特許第6353954号(P6353954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353954
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】圃場用縦口路形成装置
(51)【国際特許分類】
   A01B 13/08 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   A01B13/08 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-98356(P2017-98356)
(22)【出願日】2017年5月17日
(62)【分割の表示】特願2013-149708(P2013-149708)の分割
【原出願日】2013年7月18日
(65)【公開番号】特開2017-158581(P2017-158581A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2017年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】395008849
【氏名又は名称】株式会社富士トレーラー製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 勇治
(74)【代理人】
【識別番号】100199543
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】皆川 功
(72)【発明者】
【氏名】皆川 俊男
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−180102(JP,A)
【文献】 実開平01−079901(JP,U)
【文献】 実開昭55−045767(JP,U)
【文献】 特開2002−017106(JP,A)
【文献】 特開平09−103113(JP,A)
【文献】 米国特許第04245705(US,A)
【文献】 米国特許第04106568(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 13/00 − 17/00
A01B 59/00 − 63/32
A01B 71/00 − 71/08
E02B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に連結機構により取付枠を連結し、該取付枠に機枠を連結し、該機枠に穿入ビームを進行方向に揺振動作自在に縦設し、該穿入ビームを揺振動作させる揺振機構を設け、該機枠に該穿入ビームにより土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成可能な拡張部材を配設し、該拡張部材を強制拡張動作させる拡張機構を設け、該揺振機構及び該拡張機構の駆動源を上記走行機体の動力取出軸としてなり、上記機枠を上記取付枠に枢着機構により水平旋回自在に連結し、上記走行機体の動力取出軸から上記揺振機構及び上記拡張機構への動力伝動経路に該取付枠の水平旋回を許容する自在継手を配設し、上記枢着機構として、上記取付枠と上記機枠とを水平旋回自在に連結する上下一対の旋回縦軸を備えると共に該上下一対の旋回縦軸の上下方向の中間位置に上記自在継手を配置し、上記走行機体を舵取運転して走行機体の進行方向を折曲変向して走行機体を圃場面の略全面に亘って連続的に回り走行しても上記機枠は上記枢着機構の旋回縦軸及び上記自在継手により水平旋回しながら走行機体に牽引されて上記穿入ビーム及び拡張部材により連続的に縦口路を形成するように構成したことを特徴とする圃場用縦口路形成装置。
【請求項2】
上記穿入ビームの下端部に圃場土中に暗渠を形成可能な形成体を配設してなることを特徴とする請求項1記載の圃場用縦口路形成装置。
【請求項3】
上記穿入ビームの下端部に犂体を配設してなることを特徴とする請求項1又は2記載の圃場用縦口路形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば水田や畑の圃場土中に縦口路を形成する際に用いられる圃場用縦口路形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の圃場用縦口路形成装置として、走行機体に連結機構により取付枠を連結し、該取付枠に機枠を連結し、該機枠に穿入ビームを進行方向に揺振動作自在に縦設し、該穿入ビームを揺振動作させる揺振機構を設け、該機枠に該穿入ビームにより土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成可能な拡張部材を配設し、該拡張部材を強制拡張動作させる拡張機構を設けてなる構造のものが知られている。
【0003】
しかして、水田等の圃場においては、表層の耕耘層、その下層の耕盤、さらに下層の芯土層からなり、この耕耘層、耕盤及び芯土層、少なくとも耕耘層、耕盤に穿孔体を穿入して進行させ、穿入ビームにより土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成し、縦口路により圃場の排水性及び通気性を良化すると共に水稲等の根の深部への生育を良化することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4174780号公報
