特許第6353911号(P6353911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353911
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】光加工装置および造形装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/08 20140101AFI20180625BHJP
   B23K 26/34 20140101ALI20180625BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20180625BHJP
   B23K 26/067 20060101ALI20180625BHJP
   B29C 67/00 20170101ALI20180625BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20180625BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20180625BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   B23K26/08 Z
   B23K26/34
   B23K26/21 Z
   B23K26/067
   B29C67/00
   B33Y30/00
   B22F3/16
   B22F3/105
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-547127(P2016-547127)
(86)(22)【出願日】2016年3月15日
(86)【国際出願番号】JP2016058204
(87)【国際公開番号】WO2017158739
(87)【国際公開日】20170921
【審査請求日】2016年7月15日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度 経済産業省「産業技術開発(次世代産業用三次元造形システム技術開発)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】514227988
【氏名又は名称】技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(74)【代理人】
【識別番号】100198960
【弁理士】
【氏名又は名称】奥住 忍
(72)【発明者】
【氏名】大野 博司
(72)【発明者】
【氏名】笹木 裕司
(72)【発明者】
【氏名】津野 聡
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直忠
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 光夫
【審査官】 奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−528727(JP,A)
【文献】 特開2007−190560(JP,A)
【文献】 特開平06−198480(JP,A)
【文献】 特開平08−252685(JP,A)
【文献】 特開平03−138092(JP,A)
【文献】 特表2015−535745(JP,A)
【文献】 特開2012−125772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00−26/70
B22F 3/105
B22F 3/16
B29C 67/00
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光加工用の光線を射出する光源と、
前記光源から射出された前記光線を受光し、受光光線を加工点に集光させる光学系を有するノズルヘッドと、
前記ノズルヘッドを移動させる移動機構と、
を有し、
前記光学系は、
内壁面が鏡面で回転対称軸を有し、前記加工点を焦点として有する回転対称ミラーと、
前記回転対称ミラーの前記回転対称軸に沿って加工点から離れた位置に、前記光源からの光線を取り込む入射開口と、
を含み、
前記光線が前記入射開口から入射して、前記回転対称ミラーの前記内壁面で反射するように、前記入射開口よりも加工点から離れた位置に前記光源が配置され、
前記回転対称ミラーを用いたノズルヘッドがXY平面内で任意に移動したとき、前記光源のチルト角度の調整角度Δβについて、前記光源の前記入射開口からの高さをL0、前記光源から移動前の前記回転対称ミラーの焦点までの距離をD0、前記光源から移動後の前記回転対称ミラーの焦点までの距離をD1とすると、
Δβ=tan-1(D0/L0)−tan-1(D1/L0)
となる角度調整を行いつつ、
前記ノズルヘッドの移動に応じて、前記光源からの光線が前記焦点に向くように、前記光源の光線を回動させる調整手段をさらに備えた光加工装置。
【請求項2】
前記回転対称ミラーは前記回転対称軸上に長軸を有する回転楕円体ミラーであり、
前記回転楕円体ミラーの第1焦点に、前記ノズルヘッドに向けて射出された前記光線の焦点が一致し、
前記第1焦点を通過し、前記回転楕円体ミラーの前記内壁面に入射して反射した反射光線が、前記回転楕円体ミラーの第2焦点に集光するように前記光源が配置された請求項に記載の光加工装置。
【請求項3】
前記回転対称ミラーは、回転放物面体ミラーであり、
前記回転対称ミラーの焦点が加工点に一致する請求項1に記載の光加工装置。
【請求項4】
前記調整手段は、前記ノズルヘッドの移動に応じて、前記光源からの光線が前記光学系に到達するように、前記光源の光線射出高さを調整する請求項1に記載の光加工装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光加工装置を備え、積層造形を行う造形装置であって、
前記ノズルヘッドは、粉体材料を前記加工点に向けて噴射する造形装置。
【請求項6】
光加工用の光線を射出する光源と、
前記光源から射出された前記光線を受光し、受光光線を加工点に集光させる光学系を有するノズルヘッドと、
前記ノズルヘッドを移動させる移動機構と、
を有する光加工装置の制御方法であって、
前記光学系は、
内壁面が鏡面で回転対称軸を有し、前記加工点を焦点として有する回転対称ミラーと、
前記回転対称ミラーの前記回転対称軸に沿って加工点から離れた位置に、前記光源からの光線を取り込む入射開口と、
を含み、
前記光線が前記入射開口から入射して、前記回転対称ミラーの前記内壁面で反射するように、前記入射開口よりも加工点から離れた位置に前記光源が配置され、
前記回転対称ミラーを用いたノズルヘッドがXY平面内で任意に移動したとき、前記光源のチルト角度の調整角度Δβについて、前記光源の前記入射開口からの高さをL0、前記光源から移動前の前記回転対称ミラーの焦点までの距離をD0、前記光源から移動後の前記回転対称ミラーの焦点までの距離をD1とすると、
Δβ=tan-1(D0/L0)−tan-1(D1/L0)
となる角度調整を行いつつ、
