特許第6353903号(P6353903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6353903唐辛子味噌の製造方法及びその製造方法により製造された唐辛子味噌
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353903
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】唐辛子味噌の製造方法及びその製造方法により製造された唐辛子味噌
(51)【国際特許分類】
   A23L 11/20 20160101AFI20180625BHJP
   C12N 1/14 20060101ALN20180625BHJP
【FI】
   A23L11/20 109
   !C12N1/14 A
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-530223(P2016-530223)
(86)(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公表番号】特表2016-536994(P2016-536994A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】KR2014011551
(87)【国際公開番号】WO2015080514
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2016年5月12日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0147561
(32)【優先日】2013年11月29日
(33)【優先権主張国】KR
【微生物の受託番号】KCCM  KCCM11302P
(73)【特許権者】
【識別番号】502172696
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100152319
【弁理士】
【氏名又は名称】曽我 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ユン セオク
(72)【発明者】
【氏名】オー,セオン ミ
(72)【発明者】
【氏名】パーク,ミン キュン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヒェ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ヒュン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リム,スン ファン
(72)【発明者】
【氏名】チョ,スン エー
【審査官】 小倉 梢
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2008−0000427(KR,A)
【文献】 Jour. Agri. Sci.,1997年,Vol. 24, No. 2,p. 283-289
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 11/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小麦粉原料に加水して蒸煮させる蒸煮ステップと、
前記蒸煮された小麦粉にアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillusoryzae)CJ KY(KCCM11302P)を接種及び培養して小麦粉麹を作る製麹ステップと、
前記小麦粉麹に食塩又は塩水を添加し、ここに蒸煮された小麦粉、蒸煮された小麦の穀粒、蒸煮された大豆、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上を混合した1次混合物を熟成させる1次熟成ステップと、
前記熟成された1次混合物に唐辛子粉を添加し、澱粉糖、しょうゆ、塩、香辛料加工品、香味増進剤、穀物加工品、豆類加工品、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上を混合した2次混合物を殺菌・熟成させる2次熟成ステップと、
を含む唐辛子味噌の製造方法。
【請求項2】
前記蒸煮ステップにおいて、蒸煮された小麦粉の水分の含量は、30〜38重量%であることを特徴とする請求項1に記載の唐辛子味噌の製造方法。
【請求項3】
前記製麹ステップにおいて、蒸煮された小麦粉に原料の総量に対して0.05〜0.3重量%のアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillusoryzae)CJ KY(KCCM11302P)及び0.1〜1.5重量%の増量剤を添加した後、30〜40℃において3日間発酵させて小麦粉麹を作ることを特徴とする請求項1に記載の唐辛子味噌の製造方法。
