(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユニット本体と、前記ユニット本体の内部を開放するための開位置と前記内部を覆う閉位置とに移動可能な開閉部と、を有する搬送ユニットと連結及び離間が可能であり、前記搬送ユニットと前記連結している際に前記搬送ユニットとの間でシートの搬送が可能なシート搬送装置であって、
シートを搬送するための搬送部と、
前記搬送ユニットと前記離間している際に前記搬送部を前記開閉部から保護する、回動軸周りに回動可能な保護部と、
前記保護部を前記回動軸周りに回動させるための偏向部と、
前記偏向部の所定部分を前記回動軸の軸方向に付勢するための付勢手段と、
を有し、
前記付勢手段は、前記偏向部の前記所定部分を前記軸方向に移動させることによって前記保護部を前記回動軸周りに回動させる、ことを特徴とするシート搬送装置。
第1のユニットと、前記第1のユニットに対して連結、離間する位置に移動可能な第2のユニットとを備え、前記第1のユニットと前記第2のユニットとの間でシートを搬送するシート取り扱い装置であって、
前記第1のユニットの内部を開放する開位置と前記第1のユニットの内部を覆う閉位置に移動する開閉カバーと、
回動軸周りに回動可能であって、前記第1のユニットに前記第2のユニットを前記連結する連結動作によって、前記開位置にある前記開閉カバーに当接し、前記開閉カバーを前記閉位置の方向に移動させる保護部と、
前記保護部を前記回動軸周りに回動させるための偏向部と、
前記偏向部の所定部分を前記回動軸の軸方向に付勢するための付勢手段と、
を有し、
前記付勢手段は、前記偏向部の前記所定部分を前記軸方向に移動させることによって前記保護部を前記回動軸周りに回動させ、
前記保護部は、前記開閉カバーが前記開位置にあるときに前記第2のユニットから前記第1のユニット側に突出し、前記開閉カバーが前記閉位置にあるときに前記第2のユニット側に退避することを特徴とするシート取り扱い装置。
シートに画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置から離間した離間位置と前記画像形成装置に連結した連結位置に移動可能な給紙装置と、を備えた画像形成システムであって、
前記画像形成装置の側部に設けられ、前記画像形成装置の内部を開放する開位置と前記画像形成装置の内部を覆う閉位置に移動する開閉カバーと、
前記給紙装置に設けられ、前記画像形成装置にシートを供給する供給路を形成する一対のガイド部材と、
回動軸周りに回動可能であって、前記開閉カバーが前記開位置にあるときに前記一対のガイド部材の先端と前記画像形成装置との間に突出し、前記開閉カバーが前記閉位置にあるときに前記一対のガイド部材の先端と前記画像形成装置との間から退避する保護部と、
前記保護部を前記回動軸周りに回動させるための偏向部と、
前記偏向部の所定部分を前記回動軸の軸方向に付勢するための付勢手段と、
を有し、
前記付勢手段は、前記偏向部の前記所定部分を前記軸方向に移動させることによって前記保護部を前記回動軸周りに回動させ、
前記保護部は、前記給紙装置を前記連結する連結動作によって、前記開位置にある前記開閉カバーに当接し、前記開閉カバーを前記閉位置の方向に移動させることを特徴とする画像形成システム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本明細書中の以下の説明において、「シートの幅方向」とは、給紙装置5から画像形成装置2へのシートの搬送方向に対して交差する方向(本実施形態においては、シートの搬送方向に対して垂直な方向として説明する。)を意味するものとする。
【0021】
最初に、
図1及び
図2を参照して、画像形成システム1の全体構成を説明する。画像形成システム1は、搬送ユニットとしての画像形成装置2(第1のユニット)と、原稿読取装置3と、原稿給送装置4と、シート搬送装置としての給紙装置5(第2のユニット)と、シート集積装置6とを備えている。画像形成装置2は、100枚程度のシートを収納可能な給紙カセット7(図示されている実施形態では、二つの給紙カセット7a,7b)を備えており、原稿読取装置3によって原稿画像から読み取られた画像データに基づいて、給紙カセット7a,7b及び給紙装置5の何れか一つから供給されたシート上に画像形成を行い、画像形成されたシートをシート集積装置6に集積、収納する。原稿読取装置3には、原稿給送装置4によって原稿シートを給送することもできる。ここで、画像形成システム1において扱われるシートには、普通紙の他、OHPシート、トレーシングペーパ、コート紙などを含むものとする。
【0022】
