特許第6353882号(P6353882)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カヤバ工業株式会社の特許一覧

特許6353882電動パワーステアリング装置及びその製造方法
<>
  • 特許6353882-電動パワーステアリング装置及びその製造方法 図000002
  • 特許6353882-電動パワーステアリング装置及びその製造方法 図000003
  • 特許6353882-電動パワーステアリング装置及びその製造方法 図000004
  • 特許6353882-電動パワーステアリング装置及びその製造方法 図000005
  • 特許6353882-電動パワーステアリング装置及びその製造方法 図000006
  • 特許6353882-電動パワーステアリング装置及びその製造方法 図000007
  • 特許6353882-電動パワーステアリング装置及びその製造方法 図000008
  • 特許6353882-電動パワーステアリング装置及びその製造方法 図000009
  • 特許6353882-電動パワーステアリング装置及びその製造方法 図000010
  • 特許6353882-電動パワーステアリング装置及びその製造方法 図000011
  • 特許6353882-電動パワーステアリング装置及びその製造方法 図000012
  • 特許6353882-電動パワーステアリング装置及びその製造方法 図000013
  • 特許6353882-電動パワーステアリング装置及びその製造方法 図000014
  • 特許6353882-電動パワーステアリング装置及びその製造方法 図000015
  • 特許6353882-電動パワーステアリング装置及びその製造方法 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353882
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】電動パワーステアリング装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20180625BHJP
   G01L 3/04 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   B62D5/04
   G01L3/04
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-182109(P2016-182109)
(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公開番号】特開2018-43732(P2018-43732A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2018年4月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100181733
【弁理士】
【氏名又は名称】淺田 信二
(72)【発明者】
【氏名】前原 秀雄
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−298304(JP,A)
【文献】 特開2016−121882(JP,A)
【文献】 特開2017−124784(JP,A)
【文献】 特開2017−129364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/04
G01L 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動パワーステアリング装置であって、
操舵トルクが入力される入力シャフトと、
トーションバーを介して前記入力シャフトと連結された出力シャフトと、
前記入力シャフトと前記出力シャフトに亘って取り付けられ、前記操舵トルクを検出するトルクセンサと、
前記入力シャフト、前記出力シャフト、及び前記トルクセンサを収容するハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ前記トルクセンサと係合する係合部材と、を備え、
前記ハウジングは、
前記出力シャフトを回転自在に支持する第1ハウジングと、
前記第1ハウジングに締結され、前記入力シャフトを回転自在に支持する第2ハウジングと、を有し、
前記係合部材は、前記第1ハウジングとは別体として形成され、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとによって挟持されることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
前記第1ハウジングは、前記トルクセンサと間隔を空けて前記出力シャフトを支持し、
前記係合部材は、前記第1ハウジングと前記トルクセンサとの間に配置される基部と、前記基部から延在し前記トルクセンサと係合する係合部と、を有し、
前記基部及び前記第1ハウジングの一方は、前記基部及び前記第1ハウジングの他方と前記係合部の延在方向に対向する対向面と、前記対向面に開口する穴部と、を有し、
前記基部及び前記第1ハウジングの他方は、前記穴部に挿入される突起を有し、
前記トルクセンサと前記基部との間には、前記突起の長さよりも広い間隔が設けられることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
前記係合部材は、弾性部材を介して前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとにより挟持されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項4】
