(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353906
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】刃の研磨状態コントロール装置
(51)【国際特許分類】
B26D 7/12 20060101AFI20180625BHJP
B24B 3/36 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
B26D7/12
B24B3/36 D
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-534185(P2016-534185)
(86)(22)【出願日】2014年10月30日
(65)【公表番号】特表2016-539014(P2016-539014A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】IT2014000284
(87)【国際公開番号】WO2015079466
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2017年4月5日
(31)【優先権主張番号】FI2013A000292
(32)【優先日】2013年11月30日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】506180062
【氏名又は名称】フューチュラ エス ピー エー
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】ジウルラーニ、ジオバッチーノ
【審査官】
豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−294725(JP,A)
【文献】
特開平05−337906(JP,A)
【文献】
特開昭63−099163(JP,A)
【文献】
特開2007−075923(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/095069(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/12
B24B 3/00 − 3/60
B26D 1/46
G01B 5/00 − 5/30
B26D 5/00 − 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断エッジを含む面(X)に向かって収斂する2つの側部(21,22)によって範囲設定された切断エッジ(20)を有する刃(2)の研磨状態をコントロールするための装置であって、上記装置は、2つのコントロール面を含み、この面の各々は前記切断エッジ(20)の対応する側部(21,22)に接触しかつ前記コントロール面の各々はさらに少なくとも1つの変換器(R1,R2,R4)に接続され、前記少なくとも1つの変換器は前記面(X)に関してコントロール面の変位に比例する電気変位信号(S1,S2,S4)を発生するとともにプログラム可能な電子ユニット(E)をさらに有し、このプログラム可能な電子ユニットは、前記変位信号(S1,S2,S4)を受信しそしてそれらを比較して、その比較によって所定の制限値を超える値が得られた場合には、エラー信号を発信するとともに、研磨手段(100)を支持しかつ動かすための手段(101,102)に接続されていることを特徴とするコントロール装置。
【請求項2】
前記コントロール面が2つのフィーラプローブ(30,31)の外面であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記フィーラプローブ(30,31)が2つのそれぞれの軸(Y0、Y1)の周りにヒンジ結合されていることを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記変換器(R1,R2)がロータリエンコーダであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記変換器(R1,R2)の各々がそれぞれのプローブ(30,31 )の回転軸(Y0,Y1)に適用されることを特徴とする請求項4 記載の装置。
【請求項6】