前記ノズルヘッドの移動に応じて、前記光源からの光線が前記焦点に向くように、前記光源の光線を回動させる調整工程を含む光加工装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工面にレーザ光などの光を照射し、その照射部に、例えば、粉体材料を含む流体を噴射することにより、粉体材料を溶融して造形する光加工に用いられる光加工装置に関するものであり、特に、光加工装置のノズルヘッドもしくはノズルの移動の機動性ならびに加工精度の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野に属する特許文献1では、粉体材料を加工点に向けて射出する粉体射出部と加工光のエネルギーを集光する集光光学系とが一体となった加工ヘッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7223935号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構造では、粉体射出部であるノズル(あるいはノズルヘッド)と集光光学系とが一体となっているため、光加工ヘッドは重いものであり、光加工ヘッドを移動させる際の機動性が低かった。
【0005】
特に、レーザ光などの加工光の光源は重量があり機動性は低い。そのため、光源を光加工ヘッドと共に移動させることは困難である。そこで従来では、光源を固定し、光源と光加工ヘッドを光ファイバーで結び、光加工ヘッドを移動させる構成としていた。
【0006】
さらに、光ファイバー自体は細く重くはないものの、光ファイバーを保護する被覆を含めると重量とボリュームは嵩み、さらに、光加工ヘッドと共に移動するファイバーが他の機器と干渉するおそれがある。
【0007】
そのために、光加工ヘッドの集光光学系のみならず、光ファイバーも加工装置全体の機動性を低める障害となっていた。
【0008】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る光加工装置は、
光加工用の光線を射出する光源と、
前記光源から射出された前記光線を受光し、受光光線を加工点に集光させる光学系を有するノズルヘッドと、
前記ノズルヘッドを移動させる移動機構と、
を有し、
前記光学系は、
内壁面が鏡面で回転対称軸を有し、前記加工点を焦点として有する回転対称ミラーと、
前記回転対称ミラーの前記回転対称軸に沿って加工点から離れた位置に、前記光源からの光線を取り込む入射開口と、
を含み、
前記光線が前記入射開口から入射して、前記回転対称ミラーの前記内壁面で反射するように、前記入射開口よりも加工点から離れた位置に前記光源が配置され、
前記回転対称ミラーを用いたノズルヘッドがXY平面内で任意に移動したとき、前記光源のチルト角度の調整角度Δβについて、前記光源の前記入射開口からの高さをL0、前記光源から移動前の前記回転対称ミラーの焦点までの距離をD0、前記光源から移動後の前記回転対称ミラーの焦点までの距離をD1とすると、
Δβ=tan-1(D0/L0)−tan-1(D1/L0)
となる角度調整を行いつつ、
前記ノズルヘッドの移動に応じて、前記光源からの光線が前記焦点に向くように、前記光源の光線を回動させる調整手段をさらに備えた
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る造形装置は、
上記光加工装置を備え、積層造形を行う造形装置であって、
前記ノズルヘッドは、粉体材料を前記加工点に向けて噴射する。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る光加工装置の制御方法は、
光加工用の光線を射出する光源と、
前記光源から射出された前記光線を受光し、受光光線を加工点に集光させる光学系を有するノズルヘッドと、
前記ノズルヘッドを移動させる移動機構と、
を有する光加工装置の制御方法であって、
前記光学系は、
内壁面が鏡面で回転対称軸を有し、前記加工点を焦点として有する回転対称ミラーと、
前記回転対称ミラーの前記回転対称軸に沿って加工点から離れた位置に、前記光源からの光線を取り込む入射開口と、
を含み、
前記光線が前記入射開口から入射して、前記回転対称ミラーの前記内壁面で反射するように、前記入射開口よりも加工点から離れた位置に前記光源が配置され、
前記回転対称ミラーを用いたノズルヘッドがXY平面内で任意に移動したとき、前記光源のチルト角度の調整角度Δβについて、前記光源の前記入射開口からの高さをL0、前記光源から移動前の前記回転対称ミラーの焦点までの距離をD0、前記光源から移動後の前記回転対称ミラーの焦点までの距離をD1とすると、
Δβ=tan-1(D0/L0)−tan-1(D1/L0)
となる角度調整を行いつつ、
前記ノズルヘッドの移動に応じて、前記光源からの光線が前記焦点に向くように、前記光源の光線を回動させる調整工程を含む
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光加工装置の機動性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る光加工装置の構成を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態の光加工装置において、ノズルヘッドの任意の移動に追随して、光源からの平行光線が、エネルギーの拡散やロスもなくてノズルヘッドに到達する原理を説明する図である
図3】本発明の第1実施形態の光線方向変換光学系構成を示す図である
図4】本発明の第1実施形態の加工装置において、ノズルヘッドが時間の経過(t1→t2→t3)と共にXY平面上で移動に追随して、加工点(集光点または光線の収束点)が加工基板上の一点に集光し続け、移動していく様子を示す図である。
図5】本発明の第1実施形態において、ノズルヘッドがY軸方向平行移動しても、Y軸方向に平行な光線が、Y軸に対して45度傾斜した平面ミラーより、ノズルヘッド到達る様子示す図である。
図6】本発明の第1実施形態の光加工装置を、Y軸に沿って複数ヘッドを配置したマルチヘッド光加工装置に適用した変形実施例の構成を示す図である。
図7】本発明の第2実施形態にかかる光加工装置構成を概念的に示す図である
図8】本発明の第2実施形態の回転対称ミラー、回転楕円体鏡面を有するミラーより実現した第2実施形態の1実施例の構成を示す図である。
図9】第2実施形態の第1実施例である回転楕円体鏡面構成を説明する図であ
図10】本発明の第2実施形態の回転対称ミラー、回転放物面体鏡面を有するミラーより実現した第2実施例の構成を示す図である
図11第2実施形態(第1実施例と第2実施例に共通)の光加工装置おいて、ノズルヘッド二次元平面内で移動際して、光源からの光線が移動しているノズルヘッドの入射開口追随させる動作と構成を示す図である
図12】光源がノズルヘッドの斜め上方におかれる第2実施形態光加工装置おいて、ノズルヘッド移動によって、光源からの距離に変動があった場合でも、入射光線の入射開口への入射を可能とするために、光源のZ軸方向高さ(Lz)を調整することが必要となる理由を説明する図である。
図13】光源が斜め上方におかれる第2実施形態の第1実施例の光加工装置おいて、ノズルヘッド移動によって、光源からノズルヘッドまでの距離変動があった場合に、光光学系の焦点距離を制御する原理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を適用した好適な実施形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明記載する。ただし、以下の実施の形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0015】
