特許第6353942号(P6353942)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353942
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】蓄電装置及び蓄電装置ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20180625BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20180625BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20180625BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20180625BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20180625BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20180625BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20180625BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20180625BHJP
   H01G 11/18 20130101ALI20180625BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
   H01M10/6556
   H01M10/613
   H01M2/10 S
   H01M10/625
   H01M10/6568
   H01M10/647
   H01G11/10
   H01G11/78
   H01G11/18
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-28777(P2017-28777)
(22)【出願日】2017年2月20日
(62)【分割の表示】特願2013-56852(P2013-56852)の分割
【原出願日】2013年3月19日
(65)【公開番号】特開2017-123336(P2017-123336A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2017年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 康貴
(72)【発明者】
【氏名】山城 裕史
(72)【発明者】
【氏名】垰 寛明
(72)【発明者】
【氏名】中村 啓宏
(72)【発明者】
【氏名】澤田 祐介
【審査官】 小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−119222(JP,A)
【文献】 特開2012−138205(JP,A)
【文献】 特開2007−294407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01G 11/10
H01G 11/18
H01G 11/78
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/647
H01M 10/6556
H01M 10/6568
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの蓄電素子と、
該蓄電素子を保持する保持体とを備え、
前記蓄電素子は、電極端子が設けられた長辺及び短辺を有する矩形状の蓋体を有し、
前記保持体は、複数の部材と、前記複数の部材同士を締結する締結部材と、を備え、
前記複数の部材は、前記少なくとも一つの蓄電素子の前記蓋体の短辺方向及び前記蓋体の長辺方向のうちの一方である第一方向における両側に配置される一対の部材を含み、
前記一対の部材のそれぞれは、前記第一方向と直交し且つ前記蓋体の短辺方向及び前記蓋体の長辺方向のうちの他方である第二方向における一端部及び他端部に外方に突出する突部を有する前記締結部材が配置され、
前記一対の部材のそれぞれにおいて、前記一端部に配置された前記締結部材と、前記他端部に配置された前記締結部材とは、前記第一方向及び前記第二方向と直交する方向であり且つ前記蓄電素子における電極端子が設けられる面の法線方向である第三方向において異なる位置に配置され、
