特許第6353825号(P6353825)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353825
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】把持装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   B25J15/08 C
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-249936(P2015-249936)
(22)【出願日】2015年12月22日
(65)【公開番号】特開2017-113824(P2017-113824A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】花木 幹生
(72)【発明者】
【氏名】上野 朝嗣
【審査官】 稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3122021(JP,B2)
【文献】 特開2009−214204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持対象物を把持する一対の把持爪と、前記一対の把持爪を開閉させる流体圧シリンダと、を備え、
前記流体圧シリンダは、シリンダ室を有する筒状のシリンダチューブと、前記シリンダ室に収容されるとともに前記シリンダ室内を前記シリンダチューブの軸方向に移動可能なピストンと、前記ピストンに一体的に設けられるとともに前記シリンダチューブに対して出没して前記一対の把持爪を開閉させるピストンロッドと、を有しており、
前記シリンダチューブには、前記ピストンロッドが内部を貫通する筒状のケーシングが設けられており、
前記ケーシング内には、
前記ピストンロッドにロックする斜板と、
前記ピストンロッドが貫通するとともに、前記ピストンロッドにロックした前記斜板と係止して前記ピストンロッドと一体的に前記ピストンロッドの出没方向に移動可能な浮動ピストンと、
前記浮動ピストンを前記ピストンロッドの出没方向の一方に向けて付勢する付勢ばねと、
前記付勢ばねの付勢力に抗して前記浮動ピストンを前記ピストンロッドの出没方向の他方に向けて付勢するための流体が供給される浮動ピストン室と、
前記斜板における前記ピストンロッドに対するロックが解除された状態に前記斜板を位置決めするための流体が供給されるロック解除圧力室と、が設けられており、
前記浮動ピストンが前記付勢ばねの付勢力によって前記ピストンロッドの出没方向の一方のストロークエンドに到達した状態では、前記シリンダ室において、前記ピストンは、前記ピストンロッドの出没方向の一方のストロークエンドに到達していないことを特徴とする把持装置。
【請求項2】
前記ケーシングは、前記ロック解除圧力室に連通する給排ポートを有しており、
前記ケーシング内には、前記給排ポートと前記浮動ピストン室とを連通する絞り部が設けられており、
前記給排ポートから前記絞り部を介して前記浮動ピストン室に流体が供給されるとともに、前記浮動ピストン室から前記絞り部を介して前記給排ポートに流体が排出されることを特徴とする請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記浮動ピストンには、前記ケーシングの内周面に摺接するウェアリングが装着されており、
前記ウェアリングの外周面と前記ケーシングの内周面との間は、前記絞り部として機能していることを特徴とする請求項2に記載の把持装置。
【請求項4】
前記ピストンは、前記シリンダ室を、第1圧力作用室と、第2圧力作用室とに区画しており、
前記ピストンにおける前記第1圧力作用室側の受圧面積と、前記ピストンにおける前記第2圧力作用室側の受圧面積とは同じになっており、
前記一対の把持爪によって把持された前記把持対象物を前記一対の把持爪から解放する際には、前記第1圧力作用室及び前記第2圧力作用室に流体がそれぞれ供給されて、前記ピストンにおける前記シリンダ室での移動が停止していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の把持装置。
【請求項5】
前記斜板は、前記浮動ピストンに内蔵されており、
前記浮動ピストンの内部には、前記斜板を前記ピストンロッドの軸方向に対して傾斜させる方向に前記斜板を付勢する斜板ばねが収容される収容室が形成されており、
前記斜板の内周面と前記ピストンロッドの外周面との間には、前記ロック解除圧力室と前記収容室との間をシールする第1シール部材が設けられており、
前記浮動ピストンの内周面と前記ピストンロッドの外周面との間には、前記浮動ピストン室と前記収容室との間をシールする第2シール部材が設けられており、
前記第1シール部材及び前記第2シール部材は、リップパッキンであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の把持装置。
【請求項6】
前記浮動ピストンには、前記斜板の一部が配置される溝が形成されており、
前記溝の内面において、前記斜板の一部と対向する部位は、前記斜板の一部に接触可能であり、前記斜板の傾動中心となる係合部を有しており、
前記浮動ピストンは、前記ピストンロッドの径方向において前記溝よりも内側で、前記ピストンロッドの軸方向において前記斜板に対して前記係合部とは反対側に位置し、且つ前記ピストンロッドの軸方向で前記溝における前記係合部とは反対側の面よりも前記斜板に向けて突出する突出部を有し、
前記突出部の端面には、前記斜板が前記ピストンロッドに対して傾いたときに前記斜板の一部との接触を避ける面取り部が形成されており、
前記斜板が前記ピストンロッドに対して傾く前の状態において、前記斜板と前記突出部の端面との間には隙間が存在し、
前記斜板における前記突出部側の面には、前記斜板が前記係合部を傾動中心として傾いたときに、前記斜板と前記突出部との端面の隙間の寸法が、前記斜板が前記ピストンロッドに対して傾く前の前記斜板と前記突出部の端面との隙間の寸法と同じであるポイントが存在し、
前記係合部と前記ポイントとを結ぶ仮想直線が前記ピストンロッドの軸方向に対してなす角度を「α」とし、前記斜板の傾動角を「θ」とすると、式1「θ=2×α」が成立しており、
前記ピストンロッドの径方向において、前記係合部から前記ポイントまでの間の寸法を「B」とし、前記斜板の一部の厚みを「t」とすると、式2「B=t×tanθ/2」が成立し、
前記突出部の端面の前記面取り部との境界である角部の位置を、前記式2から得られる前記ポイントの位置よりも前記ピストンロッドの径方向内側に設定したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の把持装置。
【請求項7】
