(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
核爆発時に瞬間的に放出される多量のエネルギーを目的とするところによって徐々に放出されるよう調整することにより、核エネルギーを実生活に活用することができ、原子力発電では、これを利用して熱エネルギーを動力として使用する。
【0003】
原子力発電に使用されている原子炉は、連鎖核分裂反応の結果、瞬間的に放出される多量の質量欠損エネルギーが放出されるように連鎖反応を制御して核分裂で発生する熱エネルギーを動力として用いるようにする装置である。通常の火力炉では物質の燃焼熱を利用するのに対し、原子炉は核分裂反応の結果発生する質量欠損エネルギーを利用するところに差異がある。ところが、このような原子炉内で核分裂が起こると、多量のエネルギーが放出されるのと同時に、放射線が発生する。前記放射線には、アルファ線、ベータ線、X線、ガンマ線、中性子などがあり、環境によって複合的に存在するようになる。
【0004】
アルファ線は、ヘリウム原子(He)から電子2個が離れ、残ったヘリウム原子核が非常に速く流れる放射線である。アルファ線は波長が長く、他の物質との反応性が高いため、物質中の原子や分子を壊すイオン化作用である電離、フィルムのような感光紙と化学反応を起こす現象である感光、蛍光物質と反応して光を出す現象である蛍光作用がよく起こりますが、透過力は非常に弱く、紙一枚も穴を開けられない。また、アルファ線は、他の物質との良好な反応性によって、植物の遺伝子操作、生長促進及び抑制などに多く使用される。
【0005】
ベータ線は、電子の非常に速い流れの放射線でアルファ線に比べて波長が長い。したがって電離、感光、蛍光作用はあまり起きず、透過力はもう少し高くなり、紙やプラスチック程度は貫通することができますが、薄くても鉄板は貫通できない。したがって、ベータ線は、適切な透過力により、プラスチックの厚さを測定するのに使用される。
【0006】
X線は、レントゲンが陰極線を金属に晒す実験をしていて偶然に発見した放射線で、ガンマ線より弱いが、高い透過力を有している。 X線は医学に非常に効率的に使用されているだけでなく、物理学、生物学、化学などで多様に使用される。
【0007】
ガンマ線は、粒子ではなく電磁波に該当する放射線である。したがって、ガンマ線は、他の物質との反応作用が非常に落ちる代わりに透過力が高く、ある程度薄い金属は容易に貫通することができる。ガンマ線は、30cm以上の鉛や1m以上のコンクリートの壁以上になれば透過できない。また、ガンマ線は、良い透過力により、産業用や医療の分野で主に使用されている。特にガンマ線は非破壊検査、金属の厚みの測定、物質の不純物含有量検査、がん患者の放射線治療などに利用されている。
【0008】
中性子は、素粒子の一つである。陽子と共に原子核の構成要素として、陽子とほぼ同じ質量を有している、電気を帯びないで中性を維持する。また、中性子は物質に対する透過力が大きく、原子核の破壊に用いられる。
【0009】
一般的な単一の放射線センサは、単一の放射線だけを測定するようになっており、異種の放射線を測定しようとするときは、異種の放射線センサーを使用しなければならない不便さがある。また、互いに異なるセンサーが搭載された計測器を形成するのにも必要経費が相当である。放射線センサは、気体型、閃光体型、半導体型があり、それぞれのセンサーによる電子回路も異なって構成されなければならないという欠点がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施態様を添付の図を参照して、詳細に説明する。まず、各図の構成要素に参照符号を付加するにおいて、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図に表示されていても、可能な限り同一の符号を有するようにしていることに留意する必要がある。また、本発明を説明するにあたり、関連した公知の構成または機能に対する具体的な説明が当業者に自明であったり、本発明の要旨を曖昧にし得ると判断される場合には、その詳細な説明は省略することができる。
【0017】
図1は、本発明の一実施態様による異種放射線測定センサーの上面を説明するための斜視図であり、
図2は、本発明の一実施態様による異種放射線測定センサーの下面を説明するための斜視図である。
【0018】
図1及び
図2を参照すると、異種放射線測定センサー1は、異種の放射線を測定することができる。異種放射線測定センサー1は、異種の放射線を測定する互いに異なる種類のセンサーを少なくとも2つ以上形成することができる。異種放射線測定センサー1は、アルファ線、ベータ線、X線、ガンマ線および中性子のうち少なくとも一つの放射線を測定することができる。
【0019】
異種放射線測定センサー1は、X線またはガンマ線を検出する第1検出膜、アルファ線やベータ線を検出する第2検出膜、中性子を検出する第3検出膜および、放射線を検出しない基準膜が形成され得る。前記第1の検出膜、第2の検出膜、第3の検出膜および基準膜は、半導体基板10の上面に形成することができる。