前記一対の部材のうちの一方の部材と他方の部材とは二つの同一の部材であり、
蓄電装置を少なくとも二つ並べたときに、隣り合う蓄電装置の一方の蓄電装置の前記保持体における前記一方の部材の前記締結部材が配置される面と、他方の蓄電装置の前記保持体における前記他方の部材の前記締結部材が配置される面とは向かい合って配置される、
蓄電装置。
【請求項2】
前記蓄電装置が載置され、前記蓄電装置に接触して前記蓄電素子を冷却する冷却プレートをさらに備える
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
請求項1に記載の蓄電装置を少なくとも二つ前記第二方向において並べて備える、
蓄電装置ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの蓄電素子がパッケージ化された蓄電装置及び該蓄電装置を少なくとも二つ並べて備えた蓄電装置ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関に取って代わって普及が進められているハイブリッド式機械や電気駆動式機械は、モータの電源装置として、蓄電装置ユニットを搭載している。この種の蓄電装置ユニットは、電池(リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等)やキャパシタ(電気二重層キャパシタ等)といった放充電可能な蓄電素子がパッケージ化された蓄電装置を機械の要求諸元に見合う数だけ備えている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されたバッテリ・パック(蓄電装置ユニット)は、特許文献1の図1に示すように、複数の単位電池セル110(蓄電素子)、上部フレーム120、下部フレーム130、側面フレーム140及びエンドプレート150から構成されたバッテリ・モジュール100(蓄電装置)が、同図6に示すように、上下及び横に並んで配置されたものである。
【0004】
また、特許文献2に記載された電源装置(蓄電装置ユニット)は、特許文献2の図3に示すように、複数の角形電池セル1(蓄電素子)、バインドバー11及びエンドプレート4から構成された電池積層体50(蓄電装置)が、同図3及び図2に示すように、ベースプレート6上で縦横に並んで配置されたものである。
【0005】
ところで、蓄電装置ユニットは、機械の限られた空間に配置されるため、できるだけ無駄なスペースを無くして小型化される必要がある。
【0006】
この観点で見ると、特許文献1に記載されたバッテリ・パック(蓄電装置ユニット)では、バッテリ・モジュール100(蓄電装置)を横に並べて配置する際、側面フレーム140をエンドプレート150に固定するためのボルトの頭部同士が当たらないように互いの距離を離間させる必要があるため、隣り合うバッテリ・モジュール100(蓄電装置)間に無駄なスペースが生じている。
【0007】
また、特許文献2に記載された電源装置(蓄電装置ユニット)では、電池積層体50(蓄電装置)を横に並べて配置する際、バインドバー11をベースプレート6に固定するための固定片31同士が当たらないように互いの距離を離間させる必要があるため、隣り合う電池積層体50(蓄電装置)間に無駄なスペースが生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−108652号公報
【特許文献2】特開2012−94456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、複数の蓄電装置を隣接させて配置したときに、空間効率を高めることができる蓄電装置及び蓄電装置ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る蓄電装置は、
少なくとも一つの蓄電素子と、
該蓄電素子を保持する保持体とを備え、
前記蓄電素子は、電極端子が設けられた長辺及び短辺を有する矩形状の蓋体を有し、
前記保持体は、複数の部材と、前記複数の部材同士を締結する締結部材と、を備え、
前記複数の部材は、前記少なくとも一つの蓄電素子の前記蓋体の短辺方向及び前記蓋体の長辺方向のうちの一方である第一方向における両側に配置される一対の部材を含み、
前記一対の部材のそれぞれは、前記第一方向と直交し且つ前記蓋体の短辺方向及び前記蓋体の長辺方向のうちの他方である第二方向における一端部及び他端部に外方に突出する突部を有する前記締結部材が配置され、