画像形成装置2は、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ等であり、移動できないように床面上に設置されていることが好ましい。画像形成装置2は、シートに画像を形成することができればよく、様々な画像形成機構を採用することができる。図示されている実施形態では、画像形成機構として、静電式画像形成機構が採用されている。しかしながら、画像形成装置2の画像形成機構は、静電式画像形成機構に限定されるものではなく、インクジェット式画像形成機構、オフセット式画像形成機構などを採用することも可能である。
【0023】
図1及び
図2に示されている画像形成装置2は、帯電器12と、投光器(レーザヘッドなど)8と、感光ドラム9と、現像器10と、転写チャージャ11と、定着ローラ13aとを備えている。帯電器12で帯電された感光ドラム9の表面に投光器8で静電潜像(静止画像)が形成されて、現像器10によって静電潜像にトナーが付着させられ、感光ドラム9上に付着されたトナーが給紙カセット7a,7b又は給紙装置5から供給されたシートに転写チャージャ11によって転写される。トナーが転写されたシートは、下流側に配置される定着ローラ13aに送られて、シート上のトナーを加熱定着させられた後、排紙ローラ対13bによってシート集積装置6へ排出される。
【0024】
各給紙カセット7a,7bには、収納されているシートの最上面に接触してシートを送り出す送出ローラ14と、送り出されたシートを一枚ずつに分離して給送する分離ローラ対15とが設けられている。給紙カセット7a,7bから送出ローラ14によって送り出されて分離ローラ対15によって一枚ずつに分離されたシートは、駆動ローラ16aと従動ローラ16bとによって構成される搬送ローラ対16によって、給紙装置5に面する側部に沿って延びるカセット搬送路17を通って搬送され、給紙装置5の搬出口18に連通する搬入路19に合流した後、搬送路20に沿って転写チャージャ11へと送られる。
【0025】
給紙装置5に面する画像形成装置2の側部には、略水平方向に延びる開閉回動軸21周りに画像形成装置2の内部を開放する開放位置と画像形成装置2の内部を覆う閉鎖位置との間で回動可能に下端部を支持される開閉部としての開閉カバー22が設けられており、従動ローラ16bを含むカセット搬送路17の一部が開閉カバー22と一体的に移動するように形成されている。
【0026】
図3に示されているように、開閉カバー22の上部(開閉回動軸21と反対側)には、画像形成装置2の本体に固定されたロックピン23に係合するためのロック爪24が設けられている。ロック爪24は、開閉カバー22に回動可能に支持されており、ロックピン23と係合するロック位置へ向けて付勢バネ25によって付勢され、通常はロックピン23と係合して開閉カバー22を閉じた状態に保持するようになっていると共に、把手26を通じたロック爪24の回動操作により、ロックピン23とロック爪24との係合を解除させて開閉回動軸21周りに開閉カバー22を回動させて閉鎖位置から開放位置に移動させることができるようになっている。すなわち、ロックピン23とロック爪24とが開閉カバー22を画像形成装置2に係止するためのロック機構を構成している。
【0027】
さらに、給紙装置5に面する開閉カバー22の側部には、
図3に示されているように、給紙装置5側に突出し且つ上向き傾斜面を有する誘導ガイド29が設けられている。誘導ガイド29は、給紙装置5を画像形成装置2に接近させて連結するときに、後述する給紙装置5のガイドブロック63の先端部に取り付けられた誘導コロ64と当接して傾斜面に沿って誘導コロ64を上方の規制部29aまで誘導し、ガイドブロック63に取り付けられた下ガイド61を作動位置へ上昇させるようになっている。
【0028】
なお、本実施形態における開閉カバー21は、画像形成装置2に設けられた規制ピン27と係合する開角度規制部材28によって、閉鎖位置から開放位置に約40°だけ回動できるように設定されている。しかしながら、引き離された状態から給紙装置5を画像形成装置2に連結する際に、後述する押圧部材70の傾斜面70dと当接するようになっていれば、鋭角の範囲の適宜の角度とすることが可能である。
【0029】
このような開閉カバー22を設けることによって、給紙装置5を画像形成装置2から引き離した状態で、ロックピン23とロック爪24との係合を解除して、開閉カバー22を開閉回動軸21周りに閉鎖位置から給紙装置5へ向かって開放位置に回動させることにより、カセット搬送路17を開放することができ、カセット搬送路17内に詰まったシートを除去することができるようになる。
【0030】
原稿読取装置3の上部には、透明なガラスで形成された第1のプラテン30と第2のプラテン31とが水平方向に並設されている。第1のプラテン30は、手置きでセットされる原稿の読み取りに用いられ、対応可能な最大サイズの原稿が載置できるようなサイズに形成されている。また、第2のプラテン31は、原稿給送装置4から給送され所定速度で移動する原稿の読み取りに用いられる。