【0020】
半導体基板10は、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウム砒素(GaAs)、カドミウムテルル(CdTe)、カドミウム亜鉛テルル(CdZnTe)、ヨウ化第2水銀(HgI2)、IV族半導体、II-IV族半導体およびIII-IV族半導体のいずれか一つの半導体を含むことができる。
【0021】
半導体基板10の上面は、複数の上部電極を形成することができる。一実施態様として、前記上部電極は4つであり得る。上部電極は、第1上部電極110、第2上部電極120、第3上部電極130及び第4上部電極140のうちの少なくとも二つの上部電極を含むことができる。
【0022】
第1上部電極110、第2上部電極120、第3上部電極130及び第4上部電極140は、金(Au)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)および銅(Cu)のうちの少なくとも一つであり得る。また、第1上部電極110、第2上部電極120、第3上部電極130及び第4上部電極140の厚さは、数百から数千Aであり得る。
【0023】
図2の(a)は、異種放射線測定センサー1の下部電極が一つである場合の一実施態様であり、
図2(b)は、異種放射線測定センサー1の下部電極が複数の場合のまた他の実施態様である。半導体基板10の下面は、一つの下部電極または複数の下部電極が形成され得る。
【0024】
一つの下部電極200は、第1上部電極110、第2上部電極120、第3上部電極130及び第4上部電極140と対応することができる。特に、下部電極200は、複数の下部電極が形成される工程より容易であり得、工程数が減り、コスト削減をすることができる。
【0025】
複数の下部電極210、220、230、240は、上面の複数の上部電極に対応するように形成することができる。つまり、複数の下部電極210、220、230、240は、第1上部電極110に対応する第1下部電極210、第2上部電極120に対応する第2下部電極220、第3上部電極130に対応する第3下部電極230及び第4上部電極140に対応する第4下部電極240を形成することができる。
【0026】
複数の下部電極210、220、230、240は、一つの下部電極200よりもメンテナンスが容易であり得る。複数の下部電極210、220、230、240は、それぞれの上部電極と1対1の対応をするため、一つの下部電極に問題が生じたとしても、残りの下部電極は動作することができる。
【0027】
下部電極は、金(Au)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)のうちの少なくとも一つであり得る。また、下部電極の厚さは数百から数千Aであり得る。
【0028】
前記下部電極と前記上部電極は、半導体の種類に応じて、ピン型(PIN type)またはショートキー型(Schottky type)に電極を形成することができる。前記下部電極と前記上部電極は、プリント配線基板(Printed Circuit Board,PCB)またはセラミック系基板にボンディングすることができる部分であり得る。
【0029】
第1上部電極110の上面は、閃光体112の単結晶または閃光体112が形成され得る。前記閃光体112は、CsIITl、CWO、LaBr3、NaI(Tl)及びCeBrのいずれかの物質であり得る。また、前記形成された閃光体の表面は、光反射溶液(Reflective solution)、テフロン(Teflon)(登録商標)とアルミホイル(Al foil)のいずれかの薄い反射膜(未図示)で形成することができる。
【0030】
第3上部電極130の上面は、中性子反応物質132を形成することができる。前記中性子反応物質132は、
6Li、
10BおよびGdのいずれか一つの物質であり得る。中性子反応物質132は、カプセル化にするために、金属電極134が薄く形成され得る。
【0031】
第4上部電極140の上面は、原子番号の高い金属物質が形成されて遮蔽(shielding)され得る。前記金属物質は、半導体基板10で検出することができる放射線を十分に遮蔽することができる。特に、前記の放射線は、X線やガンマ線であり得る。
【0032】
前記原子番号の高い金属材料は、Pb
+、Cu
+、PbおよびCuのいずれか一つの金属薄膜が形成された遮蔽膜を含むことができる。
【0033】
第1検出膜は、X線およびガンマ線のうちの少なくともいずれか一つを検出することができる。第1検出膜は、閃光体112および反射膜を含むことができる。第1検出膜は、X線またはガンマ線が閃光体112に投射されて発生する閃光量を検出することができる。前記検出された閃光量は、電子回路を介して電気的信号に変換することができる。
【0034】
