特許第6353834号(P6353834)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6353834ブラインドI/Qミスマッチ補償装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353834
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】ブラインドI/Qミスマッチ補償装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/01 20060101AFI20180625BHJP
   H04L 27/22 20060101ALI20180625BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   H04L27/01
   H04L27/22 Z
   H04B1/16 Z
【請求項の数】19
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-527525(P2015-527525)
(86)(22)【出願日】2013年8月13日
(65)【公表番号】特表2015-531214(P2015-531214A)
(43)【公表日】2015年10月29日
(86)【国際出願番号】US2013054636
(87)【国際公開番号】WO2014028430
(87)【国際公開日】20140220
【審査請求日】2016年8月13日
(31)【優先権主張番号】13/584,804
(32)【優先日】2012年8月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】ガネサン ラグフ
(72)【発明者】
【氏名】ビジョイ ブカニア
(72)【発明者】
【氏名】ジャイガネシュ バラクリシュナン
【審査官】 北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/132118(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0028594(US,A1)
【文献】 特開平05−110369(JP,A)
【文献】 特開2004−266416(JP,A)
【文献】 特開平11−088456(JP,A)
【文献】 特開平09−130337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/01
H04B 1/16
H04L 27/22
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交信号処理方法であって、
周波数変換とアナログデジタル変換(ADC)とに続いて、直交レシーバチャネルのチャネル内の同相(I)アームにおけるIデータサンプルと直交(Q)アームにおけるデータサンプルに対してクリッピング閾値と利得補償係数とを決定することと、
前記Iアームにおけるデータサンプルと前記Qアームにおけるデータサンプルとの間の統計的分布を平衡化させ、前記Iアームと前記Qアームとにおける利得と位相の不平衡訂正を提供するように、前記Iアームと前記Qアームとにおいて受信されて変換されたデータサンプルに前記クリッピング閾値と前記利得補償係数とを適用することと、
を含み、
前記クリッピング閾値と利得補償係数とを決定することが、
初期クリッピング閾値と初期利得補償係数とを得るために、受信したIデータサンプルとQデータサンプルとの反復の第1のセットをユニティ利得補償係数で乗算することと、
受信したIデータサンプルとQデータサンプルとの反復ののセットの間に、反復の各次の開始時のサンプリング期間の間にキャプチャされたIデータサンプルとQデータサンプルとの利得とクリッピングとを補償されたセットから、更新されたクリッピング閾値と収束された利得補償係数とを決定することと、
IデータサンプルとQデータサンプルとの現在の利得とクリッピングとを補償されたセットをるために、前記更新されたクリッピング閾値を用いて、IデータサンプルとQデータサンプルとの反復の次のセットに対して利得補償及びクリッピング演算を実行することと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
反復の前記第1のセットの完了に続いて、Iデータサンプルの少なくとも1つの利得とクリッピングとを補償されたセットと、Qデータサンプルの少なくとも1つの利得とクリッピングと位相とを補償されたセットから、前記直交レシーバチャネルの前記Qアームにおける位相補償関数に関連付けられる位相補正角Φと数とを決定することと、
ADCクリッピングの存在下で利得と位相とのミスマッチを補償されたQデータサンプルをるために、前記Qアームにおける前記位相補償関数を用いて少なくとも1つの利得とクリッピングとを補償されたQデータサンプルを乗算することと、
を更に含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
利得補償ネットワーク出力で受け取った通りに、利得とクリッピングとを補償されたIアームデータI(GCC)の多数のサンプル(N)と、利得とクリッピングとを補償されたQアームデータQ(GCC)の多数のサンプル(N)とをバッファリングすることと、
各Iサンプル及び各Qサンプルを数学的に二乗すること
前記サンプリング期間の間の前記Iアームにおける平均トータル信号電力の値I(AVG_TOTAL)をるために、二乗されたIサンプルを共に加算し、そしてNで除算することと、
前記サンプリング期間の間の前記Qアームにおける平均トータル信号電力の値Q(AVG_TOTAL)を計算するために、二乗されたQサンプルを共に加算し、そしてNで除算することと、
前記サンプリング期間の間の前記Iアームにおける直流(DC)信号成分の平均電力の値I(AVG_DC)をるために、全ての二乗されていないIサンプルを共に加算し、Nで除算し、そして二乗することと、
前記サンプリング期間の間の前記QアームにおけるDC信号成分の平均電力の値Q(AVG_DC)をるために、全ての二乗されていないQサンプルを共に加算し、Nで除算し、そして二乗することと、
前記Iアームにおける平均交流(AC信号電力を表す変異(variance)(I)をるために、I(AVG_TOTAL)からI(AVG_DC)を減算することと、
前記Qアームにおける平均AC信号を表す変異(Q)をるために、Q(AVG_TOTAL)からQ(AVG_DC)を減算することと、
を更に含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
変異の比をるために、前記変異(Q)を前記変異(I)で除算することと、
利得補償係数βの現在の推定β(CURRENT)をるために、変異の前記比の二乗根を求めることと、
新しい累積利得補償推定β(CUMULATIVE)をるために、前に計算された利得補償推定の以前の累積トータルβ(PRIOR)を、β(CURRENT)又はβ(CURRENT)の関数の少なくとも一方に加算することと、
を更に含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記変異(Q)が前記変異(I)より小さい場合に、Iアーム利得補償をβ(CUMULATIVE)に調整することと、
前記変異(Q)が前記変異(I)より小さい場合に、クリッピングロジック閾値を、β(CUMULATIVE)と、I信号とQ信号とを変換するために用いたアナログデジタル変換器(ADC)に関連付けられるフルスケール値との積に等しく設定することと、
前記変異(Q)が前記変異(I)に等しいか又はそれより大きい場合に、前記Qアーム利得補償をl/β(CUMULATIVE)に調整することと、
前記変異(Q)が前記変異(I)に等しいか又はそれより大きい場合に、前記クリッピングロジック閾値を、l/β(CUMULATIVE)とADCフルスケール値との積に等しく設定することと、
を更に含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
所定の数の利得補償反復が発生したか否かを判定することと、
前記所定の数の利得補償反復が発生していない場合に、利得反復カウンタを1増分することと、
利得補償ネットワーク出力からのIアームデータI(GCC)のN個のサンプルとQアームデータQ(GCC)のN個のサンプルとの新しいセットをバッファリングすることと、
β(CUMULATIVE)とクリッピングロジック係数とのための更新された値を決定することと、
所定の数の利得補償反復が発生している場合に、位相補正シーケンスを継続することと、
を更に含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