【0031】
原稿読取装置3の内部には、第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33と、集光レンズ34及び光電変換素子35を有する光電変換手段が設けられている。第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33は、図示されていないキャリッジモータによって駆動されて、第1のプラテン30の下方を副走査方向に往復移動する。第1の読取キャリッジ32には、光を原稿へ向けて照射するランプと、原稿から反射された光を反射するミラーとが設けられており、第2の読取キャリッジ33には、第1の読取キャリッジ32のミラーからの光を集光レンズ34及び光電変換素子35に案内する二つのミラーが設けられている。第1のプラテン30上の原稿の読み取りを行うときには、第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33を移動させながら、第1の読取キャリッジ32から第1のプラテン30上に載置された原稿の画像へ光を照射して、原稿からの反射光を第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33を介して光電変換素子35に案内し、電気信号に変換することによって、原稿から画像データを生成させる。このようにして生成された画像データは画像形成装置2の投光器8に画像信号として送信される。
【0032】
原稿給送装置4は、給送トレイ36と、シート搬送機構37と、排紙トレイ38とを備え、給送トレイ36上に載置された原稿をシート搬送機構37によって一枚ずつ搬送して、第2のプラテン31上を通過させ、排紙トレイ38に排出する。なお、原稿給送装置4から給送されて第2のプラテン31上を通過する原稿を読み取るときには、第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33を第2のプラテン31の下方で予め停止させておき、第2のプラテン31上を通過する原稿から画像データを生成させる。
【0033】
給紙装置5は、筐体(給送装置本体)50と、筐体50内に引き出し機構(図示せず)によって引き出し可能に支持された、シートを載置する載置部としての収納庫51と、収納庫51内のシートを一枚ずつに分離して画像形成装置2へ向けて供給する分離給送機構52とを備え、収納庫51内には、上下方向に昇降可能な、昇降部としての積載トレイ53が設けられている。積載トレイ53は、板状のプレートであり、積載トレイ53上にシートを積載できるようになっている。また、収納庫51の上部には、積載トレイ53上に積載されたシートの最上面の位置を検出するシート上面検知センサ(図示せず)が設けられており、昇降機構54によって、シートの量に応じて積載トレイ53を移動させるようになっている。
【0034】
図4に詳細に示されているように、分離給送機構52は、積載トレイ53上に積載されたシートの最上面に接触してシートを送り出す送出ローラ55と、送り出されたシートを一枚ずつに分離して給送する分離手段と、分離手段によって一枚に分離されたシートを画像形成装置2へ搬送する搬送ローラ対58とを含んでいる。分離手段は、給送ローラ56と、給送ローラ56に圧接して2枚目以降のシートの供給を阻止する分離ローラ57とによって構成されている。
【0035】
給送ローラ56は、図示されていない複数のギヤやタイミングベルトを介して図示されていない給送モータによって駆動されるようになっており、給送モータの駆動により回転してシートを供給する。送出ローラ55は、
図4に示されているように、給送ローラ56のシャフト周りに回動自在に支持されたブラケット59に回転可能に支持されており、給送モータ56による給送ローラ56のシャフトの回転が複数のギアを介して送出ローラ55に伝達されて、回転駆動されるようになっている。
【0036】
分離ローラ57は、その回転軸にトルクリミッタ(図示せず)が取り付けられている。これにより、給送ローラ56と分離ローラ57との圧接部でシートが二枚以上重なってニップされたときに分離ローラ57が停止して上から二枚目以降のシートの供給を阻止するようになっている。すなわち、複数のシートが重なって給送ローラ56と分離ローラ57とのニップ部に進入すると、給送ローラ56の駆動力が最上位のシートに伝達される一方、分離ローラ57の回転が停止され、最上位のシートと上から二枚目以降のシートとの間で滑りが生じて、最上位のシートと上から二枚目以降のシートとが分離される。もちろん、分離ローラ57に代えて分離パッドなど他の部材を用いてもよい。
【0037】