前記軸(Y0,Y1)が前記面(X)に関して互いに平行であるとともに反対側に位置しておりかつそれぞれのアーム(32,34)によって支持されることを特徴とする請求項3〜5 のいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記軸(Y0,Y1)が完全に一致していることを特徴とする請求項3〜5 のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記コントロール面はローラ(4)の外部溝(40)を範囲限定する面であり、前記ローラ(4)は前記切断エッジ(20)の面に直交する軸(A4)に沿って自由に移動しかつ前記切断エッジ(20)が前記溝(40)を通るような間隔だけ前記刃(2)から離れていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記エラー信号が光信号及び/又は音信号に関連付けられていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にペーパーロールの製造のために用いることが可能な帯刃の研磨状態をコントロールする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のペーパーロールの製造方法は巻き返し機を必要としていた。この巻き返し機によってペーパーウェブがボール紙の芯に巻かれて「ログ」と呼ばれる中間製品を作成している。このログはボール紙管にペーパーウェブを巻きつけることによって得られるペーパーロールによって製造されそして横方向に切断されてより短尺のペーパーロール、即ち所与の商業上の要求に合致するペーパーロールを得る。
【0003】
前記ログの横方向切断は特に重要である。実際上、ログの長手方向の軸に完全には直交していない面に沿ってログの切断を行うことは側部ベースが斜めとなる欠陥ロールを形成することを含むものである。実際上、ロール自体の軸に完全に直交する側部ベースを有するロールを必要とする自動ディスペンサーにおいてロールが使用される場合には、この欠点はより重大となる。上記欠陥ロールは上記ディスペンサーにおいて詰まりやすくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、上記した欠点を解消し、又は少なくとも大幅に低減することのできる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における上記効果は、請求項1に記載された特徴を有する装置を実現する発想を採用することによって達成される。本発明のその他の特徴は従属請求項の主題である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、前記刃の研磨状態を直ちにチェックすることが可能となり、刃の切断エッジの対称性をチェックしそして、必要な場合には、本発明装置と直接的又は間接的に接続可能な適切な研磨手段を駆動することができる。さらに、そのチェック手段は継続的でありかつ常時使用できるチェック信号を出力する。また、前記チェック機能は本質的に機械的特性を有し、従って他の機能の可能性のある断線事故に基づく悪影響を排除する利点がある。その上、前記チェック手段はチェックした機械の操作性に悪影響を与えることはない。また、本発明装置は既存の機械に装着することが可能でかつ比較的簡単な組み立て操作で既存の製造ラインに組み込むことが可能である。さらにまた、本発明装置は大きな保守作業を必要とせずかつ長期的な使用の後でもその特性は基本的に変わらない。
【0007】
本発明のこれらの利点及び特徴並びに他の利点及び特徴は、以下の説明から、限定的な意味で考慮されないが本発明の実用的な例示として与えられている添付図面の助けによって当業者に最良に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係るコントロール装置を備える刃の一部を概略的に示す正面図である。
【
図2】刃の可能性のある一つの操作状況をコントロール装置とともに概略的かつ部分的に断面した図面である。
【
図3】刃の可能性のある他の操作状況を概略的かつ部分的に断面した図面である(簡略化のためにコントロール装置の図示は省略)。
【
図4】刃の可能性のある別の操作状況を概略的かつ部分的に断面した図面である(簡略化のためにコントロール装置の図示は省略)。
【
図5】本発明装置の他の実施の形態を概略的に示す図面である。
【
図6】本発明装置の別の実施の形態を概略的に示す図面である。
【
図7】本発明装置の可能性のある作業上の実施を概略的に示す図面である。
【0009】
添付図面に関連し、本発明に係るコントロール装置(1)は、切断エッジが存在する面(X)方向に収斂する2つの面(21,22)によって範囲設定された鋭いエッジ(20)が設けられた層状体によって形成された帯刃(2)の正しい研磨処理を確認するために使用される。
【0010】
図1〜
