特許第6353842号(P6353842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6353842AC/DC変換を組み込むパッシブ力率補正
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353842
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】AC/DC変換を組み込むパッシブ力率補正
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/06 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   H02M7/06 P
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-535857(P2015-535857)
(86)(22)【出願日】2013年10月7日
(65)【公表番号】特表2015-532576(P2015-532576A)
(43)【公表日】2015年11月9日
(86)【国際出願番号】US2013063632
(87)【国際公開番号】WO2014058753
(87)【国際公開日】20140417
【審査請求日】2016年10月5日
(31)【優先権主張番号】13/647,979
(32)【優先日】2012年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507194969
【氏名又は名称】ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】グシスキー, ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ビクター
(72)【発明者】
【氏名】パナゴタコス, ジョージ
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/074529(WO,A1)
【文献】 実開昭59−152991(JP,U)
【文献】 特開平07−284272(JP,A)
【文献】 特開平06−209574(JP,A)
【文献】 特開昭55−103082(JP,A)
【文献】 米国特許第05532917(US,A)
【文献】 実開昭56−044591(JP,U)
【文献】 実開昭49−075436(JP,U)
【文献】 特開平07−222447(JP,A)
【文献】 特開平07−298619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電流(AC)入力電圧を少なくとも1つの直流(DC)出力電圧に変換するための力率補正回路であって、前記力率補正回路は、
前記AC入力電圧を整流し、かつ整流電圧を提供するための第1の整流手段と、
第1の電圧を貯蔵するための第1の容量手段と、
前記第1の容量手段に前記整流電圧を印加するための抵抗手段と、
前記DC出力電圧を貯蔵するための第2の容量手段と、
前記第2の容量手段に前記整流電圧を印加するための誘導手段と、
前記誘導手段に前記第1の電圧を印加するための第2の整流手段と
を備え、
前記第1の整流手段は、複数の整流電圧を提供し、
前記第2の容量手段は、前記DC出力電圧のうちの1つを別個に貯蔵するための複数の第3の容量手段を備え、
前記誘導手段は、前記第3の容量手段のうちの1つに前記整流電圧のうちの1つを別個に印加するための複数の第2の誘導手段を備え、
前記第2の整流手段は、前記第2の誘導手段のうちの1つに前記第1の電圧を別個に印加するための複数の第3の整流手段を備える、力率補正回路。
【請求項2】
交流電流(AC)入力電圧を少なくとも1つの直流(DC)出力電圧に変換するための力率補正回路であって、前記力率補正回路は、
前記AC入力電圧を整流し、かつ整流電圧を提供するための第1の整流手段と、
第1の電圧を貯蔵するための第1の容量手段と、
前記第1の容量手段に前記整流電圧を印加するための抵抗手段と、
前記DC出力電圧を貯蔵するための第2の容量手段と、
前記第2の容量手段に前記整流電圧を印加するための誘導手段と、
前記誘導手段に前記第1の電圧を印加するための第2の整流手段と
を備え、
前記第1の整流手段は、第1の整流電圧および第2の整流電圧を提供し、
前記抵抗手段は、前記第1の整流電圧を前記第1の容量手段に印加し、
前記誘導手段は、前記第2の整流電圧を前記第2の容量手段に印加し、
前記抵抗手段は、前記誘導手段と前記第1の容量手段とにより構成される共振回路に臨界減衰させる、力率補正回路。
【請求項3】
交流電流(AC)入力電圧を少なくとも1つの直流(DC)出力電圧に変換するための力率補正回路であって、前記力率補正回路は、
前記AC入力電圧を整流し、かつ整流電圧を提供するための第1の整流手段と、
第1の電圧を貯蔵するための第1の容量手段と、
前記第1の容量手段に前記整流電圧を印加するための抵抗手段と、
前記DC出力電圧を貯蔵するための第2の容量手段と、
前記第2の容量手段に前記整流電圧を印加するための誘導手段と、
前記誘導手段に前記第1の電圧を印加するための第2の整流手段と
を備え、
前記第1の整流手段は、第1の整流電圧および第2の整流電圧を提供し、
