特許第6353928号(P6353928)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6353928レオロジー制御剤として適当な貯蔵で安定な尿素製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353928
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】レオロジー制御剤として適当な貯蔵で安定な尿素製剤
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20180625BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20180625BHJP
   C08K 5/205 20060101ALI20180625BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20180625BHJP
   C09D 11/00 20140101ALI20180625BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20180625BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20180625BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20180625BHJP
   C10M 133/16 20060101ALI20180625BHJP
   C10M 169/04 20060101ALI20180625BHJP
   C10N 20/04 20060101ALN20180625BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20180625BHJP
【FI】
   C09K3/00 103H
   C09K3/00 103G
   C09K3/00 103N
   C08G18/32 025
   C08K5/205
   C09D201/00
   C09D11/00
   C09J11/08
   C09J11/06
   C09D17/00
   C10M133/16
   C10M169/04
   C10N20:04
   C10N30:00 Z
【請求項の数】15
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2016-562881(P2016-562881)
(86)(22)【出願日】2015年4月15日
(65)【公表番号】特表2017-517595(P2017-517595A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(86)【国際出願番号】EP2015058210
(87)【国際公開番号】WO2015158794
(87)【国際公開日】20151022
【審査請求日】2016年12月14日
(31)【優先権主張番号】14164795.8
(32)【優先日】2014年4月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】598067245
【氏名又は名称】ベーイプシロンカー ヘミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100089185
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 誠
(72)【発明者】
【氏名】ロイトフェルト ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】エーベルハルト マルク
(72)【発明者】
【氏名】ナゲルスディイク レネ
(72)【発明者】
【氏名】ビューネ シルビア
(72)【発明者】
【氏名】オマイス ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブス ベルトホルト
【審査官】 今井 督
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−105042(JP,A)
【文献】 特開2004−099896(JP,A)
【文献】 特表2012−510434(JP,A)
【文献】 特表2013−503953(JP,A)
【文献】 特開2007−238943(JP,A)
【文献】 特開平10−087610(JP,A)
【文献】 特公昭48−016896(JP,B1)
【文献】 特開平04−324112(JP,A)
【文献】 特表2017−518398(JP,A)
【文献】 特開2006−022298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/00− 3/22
C08L 75/00− 75/16
C08G 18/00− 18/87
C08K 3/00− 13/08
C09D 1/00−201/10
C09J 11/00− 11/08
C10M 133/00−133/58
C10M 169/00−169/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A) 5重量%から75重量%の、350g/mol以上の分子量を有し、少なくとも1個の尿素基を含有する1種または複数の尿素成分、
(B) 15重量%から95重量%の、155から700g/molの分子量を有し、尿素基を含まず、以下の一般式(I)
【化1】

(式中、
(a) Rは、x=1から24個の炭素原子を含有するヒドロカルビルラジカルであり、
は、y=1から12個の炭素原子を含有する有機ラジカルであり、
は、z=1から12個の炭素原子を含有する有機ラジカルであるか、または
(b) R、RおよびRは、(a)で定義される通りであるが、RとRとが化学結合により互いに結合し、一緒になって、C(=O)N基を含めて、4から10個の環原子を有する環を形成し;x+y<4で4または5個の環原子を有する環の場合、Rラジカルは少なくとも6個の炭素原子、および最大で11個の炭素原子を含有するか、または
(c) R、RおよびRは(a)で定義された通りであるが、RとRとが化学結合により互いに結合し、一緒になって、一般式(I)中の窒素原子を含めて、4から10個の環原子を有する環を形成し、
ただし、(a)、(b)および(c)の各々について、x+y+z≧8である)、
を有するN−アルキルアミドの群からの1種または複数の有機溶媒、
(C) 0重量%から35重量%の、尿素基もイオン性基も含有せず、窒素および酸素からなる群から選択される最大で2個のヘテロ原子を有する、(B)以外の1種または複数の有機溶媒、および
(D) 0重量%から50重量%の、尿素成分(1つまたは複数)(A)、前記溶媒(1つまたは複数)(B)および前記溶媒(1つまたは複数)(C)とは異なる塩
を含み、
全ての重量パーセントの数字は尿素製剤の全重量に基づくものであり
(i) 前記尿素成分(A)の全重量に基づいて50重量%から100重量%の一般式(II)
31−[R33−Z−R34−W−]nR32
(II)
(式中、
31およびR32は、各場合に、同じであるかまたは異なり、各々独立に、1から100個の炭素原子を含有し、各場合に、最大で1個の尿素基および各場合に、最大で1個のウレタン基を有する、分岐または非分岐、飽和または不飽和の有機ラジカルであり、
33およびR34は、各場合に、同じであるかまたは異なり、各々独立に、1から300個の炭素原子を含有し、場合によりエーテル基を含有する分岐もしくは非分岐のポリエステルラジカル、2から300個の炭素原子を含有する分岐もしくは非分岐のポリエーテルラジカル、1から300個の炭素原子を含有する分岐もしくは非分岐のポリアミドラジカル、3から100個のケイ素原子を含有するポリシロキサンラジカル、分岐もしくは非分岐のC〜C22−アルキレンラジカル、分岐もしくは非分岐のC〜C18−アルケニレンラジカル、C〜C12−アリーレンラジカルおよび/または分岐もしくは非分岐のC〜C22−アリールアルキレンラジカルであり、
ZおよびWは、各場合に、同じであるかまたは異なり、各々独立に、NH−CO−Oおよび/またはNH−CO−NHであり、
nは、1から150の整数である)
の尿素成分(A)が存在するか;
または
(ii) 前記尿素成分(A)の全重量に基づいて50重量%から100重量%の尿素成分(A)が、各場合に、2000から55000g/molの重量平均分子量を有し、4から150個の尿素基を含有するか;
または
(iii) 前記尿素成分(A)の全重量に基づいて50重量%から100重量%の、各場合に、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および(IIId)
【化2】

【化3】

(式中、
AMは、2から50個の炭素原子を有する直鎖または分岐、飽和または不飽和、脂肪族、芳香族または脂肪族−芳香族の有機ラジカルであり、
AM1およびAM2は、各場合に、同じであるかまたは異なり、各々独立に、1から50個の炭素原子を有する直鎖または分岐、飽和または不飽和、脂肪族、芳香族または脂肪族−芳香族の有機ラジカルであり、この有機ラジカルは、ヒドロキシル基またはアミノ基などのさらなる官能基も有していてもよく、
IC1およびIC2は、各場合に、同じであるかまたは異なり、各々独立に、2から40個の炭素原子を有する直鎖または分岐、飽和または不飽和、脂肪族、芳香族または脂肪族−芳香族のヒドロカルビルラジカルであり、
IC3は、2から24個の炭素原子を有する直鎖または分岐、飽和または不飽和、脂肪族、芳香族または脂肪族−芳香族のヒドロカルビルラジカルであり、
RP1およびRP2は、各場合に、同じであるかまたは異なり、各々独立に、1から24個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐、飽和もしくは不飽和、脂肪族、芳香族もしくは脂肪族−芳香族の有機ラジカル、および/または1から120個のエーテル酸素原子を有するポリエーテルラジカル、および/または1から100個のエステル基を有し、場合によりエーテル基を含有するポリエステルラジカル、および/または1から100個のアミド基を有するポリアミドラジカル、および/または3から100個のケイ素原子を有するポリシロキサンラジカルであり、
RP3は、同じであるかまたは異なり、2から24個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐、飽和もしくは不飽和、脂肪族、芳香族もしくは脂肪族−芳香族のヒドロカルビルラジカル、および/または1から120個のエーテル酸素原子を有する(ポリ)エーテルラジカル、および/または1から100個のアミド基を有するポリアミドラジカル、および/または3から100個のケイ素原子を有するポリシロキサンラジカル、および/または1から100個のエステル基を有し、場合によりエーテル基を含有するポリエステルラジカルであり、
pは0または1である)
からなる群から選択される一般式の1つまたは複数の尿素成分(A)が存在する、
尿素製剤。
【請求項2】
(A) 10重量%から65重量%の、350から60000g/molの重量平均分子量を有し、少なくとも1個の尿素基を含有する尿素成分(1つまたは複数)、
(B) 20重量%から85重量%の、155から700g/molの分子量を有し、尿素基を含まず、一般式(I)を有するN−アルキルアミドの群からの有機溶媒(1つまたは複数)、
(C) 0重量%から25重量%の、尿素基もイオン性基も含有せず、窒素および酸素からなる群から選択される最大で2個のヘテロ原子を有する(B)以外の有機溶媒(1つまたは複数)、および
(D) 0重量%から15重量%の塩
を含み、
全ての重量パーセントの数字は尿素製剤の全重量に基づく、
請求項1に記載の尿素製剤。
【請求項3】
前記一般式(I)の溶媒(B)の全重量に基づいて、前記溶媒(B)の50重量%から100重量%が、
が、3から17個の炭素原子を含有する、分岐または非分岐、飽和または不飽和、好ましくは飽和のヒドロカルビルラジカルであり;
およびRが、各場合に、同じであるかまたは異なり、独立に、1から6個の炭素原子を有する、分岐または非分岐、飽和または不飽和の有機ラジカルであるか、または
とRとが、互いに化学結合により結合して、前記一般式(I)中の窒素原子を含めて、5から7個の環原子を有する環を形成している、
分子間アミド(B1)である、請求項1または2に記載の尿素製剤。
【請求項4】
前記一般式(I)の溶媒(B)の全重量に基づいて、前記溶媒(B)の50重量%から100重量%が、
とRとが互いに化学結合により結合して、C(=O)N基を含めて、4から8個の環原子を有する環を形成し、1個または複数の環炭素原子が、場合によりC〜C−アルキルラジカルにより置換されている、
分子内アミド(B2)である、請求項1または2に記載の尿素製剤。
【請求項5】
前記尿素成分(A)の全重量に基づいて、前記尿素成分(A)の70重量%から100重量%が、少なくとも2個の尿素基または少なくとも1個の尿素基と少なくとも1個のウレタン基を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の尿素製剤。
【請求項6】
前記尿素成分(A)の全重量に基づいて70重量%から100重量%の尿素成分(A)が、各場合に、イソシアヌレート形成および/またはウレトジオン形成によりオリゴマー化されたイソシアネートの単官能性アミンとの反応により得られる、請求項1からのいずれか一項に記載の尿素製剤。
【請求項7】
前記尿素成分(A)の全重量に基づいて95重量%から100重量%が、各場合に、少なくとも
一般式(IVa)
−O−CO−NH−Y−NH−CO−NH− (IVa)
(式中、Yは、4から20個の炭素原子を含有する、飽和または不飽和、分岐または非分岐のヒドロカルビルラジカルである)
の1つの分子セグメントを有し、
および、各場合に、一般式(IVb)
−O−CO−NH−Y−NH−CO−O− (IVb)
(式中、Yは、4から20個の炭素原子を含有する、飽和または不飽和、分岐または非分岐のヒドロカルビルラジカルである)
の分子セグメントを有さない、請求項1からのいずれか一項に記載の尿素製剤。
【請求項8】
前記溶媒(C)が、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、テルペン、テルペノイド、芳香族炭化水素、ハイドロクロロカーボン、アルコール、ケトン、エステル、グリコールエーテル、エーテル、アミド、スルホキシド、スルホン、アセタールおよびニトロアルカンからなる群から選択される、請求項1からのいずれか一項に記載の尿素製剤。
【請求項9】
前記塩(D)が、(i)イオン性液体および/または(ii)ハロゲン化物イオン、擬ハロゲン化物イオン、ギ酸イオン、酢酸イオンおよび/または硝酸イオンからなる群からの1価のアニオンとのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩および/またはアンモニウム塩からなる群から選択される、請求項1からのいずれか一項に記載の尿素製剤。
【請求項10】
前記塩(D)が、塩化リチウムである、請求項1から9のいずれか一項に記載の尿素製剤。
【請求項11】
(A)および(B)から;または(A)、(B)および(C)から;または(A)、(B)および(D)からなる、請求項1から10のいずれか一項に記載の尿素製剤。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の尿素製剤の、液体媒体のためのレオロジー助剤としての使用。
【請求項13】
前記レオロジー助剤が増粘剤および/またはチキソトロープ剤である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一項に記載の尿素製剤を含む、液体媒体。
【請求項15】
前記液体媒体が、ワニス、印刷インク、他のインク、顔料ペースト、ポリマー調合物、化粧品製剤、構造物材料調合物、セラミック調合物、潤滑剤、ポッティング化合物、封止材、噴霧剤、接着剤ならびに天然ガスおよび鉱物油生産で使用される調合物からなる群から選択される、請求項14に記載の液体媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵安定性の向上した尿素製剤、液体混合物のレオロジーを制御するためのそれらの使用、および本発明の尿素製剤を含む調合物に関する。
【背景技術】
【0002】
液体系、とりわけ液体コーティング系のレオロジーを制御するために、使用されるレオロジー助剤は、主に有機的に改質されたベントナイト、シリカ、水素化されたヒマシ油およびポリアミドワックスである。
【0003】
これらのレオロジー助剤の使用の欠点は、それらが通常、乾燥した固体の形態にあることである。それ故、その結果として、前記レオロジー助剤は、使用に先立って、溶媒および剪断力を使用して最初に消化されて半製品を形成する。あるいは、未消化のままのレオロジー助剤を、それらが特別の温度制御により、液体適用系、例えばコーティング系に導入されるような方法で、使用することもできる。この温度制御が目標の指定条件に従って行われなければ、典型的には、完成したコーティング系で生ずる結晶子が、コーティング中に欠陥を生じさせ得る。
【0004】
これらのレオロジー助剤を使用する一般的な欠点は、曇りのない透明なコーティングに濁りおよび曇りを生じさせることである。その上、加工処理時に塵埃を生じさせ得る乾燥した微粉の製品の取り扱いは、望ましくない。
【0005】
これらの固体のレオロジー制御剤に代替する液体の適用は、特定の尿素成分の溶液の適用である。この種の溶液は、実用的にしばしば使用されており、例えば、EP−A−1188779に記載されている。明示的に言及されている溶媒は、極性/非プロトン性溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよびN−ブチルピロリドンなどであるが、実施例では、ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドンのみを使用している。DE−A−19919482では、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチル−アセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ブチルピロリドンおよび比較のためのN−アルキルピロリドンの使用が開示されているが、後者は、尿素誘導体の溶解のために適当な媒体として、明示的には言及されておらず、まして使用されていない。EP−A−0006252では、N−メチルピロリドン、N−ブチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチル−アセトアミドと同様に、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素も適当な溶媒として挙げられている。しかしながら、上述の発明の文脈では、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびN−メチルピロリドンだけしか、実施例で使用されていない。N−メチルピロリドンに優る有利な代替として、DE−A−102008059702では、いわゆるイオン性液体の使用が提案されており、それは、実際には、中程度の温度条件下で(通常80℃未満、理想的には室温で)液体の溶融塩である。レオロジーを制御する溶解された尿素成分の性質は、通常非常に良好であるが、多くの場合、さらにもっと最適化されたレオロジー制御特性に対する願望がある。最適化された特性は、レオロジーに対する改善された効力におけるのみならず、場合によっては、適用に関係する調合物、例えば結合剤含有系における広い適合性においてもしばしば証明される。
【0006】
液体の形態で提供されるレオロジー助剤との関係で注目されるべきさらなる面は、それらの貯蔵安定性である。例えば、長期にわたる貯蔵期間または強い貯蔵ストレスは、例えば温度が変化する貯蔵の場合に、貯蔵安定性の低下をもたらし、目標系における効力が減少し得る。その理由は、尿素成分は、例えばこれらの系における結晶化により、適用系においてそれらのレオロジー制御効果を発揮すると想像されるにもかかわらず、尿素成分のいかなる増粘効果もまたは尿素製剤の貯蔵形態における結晶化さえも極めて望ましくないからである。貯蔵で安定な製剤の選択は、今まで、上記の溶媒を含む系に本質的に限定されてきた。それ故、適当な溶媒の選択は、これらが、特にその後の適用系と適合性でなければならず、同時に好ましくは液体組成物の十分な貯蔵安定性も保証して、さらなる要求(例えば、溶媒がレオロジー制御成分または適用系の他の構成要素と反応しないこと)に合致しなければならないので、難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故、レオロジーに対する効力および貯蔵安定性に関して改善された尿素製剤に対する必要性が未だ存在する。調合物のレオロジーに対する効力は、例えば、荷重下における安定性、すなわち、尿素製剤を用いて調合されたコーティング材料の降伏点を基準にして確認することができる。それに加えて、適用に関連する調合物、例えばワニスにおいて広い適合性を有する尿素調合物が必要とされる。より特定すると、尿素調合物を用いて製造されたワニスは、小斑点、筋および/または濁りの形成が最少レベルであるべきである。
【0008】
したがって、効果が良好で、改善された貯蔵安定性を有する相対的に高品質のレオロジー制御剤を提供することが、本発明の特別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、
(A) 5重量%から75重量%、好ましくは10重量%から65重量%、より好ましくは15重量%から60重量%、最も好ましくは20重量%から55重量%の、350g/mol以上の分子量を有し、少なくとも1個の尿素基を含有する1種または複数の尿素成分、
(B) 15重量%から95重量%、好ましくは20重量%から85重量%、より好ましくは30重量%から80重量%の、155から700g/molの分子量を有し、尿素基を含まず、以下の一般式(I):
【0010】
【化1】

