特許第6353899号(P6353899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353899
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】ロイコトリエン生成の阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20180625BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20180625BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20180625BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180625BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20180625BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20180625BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   C07D401/14CSP
   A61K31/497
   A61K31/4709
   A61P43/00 111
   A61P9/00
   A61P29/00
   A61K45/00
【請求項の数】15
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2016-527007(P2016-527007)
(86)(22)【出願日】2014年7月14日
(65)【公表番号】特表2016-525113(P2016-525113A)
(43)【公表日】2016年8月22日
(86)【国際出願番号】US2014046489
(87)【国際公開番号】WO2015009609
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2017年7月12日
(31)【優先権主張番号】61/846,137
(32)【優先日】2013年7月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(72)【発明者】
【氏名】アベイワルデイン アシタ
(72)【発明者】
【氏名】ブロードウォーター ジョン アラン
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀典
【審査官】 山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/012844(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/125598(WO,A1)
【文献】 特表2001−515490(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/014874(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【化1】
(I)
(式中、R1は、
(a)式−N(R2)(R3)の基であって、式中、
2が、水素、−(C1−C6)アルキル、および−(C3−C6)シクロアルキルからなる群から選択され、
3が、水素、−(C1−C6)アルキル、−(C3−C6)シクロアルキル、および−(4〜7員)ヘテロシクリルからなる群から選択され、
前記R3の前記−(C1−C6)アルキル、−(C3−C6)シクロアルキル、および−(4〜7員)ヘテロシクリルのそれぞれは、R4、−((C1−C6)アルキレン)−R4、−C(O)−(C1−C6)アルキル、−C(O)−(C3−C6)シクロアルキル、および−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−R4からなる群から独立して選択される1〜3個の基により置換されていてもよく、
4は、ハロ、−OH、=O、−NH2、−NH(C1−C6)アルキル、−N((C1−C6)アルキル)2、−(C1−C6)アルキル、−O(C1−C6)アルキル、−(C3−C6)シクロアルキル、および−(4〜7員)ヘテロシクリルからなる群から選択され、
前記R4のそれぞれは、−O(C1−C6)アルキルおよび−(C3−C6)シクロアルキルからなる群から独立して選択される1〜3個の基によって置換されていてもよい基、
または
(b) 式
【化2】
の4〜9員N−複素環であって、
前記4〜9員N−複素環は、窒素、酸素、および硫黄原子からなる群から選択される1〜3個の追加のヘテロ環原子を含んでいてもよく、前記4〜9員N−複素環は、R5、−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−(C1−C6)アルキル、−C(O)−(C3−C6)シクロアルキル、−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−N(R6)−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−N(R6)(R6)、および1〜3個のR5基により置換されていてもよい−(4〜7員)ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される1〜3個の基により置換されていてもよく、
各R5は、ハロ、−OH、=O、−N(R62、−N(R6)(C(O)−R6)、−(C1−C6)アルキル、−O(C1−C6)アルキル、−(C3−C6)シクロアルキル、および−(4〜7員)ヘテロシクリルからなる群から独立して選択され、
各R6は、水素、および−OHにより置換されていてもよい−(C1−C6)アルキルからなる群から独立して選択される複素環である)
【請求項2】
1が式−N(R2)(R3)の基であり、R2が−(C1−C6)アルキルである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
1が式−N(R2)(R3)の基であり、R3が、R4、−((C1−C6)アルキレン)−R4、−C(O)−(C1−C6)アルキル、−C(O)−(C3−C6)シクロアルキル、および−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−R4からなる群から独立して選択される1〜3個の基により置換されていてもよい−(4〜7員)ヘテロシクリルである、請求項1および2のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
1が、式−N(R2)(R3)の基であり、式中、
2は−(C1−C6)アルキルであり、
3は、−OHおよび−C(O)−(C1−C6)アルキレン−OHからなる群から独立して選択される1〜3個の基により置換されていてもよいピロリジニルである、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
1が式−N(R2)(R3)の基であり、式中、
2はメチルであり、
3は、−C(O)−(C1−C6)アルキレン−OHにより置換されているピロリジニルである、
請求項1から4までのいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
1が式−N(R2)(R3)の基であり、式中、
2は−(C1−C6)アルキルであり、
3は、R4、−((C1−C6)アルキレン)−R4、−C(O)−(C1−C6)アルキル、および−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−R4からなる群から独立して選択される1〜3個の基により置換されていてもよい−(C1−C6)アルキルである、
請求項1および2のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
1が式−N(R2)(R3)の基であり、式中、
2は−(C1−C6)アルキルであり、
3は、−(4〜7員)ヘテロシクリルにより置換されていてもよい−(C1−C6)アルキルであり、
前記−(4〜7員)ヘテロシクリルは、−C(O)−(C1−C6)アルキルおよび−C(O)−(C3−C6)シクロアルキルからなる群から独立して選択される1〜3個の基により置換されていてもよい、
請求項1、2、および6のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
1が式−N(R2)(R3)の基であり、式中、
2はメチルであり、
3は、−(4〜7員)ヘテロシクリルにより置換されているメチルであり、前記−(4〜7員)ヘテロシクリルは、−C(O)−(C1−C6)アルキルからなる群から独立して選択される1〜2個の基により置換されている、
請求項1、2、6、および7のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
1が4〜9員N−複素環であり、前記4〜9員N−複素環は、R5、−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−(C1−C6)アルキル、−C(O)−(C3−C6)シクロアルキル、−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−N(R6)−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−N(R6)(R6)、および−(4〜7員)ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される1〜3個の基により置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
1が、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、およびピペラジニルからなる群から選択される4〜9員N−複素環であり、前記アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、およびピペラジニルのそれぞれが、R5、−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−(C1−C6)アルキル、−C(O)−(C3−C6)シクロアルキル、−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−N(R6)−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−N(R6)(R6)、および−(4〜7員)ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される1〜3個の基により置換されていてもよい、請求項1および9のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
1が、
−OH、−(C1−C6)アルキル、および−C(O)−(C1−C6)アルキルからなる群から選択される1〜3個の基により置換されているアゼチジニル、
−OH、−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−OH、および−N((C1−C6)アルキル)−C(O)−(C1−C6)アルキレン−OHからなる群から選択される1〜3個の基により置換されているピロリジニル、
