(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353766
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】外観検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-216015(P2014-216015)
(22)【出願日】2014年10月23日
(65)【公開番号】特開2016-85050(P2016-85050A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】502407130
【氏名又は名称】株式会社プレックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】特許業務法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江浪 寧彦
(72)【発明者】
【氏名】林田 誉生
【審査官】
嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−106995(JP,A)
【文献】
国際公開第01/022062(WO,A1)
【文献】
国際公開第00/079247(WO,A1)
【文献】
特開平10−262922(JP,A)
【文献】
特開2005−169139(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/058102(WO,A1)
【文献】
特開平06−258225(JP,A)
【文献】
特開平05−137693(JP,A)
【文献】
特開平06−025969(JP,A)
【文献】
特開2004−093486(JP,A)
【文献】
特開2014−112035(JP,A)
【文献】
特開2014−190852(JP,A)
【文献】
特開2011−242330(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0090319(US,A1)
【文献】
国際公開第2004/011917(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラと検査基準面と光源とを備えた外観検査装置において、
校正基準板と、
該校正基準板を、前記カメラの撮影領域内にある校正位置と、そこから退避した退避位置との間で進退させる進退機構と、
前記校正基準板が前記校正位置にあるとき、前記カメラにホワイトバランス調整指令を出す制御部とからなり、
前記制御部が、外観検査を行っていない非検査時になると前記進退機構に対し前記校正基準板を校正位置に移動させる駆動指令を出す
ことを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
前記制御部が、前記校正基準板が前記校正位置にあるとき、前記光源の光量を調整する調整指令を出す
ことを特徴とする請求項1記載の外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観検査装置に関する。さらに詳しくは、カメラの自動校正機能を備えた外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、カメラを用いた外観検査装置はあらゆる分野で利用されている。たとえば、リネンサプライ工場の仕上げライン、半導体ウエハの製造ライン、印刷物の検査ライン、基板の製造ラインなどが代表的である。
【0003】
外観検査装置に用いられるカメラは、実際の光景の光のパワースペクトルをそのまま再現するように撮影する。しかるに、人間の視覚は自然な色合いで対象を見るため、カメラの撮影した映像は自然なものとはならないことがある。
カメラの撮像が人間の眼と同じような自然さがないと、人の眼には異常に写るものでも、カメラによる撮像情報では異常と認識できないことがあるので、正確な外観検査ができない。このためカメラには望んだ色調を得るための補正を行う。この補正をホワイトバランスという。なお、ホワイトバランスとは、純白の被写体をどう写すかという点に代表させて補正することから、そう呼ばれている。
【0004】
各種の外観検査装置でも、カメラを用いる以上は、ホワイトバランス調整が必要である。このホワイトバランス調整に関しては、つぎの従来技術がある。
特許文献1の従来技術では、ホワイトバランス処理をパソコンで行うことが記載されているが、補正の基準となる被写体(いわゆる校正基準板)をどう扱うかという点については何ら開示がない。
特許文献2の従来技術では、ホワイトバランス処理をワークの表面における反射光の分光特性に基づいて調整することが記載されている。しかし、どの状態のワークを基準とするのか、そのワークをどのように扱うのかという具体的手法は何ら開示していない。
