(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353907
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】エアバッグをパッケージ化する方法
(51)【国際特許分類】
B60R 21/237 20060101AFI20180625BHJP
B60R 21/36 20110101ALI20180625BHJP
B60R 21/2342 20110101ALI20180625BHJP
B60R 21/2338 20110101ALI20180625BHJP
【FI】
B60R21/237
B60R21/36
B60R21/2342
B60R21/2338
【請求項の数】23
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-537375(P2016-537375)
(86)(22)【出願日】2014年8月18日
(65)【公表番号】特表2016-533303(P2016-533303A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(86)【国際出願番号】GB2014052525
(87)【国際公開番号】WO2015028780
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2016年6月17日
(31)【優先権主張番号】特願2013-177418(P2013-177418)
(32)【優先日】2013年8月28日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510162344
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】マザネク、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】松下 徹也
【審査官】
野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−264387(JP,A)
【文献】
特開2009−262690(JP,A)
【文献】
特開平11−152004(JP,A)
【文献】
特開2012−056380(JP,A)
【文献】
特開2003−260999(JP,A)
【文献】
特開2006−069291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16−21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者保護エアバッグ装置において、ガス発生器と連結された基部(13)と、前記基部(13)に沿って細長く展開する第2の部分(10)と、前記第2の部分(10)の長手方向両端部にから前記基部(13)と反対側に向かって突出するように展開する第1の部分(11,12)とを有するエアバッグをパッケージ化する方法であって、
前記第1の部分(11、12)を前記第2の部分(10)に向けて少なくとも部分的に折り畳むとともに、少なくとも1つのZ折り目を設けるように更に折り畳むステップと、
前記折り畳まれた第1の部分(11、12)および前記第2の部分(10)を前記第2の部分の前記第1の部分(11,12)と反対側の前記基部(13)に向けて少なくとも部分的に巻回するステップとを含み、
前記第1の部分(11,12)の2本の前記Z折り目は、前記基部(13)から遠ざかるに従って互いの間隔が近くなるように、前記基部(13)の長手方向に対して傾斜していることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記エアバッグ(9)の前記基部(13)が、ガスの供給源に接続されるべき入口(14)を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エアバッグ(9)の前記第1の部分を折り畳むことにより、前記エアバッグ(9)の前記基部(13)の全長が低減される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記エアバッグ(9)の前記第2の部分(10)の全体の大きさを低減するために前記エアバッグ(9)の前記第2の部分(10)を折り畳むことで追加の折り目(32,33)を形成する工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記追加の折り目(32,33)は、Z折り目である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記エアバッグ(9)の前記基部(13)が、ガスの供給源に接続されるべき入口(14)を備え、