−OH、−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−OH、−C(O)−N((C1−C6)アルキル)2、−N((C1−C6)アルキル)−C(O)−(C1−C6)アルキレン−OH、−OHにより置換されていてもよいピロリジノニル、オキサゾリジノニルからなる群から選択される1〜3個の基により置換されているピペリジニル、および
−C(O)−(C1−C6)アルキル、−C(O)−(C3−C6)シクロアルキル、−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−OH、および−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−O−(C1−C6)アルキルからなる群から選択される1〜3個の基により置換されているピペラジニル
からなる群から選択される、請求項1、9、および10のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
2−ヒドロキシ−1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノン;
1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノン;
1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−アゼチジン−3−オール
2−メトキシ−1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノン;
(S)−3−ヒドロキシ−1−(1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペリジン−4−イル)−ピロリジン−2−オン;
3−(1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペリジン−4−イル)−オキサゾリジン−2−オン;1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペリジン−4−オール;
3−メチル−1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−アゼチジン−3−オール;
2−ヒドロキシ−1−[(R)−3−(メチル−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−アミノ)−ピロリジン−1−イル]−エタノン;および
2−ヒドロキシ−1−[(S)−3−(メチル−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−アミノ)−ピロリジン−1−イル]−エタノン;
2−ヒドロキシ−N−メチル−N−((S)−1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピロリジン−3−イル)−アセトアミド;
2−ヒドロキシ−N−メチル−N−((R)−1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピロリジン−3−イル)−アセトアミド;
(S)−1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピロリジン−3−オール;
1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−プロパン−1−オン;
2−ヒドロキシ−N−メチル−N−(1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペリジン−4−イル)−アセトアミド;
1−{3−[(メチル−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−アミノ)−メチル]−アゼチジン−1−イル}−エタノン;
(R)−1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピロリジン−3−オール;
(S)−2−ヒドロキシ−1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−プロパン−1−オン;
1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペリジン−4−カルボン酸ジメチルアミド;
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−プロパン−1−オン;
2,2−ジメチル−1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−プロパン−1−オン;
シクロプロピル−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−メタノン;および
2−メチル−1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−プロパン−1−オン
およびそれらの薬学的に許容される塩
からなる群から選択される化合物。
【請求項13】
請求項1から12までの1種もしくは複数の化合物またはその薬学的に許容される塩含む、医薬組成物。
【請求項14】
ロイコトリエン媒介性障害を治療するための、請求項13に記載の医薬組成物
【請求項15】
ロイコトリエン媒介性障害が心臓血管疾患または炎症性疾患である、請求項14に記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロイコトリエンA4ヒドロラーゼ(LTA4H:leukotriene A4 hydrolase)の阻害剤として有用な、したがって、喘息およびアレルギーと;アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、および卒中を含めた心臓血管疾患と;アトピー性皮膚炎、アレルギー、喘息、自己免疫疾患、クローン病、嚢法性線維症、糖尿病性腎障害、糖尿病性網膜症、潰瘍性大腸炎、および脂肪性肝炎を含めた炎症疾患とを含む、ロイコトリエンの活性を経て媒介されまたは持続される様々な疾患および障害を治療するのに有用な、新規な化合物に関する。本発明は、これらの化合物を含む医薬組成物、様々な疾患および障害の治療でこれらの化合物を使用する方法、これらの化合物を調製するためのプロセス、およびこれらのプロセスで有用な中間体にも関する。
【背景技術】
【0002】
ロイコトリエン(LT:leukotriene)は、好中球、肥満細胞、好酸球、好塩基球、単球、およびマクロファージを含めたいくつかの細胞型により生成された、酸化した脂質である。LTの細胞内合成における第1のコミットステップでは、5−リポキシゲナーゼ(5−LO:5−lipoxygenase)によるアラキドン酸からロイコトリエンA4(LTA4:leukotriene A4)への酸化が行われるが、このプロセスは5−リポキシゲナーゼ−活性化タンパク質(FLAP:5−lipoxygenase−activating protein)を必要とする。ロイコトリエンA4ヒドロラーゼ(LTA4H)は、LTA4の加水分解を触媒してロイコトリエンB4(LTB4:leukotriene B4)を生成する。LTB4受容体(BLT1、BLT2)の結合を通して、LTB4は、一連の炎症誘発性応答(白血球化学走性、サイトカイン放出など)を刺激する。ロイコトリエン経路は、炎症が病理の決定的構成要素である疾患に関わっており;これらの疾患には癌、喘息、アテローム性動脈硬化症、大腸炎、糸球体腎炎、および疼痛が含まれる(考察に関しては、M. Peters-GoldenおよびW.R. Henderson, Jr., M.D., N. Engl. J. Med., 2007, 357, 1841-1854参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ロイコトリエンA4ヒドロラーゼ(LTA4H)を阻害し、かつアレルギー、肺、線維性、炎症性、および心臓血管疾患と癌を含めたロイコトリエンの活性を通して媒介されまたは持続される様々な疾患および障害を治療するのに有用な、新規な化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
その最も広範な実施形態(「実施形態1」)において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩
【化1】
(I)
(式中、
1は、
(a)式−N(R2)(R3)の基であって、式中、
2は、水素、−(C1−C6)アルキル、および−(C3−C6)シクロアルキルからなる群から選択され、
3は、水素、−(C1−C6)アルキル、−(C3−C6)シクロアルキル、および−(4〜7員)ヘテロシクリルからなる群から選択され、
前記R3の前記−(C1−C6)アルキル、−(C3−C6)シクロアルキル、および−(4〜7員)ヘテロシクリルのそれぞれは、R4、−((C1−C6)アルキレン)−R4、−C(O)−(C1−C6)アルキル、−C(O)−(C3−C6)シクロアルキル、および−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−R4からなる群から独立して選択される1〜3個の基により置換されていてもよく、
4は、ハロ、−OH、=O、−NH2、−NH(C1−C6)アルキル、−N((C1−C6)アルキル)2、−(C1−C6)アルキル、−O(C1−C6)アルキル、−(C3−C6)シクロアルキル、および−(4〜7員)ヘテロシクリルからなる群から選択され、
前記R4のそれぞれは、−O(C1−C6)アルキルおよび−(C3−C6)シクロアルキルからなる群から独立して選択される1〜3個の基によって置換されていてもよい基、
または
【0005】
(b) 式
【化2】
の4〜9員N−複素環であって、
前記4〜9員N−複素環は、窒素、酸素、および硫黄原子からなる群から選択される1〜3個の追加のヘテロ環原子を含んでいてもよく、前記4〜9員N−複素環は、R5、−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−(C1−C6)アルキル、−C(O)−(C3−C6)シクロアルキル、−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−N(R6)−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−N(R6)(R6)、および1〜3個のR5基により置換されていてもよい−(4〜7員)ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される1〜3個の基により置換されていてもよく、
各R5は、ハロ、−OH、=O、−N(R62、−N(R6)(C(O)−R6)、−(C1−C6)アルキル、−O(C1−C6)アルキル、−(C3−C6)シクロアルキル、および−(4〜7員)ヘテロシクリルからなる群から独立して選択され、
各R6は、水素、および−OHにより置換されていてもよい−(C1−C6)アルキルからなる群から独立して選択される複素環である)に関する。
【0006】