(式中、
(a) Rは、x=1から24個の炭素原子を含有するヒドロカルビルラジカルであり、
は、y=1から12個の炭素原子を含有する有機ラジカルであり、
は、z=1から12個の炭素原子を含有する有機ラジカルであるか、
または
(b) R、RおよびRは、(a)で定義された通りであるが、RとRとが、化学結合により互いに結合し、一緒になって、C(=O)N基を含めて、4から10個の環原子を有する環を形成し;4または5個の環原子を有する環の場合(x+y<4)、Rラジカルは少なくとも6個の炭素原子、および最大で11個の炭素原子を含有するか、
または
(c) R、RおよびRは、(a)で定義された通りであるが、RとRとが、化学結合により互いに結合し、一緒になって、一般式(I)の窒素原子を含めて、4から10個の環原子を有する環を形成し、
ただし、(a)、(b)および(c)の各々について、x+y+z≧8である)
を有するN−アルキルアミドの群からの1種または複数の有機溶媒、
(C) 0重量%から35重量%、好ましくは0重量%から25重量%の、尿素基もイオン性基も含有せず、窒素および酸素からなる群から選択される最大で2個のヘテロ原子を有する、(B)以外の1種または複数の有機溶媒、および
(D) 0重量%から50重量%、好ましくは0重量%から15重量%の、尿素成分(1つまたは複数)(A)、溶媒(1つまたは複数)(B)および溶媒(1つまたは複数)(C)と異なる塩を含み、
全ての重量パーセントの数字は尿素製剤の全重量に基づく、
尿素製剤の提供により達成された。
【0011】
全ての上述の成分(A)、(B)、(C)および(D)、ならびに後で言及する成分(E)は、特定の成分のそれぞれの定義により含まれる1種または複数の種を含むことができる。成分に対する全てのパーセンテージの限界は、各場合における成分がただ1種だけからなる場合および数種が特定の成分を形成する場合(その場合、個々の種の重量による比率の総計がパーセンテージの限界内でなければならない)の両方で適用される。
【0012】
1種または複数の成分が、特定の種または特定の種の群に限定されるとしても、ここでこの成分から除外された種が、それにもかかわらず本発明の尿素製剤中に存在してもよいが、特定の成分に残る種と一緒にした総計が、該成分に対する本来のパーセンテージの限界を超える量で存在することはない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
例えば、本発明の特定の実施形態で、尿素成分(A)が、60000g/mol以上の重量平均分子量を有するこれらの種を除外するならば、分子量が350g/mol以上で同時に重量平均分子量が60000g/mol未満の種(それらは依然、尿素成分(A)と称される)に適用されるルールは、それらが尿素製剤の全重量に基づいて5重量%から75重量%の量で存在してもよいということである。しかし、残る種が、65重量%にとどまる比率で存在するならば、尿素製剤の全重量に基づいて10重量%以下の、尿素成分(A)の制限された定義から除外された60000g/mol以上の重量平均分子量を有する尿素種が存在してもよい。
【0014】
元来、成分(A)、(B)、(C)または(D)の1つに帰せられていたが、特定の成分の規格のせいでそれらの定義によっては最早含まれないこれらの種は、今度は下で定義される成分(E)の種とみなされる。その場合に、それらは、必然的に、それらの比率(パーセンテージ)に関して、それらがそこから除外された成分に残る種と合わせて、前段落で例示した特定の成分に対する本来のパーセンテージの限界を受ける。しかしながら、それらは、好ましくは、成分(E)として好ましいと特定される成分(E)の最大比率に対する制限も追加されて受ける。
【0015】
尿素成分(A)
請求項による尿素成分(A)の分子量は、350g/mol未満の分子質量を有する尿素成分(A)が一般的にレオロジー的に低活性であるかまたはさらにレオロジー的に不活性であることで、低い分子量範囲に制限される。350g/mol未満の分子量を有する低い活性を有するかまたは不活性なそのような物質は、典型的には限定された分子量を有する特定のモノマーのまたは低分子量オリゴマーの化合物であり、これらの化合物は、一般的に分子の不均一性を有さないので、重量平均分子量または数平均分子量を特定する必要がない。したがって、請求項によって選択される350g/molという下限は、その種にとって実際の分子量であり、例えば、NMRによって決定することができる。したがって、「尿素成分」という用語は、厳密に定義された分子量を有する純粋な材料の意味の化学的化合物と、オリゴマーまたはポリマーの成分、すなわち、多分散成分との両者を含む。異なる尿素成分が言及される場合、これが意味するところは、これらが、例えばオリゴマーまたはポリマーの場合には、それらの鎖長または分子量に関してだけでなく、使用される化学的な基本単位のタイプおよび/または量に関しても異なるということである。
【0016】
対照的に、尿素成分(A)の分子量における上限は、尿素成分(A)とレオロジー制御剤のさらなる構成要素、および尿素成分(A)が使用される後々の製剤との適合性が未だあるという条件で、それほど重要ではない。典型的な適合性の限界は、典型的には、平均分子量だけが特定され得るポリマーの尿素成分(A)により到達される。典型的には尿素成分(A)として適当なのは、60000g/mol未満の重量平均分子量を有するものであるが、個々の場合には、対応する系における適合性が保証されるという条件で、それより高い、例えば80000または100000g/molの分子量を有する尿素成分を使用することも可能である。当業者は、不十分な適合性の事象では、より低い重量平均分子量を有する尿素成分(A)に容易に戻ることができるであろう。
【0017】
当業者は、より高い分子量範囲については、分子量を決定するために、NMR分光法の代わりに他の方法が選択されるべきであることを承知しているであろう。1000g/molを超える分子質量を有する尿素成分(A)の重量平均分子量の決定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により決定される分子質量分布の重量平均として、以下の記載により実施される。GPC分子質量分布は、2008年1月のDIN 55672 Part 2に従って決定される。使用される溶離剤は、臭化リチウムのジメチルアセトアミド中の溶液(含有率5g/L)である。較正は、1000000g/molと102g/molの間の線状構造の狭い分布のポリメチルメタクリレート標準を使用して行われる。GPC系(導入部、試料プレート、検出器およびカラム)全体の温度は80℃である。350g/molから約1000g/molまでの尿素成分(A)の重量平均分子質量は、例えば、NMRによって、関係のあるNMR共鳴シグナルの積分を比として表すことにより決定することができる。しかしながら、この範囲における決定方法の選択は、請求項に従って確実にされるべきことが、上で説明したように、該尿素成分(A)が少なくとも350g/molの分子量を有することだけであるから、それほど重要ではない。
【0018】
本発明の特に好ましい実施形態においては、尿素成分(A)の全重量に基づいて70重量%から100重量%の尿素成分(A)が、少なくとも2個の尿素基または少なくとも1個の尿素基と少なくとも1個のウレタン基とのいずれかを有する。
【0019】
最も好ましくは、尿素成分(A)は尿素ウレタンである。尿素ウレタンの中でも、少なくとも2個の尿素基と少なくとも2個のウレタン基とを有するものが特に好ましい。より特には、平均して2個の尿素基と2個のウレタン基とを有するものが好ましい。
【0020】
しばしば、尿素成分(A)の全重量に基づいて50重量%から100重量%の、一般式(II)
31−[R33−Z−R34−W−]32
(II)
(式中、
31およびR32は、各場合に、同じであるかまたは異なり、各々独立に、1から100個、好ましくは10から90個、より好ましくは20から80個の炭素原子を含有し、各場合に、最大で1個の尿素基と各場合に、最大で1個のウレタン基を有する、分岐または非分岐、飽和または不飽和の有機ラジカルであり;
33およびR34は、各場合に、同じであるかまたは異なり、各々独立に、1から300個、好ましくは5から200個、より好ましくは6から150個の炭素原子を含有し、場合によりエーテル基を含有する分岐もしくは非分岐のポリエステルラジカル、2から300個、好ましくは3から150個、より好ましくは4から100個の炭素原子を含有する分岐もしくは非分岐のポリエーテルラジカル、1から300個、好ましくは5から200個、より好ましくは6から150個の炭素原子を含有する分岐もしくは非分岐のポリアミドラジカル、3から100個、好ましくは6から60個、より好ましくは9から39個のケイ素原子を含有するポリシロキサンラジカル、分岐もしくは非分岐のC〜C22−アルキレンラジカル、分岐もしくは非分岐のC〜C18−アルケニレンラジカル、C〜C12−アリーレンラジカルおよび/または分岐もしくは非分岐のC〜C22−アリールアルキレンラジカルであり;
ZおよびWは、各場合に、同じであるかまたは異なり、各々独立に、NH−CO−Oおよび/またはNH−CO−NHであり;
nは、1から150、好ましくは2から120、より好ましくは4から50の整数である)
の尿素成分(A)が存在する。
【0021】
本発明の特定の実施形態では、尿素成分(A)の全重量に基づいて、尿素成分(A)の50重量%から100重量%が、各場合に、2000から60000g/mol、好ましくは3000から30000g/mol、より好ましくは4000から20000g/molの重量平均分子量を有し、4から150個、好ましくは5から65個およびより好ましくは6から35個の尿素基を含有する。
【0022】
本発明の典型的な実施形態では、尿素成分(A)の全重量に基づいて50重量%から100重量%の、各場合に、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および(IIId)
【0023】
【化2】