前記または各追加の折り目(32、33)が、前記エアバッグ(9)の前記入口(14)に隣接している、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記巻回が第1の方向に行われ、
前記第1の方向とは反対である第2の方向に前記エアバッグ(9)の他の部分を巻回する工程を更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記エアバッグの一部分を他の部分の内側に折り込む工程を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記エアバッグ(9)を前記パッケージ化された状態に保持するために、保持要素を前記巻回されたエアバッグ(9)に取り付ける工程を更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記保持要素が破断可能な糸であり、かつ、前記保持要素を設けるステップが、前記糸を前記エアバッグ(9)の少なくとも一部に縫着することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記巻回するステップが、膨張可能なカーテンエアバッグを巻回するための装置を使用して前記エアバッグ(9)を巻回することを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記エアバッグ(9)の少なくとも一部をハウジング(20)に挿入する工程を更に含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
歩行者保護エアバッグ装置に使用されるパッケージ化されたエアバッグ(9)であって、
入口(14)を備えた基部(13)と、
前記基部(13)に向けて折り畳まれるとともに、少なくとも1つのZ折り目を有するように更に折り畳まれる第1の部分(11、12)と、
前記第1の部分(11、12)とともに、少なくとも部分的に巻回される第2の部分(10)とを備え、
前記第1の部分(11,12)は、前記第2の部分(10)の長手方向両端部から突出し、
前記第1の部分(11,12)の2本の前記Z折り目は、前記基部(13)から遠ざかるに従って互いの間隔が近くなるように、前記基部(13)の長手方向に対して傾斜しており、
当該エアバッグ(9)の作動時には、前記入口(14)を通して前記エアバッグ(9)内に導入されたガスが、前記エアバッグ(9)の巻回を少なくとも部分的に解き、その後、前記エアバッグ(9)を少なくとも部分的に広がるように展開するパッケージ化されたエアバッグ。
【請求項14】
前記入口(14)がガスの供給源に接続される、請求項13に記載のパッケージ化されたエアバッグ。
【請求項15】
前記エアバッグ(9)の前記基部(13)の全長が、前記エアバッグ(9)の前記第1の部分(11、12)における前記折り目(15、16)により低減される、請求項13又は14に記載のパッケージ化されたエアバッグ。
【請求項16】
前記エアバッグ(9)の前記第2の部分(10)の全体の大きさが、追加の折り目(32)により低減される、請求項13〜16のいずれか一項に記載のパッケージ化されたエアバッグ。
【請求項17】
前記エアバッグ(9)の前記第2の部分(10)が、前記エアバッグ(9)の前記第2の部分(10)にZ折り目を作るために追加の折り目(33)で折り畳まれる、請求項16に記載のパッケージ化されたエアバッグ。
【請求項18】
前記入口(14)がガスの供給源に接続され、
前記追加の折り目(32、33)が、前記エアバッグ(9)の前記入口(14)に隣接している、請求項16又は17に記載のパッケージ化されたエアバッグ。
【請求項19】
前記エアバッグ(9)の前記第2の部分(10)が、第1の方向に少なくとも部分的に巻回され、かつ、前記エアバッグ(9)の他の部分が、前記第1の方向とは反対である第2の方向に少なくとも部分的に巻回される、請求項13〜18のいずれか一項に記載のパッケージ化されたエアバッグ。
【請求項20】
前記エアバッグ(9)の一部が前記エアバッグ(9)の別の部分の内側に折り込まれる、請求項13〜19のいずれか一項に記載のパッケージ化されたエアバッグ。
【請求項21】
前記エアバッグ(9)が、前記パッケージ化された状態に保持要素により保持される、請求項13〜20のいずれか一項に記載のパッケージ化されたエアバッグ。
【請求項22】
前記保持要素が、前記エアバッグ(9)の少なくとも一部に縫着される破断可能な糸である、請求項21に記載のパッケージ化されたエアバッグ。
【請求項23】
請求項13〜22のいずれか一項に記載の前記パッケージ化されたエアバッグ(9)の少なくとも一部を収容するハウジング(20)を備えるエアバッグモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグをパッケージ化する方法に関し、より詳細には、歩行者保護エアバッグをパッケージ化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