前記抵抗手段は、前記第1の整流電圧を前記第1の容量手段に印加し、
前記誘導手段は、前記第2の整流電圧を前記第2の容量手段に印加し、
前記抵抗手段の抵抗値をR、前記誘導手段のインダクタンスの値をL、前記第1の容量手段の静電容量の値をCとした場合、次式の関係を満たす、力率補正回路。
【数1】
【請求項4】
前記誘導手段は、少なくとも1つの電流を伝導し、
前記力率補正回路は、前記誘導手段により伝導される電流のうちの少なくとも1つを整流するための第3の整流手段をさらに備える、請求項2または請求項3に記載の力率補正回路。
【請求項5】
前記第3の整流手段は、前記誘導手段と直列に結合されている、請求項に記載の力率補正回路。
【請求項6】
寄生振動を最小限にするための、前記第1の整流手段に結合された第2の抵抗手段をさらに備える、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の力率補正回路。
【請求項7】
寄生振動を最小限にするための、前記第2の整流手段に結合された第2の抵抗手段をさらに備える、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の力率補正回路。
【請求項8】
前記第2の抵抗手段は、前記第2の整流手段と並列に結合されている、請求項に記載の力率補正回路。
【請求項9】
前記第1の整流手段、前記第1の容量手段および前記第2の容量手段は、接地に結合されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の力率補正回路。
【請求項10】
前記第1の整流手段は、複数の整流電圧を提供するための複数の第の整流手段と、接地基準を提供するために接地に結合された第の整流手段とを備え、
各第の整流手段は、前記第の整流手段に結合される、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の力率補正回路。
【請求項11】
各第の整流手段は、それぞれの整流電圧を提供する一対の整流器を備える、請求項10に記載の力率補正回路。
【請求項12】
前記第の整流手段は、接地に結合された一対の整流器を備える、請求項10に記載の力率補正回路。
【請求項13】
前記第1の電圧は、前記AC入力電圧のゼロ交差近傍ではゼロに略等しい、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の力率補正回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
本開示は、概して、パッシブ力率補正(PFC)回路に関する。より具体的には、本開示は、小型化したサイズを有する少数のパッシブコンポーネントを利用しながら、高力率を提供するパッシブPFC回路を対象とする。
【背景技術】
【0002】
力率は、皮相電力に対する有効電力の割合として定義される。これはまた、両方が純正弦波である場合、電流および電圧波形との間の位相角の余弦として定義されることができる。これは、負荷が線形のとき、発生する。有効電力は、実仕事を生成する。皮相電力は、電流波形にかかわらず、純抵抗負荷に送達されるであろう電力である。したがって、これは、有効電力の要求量を生成するために、AC源によって供給される全電力である。AC源は、ほとんどの場合、電線を通して電気を供給する電力会社であるが、また、電子インバータ、モータドライブ、または他の局所的AC源の出力であり得る。負荷中に貯蔵され、かつ源に戻されたエネルギー、および/または源から引き込まれる電流の波形を歪曲させる非線形負荷に起因し、皮相電力は、有効電力より大きい。入力電流および電圧の両方が正弦関数および同相の場合、力率は、1.0である。これは、負荷が抵抗器である、またはそのように挙動するとき、発生する。これは、配電システムが最大効率で動作することを可能にする。
【0003】
PFCは、AC/DC電力変換を使用する任意の回線給電型デバイスに必要とされ得る。これらの用途は、ポータブルデバイスのためのバッテリ充電器から大画面テレビまでの範囲に及び得る。最も一般的には、AC線間電圧は、単相ブリッジ整流器内で整流され、大型電解キャパシタを用いてフィルタリングされる。これらの非線形およびストレージ要素はまた、電力線自体のインピーダンスによって、加勢かつ促され、利用可能な電力の減少、損失の増加、線間電流内中の深刻な高調波歪みの発生等の多くの問題をもたらす。これらの問題は、累積的影響によって、多数のこれらの非線形負荷を動作させるとき、拡大される。その結果、不良電力品質となり、中性電流が、第3高調波電流内で増大かつ過大となり得る。
【0004】
いくつかの補正回路が使用されなければ、容量フィルタ回路を伴う入力整流器は、AC源から脈動電流を引き込み、他のユーザに逆影響を及ぼす不良電力品質および高調波性をもたらすであろう。入力電流の狭パルスのRMS値は、同じ電力を生成するために要求される対応正弦波電流よりも高い。この状況は、世界中の規制機関の注目を集めている。政府機関は、規制を強化し、低高調波電流のための新しい仕様を設定し、生成されることができる高調波電流の量を制限している。これは、PFCおよび高調波低減回路の必要性を必須とする。
【0005】