搬送ローラ対58は、図示されていない搬送モータによって駆動される駆動ローラ58aと、駆動ローラ58aに従動して回転する従動ローラ58bによって構成されており、搬送モータ(図示せず)によって駆動ローラ58aが回転し、シートが給紙装置5の搬出口18から排出され、このシートが画像形成装置2に供給される。
【0038】
分離給紙機構52は、シートを案内する搬出路を形成するために、対向して設けられる上ガイド60及び下ガイド61をさらに含んでいる。
【0039】
本実施形態では、上ガイド60が、搬送ローラ対58の駆動ローラ58a側に固定して取り付けられている一方、下ガイド61及び搬送ローラ対58の従動ローラ58bが、分離ローラ57の近傍に設けられたブロック回動軸62周りに作動位置と開放位置との間で回動可能に軸支されたガイドブロック63上に取り付けられている。上ガイド60、下ガイド61、後述する誘導コロ64及び搬送ローラ対58は、本発明の搬送部を形成している。
【0040】
ガイドブロック63には、ブロック回動軸62と反対側に位置する先端部に、誘導コロ64がさらに取り付けられている。画像形成装置2と給紙装置5とが連結されているとき、誘導コロ64は開閉カバー22に設けられた規制部29aに当接して支持され、ガイドブロック63が作動位置に保持される。作動位置では、ガイドブロック63の上面に取り付けられた下ガイド61が上ガイド60と対向して配置され、搬送路を形成すると共に、ガイドブロック63に取り付けられた従動ローラ58bが駆動ローラ58aに圧接し、搬送ローラ対58を形成する。一方、給紙装置5が画像形成装置2から引き離されると、誘導コロ64が規制部29aから外れてガイドブロック63の先端部に対する支持がなくなり、ガイドブロック63は自重で作動位置から開放位置まで予め定められた角度だけ下方に回動する。開放位置では、ガイドブロック63に取付られた下ガイド61及び従動ローラ58bがそれぞれ上ガイド60及び駆動ローラ58aから離れて搬出口18が大きく開放される。
【0041】
このように構成された給紙装置5は、動かないように床面上に設置された画像形成装置2に対して引き離し可能に設けられており、画像形成装置2から給紙装置5を引き離して、画像形成装置2の開閉カバー22を開いてカセット搬送路17を開放したり、給紙装置5の下ガイド61を上ガイド60から離れさせる方向にガイドブロック63を回動させて搬出口18を開放したりできるようにして、紙詰まりなどへの対処を容易にさせている。本実施形態では、給紙装置5が案内レール65上に設置されており、給紙装置5が案内レール65に沿って案内されながら画像形成装置2に対して離間及び接近させることができるようになっている。
【0042】
画像形成システム1は、開閉カバー22が開いた状態で画像形成装置2に給紙装置5を連結させる操作を行ったときに開閉カバー22を自動的に閉鎖させるための開閉カバー閉鎖装置66と、画像形成装置2と給紙装置5の連結状態を維持するための連結保持機構67とをさらに備えている。
【0043】
図5及び
図6を参照すると、開閉カバー閉鎖装置66は、両端部を互いに向かって折り曲げたブラケット68と、ブラケット68の上下で折り曲げられた両端部68a、68bに掛け渡されるように取り付けられた回動軸69と、回動軸69周りに退避位置(
図6参照)と突出位置(
図5参照)との間で回動可能に基端部を支持されている保護部材としての押圧部材70と、回動軸69周りに突出位置へ向けて押圧部材70を回転させるように付勢する付勢部材71とを備えている。付勢部材71としては、例えば、L字形状に折り曲げた板バネや捩じりバネなどを使用することができる。開閉カバー閉鎖装置66は、画像形成装置2に面する給紙装置5の側部において搬出口18の下方に配置されており、回動軸69が上下方向に延びるように、ブラケット68が給紙装置5の筐体50に取り付けられている。また、押圧部材70は、退避位置において、画像形成装置2の開閉カバー22に当接した状態で給紙装置5内に収容される一方、突出位置において、給紙装置5の側部から突出するようになっている。すなわち、押圧部材70は、
図7に示されているように、画像形成装置2と給紙装置5とを連結させた状態では、画像形成装置2の側部に押圧されて付勢部材71の付勢力に抗して退避位置に移動し、
図8に示されているように、画像形成装置2と給紙装置5とが引き離されると、画像形成装置2の側部による押圧がなくなり、付勢部材71の付勢力により突出位置へ移動するようになっている。
【0044】
なお、付勢部材71の付勢力は、画像形成装置2に給紙装置5を接近させて突出位置の押圧部材70が開放位置の開閉カバー22と当接したときに開閉カバー22から押圧部材70に作用する回動軸69周りのトルクよりも大きなトルクを発生させるように定められる。
【0045】