前記斜板における前記ピストンロッドに対するロックを手動で解除する手動解除機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧シリンダを用いて一対の把持爪を開閉させる把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エアシリンダ等の流体圧シリンダを用いて、ワーク等の把持対象物を把持する一対の把持爪を開閉させる把持装置が知られている。流体圧シリンダは、シリンダ室を有する筒状のシリンダチューブと、シリンダ室に収容されるとともにシリンダ室をシリンダチューブの軸方向に移動可能なピストンと、ピストンに一体的に設けられるとともにシリンダチューブに対して出没して一対の把持爪を開閉させるピストンロッドとを有している。そして、例えば、シリンダ室において、ピストンがシリンダチューブの軸方向の一方に向けて移動すると、ピストンロッドが出没方向の一方へ移動し、一対の把持爪が互いに離間する方向へ移動して一対の把持爪の開度が大きくなっていく。また、シリンダ室において、ピストンがシリンダチューブの軸方向の他方に向けて移動すると、ピストンロッドが出没方向の他方へ移動し、一対の把持爪が互いに接近する方向へ移動して一対の把持爪の開度が小さくなっていく。
【0003】
例えば、把持対象物を一対の把持爪によって把持対象物の外側から挟み込むようにして把持する把持装置においては、一対の把持爪によって把持対象物を把持する際に、まず、ピストンをピストンロッドの出没方向の一方のストロークエンドに到達するまで移動させて、一対の把持爪の開度を最大にする。これによれば、把持対象物の大きさに対して一対の把持爪の間隔を十分に大きくすることができる。そして、ピストンをシリンダチューブの軸方向の他方に向けて移動させて、ピストンロッドを出没方向の他方へ移動させることにより、一対の把持爪が互いに接近する方向へ移動し、一対の把持爪によって把持対象物が安定的に把持される。
【0004】
ところで、このような把持装置においては、一対の把持爪によって把持された把持対象物を一対の把持爪から解放する際にも、一対の把持爪の開度が最大になると、把持爪が、周辺の物品等に干渉してしまう場合がある。そこで、一対の把持爪によって把持された把持対象物を一対の把持爪から解放する際に、ピストンにおけるピストンロッドの出没方向の一方のストロークを少量に規制して、一対の把持爪の開度が最大にならないようにするものが、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
図9に示すように、特許文献1の把持装置100は、筒状の本体101と、本体101の内部に収容されるピストン102と、ピストン102の一端面に設けられるピストンロッド103と有している。ピストンロッド103は、本体101に対して出没可能である。ピストンロッド103の突出端部には、ピニオン104を介して一対の把持爪105が設けられている。本体101内における本体101の軸方向の一端側には、ピストン102が往復動可能に収容される第1シリンダ部106が形成されている。
【0006】
本体101の中間には、第2シリンダ部107が形成されている。第2シリンダ部107内には、ピストンロッド103が貫通する開口カップ形状のストローク規制部材108が設けられている。ストローク規制部材108は、コイルばね109によって、第1シリンダ部106に向けて付勢されており、第2シリンダ部107への流体(エア)の供給が行われると、コイルばね109の付勢力に抗して、ストッパ110までの少量ストロークL10のみ移動可能になっている。
【0007】
ストローク規制部材108におけるコイルばね109側の端面には、環状の傾斜係合面108aが形成されている。傾斜係合面108aとピストンロッド103の外周面との間には、係止ボール111が複数介在されている。複数の係止ボール111は、コイルばね112によって付勢されて、傾斜係合面108a及びピストンロッド103の外周面に圧接された状態で係止可能になっている。
【0008】
ストローク規制部材108の内部には、第3シリンダ部113が形成されている。第3シリンダ部113内には、ロック解放部材114が収容されている。ロック解放部材114は、複数の係止ボール111に向けて突設する解離突起114aを有している。第3シリンダ部113に流体が供給されると、ロック解放部材114が複数の係止ボール111に向けて移動し、解離突起114aが、コイルばね112の付勢力に抗して複数の係止ボール111を押圧して、複数の係止ボール111における傾斜係合面108aへの圧接を解除する。これにより、複数の係止ボール111が自由状態になる。
【0009】
一対の把持爪105によって把持対象物W10を把持する際には、第3シリンダ部113に流体を供給し、ロック解放部材114を複数の係止ボール111に向けて移動させ、解離突起114aを複数の係止ボール111に押圧させて、複数の係止ボール111における傾斜係合面108aへの圧接を解除する。そして、第1シリンダ部106におけるピストンロッド103とは反対側に流体を供給し、ピストン102及びピストンロッド103を、ピストンロッド103の突出方向へ移動させる。ピストンロッド103が突出方向へ移動すると、一対の把持爪105は、ピニオン104を介して互いに離間する方向へ移動する。そして、第1シリンダ部106におけるピストンロッド103側の流体が外部へ排出されて、ピストン102がピストンロッド103の突出方向側のストロークエンドまで到達すると、一対の把持爪105の開度が最大になる。
【0010】
開度が最大である一対の把持爪105の間に把持対象物W10を配置した状態で、第1シリンダ部106におけるピストンロッド103側に流体を供給し、ピストン102及びピストンロッド103を、ピストンロッド103の没入方向へ移動させる。ピストンロッド103が没入方向へ移動すると、一対の把持爪105は、ピニオン104を介して互いに接近する方向へ移動する。これにより、把持対象物W10が一対の把持爪105によって把持される。
【0011】
一対の把持爪105によって把持された把持対象物W10を一対の把持爪105から解放する際には、第3シリンダ部113の流体を外部へ排出する。すると、コイルばね112によって複数の係止ボール111が付勢され、傾斜係合面108a及びピストンロッド103の外周面に複数の係止ボール111が圧接される。これにより、ピストンロッド103とストローク規制部材108とが係止ボール111を介して一体的に移動可能になる。そして、第2シリンダ部107に流体を供給し、ストローク規制部材108を、コイルばね109の付勢力に抗して、ストッパ110まで移動させる。これにより、ピストンロッド103は少量ストロークL10だけ突出方向へ移動する。このとき、ピストン102がピストンロッド103の突出方向側のストロークエンドに到達していない。その結果、一対の把持爪105によって把持された把持対象物W10を一対の把持爪105から解放する際には、一対の把持爪105の開度が最大にならないため、把持爪105が、周辺の物品等に干渉してしまうことが回避され易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3122021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、傾斜係合面108a及びピストンロッド103の外周面に複数の係止ボール111を圧接する場合では、係止ボール111が傾斜係合面108a及びピストンロッド103の外周面に圧接されていくときに、係止ボール111が傾斜係合面108aに沿って移動していくことによってピストンロッド103が移動してしまう場合がある。これが、把持対象物W10が把持された状態で行われると、把持力が増大してしまって把持対象物W10に過大な荷重が加わってしまったり、係止ボール111による点荷重によりピストンロッド103が損傷してしまったりする虞があり、安定して把持対象物W10を把持することができなくなる。