前記一対の部材のそれぞれにおいて、前記一端部に配置された前記締結部材と、前記他端部に配置された前記締結部材とは、前記第一方向及び前記第二方向と直交する方向であり且つ前記蓄電素子における電極端子が設けられる面の法線方向である第三方向において異なる位置に配置され、
前記一対の部材のうちの一方の部材と他方の部材とは二つの同一の部材であり、
蓄電装置を少なくとも二つ並べたときに、隣り合う蓄電装置の一方の蓄電装置の前記保持体における前記一方の部材の前記締結部材が配置される面と、他方の蓄電装置の前記保持体における前記他方の部材の前記締結部材が配置される面とは向かい合って配置される
【0011】
かかる構成によれば、第一及び第二の突部が突出する方向に少なくとも二つの蓄電装置が並んで配置されたときに、隣り合う蓄電装置の一方の蓄電装置の第一の突部と他方の蓄電装置の第二の突部とが干渉することはない。そのため、隣り合う蓄電装置をできるだけ接近させて配置することができる。
また、一対の部材が配置される方向に少なくとも二つの蓄電装置が並んで配置されたときに、隣り合う蓄電装置の一方の蓄電装置の一方の部材の第一の突部と他方の蓄電装置の他方の部材の第二の突部とが干渉することはない。そのため、隣り合う蓄電装置をできるだけ接近させて配置することができる。
さらに、保持体を組み合わせるために締結部材が用いられ、締結部材の一部が突部となってしまうものの、該締結部材の一部は、蓄電装置が並んで配置されたときに干渉し合わないようにずれて配置されている。そのため、隣り合う蓄電装置をできるだけ接近させて配置することができる。
【0012】
また、本発明に係る蓄電装置の別の態様として、
蓄電装置が載置され、蓄電装置に接触して蓄電素子を冷却する冷却プレートをさらに備える
ようにすることができる。
【0013】
かかる構成によれば、複数の蓄電装置を密に配置することができるため、それぞれの蓄電装置をムラなく均一に冷却することができる。
【0014】
また、本発明に係る蓄電装置ユニットは、
前記蓄電装置を少なくとも二つ前記第二方向において並べて備え
【0015】
かかる構成によれば、突部同士が干渉することはない。そのため、隣り合う蓄電装置をできるだけ接近させて配置することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、複数の蓄電装置を隣接させて配置したときに、空間効率を高めることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明に係る蓄電装置の一実施形態である電池モジュールを構成する電池モジュールの斜視図を示す。
図2図2は、同電池モジュールの正面図を示す。
図3図3は、同電池モジュールの側面図を示す。
図4図4は、同電池モジュールの平面図を示す。
図5図5は、同電池モジュールの分解斜視図を示す。
図6図6は、同電池モジュールがベースプレート上で縦横に並んで配置された形態の電池モジュールユニットの部分平面図を示す。
図7図7は、他実施形態に係る電池モジュールの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る蓄電装置の一実施形態である電池モジュールについて、図面を参酌しつつ説明する。
【0019】
図1図5に示すように、電池モジュール1は、第一方向に整列される複数の電池セル3と、隣り合う電池セル3間及び第一方向における複数の電池セル3の両側にそれぞれ配置される複数のスペーサ5と、複数の電池セル3及び複数のスペーサ5を保持してパッケージ化する保持体としてのフレーム7と、複数の電池セル3の電圧、電流又は温度の少なくとも一つを電池セル3毎に監視するセル監視回路(CMU:Cell Monitor Unit)モジュール9とを備えている。
【0020】
なお、以下においては、便宜上、第一方向をX方向(各図に示された直交軸のうちのX軸方向)といい、第一方向と直交する第二方向をY方向(各図に示された直交軸のうちのY軸方向)といい、第一方向及び第二方向と直交する第三方向をZ方向(各図に示された直交軸のうちのZ軸方向)という。各図においては、X方向、Y方向、Z方向のそれぞれ一方側に対し、X、Y、Zの記号を付している。なお、Z方向が鉛直方向に置かれた場合、Z方向は上下方向となり、Y方向は左右方向、X方向は前後方向となる。
【0021】