位相補償ネットワーク出力I(C)及びQ(C)で受け取った通りに、利得補償され、クリッピング補正され、そして位相補償されたIアームデータの多数のサンプルMと、利得補償され、クリッピング補正され、そして位相補償されたQアームデータの同じ数のM個のサンプルとをバッファリングすることと、
Iアームデータにおける平均トータルIアーム信号電力の値I(AVG_TOTAL)をるために、各Iサンプルを数学的に二乗し、前記二乗を総和し、そしてMで除算することと、
Qアームデータにおける平均トータルQアーム信号電力の値Q(AVG_TOTAL)をるために、各Qサンプルを数学的に二乗し、前記二乗を総和し、そしてMで除算することと、
を更に含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記Iアームにおける直流(DC)信号成分の平均電力の値I(AVG_DC)をるために、全てのIサンプルを共に加算し、Mで除算し、そして二乗することと、
前記QアームにおけるDC信号成分の平均電力の値Q(AVG_DC)をるために、全てのQサンプルを共に加算し、Mで除算し、そして二乗することと、
前記Iアームにおける平均交流(AC)信号電力に対応する変異(I)をるために、トータルI信号電力I(AVG_TOTAL)から前記平均IアームDC信号成分I(AVG_DC)を減算することと、
Iの標準偏差σ(I)をるために、前記変異(I)の二乗根を決定することと、
前記Qアームにおける平均AC信号電力に対応する変異(Q)をるために、トータルQ信号電力Q(AVG_TOTAL)から前記平均QアームDC信号成分Q(AVG_DC)を減算することと、
Qの標準偏差σ(Q)をるために、前記変異(Q)の二乗根を決定することと、
を更に含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
IとQとのドット積の予測であるE[I・Q]をるために、各I、Qサンプルペアを乗算し、結果の積を総和し、Mで除算することと、
DCバイアスされた現在の位相誤差推定Φ(CURRENT_BIASED)の三角関数のサインをるために、E[I・Q]をσ(Ι)とσ(Q)の積で除算することと、
を更に含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
Iの予測であるE[I]をるために、全てのIサンプル値を総和し、Mで除算することと、
Qの予測であるE[Q]をるために、全てのQサンプル値を総和し、Mで除算することと、
Φ(CURRENT_BIASED)のDCバイアス成分Φ(DC)のsinをるために、E[I]をE[Q]で乗算し、その結果をσ(Ι)とσ(Q)の積で除算することと、
を更に含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
現在のバイアスされていない位相補正推定Φ(CURRENT_UNIASED)をるために、Φ(CURRENT_BIASED)からΦ(DC)を減算することと、
新しい累積位相補正推定Φ(CUMULATIVE)をるために、Φ(CURRENT_UNBIASED)を前の位相推定Φ(ΡREV)に加算することと、
を更に含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記Qアームを、位相補償関数[1/cos(Φ(CUMULATIVE))]×[Q(GCC)−I(GCC)×sin(Φ(CUMULATIVE))]で乗算するように前記位相補償ネットワークを構成することと、
位相反復指数RをR(MAX)と比較することと、
RがR(MAX)より小さい場合に、Rを増分し、付加的な位相補償反復演算を実行することと、
R=R(MAX)の場合に、タイムアウト期間の満了によって、又は他の選択されたレシーバトリガパラメータによってトリガされるとおりに別の利得/位相補正トレーニングシーケンス機会を待つことと、
を更に含む、方法。
【請求項13】
直交信号処理方法であって、
ダウンコンバートされたIアーム信号I(R)のデジタル化サンプルI(RD)とダウンコンバートされたQアーム信号Q(R)のデジタル化サンプルQ(RD)とを受け取ることと、
前記Iアームにおける平均交流(AC)信号電力を表す変異(I)を得ることと、
前記Qアームにおける平均AC信号電力を表す変異(Q)を得ることと、
変異(Q)/変異(I)の計算された比が1より大きい場合に、利得補償値Q(GC)をるために、Q(RD)を利得補償係数l/βで乗算し、そうでない場合に、Q(GC)をるために、ユニティゲインファクタをQ(RD)に適用することと、
変異(Q)/変異(I)の前記計算された比が1より小さい場合に、利得補償された値I(GC)をるために、I(RD)を利得補償係数βで乗算し、そうでない場合に、I(GC)をるために、ユニティゲインファクタをI(RD)に適用することと、
変異(Q)/変異(I)の前記計算された比が1より大きく、且つI(GC)の絶対値が1/β×(ADCフルスケール値)より大きい場合に、I(GCC)をるために、I(GC)を1/β×前記ADCフルスケール値)に減らすことと、
変異(Q)/変異(I)の前記計算された比が1より小さく、且つQ(GC)の絶対値がβ×前記ADCフルスケール値)より大きい場合に、Q(GCC)をるために、Q(GC)をβ×前記ADCフルスケール値)に減らすことと、
I(GCC)を第1の位相不平衡補正関数sinΦで乗算することと、
独立したQ値[Q(GCC)+(I(GCC)×sinΦ)]をるために、I(GCC)×sinΦを利得及びクリッピング補されたQ値Q(GCC)に代数的に加算することと、
位相補償されたQ値Q(C)をるために、[Q(GCC)+(I(GCC)×sinΦ)]を第2の位相不平衡補正関数l/cos(Φ)で乗算することと、
を含む、方法。
【請求項14】
直交信号処理装置であって、
周波数変換とアナログデジタル変換(ADC)とに続いて、同相(I)データサンプルと直交(Q)データサンプルとの反復の第1のセットの各々の開始時にキャプチャされたIデータサンプルとQデータサンプルとの利得及びクリッピング補償されたセットから、直交レシーバチャネルのIアームとQアームとの各々における利得補償関数に関連付けられる推定利得補償係数と、前記Iアームと前記Qアームとにおけるクリッピング補償関数に関連付けられるクリッピング閾値とを計算するための利得補償モジュールと、
IデータサンプルとQデータサンプルとの利得補償されたセットを求めるために、受け取ったIデータサンプルのセットを前記推定利得補償係数で、受け取ったQデータサンプルのセットを前記推定利得補償係数で、乗算するために前記利得補償モジュールに通信可能に結合される、Iアーム乗算器とQアーム乗算器と、
前記反復の第1のセットの次の1つへの入力データとして用いるために、IデータサンプルとQデータサンプルとの現在の利得補償されクリッピング補正されたセットをるために、Iデータサンプルの前記利得補償されたセット又はQデータサンプルの前記利得補償されたセットの少なくとも一方にクリッピング演算を実行するために、前記利得補償モジュールに通信可能に結合される、IアームクリッピングロジックモジュールとQアームクリッピングロジックモジュールと、
反復の第2のセットの各々の開始時にキャプチャされたIデータサンプルとQデータサンプルとの利得とクリッピングと位相とが補償されたセットから、負のIアーム信号成分をQアームデータの中に戻して加算するために用いられる第1の推定位相補償関数sin(Φ)と、Iアーム及びQアームデータ分布関数を更に適合させるために結果のQアームデータを乗算するための第2の推定位相補償関数1/cos(Φ)とを計算するために、前記直交信号処理装置の補償されたIデータ出力とQデータ出力とに通信可能に結合される、位相補償モジュールと、
を含む、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、
前記利得補償モジュールが、
I及びQデータサンプルの前記利得及びクリッピング補償されたセットを受け入れるためのI及びQサンプルバッファと、
I及びQデータサンプルの前記利得及びクリッピング補償されたセットを前記I及びQサンプルバッファ内にゲーティングするように前記I及びQサンプルバッファに通信可能に結合される、サンプルバッファロジックモジュールと、
前記Iアームにおける平均トータル電力の値I(AVG_TOTAL)と前記Qアームにおける平均トータル電力の値Q(AVG_TOTAL)とをるために、前記I及びQデータサンプルに数学的演算の第1のセットを実行するように前記I及びQサンプルバッファに通信可能に結合される、平均トータル電力モジュールと、