第1ハウジングに回転自在に支持される出力シャフトと、トーションバーを介して前記出力シャフトに連結され第2ハウジングに回転自在に支持される入力シャフトと、前記入力シャフトに入力される操舵トルクを検出するトルクセンサと、前記第1ハウジングとは別体として形成され前記トルクセンサに係合する係合部材と、を備える電動パワーステアリング装置の製造方法であって、
前記トーションバーを介して前記入力シャフトと前記出力シャフトとを連結し前記トルクセンサを前記入力シャフト及び前記出力シャフトに亘って取り付ける工程と、
前記係合部材を前記トルクセンサに係合させ前記第1ハウジングに前記出力シャフトを組み込む工程と、
前記第1ハウジングに対する前記係合部材の位置を合わせ前記係合部材を前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとにより挟持する工程と、を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動パワーステアリング装置、及び電動パワーステアリング装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トーションバーを介して連結される入力軸と出力軸に生じる操舵トルクを検出するトルクセンサを備える電動パワーステアリング装置が開示されている。出力軸はハウジング本体に回転自在に支持され、入力軸は、ハウジング本体の開口部を閉塞するハウジングカバーに回転自在に支持される。トルクセンサは、ハウジング本体とハウジングカバーとから構成されるギアハウジング内に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−55910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トルクセンサは、入力軸と一緒に回転すると、入力軸に入力される操舵トルクの検出精度が低下する。このような理由から、トルクセンサが入力軸と一緒に回転するのを規制する構造を電動パワーステアリング装置に設ける必要がある。
【0005】
特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置において、トルクセンサの回転を規制するために、トルクセンサと係合する係合部をハウジング本体に形成することが考えられる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、互いに連結された入力軸及び出力軸にトルクセンサを組み付けて1つのアッシーを形成しこのアッシーをハウジング本体に組み込むことによって、組み立てられる。そのため、係合部をハウジング本体に形成した場合、アッシーをハウジング本体に組み込むと同時にハウジング本体の係合部をトルクセンサに係合させなければならず、電動パワーステアリング装置の組立作業が煩雑になる。
【0007】
本発明は、電動パワーステアリング装置の組立性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、入力シャフトと、出力シャフトと、入力シャフトと出力シャフトに亘って取り付けられるトルクセンサと、入力シャフト、出力シャフト及びトルクセンサを収容するハウジングと、トルクセンサと係合する係合部材と、を備え、ハウジングは、出力シャフトを回転自在に支持する第1ハウジングと、入力シャフトを回転自在に支持する第2ハウジングと、を有し、係合部材は、第1ハウジングとは別体として形成され、第1ハウジングと第2ハウジングとによって挟持されることを特徴とする。
【0009】
第1の発明では、係合部材が第1ハウジングとは別体として形成され、第1ハウジングと第2ハウジングとによって挟持される。係合部材が第1ハウジングと第2ハウジングとによって挟持されていない状態では、係合部材は第1ハウジングに固定されておらず、ハウジングに対して移動自在である。入力シャフト、出力シャフト及びトルクセンサを含むアッシーを第1ハウジングに組み込む前又は後に係合部材をトルクセンサに係合させればよく、アッシーを第1ハウジングに組み込むと同時に係合部材をトルクセンサに係合させる必要がない。
【0010】
第2の発明は、第1ハウジングが、トルクセンサと間隔を空けて出力シャフトを支持し、係合部材が、第1ハウジングとトルクセンサとの間に配置される基部と、トルクセンサと係合する係合部と、を有し、基部及び第1ハウジングの一方は、基部及び第1ハウジングの他方と係合部の延在方向に対向する対向面と、対向面に開口する穴部と、を有し、基部及び第1ハウジングの他方は、穴部に挿入される突起を有し、トルクセンサと基部との間には、突起の長さよりも広い間隔が設けられることを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、トルクセンサと基部との間に間隔が設けられるので、係合部材が第1ハウジングと第2ハウジングとによって挟持されていない状態では、係合部材は基部がトルクセンサに近づく方向に移動可能である。トルクセンサと基部との間の間隔が突起の長さよりも広いので、基部がトルクセンサに近接した状態では、突起は穴部に挿入されず、トルクセンサは係合部材とともに第1ハウジングに対して移動可能になる。したがって、係合部材をトルクセンサに係合させた状態でトルクセンサを第1ハウジングに対して移動させることができ、電動パワーステアリング装置の組立性を向上させることができる。
【0012】
第3の発明は、係合部材が、弾性部材を介して第1ハウジングと第2ハウジングとにより挟持されることを特徴とする。
【0013】