以下に説明する2つの実施形態、ならびに、それらの実施例もしくは変形例は、本発明の光加工装置を、粉体材料を加工光線(加工光、光線、光線ビーム)により溶融して積層造形を行う造形装置に適用したものである
【0016】
<実施形態概略>
第1、第2実施形態の加工装置は、図1乃至図6により説明される。第3乃至第5実施形態の装置は、図7乃至図13により説明される。
【0017】
第1実施形態乃至第5実施形態の共通の課題は、ノズルヘッドを移動させながら光加工する場合において、ノズルヘッドへの光線エネルギーの伝搬を、従来のような光ファイバーに頼らずに行なうことにある。即ち、ノズルヘッド動作に対して物理的な外乱力として働く懼れのある光ファイバーのような光伝搬媒体を用いずに、開放空間を伝搬媒体として、光源からの光線エネルギーを、ノズルヘッドを介して加工点に伝搬することにある。
ここで、光線エネルギーは、可視光、ミリ波、赤外線、紫外線などあらゆる波長域の電磁波のエネルギーでよい。
【0018】
第1実施形態では、光源から射出される加工光線は「平行光線」を用いる。他方、第3乃至第5実施形態では、回転対称体ミラー(楕円体ミラー、や回転放物面体ミラー)を用いるが、この際楕円体ミラー対しては「集光光線」を用い放物面体ミラーに対しては平行光線を用いる。
【0019】
(第1実施形態)
以下、図1乃至図6を参照して、第1実施形態にかかる光加工装置100と、その変形例であるマルチヘッド光加工装置について詳細に説明する。
【0020】
加工装置100は光源と独立して移動する(つまり、相対位置が可変である)ノズルヘッド110を含み、その適用分野は、ノズルヘッド(加工用ノズル)110が集光した光が生み出す熱で流体中の粉体材料を溶融することにより三次元造形物を造形する、もしくは、肉盛溶接を生成する装置である。
【0021】
加工装置100は、ノズルヘッド110の他に、加工光線(加工光、光線、光線ビーム)を発生してその加工光線を平行ビーム(平行光線)の形態でノズルヘッド110に向けて射出する光源101と、加工対象である加工基板108を載置するステージ105と、粉体材料を収容する材料収容装置106と、粉体材料をノズルヘッド110に供給する供給パイプ103と、ノズルヘッド110を移動するノズルヘッド移動機構104と、光加工装置100の動作を制御する制御部102とを備えている。
【0022】
光源101としては、本明細書では、便宜上、レーザ光源を用いることとするが、LED(Light Emitting Diode)、ハロゲンランプ、キセノンランプなども用いることができる。材料の溶融に使う光線はレーザ光に限るものではなく、加工点160で粉体材料を溶融することができるものであればどのような光線でもよい。例えば、マイクロ波から紫外線領域の電磁波などの光線であってもよい。
【0023】
材料収容装置106は、ノズルヘッド110に対し、供給パイプ103を介して材料(粉体、粉体材料)を含むキャリアガスを供給する。例えば、材料は金属粒子、樹脂粒子などの粉体材料である。キャリアガスは、不活性ガスであり、例えばアルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス、などの流体でよい。供給パイプ103は例えば樹脂あるいは金属のホースであり、キャリアガスに材料を混入させた粉体流をノズルヘッド110へと導く。ただし、材料は線材でもよく、この場合、キャリアガスは不要となる。
【0024】
ノズルヘッド110は、たとえばコアキシャル型と呼ばれる構造を有していてもよい。その場合、ノズルヘッド110は回転対称軸を有し、加工点160へ向かい先細りする回転対称な外部筐体と内部筐体から構成される。両者は、間隙(スリット)が形成されるように配置される。粉体流は、このスリットを通り加工点160へと射出され、加工点160で収束される。このとき、スリットの幅を変化させることで、粉体のスポット径を変化させることができる。つまり、外部筐体をスライドさせてスリット幅を変化させることにより、線状の造形物の幅を変化させることができ、細書きあるいは太書きを実現できる。制御部102は、細書きまたは太書きなどの造形条件を入力し、入力した造形条件に応じて光源101からのレーザ光の出力値を変更すると共に、ノズルヘッド110の外側筐体をスライドさせる。これにより、ノズルヘッド110から射出される粉体の粉体スポット径を、加工基板108上に形成する溶融プール径に合わせて制御する。
【0025】
<ヘッド走査移動機構>
図2ノズルヘッド移動機構104の詳細構成を示す図である
【0026】
ズルヘッド移動機構104は、ノズルヘッド110を、制御部102内の所定のプログラムに従ってX軸(120X)とY軸(120Y)が成すXY平面内で所望の位置に移動し位置決めするもので、ノズルヘッド110を、任意のXY座標系の座標位置に移動する。ここで、XY平面は、鉛直方向に垂直な水平面であり、Z軸(120Z)方向は、このXY平面に垂直な軸である。ただし、これに限るものではなく、XY平面の法線は鉛直ではなくどのような方向を向いていても構わない。XY平面の法線を鉛直方向に限るものではなく、鉛直方向にした場合、加工に使用されなかった余剰な粉体材料が鉛直方向に落ちるため、回収しやすいという利点がある。
【0027】
Y軸方向に沿って伸びたY軸ガイドレール104YRの一端は、制御部102の位置決めプログラムの座標系の所定の固定位置に対応する固定物に固定されている。このY軸ガイドレール104YR上に沿ってY軸スライダー104YSが位置決めプログラムに即して自在に移動する。
【0028】
X軸ガイドレール104XRは、このX軸ガイドレール104XRがY軸ガイドレール104YRに直交するように、Y軸スライダー104YSに固定されている。ただし、この限りではなく、X軸ガイドレール104XRは、Y軸ガイドレール104YRに斜交するように取り付けられてもよい。以上により、Y軸スライダー104YSがY軸ガイドレール104YR上を移動するにつれて、Y軸スライダー104YSに固定されたX軸ガイドレール104XRが、そのY軸ガイドレール104YRに対する直交状態(あるいは斜交状態)を保ちながら移動する。
【0029】
X軸に平行なX軸ガイドレール104XR上をX軸スライダー104XSは自在に移動する。ノズルヘッド110本体はこのX軸スライダー104XSに固定されている。ノズルヘッド110のX軸位置は、X軸スライダー104XSがX軸ガイドレール104XRに沿って移動させることによって位置決めすることができる。
【0030】
X軸スライダー104XSと同じく、Y軸スライダー104YSは、X軸ガイドレール104XRの所定の位置に固定され、Y軸スライダー104YS自体は、内部を貫通するY軸ガイドレール104YRに沿ってY軸方向120Yにスライドするが、X軸方向120Xには移動しない。
【0031】
したがって、制御部102は、所定の制御プログラムにより、ノズルヘッド110を座標(x1,Y1)に移動するときは、X軸スライダー104XSを「x1」位置に移動させる指令と、Y軸スライダー104YSを「Y1」位置に移動させる指令を送る。
【0032】