PFCは、EN61000−3−2、Energy Star and 80 Plus等の国際規格の要件に準拠するために、回線から供給される種々の電力システムで要求される。適切な規格の遵守がなければ、製品が、市場で受け入れられるのは、困難であろう。実際に、それを販売しようとすることは、違法であり得る。PFCはまた、省エネルギーのために必要である。PFCは、通常、線間電流内の高調波を減少させ、電力システムの効率性を増加させ、顧客の公共料金を減少させる。1つの推定では、その費用増加が、力率の逆数に正比例する。
【0006】
力率を改善するための方法は、アクティブおよびパッシブ方法として分類されることができる。アクティブPFC回路は、高力率と一致する入力電流波形を合成するために、スイッチングコンバータとともに、フィードバック回路を利用する。アクティブPFC回路の利点として、少なくとも0.99の高力率と、歪曲および変位の両方の補正と、汎用線間電圧と、調整された出力電圧と、小型かつ軽量のコンポーネントと、いくつかの線過渡を吸収する能力と、統合されたコントローラの膨大な配列によって支持される設計とが挙げられる。その不利点として、複雑性と、入力電圧のピークよりも大きくある必要がある出力電圧と、特に低電力用途に関する高額な費用と、突入電流無制限と、効率性を減少させ、かつEMI/RFIパフォーマンスを増加させる、追加された変換段階とが挙げられる。最後の欠点は、入力で低域通過フィルタの採用を必須とすることである。入力リップル電流は、アクティブPFC回路のスイッチング周波数であり、入力でフィルタリングされなければならない。フィルタリングされないリップルは、EMIとして電力線の下方へ伝導されるであろう。
【0007】
パッシブPFC回路は、パッシブコンポーネント、典型的には、キャパシタおよびインダクタを組み込む。しかしながら、同期整流器、エミュレートパッシブコンポーネント等のアクティブコンポーネントも、同様に使用されることができる。従来のパッシブPFC回路の利点として、単純性と、特に低電力における費用効果と、高効率性と、信頼性および耐久性と、無EMI/RFI源と、EMI/RFIフィルタリングおよび線形負荷に関して力率1に到達する能力の補助とが挙げられる。従来のパッシブPFC回路の不利点として、大型かつ重量の線周波数コンポーネントと、非線形負荷を完全に補正する能力がないことと、負荷特徴に依存する未調整出力電圧およびコンポーネント値が挙げられる。広く使用されているバレーフィル回路は、若干異なる。これは、電流フローを分岐するための整流器と、低線間電圧において負荷にエネルギーを送達するためのキャパシタとを採用する。しかしながら、バレーフィル回路は、ブリッジ整流器およびストレージキャパシタを補完するとき、良好に機能しない。
【0008】
多くの用途は、アクティブPFC回路が一般的に提示する、少なくとも0.99の力率を要求しない。パッシブPFC回路の力率は、コンポーネントのサイズおよび費用を減少させ、さらに性能要件を満たすために、微調整されることができる。例えば、80VAを下回って動作する、ある航空着陸灯は、0.728の進み力率または0.613の遅れ力率を要求する。航空機は、非常に難しいEMI/RFI環境を提示するため、パッシブPFCの採用は、最大の利点となる。さらに、多くの用途は、本明細書の上記に言及された不利点のために、入力フィルタを採用するが、PFCがない。これらの用途は、サイズおよび費用を著しく増加させずに、低域通過フィルタを含む入力回路をパッシブPFC回路に交換することによって、大いに役立ち得る。
【0009】
本発明は、従来のパッシブPFCのいくつか不利点を克服しながら、両タイプのPFCの多くの利点を組み込む、パッシブPFCを提供するように意図される。アクティブPFC回路と同様に、本PFC回路は、全波ブリッジ整流器および後続ストレージキャパシタを拡張するように意図される。本開示に従ったパッシブPFC技術は、具体的には、任意のスイッチングを回避し、アクティブPFC回路に与える力率を維持しながら、インダクタのサイズを標的とする。初期のプロトタイプは、100Wの負荷を駆動しながら、0.99の力率に達した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(要約)
本開示の種々の実施形態は、概して、パッシブPFC回路を対象とする。一実施形態では、交流電流入力電圧を少なくとも1つの直流出力電圧に変換するためのPFC回路が提供される。PFC回路は、交流入力電圧を整流し、かつ整流電圧を提供するための第1の整流手段と、第1の電圧を貯蔵するための第1の容量手段と、第1の容量手段に整流電圧を印加するための抵抗手段と、直流出力電圧を貯蔵するための第2の容量手段と、第2の容量手段に整流電圧を印加するための誘導手段と、誘導手段に第1の電圧を印加するための第2の整流手段とを備える。
【0011】
前述の概要は、詳細の簡略化、一般化、包含、および/または省略を含有してもよい。結果、当業者は、概要が例証にすぎず、いかようにも限定であると意図されないことを認識するであろう。本明細書で説明されるデバイスおよび/またはプロセスおよび/または他の主題の他の側面、特徴、利点は、図面および以下の詳細な説明を参照して、本明細書に記載される教示において明白になるであろう。
【0012】