【化3】

(式中、
AMは、2から50個、好ましくは2から20個、より好ましくは4から14個、最も好ましくは6から10個の炭素原子を有する直鎖または分岐、飽和または不飽和、脂肪族、芳香族または脂肪族−芳香族の有機ラジカルであり;
AM1およびAM2は、各場合に、同じであるかまたは異なり、各々独立に、1から50個、好ましくは2から24個、より好ましくは3から18個、最も好ましくは4から12個の炭素原子を有する直鎖または分岐、飽和または不飽和、脂肪族、芳香族または脂肪族−芳香族の有機ラジカルであり、この有機ラジカルは、ヒドロキシル基、エーテル基またはアミノ基などのさらなる官能基を有していてもよく;
IC1およびIC2は、各場合に、同じであるかまたは異なり、各々独立に、2から40個、好ましくは4から20個、より好ましくは5から18個、最も好ましくは6から13個の炭素原子を有する直鎖または分岐、飽和または不飽和、脂肪族、芳香族または脂肪族−芳香族のヒドロカルビルラジカルであり;
IC3は、1から24個、好ましくは2から20個、より好ましくは6から18個の炭素原子を有する直鎖または分岐、飽和または不飽和、脂肪族、芳香族または脂肪族−芳香族のヒドロカルビルラジカルであり;
RP1およびRP2は、各場合に、同じであるかまたは異なり、各々独立に、1から24個、好ましくは2から20個、より好ましくは4から18個、最も好ましくは8から14個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐、飽和もしくは不飽和、脂肪族、芳香族もしくは脂肪族−芳香族の有機ラジカル、および/または1から120個、好ましくは1から50個、より好ましくは2から20個、最も好ましくは3から15個のエーテル酸素原子を有するポリエーテルラジカル、および/または1から100個、好ましくは1から50個、より好ましくは2から20個のエステル基を有し、場合によりエーテル基を含有するポリエステルラジカル、および/または1から100個、好ましくは1から50個、より好ましくは2から20個のアミド基を有するポリアミドラジカル、および/または3から100個、好ましくは3から60個、より好ましくは6から39個のケイ素原子を有するポリシロキサンラジカルであり;
RP3は、同じであるかまたは異なり、1から24個、好ましくは2から18個、より好ましくは2から14個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐、飽和もしくは不飽和、脂肪族、芳香族もしくは脂肪族−芳香族のヒドロカルビルラジカル、および/または1から120個、好ましくは1から25個、より好ましくは2から20個、最も好ましくは2から15個のエーテル酸素原子を有する(ポリ)エーテルラジカル、および/または1から100個、好ましくは1から30個、より好ましくは2から20個のアミド基を有するポリアミドラジカル、および/または3から100個、好ましくは3から60個、より好ましくは6から30個のケイ素原子を有するポリシロキサンラジカル、および/または1から100個、好ましくは1から25個、より好ましくは2から20個、最も好ましくは2から15個のエステル基を有し、場合によりエーテル基を含有するポリエステルラジカルであり;
pは0または1である)
からなる群から選択される一般式の1つまたは複数の尿素成分(A)が存在する。
【0024】
そのような場合に、尿素成分(A)の全重量に基づいて、好ましくは70重量%から100重量%の、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および(IIId)からなる群から選択される一般式の1つまたは複数の尿素成分(A)が存在し:
式中、AMは
【0025】
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】


(式中、RxおよびRyは、同じであるかまたは異なり、各々独立にCHおよび/または水素であり、
qは、同じであるかまたは異なり、2から12、好ましくは2から8、より好ましくは2から6の整数である)
からなる群から選択され、
AM1およびAM2は、各場合に、同じであるかまたは異なり、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ラウリル、オレイル、ステアリル、ポリイソブチレンおよび2から40個、好ましくは2から20個、より好ましくは3から15個のエーテル酸素原子を有するポリエーテルラジカル、ベンジル、メチルベンジル、シクロヘキシル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキルおよびアルキルアルコキシシランからなる群から選択され、
IC1およびIC2は、各場合に、同じであるかまたは異なり、
【0026】
【化8】

【化9】

からなる群から選択され;
IC3は、メチル、エチル、フェニル、ベンジル、シクロヘキシルおよびステアリルからなる群から選択され;
RP1およびRP2は、各場合に、同じであるかまたは異なり、分岐もしくは非分岐のC〜C18−アルキルラジカル、オレイル、ベンジルまたはアリルラジカル、好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドの構造単位を含有するポリエーテルラジカル、ならびにε−カプロラクトンおよび/またはδ−バレロラクトンの構造単位を含有するポリエステルラジカルからなる群から選択され;
RP3は、同じであるかまたは異なり、直鎖または分岐のC〜C18−アルキレンラジカル、直鎖または分岐のC〜C18−アルケニレンラジカルならびに好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドの構造単位を含有し、1から25個、好ましくは2から20個、より好ましくは2から15個のエーテル酸素原子を有するポリエーテルラジカルからなる群から選択される。
【0027】
特定の実施形態では、尿素成分(A)の全重量に基づいて70重量%から100重量%の尿素成分(A)が、各場合に、イソシアヌレート形成および/またはウレトジオン形成によりオリゴマー化されたイソシアネートと単官能性アミンとの反応により調製可能である。
【0028】
本発明の特定の実施形態では、尿素成分(A)の全重量に基づいて95重量%から100重量%、好ましくは98重量%から100重量%の尿素成分(A)が、各場合に、少なくとも
一般式(IVa)
−O−CO−NH−Y−NH−CO−NH− (IVa)
(式中、Yは、4から20個、好ましくは5から18個、より好ましくは6から13個、最も好ましくは6から7個の炭素原子を含有する、飽和または不飽和、分岐または非分岐のヒドロカルビルラジカルである)、
の1つの分子セグメントを含み:
および、各場合に、一般式(IVb)
−O−CO−NH−Y−NH−CO−O− (IVb)
(式中、Yは、4から20個、好ましくは5から18個、より好ましくは6から13個、最も好ましくは6から7個の炭素原子を含有する、飽和または不飽和、分岐または非分岐のヒドロカルビルラジカルである)
の分子セグメントを含まない。
【0029】
尿素成分(A)は、対応するイソシアネートとアミンとの反応により既知の様式で調製することができる。そのような尿素成分のための調製プロセスは、例えば、EP0006252、DE2822908、DE10241853、DE19919482、EP1188779およびDE102008059702に詳細に記載されている。より高い分子量の尿素成分の調製は、特に、例えば、EP2292675に開示されている。好ましくは、尿素成分(B)の調製も、この調製プロセスにより行われる。それ故、レオロジー制御のための本発明の好ましい尿素製剤も、尿素成分(B)がそのような調製プロセスにより得られたものである。
【0030】
有機溶媒(B)
上記で特定した一般式(I)中のRラジカルは、数種の異なる化合物(B)を使用する場合に、全ての化合物について同じであっても異なっていてもよい。Rは、分岐していても非分岐であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。
【0031】
は、より好ましくは、1から20個、さらにより好ましくは、1から16個、とりわけ好ましくは2から12個の炭素原子を含有する。
【0032】
およびRラジカルは、一般式(I)の化合物内で、各々独立に、同じであっても異なっていてもよい。それらは、各々独立に、分岐していても非分岐であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。
【0033】
より好ましくは、有機RおよびRラジカルは、各々独立に、1から11個、より好ましくは1から10個の炭素原子を含有する。より好ましくは、RおよびRラジカルは、独立にヘテロ原子を含まないヒドロカルビルラジカルである。
【0034】
ラジカルとRラジカルとが互いに化学結合により結合して、それらが、CO−N部分と一緒になって、以下の一般式(I’):
【0035】
【化10】

で示される環を形成している場合には、
環は、好ましくは、4から8個、より好ましくは5から7個の環原子を含有する。好ましくは、R−Rラジカルの環原子は炭素原子であり、場合により、O=C−NR基に直接結合していない1個以下の酸素原子である。より好ましくは、R−Rラジカルの全ての環原子が炭素原子である。
【0036】
ラジカルとRラジカルとが互いに化学結合により結合して、それらがアミド基の窒素原子と一緒になって、以下の一般式(I’’):
【0037】
【化11】

に示される環を形成している場合には、
環は、好ましくは、4から8個、より好ましくは5から6個の環原子を含有する。好ましくは、R−Rラジカルの環原子は炭素原子であり、場合により、上記環窒素原子に直接結合していない1個以下の酸素原子である。より好ましくは、R−Rラジカルの全ての環原子は炭素原子である。
【0038】
溶媒(B)は、記載された尿素成分(A)を、液体の形態で、すなわち、尿素溶液として、5℃と80℃の間の温度、好ましくは15℃と60℃の間の温度、より好ましくは室温(23℃)で提供することができる有機溶媒である。本発明の全ての尿素製剤は、23℃で、好ましくは液体またはペースト状形態、より好ましくは液体の形態にあることが一般的な場合である。溶媒(B)は、典型的には23℃で、好ましくは液体の形態である。
【0039】
溶媒(B)は、原理的に2つのカテゴリーに分けることができる:すなわち、第1に、RとRとが環を形成していないときの一般式(I)により、および式(I’’)により表される分子間アミドとみなされ得る溶媒(B1)、ならびに第2に、分子内環状アミド、すなわち、一般式(I’)により表されるラクタムと呼ばれるものである溶媒(B2)である。
【0040】
とRとが環を形成していない式(I)の分子間アミド(B1)の中では、N,N−ジアルキルアミドが好ましい。これらの中で、N,N−ジ−(C1−8−アルキル)アミドが好ましく、N,N−ジ−(C1−6−アルキル)アミドがとりわけ好ましく、N,N−ジ−(C1−4−アルキル)アミドが最も好ましい。アルキル基は直鎖であっても分岐していてもよく、好ましくは直鎖である。N,N−ジアルキルアミドの適当な親カルボン酸は、C1−24−モノカルボン酸、好ましくはC1−20−モノカルボン酸、より好ましくはC1−16−モノカルボン酸および最も好ましくはC1−12−モノカルボン酸、例えばC1−10−モノカルボン酸である。該モノカルボン酸は、直鎖であっても分岐していてもよく、モノ不飽和であってもポリ不飽和であってもよい。該モノカルボン酸は、好ましくは直鎖であり飽和している。
【0041】
式(I’)の分子内アミド(B2)の中では、4から8個、好ましくは5から7個の環原子を有するものが好ましい。環原子はいかなる側鎖の存在も含まない。例えば、以下の式(II):
【0042】
【化12】