かくしてノズルヘッド移動機構104は、制御部102の位置決めプログラムを介してX軸スライダー104XSとY軸スライダー104YSに対してコマンドを送ることにより、ノズルヘッド110を所望の加工位置(X、Y)に位置決めすることができる。
【0033】
<光源>
光源101は、ノズルヘッド110に光線方向反転光学系として設けられた平板ミラー146に光線が到達するように、平行光線142を射出する
【0034】
ノズルヘッド110がXY平面内を自在に移動するのと対照的に、光源101は固定位置に不動である
【0035】
また、光源101は、平行光線(142Xあるいは142Y)を、走査系が1次元であれば直接ノズルヘッド110に向けて、XY二次元走査系では、中継用の光線方向変換ミラー145に向けて照射する。
【0036】
平行光線はその性質故に、開放空間中を進行しても、平行状態は変わらない。また、光源101とノズルヘッド110との間では、光線方向変換ミラー145や平板ミラー146のみが設けられ、レンズなどの像を変倍する光学系は用いられていない。この平行光線142は、光源101とノズルヘッド110との間では、ノズルヘッド110がXY平面内をいかに移動しようとも、光源101と光線方向変換ミラー145間の距離、あるいは、光線方向変換ミラー145と平板ミラー146の間の距離が伸縮することはあっても、平行光状態は保たれ、即ち、光線のエネルギー密度は射出時のものに保たれて、ノズルヘッド110に到達する。
【0037】
本実施形態において、光線方向変換ミラー145と平板ミラー146とは、それぞれY軸スライダー104YSおよびノズルヘッド110に固定である。しかし、光線方向変換ミラー145と平板ミラー146との協働により、ノズルヘッド110のXY平面内の任意の移動があっても、移動したノズルヘッド110の平板ミラー146に平行光線をリアルタイムで導く方法も考えられる。
【0038】
<ノズルヘッドの構成>
ノズルヘッド110は、ノズル部分107を備えており、ノズル部分107はたとえば内部に同心円状の2層の中空の管路を備えている。ただし、このような構造に限るものではない。またノズルヘッド110は、ノズル部分107と光学系部分とからなる。ノズル部分107の中心側の管路の中を集光される光線が通り、その外側の管路には粉体流が通る。光線と粉体流とは、ノズルヘッド110の先端から射出され、加工基板108上の加工点で合流して溶融プールを形成し、造形が行われる。
【0039】
ノズルヘッド110のノズル部分107の内部では、ノズルヘッド110の集光光学系により加工点160に向けて集光された加工光線(加工光、光線、光線ビーム)と共に、材料収容装置106から供給された粉体が同じく加工点160に向けて供給され、結果的に、ノズル部分107の出口から両者が加工点160に送られて、粉体が加工光線(加工光、光線、光線ビーム)の熱により溶融される
【0040】
図3は、ノズルヘッド110内に設けられた光線方向変換光学系140の構成のXZ断面図である。図3は、説明の簡略化のために、2つのガイドレールのうち、X軸スライダー104XSが摺動するX軸ガイドレール104XRのみを示し、Y軸スライダー104YSなどの図示は省略している。即ち、図1では、光源101からの射出光線はY軸スライダー104YSに向かうが、図3では、Y軸スライダー104YSの図示は省略して、X軸スライダー104XSの平板ミラー146に向かう光線のみ示している。図3で、光源101からの射出光は集光レンズ301の働きにより、平行光線となる。図3に示すように、ノズルヘッド110は、光線を集光させる集光レンズ270を内部に備え、その集光レンズ270の下流に、ノズル部分107を備えている。ノズルヘッド110に供給されたレーザ光は、内部に設けられた集光レンズ270を介することで、加工点160において集光するように調整されており、ノズル部分107内部を経て加工点160に照射される。なお、集光レンズ270は、ノズル部分107に対する相対位置を制御することで、集光位置を制御可能に設けられている。
【0041】
ノズル部分107の直上方には集光レンズ270が設けられ、光源101からの平行光線142を集光してエネルギー密度が高められた加工光線(加工光、光線、光線ビーム)が加工点160に到達する。
【0042】
集光レンズ270の直上方には、平板ミラー146の法線が、X軸とZ軸の両軸に対して45度傾けられて設けられている。
【0043】
軸ガイドレール104XRに平行な平行光線142Xは、平板ミラー146に入射すると、反射により光路がZ軸に沿うように90度折り曲げられて、平行光線142のまま、集光レンズ270に向かう。
図4で、光源101から射出された平行光線142Yは、Y軸スライダー104YSの光線方向変換ミラー145に入射し、そこで、反射により90度だけ折り曲げられ、X軸スライダー104XSの平板ミラー146に入射する。平板ミラー146は、この平行光線142Xを反射により90度折り曲げて下方(鉛直下向き)の集光レンズ270に入射させる。集光レンズ270は集光光142Z−Fを加工点160に向けて集光する。
図4では、光源101からの平行光線142Xは光線方向変換ミラー145を経て、X軸スライダー104XSの平板ミラー146に到達する。平板ミラー146で反射されて折り曲げられた平行光線142Z−Cは同じく集光レンズ270に入射する。集光レンズ270は、平行光線を加工点160に向けて集光光(集光光線)142Z−Fに変換する。
【0044】
<光線方向変換ミラー145の動作>
次に、図5を参照しつつ、ノズルヘッド移動に対し、加工光線(加工光、光線、光線ビーム)である平行光線追跡動作について説明する。 図Y軸スライダー104YSが座標位置Y0に停止しているときのノズルヘッド110と光源101を示した図である。時刻tが、t1→t2→t3と変化したとき、X軸スライダー104XSの座標値が、x1→x2→x3と変化する。このとき、平行光線142の経路が、142(t1)→142(t2)→142(t3)と変化し、その経路長が変化しても、平行光の状態は保たれる。従って、加工点160における加工光線の照射エネルギーに変動はなく等量であることを示している。したがって、加工点160における加工は加工プログラムの仕様通りに行われる。
【0045】
光加工装置100は、ノズルヘッド110が移動している際、切れ目なく加工光線をノズルヘッド110に連続して供給することにより、加工のリードタイムを短縮できる。ただし、この限りではなく、加工光線はパルスレーザーなどでもよい。また、敢えて加工光線を止めることにより、造形物の冷却を促し、造形精度を向上させることもある。一方、光源101は固定位置に置かれ、X,Y,Zのいずれの方向に対しても移動することはない。
【0046】
加工装置100では、光源101からY軸方向120Yに沿って射出された加工光線を、ノズルヘッド110に到達させるためにY軸スライダー104YSに平板の光線方向変換ミラー145を設ける。これによりX軸方向120Xに向けて光線を反射させることができる。
【0047】
このような構成とすることで、光線方向変換ミラー145のY軸スライダー104YSに対する相対位置を、ノズルヘッド110の移動に応じて変化させる必要がない。つまり、光線方向変換ミラー145の駆動機構が必要ないため、シンプルな構成になるという利点がある。
【0048】