【請求項4】
前記1次熟成ステップにおいて、前記食塩又は塩水は、1次混合物の全体の重量に対して塩分の濃度が5〜10重量%の含量になるように添加し、
蒸煮された小麦粉、蒸煮された大豆、蒸煮された小麦の穀粒、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上0.1〜15重量%を混合して、25〜35℃において5〜30日間発酵させることを特徴とする請求項1に記載の唐辛子味噌の製造方法。
【請求項5】
前記1次熟成ステップにおいて、前記1次混合物は、40〜55重量%の含量で水分を含有することを特徴とする請求項1に記載の唐辛子味噌の製造方法。
【請求項6】
前記2次熟成ステップにおいて、前記熟成された1次混合物に、前記2次混合物の全体の重量を基準として唐辛子粉6〜25重量%、澱粉糖、しょうゆ、塩、香辛料加工品、香味増進剤及び穀物加工品、豆類加工品、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上を15〜40重量%で混合した2次混合物を、55〜85℃において1〜60分間殺菌した後、食用アルコールを添加して熟成させたことを特徴とする請求項1に記載の唐辛子味噌の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝統味噌玉麹から分離した新規な菌株であるアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillusoryzae:ニホンコウジカビ)CJKYを用いた唐辛子味噌の製造方法及びその製造方法により製造された唐辛子味噌に関する。
更に詳しくは、小麦粉又は小麦の穀粒(以下、小麦米ともいう)を基質として炭水化物及びタンパク質分解酵素活性に優れた麹菌である新規な菌株アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)CJKYを伝統味噌玉麹から分離、選別して唐辛子味噌の製造に用いることにより、風味が向上した唐辛子味噌の製造方法及びその製造方法により製造された唐辛子味噌に関する。
【背景技術】
【0002】
唐辛子味噌の種類は、大きく、豆科穀類を所定の割合にて混ぜて作った唐辛子味噌用味噌玉麹を用いる在来式唐辛子味噌と、唐辛子味噌用味噌玉麹の代わりに、麹(コウジ)を用いる改良式唐辛子味噌と、に分けられる。
在来式唐辛子味噌は、澱粉質原料を浸漬・蒸煮した後、麦芽エキスと混ぜて液糖化過程を経たものと唐辛子味噌用味噌玉麹、唐辛子粉、食塩などを混ぜて発酵熟成を行って製造する。
改良式唐辛子味噌は、澱粉質原料を浸漬又は加水して蒸煮した後、麹菌を培養して得た麹と食塩、蒸煮した澱粉質原料などを混合、熟成し、これを澱粉糖、唐辛子粉などと混ぜて製造する。澱粉質原料としては、原料の需給及びコスト、並びに量産し易い原料の加工適正を有している小麦粉又は小麦米が主として用いられている。
改良式唐辛子味噌において、量産可能であり、唐辛子味噌の品質の向上のための方案として、大韓民国公開特許第10−2011−0017619号は、4〜12分度に限定した米原料に蒸煮ステップを経て水分の含量を30〜32重量%にし、ここに含湿ステップを経て水分の含量及び温度をそれぞれ35〜38重量%及び30〜38℃に調節して糊化した米の老化速度を遅らせることにより、麹菌の生育の低下を防ぎ、高い酵素力価を有する麹を製造し、これを用いて米唐辛子味噌の風味を改善する、高い酵素力価を有する米唐辛子味噌用麹の製造方法を提案している。
しかしながら、前記先行技術による場合には、米表面のべたつきはやや低減可能であるとはいえ、搗精度が低ければ低いほど、繊維質の含量が高くなって麹菌の分解率が低下し、これにより、麹菌の生育が低下して酵素力価が低くなるという問題があり、しかも、唐辛子味噌の食感が低下するという問題が生じる。
本発明者らは、上述した従来の問題を解消するために、小麦粉又は小麦米、大豆などを基質として高いアミラーゼ及びプロテアーゼ活性を示し、旨み及び甘い香り(果物香り)、香ばしい味噌玉麹の香りなど香味特性を良好にする新規な菌株アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)CJKYを伝統味噌玉麹から分離、選別し、これを唐辛子味噌の製造に用いて、香味により優れた唐辛子味噌の製造方法及びその製造方法により製造された唐辛子味噌を開発して本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】大韓民国公開特許第10−2011−0017619号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、小麦粉及び小麦米を基質として高い酵素力価を示す新規な菌株アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)CJKYを伝統味噌玉麹から分離、選別し、これを唐辛子味噌の製造に用いることにより、香味により優れた唐辛子味噌の製造方法及びその製造方法により製造された唐辛子味噌を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明は、アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillusoryzae)CJ KYを用いた唐辛子味噌の製造方法に関するものであり、小麦粉原料に加水して蒸煮させる蒸煮ステップと、前記蒸煮された小麦粉にアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillusoryzae)CJ KY(KCCM11302P)を接種及び培養して小麦粉麹を作る製麹ステップと、前記小麦粉麹に食塩又は塩水を添加し、ここに蒸煮された小麦粉、蒸煮された小麦米、蒸煮された大豆、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上を混合した1次混合物を熟成させる1次熟成ステップと、前記熟成された1次混合物に唐辛子粉を添加し、澱粉糖、しょうゆ、塩、香辛料加工品、香味増進剤、穀物加工品、豆類加工品、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上を混合した2次混合物を殺菌・熟成させる2次熟成ステップと、を含む唐辛子味噌の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記の唐辛子味噌の製造方法により製造された唐辛子味噌を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、小麦粉又は小麦米を基質として高い酵素力価を示す新規な菌株アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)CJKYを伝統味噌玉麹から分離、選別し、これを唐辛子味噌の製造に用いることにより、品質にばらつきがなく、しかも、風味が向上した唐辛子味噌を製造することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、新規なアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)CJKYの分類系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、伝統味噌玉麹から分離・同定した、小麦粉又は小麦米を基質とする炭水化物及びタンパク質分解酵素活性に優れた菌株である新規なアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)CJKYに関する。
前記アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)CJKYは、伝統食品の製造会社から購入した伝統味噌玉麹から分離・同定した。
分離・同定方法は、伝統味噌玉麹から分離したカビのうち胞子生成力に優れており、しかも、毒素を生成せず、アレルギーを引き起こさないことから、麹菌として活用可能なアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)菌株6種を1次的に選別した。その後、1次選別菌株を対象として小麦粉を原料として固体培養して炭水化物及びタンパク質分解力が強い菌株を2次的に選別し、2次的に選別された菌株のうち唐辛子味噌の風味を向上させる菌株を最終的に選別した。最終的に選別された菌株をアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)CJKYと命名し、2012年9月27日付けで韓国微生物保存センターに寄託した(受諾番号:KCCM11302P)。
また、本発明は、前記の小麦粉を基質として炭水化物及びタンパク質分解力が強いながらも、唐辛子味噌の風味を向上させる菌株であるアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)CJKYを用いて蒸煮された小麦粉を発酵させて唐辛子味噌を製造する方法に関する。
更に詳しくは、小麦粉原料に加水して蒸煮させる蒸煮ステップと、前記蒸煮された小麦粉にアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)CJKYを接種及び培養して小麦粉麹を作る製麹ステップと、前記小麦粉麹に食塩又は塩水を添加し、ここに蒸煮された小麦粉、蒸煮された小麦米、蒸煮された大豆、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上を混合した1次混合物を熟成させる1次熟成ステップと、前記熟成された1次混合物に唐辛子粉を添加し、澱粉糖、しょうゆ、塩、香辛料加工品、香味増進剤、穀物加工品、豆類加工品、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上を混合した2次混合物を殺菌、熟成させる2次熟成ステップと、を含む唐辛子味噌の製造方法を提供する。