第3の発明では、係合部材が弾性部材を介して第1ハウジングと第2ハウジングとにより挟持されるので、係合部材、第1ハウジング及び第2ハウジングの寸法公差を厳しく管理する必要がない。したがって、電動パワーステアリング装置を容易に製造することができる。
【0014】
第4の発明は、電動パワーステアリング装置の製造方法に係り、トーションバーを介して入力シャフトと出力シャフトとを連結しトルクセンサを入力シャフト及び出力シャフトに亘って取り付ける工程と、係合部材をトルクセンサに係合させ第1ハウジングに出力シャフトを組み込む工程と、第1ハウジングに対する係合部材の位置を合わせ、係合部材を第1ハウジングと第2ハウジングとにより挟持する工程と、を備えることを特徴とする。
【0015】
第4の発明では、係合部材が第1ハウジングと第2ハウジングとによって挟持される前に、係合部材がトルクセンサに係合し出力シャフトが第1ハウジングに組み込まれる。係合部材が第1ハウジングと第2ハウジングとによって挟持されていない状態では、係合部材は第1ハウジングに固定されておらず、第1ハウジングに対して移動自在である。入力シャフト、出力シャフト及びトルクセンサを含むアッシーを第1ハウジングに組み込む前又は後に係合部材をトルクセンサに係合させればよく、アッシーを第1ハウジングに組み込むと同時に係合部材をトルクセンサに係合させる必要がない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電動パワーステアリング装置の組立性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の断面図であり、第2ハウジングの窓部を通る線に沿う断面を示す。
図3】本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の断面図であり、係合部材を通る線に沿う断面を示す。
図4】本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の分解斜視図であり、第2ハウジングを第1ハウジングから取り外した状態を示す。
図5】本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の分解斜視図であり、アッシーを第1ハウジングから取り外した状態を示す。
図6】係合部材の斜視図である。
図7】アッシーの一部と係合部材の側面図であり、係合部材の突起が第1ハウジングの穴部に挿入された状態を示す。
図8】アッシーの一部と係合部材の側面図であり、係合部材の基部がトルクセンサに近接した状態を示す。
図9】変形例に係る弾性部材の斜視図であり、基部に取り付けられた状態を示す。
図10】係合部材及び板ばねの斜視図であり、板ばねを係合部材に組み付ける前の状態を示す。
図11】係合部材及び板ばねの斜視図であり、板ばねを係合部材の基部に配置した状態を示す。
図12】入力シャフト、トーションバー、出力シャフト、及びトルクセンサの斜視図であり、一体部品のアッシーとして組み立てた状態を示す。
図13】係合部材の斜視図であり、アッシーのトルクセンサに係合させた状態を示す。
図14】アッシー及び第1ハウジングの斜視図であり、第1ハウジングにアッシーを組み込んだ状態を示す。
図15】アッシー及び第1ハウジングの斜視図であり、第1ハウジングに対する係合部材の位置を合わせた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置100について説明する。
【0019】
電動パワーステアリング装置100は、車両に搭載され、ドライバによるステアリングホイール1の操舵を補助する。
【0020】
本実施形態では、ドライバによる操舵トルクと電動モータ21による操舵補助トルクとがそれぞれ独立してラックシャフト12に入力されるデュアルピニオン式の電動パワーステアリング装置100について説明する。
【0021】
まず、図1を参照して、電動パワーステアリング装置100の全体構成について説明する。
【0022】
電動パワーステアリング装置100は、ドライバの操舵によるステアリングホイール1の回転に応じて車輪2を転舵させる転舵機構10と、ドライバの操舵を補助するアシスト機構20と、ドライバによってステアリングホイール1を通じて転舵機構10に入力される操舵トルクを検出するトルクセンサ40と、トルクセンサ40の検出結果に基づいて電動モータ21の駆動を制御するコントローラ30と、を備える。
【0023】
転舵機構10は、ステアリングホイール1に連結されステアリングホイール1の回転に応じて回転するステアリングシャフト11と、ステアリングシャフト11の回転に応じて車輪2を転舵させるラックシャフト12と、を有する。
【0024】
ステアリングシャフト11は、ドライバによるステアリングホイール1の操舵に伴って回転する入力シャフト13と、車輪2を転舵するラックシャフト12に連係する出力シャフト15と、入力シャフト13と出力シャフト15を連結するトーションバー14と、を有する。
【0025】
出力シャフト15の下部には、ラックシャフト12に形成されたラック12aと噛み合う第1ピニオン16が形成される。ステアリングホイール1が操舵されると、ステアリングシャフト11が回転し、その回転が第1ピニオン16及びラック12aによってラックシャフト12の直線運動に変換され、ナックルアーム4を介して車輪2が転舵される。
【0026】
アシスト機構20は、操舵補助トルクの動力源である電動モータ21と、電動モータ21の駆動力が伝達されるピニオン軸22と、電動モータ21の回転を減速してピニオン軸22に伝達する減速機構3と、を有する。減速機構3は、電動モータ21の出力軸に連結されたウォームシャフト3aと、ウォームシャフト3aと噛み合うと共にピニオン軸22に連結されたウォームホイール3bと、からなる。
【0027】