光線方向変換ミラー145により反射されX軸方向120Xに沿って伝搬する加工光線(光線、光線ビーム、平行光線)は、X軸スライダー104XSに設けられた平板ミラー146により、ノズル部分107に向けて下方(Z方向120Z)に折り曲げられる。
【0049】
軸スライダー104YS上の光線方向変換ミラー145の法線は、Y軸とX軸の双方に対して45度傾いており、Z軸方向に直交している。同じく、ノズルヘッド110上の平板ミラー146は、Y軸とZ軸に対して45度傾いている。光線方向変換光学系140は、X軸に平行な平行光線142Xの伝搬方向をZ軸方向に変換する平板ミラー146と、Z軸方向に方向を変換された光線を集光する集光レンズ270とからなる。
【0050】
X軸とY軸は、それぞれX軸ガイドレール104XSとY軸ガイドレール104YSに平行なので、X軸ガイドレール104XSとY軸ガイドレール104YSとが形成する平面は、X座標軸とY座標軸とが形成するXY平面に平行である。また、光源101からY軸スライダー104YS側に向けられた光線142Yと、Y軸スライダー104YSに設けられた光線方向変換ミラー145により反射された光線142Xとがなす平面も、上記XY平面に平行である。
【0051】
光源101から射出された平行光線142Yは、Y軸スライダー104に設けられた光線方向変換ミラー145によってX軸ガイドレール104XSに沿った平行光線142Xに変換される。これより、平板ミラー146には常に同じ入射角を持った光線が入射される。したがって、X軸スライダー104XSに固定されて設けられたノズルヘッド110が、X軸スライダー104XSとY軸スライダー104YSとにより、いかなる位置に移動されても、光源101から射出された光線は、ノズルヘッド110の移動に追随するので、ノズルヘッド110のノズル部分107に精度高く到達する。
【0052】
線方向変換ミラー145と平板ミラー146とにより、ノズルヘッド110がXY平面上のどの位置に移動しても、そのノズルヘッド110の位置に平行光線142を導いている。即ち、加工装置100は、ノズルヘッド110が移動しても、加工光線はノズルヘッド110の移動に正確に追随し、ノズルヘッド110に到達する。
【0053】
加工装置100は、ノズルヘッド110の位置、移動速度、移動方向の如何によらず、ノズルヘッド110に到達する光線のエネルギーを変動させない。換言すれば、開放空間中の伝搬による光線のエネルギーの損失は極小である。
【0054】
集光された集光光142Z−Fは、ノズル部分107の、内側の管路の射出開口324に入射し、加工点160に向けて照射される。
【0055】
前述したように、粉体流はノズル部分107の外側の管路を通り、加工点160に向けて吹き出される。
【0056】
こうして、集光光142Z−Fは加工点160上で積層加工などを行う。
【0057】
この積層加工の過程で、ノズルヘッド110は、X軸スライダー104XSあるいはY軸スライダー104YSの移動により、二次元の平面領域での積層加工することができる。
【0058】
図5に示すとおり、光源101からの平行光線は、平行光線のまま、ノズルヘッド110が設けられたX軸スライダー104XSに設置された平板ミラー146に入射される。
【0059】
この平板ミラー146により平行光線のまま方向を変換されて反射され、さらに、集光レンズ270により集光光142Fに変換され、加工点160の加工に用いられる。
【0060】
即ち光源101からノズルヘッド110までは平行光線であるので、X軸スライダー104XSやY軸スライダー104YSがどのように移動しようとも、平行光線が保たれる。従って、加工光線(加工光、光線、光線ビーム)は光源101と平板ミラー146との間では、集光もしなければ発散もせずに、平行光のまま保たれる。
【0061】
即ち、ノズルヘッド110の平板ミラー146で受光される加工光線(加工光、光線、光線ビーム)のエネルギーは、光源101から射出された加工光線のエネルギーと同量である。換言すれば、ノズルヘッド110が、XY平面内のどの位置に、いかなる速度で移動しようとも、加工点160に照射されるエネルギーは等量である。即ち、均一な溶融加工が実現される。
【0062】
<第1実施形態の効果>
以上説明した本実施形態の光加工装置によれば、以下の効果が得られる。
【0063】
A:ノズルヘッド110と光源101とは分離されており、互いに独立して相対位置を変化させることができる。加工用の光線は、光源101からノズルヘッド110に向けて開放空間を介して送っている。そのため、従来ではヘッドの機動的動作の障害になっていたファイバーケーブルをノズルヘッド110と光源101との間で不要にしたことにより、ノズルヘッド110の動作の機動性が向上できる。
【0064】
B:光源101は、集光レンズ301を用いて平行光線に変換することができる。つまり、光源101の光源スポットと加工点160側の集光スポットは共役関係にある。これにより、光源スポットの大きさを変化させることで加工点160側の集光スポットの大きさを変化させることができる。つまり、光加工時に造形幅を調整できるという効果がある。光源スポットを可変にするには、ズームレンズなどの機構を用いればよい。また、光源101から発せられる光線のビームプロファイルを変化させ、造形精度の向上を図ることも可能である。このとき、ビームプロファイルを変化させる機構は、光源101に備えれば良い。
【0065】
以上により、光源101に光源スポットを可変にするズームレンズ機構(光源スポット可変機構)や、ビームプロファイル可変機構を盛り込むことができる。これにより、それらをノズルヘッド110に搭載した場合と比べ、ノズルヘッド110を軽量にでき、機動性を向上させることができる。
【0066】
C:光源101からノズルヘッド110への光線エネルギーの伝搬は平行光線を用いているので、光源101からの光線をノズルヘッド110に届けるまでの間に中継用の平板ミラー145や光線方向変換用の平板ミラー146が存在しても、光線エネルギーは発散も収束もされないので、ノズルヘッド110の移動にも拘わらず、集光点(加工点)においては均一なエネルギーで光加工が実現でき、加工の高精度化が達成できる。
【0067】
D:ノズルヘッド110の移動機構は、中継用の平板ミラー145や光線方向変換用の平板ミラー146により、光源101からの平行光線はY軸スライダーYSに平行に、ノズルヘッド110への平行光線はX軸スライダーXSに平行に伝搬させることが可能になっている。これにより、平板ミラー146に入射する平行光線の入射状態(入射角、入射位置)を、ノズルヘッド110の移動に関わらず常に同じにすることができる。これにより、ノズルヘッド110に到達する光線は光源101から射出された時点光線と同じエネルギー密度の平行光線となる。これにより、全ての加工対象領域での積層加工の均一な加工精度が保たれている。
【0068】
E:また、光線方向変換ミラー145及び平板ミラー146は各スライダー104XS,104YSに固定であり、ノズルヘッド110の移動に合わせ、各スライダー104XS,104YSに対する相対位置を変化させなくてもよいという効果がある。
【0069】
F:以上の効果は以下の3つの事項によって達成される。
・光源101からの光線が集光レンズ270に到達するまで平行光状態が保たれること、
【0070】