電池セル3は、開口部を有するケース本体31と、該ケース本体31の開口部を塞いで密閉する蓋体32とで構成されるケース30を備えている。ケース30内には、互いに絶縁された正極板と負極板とを含む電極体(図示せず)が収容されている。電池セル3は、X方向に扁平な角形電池である。
【0022】
電池セル3は、正負極一対の電極端子33を備えている。隣り合う電池セル3は、極性が反対となるように配置され、隣り合う電池セル3の電極端子33にはバスバー34が取り付けられる。その上で、電極端子33にはナット(図示しない)が螺合される。これにより、複数の電池セル3は、電気的に接続され、一つの電池を構成する。なお、複数の電池セル3のうち、X方向において両端に位置する二つの電池セル3のうち、一方の電池セル3(以下、「一端にある電池セル」という)の一方の電極端子(正極の電極端子)33には、正極の外部端子35が取り付けられ、他方の電池セル3(以下、「他端にある電池セル」という)の一方の電極端子(負極の電極端子)33には、負極の外部端子35が取り付けられている。
【0023】
スペーサ5は、合成樹脂製であり、絶縁性を有している。スペーサ5は、スペーサ本体50と、該スペーサ本体50からX方向に延出し、X方向において該スペーサ本体50と対向する電池セル3の外周端部を保持する保持部51とを備えている。スペーサ本体50は、電池セル3のケース30がX方向から見て矩形状であるのに対応して、矩形状に形成されている。保持部51は、スペーサ本体50の四つの角部のそれぞれに形成された角部保持部52と、スペーサ本体50の三辺のそれぞれ中央部に形成された角部間保持部53とを備えている。
【0024】
なお、本実施形態に係る電池モジュールでは、電池セル3の冷却方式として、内部に(パイプを介して)水などの冷却媒体が流通する冷却プレート(ヒートシンク)に電池セル3が接触することで電池セル3が冷却される、いわゆる水冷式が採用されている。電池セル3間に隙間が形成されてこの隙間に空気が流通することで電池セル3が冷却される、いわゆる空冷式ではない。空冷式のスペーサであれば、空気の流路を確保するために、例えば矩形波形状の断面形状を有するスペーサ本体が用いられるが、水冷式のスペーサではその必要がないため、本実施形態では、平坦な板状のスペーサ本体50が用いられる。これにより、スペーサ5は、隣り合う電池セル3の一方の電池セル3のケース30のX方向における面がスペーサ本体50の一方の面に当接し、且つ、隣り合う電池セル3の他方の電池セル3のケース30のX方向における面がスペーサ本体50の他方の面に当接するようにして、隣り合う電池セル3間に配置される。
【0025】
フレーム7は、X方向における複数の電池セル3の両側に配置され且つX方向において複数の電池セル3及び複数のスペーサ5を挟み込む一対の終端部材70(いわゆるエンドプレート)と、該一対の終端部材70同士を連結し、複数の電池セル3及び複数のスペーサ5を一体に緊締する連結部材75とを備えている。
【0026】
終端部材70は、例えば鋳造によって形成された、例えばアルミなどの金属製である。終端部材70は、終端部材本体71と、該終端部材本体71の下部からX方向外方に突出する脚部72とを備えている。終端部材本体71は、スペーサ本体50と同様、電池セル3のケース30がX方向から見て矩形状であるのに対応して、矩形状に形成されている。終端部材71は、矩形状の枠部と、該枠部内に形成された格子形状のリブとで構成され、X方向にある程度の厚みを有しながらも、軽量であり、剛性を有している。
【0027】
終端部材本体71の側部には、後述するボルト(締結部材)85のネジ部が螺入される雌ネジ710がY方向に沿って形成されている。雌ネジ710は、終端部材本体71のY方向における一方の側部及び他方の側部(以下、単に「一側部」、「他側部」という)のそれぞれにおいて、Z方向に互いに間隔を有して一対設けられている。
【0028】
一側部における一対の雌ネジ710は、Z方向における終端部材本体71の中心線を基準として、互いに非対称的な位置に形成されている。すなわち、一側部において、一方の雌ネジ710は、一側部のZ方向における一端側に形成され、他方の雌ネジ710は、一側部のZ方向における他端からZ方向中心側に寄った位置に形成されている。より詳しくは、一側部において、一方の雌ネジ710は、一側部のZ方向における一端側に配置され、他方の雌ネジ710は、一方の雌ネジ710との間に、ボルト85の頭部のZ方向における幅寸法よりも大きな間隔が形成されるよう、且つ、一側部のZ方向における他端との間に、ボルト85の頭部のZ方向における幅寸法よりも大きな間隔が形成されるよう、配置されている。