ピニオン軸22の下部には、ラックシャフト12に形成されたラック12aと噛み合う第2ピニオン23が形成される。電動モータ21が回転すると、減速機構3を介してピニオン軸22が回転し、その回転が第2ピニオン23及びラック12aによってラックシャフト12の直線運動に変換され、ラックシャフト12に操舵補助トルクが付与される。
【0028】
トルクセンサ40は、入力シャフト13と出力シャフト15との回転角度差に基づいてトーションバー14に付与される操舵トルクを検出する。
【0029】
トルクセンサ40の制御基板(図示せず)とコントローラ30とは、信号線としてのケーブル36を介して電気的に接続される。ケーブル36を通じて、コントローラ30からトルクセンサ40への電源の供給が行われると共に、トルクセンサ40にて検出された操舵トルク信号がコントローラ30へ出力される。
【0030】
次に、図2から図5を参照して、電動パワーステアリング装置100の構造について詳しく説明する。
【0031】
図2及び図3に示すように、入力シャフト13、トーションバー14、出力シャフト15、及びトルクセンサ40は、一体部品のアッシー70として構成される。具体的には、入力シャフト13と出力シャフト15はトーションバー14を介して連結され、トルクセンサ40は入力シャフト13と出力シャフト15に亘って取り付けられる。入力シャフト13と出力シャフト15はトーションバー14の捩れ量に応じて相対回転し、トルクセンサ40はその相対回転による入力シャフト13と出力シャフト15の回転角度差に基づいて操舵トルクを検出する。
【0032】
アッシー70は、ハウジング5内に収容される。ハウジング5は、出力シャフト15を回転自在に支持する第1ハウジング50と、入力シャフト13を回転自在に支持する第2ハウジング60と、を有する。第2ハウジング60は、ボルト6を用いて第1ハウジング50に締結される。
【0033】
以下において、入力シャフト13の回転中心軸に沿う方向を「軸方向」と称し、入力シャフト13の回転中心軸を中心とする放射方向を「径方向」と称し、入力シャフト13の回転中心軸周りの方向を「周方向」と称する。
【0034】
図4は、電動パワーステアリング装置100の分解斜視図であり、第2ハウジング60を第1ハウジング50から取り外した状態を示す。図4では、第2ハウジング60の図示を省略している。
【0035】
図4に示すように、トルクセンサ40は、操舵トルクを検出してその信号をコントローラ30(図1参照)へ出力する制御基板を収容するケース本体41と、ケース本体41の外周面41aから径方向に突出する突部42と、ケーブル36が接続されるコネクタ43と、を有する。
【0036】
ケース本体41は、入力シャフト13が挿通される略環状形状であり、入力シャフト13の外周面に回転自在に設けられる。
【0037】
コネクタ43は、取付口(取付部)43aを有するメス形状のコネクタである。コネクタ43は、取付口43aがハウジング5の内面に対向するようにケース本体41の上面に配置される。ケーブル36(図2及び図3参照)の先端にはオス形状のコネクタ(図示せず)が設けられる。ケーブル36のコネクタをトルクセンサ40のコネクタ43の取付口43aに挿入することによって、ケーブル36とトルクセンサ40とが電気的に接続される。
【0038】
図2及び図3に示すように、第1ハウジング50は、ラックシャフト12を収容するラックハウジング90と一体に形成される。なお、第1ハウジング50とラックハウジング90とが別体に形成されていてもよい。
【0039】
第1ハウジング50は、大径部51と、大径部51と比較して小さい内径を有する中径部52と、中径部52と比較して小さい内径を有する小径部53と、を有する。大径部51は、外周面51aから径方向外側に突出する突出部58と、突出部58を軸方向に貫通する孔58aと、を有する。ボルト6は、孔58aに挿通される。
【0040】
大径部51には軸受としての玉軸受96が収容される。大径部51の内周面には段部51bが形成され、段部51bには玉軸受96の外輪が係止される。大径部51の内周面には、段部51bと間隔を空けてスナップリング98が設けられる。玉軸受96の外輪は段部51bとスナップリング98とによって挟持される。つまり、玉軸受96の外輪は、スナップリング98によって第1ハウジング50に固定される。
【0041】
出力シャフト15の上部には段部15aが形成され、段部15aに玉軸受96の内輪が係止される。出力シャフト15の外周面には、段部15aと間隔を空けてカシメリング17が設けられる。玉軸受96の内輪は段部15aとカシメリング17とによって挟持される。つまり、玉軸受96の内輪は、カシメリング17によって出力シャフト15に固定される。
【0042】
このように、玉軸受96の外輪が第1ハウジング50に固定されるとともに玉軸受96の内輪が出力シャフト15に固定されるため、出力シャフト15の上部側が玉軸受96を介して第2ハウジング60に回転自在に支持される。
【0043】
また、大径部51の段部51bとスナップリング98とによって、第1ハウジング50に対する軸方向への玉軸受96の移動が規制される。同様に、出力シャフト15の段部15aとカシメリング17とによって、出力シャフト15に対する軸方向への玉軸受96の移動が規制される。したがって、第1ハウジング50に対する軸方向への出力シャフト15の移動が規制される。
【0044】
第1ハウジング50の中径部52は、出力シャフト15に形成された第1ピニオン16を取り囲むように形成される。中径部52には、ラックハウジング90の内部と連通する開口部52aが形成される。第1ピニオン16とラックシャフト12のラック12a(図1参照)とは、開口部52aを通じて噛み合う。
【0045】