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、安定して把持対象物を把持することができる把持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決する把持装置は、把持対象物を把持する一対の把持爪と、前記一対の把持爪を開閉させる流体圧シリンダと、を備え、前記流体圧シリンダは、シリンダ室を有する筒状のシリンダチューブと、前記シリンダ室に収容されるとともに前記シリンダ室内を前記シリンダチューブの軸方向に移動可能なピストンと、前記ピストンに一体的に設けられるとともに前記シリンダチューブに対して出没して前記一対の把持爪を開閉させるピストンロッドと、を有しており、前記シリンダチューブには、前記ピストンロッドが内部を貫通する筒状のケーシングが設けられており、前記ケーシング内には、前記ピストンロッドにロックする斜板と、前記ピストンロッドが貫通するとともに、前記ピストンロッドにロックした前記斜板と係止して前記ピストンロッドと一体的に前記ピストンロッドの出没方向に移動可能な浮動ピストンと、前記浮動ピストンを前記ピストンロッドの出没方向の一方に向けて付勢する付勢ばねと、前記付勢ばねの付勢力に抗して前記浮動ピストンを前記ピストンロッドの出没方向の他方に向けて付勢するための流体が供給される浮動ピストン室と、前記斜板における前記ピストンロッドに対するロックが解除された状態に前記斜板を位置決めするための流体が供給されるロック解除圧力室と、が設けられており、前記浮動ピストンが前記付勢ばねの付勢力によって前記ピストンロッドの出没方向の一方のストロークエンドに到達した状態では、前記シリンダ室において、前記ピストンは、前記ピストンロッドの出没方向の一方のストロークエンドに到達していない。
【0016】
上記把持装置において、前記ケーシングは、前記ロック解除圧力室に連通する給排ポートを有しており、前記ケーシング内には、前記給排ポートと前記浮動ピストン室とを連通する絞り部が設けられており、前記給排ポートから前記絞り部を介して前記浮動ピストン室に流体が供給されるとともに、前記浮動ピストン室から前記絞り部を介して前記給排ポートに流体が排出されることが好ましい。
【0017】
上記把持装置において、前記浮動ピストンには、前記ケーシングの内周面に摺接するウェアリングが装着されており、前記ウェアリングの外周面と前記ケーシングの内周面との間は、前記絞り部として機能していることが好ましい。
【0018】
上記把持装置において、前記ピストンは、前記シリンダ室を、第1圧力作用室と、第2圧力作用室とに区画しており、前記ピストンにおける前記第1圧力作用室側の受圧面積と、前記ピストンにおける前記第2圧力作用室側の受圧面積とは同じになっており、前記一対の把持爪によって把持された前記把持対象物を前記一対の把持爪から解放する際には、前記第1圧力作用室及び前記第2圧力作用室に流体がそれぞれ供給されて、前記ピストンにおける前記シリンダ室での移動が停止していることが好ましい。
【0019】
上記把持装置において、前記斜板は、前記浮動ピストンに内蔵されており、前記浮動ピストンの内部には、前記斜板を前記ピストンロッドの軸方向に対して傾斜させる方向に前記斜板を付勢する斜板ばねが収容される収容室が形成されており、前記斜板の内周面と前記ピストンロッドの外周面との間には、前記ロック解除圧力室と前記収容室との間をシールする第1シール部材が設けられており、前記浮動ピストンの内周面と前記ピストンロッドの外周面との間には、前記浮動ピストン室と前記収容室との間をシールする第2シール部材が設けられており、前記第1シール部材及び前記第2シール部材は、リップパッキンであることが好ましい。
【0020】
上記把持装置において、前記浮動ピストンには、前記斜板の一部が配置される溝が形成されており、前記溝の内面において、前記斜板の一部と対向する部位は、前記斜板の一部に接触可能であり、前記斜板の傾動中心となる係合部を有しており、前記浮動ピストンは、前記ピストンロッドの径方向において前記溝よりも内側で、前記ピストンロッドの軸方向において前記斜板に対して前記係合部とは反対側に位置し、且つ前記ピストンロッドの軸方向で前記溝における前記係合部とは反対側の面よりも前記斜板に向けて突出する突出部を有し、前記突出部の端面には、前記斜板が前記ピストンロッドに対して傾いたときに前記斜板の一部との接触を避ける面取り部が形成されており、前記斜板が前記ピストンロッドに対して傾く前の状態において、前記斜板と前記突出部の端面との間には隙間が存在し、前記斜板における前記突出部側の面には、前記斜板が前記係合部を傾動中心として傾いたときに、前記斜板と前記突出部との端面の隙間の寸法が、前記斜板が前記ピストンロッドに対して傾く前の前記斜板と前記突出部の端面との隙間の寸法と同じであるポイントが存在し、前記係合部と前記ポイントとを結ぶ仮想直線が前記ピストンロッドの軸方向に対してなす角度を「α」とし、前記斜板の傾動角を「θ」とすると、式1「θ=2×α」が成立しており、前記ピストンロッドの径方向において、前記係合部から前記ポイントまでの間の寸法を「B」とし、前記斜板の一部の厚みを「t」とすると、式2「B=t×tanθ/2」が成立し、前記突出部の端面の前記面取り部との境界である角部の位置を、前記式2から得られる前記ポイントの位置よりも前記ピストンロッドの径方向内側に設定したことが好ましい。
【0021】
上記把持装置において、前記斜板における前記ピストンロッドに対するロックを手動で解除する手動解除機構をさらに備えたことが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、安定して把持対象物を把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態における把持装置の断面図。
図2】把持対象物を把持した状態を示す断面図。
図3】斜板がピストンロッドに対して傾いている状態を模式的に示す拡大断面図。
図4】斜板がピストンロッドをロックしている状態を示す断面図。
図5】一対の把持爪が把持対象物を解放した状態を示す断面図。
図6】別の実施形態における把持装置の一部を示す断面図。
図7】別の実施形態における把持装置の一部を示す断面図。
図8】(a)及び(b)は別の実施形態における把持装置の一部を示す断面図。
図9】従来例における把持装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、把持装置を具体化した一実施形態を図1図5にしたがって説明する。
図1に示すように、把持装置10は、把持対象物W1を把持する一対の把持爪11と、一対の把持爪11を開閉させる流体圧シリンダ12とを備えている。流体圧シリンダ12は、有底筒状のシリンダチューブ14を有している。シリンダチューブ14は、底壁14aと、底壁14aの外周部からシリンダチューブ14の軸方向に延びる円筒状の外周壁14bとを有している。シリンダチューブ14の開口は、ヘッドカバー15によって閉塞されている。ヘッドカバー15は、シリンダチューブ14の外周壁14bの内側に嵌め込まれる円柱状の嵌込部15aと、嵌込部15aにおけるシリンダチューブ14の底壁14aとは反対側の端部から外方に突出する円環状の鍔部15bとを有している。鍔部15bは、シリンダチューブ14の開口側の端面に当接している。そして、シリンダチューブ14及びヘッドカバー15によってシリンダチューブ14内にシリンダ室16が区画されている。