【0009】
本発明の唐辛子味噌の製造方法において、前記蒸煮ステップは、連続蒸煮機を用いて所定量の加温された浄水を小麦粉に加水した後、1.0〜2.0kgf/cmのスチームを用いて蒸煮する工程であり、蒸煮された小麦粉の水分の含量が30〜38重量%になるように調節することが好ましい。
本発明の唐辛子味噌の製造方法において、前記製麹ステップは、前記蒸煮された小麦粉にアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)CJKYを接種及び培養して小麦粉麹を作るステップであり、具体的には、蒸煮された小麦粉に原料の総量に対して0.1〜0.3重量%のアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)CJKYと0.5〜1.5重量%の穀類粉又は豆類粉を増量剤として用いて均一に混合した後、30〜40℃、更に好ましくは、33〜38℃において3日間発酵乾燥して小麦粉麹を製造する。
本発明の唐辛子味噌の製造方法において、前記1次熟成ステップは、前記小麦粉麹に食塩又は塩水を添加し、ここに蒸煮された小麦粉、蒸煮された小麦米、蒸煮された大豆、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上を混合した1次混合物を熟成させるステップである。
具体的には、製麹ステップを経て製造された乾燥状態の小麦粉麹に食塩又は塩水を添加し、ここに蒸煮された小麦粉、蒸煮された小麦米、蒸煮された大豆、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上を混合した1次混合物を25〜35℃において5〜30日間発酵して熟成させる。
前記食塩又は塩水は、好ましくは、1次混合物に対して5〜10重量%の含量になるように添加される。
前記豆類加工品とは、豆類を主原料として加工したもののことをいう、味噌玉麹又は味噌は特に限定されず、公知のものが使用可能である。
豆類加工品、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上は、好ましくは、1次混合物の全体の重量の0.1〜15重量%になるように添加される。
一方、唐辛子味噌の香味の増進のために、選択的に、1次混合物に酵母培養液を更に添加する。前記利用可能な酵母は特に限定されず、例えば、サッカロミケス(Saccharomyces)属、チゴサッカロミセス(Zygosaccharmyces)属又はピキア(Pichia)属の菌株などが使用可能である。
前記1次混合物は、好ましくは、水分の含量が1次混合物の全体の重量の40〜55重量%になるように水分を含有する。
また、前記1次混合物は、熟成前にチョッピング工程を含む。
前記チョッピングとは、1次混合物を小さく切る工程のことをいい、その大きさは特に限定されず、好ましくは、0超え〜20mmの大きさ(1次混合物の無定形粒子の内径を基準とする)、更に好ましくは、1〜10mmの大きさ、最も好ましくは、1〜5mmの大きさにチョッピングされる。
前記1次混合物を熟成させる前にチョッピングする工程を経ると、穀物の深部まで酵素が浸透し易くなって、より様々な味及び風味を生成し、熟成期間を短縮させるだけではなく、これを活用した唐辛子味噌の食感など官能的要素も向上するというメリットがある。
前記1次混合物は、好ましくは、5〜30日間25〜35℃において発酵熟成させる。
本発明の唐辛子味噌の製造方法において、前記2次熟成ステップとは、前記熟成された1次混合物に唐辛子粉を添加し、澱粉糖、しょうゆ、塩、香辛料加工品、香味増進剤及び穀物加工品、豆類加工品、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上を混合した2次混合物を殺菌、熟成させるステップのことをいう。
具体的には、まず、前記熟成された1次混合物に唐辛子粉を添加した後、澱粉糖、しょうゆ、塩、香辛料加工品、香味増進剤及び穀物加工品、豆類加工品、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上を混合した2次混合物を55〜85℃において1〜60分間殺菌した後、食用アルコールを添加して熟成させる。
前記唐辛子粉は、2次混合物の全体の重量の6〜25重量%になるように添加され、前記澱粉糖、しょうゆ、塩、香辛料加工品、香味増進剤及び穀物加工品よりなる群から選ばれる1種以上は、2次混合物の全体の重量の15〜40重量%になるように添加されることが好ましい。
前記唐辛子粉、澱粉糖、しょうゆ、塩、香辛料加工品、香味増進剤及び穀物加工品、豆類加工品、味噌玉麹及び味噌は特に限定されず、公知のものが使用可能である。