前記Iアームにおける平均直流(DC)電力の値I(AVG_DC)と前記Qアームにおける平均DC電力の値Q(AVG_DC)とをるために、前記I及びQデータサンプルに数学的演算の第2のセットを実行するように前記I及びQサンプルバッファに通信可能に結合される、平均DC電力モジュールと、
前記Iアームにおける平均交流(AC)信号電力の変異(I)をるためにI(AVG_TOTAL)からI(AVG_DC)を減算し、前記Qアームにおける平均AC信号電力の変異(Q)をるためにQ(AVG_TOTAL)からQ(AVG_DC)を減算するように、前記平均トータル電力モジュールと前記平均DC電力モジュールとに通信可能に結合される、変異電力モジュールと、
を更に含む、装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、
前記利得補償モジュールが、
前に計算された累積利得補償推定β(PREV)をストアするための、前の利得補償推定バッファと、
現在の利得補償推定β(CURRENT)をるために変異(Q)対変異(I)の比の二乗根を求め、累積利得補償推定β(CUMULATIVE)をるためにβ(CURRENT)をβ(PREV)と組み合わせるように、前記前の利得補償推定バッファに結合される、利得補償推定モジュールと、
β(CUMUTATIVE)とADCフルスケール値との積に比例するクリッピングロジック閾値をるために、前記変異電力モジュールに通信可能に結合される、クリッピング閾値推定モジュールと、
補償されたデータサンプリングと利得補償推定とクリッピング閾値推定との連続的反復を制御するように、前記サンプルバッファロジックモジュールと前記利得補償推定モジュールとに通信可能に結合される、反復制御モジュールと、
を更に含む、装置。
【請求項17】
請求項14に記載の装置であって、
前記位相補償モジュールが、
前記Iアームにおける平均交流(AC)信号電力の変異(I)と前記Qアームにおける平均AC信号電力の変異(Q)とをるための、補償されたデータサンプリング及び電力計算モジュールと、
前記変異(I)の二乗根としてのIの標準偏差σ(Ι)を、前記変異(Q)の二乗根としてのQの標準偏差σ(Q)をるために、前記補償されたデータサンプリング及び電力計算モジュールに通信可能に結合される、標準偏差モジュールと、
前記Iデータサンプルと前記Qデータサンプルとのドット積の数学的予測E[I・Q]をるために、前記補償されたデータサンプリング及び電力計算モジュールに通信可能に結合される、IドットQ予測モジュールと、
前記Iデータサンプルの数学的予測E[I]をるために、前記補償されたデータサンプリング及び電力計算モジュール通信可能に結合される、I予測モジュールと、
前記Qデータサンプルの数学的予測E[Q]をるために、前記補償されたデータサンプリング及び電力計算モジュールに通信可能に結合される、Q予測モジュールと、
を更に含む、装置。
【請求項18】
請求項17に記載の装置であって、
前記位相補償モジュールが、
アークサイン{E[I・Q]/σ(I)×σ(Q) }に等しい、DCバイアスされた位相角補償推定Φ(CURRENT_BIASED)をるために、前記IドットQ予測モジュールと前記標準偏差モジュールとに通信可能に結合される、バイアスされた位相推定モジュールと、
σ(Ι)×σ(Q)で除算した前記予測E[I]と前記予測E[Q]とのドット積のアークサインに等しい、前記DCバイアスされた位相角補償推定Φ(CURRENT_BIASED)のDC成分Φ(DC)をるために、前記I予測モジュールと前記Q予測モジュールと前記標準偏差モジュールとに通信可能に結合される、DC位相推定モジュールと、
前に計算された位相推定Φ(ΡREV)をストアするための、前の位相角推定モジュールと、
現在のバイアスされていない位相補正角Φ(CURRENT_UNBIASED)を決定するためにΦ(CURRENT_BIASED)からΦ(DC)を減算し、Φ(CUMULATIVE)をるためにΦ(CURRENT_UNBIASED)を前記前に計算された位相推定Φ(ΡREV)に加算するように、前記バイアスされた位相推定モジュールと前記DC位相推定モジュールとに通信可能に結合される、位相角決定モジュールと、
補償されたデータサンプリングと位相角補償推定との連続的反復を制御するように、前記補償されたデータサンプリング及び電力計算モジュールと前記位相角決定モジュールとに通信可能に結合される、反復制御モジュールと、
を更に含む、装置。
【請求項19】
請求項14に記載の装置であって、
前記Iアーム及びQアームクリッピングロジックモジュールが、
前記利得補償モジュールから、前記累積利得補償推定β(CUMULATIVE)と最大ADC範囲とを受け取り、クリッピングレベルを計算するためのクリップレベルロジックと、
利得補償されたサンプル値を前記クリッピングレベルと比較するための比較器と、
前記利得補償されたサンプル値が前記クリッピングレベルを超える場合に、前記利得補償されたサンプル値の大きさを前記クリッピングレベルまで低減するためのクリッパと、
を更に含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、RFレシーバ利得及び位相ミスマッチ補償処理を含む、電子回路に関連する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直交無線周波数(RF)信号の送受信は、データストリームが搬送波を直交に変調することを条件として、単一の搬送波が2つの独立したデータストリームを搬送し得るという概念を利用している。例えば、データストリームの一方が搬送波を正弦関数として変調し得、他方のデータストリームが搬送波を余弦関数として変調し得る。いずれの場合も、2つの変調ストリームは、互いに対して90°の位相オフセットを有さなければならない。直交データストリームは、典型的に、Iデータ及びQデータと称され、同相データストリーム、及び同相データストリームに直交するデータストリーム、即ち、同相データストリームに対して90°の位相角のデータストリームを表す。
【0003】
直交RFレシーバが受信信号を、本明細書中で「Iアーム」及び「Qアーム」と称される2つのパスに分割する。受信信号をIアーム局部発信器(LO)搬送波信号と混合することによって、I信号がダウンコンバートされる。同様に、受信信号をQアームLO搬送波と混合することによって、Q信号がダウンコンバートされる。理想的には、QアームLO信号は、IアームLO信号と正確に同じ大きさであり、IアームLO信号と厳密に90°位相がずれている。実際には、I及びQアームLO信号は、大きさが幾分変動し、位相が完全な直交から離れて変動することが多く、そのためI/Qミスマッチと称される問題を引き起こす。非理想的ローパスフィルタ特性等のその他の要因もI/Qミスマッチを引き起こし得る。
【0004】
I/Qミスマッチの結果、イメージスペクトル、及びそれに続くイメージスペクトル干渉のダウンコンバージョンにおいて、異質なLOエネルギー成分が生成される。即ち、I/Qミスマッチの結果、イメージリジェクション性能が低下し、SNRが低下する。
【0005】
利得及び位相ミスマッチの存在下で、I及びQのLO搬送波は、次のように数学的にモデル化され得る。
(t)=cos(ωt+θ)、C(t)=−βsin(ωt+θ+Φ)
ここで、Φは2つのLO搬送波間の位相ミスマッチを表し、βは2つのLO搬送波間の利得ミスマッチを表す。
【0006】
その結果受信するダウンコンバートされたI及びQ信号は、次のように表され得る。
(t)=I(t)
(t)=β(Q(t)cosΦ−I(t)sinΦ)
なお、I及びQ信号は、互いに理想的に直交しているときミスマッチであるので、I/Qミスマッチの存在下では独立していない。ここでは、Q信号がI信号成分を含んでいる。
【0007】
利得不平衡βは、次のように推定される。
【0008】
位相不平衡Φは、次のように推定される。
【発明の概要】
【0009】
本明細書における実施形態及び方法は、非線形性の存在下のRF直交レシーバにおいて、利得及び位相不平衡補償を行なう。そのような非線形性は、直交レシーバのアナログ及び/又はデジタルセクションに誘導され得る。これ以降で用いられる一例として、そのような非線形は、更に上流のデジタル処理のためにI及びQ信号をデジタル的にサンプリングするために用いられるアナログデジタル変換器(ADC)における信号クリッピングの結果生じ得る。幾つかの実施形態は、Iアーム、Qアーム、又はその両方におけるデータサンプルに関連するクリッピング閾値を決定する。クリッピング閾値は、その後、Iアーム及び/又はQアームにおいて受信及び変換されたデータに適用されて、例えば、これら2つのアームにおけるデータ間の統計的分布を平衡化させる。
【0010】