【0025】
シリンダチューブ14の外周壁14bにおけるヘッドカバー15寄りの部位には、シリンダ室16に開口する第1流体給排ポート17aが形成されている。シリンダチューブ14の外周壁14bにおける底壁14a寄りの部位には、シリンダ室16に開口する第2流体給排ポート17bが形成されている。
【0026】
シリンダ室16には、シリンダ室16内をシリンダチューブ14の軸方向に往復動可能な円環状のピストン18が収容されている。ピストン18は、シリンダ室16を、ヘッドカバー15側の第1圧力作用室16aと、底壁14a側の第2圧力作用室16bとに区画している。第1圧力作用室16aは第1流体給排ポート17aに連通するとともに、第2圧力作用室16bは第2流体給排ポート17bに連通している。
【0027】
ピストン18の外周面には、第1圧力作用室16aと第2圧力作用室16bとの間をシールするゴム製のピストンパッキン18sが装着されている。また、ピストン18の外周面におけるピストンパッキン18sよりもヘッドカバー15寄りには、ピストン位置検出用のマグネット19が装着されている。
【0028】
ピストン18には、ピストンロッド20が一体的に設けられている。ピストンロッド20は、ピストン18における底壁14a側の端面18aから突出する第1ロッド部20aと、ピストン18におけるヘッドカバー15側の端面18bから突出する第2ロッド部20bとを有している。第1ロッド部20aと第2ロッド部20bとの外径は同じになっている。ピストン18は、ピストン18の端面18aに設けられる円環状のクッションゴム18gを有している。クッションゴム18gは、第1ロッド部20aに圧入されることにより、ピストン18側の端面がピストン18の端面18aに当接した状態で位置決めされている。
【0029】
シリンダチューブ14における開口側の端面には、筒状のケーシング21が設けられている。ケーシング21は、鍔部15bの外周部に嵌め込まれている。ケーシング21におけるシリンダチューブ14とは反対側の開口は、蓋部材22によって閉塞されている。
【0030】
第1ロッド部20aは、底壁14aに形成された挿通孔14hを介してシリンダチューブ14の外部に突出している。第1ロッド部20aは、シリンダチューブ14に対して出没可能になっている。第2ロッド部20bは、ヘッドカバー15に形成された挿通孔15hを介してケーシング21の内部に突出し、蓋部材22を貫通してケーシング21の外部に突出している。よって、第2ロッド部20bは、ケーシング21の内部を貫通しており、ケーシング21に対して出没可能になっている。
【0031】
第1ロッド部20aの突出端部には、第1ロッド部20aの軸方向に対して直交する方向に貫通するリンクピン51が設けられている。よって、リンクピン51の両端部は、第1ロッド部20aの外周面に対して、第1ロッド部20aの周方向で互いに180度離れた位置にそれぞれ突出している。リンクピン51の両端部には、平面視L字状のリンク部52の一端がそれぞれ係止されている。各リンク部52は、リンクピン51を揺動中心として両リンク部52の他端が互いに接離する方向へ揺動可能になっている。
【0032】
シリンダチューブ14におけるケーシング21とは反対側の端面には、支持ブロック53が取り付けられている。各リンク部52は、支軸54を介して支持ブロック53に対して回動可能にそれぞれ支持されている。また、支持ブロック53は、第1ロッド部20aの軸方向に対して直交する方向に延びるガイドレール55を有している。ガイドレール55には、各把持爪11の基端部11aが係合されている。各把持爪11の基端部11aには、支軸56が設けられている。各リンク部52の他端は、各支軸56を介して各把持爪11に連結されている。
【0033】
ピストン18は、第1圧力作用室16aの流体(例えばエア)の圧力をピストン18の端面18bによって受圧するとともに、第2圧力作用室16bの流体の圧力をピストン18の端面18a及びクッションゴム18gにおけるピストン18とは反対側の端面によって受圧する。第1ロッド部20aと第2ロッド部20bとの外径は同じになっているため、ピストン18における第1圧力作用室16a側の受圧面積と、ピストン18における第2圧力作用室16b側の受圧面積とは同じになっている。
【0034】
第1流体給排ポート17aから第1圧力作用室16aに流体が供給されると、ピストン18の端面18bが、第1圧力作用室16aの流体の圧力を受圧して、ピストン18が底壁14aに向けて移動し始める。すると、第2圧力作用室16bの流体が第2流体給排ポート17bを介して外部へ排出され、ピストン18が底壁14a側のストロークエンドに到達するまで移動する。これにより、ピストンロッド20の第1ロッド部20aがシリンダチューブ14に対して突出する方向へ移動する。ピストン18が底壁14a側のストロークエンドに到達すると、クッションゴム18gが底壁14aに当接する。これにより、クッションゴム18gが押し潰されてピストン18からの衝撃が吸収され、ピストン18が底壁14a側のストロークエンドで緩衝的に停止する。ピストン18の底壁14a側のストロークエンドは、ピストンロッド20の出没方向の一方のストロークエンドに相当する。
【0035】
ピストンロッド20の第1ロッド部20aがシリンダチューブ14に対して突出する方向へ移動すると、一対のリンク部52が、リンクピン51を揺動中心として一対のリンク部52の他端が互いに離間する方向へ揺動する。これにより、一対の把持爪11の基端部11aがガイドレール55に沿って互いに離間する方向へ移動し、一対の把持爪11が互いに離間する方向へ移動して一対の把持爪11の開度が大きくなっていく。そして、ピストン18が底壁14a側のストロークエンドに到達すると、一対の把持爪11の開度が最大になる。
【0036】
図2に示すように、第2流体給排ポート17bから第2圧力作用室16bに流体が供給されると、ピストン18の端面18a及びクッションゴム18gの端面が、第2圧力作用室16bの流体の圧力を受圧して、ピストン18がヘッドカバー15に向けて移動し始める。すると、第1圧力作用室16aの流体が第1流体給排ポート17aを介して外部へ排出され、ピストン18がヘッドカバー15に向けて移動する。これにより、ピストンロッド20の第1ロッド部20aがシリンダチューブ14に対して没入する方向へ移動する。
【0037】
ピストンロッド20の第1ロッド部20aがシリンダチューブ14に対して没入する方向へ移動すると、一対のリンク部52が、リンクピン51を揺動中心として一対のリンク部52の他端が互いに接近する方向へ揺動する。これにより、一対の把持爪11の基端部11aがガイドレール55に沿って互いに接近する方向へ移動し、一対の把持爪11が互いに接近する方向へ移動して一対の把持爪11の開度が小さくなっていく。よって、ピストンロッド20は、シリンダチューブ14に対して出没して一対の把持爪11を開閉させる。
【0038】
ケーシング21内には斜板23が設けられている。斜板23は、ピストンロッド20が貫通する貫通孔23hを有している。斜板23は、ピストンロッド20の軸方向に対して傾斜して、貫通孔23hを形成する斜板23の内周面とピストンロッド20の外周面とが圧接することにより、ピストンロッド20にロックする。