本実施形態の開閉カバー閉鎖装置66では、押圧部材70がさらに回動軸69に沿って移動可能となっており、回動軸69に沿って押圧部材70を上方に移動させるように常時付勢するコイルバネが付勢部材71として使用されていると共に、回動軸69に沿った押圧部材70の移動に伴って回動軸69周りに押圧部材70を回動させる偏向機構72がさらに設けられている。また、押圧部材70は、基端部側に設けられ回動軸69に回動可能に支持される支持部70aと、支持部70aの先端部(回動軸69と反対側の端部)に設けられており支持部70aから上方に(すなわち、搬出口18へ向かって)突出して延びる当接部70bと、当接部70bにおいて開閉カバー22に面する当接部70bの端部に形成され概略鉛直方向(上下方向)に延びる垂直面70cと、当接部70bにおいて垂直面70cに隣接して設けられた上向きの傾斜面70dとを備えている。付勢部材71として用いられるコイルバネは、ブラケット59の折り曲げられた下端部68bと押圧部材70の支持部70aの底面との間に配置される。
【0046】
押圧部材70の傾斜面70dは、
図8に示されているように、押圧部材70が突出位置に移動されているときに開閉カバー22が開放位置に回動している状態の画像形成装置2に給紙装置5を接近させると、開閉カバー22の上端部(先端部)が当接するように形成されている。したがって、画像形成装置2に対して給紙装置5を接近させる操作により、開放位置の開閉カバー22の上端部が押圧部材70の傾斜面70dに当接すると、給紙装置5の接近動作に伴って、開閉カバー22が、上端部を傾斜面70dに沿って上方に摺動させながら開閉回動軸21周りに画像形成装置2へ向かって回動され、さらに、押圧部材70の垂直面70cにより閉鎖位置まで回動される。
【0047】
偏向機構72は、給紙装置5に取り付けられ、ブラケット68に画像形成装置2側へ向いて設けられた下向き傾斜面によって形成されるカム面を有する偏向部材72aと、押圧部材70の支持部70aの上部に設けられた上向き傾斜面によって形成されるカム接触部72bとによって構成されており、付勢部材71によって支持部70aに設けられたカム接触部72bをブラケット68に設けられた偏向部材72aのカム面に押し付けた状態で押圧部材70が回動軸69に沿って移動するようになっている。なお、本実施形態では、ブラケット68と偏向部材72aを一体に形成している。
【0048】
上述した構成の偏向機構72を有した開閉カバー閉鎖装置66では、付勢部材71の付勢力に抗して押圧部材70を回動軸69の下方側(コイルバネを圧縮させる側)に移動させると、カム接触部72bが偏向部材72aのカム面に沿って下方へ移動し、押圧部材70が回動軸69周りに給紙装置5へ向かって回動し、
図6に示されているように、給紙装置5に収容される退避位置へ移動する。一方、付勢部材71の付勢力に従って退避位置から回動軸69に沿って押圧部材70を上方側(コイルバネを伸展させる側)に移動させると、押圧部材70の上方への移動に伴って、カム接触部72bが偏向部材72aのカム面に沿って上方へ移動し、押圧部材70が回動軸69周りに画像形成装置2へ向かって(給紙装置5から離れる方向に)回動しながら押し出され、
図5に示されているように、画像形成装置2へ向かって突出する突出位置へ移動する。また、押圧部材70の支持部70aの上端がブラケット68の折り曲げられた上端部68aに到達して当接することで上方への移動が停止し、支持部70aの基端側の端部がブラケット68の平面部68cに当接することにより、回動軸69周りの押圧部材70の回動も停止する。すなわち、押圧部材70は、回動角度範囲をブラケット68の平面部68cによって規制されている。なお、退避位置から突出位置への押圧部材70の回動角度は、90°未満であり、突出位置の押圧部材70と給紙装置5の側部との成す角度が鋭角となっていることが好ましい。これにより、突出位置の押圧部材70が給紙装置5の側面となす角度が鋭角となり、突出位置の押圧部材70が開閉カバー22に押圧されたときに円滑に退避位置へ回動するようになる。
【0049】
また、上述した構成の開閉カバー閉鎖装置66では、押圧部材70が突出位置に回動したとき、
図8に示されているように、ガイドブロック63が開放位置に回動したときの下ガイド61の先端(給紙装置5から外方へ突出した側)及び誘導コロ64よりも押圧部材70の当接部70bが画像形成装置2の近くに位置し且つ当接部70bの上端が下ガイド61の先端及び誘導コロ64を越える高さまで上昇する。これにより、開閉カバー22が閉鎖位置に回動された状態で画像形成装置2と給紙装置5とを連結のために接近させた場合、画像形成装置2の側部(詳細には開閉カバー22)が給紙装置5の下ガイド61及び誘導コロ64よりも先に押圧部材70に接触して付勢部材71の付勢力により衝突の衝撃が弱められる。そして、開閉カバー22が、下ガイド61及び誘導コロ64に当接することを押圧部材70が保護している。また、開閉カバー22が開放位置に回動されている状態で画像形成装置2と給紙装置5とを連結のために接近させた場合でも、開閉カバー22が下ガイド61や誘導コロ64よりも先に押圧部材70の当接部70bに当接するので、開放位置の開閉カバー22の上端部が直接的に下ガイド61や誘導コロ64に衝突することを防止する。したがって、画像形成装置2の側部や開閉カバー22による下ガイド61と誘導コロ64の変形や損傷を防止する効果を奏する。