本明細書中の幾つかの実施形態及び方法は、アナログデジタル(ADC)クリッピングアーチファクトの存在下のRF直交レシーバにおいて、利得及び位相不平衡補償を行なう。Qアーム/Iアーム利得不平衡が、それらのそれぞれのADC入力において示されるI及びQ信号間の平均AC信号電力における差として、それ自体顕在化する。本開示の慣習として、正の利得不平衡とは、Qアームにおける平均AC信号電力がIアームにおける平均AC信号電力より大きいことを意味するものとする。同様に、Iアームにおける平均AC信号電力の方が強い場合は、負の利得不平衡と称することとする。Iアーム又はQアームのいずれであっても、より高い電力のアームが「支配的」と称される。
【0011】
ADCクリッピングレベルがピーク信号レベルより大きいと仮定すると、ADCの出力におけるデータサンプル値は、サンプリング時のADC入力でのアナログ信号における利得不平衡を忠実に表しているはずである。反対に、不十分なダイナミックレンジを備えるADCは、利得不平衡に関して支配的な直交アームのいずれかを、不均衡にクリッピングすることによって、I/Qミスマッチ問題が悪化する。そのような、クリッピングにおける差は、利得及び位相不平衡補償のタスクを複雑化する。I及びQデータサンプル平均から算出された利得不平衡は、クリッピングの存在下で過小に推定される。過小推定が発生するのは、より低電力のアームからの損失より、支配的なアームからクリッピングを介して損失する信号電力の方が比例して大きいからである。また、クリッピングは、I、Q、又はその両方がクリッピングされるとき、時間インスタンスでのI/Q統計的相関が乏しいことの結果として、位相不平衡推定をバイアスさせる。
【0012】
高ダイナミックレンジ信号環境においてクリッピングを防止するために充分なダイナミックレンジを備えるADCハードウェアは、特定のレシーバタイプのための設計目標を満たすには高価過ぎであり得る。本明細書における実施形態は、I及びQアームにおけるクリッピング関数を含む。クリッピング関数は、2つのアーム間のクリッピングアーチファクトを平衡化させるために、非支配的なアームのデータ値で付加的なクリッピング演算を実行する。平衡化されたクリッピングを行なうこと、及びIアーム及びQアームにおけるその他の非線形性を平衡化させることは、I及びQアームにおける統計的データの分布関数を整合させることに貢献する。レシーバアームに関連する整合されたデータ分布関数は、正確な利得及び位相不平衡推定に貢献する。これらの実施形態及び方法は、対応する一層低いダイナミックレンジを備える一層低コストのADCの使用を可能にする。それらは、WLANレシーバ、及びGPSレシーバのような高いガウス雑音成分を処理するレシーバ等の、高いピーク対平均比(PAR)の信号を処理するように設計されたRFレシーバにおいて、特に有用であり得る。
【0013】
本明細書における実施形態は、利得補償の推定及び適用を反復的に行なう。後で詳述するように、各利得補償反復の開始時に、クリッピングレベルが再平衡化される。予め設定された数の反復の後、利得及びクリッピング関数の収束に続いて、利得及びクリッピング補正されたI及びQ信号が、利得及び位相補償ネットワークの位相補償部への入力に現れる。位相補償ネットワークは、位相補償ネットワーク出力において現れる、I及びQデータの1つ又は複数のセットで動作する。後者のデータから計算される位相角ミスマッチ推定が位相ミスマッチを補償するために用いられ、その際、時間相関されたQ信号から適切なI信号成分が減算され、位相ミスマッチの量に従ってQ信号が因数分解される。
【0014】
このように、本明細書中の装置及び方法は、種々の時間的シーケンスに従って、利得、クリッピング、及び位相補償、及び平衡化を行なう。利得補償トレーニングと通常のライブデータ受信動作との間のシーケンス処理は、システム設計要求に従って様々に進行し得る。幾つかの実施形態では、レシーバの電源投入時又はリセット時、又は何らかの適切なトリガイベントの発生時に、トレーニングシーケンスの完全なセットが実行され得る。例えば、トレーニングシーケンスは、レシーバ温度、又は供給電圧変化、又は、レシーバチャネルの利得/位相特性を変え得るその他の動作パラメータ条件を検知したとき開始され得る。幾つかの実施形態は、連続的に又は一定のインターバルで、完全な又は一部のトレーニングシーケンスを実行し得る。レシーバがオンラインであり、そのためレシーバ出力で使用可能なデータが生成されることが予期されている期間の間、トレーニングシーケンスデータが幾つかのケースで無視され得且つ/又は後続のステージにパスオンされ得る。本明細書における幾つかの実施形態は、ADC誘導クリッピングの存在下で、定期的又は連続的に利得及び/又は位相補償のために、ライブデータストリームをタイムサンプリングし得る。
【0015】
一定の制約の範囲で、本発明の実施形態は、利得補償係数βを決定する関数間のシーケンス処理すること、及びΦの関数を利得及びクリッピング補償された入データストリームに印加することの種々のスキームを実装し得る。一般的に、データのキャプチャ及び分析の選択された又は予め定められた数の反復によって、β、及びスケール化されたクリッピングレベルが求められ、それらは精度において許容可能な値に収束される。その方法又はネットワークの利得/クリッピング部分の出力においてサンプルデータがキャプチャされているという点でこれらの方法は再帰的である。このように、新規の反復β値の計算において用いられるデータサンプルは、前の反復β値によってそれ自体が因数分解されていることになり、前の反復のスケール化されたクリッピングレベルによって人工的にクリッピングされていることになる。しかしながら、Iデータ又はQデータの幾つかのシーケンスが、後で詳述するユニティゲイン値で因数分解され得及び/又はクリッピングされ得る。例えば、まだβに値が存在しない場合、βの第1の反復で用いられるサンプルデータが、ユニティゲイン値で因数分解及びクリッピングされ得る。
【0016】
これらの開示される方法に従って、利得補償推定は、各反復において、上述のように、クリッピング平衡化を用いる。位相角推定及び補償スキームは、βの収束値を用いて利得及びクリッピング補償された入力データを用いる。その結果、本明細書における実施形態は、利得/クリッピングトレーニングに続くシーケンスの間、位相補償を決定し、適用する。位相トレーニングは補償位相角Φを生成する。Φは、Φを計算するために用いられるデータサンプルの数に依存し、異なるデータセットを用いる計算の反復の数には依存しない、精度に収束される。このように、本明細書中の実施形態は、多数のデータセットを反復的に用いる位相トレーニングを実行する場合もあり、又は、より大きな単一のデータセットの取得に続いてΦの単一の計算を実行することもある。なお、幾つかの実施形態は、位相補償が存在しない場合に、クリッピング補償された利得補償を実行し得ることに留意されたい。また、利得及び/又は位相補償は、β及びΦの、前に決定された値に基づいて、将来の任意の時点で補償ネットワークによって適用され得ることにも留意されたい。
【0017】
本発明の構造及び方法は、低分解能のI及びQのADCにおける差動的クリッピングによって生成されるI/Qミスマッチが存在する場合に、利得、クリッピング、及び位相補償を提供する。改善されたイメージリジェクション性能がレシーバの動作を強化し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の種々の例示の実施形態に従った利得及び位相補償ネットワークの図である。
【0019】
図2】種々の例示のシーケンスに従ってRF直交レシーバにおいて利得及び位相補償を実行するための方法を表す図である。
【0020】
図3】種々の例示の実施形態に従った利得及び位相補償ネットワークにおける利得補償モジュールのブロック図である。
【0021】
図4】種々の例示の実施形態に従った利得及び位相補償ネットワークにおけるクリッピングロジックモジュールのブロック図である。
【0022】
図5】種々の例示の実施形態に従った利得及び位相補償ネットワークにおける位相補償モジュールのブロック図である。
【0023】
図6A】種々の例示のシーケンスに従ってRF直交レシーバにおいて利得及び位相補償を行なう方法を表すフローチャートである。
【0024】
図6B】種々の例示のシーケンスに従ってRF直交レシーバにおいて利得及び位相補償を行なう方法を表すフローチャートである。
図6C】種々の例示のシーケンスに従ってRF直交レシーバにおいて利得及び位相補償を行なう方法を表すフローチャートである。
図6D】種々の例示のシーケンスに従ってRF直交レシーバにおいて利得及び位相補償を行なう方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の種々の例示の実施形態に従った、利得及び位相補償ネットワーク100の図である。ダウンコンバートされ、フィルタリングされたアナログ信号I(R)105及びQ(R)108が、それぞれ、ADC110及び112で受信される。ADC110及び112は、アナログ信号I(R)105及びQ(R)108を、それぞれ、デジタルサンプリングされたデータストリームI(RD)115及びQ(RD)117に変換する。