【0039】
ケーシング21内には、ピストンロッド20にロックした斜板23と係止してピストンロッド20と一体的にピストンロッド20の出没方向に移動可能な浮動ピストン24が設けられている。ピストンロッド20は、浮動ピストン24を貫通している。浮動ピストン24は、斜板23を取り囲むように配置される円筒状のピストン部25と、ピストン部25の軸方向一端側の開口を閉塞する第1閉塞部26と、ピストン部25の軸方向他端側の開口を閉塞する第2閉塞部27とを有している。第1閉塞部26は、円環状の第1抜け止め部材28aによって、ピストン部25からの抜け止めがなされている。第2閉塞部27は、円環状の第2抜け止め部材28bによって、ピストン部25からの抜け止めがなされている。
【0040】
斜板23は、ピストン部25の内側であって、且つ第1閉塞部26と第2閉塞部27との間に配置されている。よって、斜板23は、浮動ピストン24に内蔵されている。浮動ピストン24の内部において、斜板23と第1閉塞部26との間には、斜板23をピストンロッド20の軸方向に対して傾斜させる方向に斜板23を付勢する斜板ばね28が収容される収容室29が形成されている。
【0041】
図1において拡大して示すように、ピストン部25の内周面には、環状の溝25dが形成されている。斜板23における第1閉塞部26寄りには、外方へ突出するフランジ部23fが形成されている。フランジ部23fは、溝25d内に配置されている。
【0042】
図3に示すように、溝25dの内面において、フランジ部23fと対向する部位は、フランジ部23fに接触可能であり、斜板23の傾動中心となる係合部24aを有している。第1閉塞部26は、ピストンロッド20の径方向において溝25dよりも内側で、ピストンロッド20の軸方向において斜板23に対して係合部24aとは反対側に位置し、且つピストンロッド20の軸方向で溝25dにおける係合部24aとは反対側の面24bよりも斜板23に向けて突出する突出部26fを有している。
【0043】
突出部26fの端面には、斜板23がピストンロッド20に対して傾いたときにフランジ部23fとの接触を避ける面取り部26aが形成されている。斜板23がピストンロッド20に対して傾く前の状態において、斜板23と突出部26fの端面との間には隙間が存在している。斜板23における突出部26f側の面には、斜板23が係合部24aを傾動中心として傾いたときに、斜板23と突出部26fとの端面の隙間の寸法が、斜板23がピストンロッド20に対して傾く前の斜板23と突出部26fの端面との隙間の寸法と同じであるポイント23pが存在している。
【0044】
係合部24aとポイント23pとを結ぶ仮想直線L1がピストンロッド20の軸方向に対してなす角度を「α」とし、斜板23の傾動角を「θ」とすると、式1「θ=2×α」が成立している。ピストンロッド20の径方向において、係合部24aからポイント23pまでの間の寸法を「B」とし、フランジ部23fの厚みを「t」とすると、式2「B=t×tanθ/2」が成立している。そして、突出部26fの端面の面取り部26aとの境界である角部26eの位置は、式2から得られるポイント23pの位置よりもピストンロッド20の径方向内側に設定されている。
【0045】
図1に示すように、第2抜け止め部材28bと蓋部材22との間には、浮動ピストン24をヘッドカバー15に向けて付勢する付勢ばね30が介在されている。よって、付勢ばね30は、浮動ピストン24をピストンロッド20の出没方向の一方に向けて付勢する。さらに、ケーシング21内において、ヘッドカバー15と浮動ピストン24との間には、付勢ばね30の付勢力に抗して浮動ピストン24を蓋部材22に向けて付勢するための流体が供給される浮動ピストン室31が設けられている。よって、浮動ピストン室31に供給される流体は、付勢ばね30の付勢力に抗して浮動ピストン24をピストンロッド20の出没方向の他方に向けて付勢する。
【0046】
ケーシング21内において、ピストン部25の内側であって、且つ斜板23と第2閉塞部27との間には、斜板23を、ピストンロッド20の軸方向に対して傾斜していない状態に位置決めするための流体が供給されるロック解除圧力室32が設けられている。斜板23が、ピストンロッド20の軸方向に対して傾斜していない状態では、斜板23の内周面とピストンロッド20の外周面とが圧接しておらず、斜板23におけるピストンロッド20に対するロックが解除された状態になっている。よって、ロック解除圧力室32に供給される流体は、斜板23におけるピストンロッド20に対するロックが解除された状態に斜板23を位置決めする。
【0047】
また、ケーシング21は、給排ポート33を有している。給排ポート33には、図示しない切換弁が接続されており、切換弁によって、外部から給排ポート33への流体の供給と、給排ポート33から外部への流体の排出とが切換可能になっている。
【0048】
ピストン部25には、給排ポート33とロック解除圧力室32とを連通させる連通孔25aが形成されている。そして、切換弁の切り換えによって、外部から給排ポート33への流体の供給が許容されると、給排ポート33から連通孔25aを介してロック解除圧力室32に流体が供給される。一方、切換弁の切り換えによって、給排ポート33から外部への流体の排出が許容されると、ロック解除圧力室32の流体が、連通孔25a及び給排ポート33を介して外部へ排出される。
【0049】
ピストン部25の外周面におけるヘッドカバー15寄り、及びピストン部25の外周面における蓋部材22寄りには、ウェアリング34,35が装着されている。ウェアリング34,35の外周面は、ピストン部25の外周面よりもピストン部25の径方向外側に位置している。そして、ウェアリング34,35の外周面がケーシング21の内周面に摺接することにより、浮動ピストン24が偏心してしまうことが抑制されている。
【0050】
ピストン部25の外周面における連通孔25aとウェアリング35との間には、シール部材36が装着されている。シール部材36はリップパッキンである。シール部材36は、給排ポート33からの流体がピストン部25の外周面とケーシング21の内周面との間を介してケーシング21内における第2抜け止め部材28bと蓋部材22との間の空間に流れ込むことを抑止する。
【0051】
斜板23の内周面とピストンロッド20の外周面との間には、ロック解除圧力室32と収容室29との間をシールする第1シール部材37が設けられている。第1シール部材37はリップパッキンであり、ロック解除圧力室32の流体が斜板23の内周面とピストンロッド20の外周面との間を介して収容室29に流れ込むことを抑止する。第1閉塞部26の内周面とピストンロッド20の外周面との間には、浮動ピストン室31と収容室29との間をシールする第2シール部材38が設けられている。第2シール部材38はリップパッキンであり、浮動ピストン室31の流体が第1閉塞部26の内周面とピストンロッド20の外周面との間を介して収容室29に流れ込むことを抑止する。
【0052】
第2閉塞部27の内周面とピストンロッド20の外周面との間には、ロック解除圧力室32とケーシング21内における第2抜け止め部材28bと蓋部材22との間の空間との間をシールするシール部材39が設けられている。シール部材39はリップパッキンであり、ロック解除圧力室32の流体が第2閉塞部27の内周面とピストンロッド20の外周面との間を介してケーシング21内における第2抜け止め部材28bと蓋部材22との間の空間に流れ込むことを抑止する。