第2の実施形態(実施形態2)において、本発明は、実施形態1の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、R1が式−N(R2)(R3)の基であり、R2は−(C1−C6)アルキルである、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
第3の実施形態(実施形態3)において、本発明は、前述の実施形態のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩であって、R1が式−N(R2)(R3)の基であり、R3が、R4、−((C1−C6)アルキレン)−R4、−C(O)−(C1−C6)アルキル、−C(O)−(C3−C6)シクロアルキル、および−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−R4からなる群から独立して選択される1〜3個の基により置換されていてもよい−(4〜7員)ヘテロシクリルである、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0007】
第4の実施形態(実施形態4)において、本発明は、前述の実施形態のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩であって、R1が、式−N(R2)(R3)の基であり、式中、
2は−(C1−C6)アルキルであり、
3は、−OHおよび−C(O)−(C1−C6)アルキレン−OHからなる群から独立して選択される1〜3個の基により置換されていてもよいピロリジニルである、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
第5の実施形態(実施形態5)において、本発明は、前述の実施形態のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩であって、R1が式−N(R2)(R3)の基であり、式中、
2はメチルであり、
3は、−C(O)−(C1−C6)アルキレン−OHにより置換されているピロリジニルである、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0008】
第6の実施形態(実施形態6)において、本発明は、前述の実施形態1または2の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、R1が式−N(R2)(R3)の基であり、式中、
2は−(C1−C6)アルキルであり、
3は、R4、−((C1−C6)アルキレン)−R4、−C(O)−(C1−C6)アルキル、および−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−R4からなる群から独立して選択される1〜3個の基により置換されていてもよい−(C1−C6)アルキルである、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0009】
第7の実施形態(実施形態7)において、本発明は、前述の実施形態1、2および6のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩であって、R1が式−N(R2)(R3)の基であり、式中、
2は−(C1−C6)アルキルであり、
3は、−(4〜7員)ヘテロシクリルにより置換されていてもよい−(C1−C6)アルキルであり、
前記−(4〜7員)ヘテロシクリルは、−C(O)−(C1−C6)アルキルおよび−C(O)−(C3−C6)シクロアルキルからなる群から独立して選択される1〜3個の基により置換されていてもよい、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0010】
第8の実施形態(実施形態8)において、本発明は、前述の実施形態1、2、6および7のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩であって、R1が式−N(R2)(R3)の基であり、式中、
2はメチルであり、
3は、−(4〜7員)ヘテロシクリルにより置換されているメチルであり、前記−(4〜7員)ヘテロシクリルは、−C(O)−(C1−C6)アルキルからなる群から独立して選択される1〜2個の基により置換されている、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
第9の実施形態(実施形態9)において、本発明は、実施形態1の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、R1が4〜9員N−複素環であり、前記4〜9員N−複素環は、R5、−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−(C1−C6)アルキル、−C(O)−(C3−C6)シクロアルキル、−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−N(R6)−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−N(R6)(R6)、および−(4〜7員)ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される1〜3個の基により置換されていてもよい、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0011】
第10の実施形態(実施形態10)において、本発明は、前述の実施形態1および9のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩であって、R1が、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、およびピペラジニルからなる群から選択される4〜9員N−複素環であり、前記アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、およびピペラジニルのそれぞれが、R5、−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−(C1−C6)アルキル、−C(O)−(C3−C6)シクロアルキル、−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−N(R6)−((C1−C6)アルキレン)−R5、−C(O)−N(R6)(R6)、および−(4〜7員)ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される1〜3個の基により置換されていてもよい、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0012】
第11の実施形態(実施形態11)において、本発明は、前述の実施形態1、9および10のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩であって、R1が、
−OH、−(C1−C6)アルキル、および−C(O)−(C1−C6)アルキルからなる群から選択される1〜3個の基により置換されているアゼチジニル、
−OH、−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−OH、および−N((C1−C6)アルキル)−C(O)−(C1−C6)アルキレン−OHからなる群から選択される1〜3個の基により置換されているピロリジニル、
−OH、−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−OH、−C(O)−N((C1−C6)アルキル)2、−N((C1−C6)アルキル)−C(O)−(C1−C6)アルキレン−OH、−OHおよび(=O)により置換されていてもよいピロリジノニル(pyrollidinonyl)、オキサゾリジノニルからなる群から選択される1〜3個の基により置換されているピペリジニル、および
−C(O)−(C1−C6)アルキル、−C(O)−(C3−C6)シクロアルキル、−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−OH、および−C(O)−((C1−C6)アルキレン)−O−(C1−C6)アルキルからなる群から選択される1〜3個の基により置換されているピペラジニル
からなる群から選択される、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義:
AIBN=アゾビスイソブチロニトリル
BOC=tert−ブチルオキシカルボニル
BnO=ベンジルオキシド
DCM=ジクロロメタン
DDQ=2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン
DEA=ジエチルアミン
DIBAL−H=ジイソブチルアウミニウム水素化物
DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン
DMA=ジメチルアセトアミド
DMAP=4−ジメチルアミノピリジン
DME=ジメトキシエタン
DMF=ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
Et2O=エチルエーテル
EtOAc=酢酸エチル
EtOH=エタノール
【0014】
IPA=イソプロピルアルコール
LDA=リチウムジイソプロピルアミド
mCPBA=メタ−クロロペルオキシ安息香酸
MeCN=アセトニトリル
MeOH=メタノール
MP−TSOH=ポリマー支持型トルエンスルホン酸樹脂
MTBE=メチルtert−ブチルエーテル
NBS=N−ブロモスクシンイミド
NMP=N−メチルピロリジノン
【0015】
PG=保護基
PyBrop=ブロモ−tris−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
PL−HCO3=ポリマー結合型テトラアルキルアンモニウムカーボネート樹脂
PS−DIEA=ポリマー支持型N,N−ジイソプロピルエチルアミン樹脂
SEM=2−(トリメチルシリル)エトキシメチル
TBAF=テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド
TBDPSCl=t−ブチルジフェニルシリルクロリド
TBTU=2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
TEA=トリエチルアミン
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TIPSO=トリイソプロピルシロキシ
【0016】
「式(I)の化合物」および「本発明の化合物」という用語は、他に指示しない限り同じ意味を有することが理解される。
以下に、概略的な合成スキーム、例、および当技術分野で公知の方法により作製された、本発明の代表的な化合物を示す。
【0017】
【表1】

さらなる実施形態において、本発明は、表1に示される化合物のいずれか1つまたはその薬学的に許容される塩に関する。
【0018】
別の実施形態において、本発明は:
2−ヒドロキシ−1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノン;
1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノン;