添付図面の
図1を参照するに、車両2内で車両のボンネット3の後部分の下に歩行者保護エアバッグ1が装着されることが分かる。エアバッグ1は、車両2のフロントガラス4に隣接して装着される。エアバッグ1は、車両2が歩行者と衝突する際に膨張するように構成される。エアバッグ1は、エアバッグ1の第1の側翼部分5および第2の側翼部分6が車両2のAピラー7、8を少なくとも部分的に覆う
図1に示す状態に膨張する。膨張したエアバッグ1は、歩行者の頭部または胴体が車両2のフロントガラス4またはAピラー7、8にぶつかる可能性を最小限に抑えるクッションを提供する。エアバッグ1は、それにより、歩行者の負傷の危険性を最小限に抑える。
【0003】
従来の歩行者保護エアバッグは通常、エアバッグが膨張していないときには車両内で可能な限り少ない空間を占有するようにハウジング内にきちんと折り畳まれて保持される。エアバッグをきちんと折り畳む1つの欠点は、いくつかの状況では、エアバッグの織布におけるきちんとした折り目がエアバッグの膨張を制限することである。このことは、膨張時間を増加させ、かつエアバッグが膨張するときにエアバッグの形状を歪める可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、エアバッグをパッケージ化する改良された方法を提供することを目指すものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、エアバッグをパッケージ化する方法であって、基部を組み込んだエアバッグを準備することと、エアバッグの第1の部分をエアバッグの基部に向けて少なくとも部分的に折り畳むことと、エアバッグをパッケージ化するために、エアバッグの折り畳まれた第1の部分およびエアバッグの第2の部分をエアバッグの基部に向けて少なくとも部分的に巻回することとを含む方法が提供される。
【0006】
本発明の別の態様によれば、エアバッグをパッケージ化する方法であって、基部を組み込んだエアバッグを準備することと、エアバッグの第1の部分をエアバッグの基部に向けて少なくとも部分的に折り畳むとともに、エアバッグの第1の部分が少なくとも1つのZ折り目を組み込むようにエアバッグの第1の部分を更に折り畳むことと、エアバッグをパッケージ化するために、エアバッグの折り畳まれた第1の部分およびエアバッグの第2の部分をエアバッグの基部に向けて少なくとも部分的に巻回することとを含む方法が提供される。
【0007】
好ましくは、エアバッグは、歩行者保護エアバッグである。
【0008】
便宜上、エアバッグの基部は、ガスの供給源に接続されるべき入口を備える。
【0009】
有利には、エアバッグの第1の部分を折り畳むことにより、エアバッグの基部の全長が低減される。
【0010】
好ましくは、方法は更に、エアバッグの第2の部分の全体の大きさを低減するためにエアバッグの第2の部分を折り畳むことを含む。
【0011】
便宜上、方法は更に、エアバッグの第2の部分が少なくとも1つの追加のZ折り目を組み込むようにエアバッグの第2の部分を更に折り畳むことを含む。
【0012】
好ましくは、上記または各追加の折り目は、エアバッグの入口に隣接している。
【0013】
便宜上、エアバッグの第1の部分は、エアバッグの第2の部分の両側にエアバッグの基部から離れる方向に突出する2つの離間した領域を備える。
【0014】
一実施形態において、巻回は第1の方向に行われ、かつ、方法は更に、第1の方向とは反対である第2の方向にエアバッグの他の部分を巻回することを含む。
【0015】
好ましくは、方法は更に、エアバッグの一部分をエアバッグの別の部分の内側に折り込むことを含む。
【0016】
好ましくは、方法は更に、エアバッグをパッケージ化された状態に保持するために、保持要素を巻回されたエアバッグに取り付けることを含む。
【0017】
便宜上、保持要素は破断可能な糸であり、かつ、保持要素を設けるステップは、破断可能な糸をエアバッグの少なくとも一部に縫着することを含む。
【0018】
有利には、巻回するステップは、膨張可能なカーテンエアバッグを巻回するための装置を使用してエアバッグを巻回することを含む。
【0019】
好ましくは、方法は更に、エアバッグの少なくとも一部をハウジングに挿入することを含む。
【0020】
本発明の別の態様によれば、車両に使用するパッケージ化されたエアバッグであって、入口を組み込んだ基部と、エアバッグの基部に向けて折り畳まれるエアバッグの第1の部分と、少なくとも部分的に巻回されるエアバッグの第1の部分およびエアバッグの第2の部分とを備え、使用時には、入口を通してエアバッグ内に導入されたガスが、エアバッグの巻回を少なくとも部分的に解き、次いでその後、エアバッグを少なくとも部分的に広げる力を及ぼす、エアバッグが提供される。