の化合物は、5個の環原子を有する化合物であり、その中でRラジカルとRラジカルとが4個の炭素原子を含有する共通する二価CH(CH)−CH−CHラジカルを形成している。
【0043】
式(I’)の特に好ましい化合物は、環系が、γ−ブチロラクタム(すなわちピロリドン)、δ−バレロラクタム、またはε−カプロラクタムであるものである。該環系は、1個または複数のアルキル基を、例えばγ−バレロラクタム中の環炭素原子上の置換基として有していてもよい。該アルキル置換基は、好ましくはメチル基である。1個以下の置換基が、とりわけメチル置換基が、環炭素原子上に存在することが好ましい。非置換の環系が特に好ましい。
【0044】
式(I’)の化合物中で好ましいRラジカルは、少なくとも6個の炭素原子を含有するものである。Rは、脂肪族ラジカルであっても芳香族ラジカルであっても、または例えば、ベンジルラジカルもしくはプロピルイミダゾールラジカルにおけるように2つの組合せであってもよい。該脂肪族ラジカルは、脂環式であってもよい。該芳香族ラジカルは、ヘテロ原子を含有していてもよい。特に好ましい純粋に脂肪族のラジカルは、6から11個の炭素原子を有するアルキルラジカル、好ましくは6から10個の炭素原子を有するアルキルラジカル、最も好ましくは6から8個の炭素原子を有するアルキルラジカルである。上述のアルキルラジカルは、直鎖であっても分岐していてもよく、好ましくは直鎖である。
【0045】
特定の実施形態において、一般式(I)の溶媒(B)の全重量に基づいて、溶媒(B)50重量%から100重量%は、
は、3から17個、好ましくは5から15個、より好ましくは7から13個、さらにより好ましくは7から12個の炭素原子を含有する、分岐または非分岐、飽和または不飽和、好ましくは飽和の、ヒドロカルビルラジカルであり;
とRは、各場合に、同じであるかまたは異なり、独立に、1から6個、好ましくは1から4個、最も好ましくは1個の炭素原子を有する、分岐または非分岐、飽和または不飽和の、有機ラジカルであるか、
または
とRとが、互いに化学結合により結合して、一般式(I)中の窒素原子を含めて、5から7個の環原子を有する環を形成している、分子間アミド(B1)である。
【0046】
好ましくは、Rラジカルは、分岐または非分岐のアルキルラジカルであり、後者は、より好ましくは7から12個、最も好ましくは7から11個の炭素原子を含有する。
【0047】
特に好ましい実施形態では、Rは、7から11個の炭素原子を含有する分岐または非分岐のアルキルラジカルであり、RおよびRは各々メチルラジカルである。
【0048】
溶媒(B1)として有用なそれぞれのアルキルアミド化合物の調製は、構造のタイプに従って、有機化学の既知の方法により実施される。例えば、上記の構造のタイプは、適当なカルボン酸、好ましくはアルキルカルボン酸と適当なアミンとを反応させることにより調製することができる。カルボン酸の代わりに、それらの反応性誘導体、とりわけカルボン酸、好ましくはアルキルカルボン酸の酸無水物、エステルおよび酸ハロゲン化物とアミンとを反応させることも可能である。例えば、このタイプの化合物の調製は、例えば、US3417114A、US2667511A、GB719792A、DE875807、US3288794A、US3751465A、US3674851A、US3856791A、WO2006033117A2およびSynthetic Communications 2000、30、4241に記載されている。
【0049】
さらなる好ましい実施形態では、一般式(I)の溶媒(B)の全重量に基づいて、溶媒(B)の50重量%から100重量%が、
とRとが、互いに化学結合により結合して、C(=O)N基を含めて、4から8個、好ましくは5から7個、より好ましくは5または6個、最も好ましくは5個の環原子を有する環を形成しており、ここで1個または複数の環炭素原子が場合により、C〜C−アルキルラジカルにより置換されており、
ただし、x+y+z≧8、好ましくは≧9、より好ましくは≧11であり、Rは少なくとも6個の炭素原子を含有している、分子内アミド(B2)である。
【0050】
溶媒(B2)として有用なラクタムのそれぞれの調製は、その構造のタイプに従って、有機化学の既知の方法によって実施される。好ましい調製プロセスでは、上記の化合物は、アルキル−、アリール−またはアリールアルキルアミンと適当なラクトンとを反応させることにより調製される。
【0051】
例えば、そのような化合物の調製は、US4299840A、WO1993017787A1、US5508396A、US5986092A、US5101045A、US3767644A、US4814464A、WO1993016042A1を含む文献に、およびTetrahedron Letters 1994、35、3313にも、およびMacromol.Chem.Phys.1996、197、3123に、Drug Design and Discovery 1991、8、37に、およびStudies in Surface Science and Catalysis1997、108、115−122に、さらにM.B.Smith、Houben−Weyl:Methods of Molecular Transformations、Category3、第21巻、Product Class 10:「gamma−Lactams and Larger Ring Lactams」(G.Thieme Verlag、Stuttgart/New York 2005、巻編集者S.M.Weinreb)に記載されている。ラクタムは、ω−N−モノアルキルアミノカルボン酸から脱水を伴う閉環によっても調製することができる。分子の各末端に少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する開放鎖アミドも、閉環メタセシスによりラクタムを合成するために同様に使用され得る。
【0052】
有機溶媒(C)
(A)、(B)および(D)以外のさらなる溶媒(C)の存在は有利であり得る。しかしながら、溶媒(C)なしで済ませることも可能であり;このことは、本発明の尿素製剤の特に好ましい実施形態では、(C)は存在しないことを意味する。好ましくは、本発明の尿素製剤は、尿素製剤の全重量に基づいて35重量%未満、さらにより好ましくは25重量%未満、とりわけ好ましくは10重量%未満および最も好ましくは5重量%未満の溶媒(C)を含有する。溶媒(C)が存在する場合には、その比率は、好ましくは本発明の尿素製剤の全重量に基づいて1重量%から35重量%、より好ましくは1重量%から25重量%、最も好ましくは1重量%から10重量%である。有用な溶媒(C)は、本発明の尿素製剤のさらなる構成要素に対して化学的に不活性な、先行技術から既知の任意の有機溶媒(C)である。有機溶媒(C)は、とりわけ、尿素製剤の適用の後述の分野を考慮して選択することができる。適当な溶媒(C)が選択された場合には、したがって、後述の適用条件下における蒸発温度または適用系との化学的および/または物理的適合性などの面が役割を演ずることもあることが可能である。例えば、溶媒(C)が、尿素製剤が組み込まれるべき適用系に対して化学的に反応性であるか、またはそれらの凝固をもたらすことは、典型的には、望ましくない。溶媒(B)と同様に、溶媒(C)も、典型的には23℃で液体である。溶媒(C)が使用される場合には、3種以下の、より好ましくは2種以下の異なる溶媒(C)が使用されることが好ましい。最も好ましくは、1種の溶媒(C)だけが使用される。
【0053】
好ましくは、尿素製剤は溶媒(C)を含まない。
【0054】
溶媒(C)の使用の上記のパーセンテージの限界は、使用される異なる溶媒(C)の数に無関係に適用される。
【0055】
好ましくは、溶媒(C)は、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、テルペン、テルペノイド、芳香族炭化水素、ハイドロクロロカーボン、アルコール、ケトン、エステル、グリコールエーテル、エーテル、アミド、スルホキシド、スルホン、アセタールおよびニトロアルカンからなる群から選択される。上述の包括的な用語により含まれる適当な溶媒の例は、Kittel、Lehrbuch der Lacke und Beschichtungen [Textbook of Varnishes and Coatings]、第4巻「Losemittel、Weichmacher und Additive」[Solvents,Plasticizers and Additives]、第2版、S.Hirzel Verlag Stuttgart、2007、とりわけ81〜85頁の表4.1.23に記載されている。
【0056】
好ましくは、溶媒(C)は、32から300g/molまで、好ましくは約250g/molまで、より好ましくは32から約200g/molまでの分子質量を有する。
【0057】
最も好ましくは、該溶媒はモノマーの化合物である。
【0058】
塩(D)
本発明の一実施形態において、本発明の組成物は、0.5重量%から4重量%の塩(D)を含有し、その場合、塩(D)の50重量%から100重量%、好ましくは100重量%が、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩、好ましくは、リチウム、カルシウムまたはマグネシウムの塩、より好ましくは、リチウムまたはカルシウムの塩であり、アニオンとして、好ましくは1価のアニオンを有し、とりわけ好ましくはハロゲン化物イオン、擬ハロゲン化物イオン、ギ酸イオン、酢酸イオンおよび/または硝酸イオン、最も好ましくは、対イオンとして、塩化物イオン、酢酸イオンおよび/または硝酸イオンを有する。リチウム塩が特に好ましい。
【0059】
上記の塩は、いわゆるイオン性液体も含む。イオン性液体は、本発明の関係では、80℃未満の融点、好ましくは50℃未満の融点、より好ましくは30℃未満および最も好ましくは20℃未満の融点を有する有機塩または有機塩の混合物を意味すると理解される。本発明で特に好ましいイオン性液体は、室温で液体である。特に好ましい塩(D)として有用なイオン性液体は、例えば、WO2010/063358A1に記載されているイオン性液体である。
【0060】
本発明の組成物が塩(D)として、イオン性液体を含有する場合には、イオン性液体は、好ましくは、5重量%から50重量%の量で存在する。
【0061】
成分(E)
上記の成分(A)、(B)、(C)および(D)に加えて、これらの成分以外の1種または複数の成分(E)が存在してもよい。(A)、(B)、(C)および(D)の定義により含まれない全ての成分は、成分(E)とみなすことができることが、一般的な場合である。
【0062】
これらの成分は、例えば、さらなるモノマー性、オリゴマー性またはポリマー性の物質(E)であり得る。
【0063】
尿素製剤の全重量に基づいて、好ましくは0重量%から最大で20重量%、特に好ましくは0重量%から10重量%、より好ましくは0重量%から5重量%、および最も好ましくは0重量%から3重量%の成分(E)が存在する。好ましくは、尿素製剤は成分(E)を含まない。
【0064】
好ましい実施形態では、本発明の尿素製剤は、各場合に、尿素製剤の全重量に基づいて、
i. 10重量%から65重量%の(A)、
ii. 20重量%から85重量%の(B)、
iii. 0重量%から35重量%の(C)、
iv. (D)がハロゲン化物イオン、擬ハロゲン化物イオン、ギ酸イオン、酢酸イオンおよび/または硝酸イオンからなる群から選択される1価のアニオンとの1種または複数のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩である場合には、0.5重量%から4重量%の(D)
または(D)がイオン性液体である場合には、5重量%から50重量%の(D)、
v. 0重量%から20重量%の(E)
からなる。
【0065】
特に好ましい実施形態では、本発明の尿素製剤は、各場合に、尿素製剤の全重量に基づいて、
i. 15重量%から60重量%の(A)、
ii. 30重量%から80重量%の(B)、
iii. 0重量%から25重量%の(C)、
iv. (D)がハロゲン化物イオン、擬ハロゲン化物イオン、ギ酸イオン、酢酸イオンおよび/または硝酸イオンからなる群から選択される1価のアニオンとの1種または複数のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩である場合には、0.5重量%から4重量%の(D)、
または(D)がイオン性液体である場合には、5重量%から50重量%の(D)、
v. 0重量%から10重量%の(E)
からなる。
【0066】
特に非常に好ましい実施形態では、本発明の尿素製剤は、各場合に、尿素製剤の全重量に基づいて、
i. 20重量%から55重量%の(A)、
ii. 35重量%から75重量%の(B)、
iii. 0重量%から25重量%の(C)、
iv. (D)がハロゲン化物イオン、擬ハロゲン化物イオン、ギ酸イオン、酢酸イオンおよび/または硝酸イオンからなる群から選択される1価のアニオンとの1種または複数のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩である場合には、0.5重量%から4重量%の(D)、
または(D)がイオン性液体である場合には、5重量%から50重量%の(D)、
v. 0重量%から5重量%の(E)
からなる。
【0067】
全ての上述の実施形態、とりわけ、好ましい、特に好ましい、および特に非常に好ましい実施形態について、成分(C)または(E)が、特に(C)および(E)が存在しないことが好ましい。
【0068】
全ての上述の実施形態、とりわけ、好ましい、特に好ましい、および特に非常に好ましい実施形態について、種としての成分(C)が、300g/molまでの分子量を有する有機溶媒のみを含有することが好ましい。
【0069】
全ての上述の実施形態、とりわけ、好ましい、特に好ましい、および特に非常に好ましい実施形態について、成分(A)中に存在する尿素種は、60000g/mol未満、より好ましくは40000g/mol未満の、GPCにより決定された重量平均分子量を有することが好ましい。最も好ましくは、重量平均分子量は10000g/mol未満である。
【0070】
全ての上述の実施形態、とりわけ、好ましい、特に好ましい、および特に非常に好ましい実施形態について、成分(E)は、存在する場合には、およびそれがヒドロキシル基を含有する種を含有する場合には、その種のヒドロキシル数は、好ましくは15mgKOH/g未満である。その場合には、好ましくは1個以下のヒドロキシル基がそれぞれの種中に存在する。最も好ましくは、成分(E)は、ヒドロキシル基を含有するいかなる種も含有しない。
【0071】
全ての上述の実施形態、とりわけ、好ましい、特に好ましい、および特に非常に好ましい実施形態について、成分(E)は架橋剤と呼ばれるものを含まないことが好ましい。本発明の関係における架橋剤は、とりわけ遊離のまたはブロックされたイソシアネート基を有するポリイソシアネート、アミノ樹脂、例えばメラミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂およびベンゾグアナミン樹脂、ポリアミンおよびポリエポキシドである。
【0072】
本発明の尿素製剤
本発明の尿素製剤は、上で詳述したように、構成要素(A)、(B)、(C)および(D)に加えて、上述のさらなる構成要素(E)も含有することができ、そのような場合には、好ましくは、構成要素(A)、(B)、(C)、(D)および(E)からなり、(C)、(D)および(E)は任意選択である。したがって、本発明の尿素製剤は、構成要素(A)、(B)、(C)および(D)からなっていてもよい。好ましい実施形態では、それは、(A)、(B)および(C)またはとりわけ(A)、(B)および(D)からなり、特に非常に好ましい実施形態では(A)および(B)からなる。構成要素の上述の好ましいおよび特に好ましい組合せは、個々の成分の特定の構造とは独立である。
【0073】
本発明の尿素製剤は、好ましくは、顔料も充填剤も含有しない。これとかかわりなく、本発明の尿素製剤が含有する水は、好ましくは、尿素製剤の全重量に基づいて5重量%未満、より好ましくは3重量%未満、および最も好ましくは1重量%未満である。最も好ましくは、尿素製剤は本質的に無水である。
【0074】
本発明の尿素製剤は、典型的には、優れた貯蔵安定性を有するので、その中に存在する構成要素は、好ましくは互いに対して化学的に不活性である。このことは、互いの中で、成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)についてとりわけ真実である。
【0075】
本発明の尿素製剤中に必ず存在する成分(A)および(B)の総計の全重量は、本発明の尿素製剤の全重量に基づいて、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも45重量%および最も好ましくは少なくとも60重量%である。とりわけ好ましい場合は、成分(A)および(B)の総計の全重量が、本発明の尿素化合物の全重量に基づいて、少なくとも80重量%またはさらに少なくとも90重量%である場合である。
【0076】
本発明の尿素製剤の適用分野
本発明の尿素製剤は、適当なレオロジー制御のために、とりわけ液体系のチキソトロピーのために選択的に適している。
【0077】
本発明は、本発明の尿素製剤をレオロジー制御のために使用すること、とりわけ液体混合物のチキソトロピーのために使用することにも関する。この液体混合物は、好ましくはコーティング、とりわけワニス、ポリマー調合物、顔料ペースト、シール材調合物、化粧品、セラミック調合物、接着剤調合物、ポッティング化合物、建設材料調合物、潤滑剤、噴霧剤の形態にあるスパックル化合物(例えば穀物保護製品中の堆積助剤と呼ばれるもの)、印刷インクまたはその他のインク、例えばインクジェットインクの形態を取る。
【0078】
最終的に、本発明は、コーティング材料、ポリマー調合物、顔料ペースト、シール材調合物、化粧品、セラミック調合物、接着剤調合物、ポッティング化合物、建設材料調合物、潤滑剤、スパックル化合物、印刷インクまたはその他のインクの形態を取り、調合物の全重量、すなわち、液体媒体と尿素製剤を足した全重量に基づいて0.1重量%から7.5重量%の本発明の尿素製剤を含有する液体媒体に関する。本発明の特に好ましい実施形態は、液体媒体および本発明の尿素製剤の全重量に基づいて0.2重量%から5重量%、より好ましくは0.3重量%から4重量%を含有する液体媒体(すなわち調合物)に関する。
【0079】
ここで、ワニス、印刷インク、他のインク(例えばインクジェットインク)、ポリマー調合物、化粧品製剤、建設材料調合物、潤滑剤および/または接着剤の、ならびに天然ガスおよび鉱物油生産に使用される調合物におけるレオロジー制御のためのレオロジー制御剤として、好ましくはチキソトロープ剤としての本発明の尿素製剤の使用が特に好ましい。
【0080】
ワニス、印刷インクおよび他のインク、とりわけインクジェットインクは、溶媒を含有するものまたは溶媒を含まないものまたは水系ワニス、印刷インクおよび他のインク、とりわけインクジェットインクのいずれかであることができる。ワニスは、自動車ワニス、構造物ワニス、船舶および橋梁の塗装用を含む保護ワニス、缶およびコイルのコーティングワニス、木材および家具のワニス、工業的ワニス、プラスチックを塗装するためのワニス、線材ワニス、食物および飲料製品ならびに種子をコーティングするためのコーティング材料の領域を含む広範囲の種々の適用の分野で有用であり、例えば、液晶ディスプレイにおける色フィルタのために使用される着色感材と呼ばれるものの形態でも有用である。ワニスの使用分野には、一般的に固体の比率が非常に高く液体成分の比率が低いペースト状材料、例えば、顔料ペーストと呼ばれるもの、またはそれら以外に微細に分割された金属粒子もしくは金属粉末に基づくペースト、例えば、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、青銅および真鍮に基づくものも含まれる。
【0081】
ポリマー調合物は、好ましくは、化学的架橋プロセス(熱硬化性を与えるための「硬化」)により変換されるポリマー材料を生産するための(液体)出発原料であることもできる。それ故、好ましいポリマー製剤は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂(メラミン−ホルムアルデヒドまたは尿素−ホルムアルデヒドなど)である。これらは、広範囲の異なる条件下で、例えば室温で(冷硬化系)または高温で(熱硬化系)、場合により圧力も適用して硬化することができる(「密閉鋳型」適用、シート鋳型成形化合物または塊状鋳型成形化合物)。好ましいポリマー調合物はPVCプラスチゾルも含む。
【0082】
化粧品製剤は、パーソナルケアまたはそれ以外にヘルスケア領域で使用される多様な液体組成物、例えばローション剤、クリーム剤、ペースト剤、例えば、練り歯磨き、泡剤、例えばシェービングフォーム、ゲル、例えばシェービングゲル、シャワーゲルまたはゲル形態に剤形化された医薬品、ヘアシャンプー、液体石鹸、ネイルワニス、口紅および毛髪染料であってもよい。
【0083】
噴霧剤(堆積助剤として)の場合に、本発明のレオロジー制御剤の使用では、流れの減少または流れの回避に重点が置かれる。
【0084】
構造物材料調合物は、加工処理時に液体またはペースト状であり、構造物領域で使用され、硬化後に固化する材料、例えばコンクリート、セメント、モルタル、タイル接着剤および石膏などの液圧結合剤であってもよい。
【0085】
潤滑剤は、潤滑のために使用される、すなわち、摩擦および摩耗の減少、ならびに力の伝達、冷却、振動制動、封止および腐蝕保護のために役立つ活性物質であり、本発明では、液体潤滑剤および潤滑グリースが好ましい。滑沢剤および掘削流体(鉱物油生産で使用されるような)も定義により潤滑剤の内である。
【0086】
接着剤は、加工処理条件下で液体であり、面結合および内部強度により接着面に結合することができる任意のプロセス材料であってよい。接着剤は、溶媒を含有しても、溶媒を含まなくても、または水系であってもよい。
【0087】
以下、本発明をさらに実施例により詳細に説明する。
【実施例】
【0088】
分子量の決定:
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により決定される分子質量分布の重量平均である。分子質量分布は、DIN55672 Part 2に従って決定される。使用される溶離剤は、ジメチルアセトアミド中の臭化リチウムの溶液である(含有率5g/L)。較正は、1000000g/molと102g/molの間の分子量を有する線状構造の狭い分布のポリメチルメタクリレート標準を使用して行われる。GPC系全体(導入部、試料プレート、検出器およびカラム)の温度は80℃である。
【0089】
アミン数は、DIN16945に従って決定した。
【0090】
無水物数(AAN)は、1gの物質中の無水物の1個のカルボキシル基の中和に対応するmgで表したKOHの量を意味すると理解される。この目的のために、最初に無水物をn−ブチルアミンと反応させて、カルボン酸を生じさせて、酸アミドとする。過剰のアミンを、イソプロパノール中でHClを用いて逆滴定し、消費されたアミンから、無水物数を直接計算することができる。
【0091】
屈折率は、DIN51423に従って20℃で決定した。
【0092】
密度は、DIN EN ISO2811、Part 3に従って20℃で決定した。
【0093】
固体
報告される固体は、実験的に決定されたものではなく、使用された成分の出発重量から単に計算される理論的固体である。
【0094】
N−アルキルアミドの調製
実施例1a(R=メチル、R=R=n−ブチル)
反応容器(攪拌機、滴下漏斗および還流凝縮器付きの丸底フラスコ)に、最初に窒素雰囲気下で425.7g(3.3mol)のジブチルアミンを充填した。攪拌しながら、306g(3.0mol)の無水酢酸をゆっくり滴下添加した。反応物は強く発熱した。水浴で冷却することにより、温度を80℃に保った。添加が終了した後、混合物を140℃に加熱して還流下で2時間沸騰させた。反応時間が終わった後、反応混合物は、21.7mgKOH/gのアミン数および0.5mgKOH/gの無水物酸数を有した。その後、水分離器を装置に取り付けて、生成した酢酸を140℃および180mbarの減圧下で留去した。蒸留後、アミン数は8.9mgKOH/gであった。反応生成物を、薄膜蒸発器により120℃および<1mbarで蒸留により精製した。
【0095】
実施例2a(R=R=R=n−ブチル)
反応容器(攪拌機、滴下漏斗および還流凝縮器付きの丸底フラスコ)に、最初に窒素雰囲気下で336.0g(3.3mol)の吉草酸を充填した。徐々に、攪拌しながら、467.0g(3.6mol)のジブチルアミンを滴下添加した。その後、1.6gのp−トルエンスルホン酸を添加して、混合物を170℃に加熱した。反応混合物を還流下で2時間沸騰させた。反応時間が終わった後、反応混合物は、23.7mgKOH/gのアミン数を有した。最後に、水分離器を接続し、反応水および過剰のジブチルアミンを170℃および180mbarの減圧下で5時間以内に留去した。反応生成物を、薄膜蒸発器によって120℃および<1mbarで蒸留により精製した。その後のアミン数は、<1mgKOH/gであった。
【0096】
実施例3a(R−R=CH−CH−CH、R=n−ヘキシル)
反応容器(攪拌機、還流凝縮器、水分離器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)に、最初に窒素雰囲気下で60℃で121.0g(1.2mol)のn−ヘキシルアミンを充填した。45分以内に、86.0g(1.0mol)のブチロラクトンを攪拌しながら滴下添加した。この途中で、温度が75℃に上昇した。温度を110℃に2時間、次に200℃に4時間、次に230℃に7時間上昇させ、その途中、形成された反応水を連続的に留去した。反応時間が終わった後、アミン数が4.5mgKOH/gおよびヒドロキシル数が12.4mgKOH/gの透明なオレンジ色の液体が生成した。反応生成物を、薄膜蒸発器によって120℃および<1mbarで蒸留により精製した。
【0097】
実施例4a(R−R=CH−CH−CH、R=n−ペンチル)
反応容器(攪拌機、還流凝縮器、水分離器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)に、最初に窒素雰囲気下で60℃で104.4g(1.2mol)のn−ペンチルアミンを充填した。35分以内に、86.0g(1.0mol)のブチロラクトンを攪拌しながら滴下添加した。この途中で、温度が80℃に上昇した。温度を110℃に2時間、次に200℃に4時間、次に230℃に7時間上昇させ、その途中、形成された反応水を連続的に留去した。反応時間が終わった後、低粘度でアミン数が4.5mgKOH/gの黄褐色を帯びた液体が生成した。反応生成物を薄膜蒸発器によって120℃および<1mbarで蒸留により精製した。その後のアミン数は、<1mgKOH/gであった。
【0098】
実施例5a(R−R=CH−CH−CH、R=ベンジル)
反応容器(攪拌機、還流凝縮器、水分離器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)に、最初に窒素雰囲気下で60℃で0.38gのジブチルスズジラウレートおよび107.0g(1.0mol)のベンジルアミンを充填した。30分以内に、86.0g(1.0mol)のブチロラクトンを攪拌しながら滴下添加した。この途中で、温度が100℃に上昇した。温度を170℃に2時間、次に240℃に11時間上昇させ、その途中、形成された反応水を連続的に留去した。反応時間が終わった後、粘度が低くアミン数が12.7mgKOH/gの黄色の液体が生成した。反応生成物を、薄膜蒸発器によって120℃および<1mbarで蒸留により精製した。その後のアミン数は、<1mgKOH/gであった。
【0099】
実施例6a(R−R=CH−CH−CH−CH−CH、R=n−ブチル)
反応容器(攪拌機、還流凝縮器、水分離器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)に、最初に窒素雰囲気下で60℃で0.37gのp−トルエンスルホン酸および73.0g(1.0mol)のn−ブチルアミンを充填した。45分以内に、114.0g(1.0mol)のカプロラクトンを攪拌しながら滴下添加した。この途中で、温度は85℃に上昇した。
【0100】
温度を120℃に2時間、次に140℃に2時間、次に230℃に8時間上昇させ、その途中、形成された反応水を連続的に留去した。
【0101】
その結果生じた液体生成物は、4.7mgKOH/gのアミン数および566mPasの粘度を有した。
【0102】
実施例7a(R−R=CH−CH−CH−CH−CH、R=n−ヘキシル)
反応容器(攪拌機、還流凝縮器、水分離器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)に、最初に窒素雰囲気下で60℃で0.49gのp−トルエンスルホン酸および131.0g(1.29mol)のn−ヘキシルアミンを充填した。55分以内に、114.0g(1.0mol)のカプロラクトンを攪拌しながら滴下添加した。この途中で、温度が80℃に上昇した。温度を140℃に2時間、次に230℃に11時間上昇させ、その途中、形成された反応水を留去した。その結果生じたワックス状の生成物は、15.9mgKOH/gのアミン数を有した。
【0103】
実施例8a(R−R=CH(CH)−CH−CH、R=n−ヘキシル)
反応容器(攪拌機、還流凝縮器、水分離器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)に、最初に窒素雰囲気下で60℃で、52.0g(0.51mol)のn−ヘキシルアミンを充填した。25分以内に、51.5g(0.51mol)のγ−バレロラクトンを攪拌しながら滴下添加した。この途中で、温度は80℃に上昇した。温度を140℃に2時間、次に230℃に10時間上昇させ、その途中、形成された反応水を留去した。褐色を帯びた、粘度の低い液体が得られた。
【0104】
実施例9a(R−R=CH(CH)−CH−CH、R=n−ブチル)
反応容器(攪拌機、還流凝縮器、水分離器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)に、最初に窒素雰囲気下で60℃で73.0g(1.0mol)のn−ブチルアミンを充填した。45分以内に、100.0g(1.0mol)のγ−バレロラクトンを攪拌しながら滴下添加した。この途中で、温度は80℃に上昇した。温度を140℃に2時間、次に230℃に10時間上昇させ、その途中、形成された反応水を連続的に留去した。5.5mgKOH/gのアミン数を有する、褐色を帯びた液体が得られた。屈折率は1.4747であり、粘度は3mPasであった。
【0105】
実施例10a(本発明によらない;R−R=CH−CH−CH、R=n−ブチル)
反応容器(攪拌機、還流凝縮器、水分離器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)に、最初に窒素雰囲気下で222.2g(3.0mol)のn−ブチルアミンを充填した。45分以内に、172.0g(2.0mol)のブチロラクトンを攪拌しながら滴下添加した。この途中で、温度は80℃に上昇した。温度を140℃に2時間、次に230℃に10時間上昇させ、その途中で、生成した反応水および過剰のアミンを連続的に留去した。3.7mgKOH/gのアミン数を有する、褐色を帯びた液体が得られた。密度は0.96g/cmであった。
【0106】
実施例11a(R−R=CH−CH−CH、R=CH−CH−CH−イミダゾール)
反応容器(攪拌機、還流凝縮器、水分離器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)に、最初に窒素雰囲気下で80℃で125.0g(1.0mol)のアミノプロピルイミダゾールを充填した。45分以内に、94.7g(1.1mol)のブチロラクトンを攪拌しながら滴下添加した。温度を、20分毎に10℃の温度勾配を使用して最終温度の250℃まで上昇させた。その後、温度を250℃に6時間保った。全反応時間にわたって、形成された反応水を留去した。0.4gのp−トルエンスルホン酸を添加して、水を250℃でさらに2時間分離して除いた。反応生成物は液体で、非常に暗い色であった。
【0107】
実施例12a(本発明によらない;R−R=CH−CH−CH、R=n−プロピル)
攪拌されているオートクレーブに、最初に60.0g(1mol)のn−プロピルアミンを充填して、60℃に加熱した。45分以内に、86.0g(1mol)のブチロラクトンを攪拌しながら添加した。温度は最初に95℃に上昇した。引き続き、混合物をさらに4時間、90℃で攪拌する。その後、反応混合物を、攪拌機、還流凝縮器、水分離器および滴下漏斗付き丸底フラスコに移して、110℃に加熱する。攪拌しながら、次に温度を1時間当たり15℃で上昇させた。反応を200℃で10時間さらに継続した。全反応時間にわたって、形成された反応水を留去した。
【0108】
4mgKOH/gのアミン数を有する、淡黄色の液体が得られた。反応生成物を、薄膜蒸発器によって120℃および圧力<1mbarで蒸留により精製した。
【0109】
尿素製剤の調製
生成物の例a1
ステージ1:
まず最初に、64.4gのジイソシアネートのモノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、220mgKOH/gのヒドロキシル数を有する(DIN/ISO4629に従って決定する)ポリエチレングリコールモノブチルエーテルおよび35%トリレン2,4−ジイソシアネートと65%トリレン2,6−ジイソシアネートとの混合物から調製する。
【0110】
ステージ2:
4口フラスコに、攪拌機、滴下漏斗、温度計および還流凝縮器を取り付ける。118.2gのN−n−オクチルブチロラクタム(Sigma−Aldrich)を最初に充填して、窒素雰囲気下で攪拌しながら120℃に加熱する。4.2gの塩化リチウムを添加し、この温度で攪拌しながら1時間以内に溶解する。続いて、温度を80℃に下げる。10.2gのm−キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化する。前に調製したイソシアネート付加物(ステージ1)を、アミン溶液に、攪拌しながら、温度が85℃を超えないような十分ゆっくりした速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。無色透明の、僅かに粘稠な生成物が得られる。アミン数は1.0mgKOH/g未満である(DIN16945に従って決定する)。生成物は38重量%の尿素成分を含有する。
【0111】
生成物の例a2
ステージ1
まず最初に、64.4gのジイソシアネートモノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、220mgKOH/gのヒドロキシル数を有するポリエチレングリコールモノブチルエーテル(DIN/ISO4629に従って決定する)および35%トリレン2,4−ジイソシアネートと65%トリレン2,6−ジイソシアネートとの混合物から調製する。
【0112】
ステージ2
4口フラスコに攪拌機、滴下漏斗、温度計および還流凝縮器を取り付ける。118.2gの1−ベンジルピロリジン−2−オン(実施例5a)を最初に充填して、窒素雰囲気下で攪拌しながら120℃に加熱する。4.2gの塩化リチウムを添加し、この温度で攪拌しながら、1時間以内に溶解する。続いて、温度を80℃に下げる。10.2gのm−キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化する。前に調製したイソシアネート付加物(ステージ1)を、アミン溶液に、攪拌しながら、温度が85℃を超えないような十分ゆっくりした速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。僅かに曇った、黄色で粘稠な生成物が得られる。アミン数は、1mgKOH/gである(DIN16945に従って決定する)。生成物は38重量%の尿素成分を含有する。
【0113】
生成物の例a3(本発明によらない)
ステージ1
まず最初に、64.4gのジイソシアネートモノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、220mgKOH/gのヒドロキシル数を有するポリエチレングリコールモノブチルエーテル(DIN/ISO4629に従って決定する)および35%トリレン2,4−ジイソシアネートと65%トリレン2,6−ジイソシアネートとの混合物から調製する。
【0114】
ステージ2
4口フラスコに攪拌機、滴下漏斗、温度計および還流凝縮器を取り付ける。64.5gの1−プロピルピロリジン−2−オン(実施例12a)を最初に充填して、窒素雰囲気下で攪拌しながら120℃に加熱する。5.1gの塩化リチウムを添加し、この温度で攪拌しながら、1時間以内に溶解する。続いて、温度を80℃に下げる。10.2gのm−キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化する。前に調製したイソシアネート付加物(ステージ1)を、アミン溶液に、攪拌しながら、温度が85℃を超えないような十分ゆっくりした速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。僅かに曇った、黄色を帯びた、粘稠な生成物が得られる。アミン数は、5.2mgKOH/gである(DIN16945に従って決定する)。生成物は52重量%の尿素成分を含有する。
【0115】
生成物の例a4(本発明によらない)
ステージ1
まず最初に、64.4gのジイソシアネートモノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、220mgKOH/gのヒドロキシル数を有するポリエチレングリコールモノブチルエーテル(DIN/ISO4629に従って決定する)および35%トリレン2,4−ジイソシアネートと65%トリレン2,6−ジイソシアネートとの混合物から調製する。
【0116】
ステージ2
4口フラスコに、攪拌機、滴下漏斗、温度計および還流凝縮器を取り付ける。118.2gの1−ペンチルピロリジン−2−オン(実施例4a)を最初に充填して、窒素雰囲気下で攪拌しながら120℃に加熱する。4.2gの塩化リチウムを添加し、この温度で攪拌しながら、1時間以内に溶解する。続いて、温度を80℃に下げる。10.2gのm−キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化する。前に調製したイソシアネート付加物(ステージ1)を、アミン溶液に、攪拌しながら、温度が85℃を超えないような十分ゆっくりした速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。アミン数は3.6mgKOH/gである(DIN16945に従って決定する)。生成物は38重量%の尿素成分を含有する。
【0117】
生成物の例a5
ステージ1
まず最初に、64.4gのジイソシアネートモノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、220mgKOH/gのヒドロキシル数を有するがポリエチレングリコールモノブチルエーテル(DIN/ISO4629に従って決定する)および35%トリレン2,4−ジイソシアネートと65%トリレン2,6−ジイソシアネートとの混合物から調製する。
【0118】
ステージ2
4口フラスコに、攪拌機、滴下漏斗、温度計および還流凝縮器を取り付ける。118.2gの1−ヘキシルピロリジン−2−オン(実施例3a)を最初に充填して、窒素雰囲気下で攪拌しながら120℃に加熱する。4.2gの塩化リチウムを添加し、この温度で攪拌しながら、1時間以内に溶解する。続いて、温度を80℃に下げる。10.2gのm−キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化する。前に調製したイソシアネート付加物(ステージ1)を、アミン溶液に、攪拌しながら、温度が85℃を超えないような十分ゆっくりした速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。アミン数は3.6mgKOH/gである(DIN16945に従って決定する)。生成物は38重量%の尿素成分を含有する。
【0119】
生成物の例a6
ステージ1
まず最初に、64.4gのジイソシアネートモノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、220mgKOH/gのヒドロキシル数を有するポリエチレングリコールモノブチルエーテル(DIN/ISO4629に従って決定する)および35%トリレン2,4−ジイソシアネートと65%トリレン2,6−ジイソシアネートとの混合物から調製する。
【0120】
ステージ2
4口フラスコに、攪拌機、滴下漏斗、温度計および還流凝縮器を取り付ける。N,N−ジメチルオクタンアミドおよびN,N−ジメチルデカンアミド(BASFから、Agnique AMD810)の239.1gの混合物を最初に充填して、窒素雰囲気下で攪拌しながら120℃に加熱する。5.1gの塩化リチウムを添加し、この温度で攪拌しながら、1時間以内に溶解する。続いて、温度を80℃に下げる。10.2gのm−キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化する。
【0121】
前に調製したイソシアネート付加物(ステージ1)をアミン溶液に、攪拌しながら、温度が85℃を超えないような十分ゆっくりした速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。曇った無色の、僅かに粘稠な生成物が得られる。アミン数は2mgKOH/g未満である(DIN16945に従って決定する)。生成物は23重量%の尿素成分を含有する。
【0122】
生成物の例a7
ステージ1
まず最初に、64.4gのジイソシアネートモノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、220mgKOH/gのヒドロキシル数を有するポリエチレングリコールモノブチルエーテル(DIN/ISO4629に従って決定する)および35%トリレン2,4−ジイソシアネートと65%トリレン2,6−ジイソシアネートとの混合物から調製する。
【0123】
ステージ2
4口フラスコに、攪拌機、滴下漏斗、温度計および還流凝縮器を取り付ける。239.1gのジブチルアセトアミド(実施例1a)を最初に充填して、窒素雰囲気下で攪拌しながら120℃に加熱する。5.1gの塩化リチウムを添加し、この温度で攪拌しながら1時間以内に溶解する。続いて、温度を80℃に下げる。10.2gのm−キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化する。前に調製したイソシアネート付加物(ステージ1)を、アミン溶液に、攪拌しながら、温度が85℃を超えないような十分ゆっくりした速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。曇った無色の、僅かに粘稠な生成物が得られる。アミン数は2mgKOH/g未満である(DIN16945に従って決定する)。生成物は23重量%の尿素成分を含有する。
【0124】
生成物の例a8
ステージ1
まず最初に、93.6gのモノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、450g/molの分子質量を有するポリエチレングリコールモノメチルエーテルおよび35%トリレン2,4−ジイソシアネートと65%トリレン2,6−ジイソシアネートとの混合物から調製する。
【0125】
ステージ2
攪拌機、滴下漏斗、温度計および還流凝縮器付きの4口フラスコ中で、N,N−ジメチルオクタンアミドおよびN,N−ジメチルデカンアミド(BASF、Agnique AMD810)の252.0gの混合物を100℃に加熱して、その温度に達したら、4.2gの塩化リチウムを添加する。次に塩化リチウムを100℃で攪拌しながら、1時間以内に溶解する。続いて、温度を80℃に下げる。10.2gのm−キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化する。前に調製したイソシアネート付加物(ステージ1)を、アミン溶液に、攪拌しながら、温度が85℃を超えないような十分ゆっくりした速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。僅かに曇った、僅かに粘稠な生成物が得られる。生成物は29重量%の尿素成分を含有する。
【0126】
生成物の例a9
ステージ1
まず最初に、93.6gのモノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、450g/molの分子質量を有するポリエチレングリコールモノメチルエーテルおよび35%トリレン2,4−ジイソシアネートと65%トリレン2,6−ジイソシアネートとの混合物から調製する。
【0127】
ステージ2
攪拌機、滴下漏斗、温度計および還流凝縮器付きの4口フラスコ中で、252.0gのジブチルアセトアミド(実施例1a)を100℃に加熱して、その温度に達したら、4.2gの塩化リチウムを添加する。次に塩化リチウムを100℃で攪拌しながら、1時間以内に溶解する。続いて、温度を80℃に下げる。10.2gのm−キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化する。前に調製したイソシアネート付加物(ステージ1)を、アミン溶液に、攪拌しながら、温度が85℃を超えないような十分ゆっくりした速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。曇った、僅かに粘稠な生成物が得られる。生成物は29重量%の尿素成分を含有する。
【0128】
生成物の例a10
ステージ1
まず最初に、93.6gのモノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、450g/molの分子質量を有するポリエチレングリコールモノメチルエーテルおよび35%トリレン2,4−ジイソシアネートと65%トリレン2,6−ジイソシアネートとの混合物から調製する。
【0129】
ステージ2
攪拌機、滴下漏斗、温度計および還流凝縮器付きの4口フラスコ中で、162.0gのN−ベンジルピロリドン(実施例5a)を100℃に加熱して、その温度に達したら、4.2gの塩化リチウムを添加する。次に塩化リチウムを添加し、100℃で攪拌しながら1時間以内に溶解する。続いて、温度を80℃に下げる。10.2gのm−キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化する。前に調製したイソシアネート付加物(ステージ1)を、アミン溶液に、攪拌しながら、温度が85℃を超えないような十分ゆっくりした速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。透明な、赤みを帯びた色彩の、粘稠な生成物が得られる。生成物は38重量%の尿素成分を含有する。
【0130】
生成物の例a11
ステージ1
まず最初に、93.6gのモノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、450g/molの分子質量を有するポリエチレングリコールモノメチルエーテルおよび35%トリレン2,4−ジイソシアネートと65%トリレン2,6−ジイソシアネートとの混合物から調製する。
【0131】
ステージ2
攪拌機、滴下漏斗、温度計および還流凝縮器付きの4口フラスコ中で、162.0gのN−n−オクチル−ブチロラクタム(Sigma−Aldrich)を100℃に加熱して、その温度に達したら、4.2gの塩化リチウムを添加する。次に塩化リチウムを100℃で攪拌しながら、1時間以内に溶解する。続いて、温度を80℃に下げる。10.2gのm−キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化する。前に調製したイソシアネート付加物(ステージ1)を、アミン溶液に、攪拌しながら、温度が85℃を超えないような十分ゆっくりした速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。透明な、黄色を帯びた生成物が得られる。生成物は38重量%の尿素成分を含有する。
【0132】
生成物の例a12
ステージ1
まず最初に、モノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、トリレン2,4−ジイソシアネート(Desmodur T100、Bayer)およびラウリルアルコールから調製する。
【0133】
ステージ2
反応容器(攪拌機、還流凝縮器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)中で、1.7g(0.039mol)のLiClを、75gのN−n−オクチル−ブチロラクタム(Sigma−Aldrich)に、窒素雰囲気下で攪拌しながら溶解する。その後、3.6g(0.026mol)のメタ−キシリレンジアミンを添加し、透明な混合物を80℃に加熱する。その後、Desmodur T100および1−ドデカノールから形成された19.8g(0.052mol)のモノアダクトを、攪拌しながら、温度が85℃を超えて上昇しないような速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。透明な流体の生成物が得られる。得られた生成物中の尿素成分の比率は23重量%である。
【0134】
生成物の例a13
ステージ1
まず最初に、モノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、トリレン2,4−ジイソシアネート(Desmodur T100、Bayer)およびラウリルアルコールから調製する。
【0135】
ステージ2
反応容器(攪拌機、還流凝縮器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)中で、12.6g(0.3mol)のLiClを、279gのN−ベンジル−ブチロラクタム(実施例5a)に、窒素雰囲気下で攪拌しながら溶解する。その後、17.0g(0.125mol)のメタ−キシリレンジアミンを添加し、透明な混合物を80℃に加熱する。続いて、90.0g(0.25mol)のDesmodur T100および1−ドデカノールから形成されたモノアダクトを、攪拌しながら、温度が85℃を超えて上昇しないような速度で1時間以内に滴下する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。黄色の粘稠な生成物が得られる。得られた生成物中の尿素成分の比率は27重量%である。
【0136】
生成物の例a14
ステージ1
まず最初に、モノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、トリレン2,4−ジイソシアネート(Desmodur T100、Bayer)およびラウリルアルコールから調製する。
【0137】
ステージ2
反応容器(攪拌機、還流凝縮器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)中で、8.4gのLiClを、147.2gのN−n−オクチル−ブチロラクタム(Sigma−Aldrich)に、窒素雰囲気下で攪拌しながら溶解する。その後、13.6gのメタ−キシリレンジアミンを添加し、透明な混合物を80℃に加熱する。続いて、76.1gのDesmodur T100および1−ドデカノールから形成されたモノアダクトを、攪拌しながら、温度が85℃を超えて上昇しないような速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。流動性の良好な、僅かに曇った生成物が得られる。得られた生成物中の尿素成分の比率は37重量%である。
【0138】
生成物の例a15
ステージ1
まず最初に、モノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、トリレン2,4−ジイソシアネート(Desmodur T100、Bayer)およびラウリルアルコールから調製する。
【0139】
ステージ2
反応容器(攪拌機、還流凝縮器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)中で、1.7g(0.039mol)のLiClを、75gのN−n−ヘキシル−ブチロラクタム(実施例3a)に、窒素雰囲気下で攪拌しながら溶解する。その後、3.6g(0.026mol)のメタ−キシリレンジアミンを添加し、透明な混合物を80℃に加熱する。続いて、19.8g(0.052mol)のDesmodur T100および1−ドデカノールから形成されたモノアダクトを、攪拌しながら、温度が85℃を超えて上昇しないような速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。透明な流体の生成物が得られる。得られた生成物中の尿素成分の比率は23重量%である。
【0140】
生成物の例a16
ステージ1
まず最初に、モノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、トリレン2,4−ジイソシアネート(Desmodur T100、Bayer)およびラウリルアルコールから調製する。
【0141】
ステージ2
反応容器(攪拌機、還流凝縮器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)中で、8.4gのLiClを、147.2gのN−n−ヘキシル−ブチロラクタム(実施例例3a)に、窒素雰囲気下で攪拌しながら溶解する。その後、13.6gのメタ−キシリレンジアミンを添加し、透明な混合物を80℃に加熱する。続いて、76.1gのDesmodur T100および1−ドデカノールから形成されたモノアダクトを、攪拌しながら、温度が85℃を超えて上昇しないような速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。流動性の良好な、僅かに曇った生成物が得られる。得られた生成物中の尿素成分の比率は37重量%である。
【0142】
生成物の例 概要
【0143】
【表1】