【0005】
ところで、外観検査装置には撮像素子がライン状に並んだカラーラインカメラが用いられるが、このようなカラーラインカメラのホワイトバランスは、一般的に温度ドリフトや経年変化によって若干変動する。
この場合、ホワイトバランスの失調に気付かないで外観検査を実行し続けると、正確な検査が行えないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-115681号公報
【特許文献2】特開2014-89156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、常に最適なホワイトバランスで検査を行える外観検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明の外観検査装置は、カメラと検査基準面と光源とを備えた外観検査装置において、校正基準板と、該校正基準板を、前記カメラの撮影領域内にある校正位置と、そこから退避した退避位置との間で進退させる進退機構と、前記校正基準板が前記校正位置にあるとき、前記カメラにホワイトバランス調整指令を出す制御部とからな
り、前記制御部が、外観検査を行っていない非検査時になると前記進退機構に対し前記校正基準板を校正位置に移動させる駆動指令を出すことを特徴とする
。
第2発明の外観検査装置は、第
1発明において、前記制御部が、前記校正基準板が前記校正位置にあるとき、前記光源の光量を調整する調整指令を出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば
、非検査時になると、制御部が進退機構を作動させて校正基準板を校正位置にもたら
し、カメラにホワイトバランス調整指令を出すので、人手を介することなく、ホワイトバランス調整が行える。
第
2発明によれば、ホワイトバランス調整時に、制御部が光源の光量を調整するよう指示するので、ホワイトバランス調整が正確に行える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る外観検査装置の基本構成説明図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る外観検査装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に基づき本発明の基本構成を説明する。
本発明の外観検査装置は、カメラ1と、このカメラ1の撮像位置に置かれた検査基準面2と、この検査基準面2に光を当てる光源3を備えている。カメラ1と検査基準面2との間の線Lは表面検査ラインである。これらの構成は通常の外観検査装置が備えているものである。
【0012】
なお、前記カメラ1はホワイトバランス調整機能を内蔵している。
光源3は、LEDや蛍光灯等の発光体とその制御基盤からなる。制御基盤は、通常の検査用光量とホワイトバランス用光量とを切換える機能を内蔵している。
【0013】
本発明は、上記に加え次の機器を具備している。
4は校正基準板であり、5はその進退機構である。6は制御部であり、ホワイトバランス調整を自動で行うための制御機能を有している。
【0014】
校正基準板4は、ホワイトバランス調整の基準となる被写体なので、たとえば白色の平坦な板が用いられる。
進退機構5は、校正基準板4を校正位置P1と、そこから退避した退避位置P2との間で進退させる駆動装置である。校正基準板4を進退させることができればどのような駆動装置を用いてもよいが、エアシリンダや各種電動アクチュエータなどが軽量の校正基準板4を駆動するのに好適である。
【0015】
制御部6はコンピュータ等の情報処理装置で構成されている。そして、この制御部6は、つぎの制御機能を有している。
1)カメラ1にホワイトバランス調整指令を出す。
カメラ1にはホワイトバランス調整機能が内蔵されているので、調整指令を出すことで自律的にホワイトバランス調整を行うことができる。
2)進退機構5の進出動作および退避動作の動作指令を出す。
3)光源3の光量の調整。
光源3には光量調節機能が内蔵されているので、調整指令を出すことで自律的にホワイトバランス調整に適した光量に調整することができる。
【0016】
制御部6には被検査物を送るコンベア7から駆動状態と非駆動状態を区別する識別信号が入力されるようになっている。通常のワーク検査、つまり外観検査を行っているときはコンベア7が駆動しているが、非検査時にはコンベア7が駆動していないので、その非駆動状態を現わす識別信号が入力してくる。この識別信号にはコンベア7の停止でONするスイッチとか、ローラの回転・非回転をとる回転計とか任意のものを用いることができる。