【0021】
本発明の更なる態様によれば、車両に使用するパッケージ化されたエアバッグであって、入口を組み込んだ基部と、エアバッグの基部に向けて折り畳まれるとともに、少なくとも1つのZ折り目を組み込むように更に折り畳まれるエアバッグの第1の部分と、少なくとも部分的に巻回されるエアバッグの第1の部分およびエアバッグの第2の部分とを備え、使用時には、入口を通してエアバッグ内に導入されたガスが、エアバッグの巻回を少なくとも部分的に解き、次いでその後、エアバッグを少なくとも部分的に広げる力を及ぼす、エアバッグが提供される。
【0022】
好ましくは、エアバッグは、歩行者保護エアバッグである。
【0023】
好ましくは、入口は、ガスの供給源に接続される。
【0024】
便宜上、エアバッグの基部の全長は、エアバッグの第1の部分における折り目により低減される。
【0025】
有利には、エアバッグの第2の部分の全体の大きさは、追加の折り目により低減される。
【0026】
好ましくは、エアバッグの第2の部分は、エアバッグの第2の部分にZ折り目を作るために追加の折り目で折り畳まれる。
【0027】
便宜上、上記または各追加の折り目は、エアバッグの入口に隣接している。
【0028】
好ましくは、エアバッグの第1の部分は、エアバッグの第2の部分の両側にエアバッグの基部から離れる方向に突出する2つの離間した領域を備える。
【0029】
便宜上、エアバッグの第2の部分は、第1の方向に少なくとも部分的に巻回され、かつ、エアバッグの他の部分は、第1の方向とは反対である第2の方向に少なくとも部分的に巻回される。
【0030】
有利には、エアバッグの一部がエアバッグの別の部分の内側に折り込まれる。
【0031】
好ましくは、エアバッグは、パッケージ化された状態に保持要素により保持される。
【0032】
便宜上、保持要素は、エアバッグの少なくとも一部に縫着される破断可能な糸である。
【0033】
本発明の更なる態様によれば、以下に定義するような請求項15〜26のいずれか1項に記載のパッケージ化されたエアバッグの少なくとも一部を収容するハウジングを備えるエアバッグモジュールが提供される。
【0034】
本発明をより容易に理解できるように、ここで、添付図面を参照して本発明の実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】車両に装着された膨張した歩行者保護エアバッグの概略図である。
【
図2】パッケージ化されていない歩行者保護エアバッグの概略図である。
【
図3】エアバッグをパッケージ化する方法の中間段階でエアバッグの部分が折り畳まれた
図2に対応する図である。
【
図4】エアバッグをパッケージ化する方法の中間段階でエアバッグの側翼部分が巻回された
図3に対応する図である。
【
図5】エアバッグの反対側を示す
図4に対応する図である。
【
図6】エアバッグをパッケージ化する方法の後の段階でエアバッグが巻回された
図3に対応する図である。
【
図7】エアバッグがハウジング内にパッケージ化された状態の
図2のエアバッグの概略図である。
【
図8】本発明の更なる実施形態の方法の最初のステップでのパッケージ化されていない歩行者保護エアバッグの概略図である。
【
図9】エアバッグ9の角部が折り込まれた
図8に対応する図である。
【
図10】折り畳まれた後のエアバッグを示す
図9に対応する図である。
【
図11】第1の巻回ステップで巻回されるエアバッグの一部を示す
図10に対応する図である。
【
図12】第2の巻回ステップ後のエアバッグ9を示す
図11に対応する図である。
【
図14】パッケージ化されたエアバッグの巻回部分布の代表例を示す
図13に対応する図である。
【
図15】本発明のなお更なる実施形態の方法のパッケージ化されていない歩行者保護エアバッグの概略図である。
【
図16】2つの追加の折り目を備えるエアバッグを示す
図15に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
ここで添付図面の
図2を参照するに、好ましい実施形態では、車両安全装置に使用するエアバッグ9は、少なくとも部分的に織布で形成される。エアバッグ9は、膨張可能な中央部分10と2つの膨張可能な側翼部分11、12とを組み込んでいる。一実施形態において、エアバッグ9は、
図1に示すように、車両のフロントガラスおよびAピラーを少なくとも部分的に覆うよう膨張するように構成される歩行者保護エアバッグである。
【0037】
エアバッグ9は、ガスの供給源に接続されるように構成される入口14が設けられる基部13を組み込んでいる。基部13は、自動車のフロントガラスの幅にほぼ等しい幅W1を有するエアバッグ9の下縁部の一部を形成する。軸線Aは、
図2に示すように、基部13の長手方向の長さに沿って延びる。
【0038】