【0026】
補償ネットワーク100は、それぞれ、ADC110及び112に通信可能に結合されるIアームマルチプライヤ118及びQアームマルチプライヤ119を含む。Iアームマルチプライヤ118、Qアームマルチプライヤ119、又はその両方は、IアームデータストリームI(RD)115及び/又はQアームデータストリームQ(RD)117からの受信データサンプルの1つ又はそれ以上のセットを因数分解する。Iアームデータサンプルは、因数分解される場合、マルチプライヤ入力120に出現する利得補償係数βで因数分解される。Qアームデータサンプルは、因数分解される場合、クリッピングロジックモジュール入力122において出現する利得補償係数l/βで因数分解される。その結果、Iデータ及びQデータサンプルI(GC)124及びQ(GC)126の利得補償されたセットが生成される。
【0027】
補償ネットワーク100は更に、マルチプライヤ118に通信可能に結合されるIアームクリッピングロジックモジュール130、及びマルチプライヤ119に通信可能に結合されるQアームクリッピングロジックモジュール133を含む。クリッピングロジックモジュール130及び133は、IデータサンプルI(GC)124の利得補償されたセット、QデータサンプルQ(GC)126の利得補償されたセット、又はその両方に対しクリッピング演算を実行する。本開示の文脈における「クリッピング演算」は、特定のクリッピングレベルより大きい大きさのデータ値を因数分解することを意味する。幾つかの実施形態において、影響を受けるデータ値が因数分解されて特定のクリッピングレベルまで下げられ得る。しかしながら、本開示は種々のADC技術及びその他のレシーバ非線形性によって導入される種々のクリッピング不平衡に適用可能であり得るような、その他のクリッパ因数分解スキームも考慮する。クリッピングレベル情報は、それぞれ、クリッピングロジックモジュール130及び133の入力134及び135に出現する。利得及びクリッピング補償されたIデータサンプルI(GCC)及びQデータサンプルQ(GCC)が、その結果、それぞれ、クリッピングロジックモジュール130及び133の出力144及び148に出現する。
【0028】
補償ネットワーク100は更に、マルチプライヤ118及び119に、及びクリッピングロジックモジュール130及び133に通信可能に結合される利得補償モジュール140を含む。利得補償モジュール140は、利得補償関数に対応する反復の第1のセットの各々の開始時に、サンプルI(GCC)及びQ(GCC)をバッファリングする。利得補償モジュール140は、後で詳述するように、推定利得補償係数βを決定するために、バッファリングされたデータサンプルを処理する。因数β又はl/βは、Iアームにおいてマルチプライヤ118によって、Qアームにおいてマルチプライヤ119によって、又はその両方によって、実行される利得補償関数に関連付けられる。第1の反復の開始時には、βのための値はまだ利用可能ではないことになる。そのため、利得補償モジュール140は、βの第1の推定を生成するためにI(GCC)及びQ(GCC)データの補償されていないセットを処理し得る。
【0029】
また、利得補償モジュール140は、クリッピングロジックモジュール130及び133に送信するためクリッピング閾値を設定するために、β及び既知のADC特性を用いる。クリッピング閾値は、周波数変換及びADC変換に続いて、及び後で詳述するように、クリッピングロジックモジュール130及び133によって実行されるクリッピング補償関数に関連付けられる。
【0030】
補償ネットワーク100は更に、クリッピングロジックモジュール出力144及び148に通信可能に結合される位相補償モジュール150を含む。また、位相補償モジュール150は、補償ネットワーク100の出力170及び172に通信可能に結合される。後者の出力から、位相補償モジュールは反復の第2のセットの各々の開始時に、利得、クリッピング、及び位相補償されたI及びQデータサンプルのセットをバッファリングする。なお、上述のように、反復の第1のセットは収束された利得及びクリッピング補償係数を求めることに関連付けられる。
【0031】
位相補償モジュール150は、推定された位相補償角度Φを、後で詳述するように、補償されたデータサンプルを用いて計算する。位相補償モジュール150は、位相不平衡補償因数を直接推定し得、又は、Qアーム上で更なる補償演算を実行するための因数として用いられる、Φの三角関数を計算し得る。具体的には、位相補償モジュール150は、マルチプライヤ152への制御線154上に、因数sin(Φ)を提供する。因数I(GCC)sin(Φ)は、元の、クリッピングを有するI/Qミスマッチの結果として、Qから減算されたIの成分を表す。後者の因数は、補償のこの部分を実行するために、加算ジャンクション160においてQ(GCC)にサムバック(sum back)され、その結果、ノード162における中間結果Q(GCC)+I(GCC)sin(Φ)となる。最後に、この中間結果は、マルチプライヤ164において、l/cos(Φ)で因数分解される。後者の因数は、位相補償モジュール150からの入力166に出現する。これらの演算は、Iアーム及びQアームデータ分布関数に更に適合するようにQアームデータを補償する。
【0032】
図2は、種々の例示のシーケンスに従った、トレーニングされたRF直交レシーバにおいて、利得及び位相補償を実行する方法200を表すフローチャートである。本開示の目的のために、「トレーニングされたRF直交レシーバ」とは、補償係数を決定するために、サンプリングされたデータに、利得、クリッピング、及び/又は位相補償演算の1つ又はそれ以上の反復が実行されること、及び、その結果の補償係数が、上述したネットワーク100等の補償ネットワークに現在適用されていることを意味する。
【0033】
方法200は、ブロック205及び210で、ダウンコンバートされたIアーム信号のデジタル化されたサンプル、及びダウンコンバートされたQアーム信号のデジタル化されたサンプル(例えば、図1の、それぞれ、ダウンコンバートされた信号I(R)、Q(R)のデジタル化されたサンプルI(RD)、Q(RD))を受け取ることで開始する。
【0034】
方法200は、ブロック215で、前に計算された変異(variance)(Q)値が、対応する前に計算された変異(I)値より大きいか否かを判定することを含む。大きい場合、方法200は、ブロック218で、I(GC)を求めるために、I(RD)をユニティゲインファクタで因数分解することを含む。また、方法200は、ブロック220で、利得補償値Q(GC)を求めるために、Q(RD)を利得補償係数l/βで因数分解することを含む。変異(Q)が変異(I)より大きい場合、方法200は更に、ある一定の、しかし全部ではない利得補償されたIデータ値I(GC)を因数分解することによって、クリッピング補償を実行することを含む。l/β*(ADC_full-scale_value)より大きい全ての|I(GC)|に対して、方法200は、ブロック225で、I(GCC)を求めるために、I(GC)をl/β*(ADC_full-scale_value)まで減らすことを含む。なお、このケースでは、Q(GC)データは既にクリッピング閾値又はそれ以下まで利得補償されているため、クリッピング補償は、Q(GC)データからクリッピングするものは何も見出さないことに留意されたい。このように、後者のケースでは、Q(GCC)はQ(GC)に等しい。
【0035】
前に計算された変異(Q)/変異(I)の比が1より小さい場合、方法200は、ブロック228で、Q(GC)を求めるために、Q(RD)をユニティゲインファクタで因数分解することを含む。また、方法200は、ブロック230で、利得補償値I(GC)を求めるために、I(RD)を利得補償係数βで因数分解することを含む。前に計算された変異(Q)/変異(I)の比が1より小さい場合にクリッピング平衡化を実行するために、β*(ADC_full-scale_value)より大きい全ての|Q(GC)|に対して、方法200は、ブロック235で、Q(GCC)を求めるために、Q(GC)をβ*(ADC_full-scale_value)まで減らすことを含む。なお、このケースでは、I(GC)データが既にクリッピング閾値又はそれ以下まで利得補償されているため、クリッピング補償はI(GC)データからクリッピングするものは何も見出さないことに留意されたい。このように、後者のケースでは、I(GCC)の値はI(GC)の対応する値に等しい。