【0053】
斜板23の外周面には、ロック解除圧力室32と収容室29との間をシールするシール部材40が装着されている。シール部材40はリップパッキンであり、ロック解除圧力室32の流体が斜板23の外周面とピストン部25の内周面との間を介して収容室29に流れ込むことを抑止する。
【0054】
ヘッドカバー15の内周面とピストンロッド20の外周面との間には、シール部材41が設けられている。シール部材41はリップパッキンであり、浮動ピストン室31の流体がヘッドカバー15の内周面とピストンロッド20の外周面との間を介して第1圧力作用室16aに流れ込むことを抑止する。さらに、ヘッドカバー15の内周面とピストンロッド20の外周面との間であって、且つシール部材41よりも第1圧力作用室16a寄りには、シール部材42が設けられている。シール部材42はリップパッキンであり、第1圧力作用室16aの流体がヘッドカバー15の内周面とピストンロッド20の外周面との間を介して浮動ピストン室31に流れ込むことを抑止する。
【0055】
底壁14aの内周面とピストンロッド20の外周面との間には、シール部材43が設けられている。シール部材43はリップパッキンであり、第2圧力作用室16bの流体が底壁14aの内周面とピストンロッド20の外周面との間を介してシリンダチューブ14の外部へ洩れ出すことを抑止する。
【0056】
給排ポート33と浮動ピストン室31とは、ピストン部25の外周面とケーシング21の内周面との間、及びウェアリング34の外周面とケーシング21の内周面との間を介して連通している。ウェアリング34の外周面は、ピストン部25の外周面よりもピストン部25の径方向外側に位置しているため、ウェアリング34の外周面とケーシング21の内周面との間のクリアランスは、ピストン部25の外周面とケーシング21の内周面との間のクリアランスよりも小さくなっている。よって、ウェアリング34の外周面とケーシング21の内周面との間は、給排ポート33と浮動ピストン室31とを連通する絞り部44として機能している。
【0057】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図1に示すように、上記構成の把持装置10を用いて、把持対象物W1を一対の把持爪11によって把持対象物W1の外側から挟み込むようにして把持する際には、まず、第1流体給排ポート17aから第1圧力作用室16aに流体を供給する。そして、第2圧力作用室16bの流体を、第2流体給排ポート17bを介して外部へ排出し、ピストン18を底壁14a側のストロークエンドに到達するまで移動させる。
【0058】
このとき、切換弁によって、外部から給排ポート33への流体の供給が許容されており、給排ポート33から連通孔25aを介してロック解除圧力室32に流体が供給されている。そして、ロック解除圧力室32の流体の圧力が斜板23に作用することにより、斜板ばね28の付勢力に抗して、斜板23が押圧されて、斜板23が、ピストンロッド20の軸方向に対して傾斜していない状態に位置決めされており、斜板23におけるピストンロッド20に対するロックが解除されている。これにより、ピストンロッド20の第1ロッド部20aがシリンダチューブ14に対して突出する方向へ移動して、一対の把持爪11の開度が最大になる。
【0059】
また、給排ポート33からピストン部25の外周面とケーシング21の内周面との間、及びウェアリング34の外周面とケーシング21の内周面との間を介して浮動ピストン室31に流体が供給されている。そして、浮動ピストン室31の流体の圧力が浮動ピストン24に作用することにより、付勢ばね30の付勢力に抗して浮動ピストン24が蓋部材22側のストロークエンドに到達した状態に維持されている。
【0060】
図2に示すように、開度が最大である一対の把持爪11の間に把持対象物W1を配置した状態で、第2流体給排ポート17bから第2圧力作用室16bに流体を供給するとともに、第1圧力作用室16aの流体を、第1流体給排ポート17aを介して外部へ排出し、ピストン18をヘッドカバー15に向けて移動させる。すると、ピストンロッド20の第1ロッド部20aがシリンダチューブ14に対して没入方向へ移動し、一対の把持爪11の開度が小さくなっていく。そして、一対の把持爪11によって把持対象物W1が挟み込まれて、一対の把持爪11によって把持対象物W1が安定的に把持される。
【0061】
図4に示すように、一対の把持爪11によって把持された把持対象物W1を一対の把持爪11から解放する際には、図2の状態から第1流体給排ポート17aに圧力が加えられ、第1圧力作用室16a及び第2圧力作用室16bに流体がそれぞれ供給されて、ピストン18におけるシリンダ室16での移動が停止し、バランス状態となる。そして、給排ポート33から外部への流体の排出が許容されるように、切換弁を切り換える。すると、ロック解除圧力室32の流体が連通孔25a及び給排ポート33を介して外部へ排出され、斜板ばね28の付勢力によって、斜板23が係合部24aを傾動中心としてピストンロッド20の軸方向に対して傾動する。
【0062】
このとき、斜板23は、突出部26fの角部26eと当接可能になっており、突出部26fの角部26eと当接することにより、斜板23がピストンロッド20の軸方向にそれ以上移動してしまうことが抑制されている。よって、斜板23におけるピストンロッド20に対するロック位置にばらつきが生じてしまうことが抑制されている。そして、斜板23の内周面とピストンロッド20の外周面とが圧接し、斜板23がピストンロッド20にロックする。
【0063】
図5に示すように、浮動ピストン室31の流体は、ウェアリング34の外周面とケーシング21の内周面との間、及びピストン部25の外周面とケーシング21の内周面との間を介して給排ポート33から外部へ排出される。このとき、ウェアリング34の外周面とケーシング21の内周面との間が絞り部44として機能しているため、浮動ピストン室31の流体は、絞り部44を通過する分、ロック解除圧力室32の流体よりも遅れて外部へ排出される。
【0064】
浮動ピストン室31の流体が外部へ排出されると、付勢ばね30の付勢力によって、浮動ピストン24がヘッドカバー15に向けて付勢される。そして、係合部24aが斜板23に係止されて、浮動ピストン24がピストンロッド20と一体的にヘッドカバー15に向けて移動し、ヘッドカバー15側のストロークエンドに到達する。浮動ピストン24が付勢ばね30の付勢力によってヘッドカバー15側のストロークエンドに到達した状態では、シリンダ室16において、ピストン18は、底壁14a側のストロークエンドに到達していない。そして、ピストンロッド20の第1ロッド部20aは、浮動ピストン24のストローク分だけシリンダチューブ14に対して突出する方向へ移動する。これにより、一対の把持爪11によって把持された把持対象物W1を一対の把持爪11から解放する際には、一対の把持爪11の開度が最大にならない。よって、把持爪11が、周辺の物品等に干渉してしまうことが回避され易くなる。
【0065】