前記反射膜は、閃光体112で発生した閃光量を最大限に集中させるために閃光体112の周囲に形成することができる。これにより、第1検出膜の閃光量を最大限に吸収することができる。
【0035】
第2検出膜は、アルファ線とベータ線のうち少なくともいずれか一つを検出することができる。第2検出膜は、どのような物質も形成されないことがあり得る。つまり、第2検出膜が第2上部電極であり得まる。アルファ線は、ヘリウム原子核で構成されていて質量が大きく容易に吸収されるが、空気中では遠くに移動できないため、衣服や紙一枚でもブロックが可能である。ベータ線は、電子で構成されているので、アルファ線より遠くまで届くが、1.3メートル厚の空気や1.5センチ厚の水、数ミリ程度の固体でも遮断される。つまり、アルファ線とベータ線は、エネルギーの差が大きい。第2検出膜は、前記の性質を利用して、アルファ線とベータ線を区別することができる。第2検出膜は、アルファ線とベータ線のいずれか一つの放射線が第2上部電極110を投射しながら発生する透過率を測定することができる。前記測定された透過率は、電子回路を介して電気的信号に変換することができる。
【0036】
第3検出膜は、中性子を検出することができる。第3検出膜は、中性子反応物質132および金属電極134を含むことができる。第3検出膜は、中性子が中性子反応物質132に投射されて発生する化学反応の量を測定することができる。第3検出膜で測定された化学反応の量は、電子回路を介して電気的信号に変換することができる。
【0037】
基準膜は、すべての種類の放射線と反応しないことがあり得る。基準膜は、金属薄膜142を含むことができる。基準膜は、放射線を投射しても反応しないので、基準(reference)の役割をすることができる。また、基準膜は、ノイズをチェックすることができるので、感度(sensitivity)を向上させることができる。つまり、基準膜は、基準膜自体のノイズレベルを知っていれば、第1〜第3検出膜のノイズレベルを同時に知ることができる。したがって、基準膜は、放射線と反応した第1〜第3検出膜のノイズレベルを知ることができる。それにより、放射線と反応した第1〜第3検出膜の信号と区別することができるので、感度を向上させることができる。
【0038】
特に、異種放射線測定センサー1は、半導体基板10の上面に上部電極がn×n個形成されて、n×n個の上部電極上に、それぞれ異なる物質と反応する検出膜を形成することができる。
【0039】
図3は、本発明の一実施態様による異種放射線測定センサーと電子回路の接続を説明するための図である。
【0040】
図3を参照すると、
図3の(a)は、一実施態様で異種放射線測定センサーと電子回路の接続関係を説明する図であり、
図3の(b)は、また他の実施態様で異種放射線測定センサーと電子回路の接続関係を説明する図である。
【0041】
異種放射線測定センサー1の下部電極は、同種の電子回路に電気的に接続することができる。前記電子回路は、プリアンプ(preamplifier)、アンプ(amplifier)、アナログデジタル変換器(Analog-Digital Converter、ADC)、マイクロチャネル構造(Micro Channel Architecture)とカウンター(counter)を含むことができる。
【0042】
図3の(a)は、異種放射線測定センサー1の検出膜ごとにそれぞれの電子素子と電気的に接続されたことを示している。異種放射線測定センサー1は、異種の放射線を測定することができる。前記測定された異種の放射線は、微細信号であり得る。プリアンプは、測定された信号を増幅してノイズの混入(mixing)または信号対雑音比の低下を防止することができる。アンプは、前記増幅された信号を再び増幅することができる。ADCは、前記増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換して、異種の放射線エネルギースペクトルを測定することができる。特に、カウンターは、異種の放射線の量に対するデータを測定することができる。コンピュータは、デジタル信号に変換されたデータをもとに制御することができ、前記制御された結果をディスプレイすることができる。前記ディスプレイは、モニター、液晶及びプロジェクターのいずれかの装置であり得る。
【0043】
図3の(b)は、異種放射線測定センサー1のそれぞれの検出膜が1つの電子素子と電気的に接続されたことを示している。前記1つの電子素子は、プリアンプとアンプが一つのチップにされたオンデマンド半導体(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)であり得る。これにより、
図3の(b)は、
図3の(a)よりも簡単な電子回路構造を有することができ、体積を減らすことができる。
【0044】
図4は、本発明の一実施態様による半導体基板に形成されガード電極を説明するための斜視図である。
【0045】
図4を参照すると、
図4の(a)は、半導体基板10の上面に形成されたガード電極(Guard electrode)410を示す斜視図であり、