1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−アゼチジン−3−オール
2−メトキシ−1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノン;
(S)−3−ヒドロキシ−1−(1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペリジン−4−イル)−ピロリジン−2−オン;
【0019】
3−(1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペリジン−4−イル)−オキサゾリジン−2−オン;
1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペリジン−4−オール;
3−メチル−1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−アゼチジン−3−オール;
2−ヒドロキシ−1−[(R)−3−(メチル−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−アミノ)−ピロリジン−1−イル]−エタノン;および
2−ヒドロキシ−1−[(S)−3−(メチル−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−アミノ)−ピロリジン−1−イル]−エタノン
からなる群から選択される化合物、およびその薬学的に許容される塩に関する。
【0020】
別の実施形態において、本発明は:
2−ヒドロキシ−N−メチル−N−((S)−1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピロリジン−3−イル)−アセトアミド;
2−ヒドロキシ−N−メチル−N−((R)−1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピロリジン−3−イル)−アセトアミド;
(S)−1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピロリジン−3−オール;
1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−プロパン−1−オン;
2−ヒドロキシ−N−メチル−N−(1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペリジン−4−イル)−アセトアミド;
1−{3−[(メチル−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−アミノ)−メチル]−アゼチジン−1−イル}−エタノン;
(R)−1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピロリジン−3−オール;
(S)−2−ヒドロキシ−1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−プロパン−1−オン;
1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペリジン−4−カルボン酸ジメチルアミド;
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−プロパン−1−オン;
2,2−ジメチル−1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−プロパン−1−オン;
シクロプロピル−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−メタノン;および
2−メチル−1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−プロパン−1−オン
からなる群から選択される化合物、およびその薬学的に許容される塩に関する。
【0021】
本明細書でここに示される全ての用語は、他に示されない限り、当技術分野で公知のそれらの通常の意味で理解されるものとする。その他のより具体的な定義は、下記の通りである:
他に定義されない限り、「式(I)の化合物」、「式(I)の(複数の)化合物」、「本発明の化合物」、および「本発明の(複数の)化合物」という文言は、上述の実施形態のいずれか1つに記述される化合物を指す。
【0022】
「(C1−C6)アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する分枝状および非分枝状アルキル基を指す。−(C1−C6)アルキルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンタン、iso−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキサン、iso−ヘキサン(例えば、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2,3−ジメチルブチル、および2,2−ジメチルブチル)が含まれる。(C1−C6)アルキル基の任意の化学的に実現可能な炭素原子は、別の基または部分への結合点とすることができることが理解される。
【0023】
「(C1−C6)アルキレン」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する分枝状および非分枝状アルキレン基を指す。(C1−C6)アルキレンは、(C1−C6)アルキルの水素原子が基R(そのR基は別の水素を含んでいてもよい。)で置き換えられることを除き、上記にて定義された(C1−C6)アルキル基を含む。(C1−C6)アルキレンの非限定的な例には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、およびヘキシレンが含まれる。(C1−C6)アルキレン基の任意の化学的に実現可能な炭素原子は、別の基または部分への結合点とすることができることが理解される。
【0024】
「(C3−C6)シクロアルキル」という用語は、非芳香族3〜6員単環式炭素環ラジカルを指す。「(C3−C6)シクロアルキル」の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが含まれる。
【0025】
本明細書で使用される「4〜9員N−複素環」という用語は、1個のN原子を含有しかつN、O、およびSから独立して選択される1〜3個の追加のヘテロ原子を含有していてもよい安定な非芳香族4〜7員単環式複素環ラジカルと、1個のN原子を含有しかつN、O、およびSから独立して選択される1〜3個の追加のヘテロ原子を含有していてもよい安定な非芳香族7〜9員架橋ヘテロ二環式ラジカルと、1〜3個のN原子を含有する芳香族6員ヘテロアリールラジカルとを含む。したがって、4〜9員N−複素環は、炭素原子と、少なくとも1個の窒素原子とからなり、さらに窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜3個の追加のヘテロ環原子とからなるものであってもよい。4〜9員N−複素環がS環原子を含有する場合、そのようなS環原子は、その2価、4価、または6価の形で、即ち−S−、−S(O)−、または−S(O)2−の形で環内に存在できることが理解される。4〜9員N−複素環という用語は、2個の隣接する環原子上にある置換基が接合して4〜6員縮合環を形成する化合物、および/または同じ環原子上の置換基が接合して4〜6員スピロ環式環を形成する化合物も含む。任意の4〜6員縮合環または4〜6員スピロ環式環は、窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜3個の追加の環ヘテロ原子を含有していてもよく、かつ前記縮合およびスピロ環式環はさらに置換されていてもよいことが理解される。複素環は、飽和されていても部分的に不飽和であってもよい。安定な非芳香族4〜7員単環式複素環ラジカルの非限定的な例には、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、アゼパニル、1,4−ジアゼパニル、および1,4−オキサゼパニルが含まれる。スピロ環基を有する安定な非芳香族4〜7員単環式複素環ラジカルの非限定的な例には、2−オキサ−6−アザ−スピロ[3.4]オクタン、1,8−ジアザ−スピロ[4.5]デカン−2−オン、2−オキサ−6−アザ−スピロ[3.5]ノナン、1,8−ジアザ−スピロ[4.5]デカン、および2−オキサ−6−アザ−スピロ[3.3]ヘプタンが含まれる。4〜6員−環に縮合された安定な非芳香族4〜7員単環式複素環ラジカルの非限定的な例には、ヘキサヒドロ−オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−3−オン、ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン−6−オン、およびオクタヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロールが含まれる。安定な非芳香族7〜9員架橋N−ヘテロ二環式ラジカルの非限定的な例には、2−チア−5−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン2,2−ジオキシド、3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン、および2−オキサ−5−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンが含まれる。芳香族6員ヘテロアリールラジカルの非限定的な例には、ピリジンおよびピリミジンが含まれる。
【0026】
本明細書で使用する「4〜7員複素環」という用語は、安定な非芳香族4〜7員単環式複素環ラジカルと、安定な芳香族5〜6員単環式複素環ラジカル(または「5〜6員ヘテロアリール」)とを指す。4〜7員複素環は、炭素原子と、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個または複数の、好ましくは1〜4個のヘテロ原子とからなる。非芳香族4〜7員単環式複素環は、飽和されていても、部分的に不飽和であってもよく、または芳香族であってもよい。非芳香族4〜7員単環式複素環ラジカルの非限定的な例には、テトラヒドロフラニル、アゼチジニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロピロリジニル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、チオモルホリニル、チオモルホリニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、1,3−オキサジナニル、およびアゼピニルが含まれる。5〜6員ヘテロアリールは、炭素原子と、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個または複数の、好ましくは1〜3個のヘテロ原子とからなる。5〜6員単環式ヘテロアリール環の非限定的な例には、フラニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラニル、チアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、テトラゾリル、トリアゾリル、チエニル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、およびプリニルが含まれる。4〜7員複素環がS環原子を含有する場合、そのようなS環原子は、その2価、4価、または6価の形で、即ち−S−、−S(O)−、または−S(O)2−の形で環内に存在できることが理解される。