前記香辛料加工品の非制限的な例として、乾ソース(ニンニクとショウガなどを乱切にしてつぶし熱いしょう油または塩水に入れ、トウガラシ粉をかけて混ぜ合せたもの)又は湿ソースなどが挙げられる。
前記香味増進剤の非制限的な例として、酵母エキス、豆又は小麦タンパクエキスなどが挙げられる。
前記味噌玉麹及び味噌は、非制限的な例として、改良味噌玉麹、韓式味噌玉麹などと改良味噌、韓式味噌などが挙げられる。
以下、本発明の内容を実施例を挙げてより詳細に説明する。但し、これらの実施例は本発明の内容を理解するために提示されるものに過ぎず、本発明の権利範囲がこれらの実施例に限定されることはない。
【実施例1】
【0010】
実施例1:伝統味噌玉麹由来の微生物の分離・同定及び選別
1)微生物の分離・同定
本発明においてスタータとして用いられた菌株は、京畿、江原、忠北、全南所在の伝統食品の製造会社から購入した伝統味噌玉麹から分離、選別した。
カビ分離培地としては、ポテトデキストロース寒天(Difco)培地に20μg/mlのクロラムフェニコールを添加したものを使用し、上記の伝統味噌玉麹において優占種として生息するカビ32種を純水分離して同定し、同定の結果を下記表1に示す。
【0011】
2)1次選別
上記の伝統味噌玉麹から分離したカビ32種の胞子生成力など麹菌として活用可能なものを総合的に判断して6種を1次的に選定した。
1次選定菌株は、CJ1334、CJ 1335、CJ 1336、CJ 1354、CJ KY、CJ KGであり、胞子生成力の結果は、下記表1に示す。
表1:伝統味噌玉麹由来の分離菌株の同定結果及び各菌株の胞子生成力
【表1】
【0012】
3)2次選別
上記の1次的に選別した菌株6種を対象として小麦粉麹を製造してアミラーゼ及びプロテアーゼ酵素力価を比較して、良好な菌株を2次的に選別した。
上記の小麦粉麹は、小麦粉1kgを5段連続蒸煮機を用いて水分の含量が33〜38重量%になるように加水した後、高圧蒸気滅菌機(オートクレーブ)を用いて120℃において15分間蒸煮し、蒸煮後に35℃まで冷却させた。冷却された蒸煮小麦粉に1次選別菌株を原料の総重量に対して0.2重量%で混合した後、35℃において3日間それぞれ培養し、それぞれの小麦粉麹の酵素力価は、下記表2に示す。
下記表2の結果から、アミラーゼ及びプロテアーゼ酵素力価に優れたCJ1334、CJ 1354、CJ KY、CJ KG菌株4種を2次的に選定した。
表2:1次選別菌株を適用した小麦粉麹の酵素力価の比較
【表2】

前記表2において、アミラーゼ酵素力価の測定は、小麦粉麹を2%のNaCl収容液に30℃において1時間抽出し、ろ過した粗酵素液を100倍希釈して使用した。酵素反応液は、粗酵素液1ml、基質としての1%の澱粉糖2ml、pH5.2のリン酸塩緩衝溶液2mlを加えて製造し、これを40℃において30分間反応させた後、0.1NのCHCOOH10mlを添加して反応を止めた。反応の終わった酵素反応液0.005%のKI+I溶液10mlを入れて室温において発色させてUV分光光度計を用いて660nmにおける吸光度を測定した。
また、プロテアーゼ酵素力価の測定は、小麦粉麹を蒸留水に30℃において1時間抽出、ろ過して粗酵素液として用いた。酵素反応液は、粗酵素液0.5ml、基質としての2%のミルクカゼイン1.5ml、マックイルバイン緩衝溶液(pH6.0)1mlを添加して38℃において1時間反応させた。次いで、0.4MのTCA溶液を3ml入れて反応を止めてろ過した後、0.4MのNaCO5ml及びフェノール試薬1mlを入れて十分に混合した後、38℃において30分間発色させ、分光光度計を用いて660nmにおける吸光度を測定した。このとき、酵素活性は、1分間1μgに相当するチロシンを生成する酵素の量を1ユニットと定義し、チロシンを標準物質として用いて検量線を作成した。
【0013】
4)最終選別
上記の2次的に選別した菌株4種を対象として小麦粉麹の容量を拡大製造してアミラーゼ及びプロテアーゼ酵素力価を比較し、これを用いて製造した味噌の味の品質を比較して良好な菌株を最終的に選別した。
上記の小麦粉麹は、5段連続蒸煮機を用いて小麦粉10kgを水分の含量が33〜38重量%になるように蒸煮し、蒸煮後に35℃まで冷却された。冷却された蒸煮小麦粉に2次選別菌株を原料の総量に対して0.2重量%で混合した後、固体発酵機を用いて30〜35℃において3日間それぞれ培養し、それぞれの小麦粉麹の酵素力価を下記表3に示す。
また、上記の小麦粉麹に食塩又は塩水、蒸煮された小麦粉、蒸煮された小麦米、蒸煮された大豆、味噌玉麹又は味噌を混合して1次混合物を製造した後、5〜30日間25〜35℃において熟成させた。熟成された1次混合物に唐辛子粉を添加し、澱粉糖、しょうゆ、塩、香辛料加工品、香味増進剤及び穀物加工品、豆類加工品、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上を混合した2次混合物を殺菌し、2次的に熟成させて製造した唐辛子味噌を用いて簡易官能評価を行い、その結果を下記表3に示す。