・光源101からの射出光142YはY軸に平行であり、また、X軸と平行なX軸ガイドレール104XRと共にY軸方向に移動する光線方向変換ミラー145の移動方向もY軸に平行であること、
【0071】
・平行光線142XはX軸ガイドレールXRに平行であること
【0072】
G:即ち、ノズルヘッド110がXY平面上を二次元的に移動することにより発生する、ノズルヘッド110の、光源101に対する方位角方向の変位によらず、光線方向変換ミラー145の移動によって吸収されることにより、第1実施形態において、二次元平面内で自在移動するノズルヘッド110の平板ミラー146に対する、光源101からの射出光の追従性が確保できる。
【0073】
(第2実施形態)
上述の加工装置100において、ガイドレールはX軸ガイドレール104SRとY軸ガイドレール104YRとの2つにより、二次元平面を走査可能にしていた。しかし、X軸ガイドレール104SRとY軸ガイドレール104YRとのいずれか一方のみ、即ち、1次元の操作用との加工装置に対しても適用可能である。同様に、光加工装置100は単独のノズルヘッド110を有する適用例であったが、複数のノズルヘッド(マルチヘッド)を用いる変形も可能である。
【0074】
複数(5個)のノズルヘッドを用いる例を、第2実施形態(マルチヘッド実施例)として図6を用いて説明する。
【0075】
本実施形態に係る加工装置600は第1実施形態と同様に、X軸に平行な5対のX軸方向ガイドレール(X−GR(n))と、Y軸に平行な1対のY軸ガイドレール(Y−GR(n))により形成される平面上で、5個のノズルヘッド(HEAD−#1〜#5)が自在に位置決めされるように構成される。変形例の個々のノズルヘッド(HEAD)は、図2のノズルヘッド110と異なるところは無い。即ち、夫々のノズルヘッド(HEAD)は、X軸に平行な平行光を鉛直下方に屈折させるフル反射ミラー(FM)と、X軸ガイドレール(X−GR)に沿って移動することによりフル反射ミラー(FM)を移動するX軸スライダー(X−SLD)を有する。
【0076】
n番目のX軸ガイドレール(X−GR(n))は、Y軸ガイドレール(Y−GR)に沿って自在に移動するY軸スライダー(Y−SLD(n))に支持される。かくして、任意のn番目のY軸スライダー(Y−SLD(n))がY軸ガイドレール(Y−GR)上を移動し移動するY軸スライダー(Y−SLD(n))に支持されたX軸ガイドレール(X−GR(n))上をX軸方向にX軸スライダー(X−SLD(n))が移動することにより、任意のヘッド(HEAD(n))をX軸とY軸上の任意の座標位置において位置決めできる。
【0077】
Y軸スライダー(Y−SLD(n))に設けられているミラーHMは、光線方向変換ミラー145と異なり、入射した光線の一部を反射し一部を透過させるハーフミラーである。
【0078】
加工装置600は、1つの光源(不図示)からの一本の加工光線を5つのノズルヘッド(HEAD(n))が共有する例である。1つの光源からの光線のエネルギーを5つのノズルヘッド(HEAD(n))に分配し、併せて、ハーフミラー(HM(n))の透過率(T)と反射率(R)とを適当に調整することにより、個々のノズルヘッド(HEAD(n))のフル反射ミラー(FM(n))に注がれる光線のエネルギー量を、個々に制御できる。
【0079】
光加工装置600において、個々のノズルヘッド(HEAD(n))で等量のエネルギーに設定する場合における、個々のハーフミラー(HM(m))の透過率(T)と反射率(R)は下記表(表1)に示されたセッティングを用いる。ここで、ノズルヘッド(HEAD(n))の数を5個とし、それをnとする。光源からの1本の平行光線のエネルギーをI(W:ワット)とすると、5個のノズルヘッド(HEAD(n))の各々に均等に供給される、とする設計の下では、1個あたりのエネルギーは5分のI(W)である。
【0080】
【表1】
【0081】
以上のセッティングによりノズルヘッド(HEAD(n))に供給されるエネルギー量は、光源からの射出エネルギーをI(ワット)とすると、一様に、I/5(W)となる。ここで、表1より明らかなように、m番目のハーフミラー(FM(m))の反射率は1/(n-m+1)×100となる。
【0082】
(第3実施形態)
実施形態としての光加工装置700では、第1実施形態で採用した光線方向反転光学系としての平板ミラー146を、回転対称ミラーにより置き換えるさらにいえば、第1実施形態の反転光学系と集光レンズの2機能を平板ミラー146に集約している。
【0083】
<加工装置の全体構成>
図7を用い加工装置700の概念を説明する。
【0084】
光加工装置700は、第1実施形態と同様に、光源701とノズルヘッド710と、ノズルヘッド710を移動させる走査移動機構(不図示)、さらに、制御装置(不図示)、材料供給系(不図示)、などから構成される。光源701は、光線742(あるいは光)をノズルヘッド710に向けて射出する。かくして、光加工装置700は、光加工装置100と同様に、光源701とノズルヘッド710との間には光ファイバーなどの光線伝搬媒体を不要である。
【0085】
走査移動機構>
実施形態では第1実施形態のノズルヘッド移動機構104がそのまま用いられている
【0086】
実施形態の走査移動機構、第1実施形態のノズルヘッド移動機構104と異なり、平板ミラー146と光線方向変換ミラー145とを不要にしている光線方向変換ミラー145は、光源101から、Y軸沿いに送られてきた平行光線142をX軸に平行に平板ミラー146に送るものである。しかし、光源701からの光線をノズルヘッドに直接送出する実施形態では光線方向変換ミラー145を用いる必要はない。
【0087】
<光源>
光源701は、光加工装置700に固定されている。光源701は、たとえばRAYLASE社の3Dスキャナーでよく、3Dスキャナーからの光線の集光点を3次元空間内に自由に走査できる。このとき、ノズルヘッド710に備えられた入射開口に集光点を追随させることができる。ただし、光源701の構成は様々であり、たとえば一部稼働してもよく、光源701の固定は、X座標方向とY座標方向に関して固定し、Z方向と光源701の鉛直軸周りの回転方向については固定されてなくても良い。このような構成で、光源701からの光線をノズルヘッド710に備えられた入射開口に入射させることができる。このとき、第2実施形態の光源701は、Z座標(図12参照)における光源701の高さ位置(高さ調整)と、光源701の方位角方向(図11の角度Δα)と、光源701のチルト角度については調整(図13の角度Δβ)が必要である
【0088】
光源701は、光源101と同様に、固体レーザ、ファイバーレーザ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、などでよい。ただし、これに限らず、電磁波を発生するものならばなんでもよい。
【0089】
光源701は、光源自体をZ軸(720Z)の周りに角度αだけ回動するタレットテーブル780により回転させられる。
【0090】
<ノズルヘッド>
ノズルヘッド710のノズル707内部では、光線方向変換光学系としての回転対称ミラー740により加工光線742Fが加工点160に向けて集光される。そして、材料供給装置から供給された粉体と共に加工点160に向けて供給され、結果的に、加工点160において、粉体が加工光線の熱により溶融され、溶融プールを形成する