【0027】
アリールまたはヘテロアリールのそれぞれは、他に指定しない限り、その部分的にまたは完全に水素化した誘導体を含む。例えば、キノリニルは、デカヒドロキノリニルおよびテトラヒドロキノリニルを含んでいてもよく、ナフチルは、テトラヒドラナフチルなどのその水素化誘導体を含んでいてもよい。本明細書に記述されるアリールおよびヘテロアリール化合物のその他の部分的にまたは完全に水素化された誘導体は、当業者に明らかである。
本明細書で使用される「ヘテロ原子」という用語は、O、N、およびSなど、炭素以外の原子を意味すると理解されるものとする。
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを指す。
記号
【化3】
は、ある部分に対する基Rの結合点を意味する。
【0028】
全てのアルキル基または炭素鎖において、1個または複数の炭素原子は、ヘテロ原子:O、S、またはNによって置き換えられていてもよい。Nが置換されない場合はNHであると理解されるものとし、ヘテロ原子で、分枝状または非分枝状炭素鎖の末端炭素原子または内部の炭素原子を置き換えてもよいと理解されるものとする。そのような基は、アルコキシカルボニル、アシル、アミノ、およびチオキソなどであるがこれらに限定されない定義が得られるように、オキソなどの基によって上述のように置換することができる。
【0029】
本発明は、活性物質として、本発明の1種もしく複数の化合物またはその薬学的に許容される誘導体を含有し、さらにこれらを従来の賦形剤および/または担体と組み合わせて含有してもよい、医薬調合物にも関する。
本発明の化合物は、その同位体標識された形も含む。本発明の組合せの活性剤の同位体標識された形は、前記活性剤の1個または複数の原子が、天然で通常見出される前記原子の原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する1個または複数の原子によって置き換えられた点を除けば、前記活性剤と同一である。商業的に容易に入手可能であり、十分に確立された手順に従って本発明の組合せの活性剤に組み込むことができる、同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、および塩素の同位体、例えばそれぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clが含まれる。本発明の組合せの活性剤、そのプロドラッグ、またはそれらのいずれかの薬学的に許容される塩は、上述の同位体の1種または複数を含有し、かつ/またはその他の原子の同位体が、本発明の範囲内にあることが企図される。
【0030】
本発明は、ラセミ体およびラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物、および個々のジアステレオマーとして生じてもよい、1個または複数の不斉炭素原子を含有する上述の任意の化合物の使用を含む。異性体は、鏡像異性体およびジアステレオマーであると定義されるものとする。これらの化合物の全てのそのような異性形態は、本発明に明らかに含まれる。立体形成性の各炭素は、RもしくはS立体配置、または立体配置の組合せにあってもよい。
【0031】
本発明の化合物が、複数の互変異性形態として存在することができる本発明は、全てのそのような互変異性体を使用する方法を含む。
本発明の化合物は、当業者に理解されるように「化学的に安定」であることが企図されるものだけである。例えば、「ダングリング価」を有する可能性のある化合物または「カルバニオン」は、本明細書に開示される本発明の方法によって企図される化合物ではない。
本発明は、式(I)の化合物の、薬学的に許容される誘導体を含む。「薬学的に許容される誘導体」は、任意の薬学的に許容される塩もしくはエステル、または患者に投与した後に本発明に有用な化合物を提供する(直接または間接的に)ことが可能な任意のその他の化合物、またはその薬理学的に活性な代謝産物もしくは薬理学的に活性な残渣を指す。薬理学的に活性な代謝産物は、酵素作用によりまたは化学的に代謝されることが可能な本発明の任意の化合物を意味すると理解されるものとする。これには、例えば、本発明のヒドロキシル化または酸化誘導体化合物が含まれる。
【0032】
薬学的に許容される塩には、薬学的に許容される無機および有機酸および塩基から誘導されたものが含まれる。適切な酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−硫酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−硫酸、およびベンセンスルホン酸が含まれる。シュウ酸などのその他の酸は、それら自体は薬学的に許容されないが、化合物およびその薬学的に許容される酸付加塩を得る際に、中間体として有用な塩の調合物に用いてもよい。適切な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)塩、アンモニウム塩、およびN−(C1−C4)アルキル)4+塩が含まれる。
さらに、本発明の範囲内には、本発明の化合物のプロドラッグの使用がある。プロドラッグには、単純な化学変換によって変性することにより本発明の化合物を生成するような化合物が含まれる。単純な化学変換には、加水分解、酸化、および還元が含まれる。具体的には、プロドラッグが患者に投与された場合、このプロドラッグは、上記にて開示された化合物に変換され、それによって所望の薬理学的効果を発揮してもよい。
【0033】
概略的な合成方法
本発明の化合物は、以下に提示される例と、当業者に公知であり化学文献に報告された方法とによって、調製されてもよい。最適な反応条件および反応時間は、使用される特定の反応物に応じて変えてもよい。他に指示しない限り、溶媒、温度、圧力、およびその他の反応条件が、当業者により容易に選択されてもよい。特定の手順は、合成の例のセクションに提示する。
式−N(R2)(R3)または4〜9員N−複素環の基として本発明の実施形態で開示されたアミン中間体など、本出願に記述される全ての合成中間体は、いずれも市販されており、記述される合成手順に従い調製され、または化学文献に記述される方法を使用して当業者により調製されてもよい。
【0034】
本発明の中間体の調製に利用されるアミド結合形成反応は、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下でのカルボン酸とアミンとの反応など、当技術分野で周知の標準的なカップリング条件(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Bodanszky, M. The Practice of Peptide Synthesis, Springer-Verlag, 1984)によって実施されてもよい。
【0035】
以下に記述される方法は、「中間体の合成」のセクションにおいてかつ「式Iの化合物の合成」のセクションにおいて、式Iの化合物を調製するのに使用されてもよい。下記のスキームにおいて、R基(例えば、R1、R2、およびR3)は、式Iの化合物の詳細な記述で定義された意味を有するものとし、PGは、トリメチルシラニル−エトキシメチル(SEM)などの保護基とする。
【0036】
式Iの化合物は、スキームI〜IIにより調製されてもよい。
スキームI
【化4】
【0037】
スキームIに示されるように、式IIの7−ヒドロキシ−3−キノリンカルボキシアルデヒドを、DMFなどの適切な溶媒中のCs2CO3などの適切な塩基の存在下でかつ140℃などの適切な温度で、5−ブロモ−2−フルオロ−ピリジンIIIaと反応させて、式IVのキノリンを得てもよい。式IVの化合物を、Pd触媒(例えば、Pd(PPh34)、塩基(例えば、Na2CO3)、および脱気溶媒(例えば、EtOHとトルエンの混合物)などの適切なクロスカップリング試薬の存在下、不活性雰囲気(例えば、アルゴン)中で、式Vの適切に保護された(例えば、SEM保護された)1H−ピラゾール−3−イルボロン酸と共に100℃などの適切な温度で加熱して、式VIのアルデヒドを得てもよい。式VIの化合物を、DCMなどの適切な溶媒中のナトリウムトリアセトキシボロハイドライドなどの適切な水素化物試薬の存在下、周囲温度などの適切な温度で、式−N(R2)(R3)のアミンまたは4〜9員N−複素環アミンなどの適切なアミン試薬R1と反応させて、式VIIの化合物を得てもよい。式VIIの化合物は、DCMなどの適切な溶媒中で適切な試薬(例えば、SEM脱保護用TFA試薬)を使用して、周囲温度などの適切な温度で脱保護されることにより、式Iの化合物を得てもよい。
【0038】
あるいは、式VIの化合物は、スキームIIに示す概略的手順に従い合成されてもよい。
スキームII
【化5】
【0039】
スキームIIに示されるように、式IIIbの化合物は、Pd触媒(例えば、Pd(PPh34)、塩基(例えば、Na2CO3)、および脱気溶媒(例えば、水とTHFの混合物)などの適切なクロスカップリング試薬の存在下、不活性雰囲気(例えば、アルゴン)中で、式Vの適切に保護された(例えば、SEM保護された)1H−ピラゾール−3−イルボロン酸と共に適切な温度(例えば、76℃)で加熱されることにより、式VIIIのクロロピリジンを得てもよい。式VIIIの化合物を、DMFなどの適切な溶媒中のK2CO3などの適切な塩基の存在下、120℃などの適切な温度で、式IIの7−ヒドロキシ−3−キノリンカルボキシアルデヒドと反応させることにより、式VIのアルデヒドを得てもよい。式VIの化合物は、スキームIに記述された概略的な実験手順に従い、式Iの化合物に変換されてもよい。
【実施例】
【0040】
概略的方法:他に示さない限り、全ての反応は周囲温度(約25℃)で、不活性雰囲気(例えば、アルゴン、N2)中で、かつ無水条件下で実行される。全ての化合物は、以下の方法:1H NMR、HPLC、HPLC−MS、および融点の少なくとも1つによって特徴付けられる。
典型的には、反応の進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC:thin layer chromatography)またはHPLC−MSによってモニターされる。中間体および生成物は、以下の方法の少なくとも1つを使用して精製される:
シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー、
再結晶、
キラルHPLC、20×500mm Chiralpak AD−Hカラム、または20×500mm Chiralpak OD−Hカラムを使用、イソプロパノールをヘプタンに加えたものに0.1%ジエチルアミン(DEA:diethylamine)を加えた定組成混合物で、7.5mL/分で溶出、
20×250mm Chiralcel OD−Hカラム、およびイソプロパノールをヘプタンに加えた定組成混合物で、7.5mL/分で溶出、