【0050】
連結保持機構67は、給紙装置5のシート給紙方向と直交するシート幅方向の一端部(詳細には操作者側の端部)の上部に設けられる。
図9及び
図10を参照すると、連結保持機構67は、給紙装置5の上部に形成された案内部73に沿って摺動可能な操作部材74と、ロックピン75に係合する係合位置とロックピン75との係合を解除される解除位置との間で回動可能に回転軸76bによって支持されているロック爪76と、係合位置へ向かう方向に回動させるようにロック爪76を付勢する付勢部材77とによって構成されている。ロックピン75は、給紙装置5に面する画像形成装置2の側部から突出して設けられており、画像形成装置2に給紙装置5を連結させたときに、給紙装置5内に挿入された形態でロック爪76と係合する。
【0051】
操作部材74は、給紙装置5の上部カバー78に形成された開口部から露出する操作部74aと、先端部に形成された係合部74bとを含んでいる。そして、操作者が手動で操作部74aを操作することで案内部73に沿って操作部74を摺動させることができるようになっている。
【0052】
ロックピン75とロック爪76の解除動作について説明すると、係合部74bがロック爪76に形成された作動レバー部76aに係合しており、操作部材74を摺動させると、
図10に示されているように、係合部74bによって作動レバー部76aが回転軸76c周りに図中時計回りに押されて、ロック爪76が付勢部材77に抗して解除位置へ向かって回動させられ、ロックピン75とロック爪76の先端部76bとの係合が解除される。なお、回転軸76cは、シートの搬送方向と鉛直方向とに広がる所定の面に交差する方向に延びている。次に、ロックピン75とロック爪76の連結動作について説明すると、給紙装置5を画像形成装置2に連結する方向に移動させることによってロック爪76の先端部76bがロックピン75に当接して、付勢部材77の力に抗してロック爪76が図中時計回り方向に回動する。これによって、ロック爪76の先端部76bがロックピン75を乗り越え、ロック爪76の凹部がロックピン75に嵌合してロック爪76とロックピン75とが係合する。
【0053】
なお、ロックピン75、ロック爪76、付勢部材77の組は、給紙装置5のシート幅方向の両端部に設けられていることが好ましく、この場合、回転軸76cをシート幅方向に延設し、フロント側とリア側の両端部のロック爪76を回転軸76cによって連結することで、フロント側の操作部材74の操作により、シート幅方向の両側のロックピン75とロック爪76の先端部76bとの係合が解除されるようになっていることがさらに好ましい。
【0054】
上述したように、開閉カバー閉鎖装置66の押圧部材70は、退避位置において、画像形成装置2の開閉カバー22に当接した状態で付勢部材71によって突出位置へ向けて回動するように付勢されている。すなわち、画像形成装置2に給紙装置5を連結させた状態では、付勢部材71の付勢力によって画像形成装置2の開閉カバー22に給紙装置5から画像形成装置2を引き離そうとする力が作用している。連結保持機構67は、このように押圧部材70による画像形成装置2から給紙装置5を引き離す力に抗して、画像形成装置2と給紙装置5とを連結した状態に保つ機能を果たす。
【0055】
次に、
図11を参照して、
図1に示されている画像形成システム1において、画像形成装置2の開閉カバー22が開いた状態で、画像形成装置2と給紙装置5とを連結させるときの動作を説明する。
【0056】
画像形成装置2と給紙装置5とが引き離されている状態では、画像形成装置2の開閉カバー22による給紙装置5の押圧部材70への押圧及び開閉カバー22に設けられた規制部29aによる誘導コロ64の支持がなくなる。このため、
図11(a)に示されているように、押圧部材70が付勢部材71の付勢力によって突出位置へ回動されると共に、ガイドブロック63が自重でブロック回動軸62周りに下方に開放位置まで回動した状態となる。
【0057】
図11(a)に示されているように画像形成装置2と給紙装置5とが引き離され且つ開閉カバー22が開放位置になっている状態から、画像形成装置2に連結させるために給紙装置5を画像形成装置2に接近させると、まず、