表3の結果から、アミラーゼ及びプロテアーゼ酵素力価、並びに味品質に最も優れたCJKY菌株を最終的に選定した。
最終選定菌株であるCJKYの分類系統を図1に示す。なお、最終選定菌株であるCJKYの16S rDNA塩基配列分析の結果を配列番号1に示す。
表3:2次選別菌株を適用した小麦粉麹の酵素力価及び唐辛子味噌の味品質の比較
【表3】
【0014】
実施例2:唐辛子味噌の製造
1)蒸煮ステップ及び製麹ステップ
上記の最終選定菌株であるアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)CJKY及び市販のアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillusoryzae)を含有する小麦粉麹を実施例1及び比較例1に示す方法を用いて製造して酵素力価を比較した。
【0015】
試験例1:新規なアスペルギルス・オリーゼCJKYを適用した小麦粉麹の製造
小麦粉12,000kgを5段連続蒸煮機を用いて水分の含量が30〜38重量%になるように蒸煮した後、放冷機を用いて温度を35〜40℃まで冷却させて製麹室に搬送した。次いで、新規なアスペルギルス・オリーゼCJKYを小麦粉重量の0.1重量%で接種し、33〜38℃において3日間製麹発酵過程を行った。
新規なアスペルギルス・オリーゼCJKYを適用した小麦粉麹の酵素力価は、下記表4に示す。
【0016】
比較例1:通常のアスペルギルス・オリーゼを適用した小麦粉麹の製造
小麦粉12,000kgを5段連続蒸煮機を用いて水分の含量30〜38重量%になるよ うに蒸煮した後、放冷機を用いて温度を35〜40℃まで冷却させて製麹室に搬送した。次いで、市販のアスペルギルス・オリーゼを小麦粉重量の0.1重量%で接種し、33〜38℃において3日間製麹発酵過程を行った。
通常のアスペルギルス・オリーゼを適用した小麦粉麹の酵素力価は、下記表4に示す。
表4:新規なアスペルギルス・オリーゼCJKY及び通常のアスペルギルス・オリーゼを適用した小麦粉麹の酵素力価
【表4】

前記表4の結果から、新規なアスペルギルス・オリーゼCJKYを適用した小麦粉麹のアミラーゼ及びプロテアーゼ酵素力価が通常のアスペルギルス・オリーゼを適用した小麦粉麹よりもそれぞれ6.2%及び29.1%向上したことを確認することができた。
【0017】
2)1次熟成ステップ
前記試験例1及び比較例1の小麦粉麹を用いて、下記の試験例2及び比較例2の方法と同様にして1次混合物を製造した後、5〜30日間25〜35℃において熟成させた。
【0018】
試験例2:新規なアスペルギルス・オリーゼCJKYを用いた1次混合物の製造
試験例1により製造された小麦粉麹に1次混合物の全体の重量を基準として蒸煮された小麦米を5〜15重量%、蒸煮された小麦粉、蒸煮された大豆、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上を0.1〜15%混合し、塩水又は食塩を混合して1次混合物の最終水分及び塩度がそれぞれ45重量%及び7.5重量%である1次混合物を製造した。
蒸煮された小麦粉、蒸煮された大豆、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上を混合した1次混合物を熟成させた。
新規なアスペルギルス・オリーゼCJKYを適用した1次混合物の一般成分は、下記表5に示す。
新規なアスペルギルス・オリーゼCJKYを適用した1次混合物の揮発性香り成分は、下記表6に示す。
【0019】
比較例2:通常のアスペルギルス・オリーゼを用いた1次混合物の製造
比較例1により製造された小麦粉麹に蒸煮された小麦米を5〜15重量%、蒸煮された小麦粉、蒸煮された大豆、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上を0.1〜15%混合し、塩水又は食塩を混合して1次混合物の最終水分及び塩度がそれぞれ45重量%及び7.5重量%である1次混合物を製造した。
蒸煮された小麦粉、蒸煮された大豆、味噌玉麹及び味噌よりなる群から選ばれる1種以上を混合した1次混合物を熟成させた。
通常のアスペルギルス・オリーゼを適用した1次混合物の一般成分は、下記表5に示す。
通常のアスペルギルス・オリーゼを適用した1次混合物の揮発性香り成分は、下記表6に示す。
表5:1次混合物の一般成分の比較
【表5】
前記表5の結果から、新規なアスペルギルス・オリーゼCJKYを適用した1次混合物の成熟度及び還元糖が通常のアスペルギルス・オリーゼを適用した1次混合物よりも11.4%、10.1%向上したことを確認することができた。
表6:1次混合物及び唐辛子味噌の主な揮発性香り成分の比較(unit:ピーク面積%)
【表6】
前記表6の結果から、試験例2は、唐辛子味噌の肯定的な要因として発現される香ばしい香り、味噌玉麹のカビ香りを示す2/3メチルブタノール及び唐辛子味噌に果物の香りを出して全般的な香味に肯定的に寄与するブタン二酸、ジエチルエステル、ブタン酸、3−メチルブチルエステルが占める割合が比較例2よりも相対的に高いことを確認することができた。