図4の(b)は、半導体基板10の下面に形成されたガード電極420を示す斜視図である。
【0046】
半導体基板10は、上部電極および下部電極の各パターンの間にガード電極410、420を形成することができる。前記ガード電極は、電位差を有するすべての金属間に全方向に生成される電界をある程度防いで、少なくともセンサとして使用される電極に対しては、電界を所望の形態に形成するために作成される一種のダミー電極である。
【0047】
半導体基板10は、ガード電極410を用いて、上面の各上部電極のリーク電流を防ぐことができる。半導体基板10は、ガード電極420を用いて、下面の各下部電極のリーク電流を防ぐことができる。また、半導体基板10は、ガード電極410にセンサーの電圧よりも低い電圧を印加して電極間のクロストーク(cross-talk)を防ぐことができる。
【0048】
図5は、本発明の一実施態様による異種放射線測定センサーの配列を説明するための斜視図である。
【0049】
図5を参照すると、異種放射線測定センサー1は、多重配列をすることができる。
【0050】
多重の放射線測定センサー1は、碁盤状に多重の配列をすることができる。多重の放射線測定センサー1は、多重の配列によって、単一の配列よりも放射線測定の感度を高めることができる。多重の放射線測定センサー1は、放射線画像を表示するために、多重の配列をすることができる。
【0051】
多重配列された多重の放射線測定センサー1は、様々な方向の放射線を受信することができる。多重配列された多重の放射線測定センサー1で受信された放射線は、単一の映像イメージに変換することができる。したがって、多重配列された多重の放射線測定センサー1は、一つの多重放射線測定センサー1で測定される放射線よりも広い範囲を測定することができる。また、多重配列された多重の放射線測定センサー1は、一つの多重放射線測定センサー1よりも正確で、測定感度を高くし得る。特に、前記多重の放射線測定センサー1の多重配列は、n×nの配列で形成することができる。
【0052】
図6は、本発明の一実施態様による異種放射線測定センサーを製造する方法を説明するためのフローチャートである。
【0053】
図6を参照すると、異種放射線測定センサー1は、異種の放射線を測定することができる。異種放射線測定センサー1は、アルファ線、ベータ線、X線、ガンマ線、および中性子のいずれか一つの放射線を測定することができる。異種放射線測定センサー1を製造する方法は、大きく4つの工程に分けることができる。
【0054】
第1工程は、半導体基板10を準備する(S100)。前記半導体基板は、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウム砒素(GaAs)、カドミウムテルル(CdTe)、カドミウム亜鉛テルル(CdZnTe)、ヨウ化第2水銀(HgI2)、IV族半導体、II-IV半導体およびIII-IV族半導体のいずれかの半導体で構成することができる。
【0055】
第2工程は、下部電極を形成する(S110)。第2工程は、半導体基板10の場合、少なくとも1つの下部電極を形成することができる。前記下部電極は、金(Au)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)のうち少なくとも一つであり得、厚さは数百から数千Aであり得る。また、前記下部電極は、第1下部電極210、第2下部電極220、第3下部電極230及び第4下部電極240を含むことができる。
【0056】
第3工程は、上部電極を形成する(S120)。第3工程は、半導体基板10の上面に複数の上部電極を形成することができる。前記上部電極は、前記下部電極と電気的に接続することができる。前記上部電極は、金(Au)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)のうち少なくとも一つであり得、厚さは数百から数千Aであり得る。また、前記上部電極は、第1上部電極110、第2上部電極120、第3上部電極130及び第4上部電極140を含むことができる。
【0057】
前記第2工程及び第3工程は、製造工程に応じて互いに入れ替えることができる。つまり、上部電極を第2工程で形成し、下部電極を第3工程で形成することができる。
【0058】
第4工程は、検出膜を形成する(S130)。第4工程は、それぞれの上部電極にX線またはガンマ線を検出する第1検出膜、アルファ線またはベータ線を検出する第2検出膜、中性子を検出する第3検出膜と、放射線を検出しない基準膜を形成することができる。
【0059】
以上で、本発明の好ましい実施態様に対して図示して説明したが、本発明は、上述した特定の好ましい実施態様に限定されず、請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、誰でも様々な変形実施が可能なのはもちろんのこと、そのような変更は、請求の範囲に記載の範囲内になる。