超臨界流体(SCF:Super Critical Fluid)キラルHPLC、3.0×25.0cm RegisPackカラム使用、MeOH、イソプロピルアミン(IPA:isopropylamine)、および超臨界二酸化炭素で、125bar:80mL/分で溶出、および/または
逆相HPLC、C18半分取カラム使用、MeCN+0.1%TFA/H2O+0.1%TFA、またはMeCN+0.1%ギ酸/H2O+0.1%ギ酸のグラジエントで溶出。
【0041】
報告されたMSデータは、観察された[M+H]+に関するものである。臭素含有化合物の場合、[M+H]+は、臭素同位体(即ち、79Brおよび81Br)の一方または両方に関してどちらか報告される。
【0042】
本発明の化合物は、エレクトロンスプレーイオン化法(ESI:electron spray ionization)によりLC/MS/MSを使用して特徴付けられる。LC法は、以下のパラメーターを含む:
射出体積:5uL
移動相:ギ酸の0.1%水溶液(A)およびギ酸の0.1%アセトニトリル溶液(B)(HPLCグレード)
左右方向温度:35℃
実行時間:4分
カラム:Thermo Scientific、Aquasil C18、50×2.1mm、5μ、部品番号77505−052130、または均等物
LCポンプグラジエント:
【0043】
【表2】
【0044】
中間体の合成
中間体A:7−{5−[2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−ピリジン−2−イルオキシ}−キノリン−3−カルバルデヒド(A)の調製
【化6】
【0045】
A−1(500g、3.59mol)のPOCl3(1.00L、10.8mol)中撹拌溶液に、DMF(1.63L、21.9mol)を0℃で2時間にわたりゆっくり添加する。反応混合物を65℃にゆっくり加熱し、15分間撹拌する。反応温度を120℃に上昇させ、混合物を3時間撹拌する。混合物をゆっくり0℃に冷却する。メタノール(2.0L)および48%テトラフルオロホウ酸水溶液(1.31L、7.19mol)を、混合物に30〜40分間かけて添加する。イソプロピルアルコール(2.0L)を0℃の混合物に添加し、得られた混合物を0℃で2時間撹拌すると共に反応の進行をTLCによりモニタする。終了後、溶媒7L中の粗製生成物(A−2)を、精製せずに直接次のステップで用いる。
【0046】
先のステップから得たA−2(約800g、2.96mol)の溶液を、A−3(216g、1.97mol)のMeOH(5.0L)中撹拌溶液に、周囲温度で滴加する。反応混合物を80℃に7時間加熱し、周囲温度に冷却し、濃縮する。残留物を水に溶解し、固体NaHCO3でpH7〜8に塩基性化する。得られた沈殿物を濾過し、水で洗浄し、真空乾燥することにより、A−4が得られる。
【0047】
A−4(500.0g、2.88mol)およびA−5(407g、2.30mol)のDMF(5L)中撹拌溶液に、Cs2CO3(1,125g、3.45mol)を、N2雰囲気中、周囲温度で30分間にわたり添加する。反応混合物を140℃で6時間加熱し、周囲温度に冷却し、氷冷水で希釈する。混合物をEtOAc(2×3L)で抽出する。合わせた有機層を、水およびブラインで洗浄する。有機層を無水Na2SO4上で乾燥し、真空濃縮する。粗製生成物を、石油エーテル中30%EtOAcで溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製することにより、A−6が得られる。
【0048】
A−6(100g、304mmol)およびA−7(142g、607mmol)のEtOH(1.6L)およびトルエン(4.0L)の混合物中撹拌溶液に、Na2CO3(79.5g、750mmol)を添加する。反応混合物をアルゴンで1時間パージし、Pd(PPh34(34.6g、29.9mmol)を添加し、得られた混合物をアルゴンでさらに30分間パージし、100℃で一晩加熱する。反応混合物を周囲温度に冷却し、珪藻土に通して濾過し、フィルタパッドをEtOHで洗浄する。濾液を真空濃縮し、水で希釈し、EtOAc(2×1.5L)で抽出する。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し濃縮する。残留物を石油エーテルで粉砕し、濾過する。得られた固体を真空乾燥することにより、標題の生成物(A)が得られる。
【0049】
中間体B:2−ヒドロキシ−1−ピペラジン−1−イル−エタノン(B)の調製
【化7】
【0050】
B−2(15.0g、110mmol)を、B−1(24.2g、110mmol)およびトリエチルアミン(31.7mL、220mmol)のMeCN(300mL)中混合物に、0℃で滴加する。得られた混合物を周囲温度で30分間撹拌し、氷水に注ぎ、EtOAc(200mL)で抽出する。有機層を、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し濃縮することによりB−3が得られ、これを精製せずに次のステップで使用する。
【0051】
B−3(34.0g、106mmol)のジオキサン(100mL)および水(50mL)の混合物中溶液に、LiOH・H2O(11.1g、265mmol)を添加する。混合物を、周囲温度で2時間撹拌し、濃HClで中和し、EtOAc(2×100mL)で抽出する。合わせた有機層を、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し濃縮する。粗製生成物をSiO2中で精製することにより(DCM中0〜75%EtOAcで溶離)、B−4が得られる。B−4(21.5g、77.3mmol)の無水EtOH(250mL)中溶液に、10%Pd/C(8.22g)を添加する。反応混合物を排出し、H2を充填し、H2のバルーン下で一晩撹拌する。24時間後、混合物を排出し、アルゴンでパージし、珪藻土のパッドに通して濾過する。フィルタパッドをEtOHで洗浄し、濾液を濃縮することにより、標題の生成物(B)が得られる。
【0052】
下記の中間体は、中間体Bの合成に関して記述された手順に従い、中間体B−1およびそれらの対応するアシル塩化物試薬から合成する。
【化8】
【0053】
中間体E:2−メトキシ−1−ピペラジン−1−イル−エタノン(E)の調製
【化9】
E−2(100μL、1.25mmol)のMeCN(10mL)中撹拌溶液を、TBTU(400mg、1.25mmol)で処理する。20分後、E−1(0.190g、1.00mmol)を添加し、混合物を終夜撹拌する。反応物を希薄Na2CO3水溶液中に注ぎ、DCMで抽出する(3×5mL)。合わせた抽出物をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮する。残留物をDCMに溶解し、MP−TSOHカートリッジに通し、濃縮することにより、E−3が得られる。
E−3(0.100g、0.380mmol)の1,4−ジオキサン(4mL)中撹拌溶液を、HClの1,4−ジオキサン中溶液(4M、1mL)で処理する。72時間後、反応物を濃縮し、湿潤MeOHに再溶解し、PL−HCO3カートリッジに通し、濃縮することにより、標題の生成物(E)が得られる。
【0054】
中間体F:酢酸(メチル−ピペリジン−4−イル−カルバモイル)−メチルエステル・TFA(F)の調製
【化10】
【0055】
中間体F−2は、中間体B−3の合成に関して記述された手順に従い、中間体F−1(1.00g、4.66mmol)およびB−2(637mg、4.66mmol)から調製する。中間体F−2(1.30g、4.14mmol)に、TFA/DCM(6mL、1:1)の溶液を添加する。混合物を周囲温度で2時間撹拌し、濃縮することにより、粗製の標題生成物(F)が得られ、これを精製せずに次のステップで使用した。
【0056】
中間体G:酢酸((R)−メチル−ピロリジン−3−イル−カルバモイル)−メチルエステル(G)の調製
【化11】
【0057】
G−1(1.00g、4.84mmol)のDCM(5mL)中溶液に、−35℃でDIPEA(2.61mL、14.5mmol)を添加し、その後、B−2(644μL、5.81mmol)を添加する。反応を、1時間にわたり周囲温度まで温め、24時間撹拌する。混合物をEtOAc(125mL)で希釈し、飽和NH4Cl水溶液(100mL)、飽和NaHCO3水溶液(100mL)、およびブライン(40mL)で洗浄する。合わせた有機層をEtOAc(125mL)で抽出する。有機層を貯め、Na2SO4上で乾燥し、濾過し濃縮することによりG−2が得られ、これを精製せずに次のステップで使用する。
【0058】
G−2(1.53g、4.84mmol)のDCM(50mL)中溶液に、1,4−ジオキサン中のHCl(24.7mL、4M、98.8mmol)を
周囲温度で添加する。混合物を周囲温度で24時間撹拌し、真空濃縮し、MeOHおよびDCM(1mL:100mL)の混合物に溶解し、PS−DIEA樹脂(3.5g)で処理し、18時間撹拌する。懸濁液を濾過し、濾液を濃縮することにより標題生成物(G)が得られ、これを精製せずに次のステップで使用する。
【0059】
下記の中間体は、中間体Gの合成に関して記述された手順に従い、それらの対応する出発材料およびB−2から合成される。
【化12】
【0060】
中間体K:1−(3−メチルアミノメチル−アゼチジン−1−イル)−エタノン・HCl(K)の調製
【化13】
【0061】
K−1(7.90g、40.9mmol)およびTEA(11.5mL、82.5mmol)のDCM(125mL)中溶液に、−10℃で、K−2(3.2mL、44mmol)を添加する。得られた混合物を周囲温度に温め、18時間撹拌する。反応混合物を濃縮し、残留物をEtOAc(300mL)に溶解する。有機層を、飽和NaHCO3水溶液(200mL)、飽和NH4Cl水溶液(200mL)、およびブライン(50mL)で抽出し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し濃縮することにより、K−3が得られる。
K−3(8.50g、36.1mmol)のTHF(100mL)中溶液に、0℃で、水素化ナトリウム(油中60%分散液、3.00g、75.0mmol)を添加し、得られた混合物を0℃で1時間撹拌する。ヨードメタン(4.6mL、75mmol)を添加し、混合物を周囲温度で24時間撹拌する。反応混合物を0℃に冷却し、飽和NH4Cl水溶液(300mL)でクエンチし、EtOAc(3×300mL)で抽出する。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し濃縮する。残留物を、DCM中0〜5%MeOHで溶離するフラッシュクロマトグラフィで精製することにより、K−4が得られる。
【0062】
K−4(8.23g、32.9mmol)のDCM(200mL)中撹拌溶液を、HClの1,4−ジオキサン(4M、82.3mL)中溶液で処理する。18時間後、反応混合物を濃縮する。得られた残留物をエーテルで粉砕し、P25中で真空乾燥することにより、標題の生成物(K)が得られる。
【0063】
式Iの化合物の合成
本発明の化合物の調製方法を以下で詳述する。本発明の化合物に関する質量スペクトルデータは、表2に示す。
【0064】
(例1):2−ヒドロキシ−1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノン(1)の調製
【化14】
【0065】