H1:2BuO-PEG-OC(O)NH-トリル-NCOおよび1m-キシリレンジアミンから形成された付加物
H2:2MeO-PEG-OC(O)NH-トリル-NCOおよび1m-キシリレンジアミンから形成された付加物
H3:2ラウリル-OC(O)NH-トリル-NCOおよび1m-キシリレンジアミンから形成された付加物
*=本発明によらない
【0144】
比較例:
比較例C1
ステージ1
まず最初に、64.4gのジイソシアネートモノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、220mgKOH/gのヒドロキシル数を有するポリエチレングリコールモノブチルエーテル(DIN/ISO4629に従って決定する)および35%トリレン2,4−ジイソシアネートと65%トリレン2,6−ジイソシアネートとの混合物から調製する。
【0145】
ステージ2
4口フラスコに、攪拌機、滴下漏斗、温度計および還流凝縮器を取り付ける。72.7gの1−エチルピロリジン−2−オンを最初に充填して、窒素雰囲気下で攪拌しながら120℃に加熱する。4.2gの塩化リチウムを添加し、この温度で攪拌しながら、1時間以内に溶解する。続いて、温度を80℃に下げる。10.2gのm−キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化する。前に調製したイソシアネート付加物(ステージ1)を、アミン溶液に、攪拌しながら、温度が85℃を超えないような十分ゆっくりした速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。透明な黄色の生成物が得られる。アミン数は1mgKOH/gである(DIN16945に従って決定する)。生成物は49重量%の尿素成分を含有する。
【0146】
比較例C2
ステージ1
まず最初に、64.4gのジイソシアネートモノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、220mgKOH/gのヒドロキシル数を有するポリエチレングリコールモノブチルエーテル(DIN/ISO4629に従って決定する)および35%トリレン2,4−ジイソシアネートと65%トリレン2,6−ジイソシアネートとの混合物から調製する。
【0147】
ステージ2
4口フラスコに、攪拌機、滴下漏斗、温度計および還流凝縮器を取り付ける。72.7gのジメチルスルホキシドを最初に充填して、窒素雰囲気下で攪拌しながら120℃に加熱する。4.2gの塩化リチウムを添加し、この温度で攪拌しながら、1時間以内に溶解する。続いて、温度を80℃に下げる。10.2gのm−キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化する。前に調製したイソシアネート付加物(ステージ1)を、アミン溶液に、攪拌しながら、温度が85℃を超えないような十分ゆっくりした速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。透明な黄色の生成物が得られる。アミン数は1mgKOH/gである(DIN16945に従って決定する)。生成物は49重量%の尿素成分を含有する。
【0148】
比較例C3
ステージ1
まず最初に、64.4gのジイソシアネートモノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、220mgKOH/gのヒドロキシル数を有するポリエチレングリコールモノブチルエーテル(DIN/ISO4629に従って決定する)および35%トリレン2,4−ジイソシアネートと65%トリレン2,6−ジイソシアネートとの混合物から調製する。
【0149】
ステージ2
4口フラスコに、攪拌機、滴下漏斗、温度計および還流凝縮器を取り付ける。72.7gのN−メチルピロリドンを最初に充填して、窒素雰囲気下で攪拌しながら120℃に加熱する。4.2gの塩化リチウムを添加し、この温度で攪拌しながら、1時間以内に溶解する。続いて、温度を80℃に下げる。10.2gのm−キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化する。前に調製したイソシアネート付加物(ステージ1)を、アミン溶液に、攪拌しながら、温度が85℃を超えないような十分ゆっくりした速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。透明な黄色の生成物が得られる。生成物は49重量%の尿素成分を含有する。
【0150】
比較例C4
ステージ1
まず最初に、モノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、トリレン2,4−ジイソシアネート(Desmodur T100、Bayer)およびラウリルアルコールから調製する。
【0151】
ステージ2
反応容器(攪拌機、還流凝縮器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)中で、1.7g(0.039mol)のLiClを、75gのN−メチルピロリドン(市販の材料)に、窒素雰囲気下で攪拌しながら溶解する。その後、3.6g(0.026mol)のメタ−キシリレンジアミンを添加し、透明な混合物を80℃に加熱する。その後、Desmodur T100およびラウリルアルコールから形成された19.8g(0.052mol)のモノアダクトを、攪拌しながら、温度が85℃を超えて上昇しないような速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。透明な流体の生成物が得られる。得られた生成物中の尿素成分の比率は23重量%である。
【0152】
比較例C5
ステージ1
まず最初に、モノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、トリレン2,4−ジイソシアネート(Desmodur T100、Bayer)およびラウリルアルコールから調製する。
【0153】
ステージ2
反応容器(攪拌機、還流凝縮器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)中で、1.7g(0.039mol)のLiClを75gの1−N−エチルピロリドン(市販の材料)に、窒素雰囲気下で攪拌しながら溶解する。その後、3.6g(0.026mol)のメタ−キシリレンジアミンを添加し、透明な混合物を80℃に加熱する。続いて、Desmodur T100およびラウリルアルコールから形成された19.8g(0.052mol)のモノアダクトを、攪拌しながら、温度が85℃を超えて上昇しないような速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。粘度の低い、透明な生成物が得られる。得られた生成物中の尿素成分の比率は23重量%である。
【0154】
比較例C6
ステージ1
まず最初に、93.6gのモノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、450g/molの分子質量を有するポリエチレングリコールモノメチルエーテルおよび35%トリレン2,4−ジイソシアネートと65%トリレン2,6−ジイソシアネートとの混合物から調製する。
【0155】
ステージ2
攪拌機、滴下漏斗、温度計および還流凝縮器付きの4口フラスコ中で、99.7gのN−メチルピロリドン(BASF、市販の材料)を100℃に加熱して、その温度に達したら、4.2gの塩化リチウムを添加する。次に塩化リチウムを100℃で攪拌しながら、1時間以内に溶解する。続いて、温度を80℃に下げる。10.2gのm−キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化する。前に調製したイソシアネート付加物(ステージ1)を、アミン溶液に、攪拌しながら、温度が85℃を超えないような十分ゆっくりした速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。透明な、黄色を帯びた生成物が得られる。生成物は50重量%の尿素成分を含有する。
【0156】
比較例C7
ステージ1
まず最初に、93.6gのモノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、450g/molの分子質量を有するポリエチレングリコールモノメチルエーテルおよび35%トリレン2,4−ジイソシアネートと65%トリレン2,6−ジイソシアネートとの混合物から調製する。
【0157】
ステージ2
攪拌機、滴下漏斗、温度計および還流凝縮器付きの4口フラスコ中で、132.0gのジメチルスルホキシド(Sigma−Aldrichから市販の材料)を100℃に加熱して、その温度に達したら、4.2gの塩化リチウムを添加する。次に塩化リチウムを100℃で攪拌しながら、1時間以内に溶解する。続いて、温度を80℃に下げる。10.2gのm−キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化する。前に調製したイソシアネート付加物(ステージ1)を、アミン溶液に、攪拌しながら、温度が85℃を超えないような十分ゆっくりした速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。透明な、黄色を帯びた生成物が得られる。生成物は43重量%の尿素成分を含有する。
【0158】
比較例C8
ステージ1
まず最初に、93.6gのモノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、450g/molの分子質量を有するポリエチレングリコールモノメチルエーテルおよび35%トリレン2,4−ジイソシアネートと65%トリレン2,6−ジイソシアネートとの混合物から調製する。
【0159】
ステージ2
攪拌機、滴下漏斗、温度計および還流凝縮器付きの4口フラスコ中で、99.7gのN−エチルピロリドン(BASF、市販の材料)を100℃に加熱して、その温度に達したら、4.2gの塩化リチウムを添加する。次に塩化リチウムを100℃で攪拌しながら、1時間以内に溶解する。続いて、温度を80℃に下げる。10.2gのm−キシリレンジアミンを添加し、混合物を均質化する。前に調製したイソシアネート付加物(ステージ1)を、アミン溶液に、攪拌しながら、温度が85℃を超えないような十分ゆっくりした速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。透明な、黄色を帯びた生成物が得られる。生成物は50重量%の尿素成分を含有する。
【0160】
比較例C9
ステージ1
まず最初に、モノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、トリレン2,4−ジイソシアネート(Desmodur T100、Bayer)およびラウリルアルコールから調製する。
【0161】
ステージ2
反応容器(攪拌機、還流凝縮器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)中で、1.7g(0.039mol)のLiClを、75gのジメチルスルホキシドに、窒素雰囲気下で攪拌しながら溶解する。その後、3.6g(0.026mol)のメタ−キシリレンジアミンを添加し、透明な混合物を80℃に加熱する。続いて、Desmodur T100およびラウリルアルコールから形成された19.8g(0.052mol)のモノアダクトを、攪拌しながら、温度が85℃を超えて上昇しないような速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。透明な流体の生成物が得られる。得られた生成物中の尿素成分の比率は23重量%である。生成物は、閉じた容器中に室温で貯蔵される。全ての他の比較例と対照的に、1週間後に僅かな沈降がすでに検出可能であり、2週間後に生成物は強く濁っている。
【0162】
比較例C10
ステージ1
まず最初に、モノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、トリレン2,4−ジイソシアネート(Desmodur T100、Bayer)およびラウリルアルコールから調製する。
【0163】
ステージ2
反応容器(攪拌機、還流凝縮器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)中で、8.4gのLiClを147.2gのN−メチル−ピロリドンに、窒素雰囲気下で攪拌しながら溶解する。その後、13.6gのメタ−キシリレンジアミンを添加し、透明な混合物を80℃に加熱する。続いて、76.1gのDesmodur T100および1−ドデカノールとから形成されたモノアダクトを、攪拌しながら、温度が85℃を超えて上昇しないような速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。流動性の良好な、僅かに曇った生成物が得られる。得られた生成物中の尿素成分の比率は37重量%である。
【0164】
比較例C11
ステージ1
まず最初に、モノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、トリレン2,4−ジイソシアネート(Desmodur T100、Bayer)およびラウリルアルコールから調製する。
【0165】
ステージ2
反応容器(攪拌機、還流凝縮器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)中で、1.7g(0.039mol)のLiClを、75gのN−n−ペンチルブチロラクタム(実施例例4a)に、窒素雰囲気下で攪拌しながら溶解する。その後、3.6g(0.026mol)のメタ−キシリレンジアミンを添加し、透明な混合物を80℃に加熱する。続いて、19.8g(0.052mol)のDesmodur T100および1−ドデカノールとから形成されたモノアダクトを、攪拌しながら、温度が85℃を超えて上昇しないような速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。透明な流体の生成物が得られる。得られた生成物中の尿素成分の比率は23重量%である。
【0166】
比較例C12
ステージ1
まず最初に、モノアダクトを、EP1188779の特許明細書に従って、トリレン2,4−ジイソシアネート(Desmodur T100、Bayer)およびラウリルアルコールから調製する。
【0167】
ステージ2
反応容器(攪拌機、還流凝縮器および滴下漏斗付き丸底フラスコ)中で、8.4gのLiClを、147.2gのN−n−ペンチル−ブチロラクタム(実施例4a)に、窒素雰囲気下で攪拌しながら溶解する。その後、13.6gのメタ−キシリレンジアミンを添加し、透明な混合物を80℃に加熱する。続いて、76.1gのDesmodur T100と1−ドデカノールとから形成されたモノアダクトを、攪拌しながら、温度が85℃を超えて上昇しないような速度で1時間以内に滴下添加する。反応を完結させるために、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌する。流動性の良好な、僅かに曇った生成物が得られる。得られた生成物中の尿素成分の比率は37重量%である。
【0168】
比較例 概要
【0169】
【表2】