本明細書に説明される実施形態の新規特徴は、添付の請求項に詳細に記載される。しかしながら、本実施形態は、編成および動作方法の両方に関して、以下の付随の図面と関連して検討される以下の説明を参照することによって、より理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、単一のダイオードブリッジを備えるパッシブPFC回路の一実施形態である。
図2図2は、パッシブPFC回路の好ましい実施形態である。
図3図3は、寄生振動を最小限にする方法を例証するパッシブPFC回路の一実施形態である。
図4図4は、複数の出力を備えるパッシブPFC回路の一実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
パッシブPFC回路の種々の実施形態を詳細に説明する前に、本明細書に開示される種々の実施形態は、その用途または使用において、付随の図面および説明に図示される部品の構造および配列の詳細に限定されないことに留意されたい。むしろ、開示される実施形態は、他の実施形態、その変形例、および修正例に位置付けられる、または組み込まれてもよく、種々の方法で実践または実施されてもよい。故に、本明細書に開示されるパッシブPFC回路の実施形態は、性質上、例証的であり、その範囲または用途を限定することを意味するものではない。さらに、別様に示されない限り、本明細書で採用される用語および表現は、読者の便宜上、実施形態を説明する目的のために選定されたものであり、その範囲を限定するものではない。加えて、開示される実施形態、その実施形態の表現、および/または実施例のうちの任意の1つ以上は、限定ではないが、他の開示される実施形態、その実施形態の表現、および/または実施例のうちの任意の1つ以上と組み合わせられることができることを理解されたい。
【0015】
図1は、単一のダイオードブリッジを備えるパッシブPFC回路の一実施形態である。回路は、交流電流(AC)入力電圧を直流(DC)出力電圧に変換する。第1の整流手段が、AC入力電圧を整流し、かつ整流電圧を提供する。第1の容量手段が、第1の電圧を貯蔵する。抵抗手段が、第1の容量手段に整流電圧を印加する。第2の容量手段が、DC出力電圧を貯蔵する。誘導手段が、第2の容量手段に整流電圧を印加する。第2の整流手段が、誘導手段に第1の電圧を印加する。随意のダイオードが、第2の容量手段から第1の容量手段への逆流エネルギーフローを防止する。
【0016】
具体的には、AC入力電圧は、ダイオードブリッジ10を横断して印加される。その整流電圧は、ダイオード11のカソード、随意のダイオード16のアノード、および抵抗器12に印加される。ダイオード16のカソードは、インダクタ13に、ひいては、それと直列に接続される。ダイオード16およびインダクタ13は、逆順に、接続されることができ、ダイオード11のカソードは、インダクタ13のタップに接続されることができる。インダクタ13はさらに、パッシブPFC回路の出力電圧を貯蔵する出力キャパシタ15に接続される。キャパシタ14が、ダイオード11のアノードおよび抵抗器12に接続される。したがって、抵抗器12は、ダイオード11と並列である。ダイオードブリッジ10ならびにキャパシタ14および15は、接地される。
【0017】
ブリッジ10は、2対のダイオードを備える。一方の対のカソードは、ともに結合され、整流電圧を提供する。他方の対のアノードは、接地される。AC入力電圧は、それぞれ、それらの対のアノードとカソードとの間に、すなわち、各ダイオード対を横断して印加される。ブリッジ10は、入力電圧を完全に整流する。キャパシタ14は、抵抗器12を通して充電され、並列結合ダイオード11を通して放電される。したがって、キャパシタ14の充電および放電は、それぞれ、PFC回路の入力電流を増加かつ減少させる。さらに、キャパシタ14内に貯蔵された電圧が、整流電圧よりも大きい場合、入力電流は、ゼロまで降下し、ダイオードブリッジ10は、遮断される。好ましくは、この条件は、AC入力電圧のゼロ交差の近傍のみで発生する。したがって、キャパシタ電圧は、AC入力電圧のゼロ交差の近傍では、ゼロに略等しい。キャパシタ14の電圧は、ダイオード11を横断する電圧降下が、同じまたはより高くない限り、ブリッジ10の順電圧降下のために、ゼロをわずかに下回って降下し得る。
【0018】
キャパシタ14は、抵抗器12を通して充電される。したがって、キャパシタ14内に貯蔵された電圧は、整流電圧のピークより小さい。整流電圧がゼロ、すなわち、AC入力電圧のゼロ交差の近傍に近接するとき、入力電流がゼロまで降下するように、キャパシタ14の値が、選択される。インダクタ13の値はまた、インダクタ13がゼロ交差近傍でキャパシタ14の放電を完了するように、十分に大きい。インダクタ電流の逆極性は、ダイオード16を追加することによって、防止されることができる。
【0019】
好ましくは、インダクタ13は、整流電圧がDC出力電圧よりも大きいときのみ、充電される。PFC回路の入力電流は、キャパシタ14の電流とインダクタ電流との間の差異に等しい。AC入力電圧およびインダクタ電流は、位相が一致しない。入力電流は、AC入力電圧のゼロ交差近傍でゼロまで降下するが、減少インダクタ電流が、流れ続ける。インダクタ13は、その中に貯蔵された電圧がゼロに到達するにつれて、キャパシタ14の放電を完了する。続いて、キャパシタ14は、抵抗器12を通して充電される。インダクタ13が小さすぎる場合、インダクタ電流は、ゼロ交差前にゼロまで降下し得る。インダクタ13が大きすぎる場合、インダクタ電流は、実質的に、キャパシタ14の充電電流を超え得る。いずれの場合も、より小さい力率が、達成される。