次に、図5に示すような一対の把持爪11の開度が最大になっていない状態から、図1に示すように、一対の把持爪11の開度を全開にする場合、まず、外部から給排ポート33への流体の供給が許容されるように切換弁を切り換える。これにより、給排ポート33から連通孔25aを介してロック解除圧力室32に流体を供給され、斜板23におけるピストンロッド20に対するロックが解除される。さらに、給排ポート33からピストン部25の外周面とケーシング21の内周面との間、及びウェアリング34の外周面とケーシング21の内周面との間を介して浮動ピストン室31に流体が供給され、付勢ばね30の付勢力に抗して浮動ピストン24が蓋部材22に向けて移動して、浮動ピストン24が蓋部材22側のストロークエンドに到達する。そして、第2圧力作用室16bの流体を、第2流体給排ポート17bを介して外部へ排出し、ピストン18を底壁14a側のストロークエンドに到達するまで移動させる。これにより、ピストンロッド20の第1ロッド部20aがシリンダチューブ14に対して突出する方向へ移動して、一対の把持爪11の開度が最大になる。これによれば、図5に示すような一対の把持爪11の開度よりもサイズの大きい把持対象物W1を把持することが可能となる。
【0066】
また、図5に示すような一対の把持爪11の開度が最大になっていない状態から、図2に示すように、把持対象物W1を一対の把持爪11によって把持する場合、まず、外部から給排ポート33への流体の供給が許容されるように切換弁を切り換える。これにより、給排ポート33から連通孔25aを介してロック解除圧力室32に流体を供給され、斜板23におけるピストンロッド20に対するロックが解除される。さらに、給排ポート33からピストン部25の外周面とケーシング21の内周面との間、及びウェアリング34の外周面とケーシング21の内周面との間を介して浮動ピストン室31に流体が供給され、付勢ばね30の付勢力に抗して浮動ピストン24が蓋部材22に向けて移動して、浮動ピストン24が蓋部材22側のストロークエンドに到達する。そして、第1圧力作用室16aの流体を、第1流体給排ポート17aを介して外部へ排出し、ピストン18をヘッドカバー15に向けて移動させる。これにより、ピストンロッド20の第1ロッド部20aがシリンダチューブ14に対して没入方向へ移動し、一対の把持爪11によって把持対象物W1が把持される。これによれば、図5に示すような一対の把持爪11の開度よりもサイズの小さい把持対象物W1を把持する際に、一対の把持爪11の開度が最大である状態から把持する場合に比べて、把持対象物W1を把持する際の一対の把持爪11の動作時間が短縮される。
【0067】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)ケーシング21内には、ピストンロッド20にロックする斜板23と、ピストンロッド20にロックした斜板23と係止してピストンロッド20と一体的にピストンロッド20の出没方向に移動可能な浮動ピストン24と、浮動ピストン24をヘッドカバー15に向けて付勢する付勢ばね30とが設けられている。さらに、ケーシング21内には、付勢ばね30の付勢力に抗して浮動ピストン24を蓋部材22に向けて付勢するための流体が供給される浮動ピストン室31と、斜板23におけるピストンロッド20に対するロックが解除された状態に斜板23を位置決めするための流体が供給されるロック解除圧力室32とが設けられている。そして、一対の把持爪11によって把持された把持対象物W1を一対の把持爪11から解放する際には、ロック解除圧力室32の流体を外部へ排出して、斜板23がピストンロッド20にロックする。また、浮動ピストン室31の流体を外部へ排出する。これにより、浮動ピストン24が付勢ばね30の付勢力によってヘッドカバー15側のストロークエンドまで到達する。浮動ピストン24がヘッドカバー15側のストロークエンドに到達した状態では、シリンダ室16において、ピストン18は、底壁14a側のストロークエンドに到達していない。よって、ピストンロッド20の第1ロッド部20aは、浮動ピストン24のストローク分だけシリンダチューブ14に対して突出する方向へ移動する。これにより、一対の把持爪11によって把持された把持対象物W1を一対の把持爪11から解放する際には、一対の把持爪11の開度が最大にならない。
【0068】
例えば、従来技術のように、傾斜係合面及びピストンロッドの外周面に複数の係止ボールを圧接する場合では、係止ボールが傾斜係合面及びピストンロッドの外周面に圧接されていくときに、係止ボールが傾斜係合面に沿って移動していくことによってピストンロッドが移動してしまう場合がある。これが、把持対象物W1が把持された状態で行われると、把持力が増大してしまって把持対象物W1に過大な荷重が加わってしまったり、係止ボールによる点荷重によりピストンロッドが損傷してしまったりする。そこで、本実施形態では、斜板23がピストンロッド20の軸方向に対して傾斜して、斜板23の内周面とピストンロッド20の外周面とが圧接することにより、斜板23がピストンロッド20にロックするため、従来技術のような構成によって起こり得る不具合が生じ難く、安定して把持対象物W1を把持することができる。
【0069】
(2)例えば、従来技術では、一対の把持爪によって把持された把持対象物を一対の把持爪から解放する際に、一対の把持爪の開度が最大にならないようにするためには、第3シリンダ部の流体の外部への排出を行ってから、第2シリンダ部への流体の供給を行う必要がある。このため、第2シリンダ部及び第3シリンダ部に対する流体の給排のタイミング制御が煩雑なものとなっている。そこで、本実施形態では、ケーシング21は、ロック解除圧力室32に連通する給排ポート33を有している。さらに、ケーシング21内には、給排ポート33と浮動ピストン室31とを連通する絞り部44が設けられている。これによれば、浮動ピストン室31の流体は、絞り部44を通過する分、ロック解除圧力室32の流体よりも遅れて給排ポート33から外部へ排出される。このように、一対の把持爪11によって把持された把持対象物W1を一対の把持爪11から解放する際に、一対の把持爪11の開度が最大にならないようにするためには、ロック解除圧力室32及び浮動ピストン室31の流体を、給排ポート33から排出するだけでよい。よって、浮動ピストン室31の流体を給排する給排ポートと、ロック解除圧力室32の流体を給排する給排ポートとがそれぞれケーシング21に設けられている構成に比べて、流体の給排のタイミング制御を簡素なものとすることができる。
【0070】
(3)ウェアリング34の外周面とケーシング21の内周面との間を、絞り部44として機能させた。ウェアリング34は、浮動ピストン24が偏心してしまうことを抑制するために必要な部材であり、本実施形態では、このウェアリング34を利用して、絞り部44を形成している。これによれば、ケーシング21内に、給排ポート33と浮動ピストン室31とを連通する絞り部44を別途設ける必要が無く、構成を簡素なものとすることができる。
【0071】
(4)ピストン18における第1圧力作用室16a側の受圧面積と、ピストン18における第2圧力作用室16b側の受圧面積とは同じになっている。一対の把持爪11によって把持対象物W1を把持している状態では、第1圧力作用室16a及び第2圧力作用室16bに流体がそれぞれ供給されて、ピストン18におけるシリンダ室16での移動が停止している。これによれば、第1圧力作用室16a又は第2圧力作用室16bの流体を外部へ排出することにより、ピストン18が移動する。よって、例えば、第1圧力作用室16aに流体が供給されていない状態で、第2圧力作用室16bに流体を供給して、ピストン18を移動させる場合に比べると、ピストン18が急加速して移動してしまうことを抑制することができ、ピストン18の移動を安定させることができる。