H1:2BuO-PEG-OC(O)NH-トリル-NCOおよび1m-キシリレンジアミンから形成された付加物
H2:2MeO-PEG-OC(O)NH-トリル-NCOおよび1m-キシリレンジアミンから形成された付加物
H3:2ラウリル-OC(O)NH-トリル-NCOおよび1m-キシリレンジアミンから形成された付加物
【0170】
レオロジー制御剤として適当な組成物の性能試験
使用された原材料
【0171】
【表3】
【0172】
格付け尺度の説明
【0173】
【表4】
【0174】
試験系1:Setalux D A 870 BA透明ワニス
この試験のために、(必要ならば)試験される全ての製品について、添加剤組成物中における38重量%の尿素化合物の含有率を、該組成物に特定のアミド化合物のさらなる量を添加することにより確立する。100mLのガラスボトルに、最初に50gのSetalux D A 870 BA透明ワニスを充填して、次に特定の添加剤を、Dispermat CV(歯状突起のあるディスク、d=2.5cm、1000rpm)を用いて攪拌しながら混合させる。添加が終了したら、攪拌をさらに1分間継続した。全ての場合に、0.4重量%(調合物の合計質量に基づいて)の尿素成分Aに相当する仕込み量を選択した。続いて、試料を室温で1日の間静置し、続いてレオロジーに対する効力の尺度としてゲル強度および濁度を基準として添加剤の適合性を視覚的に最初に評価する。それに続いて適用条件下におけるレオロジーに対する効力の尺度として荷重下の安定性を試験する。この目的のために、試料をスパチュラで均一に攪拌し、次にコントラストカードに、BYK Gardnerからの30〜300μmステップのアプリケーターおよび自動コーティングベンチを用いて、5cm/秒の速度で適用する。適用後、コントラストカードを乾燥するためにそのまま水平に吊した。乾燥した後、流出が無いことまたは隆起が明らかであることを意味する塗料が流出していない層厚さ(μm、湿潤状態)を決定する。同じ有効な物質を使用して荷重下における安定性の値が高いほど、レオロジーに対する効力は優れる。「湿潤」は、乾燥前にアプリケーターを適用した後の元の湿潤フィルム厚さに関する。
【0175】
透明ワニスの調合:
【0176】
【表5】
【0177】
結果:
【0178】
【表6】