第1ハウジング50の小径部53の下端部は閉口して形成され、小径部53には軸受としてのニードル軸受97が収容される。ニードル軸受97の外輪が小径部53の内周面に嵌合し、ニードル軸受97の針状ころが出力シャフト15の下部側に接している。このように、出力シャフト15の下部側は、ニードル軸受97を介して第2ハウジング60に回転自在に支持される。
【0046】
図5は、電動パワーステアリング装置100の分解斜視図であり、アッシー70を第1ハウジング50から取り外した状態を示す。図5では、第2ハウジング60の図示を省略している。
【0047】
図3及び図5に示すように、第1ハウジング50は、大径部51とトルクセンサ40の底面41bとの間に所定の間隔を空けて出力シャフト15を支持する。つまり、トルクセンサ40は、大径部51から離れた状態でハウジング5内に収容される。
【0048】
図2及び図3に示すように、第2ハウジング60は、環状部61と、環状部61から入力シャフト13に沿って延在する側壁部62と、を有する。環状部61は、入力シャフト13が挿通されるシャフト孔61aを有する。
【0049】
側壁部62は、トルクセンサ40を取り囲むように環状に形成され、トルクセンサ40の外周面41aと対向する。つまり、第2ハウジング60は凹状に形成され、トルクセンサ40は第2ハウジング60内に配置される。
【0050】
また、第2ハウジング60は、入力シャフト13を支持する支持部63を有する。支持部63は、環状部61における側壁部62とは反対側に設けられる。シャフト孔61aは支持部63を貫通して形成される。
【0051】
支持部63の内周面にはブッシュ94が設けられる。入力シャフト13は、ブッシュ94を介して支持部63に回転自在に支持される。支持部63内には、シャフト孔61aを通じてハウジング5内への異物の侵入を防ぐシール部材95が、ブッシュ94と並んで設けられる。
【0052】
側壁部62は、外周面62aから径方向外側に突出する窓部64を有する。図2は、窓部64を通る線に沿う断面を示している。窓部64には径方向に貫通する側壁孔62bが形成される。ケーブル36は、側壁孔62bに挿通され、側壁孔62bを通じて第2ハウジング60の外側から内側に引き込まれる。
【0053】
窓部64には、ケーブル36を保持するケーブルホルダ38がボルト(図示せず)を用いて締結される。窓部64とケーブルホルダ38との間にはOリング93が設けられる。Oリング93によって、窓部64とケーブルホルダ38との間の隙間からハウジング5へ雨水や泥水が流入するのを防ぐことができる。
【0054】
側壁部62は、環状部61から第1ハウジング50まで延びる。側壁部62の内周面62cは、第1ハウジング50の大径部51の外周面51aと嵌合する。第1ハウジング50の大径部51と第2ハウジング60の側壁部62との間にはOリング92が設けられる。Oリング92によって、大径部51と側壁部62との間の隙間からハウジング5へ雨水や泥水が流入するのを防ぐことができる。
【0055】
また、図3に示すように、第2ハウジング60は、側壁部62の外周面62aから径方向外側に突出する突出部65と、突出部65を軸方向に貫通する孔65aと、を有する。ボルト6は、孔65aに挿通される。
【0056】
図3から図5に示すように、電動パワーステアリング装置100は、トルクセンサ40の突部42と係合する係合部材80を更に備える。係合部材80は、ハウジング5内に配置される。
【0057】
係合部材80は、第1ハウジング50とは別体として形成され、第1ハウジング50と第2ハウジング60とによって挟持される。第1ハウジング50と第2ハウジング60との挟持によって、ハウジング5に対する係合部材80及びトルクセンサ40の相対回転が規制される。したがって、トルクセンサ40が入力シャフト13と一緒に回転するのを防ぐことができ、入力シャフトに入力される操舵トルクを検出することができる。
【0058】
係合部材80の構造を、図3から図8を用いてより詳細に説明する。図6は、係合部材80の斜視図である。
【0059】
図3から図6に示すように、係合部材80は、第1ハウジング50の大径部51とトルクセンサ40の底面41bとの間に配置される基部81と、トルクセンサ40の突部42と係合する2つの係合ピン(係合部)82と、基部81から突出する2つの突起83と、を有する。
【0060】
2つの係合ピン82は基部81から軸方向に延在し、2つの係合ピン82の間には間隔が設けられる。この間隔は、突部42の幅と略同じである。突部42を係合ピン82の間に挿入することによって、係合ピン82が突部42と係合する。
【0061】
第1ハウジング50の大径部51は、係合部材80の基部81と軸方向に対向する対向面51cと、対向面51cに開口する2つの穴部51dと、を有する。2つの突起83は、基部81における係合ピン82とは反対側に設けられ、第1ハウジング50の穴部51dに挿入される。突起83が穴部51dに挿入された状態では、第1ハウジング50に対する係合部材80の移動が規制される。
【0062】
図7は、アッシー70の一部と係合部材80の側面図であり、突起83が第1ハウジング50の穴部51d(図5参照)に挿入された状態を示す。図7において、2点鎖線は、第1ハウジング50の対向面51cの位置を示す。
【0063】
図7に示すように、突起83が穴部51d(図5参照)に挿入された状態では、トルクセンサ40の底面41bと基部81との間には、間隔Gが設けられる。そのため、係合部材80が第1ハウジング50と第2ハウジング60とによって挟持されていない状態では、係合部材80は、基部81がトルクセンサ40に近づく方向に移動可能である。
【0064】
図8は、アッシー70の一部と係合部材80の側面図であり、基部81がトルクセンサ40に近接した状態を示す。図7と同様に、図8において、2点鎖線は、第1ハウジング50の対向面51cを示す。