【0072】
(5)第1シール部材37及び第2シール部材38は、リップパッキンである。これによれば、第1シール部材37及び第2シール部材38がOリング等のスクイーズパッキンである場合に比べて、斜板23によるピストンロッド20のロックが解除されている状態で、浮動ピストン24が移動する際のピストンロッド20への摺動抵抗を低減させることができる。その結果、浮動ピストン24が移動することによって、ピストンロッド20が浮動ピストン24と共に移動してしまうことを抑制することができ、一対の把持爪11の開度がずれてしまうことを抑制することができる。
【0073】
(6)突出部26fの端面の面取り部26aとの境界である角部26eの位置は、式2「B=t×tanθ/2」から得られるポイント23pの位置よりもピストンロッド20の径方向内側に設定されている。これによれば、斜板23と突出部26fの端面との隙間を極力小さくしつつも、フランジ部23fが突出部26fに当接して斜板23の傾動が妨げられることを回避することができる。そして、斜板23がピストンロッド20に対して傾く際に、斜板23が、突出部26fの角部26eと当接可能になっており、突出部26fの角部26eと当接することにより、斜板23がピストンロッド20の軸方向にそれ以上移動してしまうことが抑制される。その結果、斜板23におけるピストンロッド20に対するロック位置にばらつきが生じてしまうことを抑制することができる。
【0074】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 実施形態において、浮動ピストン室31の流体を給排する給排ポートと、ロック解除圧力室32の流体を給排する給排ポートとをそれぞれケーシング21に設けてもよい。この場合、ケーシング21内に、絞り部44を形成しなくてもよい。
【0075】
・ 実施形態において、ウェアリング34を利用して、絞り部44を形成せずに、ケーシング21内に給排ポート33と浮動ピストン室31とを連通する絞り部を別途設けてもよい。
【0076】
・ 実施形態において、ピストン18における第1圧力作用室16a側の受圧面積と、ピストン18における第2圧力作用室16b側の受圧面積とは同じでなくてもよい。
・ 実施形態において、第1シール部材37及び第2シール部材38が、例えば、Oリング等のスクイーズパッキンであってもよい。
【0077】
・ 実施形態において、マグネット19を用いてピストン18の位置を検出する構成でなくてもよく、例えば、第2ロッド部20bにおけるケーシング21からの外部への突出量によって、ピストン18の位置を検出する構成であってもよい。
【0078】
・ 実施形態では、把持対象物W1を一対の把持爪11によって把持対象物W1の外側から挟み込むようにして把持したが、これに限らず、例えば、筒状の把持対象物W1の内側に一対の把持爪11を配置して、一対の把持爪11の開度を大きくすることにより把持対象物W1を内側から支持するように把持する把持装置10であってもよい。この場合、図6に示すように、付勢ばね30、浮動ピストン室31及びロック解除圧力室32の配置位置が、ピストンロッド20の軸方向において実施形態から反転し、一対の把持爪11によって把持された把持対象物W1を一対の把持爪11から解放する際の、浮動ピストン24の移動方向が実施形態とは逆になる。
【0079】
図7に示すように、例えば、蓋部材22におけるケーシング21とは反対側の端面に、新たなケーシング21及び蓋部材22を追加してもよい。そして、新たなケーシング21内に、斜板23、浮動ピストン24、付勢ばね30、浮動ピストン室31、及びロック解除圧力室32を設け、新たなケーシング21に給排ポート33を形成し、新たなケーシング21内に絞り部44を設けてもよい。この場合、新たに設ける付勢ばね30、浮動ピストン室31及びロック解除圧力室32の配置位置を、既存の付勢ばね30、浮動ピストン室31及びロック解除圧力室32の配置位置に対して反転させる。これによれば、一対の把持爪11の開度を大きくすることにより把持対象物W1を内側から支持するように把持する把持装置10として用いることもできる。したがって、把持対象物W1を一対の把持爪11によって把持対象物W1の外側から挟み込むようにして把持する動作と、一対の把持爪11の開度を大きくすることにより把持対象物W1を内側から支持するように把持する動作とに、適宜選択することができる。
【0080】
図8(a)及び(b)に示すように、斜板23におけるピストンロッド20に対するロックを手動で解除する手動解除機構60をさらに備えてもよい。手動解除機構60は、蓋部材22の内面に形成される雌ねじ孔22aと、雌ねじ孔22aに螺合する雄ねじ61aを有する手動解除ボルト61とから構成されている。手動解除ボルト61は、外周面に雄ねじ61aが形成された軸部61bと、軸部61bの端部に設けられる頭部61cとを有する。頭部61cは、ケーシング21外に突出している。頭部61cを正方向に回転操作すると、雄ねじ61aが雌ねじ孔22aに対して螺進して、軸部61bの先端が第2抜け止め部材28bの内側を通過して、第2閉塞部27の端面に当接する。さらに、雄ねじ61aが雌ねじ孔22aに対して螺進するように、頭部61cを正方向に回転操作すると、軸部61bが第2閉塞部27を押圧して、第2閉塞部27が斜板23に向けて移動して、第2閉塞部27が斜板ばね28の付勢力に抗して、斜板23を押圧する。これにより、斜板23が、ピストンロッド20の軸方向に対して傾斜していない状態となり、斜板23におけるピストンロッド20に対するロックが解除される。これによれば、例えば、ロック解除圧力室32に流体を供給することができない環境下であっても、斜板23におけるピストンロッド20に対するロックを解除することができる。また、手動解除機構60によって、斜板23におけるピストンロッド20に対するロックの解除状態を維持することにより、把持装置10を、一対の把持爪11の開度が最大にならないようにするために斜板23をピストンロッド20にロックする機能を用いない把持装置10として使用することが可能となる。
【0081】
・ 実施形態において、浮動ピストン24におけるヘッドカバー15側の端面に、クッションゴムを設けてもよい。これによれば、浮動ピストン24がヘッドカバー15側のストロークエンドに到達したときに、クッションゴムが弾性変形することにより、浮動ピストン24におけるヘッドカバー15に対しての衝突音を低減させることができ、消音効果を持たせることができる。
【符号の説明】
【0082】
W1…把持対象物、10…把持装置、11…把持爪、12…流体圧シリンダ、14…シリンダチューブ、16…シリンダ室、16a…第1圧力作用室、16b…第2圧力作用室、18…ピストン、20…ピストンロッド、21…ケーシング、23…斜板、23p…ポイント、24…浮動ピストン、24a…係合部、24b…面、25d…溝、26a…面取り部、26e…角部、26f…突出部、28…斜板ばね、29…収容室、30…付勢ばね、31…浮動ピストン室、32…ロック解除圧力室、33…給排ポート、34…ウェアリング、37…第1シール部材、38…第2シール部材、44…絞り部、60…手動解除機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9