【0036】
方法200は、続いて、ブロック240で、利得及びクリッピング補償されたI(GCC)値が位相補償ネットワーク(例えば、図1の、出力170における、位相補償ネットワーク)を変化のない状態においてパススルーし得ることを注目する。即ち、再び図1を参照すると、I(GCC)がI(GC)に等しい。
【0037】
方法200は、ブロック245で、位相補正成分I(GCC)sin(Φ)を求めるために、I(GCC)をsin(Φ)で因数分解することを含む。方法200は更に、ブロック250で、中間のQ値Q(GCC)+I(GCC)sin(Φ)を求めるために、I(GCC)sin(Φ)をQ(GCC)に加算することを含む。なお、非理想的なLOを用いてダウンコンバートされるプロセスの間、Q(t)が負のI(t)成分を取得していることに留意されたい。ここで、方法200は、Qデータストリームの中からI(GCC)sin(Φ)ファクタを代数的に加算する。方法200はまた、ブロック255で、位相補償されたQ値Q(C)を求めるために、[Q(GCC)+I(GCC)sin(Φ)]をl/cos(Φ)で因数分解することを含む。
【0038】
図3は、種々の例示の実施形態に従った、利得及び位相補償ネットワークにおける利得補償モジュール140のブロック図である。利得補償モジュール140は、処理のためにI及びQデータサンプルの利得及びクリッピング補償されたセットを受け入れるために、I及びQサンプルバッファ310及び312を含む。利得補償モジュール140は更に、I及びQサンプルバッファ310及び312に通信可能に結合されるサンプルバッファロジックモジュール315を含む。サンプルバッファロジックモジュール315は、利得補償の反復の開始時に、I及びQデータサンプルの利得及びクリッピング補償されたセットをI及びQサンプルバッファ310及び312にゲーティングする。
【0039】
利得補償モジュール140は更に、I及びQサンプルバッファ310及び312に通信可能に結合される平均トータル電力モジュール320を含む。平均トータル電力モジュール320は、後で詳述するように、I及びQデータサンプルに、数学的演算の第1のセットを実行する。数学的演算の第1のセットは、その結果、Iアームにおける平均トータル電力である値I(AVG_TOTAL)、及びQアームにおける平均トータル電力である値Q(AVG_TOTAL)を生成する。
【0040】
利得補償モジュール140は更に、I及びQサンプルバッファ310及び312に通信可能に結合される平均DC電力モジュール324を含む。平均DC電力モジュール324は、後で詳述するように、I及びQデータサンプルに数学的演算の第2のセットを実行する。数学的演算の第2のセットは、その結果、Iアームにおける平均DC電力である値I(AVG_DC)、及びQアームにおける平均DC電力である値Q(AVG_DC)を生成する。
【0041】
また、利得補償モジュール140は、平均トータル電力モジュール320に及び平均DC電力モジュール324に通信可能に結合される変異電力モジュール328を含む。変異電力モジュール328は、Iアームにおける平均AC信号電力の変異(I)を求めるために、I(AVG_TOTAL)からI(AVG_DC)を減算する。また、変異電力モジュール328は、Qアームにおける平均AC信号電力の変異(Q)を求めるために、Q(AVG_TOTAL)からQ(AVG_DC)を減算する。また、利得補償モジュール140は、変異電力モジュール328に通信可能に結合される、I、Q変異電力比較器330を含む。I、Q変異電力比較器330は、Iアーム又はQアームのいずれが利得支配的であるかを判定する。利得ドミナンスは、利得因数分解又はクリッピング平衡化がIアーム又はQアームのいずれに適用されるかを判定する。
【0042】
利得補償モジュール140は更に、変異電力モジュール328に通信可能に結合される、前の利得補償推定バッファ340を含む。前の利得補償推定バッファ340は、前の反復の間に計算された累積利得補償推定β(PREV)をストアする。利得補償モジュール140は更に、変異電力モジュール328に及び前の利得補償推定バッファ340に通信可能に結合される、利得補償推定モジュール342を含む。利得補償推定モジュール342は、カレント利得補償推定β(CURRENT)を求めるために、変異(Q)対変異(I)の比の二乗根を計算する。また、利得補償推定モジュール342は、累積利得補償推定β(CUMULATIVE)を求めるために、β(CURRENT)をβ(PREV)に加算する。β(CUMULATIVE)又はその逆数は、図1のマルチプライヤ118及び119によって因数分解係数として用いられるために、出力350において提供されるが、後述する追加基準を条件とする。また、β(CUMULATIVE)は、次の反復に使用するため新規のβ(PREV)として、前の利得補償推定バッファ340にストアされる。
【0043】
利得補償モジュール140は更に、変異電力モジュール328に通信可能に結合されるクリッピング閾値推定モジュール344を含む。クリッピング閾値推定モジュール344は、β(CUMULATIVE)とADC_full-scale_valueとの積に比例するクリッピングロジック閾値を計算する。ADC_full-scale_valueは、クリッピング閾値推定モジュール344に通信可能に結合されるバッファ346にストアされる。その結果のクリッピングロジック閾値は、利得補償収束の間の各反復で、I及びQアームにおけるクリッピングレベルを平衡化するために、出力354上の図1のクリッピングロジックモジュール130及び133に送られる。
【0044】
利得補償モジュール140は更に、サンプルバッファロジックモジュール315に及び利得補償推定モジュール342に通信可能に結合される、反復制御モジュール360を含む。反復制御モジュール360は、補償されたデータサンプリング、利得補償推定、及びクリッピング閾値推定、の連続的反復を制御する。バッファ362が、反復制御モジュール360に通信可能に結合され、利得補償係数β(CUMULATIVE)の所望のレベルの収束を達成するために設計基準によって指定されるようにPの反復の数をストアする。
【0045】
図4は、種々の例示の実施形態に従った利得及び位相補償ネットワークにおけるクリッピングロジックモジュール400のブロック図である。クリッピングロジックモジュール400は、クリッピングレベルを計算するためのクリッピングレベルロジック405を含む。クリッピングレベルロジック405は、累積利得補償推定β(CUMULATIVE)を入力415で、及び、最大ADC信号範囲を表す値420を入力422で受け取る。両方の値は、利得補償モジュール140から受け取られる。クリッピングレベルは、β(CUMULATIVE)で因数分解された適用可能なADCによって表され得る最大デジタル値の絶対値として計算される。例えば、|(26)/2|=32の最大値が可能な6ビットのADCを考えてみる。β(CUMULATIVE)が0.75に等しいとすると、クリッピングレベルロジック405は、この例では、クリッピングレベルを32×0.75=24として計算する。
【0046】
また、クリッピングロジックモジュール400は、クリッピングレベルロジック405に通信可能に結合される比較器425を含む。比較器425は、利得補償されたサンプル値I(GC)又はQ(GC)を受け取り、そのサンプル値をクリッピングレベルと比較する。更にクリッピングロジックモジュール400は、比較器425に結合されるクリッパ430を含む。クリッパ430は、利得補償されたサンプル値がクリッピングレベルを超える場合、利得補償されたサンプル値の大きさを因数分解して、クリッピングレベルまで下げる。利得及びクリッピングレベル補償された出力値I(GCC)又はQ(GCC)が、クリッピングロジックモジュール400の出力440に出現する。
【0047】
図5は、種々の例示の実施形態に従った、利得及び位相補償ネットワークにおける位相補償モジュール150のブロック図である。位相補償モジュール150は、クリッピング−補正されたデータ上で動作する。即ち、Iアーム及びQアーム信号の分布は、ネットワーク100の位相補償部分で受け取られるように互いに対して正規化される。その結果、位相補償が更に正確になる。
【0048】
位相補償モジュール150は、補償されたデータサンプリング及び電力計算モジュール505を含む。補償されたデータサンプリング及び電力計算モジュール505は、I及びQサンプルバッファ510及び512、サンプルバッファロジックモジュール515、トータル電力及びDC電力モジュール520及び524、及び変異電力モジュール528を含む。これら含まれるモジュールは、Iアームにおける平均AC信号電力の変異(I)、及びQアームにおける平均AC信号電力の変異(Q)を求めるために、利得補償モジュール140を参照して上述したように動作する。しかしながら、モジュール510、512、515、520、524は、図1の、利得、クリッピング、及び位相補償ネットワーク100のI(C)及びQ(C)出力170及び172からのデータサンプルで動作することに留意されたい。