【0020】
抵抗器12は、キャパシタ14の充電電流を平準化するために採用される。キャパシタ14は、AC入力電圧のゼロ交差の近傍で放電される。抵抗器12は、インダクタ電流にかかわらず、整流電圧がキャパシタ電圧より大きい限り、充電電流を搬送する。したがって、キャパシタ14は、抵抗器12を通して充電される一方、整流電圧は、そのピークに到達し、続いて、キャパシタ電圧のレベルまで降下する。この時点で、ダイオード11は、伝導を開始し、キャパシタ14の放電が始まる。キャパシタ14の選択される値は、キャパシタ電圧が降下する割合が、ゼロ交差に到達する前のAC入力電圧の割合に合致することを可能にする。これは、インダクタ13とキャパシタ14との間の共振相互作用により達成される。さらに、ブリッジ10は、インダクタ電流の一部を伝導する。インダクタ電流は、整流電圧のピークの後に、ピークに到達する。対照的に、キャパシタ充電電流および整流電圧は、同時に、それらのピークに到達する。
【0021】
出力キャパシタ15は、出力電圧が小さなリップルを有するほど大きい値を有する。出力電圧は、一定であると見なされ得る。キャパシタ15は、インダクタ13を通して、全体的に充電される。インダクタ13は、出力電流を搬送し、出力キャパシタ15は、バッファとして作用する。したがって、インダクタ電流のRMS値は、負荷に送達される出力電流と等しい。好ましくは、インダクタ電流は、AC入力電圧にかかわらず、電流が出力キャパシタ15に一定に送達されるように、単一方向かつ連続性である。
【0022】
随意のダイオード16は、インダクタ13と直列であり、したがって、インダクタ電流を整流する。好ましくは、インダクタ電流は、単一方向である。しかしながら、例えば、インダクタ13の困難な負荷または非線形性のために、動作の条件がそれを保証できない場合、ダイオード16が、使用されることができる。さらに、減少された力率が容認可能な場合、インダクタ13のより小さいインダクタンスが、サイズおよび費用を減少させるために選択されることができる。いずれの場合も、インダクタ電流は、時期尚早に、ゼロまで降下することができる。続いて、ダイオード16を伴わずに、キャパシタ14内に貯蔵された電圧がパッシブPFC回路の出力電圧を下回って降下した後、インダクタ電流は、反対方向に流れる。キャパシタ14から出力キャパシタ15へのこの逆流エネルギーフローは、パッシブPFC回路の効率性を減少させる。力率は、低下され、入力電流は、キャパシタ14を、部分的にだけ充電する。
【0023】
図2は、パッシブPFC回路の好ましい実施形態である。回路は、AC入力電圧をDC出力電圧に変換する。第1の整流手段が、AC入力電圧を整流し、かつ第1および第2の整流電圧を提供する。第1の容量手段が、第1の電圧を貯蔵する。抵抗手段が、第1の容量手段に第1の整流電圧を印加する。第2の容量手段が、DC出力電圧を貯蔵する。誘導手段が、第2の容量手段に第2の整流電圧を印加する。第2の整流手段が、誘導手段に第1の電圧を印加する。
【0024】
具体的には、AC入力電圧は、ダイオードブリッジ20を横断し、かつダイオード対26と27のアノードの間に印加される。ブリッジ20の出力電圧は、インダクタ23の一方の端部と、ダイオード21のカソードとに印加される。インダクタ23の他方の端部は、パッシブPFC回路の出力電圧を貯蔵する出力キャパシタ25に接続される。ダイオード26、27のカソードおよび抵抗器22の一方の端部は、ともに結合される。キャパシタ24は、抵抗器22の他方の端部と、ダイオード21のアノードとに接続される。ダイオードブリッジ20ならびにキャパシタ24および25は、接地される。
【0025】
ブリッジ20は、入力電圧を完全に整流し、二重周波数の整流電圧をもたらす。ダイオード対26および27は、同一の機能を行う。その対は、ブリッジ20と接地ダイオードの対を共有する、別のブリッジの半分を表す。その結果、ブリッジ20および対26、27の出力において現れる電圧は、AC入力電圧の絶対値よりも、単独で高い可能性がある。さらに、インダクタ電流は、単一方向である。
【0026】
正弦波入力電流を達成するために、キャパシタ24は、整流入力電圧のサイクル毎の終了によって、完全に放電される。これは、インダクタ23内に、十分な電流を維持することによって、成し遂げられる。したがって、キャパシタ24は、ダイオード26、27を通して、充電され、ダイオード21を通して、放電される。抵抗器22は、キャパシタ24の充電電流を平準化するために採用される。
【0027】
インダクタ23は、全出力電流を搬送し、出力キャパシタ25は、バッファとして作用する。出力キャパシタ25は、出力電圧が小さなリップルを有するほど大きい。出力電圧は、一定であると見なされ得る。インダクタ23は、ブリッジ20の出力で現れる電圧が出力電圧より大きいときはいつでも、充電される。そうでなければ、インダクタ23は、放電される。好ましくは、インダクタ電流は、AC入力電圧にかかわらず、出力キャパシタ25に、一定に送達されるように、連続する。