入口14は、基部13の幅W1に沿ってほぼ中間にエアバッグ9の基部13に位置決めされる。エアバッグ9の中央部分10は、入口14から離れる方向に延びる。側翼部分11、12は、中央部分10の両側で基部13から離れて外方に延びるように中央部分10の両側に設けられる。
【0039】
添付図面の
図3を参照するに、一実施形態では、エアバッグ9をパッケージ化する方法の第1のステップが、それぞれの折り線15、16に沿って側翼部分11、12を折り畳むことを含み、これら側翼部分11、12は、エアバッグ9の第1の部分を形成する。折り線15、16の各々は、基部13の軸線Aに対して角度をなす。一実施形態において、折り線15、16は、基部13の軸線Aに対して45°の角度をなす。
【0040】
折り線15、16により作られたエアバッグ9における折り目は、基部13の幅を低減し、かつ更に、
図3に示すように、
図2に示す幅W1からより小さい幅W2にエアバッグ9の全幅を低減する。
【0041】
一実施形態において、方法は、
図3に示すように、少なくとも2つの他の折り線17、18に沿って側翼部分11、12を折り畳むことを含む。追加の折り線は、エアバッグ9にZ折り目を作る。Z折り目は、エアバッグ9の全幅を低減するために、エアバッグ9の部分を互いに対して折り畳む。
【0042】
折り畳みステップが完了した後に、側翼部分11、12により形成されたエアバッグ9の第1の部分が、
図4および
図5に示すように、基部13に向けて矢印19で表す方向に完全に巻回される中間巻回ステップが行われる。中間巻回ステップは、側翼部分11、12およびエアバッグ9の中央部分10により形成されたエアバッグ9の第2の部分を、
図6に示すように、基部13に向けて矢印19で表す方向に巻回することにより継続する。一実施形態において、巻回ステップは、全ての折り畳みステップが実行された後に行われる。巻回ステップが完了した時点で、エアバッグはパッケージ化された状態にある。
【0043】
ここで添付図面の
図7を参照するに、一実施形態では、保持要素は、エアバッグ9をパッケージ化された状態に保持するために、巻回されたエアバッグ9に固定される。一実施形態において、保持要素は、エアバッグ9をパッケージ化された状態に保持するために、巻回されたエアバッグ9に縫い付けられる糸である。保持要素は、エアバッグ9が膨張することを可能にするためにガスがエアバッグ9内に導入されると破断するように構成される。
【0044】
一実施形態において、パッケージ化されたエアバッグ9は、
図7に示すように、ハウジング20内に少なくとも部分的に挿入される。また、エアバッグ9の入口14をインフレータ21などのガスの供給源に接続してもよい。
【0045】
ガスの供給源によりエアバッグ9を膨張させるときに、ガスがエアバッグ9の内部に及ぼす力によりエアバッグ9が膨らむにつれて、最初にエアバッグ9の巻回が解ける。エアバッグ9は、エアバッグ9の巻回が少なくとも部分的に解かれた後に折り線15〜18の周囲で広がり始める。最初にエアバッグ9の巻回が解けることで、エアバッグ9の折り畳まれた部分が係止されたままとなり、正しく膨らまない可能性が最小限に抑えられる。膨張の際に最初にエアバッグ9の巻回が解けることで、エアバッグ9の折り畳まれた部分に作用してこの折り畳まれた部分を広げるためにエアバッグ9内に注入されるガスのための通路が提供される。それゆえ、パッケージ化されたエアバッグ9の構成は、エアバッグ9の迅速かつ均一な膨張を可能にする。
【0046】
パッケージ化されたエアバッグ9の更なる利点およびエアバッグ9をパッケージ化する方法は、エアバッグ9をパッケージ化し、ハウジング内に挿入される前にエアバッグ9をパッケージ化された状態に取付機構により保持することができることである。このことは、1つの製造場所でエアバッグ9が作製されてパッケージ化され、次いで、その後のエアバッグモジュールへの組み付けのために別の製造場所にエアバッグ9がパッケージ化された状態で搬送されることを可能にするので有益である。
【0047】
ここで添付図面の
図8を参照するに、本発明の更なる実施形態の方法は、上で説明したエアバッグ9と同じ種類のエアバッグをパッケージ化することを含む。同じ参照符号は、上で説明したエアバッグの要素に対応するエアバッグの要素に使用される。
【0048】
この更なる実施形態の方法は、最初にエアバッグ9の下側角部22、23を折り込むことを含む。折り込まれた角部22、23は、
図9に点線で示すように、側翼部分11、12の下部を形成する織布間においてエアバッグ9の本体内に突出するように裏返される。
【0049】
エアバッグ9は、エアバッグ9の全幅を低減するために、上で説明したのと同じように折り線15〜18の周囲で折り畳まれる。この実施形態では、下側角部22、23がエアバッグ9の内側に折り込まれるので、
図10に示すように、エアバッグ9が折り線15〜18に沿って折り畳まれた後に、エアバッグ9の側縁部が互いに実質的に平行となる。