この表において、比較例C1およびC3は、本発明の実施例a2より劣ったゲル強度を確立していることが明らかである。このことは、本発明の生成物と比較して比較例の荷重下における対応する安定性がより劣ることでも証明される。
【0179】
試験系2:Setalux D A 870BA/Desmodur N3390白色塗料
この試験のために、(必要であれば)試験される全ての製品について、添加剤組成物中における23重量%の尿素化合物の含有率を、該組成物に特定のアミド化合物のさらなる量を添加することにより確立する。100mLのガラスボトルに、最初に50gのSetalux D A 870 BA白色塗料を充填して、次に特定の添加剤をDispermat CV(歯状突起のあるディスク、d=2.5cm、1000rpm)を用いて攪拌しながら混合する。全ての場合に、1.0重量%(塗料調合物の合計質量に基づいて)の尿素成分Aに相当する仕込み量を選択した。添加が終了したら、攪拌をさらに1分間継続した。続いて、試料を1日の間静置して、硬化剤の組み込み後、荷重下における安定性を、レオロジーに対する効力の尺度として評価する。この目的のために、最初に試料をアジテーター(Andalokから、モデル:Nathalie)で5分間剪断にかける。剪断の後直ぐに、コントラストカードへの適用をBYK Gardnerからの50〜500μmステップのアプリケーターおよび自動コーティングベンチを用いて、5cm/秒の速度で実施する。適用の後、コントラストカードを乾燥するためにそのまま水平に吊り下げる。乾燥後、流れないことまたは隆起が明らかであることを意味する塗料が流出しない層厚さ(μm、湿潤)を決定する。同じ有効な物質を使用して荷重下における安定性の値が高いほど、剪断応力をかけた後のレオロジーに対する効力が優れる。
【0180】
塗料の調合:
【0181】
【表7】
【0182】
結果:
【0183】
【表8】