【0049】
また、位相補償モジュール150は、補償されたデータサンプリング及び電力計算モジュール505に通信可能に結合される、標準偏差モジュール530を含む。標準偏差モジュール530は、変異(I)の二乗根としてIσ(Ι)の標準偏差、及び変異(Q)の二乗根としてQσ(Q)の標準偏差を計算する。
【0050】
更に位相補償モジュール150は、補償されたデータサンプリング及び電力計算モジュール505に通信可能に結合される、IドットQ予測モジュール540を含む。IドットQ予測モジュール540は、IデータサンプルとQデータサンプルのドット積の数学的予測E[I&middot;Q]を計算する。
【0051】
また、位相補償モジュール150は、補償されたデータサンプリング及び電力計算モジュール505に通信可能に結合される、I及びQ予測モジュール544及び548を含む。I及びQ予測モジュール544及び548は、それぞれ、I及びQデータサンプルの数学的予測E[I]及びE[Q]を計算する。
【0052】
また、位相補償モジュール150は、IドットQ予測モジュール540に及び標準偏差モジュール530に通信可能に結合される、バイアスされた位相推定モジュール550を含む。バイアスされた位相推定モジュール550は、アークサイン{E[I&middot;Q]/σ(Ι)σ(Q)}に等しい、DCバイアスされた位相角補償推定Φ(CURRENT_ΒΙΑSΕD)を計算する。
【0053】
DC位相推定モジュール552が、I予測モジュール544、Q予測モジュール548、及び標準偏差モジュール530に通信可能に結合される。DC位相推定モジュール552は、DCバイアスされた位相角補償推定Φ(CURRENT_ΒΙΑSΕD)のDC成分Φ(DC)を計算する。DC成分Φ(DC)は、予測E[I]と、σ(Ι)σ(Q)によって除算された予測E[Q]とのドット積のアークサインに等しい。
【0054】
また、位相補償モジュール150は、バイアスされた位相推定モジュール550に及びDC位相推定モジュール552に通信可能に結合される、位相角決定モジュール555を含む。位相角決定モジュール555は、カレントのバイアスされていない位相補正角Φ(CURRENT_UNΒΙΑSΕD)を求めるために、Φ(CURRENT_ΒΙΑSΕD)からΦ(DC)を減算する。また、位相角決定モジュール555は、Φ(CUMULATIVE)を求めるために、Φ(CURRENT_UNΒΙΑSΕD)を、前の反復から生じた累積位相推定Φ(PREV)に加算する。Φ(CUMULATIVE)は出力556上の位相補償ネットワークに対して使用可能にされる。前の位相角推定モジュール558が、反復間の前に計算された累積位相推定Φ(ΡREV)をストアする。
【0055】
位相補償モジュール150は更に、補償されたデータサンプリング及び電力計算モジュールに及び位相角決定モジュール555に通信可能に結合される、反復制御モジュール560を含む。反復制御モジュール560は、補償されたデータサンプリングと位相角補償推定の、連続的反復を制御する。バッファ562が、所望の反復数Rをストアする。しかしながら、幾つかの実施形態は、上述のように、単一の反復において位相補償角を決定してもよい。
【0056】
図6は、種々の例示のシーケンスに従って、RF直交レシーバにおいて利得及び位相補償を実行する方法600を示す詳細なフローチャートである。方法600は、レシーバIアーム、Qアーム、又はその両方において利得補償関数に関連付けられる推定利得補償係数を決定するために、反復の第1のセットを実行することを含む。方法600は更に、Iアーム、Qアーム、又はその両方においてクリッピング補償関数に関連付けられるクリッピング閾値を決定することを含む。
【0057】
各反復は、Iデータサンプル及びQデータサンプルの、利得及びクリッピング補償されたセットで動作する。これらのサンプルは、周波数変換及びADC変換に続いて、レシーバ(例えば、図1の出力144及び148)に関連付けられる利得及びクリッピング補償ネットワークのI及びQデータ出力でキャプチャされる。これらのサンプルは、各反復の開始時のサンプリング期間中の処理のためにバッファリングされる。
【0058】
方法600は更に、利得補償関数を用いて、受け取ったIデータサンプル及び受け取ったQデータサンプルのセットを因数分解することを含む。その結果、Iデータ及びQデータサンプルのカレントの利得補償されたセットが得られる。方法600は更に、クリッピング補償関数を用いて、Iデータサンプル及びQデータサンプルのカレントの利得補償されたセットでクリッピング演算を実行することを含む。その結果、Iデータサンプル及びQデータサンプルのカレントの利得及びクリッピング補償されたセットが得られる。後者のサンプルは、反復の第1のセットの次の1つに対する入力データとして用いられる。当業者であれば、方法600のこの部分が、キャプチャされ処理された第1のセットに続く、サンプルデータセットに対して再帰的であることに留意するであろう。
【0059】
反復の第1のセットの完了に続いて、方法600は、直交レシーバチャネルのQアームにおける位相補償関数に関連付けられる、位相補正角Φ及び係数を決定することで続く。位相補正角Φは、Iデータサンプルの利得及びクリッピング補償された1つ又はそれ以上のセット、及び、利得、クリッピング、及び位相補償されたQデータサンプルの1つ又はそれ以上のセットから決定される。方法600は更に、1つ又はそれ以上の利得及びクリッピング補償されたQデータサンプルを因数分解するために、Qアームにおいて位相補償関数を用いることを含む。その結果、ADCクリッピングの存在下で、利得及び位相ミスマッチに対し、補償されたQデータサンプルの対応する数が得られる。
【0060】
図6Aを参照すると、方法600は、利得及び位相補償トレーニングシーケンスを開始するブロック605で始まる。方法600はブロック608に続き、そこで、利得補償ネットワーク出力(例えば、図1の出力144及び148)で受け取ったIアームデータI(GCC)のN個のサンプル、及びQアームデータQ(GCC)のN個のサンプルをバッファリングする。方法600は、ブロック610で、各Iサンプル及び各Qサンプルを個別に数学的に二乗することを含む。方法600は更に、ブロック612で、サンプリング期間中のIアームにおける平均トータル信号電力の値I(AVG_TOTAL)を求めるために、二乗されたIサンプルを共に加算すること、及びNで除算することを含む。方法600は更に、ブロック614で、サンプリング期間中のQアームにおける平均トータル信号電力の値Q(AVG_TOTAL)を計算するために、二乗されたQサンプルを共に加算すること、及びNで除算することを含む。
【0061】
方法600は、続いて、ブロック616で、サンプリング期間中のIアームにおけるDC信号成分の平均電力の値I(AVG_DC)を求めるために、全ての二乗されていないIサンプルを共に加算し、Nで除算し、二乗する。方法600は更に、ブロック618で、サンプリング期間中のQアームにおけるDC信号成分の平均電力の値Q(AVG_DC)を求めるために、全ての二乗されていないQサンプルを共に加算すること、Nで除算すること、及び二乗することを含む。
【0062】
方法600は、ブロック620で、Iアームにおける平均AC信号電力を表す変異(I)を求めるために、I(AVG_TOTAL)からI(AVG_DC)を減算することを含む。方法600は更に、ブロック622で、Qアームにおける平均AC信号を表す変異(Q)を求めるために、Q(AVG_TOTAL)からQ(AVG_DC)を減算することを含む。
【0063】
方法600はブロック624に進み、そこで、変異の比を求めるために変異(Q)を変異(I)で除算し、利得補償係数βのカレント推定β(CURRENT)を求めるために変異の比の二乗根を見出す。
【0064】
方法600は更に、ブロック626で、新規の累積利得補償推定β(CUMULATIVE)を求めるために、前に計算された利得補償推定の、前の累積トータルβ(PRIOR)をβ(CURRENT)に加算することを含む。
【0065】
方法600は、続いて、ブロック630で、前に計算された変異(Q)が変異(I)より大きいか否かを判定する。大きくなければ、方法600は、ブロック632で、Iアーム利得補償をβ(CUMULATIVE)に調整することを含む。このケースでは、方法600は更に、クリッピングロジック閾値を設定することを含む。クリッピング閾値は、ブロック634で、β(CUMULATIVE)と、I及びQ信号を変換するために用いられるADCに関連付けられるフルスケール値との積に等しく設定される。