【0028】
種々の波形を説明する詳細な方程式は、かなり複雑である。さらに、多くの寄生コンポーネントが、波形に影響を及ぼす。例えば、ブリッジ20およびダイオード26、27の順電圧は、整流電圧を減少させる。同様に、ワイヤの抵抗およびコア材料内の損失によってもたらさせる、インダクタ23の抵抗が、出力電圧を減少させる。さらに、インダクタ23がコアレスでない限り、そのインダクタンスは、インダクタ電流の増加に伴って、減少する。インダクタンス降下は、飽和電流に到達したとき、劇的に加速する。
【0029】
コンポーネント値は、従来の線形および共振回路を規定する簡略化された方程式を採用することによって、推定されることができる。プロトタイプの測定は、インダクタ電流が略正弦波であることを示している。インダクタ23の電流は、単一方向である。インダクタ電流のDCコンポーネントおよびACコンポーネントのRMS値は、それぞれ、iDCおよびiACである。インダクタ電流のRMS値は、出力電流iACと等しい。
【数1】
【0030】
インダクタ電流のピーク値は、PFC回路が臨界伝導モードで動作する場合、最小である。インダクタ電流は、連続かつ不連続伝導モードとの間の境界条件であるゼロ点に到達する。臨界伝導モードでは、インダクタ電流のDCコンポーネントは、ACコンポーネントの振幅に等しい。正弦波電流に関して、振幅は、2の平方根で乗じられるiACと等しい。したがって、iACの所望値は、下式で求められる。
【数2】
【0031】
したがって、インダクタ電流のピーク値ipeakは、下式で求められる。
【数3】
【0032】
インダクタ23を横断する電圧は、整流入力電圧のRMS値Vinと出力電圧Voutとの間の差異である。オームの法則に従って、電圧はまた、iACで乗じられるインダクタ23のインピーダンスと等しい。インピーダンスは、インダクタ値で乗じられる角周波数ωと等しい。その周波数は、AC入力電圧が完全に整流されるため、2倍になる。臨界伝導モードを可能にする、インダクタ23の好ましいインダクタンスLは、下式で計算されることができる。
【数4】
【0033】
インダクタ23およびキャパシタ24は、ダイオード21が伝導するとき、直列共振回路を構成する。共振周波数は、全波整流のため、AC入力電圧の周波数の2倍である。キャパシタ24の静電容量Cは、以下のように決定されることができる。
【数5】
【0034】
抵抗器22は、AC入力電圧の各ゼロ交差後に、入力電流を平準化するために採用される。さらに、抵抗器22は、共振回路の臨界減衰応答を可能にする。この回路応答は、振動を起こさず、最速で起こり得る減弱をもたらす。したがって、所望の状態は、オーバーシュートせずに、可能な限り迅速に到達される。臨界減衰応答は、抵抗器22の抵抗Rが下式で求められた値のとき、達成される。
【数6】
【0035】
図3は、寄生振動を最小限にする方法を例証するパッシブPFC回路の一実施形態である。また、図2の実施形態を参照すると、図3のパッシブPFC回路は、一対の追加の抵抗器を備え、そのうち1つは、随意である。具体的には、AC入力電圧は、ダイオードブリッジ30を横断し、かつダイオード対36と37のアノードとの間に印加される。ブリッジ30の出力電圧は、インダクタ33の一方の端部と、ダイオード31のカソードと、抵抗器38および39とに印加される。インダクタ33の他方の端部は、パッシブPFC回路の出力電圧を貯蔵する出力キャパシタ35に接続される。ダイオード36、37のカソードおよび抵抗器32は、ともに結合される。キャパシタ34は、抵抗器32、38およびダイオード31のアノードに接続される。ダイオードブリッジ30、抵抗器39、ならびにキャパシタ34および35は、接地される。
【0036】
寄生振動は、インダクタ電流が低いとき、ブリッジ30の出力において発生する。抵抗器38または39のうちのいずれか一方は、実質的に、振動を排除するために使用されることができる。抵抗器39は、ブリッジ30の出力と接地との間に追加される。代替として、抵抗器38は、ダイオード31と並列に使用されることができる。一方の抵抗器は、比較的大きい値を有するが、抵抗器38の採用は、より小さい電力損失をもたらす。方程式5および方程式6は、スナバ抵抗器38または39の抵抗Rを計算するために使用されることができる。fは、寄生振動の周波数である。Cは、ブリッジ30およびダイオード31の合計接合静電容量を表す。
【数7】
【0037】
図4は、複数の出力を備えるパッシブPFC回路の一実施形態である。図1の実施形態を参照すると、第1の整流手段は、複数の整流電圧を提供する。第2の容量手段は、DC出力電圧のうちの1つを別個に貯蔵するための複数の第3の容量手段を備える。誘導手段は、第3の容量手段のうちの1つに整流電圧のうちの1つを別個に印加するための複数の第2の誘導手段を備える。第2の整流手段は、第2の誘導手段のうちの1つに第1の電圧を別個に印加するための複数の第3の整流手段を備える。図2の実施形態を参照すると、3つのダイオード、1つのインダクタ、および1つのキャパシタが、追加される。
【0038】