【0029】
また、他側部における一対の雌ネジ710は、Z方向における終端部材本体71の中心線を基準として、互いに非対称的な位置に形成されている。すなわち、他側部において、一方の雌ネジ710は、他側部のZ方向における他端側に形成され、他方の雌ネジ710は、他側部のZ方向における一端からZ方向中心側に寄った位置に形成されている。より詳しくは、他側部において、一方の雌ネジ710は、他側部のZ方向における他端側に配置され、他方の雌ネジ710は、一方の雌ネジ710との間に、ボルト85の頭部のZ方向における幅寸法よりも大きな間隔が形成されるよう、且つ、他側部のZ方向における一端との間に、ボルト85の頭部のZ方向における幅寸法よりも大きな間隔が形成されるよう、配置されている。
【0030】
さらには、一側部における一対の雌ネジ710と、他側部における一対の雌ネジ710とは、Y方向及びZ方向における終端部材本体71の中心点を基準として、点対称位置に形成されている。
【0031】
脚部72は、後述するボルト(締結部材)87によって後述するベースプレートAに取り付けられた状態で、X方向及びY方向への倒れに対し、十分な強度を有するよう、ある程度の厚みを有して終端部材本体71と一体形成されている。脚部72には、ボルト87のネジ部を通すための貫通孔720がZ方向に沿って形成されている。脚部72の先端部は、半円弧状に形成されている。脚部72は、Y方向に互いに間隔を有して一対設けられている。
【0032】
一対の脚部72は、Y方向における終端部材本体71の中心線を基準として、互いに非対称的な位置に形成されている。すなわち、一方の脚部72は、終端部材本体71の下部のY方向における一端側に形成され、他方の脚部72は、終端部材本体71の下部のY方向における他端からY方向中心側に寄った位置に形成されている。より詳しくは、一方の脚部72は、終端部材本体71の下部のY方向における一端側に配置され、他方の脚部72は、一方の脚部72との間に、脚部72のY方向における幅寸法よりも大きな間隔が形成されるよう、且つ、終端部材本体71の下部のY方向における他端との間に、脚部72のY方向における幅寸法よりも大きな間隔が形成されるよう、配置されている。
【0033】
本実施形態では、同じ二つの終端部材70が一対の終端部材70に使用されている。すなわち、本実施形態では、同じ向きに並ぶ同じ二つの終端部材70の一方の終端部材70が180度ひっくり返され(Z軸を中心として回転させられ)、互いに内面が対向した状態で、同じ二つの終端部材70が使用されている。
【0034】
なお、終端部材70と電池セル3との間に配置されるスペーサ5は、隣り合う電池セル3間に配置されるスペーサ5と同じものが使用される。したがって、終端部材70と電池セル3との間に配置されるスペーサ5は、電池セル3のケース30のX方向における面がスペーサ本体50の一方の面に当接し、且つ、終端部材70のX方向における内面がスペーサ本体50の他方の面に当接するようにして、配置される。
【0035】
連結部材75は、Y方向における複数の電池セル3の両側に一対設けられている。すなわち、連結部材75は、Y方向の一方側から複数の電池セル3に対向配置される連結部材75と、Y方向の他方側から複数の電池セル3に対向配置される連結部材75とを備えている。
【0036】
連結部材75は、X方向に沿って延びて互いに間隔を有して平行する一対の横梁部76と、該一対の横梁部76のX方向における一端部同士及び他端部同士を連結する一対の縦梁部77とを備え、全体として、矩形の枠形状を呈している。一対の横梁部76の一方の横梁部76は、複数の電池セル3の底部に回り込む折り曲げ部760を備えている。一対の縦梁部77のそれぞれは、一端及び他端にある電池セル3のX方向における面に回り込む折り曲げ部770を備えている。これにより、一対の連結部材75は、折り曲げ部760,770によって剛性が高められるとともに、複数の電池セル3及び複数のスペーサ5の、Z方向を折り曲げ部760によって拘束し、X方向を一対の折り曲げ部770によって拘束し、Y方向を一対の横梁部76及び一対の縦梁部77によって拘束する。また、連結部材75は、一対の横梁部76及び一対の縦梁部77によって枠形状に形成されることで、特にX方向の断面モーメントを向上させているため、複数の電池セル3の積層方向における剛性が非常に強くなっている。