【0066】
前に計算された変異(Q)が変異(I)より大きい場合、方法600は、ブロック636で、Qアーム利得補償をl/β(CUMULATIVE)に調整することを含む。このケースでは、方法600は更に、ブロック638で、クリッピングロジック閾値を、l/β(CUMULATIVE)とADCフルスケール値との積に等しく設定することを含む。
【0067】
方法600は、続いて、ブロック640で、所定の数Pの利得補償反復が発生したか否かを判定する。P個の反復が発生していない場合、方法600は、ブロック642で利得反復カウンタに1を増分すること、及びブロック644で別の反復を開始することを含む。方法600は、ブロック608で、利得補償ネットワーク出力からのIアームデータI(GCC)のN個のサンプル及びQアームデータQ(GCC)のN個のサンプルの、新規のセットをバッファリングすること、及びβ(CUMULATIVE)及びクリッピングロジック係数のための更新された値を決定することを繰り返す。
【0068】
所定の数Pの利得補償反復が発生している場合、方法600は、続いて、ブロック650で、位相補正シーケンスを開始する。位相補正シーケンスは、ブロック652で、利得、クリッピング、及び位相補償されたIアームデータのM個のサンプルと、利得、クリッピング、及び位相補償されたQアームデータのM個のサンプル(例えば、図1の位相補償ネットワーク出力1(C)及びQ(C)で受け取るもの)とをバッファリングすることで始まる。
【0069】
方法600は、続いて、ブロック654で、各Iサンプル及び各Qサンプルを数学的に二乗する。方法600は更に、ブロック656で、Iアームデータにおける平均トータルIアーム信号電力の値I(AVG_TOT)を求めるために、全てのIデータサンプルの二乗された結果を加算すること、及びMで除算することを含む。方法600は更に、ブロック658で、Qアームデータにおける平均トータルQアーム信号電力の値Q(AVG_TOTAL)を求めるために、全てのQデータサンプルの二乗された結果を加算し、Mで除算することを含む。
【0070】
方法600は更に、ブロック660で、IアームにおけるDC信号成分の平均電力の値I(AVG_DC)を求めるために、全てのIサンプルを共に加算すること、その結果の合計をMで除算すること、及びその商を二乗することを含む。同様に、方法600は、ブロック662で、QアームにおけるDC信号成分の平均電力の値Q(AVG_DC)を求めるために、全てのQサンプルを共に加算すること、その結果の合計をMで除算すること、及びその商を二乗することを含む。
【0071】
方法600は、続いて、ブロック664で、Iアームにおける平均AC信号電力に対応する変異(I)を求めるために、トータルI信号電力I(AVG_TOTAL)から平均IアームDC信号成分I(AVG_DC)を減算する。同様に、方法600は、ブロック668で、Qアームにおける平均AC信号電力に対応する変異(Q)を求めるために、トータルQ信号電力Q(AVG_TOTAL)から平均QアームDC信号成分Q(AVG_DC)を減算することを含む。
【0072】
方法600は更に、ブロック670で、Iの標準偏差σ(Ι)を求めるために、変異(I)の二乗根を決定することを含む。同様に、方法600は、ブロック672で、Qの標準偏差σ(Q)を求めるために、変異(Q)の二乗根を決定することを含む。
【0073】
方法600は、ブロック676で、I及びQのドット積の予測E[I・Q]を求めるために、各I、Qサンプル対を乗算すること、その結果の積を総和すること、及びMで除算することを含む。方法600は更に、ブロック678で、カレントのDCバイアスされた位相誤差推定Φ(CURRENT_BIASED)の三角関数のサインを求めるために、E[I・Q]を、σ(Ι)とσ(Q)との積で除算することを含む。
【0074】
方法600は更に、ブロック680で、Iの予測E[I]を求めるために、全てのIサンプル値を総和すること、及びその結果をMで除算することを含む。また、ブロック681で、Qの予測E[Q]を求めるために、Qサンプルは総和され、Mで除算される。
【0075】
方法600は、続いて、ブロック682で、Φ(CURRENT_BIASED)のDCバイアス成分Φ(DC)のサインを求めるために、E[I]をE[Q]で乗算すること、及びその結果をσ(Ι)とσ(Q)との積で除算することを含む。
【0076】
方法600は、ブロック684で、カレントのバイアスされていない位相補正推定Φ(CURRENT_UNBIASED)を求めるために、Φ(DC)をΦ(CURRENT_BIASED)から減算することを含む。
【0077】
更に、方法600は、ブロック686で、新規の累積位相補正推定Φ(CUMULATIVE)を求めるために、Φ(CURRENT_UNBIASED)を前の位相推定Φ(ΡREV)に加算することを含む。
【0078】
方法600は更に、ブロック688で、Qアームを[l/COS(Φ(CUMULATIVE))]*[Q(GCC+I(GCC)*SIN(Φ(CUMULATIVE))]で因数分解するように位相補償ネットワークを構成することを含む。
【0079】
方法600は、続いて、ブロック690で、位相反復指数Rを最大反復指数R(MAX)と比較する。最大数の反復が発生していない場合、方法600は、ブロック692で指数Rを増分すること、及びブロック694で追加的な位相角補正反復を開始することを含む。なお、単一反復の位相角補正推定及び関連する係数を実装するために、幾つかの例示のシーケンスにおいて、R(MAX)が1に設定され得ることに留意されたい。
【0080】
R=R(MAX)である場合、方法600は、ブロック696で、タイムアウト期間の満了、又は他の選択されたトリガパラメータによってトリガされるように、別の利得/位相補正トレーニングシーケンス機会を待つことを含む。
【0081】
本明細書中に記載されるモジュール及び構成要素は、ハードウェア回路要素、光学構成要素、シングル又はマルチプロセッサ回路、メモリ回路、及び/又はプロセッサが実行することができるコンピュータ命令がその中又はその上にエンコードされているコンピュータ可読媒体を含み得、また、ファームウェアを中にストアする不揮発性メモリを含む含み得るが、非機能的な記述データは含まない。また、これらのモジュール及び構成要素には、装置100、140、150、及び400、及び方法200及び600のアーキテクトによって望まれるような、及び種々の実施形態の特定の実装に適切な、それらの組み合わせが含まれる。
【0082】
本明細書中に記載される装置及び方法は、利得、クリッピング、及び位相トレーニング係数を決定すること、及びそれらをRF直交レシーバに適用すること以外の用途にも有用であり得る。記載した方法及び装置に関して他の用途が存在し得る。装置100、140、150、及び400、及び方法200及び600の例は、種々のシーケンスのフロー及び種々の実施形態の構造の一般的な理解を提供することを意図したものである。これらの例は、これらのシーケンス及び構造を用い得る装置及びシステムの全ての要素及び特徴の完全な説明を提供することを意図するものではない。
【0083】
種々の実施形態は、照明制御システム、コンピュータ、通信及び信号処理回路要素、シングルプロセッサ又はマルチプロセッサモジュール、シングル又はマルチプルエンべデッドプロセッサ、マルチコアプロセッサ、データスイッチ、及びマルチレイヤー、マルチチップモジュール等の特定用途向けモジュール等に用いられる電子回路要素に組み込まれ得る。また、そのような装置及びシステムは、テレビ、セルラー電話、パーソナルコンピュータ(例えば、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、タブレットコンピュータ等)、ワークステーション、ラジオ、ビデオプレーヤー、オーディオプレーヤー(例えば、MP3(動画専門家集団、オーディオレイヤ3)プレーヤー)、車両、医療機器(例えば、心臓モニタ、血圧モニタ等)、セットトップボックス等の、種々の電子システム内のサブコンポーネントとして含まれ得る。
【0084】
本明細書中に記載される装置及び方法は、低分解能のI及びQ ADCにおける差動クリッピングによって悪化したI/Qミスマッチの存在下で直交RFレシーバの、利得、クリッピング、及び位相補償を実行する。その結果、改善されたイメージリジェクション性能が得られ得る。
【0085】
当業者であれば、請求項の範囲内で、記載された実施形態に変更が行なわれ得ること、及び他の多く実施形態が可能であることを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D