中間体A(44mg、0.099mmol)およびB(21.3mg、0.148mmol)のDCM(2mL)中の撹拌溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(31.3mg、0.148mmol)で処理する。生じる混合物を周囲温度で24時間撹拌する。反応混合物をDCMで希釈し、飽和NaHCO3水溶液でクエンチする。相を分離する。有機相をNa2SO4上で乾燥し、濾過し濃縮することにより粗製1−1が得られ、これを精製せずに次のステップで使用する。
【0066】
中間体1−1(56.9mg)に、TFA/DCM(1mL、1:1)の溶液を添加する。混合物を周囲温度で2時間撹拌し、濃縮する。残留物を、水中(+0.1% TFA)0〜50%MeCNで溶離する逆相HPLCで精製する。所望の生成物を含有する画分を合わせ、濃縮する。残留物をDCMに溶解し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄する。有機層を無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し濃縮することにより、標題の生成物(1)が得られる。
標題生成物(1)は、以下に記述される手順に従い調製されてもよい。
【0067】
2−ヒドロキシ−1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノン(1)の代替の調製
【化15】
【0068】
中間体A(10.0g、22.4mmol)およびB(6.45g、44.8mmol)のDCM(400mL)中混合物を、5時間撹拌する。得られた混合物を5℃まで冷却する。固体ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(9.45g、44.79mmol、200mol%)を5℃で添加し、撹拌混合物を、そのまま23℃にゆっくりと一晩温める。反応をK2CO3水溶液でクエンチする。相を分離し、水層をDCMで抽出する。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し濃縮する。残留物を、EtOAcで溶離しその後にEtOAc中5%MeOHで溶離するシリカゲルで精製することにより、中間体1−1が得られる。
【0069】
中間体1−1(8.11g、14.1mmol)およびイミダゾール(1.25g、18.3mmol)のNMP(50mL)中混合物に、TBDPSCl(4.65g、16.93mmol)を添加する。23℃で1時間後、反応を水でクエンチする。相を分離し、水層をDCMで抽出する。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し濃縮する。残留物を、ヘキサン中50%EtOAcで溶離しその後にEtOAc(+1% TEA)で溶離するシリカゲルで精製することにより、中間体1−2が得られる。
中間体1−2(15.0g、18.5mmol)のTHF(50mL)中撹拌溶液に、23℃でTBAF(1M、27.7mL、27.7mmol)を添加する。30分後、反応を水(200mL)でクエンチする。相を分離し、水層をEtOAcで抽出する。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し濃縮する。残留物を、ヘキサン中50%EtOAcで溶離しその後にEtOAcおよびEtOAc(+1% TEA)中5%MeOHで溶離するシリカゲルで精製することにより、1−1が得られる。
【0070】
中間体1−1(36.0g、62.6mmol)のDCM(360mL)中撹拌溶液に、温度を20℃よりも低く維持しながらTFA(72.4mL、940mmol)を添加する。得られた混合物を23℃で一晩撹拌する。反応混合物を濃縮し、残留物をDCM(720mL)に溶解する。混合物のpHを、NaHCO3の水溶液(720mL)および固体NaHCO3を添加することにより、7.0〜7.5に調整する。次に混合物を、30%NH4OH(35.5g、626mmol)水溶液を添加することによってpH10にする。3時間撹拌した後、混合物を濾過し、固体を、MeOHのDCM中5%溶液で洗浄する。濾液を収集する。相を分離し、水層をDCMで抽出する。合わせた有機層を、水、ブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し濃縮することにより、粗製の標題の生成物(1)が得られる。
【0071】
粗製の標題生成物(1)(14.0g、31.5mmol)およびイミダゾール(5.36g、78.7mmol)のDMF(50mL)中混合物に、TBDPSCl(13.0g、47.2mmol)を添加する。23℃で1時間後、反応を水でクエンチし、1:1 MTBE/EtOAc(200mL)の混合物で抽出する。有機層を水(50mL)で洗浄し、濃縮する。残留物を、EtOAc(+1% TEA)で溶離しその後にEtOAc(+1%TEA)中5%MeOHで溶離するシリカゲルで精製することにより、中間体1−3が得られる。
【0072】
中間体1−3(10.8g、15.7mmol)の2−MeTHF(45mL)中撹拌溶液に、TBAF(7.84mL、7.84mmol)を10℃で添加する。反応物を23℃に温め、30分間撹拌する。混合物にDCM(100mL)および水(45mL)を23℃で添加し、撹拌を1時間継続する。得られた固体を濾過し、DCM(50mL)および水(50mL)の混合物で洗浄することにより、標題生成物(1)の第1の収量分が得られる。濾液を濃縮し、EtOAc(20mL)に再溶解し、23℃で5時間撹拌する。得られた固体を濾過し、EtOAc(10mL)で洗浄することにより、標題生成物(1)の第2の収量分が得られる。
【0073】
(例2):1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノン(2)の調製
【化16】
【0074】
中間体A(3.00g、6.72mmol)および2−1(3.44g、26.8mmol)のDCM(100mL)中撹拌溶液を、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(2.85g、13.4mmol)で処理する。得られた混合物を周囲温度で24時間撹拌する。有機層を飽和NaHCO3水溶液でクエンチする。相を分離し、有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し濃縮する。残留物を、フラッシュクロマトグラフィ(100%EtOAcで溶離しその後にDCM中0〜7%MeOHで溶離する。)で精製することにより、中間体2−2が得られる。MS(ES+):m/z 559.8 [M+H]+
【0075】
2−2(3.50g、6.26mmol)に、TFA/DCM(50mL、1:1)の溶液を添加する。混合物を、周囲温度で3時間撹拌し、濃縮する。得られた残留物をDCM(100mL)に溶解し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィ(DCM中0〜10%MeOHで溶離)で精製することにより、固体が得られ、これを無水EtOH中で再結晶させることにより、標題の生成物(2)が得られる。
【0076】
(例14):1−(4−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−プロパン−1−オン(14)の調製
【化17】
【0077】
中間体A(8.00g、17.9mmol)、14−1(6.40g、35.8mmol)、およびトリエチルアミン(5.00mL、35.7mmol)の、DCM(250mL)中撹拌溶液に、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(6.00g、28.3mmol)を添加する。得られた混合物を周囲温度で16時間撹拌する。混合物をDCM(75mL)で希釈し、飽和NaHCO3水溶液で抽出する。有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィ(DCM中0〜10%MeOHで溶離)で精製することにより、中間体14−2が得られる。
【0078】
14−2(5.00g、10.5mmol)のDCM(20mL)中溶液に、TFA(20mL)を添加する。混合物を周囲温度で2時間撹拌し、濃縮する。得られた残留物をDCM(100mL)に溶解し、飽和NaHCO3水溶液(100mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し濃縮する。残留物を、DCM中0〜10%MeOH(+0.5% NH4OH)の勾配で溶離するフラッシュクロマトグラフィで精製することにより、固体が得られ、これをMeCNで粉砕することにより、標題の生成物(14)が得られる。
【0079】
(例15):2−ヒドロキシ−N−メチル−N−(1−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−ピペリジン−4−イル)−アセトアミド(15)の調製
【化18】
【0080】
中間体15−1は、中間体14−2の合成に関して例14で記述された手順に従い、中間体A(100mg、0.224mmol)およびF(134mg、0.448mmol)から合成される。
【0081】
15−1(150mg、0.233mmol)のジオキサン(2mL)および水(1mL)の混合物中溶液に、LiOH・H2O(19.5mg、0.465mmol)を添加する。混合物を周囲温度で1時間撹拌し、濃HClで中和し、DCMおよび水で希釈する。有機層を、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し濃縮する。得られた残留物(粗製15−2)を、TFA/DCM(2mL、1:1)の溶液で処理する。混合物を、周囲温度で2時間撹拌し、濃縮する。残留物を、0〜50%MeCN/水(+0.1%TFA)で溶離する逆相HPLCで精製する。所望の生成物を含む画分を合わせ、濃縮する。残留物を、DCMに溶解し、飽和NaHCO3水で洗浄する。有機相を、Na2SO4上で乾燥し、濾過、濃縮して、標題生成物(15)を得る。
【0082】
下記の例は、例15の合成に関する上述の手順に従い、中間体Aおよび適切なアミン試薬(中間体GからJまで)を使用して合成される。
【化19】
【0083】
(例16):1−{3−[(メチル−{7−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−キノリン−3−イルメチル}−アミノ)−メチル]−アゼチジン−1−イル}−エタノン(16)の調製
【化20】
【0084】
中間体A(100.0mg、0.224mmol)、K(80mg、0.448mmol)、およびTEA(62.8μL、0.448mmol)のDCM(2mL)中溶液を、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(94.9mg、0.448mmol)で処理する。得られた混合物を、周囲温度で24時間撹拌し、濃縮する。残留物を、水中(+0.1% TFA)0〜70%MeCNで溶離する逆相HPLCで精製することにより、中間体16−1が得られる。
【0085】
16−1(125mg、0.218mmol)に、TFA/DCM(2mL、1:1)の溶液を添加する。混合物を2時間撹拌し、濃縮する。残留物を、水中(+0.1% TFA)0〜65%MeCNで溶離する逆相HPLCで精製する。所望の生成物を含む画分を合わせ、濃縮する。残留物をDCMに溶解し、飽和NaHCO3水で洗浄する。有機層を、Na2SO4上で乾燥し、濾過、濃縮して、標題生成物(16)を得る。