図5に示された装置は、各フィーラプローブ(30,31)と前記刃(2)の相互作用の関数として前記切断エッジ(20)の形状に依存する信号を測定するために前記切断エッジ(20)の両側部と接触する状態で互いに相対向して設けられた2つのフィーラプローブ(30,31)を含んでいる。実際上は、刃(20)に関する2つのプローブ(30,31)の変位(図面においてはV1及びV2で示される)に依存して、前記刃(20)の研磨状態、又は前記切断エッジ(20)の対称性をコントロールすることが可能である。
【0011】
特に、前記フィーラプローブ(30,31)は各々のアーム(32,34)によって支持され、それぞれのアームは順番に各々の軸(Y0,Y1)の周りにヒンジ結合される。
図2、
図3及び
図4において前記シートの面に直交する前記軸(Y0,Y1)は、互いに平行でありかつ前記切断エッジ(20)の側部(20,21)が収斂する前記面(X)に関して反対側に存在している。
【0012】
添付図面において、前記フィーラプローブを支持するアーム(32,34)は以下に記述する他の部分として概略的に図示されている。
【0013】
前述したように、前記フィーラプローブ(30,31)の動きによって発生した信号(S1,S2)の各々は前記刃(2)に関する当該フィーラプローブ(30,31)に対応する値を有している。
【0014】
本発明の可能性のある実施の形態によれば、本発明装置は、それぞれの軸(Y0,Y1)の周りの前記アーム(32,34)の回転を検知するための検知手段(R1,R2)、即ちディテクタ及び2つのフィーラプローブ(30,31)の回転の角度の大きさ間の調和しない値が検知される場合にエラー信号を発する電子処理手段を含む。前記ディテクタ(R1,R2)の各々は、それぞれの軸(Y0,Y1)の周りの前記アーム(32,34)の回転の角度を測定するロータリエンコーダである。前記信号(S1,S2)は変換器(R1,R2)によって発せられかつ処理ユニット(E)に送信される電気信号である。
【0015】
前記変換器(R1,R2)は、それぞれのフィーラプローブ(31,32)の回転軸(Y0,Y1)に適用可能である。前記変換器(R1,R2)としては、ロータリエンコーダが好ましい。
【0016】
前記エラー信号は追加的な目視信号及び/又は音信号と関係づけられることが可能である。
【0017】
前記刃(2)が正しく研磨される場合、即ち前記切断エッジ(20)が前記ログ(又は切断される他の材料)の正しい切断を行うのに適した形状を有する場合、前記2つのフィーラプローブ(30,31)は、
図2に示されるように、前記刃(2)から等距離に位置している。この場合、前記ディテクタ(R1,R2)によって発信される信号(S1,S2)は前記切断エッジ(20)の2つの側部に対して互いに等しい。何故ならば、それらの信号は前記フィーラプローブ(30,31)の等しい角度変位及び前記軸(Y0,Y1)の周りの前記アーム(32,34)の等しい変位角度に対応しているからである。この場合、前記切断エッジ(20)の2つの側部は前記面(X)に関して対称性をもって向けられそしてエラー信号は発生しない。
【0018】
前記刃(2)が、
図3及び
図4に示されるように、正しく研磨されたエッジを示さない場合、前記信号(S1)及び(S2)は互いに異なり、そして前記装置(1)は、前記ユニット(E)によってできるだけ閾値を考慮に入れて、例えば、最適の形状(切断エッジの2つの側部が面(X)に関して対称性をもって向けられている形状)に戻すために前記刃(2)の再研磨に対して適切な手段の介入を命令するために用いられるエラー信号を発する。追加的に又は択一的に、ユニット(E)によって発生されたエラー信号は警告信号の発生をコントロールするために使用することも可能である。
【0019】
前記刃(2)の垂直方向の進展の途中の状態を示す
図3及び
図4において、前記刃の正しくない形状を示す2つの追加的な軸(X1)及び(X2)が図示されている。特に、
図3において、軸(X1)は軸(X)の左側に位置しそして切断エッジ(20)の左側のプロファイル(面21)の大幅な減少を示している。同様に、
図4において、軸(X2)は軸(X)の右側に位置しそして切断エッジ(20)の右側のプロファイル(面21)の大幅な減少を示している。
【0020】
図2、
図3及び
図4に示した実施の形態において、前述した軸(Y0)及び(Y1)は互いに平行でありかつ一致していない。
【0021】
図5の実施の形態において、2つのフィーラプローブのアーム(32,34)は同一の軸にヒンジ結合されており、つまり軸(Y0)と(Y1)は完全に一致している。
【0022】
従って、