第1の整流手段は、複数の整流電圧を提供するための複数の第2の整流手段と、接地基準を提供するために接地に結合される第3の整流手段とを備える。各第2の整流手段は、第3の整流手段に結合され、それぞれの整流電圧を提供する一対の整流器を備える。第3の整流手段は、接地に結合される一対の整流器を備える。ダイオードブリッジ40は、図1における対応ブリッジ10に示されるように接続された4つのダイオードを有する。したがって、第2の整流手段は、ダイオード対46、47および56、57と、ダイオード41およびインダクタ43に接続されたカソードを有するそれらのダイオード対を伴うブリッジ40の半分とを備える。第3の整流手段は、接地に接続されるアノードを有するダイオード対を伴うブリッジ40の他方の半分である。
【0039】
具体的には、AC入力電圧は、ダイオードブリッジ40を横断し、ダイオード対46、47のアノードの間、かつダイオード対56、57のアノードの間に印加される。ブリッジ40の出力電圧は、インダクタ43の一方の端部と、ダイオード41のカソードとに印加される。インダクタ43の他方の端部は、パッシブPFC回路の第1の出力電圧を貯蔵する出力キャパシタ45に接続される。同様に、ダイオード51、56および57のカソードは、インダクタ53の一方の端部に結合される。インダクタ53の他方の端部は、パッシブPFC回路の第2の出力電圧を貯蔵する出力キャパシタ55に接続される。ダイオード46、47のカソードおよび抵抗器42の一方の端部は、ともに結合される。キャパシタ44は、抵抗器42の他方の端部と、ダイオード41および51のアノードとに接続される。ダイオードブリッジ40ならびにキャパシタ44、45、および55は、接地される。
【0040】
ブリッジ40は、AC入力電圧を完全に整流する。ダイオード対46、47および56、57は、同じ機能を行う。各対は、ブリッジ40と接地ダイオード対を共有する別のブリッジの半分を表す。追加のコンポーネント51、53、55、56、および57は、それぞれ、コンポーネント41、43、45、46、および47のように動作する。第2の出力Out2は、減少電圧リップルを要求するより小さい負荷のために使用されることができる一方、主負荷は、第1の出力Out1から供給される。さらに、Out1およびOut2における出力電圧は、実質的に、異なる可能性がある。
【0041】
「一側面」、「ある側面」、「一実施形態」、または「ある実施形態」のいずれかの言及は、その側面に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの側面内に含まれることを意味することは、特筆に値する。したがって、明細書全体を通して、種々の場所における語句「一側面では」、「ある側面では」、「一実施形態では」、または「ある実施形態では」の表出は、必ずしも全て、同一の側面を参照するわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の側面または実施形態において、任意の好適な様式で組み合わせられてもよい。
【0042】
本明細書に説明される実施形態の一部または全部は、概して、個々に、および/または集合的に、種々のタイプの「電気回路」から成ると見なされ得る、広範囲の電気部品によって実装されることができる、技術を備えてもよい。その結果、本明細書で使用されるように、「電気回路」は、限定ではないが、少なくとも1つの離散電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路を含む。
【0043】
当業者は、本明細書に説明される構成要素(例えば、動作)、デバイス、オブジェクト、およびそれらに付随の議論が、概念上明確にするために、実施例として使用され、種々の構成修正が検討されることを認識するであろう。その結果、本明細書で使用されるように、記載される具体的典型および付随の議論は、そのより一般的種類の代表であることが意図される。一般に、任意の具体的典型の使用は、その種類の代表であることが意図され、具体的構成要素(例えば、動作)、デバイス、およびオブジェクトの非含有は、限定として見なされるべきではない。
【0044】
本明細書における実質的に任意の複数形および/または単数形用語の使用に関して、当業者は、文脈および/または用途に応じて、複数形から単数形および/または単数形から複数形に変換することができる。種々の単数形/複数形の順列は、明確にするために、本明細書に明示的に記載されない。
【0045】
本明細書で説明された主題は、異なる他の構成要素内に含有される、またはそれらと接続される、異なる構成要素を図示することもある。そのような描写されたアーキテクチャは例示的にすぎず、実際には、同一の機能性を達成する、多くの他のアーキテクチャを実装し得ることを理解されたい。概念的な意味で、所望の機能性が達成されるように、同一の機能性を達成するための構成要素の任意の配列が、効果的に「関連付けられる」。したがって、アーキテクチャまたは中間構成要素にかかわらず、所望の機能性が達成されるように、特定の機能性を達成するように組み合わせられる、本明細書の任意の2つの構成要素は、相互と「関連付けられる」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けられる任意の2つの構成要素はまた、所望の機能性を達成するように、相互に「動作可能に接続される」または「動作可能に連結される」と見なすこともでき、そのように関連付けられることが可能な任意の2つの構成要素はまた、所望の機能性を達成するように、相互に「動作可能に連結可能である」と見なすこともできる。動作可能に連結可能なものの具体的実施例は、物理的に噛合可能な、および/または物理的に相互作用する構成要素、および/または無線で相互作用可能な、および/または無線で相互作用する構成要素、および/または論理的に相互作用する、および/または論理的に相互作用可能な構成要素を含むが、それらに限定されない。