【0091】
光源701は、光線742をノズルヘッド710に向けて射出する。光線742は、ノズルヘッド710の入射開口722に到達し、回転対称ミラー740によって光路を鉛直方向に変換され、方向変換された光線742Fは射出開口724を介してノズル707に入り、ノズル707の先端から射出されて加工基板108の加工点160で光加工を行う。
【0092】
<光線方向変換光学系(回転対称ミラー)の採用>
回転対称ミラー740は、平板ミラー146と異なり、内壁に反射面を有し回転対称に構成されたミラーである。
【0093】
回転対称ミラー740は、その回転対称軸723はノズル707の中心軸と一致し、ミラー面はノズル707の内側に形成されている。
【0094】
回転対称ミラー740は少なくとも1つの焦点を形成することができ、その焦点は、ノズル707に対して加工点側に設定することが可能である。
【0095】
一方、回転対称ミラー740は、ノズルヘッド710の中心軸の周りに回転対称となるように、ミラー面を形成されているので、その回転対称のミラー面によって形成される一群の焦点列はノズルヘッド710の中心軸に一致させることができ、そのようにミラー面を形成することができる。
【0096】
<射出光線の方位方向の補正>
回転対称ミラー740の形状をノズルヘッド710の中心軸の周りに回転対称に設定することの技術上の長所はノズルヘッド710がXY水平面内を任意方向に移動していく過程で、位置座標の変動ΔX、ΔYが大きくなることである。ここで、方位角のずれ量をΔαとすると、
【0097】
tanΔα=ΔY/ΔX
であらわされる。
【0098】
これよりX方向の移動量ΔXが相対的に小さいとき、あるいはY方向の移動量ΔYが大きいときは、Δαが大きくなる。光源701は、加工光線をノズルヘッド710の入射開口722に合致させて照射し続けることができる。光源701の光線射出方向をノズルヘッド710入射開口722の方向に合致させる調整は、タレットテーブル780が光源701を回動軸720の周りに角度αだけ自転させることによって実現できる。
【0099】
光加工装置700において、ノズルヘッド710による光線742の焦点Fが、座標位置XYZが(X0,Y0,0)から(X1,Y1,0)に移動しようとする場合において、座標XYZα(0,0,L0、0)にあった光源701を角度αだけ自転させる様子を示している。
【0100】
回転対称ミラー740の回転対称軸上にある焦点FがXY水平面上を(X0,Y0,0)から(X1,Y1,0)に移動しようとする場合、光源701からの光線742の方位角の変位量Δαは、
【0101】
tan Δα=(Y1−Y0)/(X1−X0)
によって決定される。
【0102】
ノズルヘッド710が(X0,Y0,0)から(X1,Y1,0)に移動しようとする場合に、光源701からの光線742は方位角変化Δαだけ回転させれば、ノズルヘッド710の入射開口722を捉えることができる。
【0103】
この場合、ノズルヘッド710の走査移動機構は、第1実施形態と同じく、X軸とY軸の2次元テーブルであるので、ノズルヘッド710自体のX軸とY軸に対する姿勢は変動しない。即ち、ノズルヘッド710が(X0,Y0,0)にあるときのノズルヘッド710のX軸に対する姿勢角度(図では角度ゼロ度)は、ノズルヘッド710が(X1,Y1,0)に移動した時点でも変わらない。しかし、ノズルヘッド710の光線42に対する角度は、(X0,Y0,0)での光線742−0に対するゼロ度から、(X1,Y1,0)におけるΔαに変化している。
【0104】
ノズルヘッド710の回転対称ミラー740の中心軸に対する回転対称性という性質により、ノズルヘッド710の光線742に対する姿勢変位Δαが変化しても、常に同様の光線変換を行える
【0105】
は、実施形態のノズルヘッド710が、座標位置(X0,Y0,0)から(X1,Y1,0)に移動し、光源701からノズルヘッド710の入射開口722までの距離Dの変化(D0からD1)した場合を示す。図は、光源701の高さを、初期高さ位置L0からΔZだけ変位させれば光源701からの光線742は、ノズルヘッド710の位置(X0,Y0,0)から(X1,Y1,0)への位置変化に対しても、光線方向を変化させなくても良いことを示している。
【0106】
光源701の初期高さL0が既知であるとすると、簡単な計算から調整後の光源701の高さLzは、
【0107】
Lz=L0・√(X12−Y12)/√(X02−Y02
により得ることができる。
【0108】
の例では、光源701のZ軸方向移動は平行移動であるとして、移動前後の光源701のZ軸に対する光線射出方向のチルト角βは既知であり、移動前後で変わらないことを仮定した。
【0109】
上記の光源701の高さ方向への高さ調整により、ノズルヘッド710のXY水平面内での移動があっても、光源701からの光線742がノズルヘッド710の入射開口722を捕捉し続けることができる。
【0110】
なお、図の手法は、光線742が平行光線である場合により効果的である。平行光であれば、光源701から入射開口722までの距離が変わっても、平行光状態は変わらない
【0111】
(第4実施形態)
<回転楕円体ミラー面の適用>
次に、回転対称ミラー(光線方向変換光学系)740の具体例を、図10乃至図12を用いて第4実施形態として説明する。
【0112】
図10は、回転対称ミラー740の第1の具体例としての回転楕円体ミラー1040を示す。
【0113】
10は、光加工装置1000に設けられた、ノズルヘッド1010の内部断面図を図示する。
【0114】
ノズルヘッド1010の内部に回転対称回転楕円体ミラー(以下「回転楕円体ミラー」と称す)1040、具体的には、回転楕円体の表面形状を有するミラー面によって光線変換光学系は構成されている。
【0115】
ノズルヘッド1010は、入射開口1022と射出開口1024を備えている。入射開口1022に連続して、回転楕円体ミラー1040の内面にミラー面が形成されている。回転楕円体ミラー1040のミラー面は、ノズルヘッド1010の射出開口1024まで続いている。
【0116】
なお、光線方向変換光学系が回転対称ではなく、回転対称軸を持たない場合、中心軸1023は入射開口1022から射出開口1024に向かう方向を正とする軸とする。
【0117】
11は、回転楕円体ミラー1040回転楕円体鏡面を構成する場合の幾何学的な分析について説明する図である
【0118】
一般に、回転楕円体は2つの焦点F1とF2とを有する。楕円体の中心軸1023を、走査移動機構のZ軸に一致させ、楕円の長軸をa、短軸をbとし、楕円体の中心OをXYZ座標系の原点にとると、焦点F1とF2の(X、Z)座標値は、
【0119】
F1:(0,√(a2−b2))
F2:(0,−√(a2−b2))
に位置する。
【0120】
楕円の性質として、いずれか一方の焦点(例えばF1)を通り、当該楕円体の任意の位置の壁面に結ぶ線分が、その壁面と成す角度は、他の焦点(例えばF2)から同壁面上の点にまで結ぶ線分が当該壁面で成す角度に等しい。即ち、楕円体の一方の焦点(F1)に入力した光線が、当該楕円体の壁面にあたって反射すると、その反射光線は、他方の焦点(F2)を通ることになる。
【0121】