図11(b)に示されているように、開放位置の開閉カバー22の上端(先端)の角部が突出位置の押圧部材70の傾斜面70dに当接する。
【0058】
付勢部材71の付勢力は、画像形成装置2に給紙装置5を接近させて突出位置の押圧部材70が開放位置の開閉カバー22と当接したときに開閉カバー22から押圧部材70に作用する回動軸69周りのトルクよりも大きなトルクを発生させるように定められている。すなわち、開閉カバー22の上端の角部が押圧部材70の傾斜面70dに当接しても、押圧部材70は突出位置を維持しながら、開閉カバー22を画像形成装置2へ向けて押圧する。したがって、開閉カバー22の上端の角部が押圧部材70の傾斜面70dに当接した状態からさらに画像形成装置2に給紙装置5を接近させると、開閉カバー22の上端の角部が傾斜面70dに沿って上方に摺動し、これに伴って、開閉カバー22が開閉回動軸21周りに画像形成装置2へ向かって回動し、さらに、
図11(c)に示されているように、押圧部材70の垂直面70cが開閉カバー22に当接するようになり、画像形成装置2に対する給紙装置5の接近動作に伴って開閉カバー22が押圧部材70の垂直面70cによって押圧され閉鎖位置となる。このとき、押圧部材70による開閉カバー22への押圧で、ロック爪24が付勢バネ25による付勢力に抗してロック位置からロックピン23を乗り越えるように回動して、ロック爪24とロックピン23が係合し、開閉カバー22が閉鎖位置に保持される。つまり、付勢部材71の付勢力は、ロック爪24とロックピン23が係合する際に、開閉カバー22から押圧部材70に作用する回動軸69周りのトルクよりも大きなトルクを発生させるように定められている。
【0059】
このように、開閉カバー22を開放位置に回動させたまま画像形成装置2に給紙装置5を接近させても、画像形成装置2から給紙装置5を引き離したときに自動的に突出位置になる押圧部材70により、開閉カバー22が閉鎖位置まで回動され閉鎖位置に保持される。したがって、開放位置の開閉カバー22の上端部が給紙装置の側部(特に上ガイド60や下ガイド61)に当接して、開閉カバー22、上ガイド60、下ガイド61などを変形や損傷させることを抑制することができる。
【0060】
なお、突出位置の押圧部材70の当接部70bは、ガイドブロック63が開放位置に回動しているときの下ガイド61の先端(給紙装置5から外方へ突出下側)及び誘導コロ64よりも画像形成装置2の近くに位置し、且つ当接部70bの上端が下ガイド61の先端及び誘導コロ64を越える高さまで上昇している。すなわち、押圧部材70は、突出位置へ回動したとき、開放位置の開閉カバー22と下ガイド61の先端及び誘導コロ64との間に配置される。したがって、開閉カバー22が開放位置にある状態で画像形成装置2に給紙装置5を接近させても、開閉カバー22が下ガイド61や誘導コロ64に接触することがなく、開閉カバー22が直接的に下ガイド61や誘導コロ64に衝突して損傷させることを抑制することができる。
【0061】
開閉カバー22が閉鎖位置に保持された状態からさらに画像形成装置2に給紙装置5を接近させると、押圧部材70が開閉カバー22から垂直面70cを介して給紙装置5へ向けて押圧される。これにより、押圧部材70が付勢部材71の付勢力に抗して回動軸69周りに突出位置から給紙装置5へ向かって回動させられる。これに伴って、押圧部材70の支持部70aに設けられたカム接触部72bが給紙装置5に取り付けられたブラケット68に設けられた偏向部材72aのカム面に沿って下方へ移動し、押圧部材70が付勢部材71の付勢力に抗して回動軸69に沿って下方に移動させられる。このようにして、押圧部材70が、画像形成装置2への給紙装置5の接近動作により、回動軸69周りに回動しつつ回動軸69に沿って下方に移動して、突出位置から退避位置へ移動する。これにより、下ガイド61や誘導コロ64に接触することなく押圧部材70を退避位置に移動させることが可能となる。なお、押圧部材70の垂直面70cによって開閉カバー22を押圧することで、開閉カバー22を閉鎖位置に移動させる力を低減させることができる。
【0062】
また、開閉カバー22が閉鎖位置に保持された状態でさらに画像形成装置2に給紙装置5を接近させると、開放位置に回動されたガイドブロック63の先端部に取り付けられた誘導コロ64が開閉カバー22に設けられた誘導ガイド29の上向き傾斜面に当接して、上方へ誘導される。これにより、自重で開放位置に回動したガイドブロック63がブロック回動軸62周りに上方に回動させられる。さらに、給紙装置5が画像形成装置2に連結された状態になると、誘導コロ64が誘導ガイド28に沿って開閉カバー22に設けられた規制部29aに到達して、ガイドブロック63が再び作動位置まで回動され、ガイドブロック63の先端部が規制部29aによって支持された状態でガイドブロック63が作動位置に保持される。この結果、ガイドブロック63の上面に取り付けられた下ガイド61が上ガイド60と対向して配置され、搬送路を形成すると共に、ガイドブロック63に取り付けられた従動ローラ58bが駆動ローラ58aと対向して配置され、搬送ローラ対58を形成し、再び画像形成装置2へのシートの供給が可能な状態となる。