【0065】
図7に示すように、突起83が第1ハウジング50の穴部51d(図5参照)に挿入された状態では、間隔Gは、突起83の長さLよりも広い。基部81がトルクセンサ40に近接した状態では、図8に示すように突起83が穴部51dから抜き出され、トルクセンサ40は第1ハウジング50に対して移動可能である。
【0066】
係合ピン82が基部81から延在するので、基部81がトルクセンサ40に近接した状態でも、係合ピン82は突部42と係合する。したがって、係合部材80をトルクセンサ40の突部42に係合させた状態でトルクセンサ40を第1ハウジング50に対して移動させることができる。
【0067】
図3及び図6に示すように、基部81には弾性部材としての板ばね86が設けられる。板ばね86は、基部81と第2ハウジング60との間で圧縮される。つまり、基部81は、板ばね86を介して第1ハウジング50と第2ハウジング60とによって挟持される。そのため、基部81、第1ハウジング50及び第2ハウジング60の寸法公差を厳しく管理する必要がない。したがって、電動パワーステアリング装置100を容易に製造することができる。
【0068】
図9は、変形例に係る弾性部材の斜視図であり、基部81に取り付けられた状態を示す。図9に示すように、板ばね86に代えて、コイルばね89を弾性部材として用いてもよい。
【0069】
以下では、図2から図4図6図10から図15を参照して、電動パワーステアリング装置100の組み立て方法について説明する。
【0070】
まず、図10及び図11に示すように、係合部材80に板ばね86を組み付ける。基部81には凹部81aが形成される。板ばね86が係合部材80に組み付けられる前では、凹部81aの底面にはピン81bが形成される。
【0071】
板ばね86は、平板部86aと、平板部86aに連続して形成される段部86bと、段部86bに連続して形成される湾曲部86cと、を有する。平板部86aには、係合部材80のピン81bが挿通される孔86dが形成される。段部86bは、凹部81aの側面に対応して形成される。湾曲部86cは、段部86bから平板部86aとは反対側に延在するとともに、平板部86aに向けて曲げられている。
【0072】
板ばね86を係合部材80に組み付ける際には、まず、平板部86aを基部81に配置する(図11参照)。このとき、平板部86aの孔86dに基部81のピン81bが挿入される。その後、ピン81bに熱加締めを施すことによって、ピン81bが潰れ、板ばね86が基部81に固定される。その結果、板ばね86が係合部材80に強固に組み付けられる。
【0073】
次に、図12に示すように、入力シャフト13、トーションバー14、出力シャフト15、及びトルクセンサ40を、一体部品のアッシー70として組み立てる。また、アッシー70を、スナップリング98及び玉軸受96に挿入し、カシメリング17(図2参照)を用いて玉軸受96を出力シャフト15に固定する。
【0074】
次に、図13に示すように、係合部材80をトルクセンサ40に係合させる。具体的には、係合部材80の係合ピン82の間にトルクセンサ40の突部42が配置されるように、係合部材80をトルクセンサ40に組み付ける。このとき、係合部材80の基部81を突部42に近接させる。
【0075】
次に、図14に示すように、アッシー70を第1ハウジング50に組み込む。具体的には、図2及び図3に示すように、アッシー70を大径部51の開口部から第1ハウジング50内に挿入し、予め小径部53内に配置されたニードル軸受97に出力シャフト15を挿入する。スナップリング98を第1ハウジング50に固定することによって、アッシー70が第2ハウジング60に組み込まれる。
【0076】
次に、図15に示すように、トルクセンサ40及び係合部材80を第1ハウジング50に対して回転させ、第1ハウジング50に対する係合部材80の位置を合わせる。具体的には、係合部材80の突起83の位置と第1ハウジング50の穴部51dの位置とを合わせる。
【0077】
次に、トルクセンサ40の突部42から係合部材80の基部81を離す方向に係合部材80を移動させる(図4参照)。係合部材80の突起83は、第1ハウジング50の穴部51dに挿入される。その結果、第1ハウジング50に対する係合部材80の移動が規制される。
【0078】
次に、図3に示すように、第2ハウジング60のシャフト孔61aに入力シャフト13を挿入し、第2ハウジング60を第1ハウジング50上に配置する。このとき、係合部材80は、板ばね86を介して第1ハウジング50と第2ハウジング60とによって挟持される。その結果、係合部材80は第1ハウジング50に固定される。
【0079】
係合部材80が板ばね86を介して第1ハウジング50と第2ハウジング60とにより挟持されるので、係合部材80、第1ハウジング50及び第2ハウジング60の寸法公差を厳しく管理する必要がない。したがって、電動パワーステアリング装置100を容易に製造することができる。
【0080】
穴部51dへの突起83の挿入によって係合部材80の移動が規制されているので、第1ハウジング50と第2ハウジング60とによって係合部材80を挟持する際に係合部材80が動くことを防ぐことができる。したがって、ハウジング5内の所望の位置に係合部材80を配置することができる。
【0081】
次に、ボルト6を第2ハウジング60の孔65a及び第1ハウジング50の孔58aに挿入する。第2ハウジング60と第1ハウジング50とをボルトを用いて締結することによって、電動パワーステアリング装置100が組み立てられる。
【0082】
以上のように、係合部材80は、第1ハウジング50とは別体として形成され、第1ハウジング50と第2ハウジング60とによって挟持されることによって、第1ハウジング50に固定される。係合部材80が第1ハウジング50に固定される前にアッシー70が第1ハウジングに組み込まれるので、アッシー70を第1ハウジング50に組み込むと同時に係合部材80をトルクセンサ40に係合させる必要がない。