また、比較例2において、全体の香味成分のうちグリーン、フローラル香味を有して唐辛子味噌において成熟されていない香り、青臭い匂いであって異臭になりうる1−ヘキサノール及び辛っぽい香りを出すフェノールの含量が試験例2よりも高い割合を示す。更に、クリーミー、チーズ香りなどの唐辛子味噌において湿っぽい香味として表現される1,3−ブタンジオール、1−ブタノール、3−メチルが試験例2において比較例2よりも低いため、唐辛子味噌において消費者に否定的に寄与する香味が少ないものと思われる。
【0020】
3)2次熟成ステップ
上述したように、1次熟成ステップを経た試験例2及び比較例2の1次混合物を用いて下記の試験例3及び比較例3の方法と同様にして2次混合物を製造し、試験例3及び比較例3の2次混合物を殺菌、熟成させて唐辛子味噌を製造した。
また、製造された各唐辛子味噌の香り成分を比較した。
【0021】
試験例3:新規なアスペルギルス・オリーゼCJKYを適用した2次混合物の製造
前記試験例2に従い5〜30日間の発酵熟成が終わった1次混合物に、2次混合物の全体の重量を基準として、市販の唐辛子粉1〜25重量%、湿ソース10〜25重量%、澱粉糖15〜30重量%、香味増進剤豆タンパクエキス0〜0.3重量%、しょうゆ0〜1重量%及び塩0〜1重量%を投入して混合した。次いで、65℃において15〜20分間殺菌、冷却させた後、食用アルコールを1〜2重量%入れて熟成させた。
新規なアスペルギルス・オリーゼCJKYを適用した2次混合物を殺菌、熟成させて製造した味噌の遊離アミノ酸は、表7に示す。
【0022】
比較例3:通常のアスペルギルス・オリーゼを適用した2次混合物の製造
前記比較例2に従い5〜30日間の発酵熟成が終わった1次混合物に、2次混合物の全体の重量を基準として、市販の唐辛子粉1〜25重量%、湿ソース10〜25重量%、澱粉糖15〜30重量%、香味増進剤豆タンパクエキス0〜0.3重量%、しょうゆ0〜1重量%及び塩0〜1重量%を投入して混合した。次いで、65℃において15〜20分間殺菌、冷却させた後、食用アルコールを1〜2重量%入れて熟成させた。
通常のアスペルギルス・オリーゼを適用した2次混合物を殺菌、熟成させて製造した唐辛子味噌の遊離アミノ酸は、下記表7に示す。
表7:2次混合物の総アミノ酸及び主な有機酸の含量の分析(g/kg)
【表7】
前記表の結果から、総アミノ酸の含量が有意的に試験例3において高いことを確認することができた。これは、比較例の菌株のプロテアーゼ活性よりも約31%増加されたが(表4)、実際にタンパク質の分解が活性化されることが確認され、唐辛子味噌においてアミノ酸系味属性(旨味、甘味など)が比較例に比べて相対的に強く発現されることが期待される(表9)。
また、味に影響を与える有機酸のうち代表的な発酵過程中に生成される酢酸、乳酸、コハク酸において、コハク酸は大差ないが、酢酸及び乳酸において有意的な差が発生した。酢酸の爽やかな酸味よりも乳酸は酸っぱい酸味を出すため比較例において試験例よりも酢酸の割合が高く、乳酸の割合が相対的に低いため、さっぱりした味、後味(後口)好み度に肯定的な影響を与えるものと思われる(表8)。
【0023】
実施例3:唐辛子味噌の官能評価
上記の比較例3及び試験例3により製造された従来の澱粉質を用いた改良式唐辛子味噌及び新規なアスペルギルス・オリーゼCJKYを用いて製造した唐辛子味噌を用いて、ソウル及び京畿圏に住んでいる30〜49歳主婦200名を対象として唐辛子味噌の官能評価を行った。
官能評価は、5点満点を基準として細部味属性に対して好み度を調べる方式を用いて行った。上記の官能評価の結果を下記表8に示す。
また、訓練されたパナラー10名を対象として描写分析を行い、3回繰り返し評価して平均値を提示した。上記の描写分析の結果を下記表9に示す。
表8:唐辛子味噌の官能評価(好み度、5点尺度)
【表8】

表9:唐辛子味噌の描写分析(香り、味/香味、15点尺度)
【表9】

前記表8及び表9の結果から、試験例3の苦い匂い、苦い味、しつこさなどが比較例3よりも有意差あるように低いレベルを示し、水あめの香味、旨味、味噌玉麹粉の香味などが有意差あるように高いレベルを示した。好み度においては、旨味、後味、甘味、口触りなどが試験例3において高く評価され、全般的な味も比較例3よりも高く評価された。これは、新規なアスペルギルス・オリーゼCJKYの高い酵素力価により小麦粉及び小麦米に含有されている澱粉とタンパク質の分解率が高くなり、これに伴い、未分解澱粉の減少により甘味及びしつこさ(粉感)好み度に肯定的な影響を及ぼし、多量生成された遊離アミノ酸など発酵産物は旨味及び味噌玉麹粉の香味などとして発現されて唐辛子味噌の味品質の向上に肯定的な影響を及ぼしたものと思われる。
【表10】
図1
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]