【0063】
さらに、上述したように画像形成装置2に給紙装置5を接近させて押圧部材70が退避位置となって給紙装置5に収容されることにより、給紙装置5は画像形成装置2に隣接する状態まで接近することが可能になる。このとき、画像形成装置2に対する給紙装置5の接近動作に伴って、画像形成装置2の側部から突出して設けられたロックピン75が給紙装置5内に挿入され、ロック爪76の先端部76bがロックピン75を乗り越えるように回動して、ロックピン75とロック爪76の先端部76bが係合し、押圧部材70による画像形成装置2から給紙装置5を引き離そうとする力に抗して画像形成装置2と給紙装置5とを連結状態に保持する。
【0064】
このようにして、
図11(d)に示されているように、画像形成装置2と給紙装置5とを連結させることができる。
【0065】
上記実施形態によれば、付勢部材71によって押圧部材70が突出位置へ付勢されているので、画像形成装置2(第1のユニット)から給紙装置5(第2のユニット)がら引き離されると、押圧部材70が回動軸69周りに突出位置へ回動されて、給紙装置5から画像形成装置2へ向けて突出し、画像形成装置2に給紙装置5を接近させるときに開放位置の開閉カバー22が給紙装置5の側部よりも先に押圧部材70に当接するようになる。また、付勢部材71は、開放位置の開閉カバー22の当接により押圧部材70に作用する回動軸69周りのトルクよりも大きなトルクを発生させるような付勢力を押圧部材70に作用させているので、開放位置の開閉カバー22は画像形成装置2への給紙装置5の接近に伴って押圧部材70により画像形成装置2へ向けて押圧されて開放位置から閉鎖位置へと回動する。これにより、開閉カバー22が閉じられる。さらに画像形成装置2へ向けて給紙装置5を接近させると、画像形成装置2から作用される力により押圧部材70が付勢部材71による付勢力に抗して回動軸69周りに回動し、退避位置へと移動して給紙装置5に収容される。したがって、押圧部材70に妨げられることなく給紙装置5を画像形成装置2の側部に連結させることができる。このように、押圧部材70は、開閉カバー22が開位置(開閉カバー22が最も開いた位置から、閉鎖位置の手前の位置に移動するまでの領域)に位置している際に、開閉カバー22が上ガイド60や下ガイド61等の搬送路に当接することを抑制するように構成されている。
【0066】
また、押圧部材70に、基端部側から先端側へ向かって下向きに傾斜する傾斜面70dを形成し、開閉カバー22の先端部が傾斜面70dに当接した後、画像形成装置2に対する給紙装置5の接近動作に伴って、開閉カバー22の先端部が給紙装置5へ向かって傾斜面70dを登るようにしたので、開閉カバー22が閉鎖位置へ向かって円滑に回動し、画像形成装置2に対する給紙装置5の接近動作を妨げることがない。
【0067】
さらに、閉鎖位置の開閉カバー22と当接する押圧部材70の先端面が略鉛直方向に延びる鉛直面70cとされているので、鉛直面70cが開閉カバー22に当接して押圧することにより、開閉カバー22が確実に閉鎖位置に回動される。加えて、押圧部材70が突出位置に回動したとき、押圧部材70の当接部70bが上ガイド60及び下ガイド61の先端と開放位置の開閉カバー22の間に位置するようになっているので、開放位置の開閉カバー22が上ガイド60、下ガイド61、誘導コロ64に衝突することが確実に防止される。
【0068】
また、付勢部材71と偏向部材72aによって押圧部材70を上下方向に移動させつつ左右方向に回動させるように構成したので、押圧部材70を突出位置及び退避位置に移動させる際に上ガイド60、下ガイド61、誘導コロ64に接触することがなくなり、押圧部材70の突出位置を上ガイド60、下ガイド61、誘導コロ64に、より近接した位置に設定することができる。
【0069】
以上、図示されている実施形態を参照して、開閉カバー閉鎖機構66を備えた本発明によるシート搬送装置、シート取り扱い装置及び画像形成装置を説明したが、本発明は図示されている実施形態に限定されるものではない。例えば、図示されている実施形態では、偏向機構72が傾斜面からなる偏向部材72aのカム面とこれに接触するカム接触部72bにより構成されているが、押圧部材70の支持部70aの内周面に形成したネジ溝と回動軸69の外周面に形成したネジ山とを螺合させるようにすることによって偏向機構72を実現することも可能である。