【0086】
次の例は、中間体Aおよび適切なアミン試薬(遊離塩基または塩形態)を使用して、例16の合成についで前に記載した手順により合成される。一般に、アミン塩を利用する合成の場合、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムの添加に先立って、当量のトリエチルアミンが添加される。
【化21】

【0087】
【表3】
【0088】
生物学的性質の評価
本発明の化合物に関し、アルギニル−アミノメチルクマリン(Arg−AMC:arginyl−aminomethylcoumarin)のペプチド結合を酵素が切断できるか否かを測定する酵素アッセイにおいて、ヒトLTA4ヒドロラーゼと相互に作用できるか否かを評価する。LTA4H酵素(1nM最終)、Arg−AMC基質(50μM最終)、および化合物を、室温で1時間、反応緩衝液(50mM Tris−HCl(pH7.5)、100mM KCl、0.5%ウシ血清アルブミン)中で合わせる。生成物の形成を、アミノメチルクマリン生成物の蛍光を測定することによって評価する(励起波長380nm/発光波長460nm)。一般に、LTA4H酵素アッセイにおける化合物の好ましい効力範囲(IC50)は0.1nM〜10μMであり、より好ましい効力範囲は0.1nM〜0.1μMであり、最も好ましい効力範囲は0.1nM〜10nMである。
【0089】
【表4】
【0090】
本発明の化合物を、ヒト全血(HWB:human whole blood)アッセイでさらに試験して、細胞系内でLTB4の合成を阻害するか否かを決定する。化合物を、ヘパリン添加ヒト全血と合わせ、37℃で15分間インキュベートする。次いでカルシマイシン(20μM最終、リン酸緩衝生理食塩液中で調製されたもの、pH7.4)を添加し、混合物をさらに30分間、37℃でインキュベートする。サンプルを5分間、低速(1500×g)で遠心分離し、血漿層を除去する。次いで血漿LTB4濃度を、抗体に基づいた均質時間分解蛍光法(CisBio、Bedford、MA)を使用して測定する。一般に、HWBアッセイにおける化合物の好ましい効力範囲(IC50)は10nM〜10μMであり、より好ましい効力範囲は10nM〜1μMであり、最も好ましい効力範囲は10nM〜100nMである。WHBアッセイにおける本発明の代表的な化合物の効力を、表4に示す。
【0091】
【表5】
【0092】
使用方法
本発明の化合物は、ロイコトリエンA4ヒドロラーゼ(LTA4H:leukotriene A4 hydrolase)の有効な阻害剤であり、したがって、ロイコトリエンの生成を阻害する。したがって、本発明の一実施形態では、本発明の化合物を使用してロイコトリエン媒介性障害を治療する方法が提供される。別の実施形態では、心臓血管、炎症性、アレルギー性、肺、および線維性疾患、腎疾患と、癌を、本発明の化合物を使用して治療する方法が提供される。
【0093】
一実施形態では、本発明は、ロイコトリエン媒介性障害を治療するための薬剤として使用される、本発明の化合物に関する。別の実施形態では、本発明は、心臓血管、炎症性、アレルギー性、肺、および線維性疾患、腎疾患と、癌を治療する方法で使用される、本発明の化合物に関する。
一実施形態では、本発明は、ロイコトリエン媒介性障害を治療するための薬剤の調製に使用される本発明の化合物の使用に関する。別の実施形態では、本発明は、心臓血管、炎症性、アレルギー性、肺、および線維性疾患、腎疾患と、癌を治療する薬剤を調製するための、本発明の化合物の使用に関する。
一実施形態では、本発明は、ロイコトリエン媒介性障害を治療するための薬剤として使用される、本発明の化合物に関する。別の実施形態では、本発明は、心臓血管、炎症性、アレルギー性、肺、および線維性疾患、腎疾患と、癌を治療する方法で使用される、本発明の化合物に関する。
【0094】
理論に拘泥するものではないが、LTA4Hの活性を阻害することによって、本発明の化合物は、5−LOによるアラキドン酸の酸化とその後に続く代謝から得られるLTB4の生成を遮断する。したがって、LTA4H活性の阻害は、LTB4により媒介される様々な疾患を予防し治療するための魅力ある手段である。これらの疾患には、下記のものが含まれる:
アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、卒中、大動脈瘤、鎌状赤血球クリーゼ、虚血再潅流障害、肺動脈高血圧症、および敗血症を含めた心臓血管疾患;
喘息、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、アトピー性皮膚炎、および蕁麻疹を含めたアレルギー性疾患;
喘息における気道リモデリング、特発性肺線維症、強皮症、アスベスト症を含めた線維性疾患;
成人性呼吸促迫症候群、ウイルス性細気管支炎、閉塞性睡眠時無呼吸、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、および気管支肺異形成症を含めた肺症候群;
リウマチ様関節炎、変形性関節症、痛風、糸球体腎炎、間質性膀胱炎、乾癬、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、移植拒絶、炎症性アレルギー性眼疾患、アトピー性皮膚炎、アレルギー、喘息、自己免疫疾患、クローン病、嚢胞性線維症、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、潰瘍性大腸炎、および脂肪性肝炎を含む炎症性疾患;
充実性腫瘍、白血病、およびリンパ腫を含めた癌と;糸球体腎炎などの腎疾患。
【0095】
上述の疾患および状態の治療では、療法上有効な用量は、一般に、本発明の化合物の投薬量当たり、約0.01mg〜約100mg/kg体重になり;好ましくは、投薬量当たり、約0.1mg〜約20mg/kg体重である。例えば、70kgの人物に投与する場合、投薬量範囲は、本発明の化合物の投薬量当たり約0.7mg〜約7000mgであると考えられ、好ましくは、投薬量当たり約7.0mg〜約1400mgである。最適な投薬レベルおよびパターンを決定するために、ある程度の定期的な用量最適化が必要と考えられる。活性成分は、1日に1〜6回投与されてもよい。
【0096】
概略的な投与および医薬組成物
医薬品として使用される場合、本発明の化合物は、典型的には医薬組成物の形で投与される。そのような組成物は、医薬品の分野で周知の手順を使用して調製することができ、少なくとも1種の本発明の化合物を含むことができる。本発明の化合物は、単独で投与されてもよく、または本発明の化合物の安定性を高め、ある実施形態でそれらを含有する医薬組成物の投与を容易にし、溶解または分散を増大させ、拮抗活性を増大させ、補助療法を提供するような、アジュバントと組み合わせて投与されてもよい。本発明による化合物は、それのみで使用されてもよく、または本発明によるその他の活性物質と併せて使用されてもよく、その他の薬理学的に活性な物質と併せて使用されてもよい。一般に、本発明の化合物は、療法上または薬学的に有効な量で投与されるが、診断またはその他の目的ではより低い量で投与されてもよい。
【0097】
純粋な形でのまたは適切な医薬組成物としての本発明の化合物の投与は、医薬組成物の許容される投与形態のいずれかを使用して実施することができる。したがって、投与は、例えば経口、頬側(例えば、舌下)、経鼻、非経口、局所、経皮、経膣、または経直腸的に、固体、半固体、凍結乾燥粉末、または液体剤形、例えば錠剤、座薬、丸薬、軟質弾性および硬質ゼラチンカプセル、粉末、溶液、懸濁液、またはエアロゾルなどの形で、好ましくは精密な投薬量を簡単に投与するのに適切な単位剤形で行うことができる。医薬組成物は、一般に、従来の医薬担体または賦形剤、および活性剤としての本発明の化合物を含むことになり、さらに、その他の薬剤、医薬、担体、アジュバント、希釈剤、ビヒクル、またはこれらの組合せを含んでいてもよい。そのような薬学的に許容される賦形剤、担体、または添加剤、および様々な形態もしくは投与のための医薬組成物を作製する方法は、当業者に周知である。現況技術は、例えば、現況技術をより良く記述するためにそのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれるRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, A. Gennaro (ed.), Lippincott Williams & Wilkins, 2000; Handbook of Pharmaceutical Additives, Michael & Irene Ash (eds.), Gower, 1995; Handbook of Pharmaceutical Excipients, A.H. Kibbe (ed.), American Pharmaceutical Ass’n, 2000; H.C. Ansel and N.G. Popovish, Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 5th ed., Lea and Febiger, 1990によって明らかにされる。
【0098】
併用療法
本発明の化合物は、単独で、または少なくとも1種の追加の活性剤と組み合わせて投与されてもよい。したがって一実施形態では、本発明は、1種または複数の本発明の化合物を少なくとも1種の追加の薬剤と組み合わせて含む、医薬組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、LTB4によって媒介された疾患を治療する方法であって、療法上有効な量の1種または複数の本発明の化合物を、薬学的に有効な量の少なくとも1種の追加の薬剤と組み合わせて投与するステップを含む方法に関する。
【0099】
追加の活性剤の非限定的な例には、スタチン(またはHMG−CoAレダクターゼ阻害剤);コレステロールエステル転送タンパク質(CETP:cholesterol ester transfer protein)阻害剤(またはアンタゴニスト);フィブラート、ナイアシン誘導体、Lp−PLA2−阻害剤(例えば、ダラプラジブ、バレスプラジブ)、抗血小板、および抗凝固剤が含まれる。
一実施形態では、追加の活性剤がスタチンである。別の実施形態では、追加の活性剤は、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、およびシムバスタチンからなる群から選択されるスタチンである。
【0100】
一実施形態では、追加の活性剤がCETP阻害剤である。別の実施形態では、追加の活性剤は、アナセトラピブ、ダルセトラピブ、エバセトラピブ、TA−8995(田辺三菱製薬)、ATH−03(Affris)、DRL−17822(Dr.Reddy)からなる群から選択されるCETP阻害剤である。さらに別の実施形態では、追加の活性物は、ダルセトラピブおよびアナセトラピブからなる群から選択される。
【0101】
当業者なら予測できるように、特定の医薬製剤に利用される本発明の化合物の形は、製剤を効き目のあるものにするのに必要な、適切な物理特性(例えば、水溶性)を保有するもの(例えば、塩)が選択されることになる。
【0102】
当業者なら予測できるように、特定の医薬製剤に利用される本発明の化合物の形は、製剤を効き目のあるものにするのに必要な、適切な物理特性(例えば、水溶性)を保有するもの(例えば、塩)が選択されることになる。