【0037】
連結部材75の一対の縦梁部77には、ボルト85のネジ部を通すための貫通孔771がY方向に沿って形成されている。貫通孔771は、連結部材75のX方向における一端部及び他端部(以下、単に「一端部」、「他端部」という)のそれぞれにおいて、Z方向に互いに間隔を有して一対設けられている。
【0038】
一端部における一対の貫通孔771は、Z方向における連結部材75の中心線を基準として、互いに非対称的な位置に形成されている。すなわち、一端部において、一方の貫通孔771は、一端部のZ方向における一端側に形成され、他方の貫通孔771は、一端部のZ方向における他端からZ方向中心側に寄った位置に形成されている。より詳しくは、一端部において、一方の貫通孔771は、一端部のZ方向における一端側に配置され、他方の貫通孔771は、一方の貫通孔771との間に、ボルト85の頭部のZ方向における幅寸法よりも大きな間隔が形成されるよう、且つ、一端部のZ方向における他端との間に、ボルト85の頭部のZ方向における幅寸法よりも大きな間隔が形成されるよう、配置されている。
【0039】
また、他端部における一対の貫通孔771は、Z方向における連結部材75の中心線を基準として、互いに非対称的な位置に形成されている。すなわち、他端部において、一方の貫通孔771は、他端部のZ方向における他端側に形成され、他方の貫通孔771は、他端部のZ方向における一端からZ方向中心側に寄った位置に形成されている。より詳しくは、他端部において、一方の貫通孔771は、他端部のZ方向における他端側に配置され、他方の貫通孔771は、一方の貫通孔771との間に、ボルト85の頭部のZ方向における幅寸法よりも大きな間隔が形成されるよう、且つ、他端部のZ方向における一端との間に、ボルト85の頭部のZ方向における幅寸法よりも大きな間隔が形成されるよう、配置されている。
【0040】
さらには、一端部における一対の貫通孔771と、他端部における一対の貫通孔771とは、Y方向及びZ方向における連結部材75の中心点を基準として、点対称位置に形成されている。
【0041】
本実施形態では、同じ二つの連結部材75が一対の連結部材75に使用されている。すなわち、本実施形態では、同じ向きに並ぶ同じ二つの連結部材75の一方の連結部材75が180度ひっくり返され(Z軸を中心として回転させられ)、互いに内面が対向した状態で、同じ二つの連結部材75が使用されている。
【0042】
セル監視回路モジュール9は、セル監視回路(図示しない)を回路ケース90に収容したものである。回路ケース90は、開口部を有するケース本体91と、該ケース本体91の開口部を塞いで密閉する蓋体92とを備えている。
【0043】
以上の構成からなる電池モジュール1は、間にスペーサ5が配置されつつ複数の電池セル3が積層され、一端及び他端にある電池セル3の外側にもスペーサ5が配置され、さらにその両側に一対の終端部材70が配置され、一対の終端部材70間にX方向の圧縮力が掛けられた状態で、一対の連結部材75が複数の電池セル3にY方向から配置されるとともに、連結部材75の各貫通孔771に挿通されたボルト85のネジ部が終端部材70の各雌ネジ710に螺入され、複数の電池セル3及び複数のスペーサ5がフレーム7とともに一体化された後、セル監視回路モジュール9が複数の電池セル3にZ方向から配置されて取り付けられることによって、完成する。
【0044】
ところで、以上の構成からなる電池モジュール1では、終端部材70の脚部72が突部として突出している。より詳しくは、一方の終端部材70の脚部72が第一の突部として電池モジュール1の一方側に突出し、他方の終端部材70の脚部72が第二の突部として電池モジュール1の他方側に突出している。なお、突部とは、電池モジュール1をX方向、Y方向又はZ方向のいずれかの方向から見た場合、電池モジュール1の輪郭(外形線)からはみ出ている部分をいう。しかしながら、図6に示す如く、X方向で隣り合う電池モジュール1の一方の電池モジュール1の脚部72と他方の電池モジュール1の脚部72とは、Y方向において異なる位置に位置している。したがって、少なくとも二つの電池モジュール1がベースプレートA上でX方向に並べられて配置される際、脚部72同士が干渉することはない。そのため、X方向で隣り合う電池モジュール1をできるだけ接近させて配置することができる。なお、電池モジュール1は、脚部72の貫通孔720に挿通されたボルト87のネジ部がベースプレートAに形成された雌ネジ(図示しない)に螺入されることで、ベースプレートAに固定される。