【0083】
仮に、係合部材80が第1ハウジング50と一体的に形成されている場合には、アッシー70を第1ハウジング50に組み込むと同時に係合部材80をトルクセンサ40に係合させなければならない。そのため、電動パワーステアリング装置100の組立作業が煩雑になる。
【0084】
特に、ピニオン式の電動パワーステアリング装置では、出力シャフト15の第1ピニオン16がラックシャフト12のラック12a(図1参照)と噛み合うので、アッシー70は、第1ハウジング50への挿入に伴って回転する。そのため、アッシー70を第1ハウジング50に組み込むと同時に係合部材80をトルクセンサ40に係合させるのはより一層困難である。
【0085】
電動パワーステアリング装置100では、前述のように、アッシー70を第1ハウジング50に組み込むと同時に係合部材80をトルクセンサ40に係合させる必要がない。したがって、電動パワーステアリング装置100の組立性を向上させることができる。
【0086】
突起83が穴部51dに挿入された状態におけるトルクセンサ40と基部81との間の間隔Gは、突起83の長さLよりも広い(図7参照)。そのため、突起83が第1ハウジング50の対向面51cに接触することなくアッシー70を第1ハウジング50の所望の位置まで挿入することができる。したがって、係合部材80をトルクセンサ40に係合させた状態でトルクセンサ40を第1ハウジング50に対して相対回転させることができ、電動パワーステアリング装置100の組立性をより向上させることができる。
【0087】
上記の製造方法では、アッシー70を第1ハウジング50に組み込む前にトルクセンサ40に係合部材80を係合させたが、アッシー70を第1ハウジング50に組み込んだ後にトルクセンサ40に係合部材80を係合させてもよい。この場合であっても、アッシー70を第1ハウジング50に組み込むと同時に係合部材80をトルクセンサ40に係合させる必要がなく、電動パワーステアリング装置100の組立性を向上させることができる。
【0088】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0089】
本実施形態では、電動パワーステアリング装置100は、操舵トルクが入力される入力シャフト13と、トーションバー14を介して入力シャフト13と連結された出力シャフト15と、入力シャフト13と出力シャフト15に亘って取り付けられ、操舵トルクを検出するトルクセンサ40と、入力シャフト13、出力シャフト15、及びトルクセンサ40を収容するハウジング5と、ハウジング5内に設けられトルクセンサ40と係合する係合部材80と、を備え、ハウジング5は、出力シャフト15を回転自在に支持する第1ハウジング50と、第1ハウジング50に締結され、入力シャフト13を回転自在に支持する第2ハウジング60と、を有し、係合部材80は、第1ハウジング50とは別体として形成され、第1ハウジング50と第2ハウジング60とによって挟持されることを特徴とする。
【0090】
この構成では、係合部材80が第1ハウジング50とは別体として形成され、第1ハウジング50と第2ハウジング60とによって挟持される。係合部材80が第1ハウジング50と第2ハウジング60とによって挟持されていない状態では、係合部材80は第1ハウジング50に固定されておらず、第1ハウジング50に対して移動自在である。入力シャフト13、出力シャフト15及びトルクセンサ40を含むアッシー70を第1ハウジング50に組み込む前又は後に係合部材80をトルクセンサ40に係合させればよく、アッシー70を第1ハウジング50に組み込むと同時に係合部材80をトルクセンサ40に係合させる必要がない。したがって、電動パワーステアリング装置100の組立性を向上させることができる。
【0091】
また、本実施形態では、第1ハウジング50は、トルクセンサ40と間隔を空けて出力シャフト15を支持し、係合部材80は、第1ハウジング50とトルクセンサ40との間に配置される基部81と、基部81から延在しトルクセンサ40と係合する係合ピン82と、を有し、第1ハウジング50は、基部81と軸方向に対向する対向面51cと、対向面51cに開口する穴部51dと、を有し、基部81は、穴部51dに挿入される突起83を有し、トルクセンサ40と基部81との間には、突起83の長さLよりも広い間隔Gが設けられることを特徴とする。
【0092】
この構成では、トルクセンサ40と基部81との間に間隔Gが設けられるので、係合部材80が第1ハウジング50と第2ハウジング60とによって挟持されていない状態では、係合部材80は基部81がトルクセンサ40に近づく方向に移動可能である。トルクセンサ40と基部81との間の間隔Gが突起83の長さLよりも広いので、基部81がトルクセンサ40に近接した状態では、突起83は穴部51dに挿入されず、トルクセンサ40は係合部材80とともに第1ハウジング50に対して移動可能になる。したがって、係合部材80をトルクセンサ40に係合させた状態でトルクセンサ40を第1ハウジング50に対して移動させることができ、電動パワーステアリング装置100の組立性を向上させることができる。
【0093】
また、本実施形態では、係合部材80は、板ばね86又はコイルばね89を介して第1ハウジング50と第2ハウジング60とにより挟持されることを特徴とする。
【0094】
この構成では、係合部材80が板ばね86を介して第1ハウジング50と第2ハウジング60とにより挟持されるので、係合部材80、第1ハウジング50及び第2ハウジング60の寸法公差を厳しく管理する必要がない。したがって、電動パワーステアリング装置100を容易に製造することができる。