【0046】
本明細書に説明される本主題の特定の側面が、図示および説明されたが、本明細書の教示に基づいて、変更および修正が、本明細書に説明される主題およびそのより広範な側面から逸脱することなく行われてもよく、したがって、添付の請求項は、その範囲内に、全てのそのような変更および修正を包含し、本明細書に説明される主題の真の精神および範囲内にあることが、当業者に明白となるであろう。一般に、本明細書で、特に、添付の請求項(例えば、添付の請求項の本文)で使用される用語は、概して、「非制約的な」用語として意図されていることが、当業者によって理解されるであろう(例えば、「〜を含む」という用語は、「〜を含むが、それらに限定されない」として解釈されるべきであり、「〜を有する」という用語は、「少なくとも〜を有する」として解釈されるべきであり、「含む」という用語は、「含むが、それらに限定されない」として解釈されるべきである、等)。さらに、特定の番号の導入された請求項の記載が意図される場合、そのような意図は、請求項で明示的に記載され、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者によって理解されるであろう。例えば、理解の補助として、以下の添付の請求項は、請求項の記載を導入するように、「少なくとも1つの」および「1つ以上の」という導入語句の使用を含有してもよい。しかしながら、そのような語句の使用は、たとえ同一の請求項が、「1つ以上の」または「少なくとも1つの」という導入語句、および「1つの」(「a」または「an」)等の不定冠詞を含むときでさえも、「1つの」(「a」または「an」)という不定冠詞による請求項の記載の導入は、そのような導入された請求項の記載を含有する任意の特定の請求項を、1つだけのそのような記載を含有する請求項に限定すると示唆するように解釈されるべきではない(例えば、「1つの」(「a」および/または「an」)は、典型的には、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」)を意味するように解釈されるべきである)。同じことが、請求項の記載を導入するために使用される定冠詞の使用に当てはまる。
【0047】
加えて、たとえ特定の番号の導入された請求項の記載が明示的に記載されたとしても、当業者であれば、そのような記載は、典型的には、少なくとも記載された番号を意味すると解釈されるべきであると認識するであろう(例えば、他の修飾語がない「2つの記載」という最低限の記載は、典型的には、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、B、およびC等のうちの少なくとも1つ」に類似する慣例が使用される場合において、一般に、当業者であれば慣例を理解するであろうという意味で、そのような構造が意図される(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびB両方、AおよびC両方、BおよびC両方、および/またはともにA、B、およびC全て等を有する、システムを含むが、それらに限定されないであろう)。「A、B、およびC等のうちの少なくとも1つ」に類似する慣例が使用される場合において、一般に、当業者であれば慣例を理解するであろうという意味で、そのような構造が意図される(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびB両方、AおよびC両方、BおよびC両方、および/またはA、B、およびC全て等を有する、システムを含むが、それらに限定されないであろう)。さらに、説明、請求項、または図面の中にかかわらず、2つ以上の代替的な用語を提示する、典型的には、あらゆる離接語および/または語句は、文脈と矛盾しない限り、該用語のうちの1つ、該用語のいずれか一方、または両方の用語を含む可能性を考慮すると理解されるべきであると、当業者によって理解されるであろう。例えば、「AまたはB」という語句は、典型的には、「AまたはB」あるいは「AおよびB」の可能性を含むと理解されるであろう。
【0048】
要するに、本明細書に説明される概念を採用することから生じる、多数の利点が説明された。1つ以上の実施形態の前述の説明は、例証および説明の目的のために提示されている。これは、包括的である、または開示される精密な形態に限定することを意図するものではない。修正または変形例が、前述の教示に照らして可能である。1つ以上の実施形態が、原理および実践的用途を図示し、それによって、当業者が、検討される特定の使用に好適であるような種々の修正を伴って、種々の実施形態を利用することを可能にするために、選定および説明された。本明細書に提示される請求項は、全範囲を定義することが意図される。
図1
図2
図3
図4