【0017】
本発明ではコンベア7の非駆動時に制御部6がホワイトバランス調整に必要な諸動作を開始させる。
具体的には、毎日の操業開始の時点、あるいは操業中であっても一連の
被検査物の検査後であって次の検査物が来るまでの間などに、コンベア7が止まっている状態が発現する。
この非検査時には、制御部6から自動的に三つの指令信号がでる。
まず進退機構5が退避位置P2にある校正基準板4を校正位置P1で進出させる。こうして校正準備が整うと、光源3の光量調整を指令し併せてカメラ1にホワイトバランス調整指令を出す。これにより、適切な光量の下でカメラ1は内蔵の機能に基づいてホワイトバランスを調整する。
【0018】
ホワイトバランスの調整が終了すると、制御部6は進退機構5に退避信号を出して校正基準板4を退避させる。そして光源3の光量を通常の検査用光量に復帰させ、カメラ1のホワイトバランス調整を終了させる。
【0019】
以上のようにして、本発明によれば人手を介すことなく自動的にホワイトバランス調整が行える。
【0020】
つぎに、本発明の一実施形態を
図2および
図3に基づき説明する。
本実施形態は、リネンサプライ工場の布類用仕上げラインにおける外観検査装置Aであり、前工程装置B(アイロン掛け装置など)と後工程装置C(折り畳み装置など)との間に設置されている。この外観検査装置Aには、被検査物の表面を検査する表面検査装置A1と裏面を検査する裏面検査装置A2とが含まれている。
外観検査装置Aの本体内には、前工程装置Bから被検査物であるシーツや包布、枕カバーなどの布類を送り込んでくる入側コンベア10と次工程装置Cへ送り出す出側コンベア30が設けられている。
【0021】
まず、表面検査装置A1を説明する。
入側コンベア10の上面には表面検査板12が設置されている。この表面検査板12の上面を被検査物である布類が通るとき、この布類の外観検査が行われる。よって、表面検査板12の上面が特許請求の範囲にいう検査基準面2となる。
【0022】
前記表面検査板12の上方には表面検査用カメラ11が設置されている。この表面検査用カメラ11は支柱17の先端に取付けられ、レンズが下を向くようになっている。この表面検査用カメラ11のレンズと前記表面検査板12の間は表面検査ラインL1が通っている。また、支柱17の下方部分には光源13が取付けられている。光源13は、表面検査板12の表面に光を照射している。
【0023】
支柱17の根元にはブラケットを介して進退機構15が配置されている。進退機構15はエアシリンダで構成されており、そのピストンロッドに校正基準板14が取付けられている。校正基準板14を前進させると、校正基準板14が表面検査ラインL1を通る位置にもたらされる。この位置が校正位置である。エアシリンダを収縮させ校正基準板14を引き込めると、退避位置となる。
【0024】
表面検査装置A1より出側には裏面検査装置A2が配置されている。
入側コンベア10と出側コンベア30との間の空間におけるやや上方には透過光光源2
6が配置され、前記空間のやや下方には光源23が配置されている。裏面検査用カメラ21は外観検査装置本体の側壁に取付けられている。この裏面検査用カメラ21と透過用光源23との間の光路は反射鏡28を介してつなげられている。この光路は
裏面検査ラインL2を構成している。
【0025】
図2において、裏面検査ラインL2には、校正基準板も進退機構も設けられていないが、表面検査装置A1と同様に裏面検査装置A2にも設けることは可能である。
【0026】
上記第1実施形態の外観検査装置
Aによれば制御部6が非検査状態になると、進退機構5を作動させて校正基準板4を校正位置にもたらすので、人手を介することなく、ホワイトバランス調整が行える。制御部6がホワイトバランス調整時に光源3の光量を調整するよう指示するので、ホワイトバランス調整が正確に行える
。進退機構5が校正基準板4を校正位置に移動させたとき、制御部6がカメラ1にホワイトバランス調整指令を出すので、人手を介することなく自動的にホワイトバランス調整が行える。
【0027】
(他の実施形態)
上記実施形態は、リネンサプライ工場のシーツ仕上げラインに適用したものであったが、本発明は半導体ウエハの製造ライン、印刷物の検査ライン、基板の製造ラインなど様々な技術分野の外観検査装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
A 外観検査装置
A1 表面検査装置
A2 裏面検査装置
1 カメラ
2 検査基準面
3 光源
4 校正基準板
5 進退機構
6 制御部
7 コンベア
10 入側コンベア
11 表面検査用カメラ
12 表面検査板
13 光源
14 校正基準板
15 進退機構
21 裏面検査用カメラ
23 光源
2
6 透過光光源
30 出側コンベア