【0050】
ステップS6において、制御部72は、インピーダンスの測定が終了したか否かを判断する。ステップS6において、インピーダンスの測定が終了していないと判断された場合、処理は、ステップS5に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0051】
ステップS6において、インピーダンスの測定が終了したと判断された場合、ステップS7において、制御部72は、タイマの割り込みを許可する。
【0052】
ステップS8において、制御部72は、タイマの割り込みが発生したか否かを判断する。ステップS8において、タイマの割り込みが発生していないと判断された場合、タイマの割り込みが発生したと判断されるまで、ステップS8の処理が繰り返される。
【0053】
ステップS8において、タイマの割り込みが発生したと判断された場合、ステップS9において、制御部72は、信号発生部73を制御して、交流電圧信号を停止させる。信号発生部73は、制御部72の制御に基づいて、交流電圧信号を停止する。
【0054】
ステップS10において、制御部72は、同期整流検波方式で、R−X、Z―θ、Vrms−Irmsなどの、必要な測定結果を算出し、出力部77を制御して、測定結果を出力させて、処理が終了される。
【0055】
このような処理により、交流信号1周期ごとに発生されるタイマ割り込みに基づいて、測定用の交流信号の終了タイミングが制御される。すなわち、インピーダンスの測定が終了した時点で測定用の交流信号の発生が終了されるのではなく、インピーダンスの測定が終了したあと、交流信号1周期ごとに発生される割り込み信号が次に受け付けられたタイミングまで交流信号が発生される。したがって、被測定物である電池に対して交流信号が1周期単位で印加されるので、交流信号により充電された電荷は、交流信号の出力が止まる時点までに放電される、または、交流信号により放電された電荷は、交流信号の出力が止まる時点までに充電される。
【0056】
インピーダンス測定区間、割り込み信号発生、および、交流信号の出力停止のタイミングの具体例について、図5を用いて説明する。
【0057】
図4のフローチャートを用いて説明したように、電圧検出部74に入力される被測定物である電池の両端の電圧から測定物の電圧算出値だけオフセットさせた交流電圧信号が発生され、交流電圧信号の1周期ごとに割り込みが発生するタイマが起動される。
【0058】
測定区間の開始と同時に、信号発生部73がDDSを用いて交流信号の発生をスタートさせた場合、測定用の交流信号は0位相から出力される。図5に示されるように、測定用交流信号がまず正方向から発生される場合、割り込みが発生されるのは、測定用の交流信号の電流値が負から正に切り替わる0位相のタイミングごとであり、これは測定用の交流信号の1周期ごととなる。
【0059】
測定装置51においては、インピーダンスの測定区間内において発生される割り込み信号は受け付けられない、すなわち、無効とされるので、測定区間内に交流信号は停止されずに発生し続ける。
【0060】
例えば、図5に示される測定区間終了時に交流信号が停止された場合、測定区間の終了が0位相からずれている分、被測定対象である電池には電荷が充電されてしまう。これに対して、測定装置51においては、インピーダンスの測定区間終了後にのみ、割り込み信号が受け付けられる。換言すれば、測定区間が終了しても、次の割り込み信号が発生するまでの間は、交流信号は停止されずに発生し続ける。
【0061】
そして、測定区間終了後、最初に、測定用の交流信号の電流値が負から正に切り替わる0位相となるタイミングにおいて、発生した割り込み信号が受け付けられて、測定用交流信号の出力が停止される。
【0062】
したがって、測定終了時、および、それ以降に被測定対象である電池に充電された電荷は、測定用交流信号の出力が停止されるまでの間に放電される。
【0063】
したがって、測定の前後で電池の電圧値が変動することがなくなる。これにより、測定前後の電池の充放電が測定結果に及ぼす影響を防ぐことができるので、例えば、S/N比を改善して測定精度を向上させるために、測定用交流電流の電流値を高くすることが可能となる。
【0064】
なお、ここでは、測定用の交流信号の1周期ごとに割り込みが発生されるものとして説明したが、測定用の交流信号のN周期(Nは自然数)ごとに割り込みを発生させた場合も、同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0065】
なお、0位相を監視するためには、上述した以外の方法を用いることが可能である。
【0066】
測定装置51において、例えば、FPGA(field-programmable gate array)などを用いてゼロクロスを検出する回路を用いることにより、制御部72に上述した場合と同様の割り込み信号を発生させるようにすることができる。
【0067】
また、例えば、制御部72は、電圧検出部74から供給される電圧検出結果に基づいて、測定用交流電圧の位相を監視し、交流信号の一周期を認識し、測定終了後対応する0位相のタイミングで、信号発生部73による測定用の交流信号の発生を停止するようにしてもよい。なお、この方法を用いた場合、サンプリング周期が長い場合には、正確に0位相で信号発生部73による測定用の交流信号の発生を停止することができない可能性があるが、サンプリング周期が十分短い場合には、被測定対象である電池に充電された電荷を、測定用交流信号の出力が停止されるまでの間に放電させ、放電された電荷を、測定用交流信号の出力が停止されるまでの間に充電させることが充分に可能である。
【0068】
また、測定対象を計測機に接続または取り外すタイミングによっては、接続時と取り外し時における交流信号の位相がずれてしまうので、同様にして、被測定対象となる電池に電荷が充電または放電されてしまい、測定前後で電圧が異なってしまう可能性がある。
【0069】
このような場合、制御部72は、出力部77を制御して、例えば、「正しく測定できていません」などのエラー表示を表示させたり、ブザー音を出力するようにしてもよい。
【0070】
なお、被測定電池の直流成分が測定回路内に流れ込まないように、交流測定信号の発生部と被測定電池との間に直流阻止用のコンデンサを接続するとともに、電圧の測定部の入力段にも直流阻止用のコンデンサを接続して測定を実施するような場合においても、上述した場合と同様にして、交流信号1周期ごとに発生されるタイマ割り込みに基づいて、測定用の交流信号の終了タイミングを制御することにより、交流信号により充電された電荷は、交流信号の出力が止まる時点までに放電される、または、交流信号により放電された電荷は、交流信号の出力が止まる時点までに充電されるので、測定の前後で電池の電圧値が変動することがなくなる。
【0071】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0072】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0073】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
51…測定装置、 71…入力部、 72…制御部、 73…信号発生部、 74…電圧検出部、 75…DCV測定部、 76…電池電圧キャンセル処理部、 77…出力部
図1
図2
図3
図4
図5