【0045】
また、以上の構成からなる電池モジュール1では、連結部材75を終端部材70に締結するためのボルト85の頭部が突部として突出している。より詳しくは、一方の連結部材75を終端部材70に締結するためのボルト85の頭部が第一の突部として電池モジュール1の一方側に突出し、他方の連結部材75を終端部材70に締結するためのボルト85の頭部が第二の突部として電池モジュール1の一方側とは反対側に突出している。しかしながら、図6に示す如く、Y方向で隣り合う電池モジュール1の一方の電池モジュール1のボルト85の頭部と他方の電池モジュール1のボルト85の頭部とは、Z方向において異なる位置に位置している。したがって、少なくとも二つの電池モジュール1がベースプレートA上でY方向に並べられて配置される際、ボルト85の頭部同士が干渉することはない。そのため、Y方向で隣り合う電池モジュール1をできるだけ接近させて配置することができる。
【0046】
このように、以上の構成からなる電池モジュール1によれば、ベースプレートA上の縦横両方向で電池モジュール1を接近させて密に配置することができる。そのため、単位体積あたりの蓄電容量を増やしつつ、電池モジュールユニットを小型化することができる。
【0047】
また、本実施形態では、ベースプレートAは、内部に(パイプを介して)水などの冷却媒体が流通する冷却プレート(ヒートシンク)であるが、複数の電池モジュール1を密に配置することができるため、各電池モジュール1をムラなく均一に冷却することができるという効果もある。より詳しくは、水冷式の場合、電池モジュール1をベースプレートA上に配置する必要があるが、以上の構成からなる電池モジュール1によれば、複数の電池モジュール1を密に配置することができるため、同一のベースプレートAの面積であっても、隣り合う電池モジュール1の脚部72同士やボルト85の頭部同士が干渉してしまう配置である場合に比べて、より多くの電池モジュール1を配置することができる。そのため、ベースプレートAのコスト増加を抑制しつつ、多くの電池モジュール1を搭載することができる。
【0048】
尚、本発明に係る蓄電装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態においては、脚部72は、Y方向において異なる位置に形成されている。しかしながら、これに限定されるものではない。脚部72は、Z方向において異なる位置に形成されていてもよい。
【0050】
また、上記実施形態においては、脚部72は、X方向外方に突出している。しかしながら、これに限定されるものではない。脚部72は、Y方向外方に突出するものであってもよい。あるいは、脚部72は、X方向にもY方向にも突出するものであってもよい。
【0051】
また、上記実施形態においては、ボルト85の頭部は、Z方向において異なる位置に形成されている。しかしながら、これに限定されるものではない。ボルト85の頭部は、X方向において異なる位置に形成されていてもよい。
【0052】
また、上記実施形態においては、ボルト85がY方向に螺合するものであるため、ボルト85の頭部は、Y方向外方に突出している。しかしながら、これに限定されるものではない。ボルト85がX方向に螺合することで、ボルト85の頭部は、X方向外方に突出するものであってもよい。あるいは、ボルト85の頭部は、Y方向にもX方向にも突出するものであってもよい。
【0053】
また、上記実施形態においては、一対の連結部材75が一対の終端部材70の左右側方に配置されている。しかしながら、これに限定されるものではない。一対の連結部材が一対の終端部材70の頂部及び底部に配置されるようにしてもよい。また、それぞれ連結部材75は、枠状でなく、帯板状であってもよい。なお、この場合、連結部材75の一端部における一対の貫通孔771と、他端部における一対の貫通孔771とは、X方向及びY方向における連結部材75の中心点を基準として、点対称位置に形成されている。
【0054】
また、上記実施形態においては、脚部72は電池モジュール1のX方向における片面に二つ設けられ、ボルト85の頭部は電池モジュール1のY方向における片面に四つ設けられている。しかしながら、これに限定されるものではない。脚部72は一つであってもよく、三つ以上であってもよい。ボルト85は二つ又は三つであってもよく、五つ以上であってもよい。
【0055】