図1〜5に示した実施の形態に関して、本発明に係るコントロール装置は、切断エッジを含む面(X)に向かって収斂する2つの側部又は面(21,22)によって範囲設定された切断エッジ(20)を有する刃の研磨状態をチェックするために使用されるもので、当該装置は2つのコントロールフィーラプローブ(30,31)を有し、当該フィーラプローブのそれぞれは前記切断エッジ(20)の対応する側部(21,22)と接触しかつそれぞれの変換器(R1,R2,R4)に接続しており、この変換器は前記面(X)に関し前記フィーラプローブの変位に比例する電気信号(S1,S2,S4)を発するとともにプログラム可能な電子ユニット(E)を有し、この電子ユニットは前記変位信号(S1,S2,S4)を受信しかつそれらを比較して、その変位信号が所定の制限値を超える場合にはエラー信号を発信する。
【0023】
図6に示した実施の形態によれば、前記コントロール装置は、前記刃(2)の切断エッジ(20)が通る外部環状溝(40)を備えたローラ(4)を有する。前記ローラ(4)は前記切断エッジ(20)の面に直交する軸(A4)に沿って自由に移動する。好ましくは、前記ローラ(4)はまた前記軸(A4)の周りを自由に回転する。
【0024】
図6に示した実施の形態において、前記ローラ(4)はリニア変換器によって構成される横方向変位検知器(R4)と関連しており、この検知器は前記切断エッジ(20)の非対称性の磨滅に起因する右又は左へのローラ(4)のいかなる変位をも検知する。前記信号(S4)はプログラム可能な電子ユニット(E)によって受信され、この電子ユニットは、(上述したと同様に)前記信号の絶対値が所定の制限値を超える場合にはエラー信号を発信する。上記信号は前記ローラ(4)が右方向又は左方向へ移動するか否かに応じて正信号又は負信号を有する。
【0025】
上記した全ての実施の形態に関して、本発明に係る装置は、2つのコントロール面を含み、この面の各々は前記切断エッジ(20)の対応する側部(21,22)に接触しかつ少なくとも1つの変換器(R1,R2,R4)に接続され、この変換器は前記面(X)に関してコントロール面の変位に比例する電気変位信号(S1,S2,S4)を発生するとともにプログラム可能な電子ユニット(E)を有し、この電子ユニットは前記変位信号(S1,S2,S4)を受信しそしてそれらを処理して、その処理によって所定の制限値を超える値が得られた場合には、エラー信号を発信する。
【0026】
第一の実施の形態によれば、コントロール面はフィーラプローブ(30,31)の外面であり、そして前記変換器(R1,R2)によって発生した変位信号(S1,S2)の値間の差が所定の制限値を超える場合に、前記処理ユニット(E)はエラー信号を発信する。
図6に関連して記述された実施の形態においては、コントロール面は前記ローラ(4)の溝(40)を範囲限定する面であり、そして前記変換器(R4)によって発生した変位信号(S4)の絶対値が所定の制限値よりも大である場合に、前記処理ユニット(E)はエラー信号を発信する。例えば、前記ローラ(4)は耐摩滅性のセラミック材料を塗布した鋼製とすることができる。
【0027】
前記エラー信号は、前記刃の研磨状態を回復するために装着される回復手段の自動介入をコントロールするために使用することができる。さらに詳細には、前記エラー信号の絶対値が所定の参照値よりも大/より小である場合に、上記回復手段の介入は実施/不実施状態となりうる。
【0028】
例えば、前記刃の研磨状態の回復は、前記刃の両側部に適切に配置されたモータ付き研磨ホイール(100)、即ちロータリーアクチュエータ(101)によって駆動される研磨ホイールによって行われる。前記アクチュエータ(101)によって、前記エラー信号の絶対値が所定の参照値よりも大である限り、前記研磨ホイール(100)の回転速度は調整される。
【0029】
又は、前記研磨ホイール(100)が各々のモータ付きスライド(102)にそれぞれ接続している研磨ホイールである場合には、前記エラー信号の絶対値が
図7に矢印“F”で概略的に示される所定の参照値よりも大である限り、前記刃の2つの側部に研磨ホイール(100)によってかけられる圧力を調整するモータ付きスライド(102)を動かすためのエラー信号を用いることによって、前記刃の研磨状態の回復が行われる。
【0030】
前記アクチュエータ(5)及びスライド(6)は
図7のダイアグラムに示されている。同図において、簡略化のために、アクチュエータ(5)及びスライド(6)の両方が前記ユニット(4)に接続されている。けれども、一般的には、研磨装置においては、両方の研磨ホイールをロータリーアクチュエータ又はモータ付きスライドに接続するのが好適である。
【0031】
刃の研磨状態の自動回復処理は、左又は右の研磨ホイール(100)が前記したエラー信号の正又は負の信号に応じて駆動するという意味において選択的である。
【0032】
実際には、実施の詳細は、採用した解決策の範囲から逸脱することなく、したがって本特許に付与される保護の範囲内で、形状、寸法、部材配置、材料の性質に関して均等であれば任意のように変更することができる。