そこで、光源1001からの集光光線を、回転楕円体ミラー1040の第1の焦点(図11のF1)に集光させる。即ち、光源1001の集光レンズ1043の焦点位置を、回転楕円体ミラー1040の第1の焦点に一致させるように集光レンズ1043を配置して光線842Fを第1焦点F1に入射させる。集光レンズ1043からの全ての光線1042Fの全光束を第1焦点F1に入射させれば、その光線束は全て、回転楕円体ミラー1040の第2の焦点(F2)に合焦する。そこで、第2の焦点位置(F2)を加工点160とすると、加工点160に光線エネルギーが集中して、溶融加工が実現する。
【0122】
この楕円体は中心軸1023の周りに回転対称である。したがって、光源1001が、図10の配置に対して、中心軸1023に対して任意の角度回転した位置に存する場合でも、光線842Fは、図10図11の楕円体鏡面上の点に入射し、そこで、反射して、第2焦点F2に集光する。
【0123】
回転楕円体ミラー1040を用い光加工装置1000の光源1001に対して、タレットテーブル780により、光源1001に方位角αの回転を与えることにより光源1001からの光線842Fは回転楕円体ミラー1040入射開口722に到達する。即ち、ノズルヘッド710の回転楕円体ミラー1040の回転対称性を巧みに利用して方位角方向のノズルヘッド710のずれを調整することができる。もしも回転楕円体ミラー1040の楕円体が方位角方向の対称性がなければ、図の手法で、光源1001を角度Δαだけまわしても、入射開口722は捉えることはできているかも知れないが、回転楕円体ミラー1040による反射光の加工基板上での焦点は、移動前の焦点とずれている懼れがあるからである。回転楕円体ミラー1040が回転対称であるからこそ、移動前の加工点160の走査機構上のXY座標値(X0,Y0)が(X1,Y1)に移動することにより、回転楕円体ミラー1040の第2の焦点F2は移動前後でずれが発生せず、正確な光加工が保証される。
【0124】
さらに、ノズルヘッド710のXY平面上に移動が入射開口722を光源1001から距離方向の距離Dの変動をもたらす(D1≠D0)場合には、図で説明した光源の高さ方向(Z軸方向)の調整(ΔZの調整)も適用される。
【0125】
即ち光線方向変換光学系740の具体例としての回転対称ミラー740は、楕円体の中心軸周りの回転対称性を具備している。したがって、図7のノズルヘッド710によって得られた、ノズルヘッド710のXY平面内の移動によるノズルヘッド710の位置変化に対する、光源光線による追従性が維持される。
【0126】
<光源高さ調整の変形例>
図8で説明したように、回転楕円体ミラー1040のミラー面の1つの性質である方位角方向の対称性を利用することができる。ノズルヘッド710の移動により、光源1001からの射出光線がノズルヘッド1010の入射開口1022を外れてしまうのを、光源1001の光線照射方向を角度Δαだけ調整することにより、入射開口1022の位置に照射方向を合わせるものである。回転楕円体ミラーや回転放物面体ミラーの「方位角方向の対称性」とは、回転楕円体や回転放物面体の回転対称軸のある点(例えば楕円体の第1焦点F1)を通る入射光線について、そのある点から見た入射光線の仰角を一定にした場合、任意の方位方向からの入射光線のミラー面による反射角が同じであることをいう。
【0127】
図11に示すように、楕円体のもう一つの性質として、第1焦点Fを通る入射光線は、その入射光線の仰角に拘わらず、第2焦点を通る性質がある。換言すれば、光源1001からの入射光線は集光光線である。光源1001の焦点位置が回転楕円体ミラー1040の第1焦点の位置に一致していれば、その焦点位置Fに表れる像は光源1001の発光体の像である。従って、第1焦点Fの位置に合焦して結像した発光体の像は、その入射光線の仰角が変化しても、全て、第2焦点F2に結像する即ち、第2の焦点位置(加工点160でもある)では回転楕円体ミラー1040によって、発光体の合焦像が表れるから、高温になり、溶融処理ができる
【0128】
光源1001からの集光光線の合焦画像を、回転楕円体ミラー1040の第1焦点に合わせるためには、移動後の光源1001から回転楕円体ミラー1040の第1焦点までの距離D1に、集光レンズ1043の焦点距離を調整して一致させる必要がある。そこで、図12に示すように、光源1001の射出光線の仰角βについて、回転楕円体ミラー1040を用いて、ノズルヘッドがXY平面内で任意に(ΔX,ΔY)だけ移動しても、光源1001のチルト角度βの調整角度Δβについて:
【0129】
Δβ=tan-1(D0/L0)−tan-1(D1/L0)
但し
D0=√(X02−Y02
D1=√(X12−Y12
となる角度調整を行う。
【0130】
ノズルヘッド710の位置が(X0,Y0)から(X0+ΔZ,Y0+ΔY)に移動しても光源1001の発光体の像が、集光レンズ1043により、回転楕円体ミラー1040の第1焦点F1の位置に合焦して結像する。
【0131】
そして、その発光体像が回転楕円体ミラー1040の壁面で反射して、この反射像が回転楕円体ミラー1040の第2焦点F2に結像して、その結果、加工点160上における光エネルギーの密度は極大化して、効率のよい光加工が達成できる。この補正はズームアクチュエータを用いる。
【0132】
回転楕円体ミラー1040によれば、ノズルヘッド710がいかなる移動を行ってもその移動量(ΔX,ΔY)に見合った光源1001のチルト角度補正を行えば、光加工を行うことができる。換言すれば、ノズルヘッド710の移動に合致して最適な方位角補正と、焦点距離補正と、チルト角度補正、とが同時に達成できる。
【0133】
(第5実施形態)
回転体曲面は第4実施形態の如き楕円体に限られない。例えば、鏡面の曲面が、図13のように、回転放物面体の場合には、その放物面体の唯一の焦点Fに加工点160を一致させることが可能である。図13は、回転対称ミラー740の第2の具体例としての回転放物面体ミラー1340を示す。回転楕円体ミラー1040や回転放物面体ミラー1340を総称して「回転対称ミラー」と呼ぶ。
【0134】
図13の回転放物面体ミラー1340に対して、光源1301から照射する光線は平行光線1342である。これは回転放物面体ミラー1340に平行光線1342が入射すると、その平行光線1342の元の光源1301の発光源の像が、放物面体の焦点に結像するという性質を利用するためである。
【0135】
回転放物面体ミラー1340のミラー面は、回転楕円体の場合と同じく、放物面体の焦点近傍のミラー壁面に射出開口1324を設ける必要がある。回転放物面体は、回転楕円体と異なり、焦点と反対側は外に開いている。このために、この開いている入射開口1322に入射光線を入射する。この場合、入射光線は平行光線1342とする必要があり、平行光線1342の全ての反射光線束が、放物面体の焦点に集中する。これにより、平行光線が加工160で集光される。
【0136】
なお、回転放物面体ミラー1340も、回転楕円体ミラー1040と同様に、光源の方位角(α)の補正(図)、光源の高さ補正(図)が必要であることは変わらない。ただし、本実施形態では、平行光線を用いるために、図13の合焦のための焦点距離補正は不要である。
【0137】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0138】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13