【0095】
また、本実施形態は、第1ハウジング50に回転自在に支持される出力シャフト15と、トーションバー14を介して出力シャフト15に連結され第2ハウジング60に回転自在に支持される入力シャフト13と、入力シャフト13に入力される操舵トルクを検出するトルクセンサ40と、第1ハウジング50とは別体として形成されトルクセンサ40に係合する係合部材80と、を備える電動パワーステアリング装置100の製造方法に係る。電動パワーステアリング装置100の製造方法は、トーションバー14を介して入力シャフト13と出力シャフト15とを連結しトルクセンサ40を入力シャフト13及び出力シャフト15に亘って取り付ける工程と、係合部材80をトルクセンサ40に係合させ第1ハウジング50に出力シャフト15を組み込む工程と、第1ハウジング50に対する係合部材80の位置を合わせ係合部材80を第1ハウジング50と第2ハウジング60とにより挟持する工程と、を備えることを特徴とする。
【0096】
この構成では、係合部材80が第1ハウジング50と第2ハウジング60とによって挟持される前に、係合部材80がトルクセンサ40に係合し出力シャフト15が第1ハウジング50に組み込まれる。係合部材80が第1ハウジング50と第2ハウジング60とによって挟持されていない状態では、係合部材80は第1ハウジング50に固定されておらず、第1ハウジング50に対して移動自在である。入力シャフト13、出力シャフト15及びトルクセンサ40を含むアッシー70を第1ハウジング50に組み込む前又は後に係合部材80をトルクセンサ40に係合させればよく、アッシー70を第1ハウジング50に組み込むと同時に係合部材80をトルクセンサ40に係合させる必要がない。したがって、電動パワーステアリング装置100の組立性を向上させることができる。
【0097】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0098】
(1)トルクセンサ40は、ステアリングシャフト11の絶対回転角度を検出するアングルセンサの機能も有する構成であってもよい。つまり、トルクセンサ40は、トルクアングルセンサであってもよい。
【0099】
(2)上記実施形態では、ドライバによる操舵トルクと電動モータ21による操舵補助トルクとがそれぞれ独立してラックシャフト12に入力されるデュアルピニオン式の電動パワーステアリング装置100について説明した。しかし、本発明は、ドライバによる操舵トルクと電動モータ21による操舵補助トルクとが共通のステアリングシャフトを介してラックシャフト12に入力されるシングルピニオン式の電動パワーステアリング装置であってもよい。その場合には、アシスト機構20は、出力シャフト15に設けられる。
【0100】
(3)上記実施形態では、ラックシャフト12と噛み合うピニオン軸22に減速機構3を介して電動モータ21が連結されトルクセンサ40及びアシスト機構20がラックシャフト12の近傍に配置される電動パワーステアリング装置100について説明した。しかし、本発明は、トルクセンサ40及びアシスト機構20がラックシャフト12から離れ車室内に配置されるコラム式の電動パワーステアリング装置であってもよい。また、本発明は、ステアリングホイール1とラックシャフト12とが機械的に連結されていないステアバイワイヤ式の電動パワーステアリング装置であってもよい。
【0101】
(4)上記実施形態では、第2ハウジング60が凹状に形成され第2ハウジング60内にトルクセンサ40が配置される電動パワーステアリング装置100について説明した。しかし、本発明は、第2ハウジング60が平板状に形成され第1ハウジング50内にトルクセンサが配置される電動パワーステアリング装置であってもよい。
【0102】
(5)上記実施形態では、係合部材80は2つの係合ピン82を有するが、係合ピン82は1つでもよく、3つ以上でもよい。また、係合部材80は2つの突起83を有するが、突起83は1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0103】
(6)上記実施形態では、係合ピン82は、軸方向に延在する。係合ピン82の延在方向は軸方向と一致している必要はなく、係合ピン82は、軸方向と異なる方向に延在していてもよい。この場合においても、基部81がトルクセンサ40に近接した状態で係合ピン82を突部42と係合させることができる。係合ピン82の延在方向が軸方向と異なる場合には、第1ハウジング50の対向面51cは、軸方向ではなく、係合ピン82の延在方向に基部81と対向する。
【0104】
(7)上記実施形態では、係合部材80の基部81が突起83を有し第1ハウジング50が穴部51dを有する。第1ハウジング50が突起83を有し係合部材の基部81が穴部841dを有していてもよい。つまり、基部81及び第1ハウジング50の一方が、基部81及び第1ハウジング50の他方と係合ピン82の延在方向に対向する対向面と、対向面に開口する穴部と、を有し、基部81及び第1ハウジング50の他方が、穴部に挿入される突起を有していればよい。
【符号の説明】
【0105】
5・・・ハウジング、13・・・入力シャフト、14・・・トーションバー、15・・・出力シャフト、40・・・トルクセンサ、50・・・第1ハウジング、51c・・・対向面、51d・・・穴部、60・・・第2ハウジング、80・・・係合部材、81・・・基部、82・・・係合ピン(係合部)、83・・・突起、86・・・板ばね(弾性部材)、89・・・コイルばね(弾性部材)、100・・・電動パワーステアリング装置、L・・・突起の長さ、G・・・トルクセンサと基部との間の間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15