【0050】
この好ましい実施形態のエアバッグ9をパッケージ化する方法の次のステップは、中央部分10およびエアバッグ9の側翼部分11、12の折り畳まれた部分を巻回することを含む。この実施形態では、巻回が内側巻回であり、これにより、最初の巻回方向が側翼部分11、12の平面に向かう方向である。この第1の巻回ステップは、エアバッグ9の中間部分が、
図11に示すように、入口14に対して完全に巻回されるまで実行される。
【0051】
次いで、側翼部分11、12を入口14に向けて巻回するために、第2の巻回ステップが行われる。この実施形態において、側翼部分11、12は、第1の巻回ステップで行われた内側巻回方向とは反対である外側方向に巻回される。側翼部分11、12は、
図12に示すように、入口14に隣接して位置するように巻回される。
【0052】
この実施形態において、入口14を形成するエアバッグ9の部分は、入口14が、
図13に示すように、エアバッグ9の他のセクションに隣接してパッケージ化されるように、Z折り目を形成するために折り線24〜27の周囲で折り畳まれる。したがって、エアバッグ9は、均一なハウジング内に容易に収納され得る実質的に均一な厚みの細長い形状にパッケージ化される。
【0053】
この実施形態では、エアバッグ9をパッケージ化された状態に保持するために、保持テープ28の形状の保持要素が、パッケージ化されたエアバッグ9に少なくとも部分的に巻き付けられる。
【0054】
ここで添付図面の
図14を参照するに、パッケージ化されたエアバッグ9のおおよその巻回部分布が、略円錐台形のインジケータ29〜31により表されている。インジケータ29〜31は、エアバッグ9に対して行われる2つの巻回ステップの結果であるパッケージ化されたエアバッグ9のほぼ一定の厚みを明示している。
【0055】
本発明のこの更なる実施形態は、コンパクトでかつ収納が容易である、ほぼ一定の厚みを備えたパッケージ化されたエアバッグ9を提供する。更に、展開の際に最初にエアバッグの巻回が解け、次いでその後エアバッグが広がることにより、パッケージ化されたエアバッグ9を迅速に展開させる。
【0056】
ここで添付図面の
図15を参照するに、本発明のなお更なる実施形態の方法は、上で説明したエアバッグ9と同じ種類のエアバッグをパッケージ化することを含む。同じ参照符号は、上で説明したエアバッグの要素に対応するエアバッグの要素に使用される。
【0057】
このなお更なる実施形態の方法は、第1の追加の折り目32の線に沿ってエアバッグ9を折り畳む追加の折り畳みステップを含む。第1の追加の折り目32は、エアバッグ9の中央部分10を少なくとも部分的に横切って延びる。第1の追加の折り目32は、エアバッグ9の入口14に隣接している。
【0058】
添付図面の
図16を参照するに、このなお更なる実施形態では、方法は、エアバッグ9が第2の追加の折り目33の線に沿って折り畳まれる第2の追加の折り畳みステップを含む。この実施形態において、第2の追加の折り目33の線は、第1の追加の折り目32の線に正確にまたは実質的に平行である。第1および第2の追加の折り目32、33は、第1の大きさH1から第2の大きさH2にエアバッグ9の全体の大きさを低減する。
【0059】
本発明のこの更なる実施形態において、第1の追加の折り目32および第2の追加の折り目33は、エアバッグ9にZ折り目を形成する。しかしながら、本発明のなお更なる実施形態では、Z折り目を形成しないただ1つの追加の折り目32が存在する。他の実施形態では、エアバッグ9の全体の大きさを更に低減するために、入口14に隣接する3つ以上の追加の折り目が存在する。
【0060】
上で説明しかつ
図2〜
図14に示す実施形態が追加の折り目32、33の一方または両方を組み込み得ることが認識されるべきである。
【0061】
エアバッグ9を膨張させるときに、追加の折り目32、33が、エアバッグ9の膨張の早期段階で入口14に導入されたガスの力により広げられる。追加の折り目32、33が広げられると、エアバッグ9の中央部分10は、入口14から離れる方向に、エアバッグ9が装着される車両のフロントガラスワイパーを少なくとも部分的に覆う位置まで移動する。エアバッグ9は、エアバッグ9の膨張の早期段階で車両のフロントガラスワイパーを少なくとも部分的に覆うクッションを提供する。このことは、衝突状況の際に歩行者が車両のフロントガラスワイパーにぶつかる危険性を最小限に抑える。
【0062】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「備える(comprises)」および「備えている(comprising)」という用語、ならびにこれら用語の変形は、特定の特徴、ステップまたは整数が含まれることを意味する。用語は、他の特徴、ステップまたは化合物の存在を排除するものと解釈されるべきではない。