比較例C2およびC3で可能なのは、荷重下において本発明の生成物より劣った安定性であることはこの表で明らかである。
【0184】
試験系3:白色塗料における粘度の測定
この測定のために、(必要であれば)試験される全ての製品について、添加剤組成物中における23重量%の尿素化合物の含有率を、該組成物に特定のアミド化合物のさらなる量を添加することにより確立する。100mLのガラスボトルに、最初に50gのSetalux D A 870 BA白色塗料を充填して(試験系3を参照されたい)、次に特定の添加剤を攪拌しながらDispermat CV(歯状突起のあるディスク、d=2.5cm、1000rpm)を用いて混合する。全ての場合に、1.0重量%の尿素成分A(塗料調合物の合計質量に基づいて)に相当する仕込み量を選択した。添加が終了したら、攪拌をさらに1分間継続した。その後、試料を室温で1日の間静置して、次に、レオメーターでCSR測定(すなわち、剪断速度を変えて測定)により、ポリオール成分の粘度をブランク試料(レオロジー用添加剤なし)と比較して評価する。低い剪断範囲で粘度が高いほど、生成物のレオロジーに対する効力は優れる。
使用されるレオメーター:Anton PaarのPhysica MCR−301、
測定パラメータ:CSR測定、CP25〜1、D=0.1〜1000 1/秒、対数分布で21測定点、測定持続時間 105秒、T=23℃。
【0185】
【数1】

横軸→剪断速度[秒-1]
縦軸→粘度η[Pa・秒];
結果の表示:●実施例a6、▲比較例C3、▼比較例C2、■ブランク試料

上の粘度曲線は、本発明の実施例a6について、本発明によらない比較例と比較してはるかに顕著な粘度増大効果を示す。
【0186】
試験系4:Worleekyd S366の透明ワニス
この試験シリーズのために、(必要であれば)試験される全ての製品について、添加剤組成物中における23重量%の尿素化合物の含有率を、該組成物に特定のアミド化合物のさらなる量を添加することにより確立する。100mLのガラスボトルに最初に50gのWorleekyd S366透明ワニスを充填して、次に特定の添加剤を攪拌しながらDispermat CV(歯状突起のあるディスク、d=2.5cm、1000rpm)を用いて混合する。全ての場合に、0.5重量%(ワニス調合物の合計質量に基づいて)の尿素成分Aに相当する仕込み量を選択した。添加が終了したら、攪拌をさらに1分間継続した。その後、試料を1日の間静置して、次に適用条件下におけるレオロジーに対する効力の尺度として荷重下の安定性を試験する。この目的のために、試料をスパチュラで均一に攪拌し、次にコントラストカードに、BYK Gardnerからの30〜300μmステップのアプリケーターおよび自動コーティングベンチを用いて5cm/秒の速度で適用する。適用の後、コントラストカードを乾燥するためにそのまま水平に吊り下げる。乾燥後、流れないことまたは隆起が明らかであることを意味する塗料が流出しない層厚さ(μm、湿潤)を決定する。同じ有効な物質を使用して荷重下における安定性の値が高いほど、レオロジーに対する効力は優れる。
【0187】
ワニス調合物:
【0188】
【表9】
【0189】
結果:
【0190】
【表10】

比較例C4およびC5で可能なのは、荷重下において本発明の製品より劣った安定性(すなわち、より薄い最大層厚さ)であることはこの表で明らかである。
【0191】
試験系5:Joncryl SCX8280/ブチルグリコール
この試験シリーズのために、(必要であれば)試験される全ての製品について、添加剤組成物中における38重量%の尿素化合物の含有率を、該組成物に特定のアミド化合物のさらなる量を添加することにより確立する。100mLのガラスボトルに最初に50gのJoncryl SCX8280および5%ブチルグリコールを充填して、次に特定の添加剤を攪拌しながらDispermat CV(歯状突起のあるディスク、d=2.5cm、1000rpm)を用いて混合する。全ての場合に、0.5重量%(ワニス調合物の合計質量に基づいて)の尿素成分Aに相当する仕込み量を選択した。添加が終了したら、攪拌をさらに1分間継続した。続いて、試料を1日の間静置して、次に適用条件下におけるレオロジーに対する効力の尺度として荷重下の安定性を評価する。この目的のために、試料をスパチュラで均一に攪拌し、次にコントラストカードにBYK Gardnerからの30〜300μmステップのアプリケーターおよび自動コーティングベンチを用いて5cm/秒の速度で適用する。適用の後、コントラストカードを乾燥するためにそのまま水平に吊り下げる。乾燥後、流れないことまたは隆起が明らかであることを意味する塗料が流出しない層厚さ(μm、湿潤)を決定する。同じ有効な物質を使用して荷重下における安定性の値が高いほど、剪断応力をかけた後のレオロジーに対する効力は優れる。加えて、乾燥後に、小斑点についての視覚的評価も、30〜60μmの薄い層厚さにおける添加剤の適合性の尺度として実施される。
【0192】
ワニス調合物:
【0193】
【表11】
【0194】
結果:
【0195】
【表12】

比較例C6およびC7で可能なのは、荷重下における本発明の製品より劣った安定性(すなわち、より薄い最大層厚さ)であることはこの表で明らかである。比較例C7では、加えて、小斑点を形成する傾向が明らかになった。
【0196】
試験系6:Synthalat W48
この試験シリーズのために、(必要であれば)試験される全ての製品について、添加剤組成物中における38重量%の尿素化合物の含有率を、該組成物に特定のアミド化合物のさらなる量を添加することにより確立する。100mLのガラスボトルに、最初に50gのSynthalat W48(結合剤)を充填して、次に特定の添加剤を攪拌しながらDispermat CV(歯状突起のあるディスク、d=2.5cm、1000rpm)を用いて混合する。全ての場合に、1.0重量%の尿素成分A(Synthalat W48の合計質量に基づいて)に相当する仕込み量を選択した。添加が終了したら、攪拌をさらに1分間継続した。続いて、試料を1日の間静置して、次に適用条件下におけるレオロジーに対する効力の尺度として荷重下の安定性を試験する。この目的のために、試料をスパチュラで均一に攪拌し、次にコントラストカードにBYK Gardnerからの30〜300μmステップのアプリケーターおよび自動コーティングベンチを用いて5cm/秒の速度で適用する。適用の後、コントラストカードを乾燥するためにそのまま水平に吊り下げる。乾燥後、流れないことまたは隆起が明らかであることを意味する塗料が流出しない層厚さ(μm、湿潤)を決定する同じ有効な物質を使用して荷重下における安定性の値が高いほど、レオロジーに対する効力は優れる。
【0197】
結果:
【0198】
【表13】

比較例C7およびC8で可能なのは、荷重下における本発明の生成物より劣った安定性(すなわち、より薄い最大層厚さ)であることはこの表で明らかである。比較例C7の場合には、加えて、不快なスルフィド臭が現れた。
【0199】
試験系7:ポリエステル系における抗分離試験
175mLのPEカップ中で、2種の結合剤成分Palapreg P17−02およびKraton 1118ASを、最初にDispermat CVの4cmの歯状突起のあるディスクを用いて1200rpmで1分間均質化した。次に50gのこの混合物を最初に175mLのPEカップ中に充填して、特定の添加剤を攪拌しながらDispermat CV(歯状突起のあるディスク、d=2.5cm、1000rpm)を用いて混合する。全ての場合に、1.4重量%の尿素成分A(PalapregおよびKratonの合計質量に基づいて)に相当する仕込み量を選択した。添加が終了したら、攪拌をさらに2分継続する。その後、試料を直接50mLのスナップ蓋式ボトル中に導入して室温で静置する。3日後に、試料の分離をスナップ蓋式ボトル中の合計充填高さに基づいて%で評価して、ゲル強度をレオロジーに対する効力の尺度として視覚で評価する。分離した相の高さが低いほど、添加剤のレオロジーに対する効力は優れており、そのことは、結果として2つの成分の分離をより効果的に阻止するために使用することができる。
【0200】
混合物の調合:
【0201】
【表14】
【0202】
結果:
【0203】
【表15】

*比較例C1の組成物は、添加剤調合物中の尿素化合物の含有率が38重量%になるようにさらなるN-エチルピロリドンの添加により調整した。
**本発明によらない。
(a)の源:SciFinder/(b)の源:市販材料は混合物である;SciFinderによりN,N-ジメチルデカンアミドについて報告された値
この表は、本発明の実施例は、優れた抗分離作用を有し且つ同時に混合物の色彩にいかなる有意な影響も及ぼさないという両方を示す。加えて、同時に、本発明の組成物中に存在するN−アルキルアミドの高い沸点は、対応する不飽和ポリエステル系で首尾よく使用されるための前提条件であることが見出され:その理由は、それらは、高温の条件下で硬化されるので(「閉じた鋳型」SMC適用と呼ばれる)、第1に硬化中に望ましくない放出が生じ、第2に沸騰過程が完成成分中に望ましくないガス泡が生ずるので、揮発性成分は使用不可能であるからである。本発明の実施例は、270℃を超える沸点を有し、それ故、対応する不利な点が予想されることがない。
【0204】
試験系8:貯蔵安定性
貯蔵安定性を試験するために、対応する製品の50mLの試料を、閉じたガラスボトル中に室温で貯蔵する。2ヵ月の間隔で、試料の外見を視覚で評価する。
【0205】
【表16】

この結果は、本発明の組成物が、第1に、本発明によらない比較例よりも優れた貯蔵安定性を一般的に有することを示す。さらに、組成物全体中の尿素成分のより高い比率が満たされる場合、対応する貯蔵安定な単相性も存在するという利点があり、対応する組成物範囲(尿素成分A対アルキルアミド化合物Bのより高い比率)は、本発明によらない先行技術から既知の比較例では全く得ることができない。