また、上記実施形態においては、脚部72は電池モジュール1の一方側と他方側のそれぞれに同じ数だけ設けられ、ボルト85の頭部も電池モジュール1の一方側と他方側のそれぞれに同じ数だけ設けられている。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、電池モジュール1の一方側には、脚部72が一つ、他方側には、脚部72が二つといったように、電池モジュール1の一方側の突部(第一の突部)と電池モジュール1の他方側の突部(第二の突部)は、同数でなくてもよい。
【0056】
また、上記実施形態においては、部材と部材とを締結して突部となってしまうものがボルト85であった。しかしながら、これに限定されるものではない。リベット、アンカー等、他の締結部材であってもよい。
【0057】
また、上記実施形態においては、保持体として、一対の終端部材70及び一対の連結部材75を備えたフレーム7が用いられ、積層された電池セル3がフレーム7によって緊締保持されるようになっている。しかしながら、これに限定されるものではない。保持体は、例えば、複数の電池セル3を密に配置して又は間にある程度の隙間を有して収容するケース状(箱状)の筐体であってもよい。
【0058】
また、上記実施形態においては、水冷式が採用されている。しかしながら、これに限定されるものではない。電池セル3間に隙間が形成されてこの隙間に空気が流通することで電池セル3が冷却される、いわゆる空冷式であってもよい。
【0059】
また、上記実施形態においては、一対の終端部材70として、二つの同一の終端部材70が用いられ、一対の連結部材75として、二つの同一の連結部材75が用いられている。しかしながら、これに限定されるものではない。一方の終端部材70と他方の終端部材70は同一のもの(同じ構成のもの)でなくてもよい。また、一方の連結部材75と他方の連結部材75は同一のもの(同じ構成のもの)でなくてもよい。特に、電池モジュールユニットにおいて、両端にある電池モジュール1のそれぞれ外方の終端部材70として、仮に突部(脚部)が突出しない終端部材が用いられれば、電池モジュールユニットの最外周を突部が突出していない構造にすることができる。これにより、電池モジュールユニットの周壁を中心側にオフセットすることができて、電池モジュールユニットのダウンサイジングを図ることができる。
【0060】
また、上記実施形態においては、連結部材75として、矩形の枠形状を呈する板材の両端を折り曲げて折り曲げ部770を形成したものが用いられている。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、ある程度の厚み(例えば6mm程度)を有する矩形の枠形状の板材(鋼板)を連結部材75として用いるようにしてもよい。この場合、ボルト85のネジ部を通すための貫通孔771は、板材にそのまま形成してもいいが、複数の電池モジュール1を密に配置するためには、板材に凹部(段差部)772が形成され、ここに貫通孔771が形成されることで、ボルト85の頭部が沈み込むようになるのが好ましい。この場合、ボルト85の頭部は、僅かに板材の外面から突出している。
【0061】
また、上記実施形態においては、リチウムイオン二次電池について説明した。しかしながら、電池の種類や大きさ(容量)は任意である。
【0062】
また、本発明は、リチウムイオン二次電池に限定されるものではない。本発明は、種々の二次電池、その他、一次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタにも適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…電池モジュール、3…電池セル、30…ケース、31…ケース本体、32…蓋体、33…電極端子、34…バスバー、35…外部端子、5…スペーサ、50…スペーサ本体、51…保持部、52…角部保持部、53…角部間保持部、7…フレーム、70…終端部材、71…終端部材本体、710…雌ネジ、72…脚部(突部)、720…貫通孔、75…連結部材、76…横梁部、760…折り曲げ部、77…縦梁部、770…折り曲げ部、771…貫通孔、85…ボルト(締結部材、突部)、87…ボルト(締結部材)、9…セル監視回路(CMU)モジュール、90…回路ケース、91…ケース本体、92…蓋体、A…ベースプレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7