【特許文献2】特許第5266579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来構造の場合、上記圃場面の略全面に亘って走行機体を回り走行し、穿入ビーム及び拡張部材により縦口路形成作業を行うに際し、穿入ビーム及び拡張部材は走行機体に一体に配設されているから、例えば、圃場面の内周角部近接位置においては、走行機体を連続舵取走行してそのまま折曲変向走行することができず、内周角部に至る手前位置において、一旦、走行機体を停止し、連結機構により穿入ビーム及び拡張部材を圃場面から上昇離反し、この上昇離反状態で走行機体を舵取走行して折曲変向し、変向後、連結機構により穿入ビーム及び拡張部材を圃場面に下降接触し、その下降状態で、引続き、走行機体を走行して、穿入ビーム及び拡張部材により縦口路形成作業を行うことになり、このため、走行機体を連続的に回り走行して連続的に縦口路形成作業を行うことができず、それだけ、作業能率が低下すると共に穿孔跡溝及び縦口路は連続的に形成されず、圃場の排水性及び通気性を良化することができないことがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、走行機体に連結機構により取付枠を連結し、該取付枠に機枠を連結し、該機枠に穿入ビームを進行方向に揺振動作自在に縦設し、該穿入ビームを揺振動作させる揺振機構を設け、該機枠に該穿入ビームにより土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成可能な拡張部材を配設し、該拡張部材を強制拡張動作させる拡張機構を設け、該揺振機構及び該拡張機構の駆動源を上記走行機体の動力取出軸としてなり、上記機枠を上記取付枠に枢着機構により水平旋回自在に連結し、上記走行機体の動力取出軸から上記揺振機構及び上記拡張機構への動力伝動経路に該取付枠の水平旋回を許容する自在継手を配設し、上記枢着機構として、上記取付枠と上記機枠とを水平旋回自在に連結する上下一対の旋回縦軸を備えると共に該上下一対の旋回縦軸の上下方向の中間位置に上記自在継手を配置し、上記走行機体を舵取運転して走行機体の進行方向を折曲変向して走行機体を圃場面の略全面に亘って連続的に回り走行しても上記機枠は上記枢着機構の旋回縦軸及び上記自在継手により水平旋回しながら走行機体に牽引されて上記穿入ビーム及び拡張部材により連続的に縦口路を形成するように構成したことを特徴とする圃場用縦口路形成装置にある。
【0007】
又、請求項2記載の発明は、上記穿入ビームの下端部に圃場土中に暗渠を形成可能な形成体を配設してなることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記穿入ビームの下端部に犂体を配設してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、走行機体の進行に伴い、穿入ビームは進行方向に揺振動作しつつ土中に穿入して穿入跡溝を形成し、穿入跡溝位置において、拡張部材は拡張機構により穿入跡溝を拡張して地表面に開口する縦口路を形成することになり、時間の経過により穿入跡溝の両対向面が近接して狭まって閉塞されたとしても縦口路が維持され、縦口路の存在により圃場の排水性及び通気性を良好に保持することができ、この際、上記機枠を上記取付枠に枢着機構により水平旋回自在に連結し、上記走行機体の動力取出軸から上記揺振機構及び上記拡張機構への動力伝動経路に取付枠の水平旋回を許容する自在継手を配設し、上記枢着機構として、上記取付枠と上記機枠とを水平旋回自在に連結する上下一対の旋回縦軸を備えると共に上下一対の旋回縦軸の上下方向の中間位置に上記自在継手を配置して構成しているから、旋回縦軸により取付枠と機枠との連結を容易に行うことができると共に構造を簡素化することができ、上記圃場面の略全面に亘って走行機体を回り走行し、穿入ビーム及び拡張部材により縦口路の形成作業を行うに際し、走行機体を舵取運転して走行機体の進行方向を折曲変向しても、機枠は枢着機構及び自在継手により水平旋回しながら走行機体に牽引され、したがって、圃場面の内周角部近接位置においても、走行機体を停止したり、停止状態において、取付枠及び機枠を上昇させたり、下降動作させたりすることがなくなり、走行機体を連続的に回り走行して連続的に形成作業を行うことができ、それだけ、作業能率を向上することができると共に穿入跡溝は連続的に形成され、圃場の排水性及び通気性を良化することができる。
【0009】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記穿入ビームの下端部に圃場土中に暗渠を形成可能な形成体を配設しているから、走行機体の進行に伴い、形成体は穿入跡溝に暗渠を形成することができ、縦口路及び暗渠の存在により圃場の排水性及び通気性を良化することができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記穿入ビームの下端部に犂体を配設しているから、穿入ビームの土中への穿入を良化することができ、穿入跡溝の形成を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態例の全体側面図である。
図2】本発明の実施の形態例の部分側面図である。
図3】本発明の実施の形態例の部分平面図である。
図4】本発明の実施の形態例の部分側断面図である。
図5】本発明の実施の形態例の部分縦断面図である。
図6】本発明の実施の形態例の部分平断面図である。
図7】本発明の実施の形態例の部分拡大縦断面図である。
図8】本発明の実施の形態例の部分拡大縦断面図である。
図9】本発明の実施の形態例の部分拡大縦断面図である。
図10】本発明の実施の形態例の説明平面図である。
図11】本発明の実施の形態例の部分平面図である。
図12】本発明の実施の形態例の作業説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図12は本発明の実施の形態例を示し、1は走行機体であって、この場合、トラクタが用いられ、走行機体1の後部に三点リンク式の連結機構2により取付枠3が上下動可能に連結され、取付枠3に機枠4が枢着機構5により水平旋回E自在に連結されている。
【0012】
この場合、図1図2図3の如く、上記連結機構2は、上記走行機体1の後部に左右の下部リンク2a・2a、上部リンク2b、吊上リンク2c・2c及び油圧アーム2d・2dからなる三点リンク機構が設けられ、この三点リンク機構により走行機体1に取付枠3を連結し、この場合、取付枠3は下部杆3a及び下部杆3aの中央に立設された中央杆3bからなる略逆T状に形成され、中央杆3bの上部に上部リンク2bを枢着連結し、下部杆3aの左右端部にそれぞれ下部リンク2a・2aを枢着連結し、三点リンク機構の油圧アーム2d・2dの上下揺動により取付枠3を上下動自在に設けて構成している。
【0013】
又、この場合、図2図3図4図5の如く、上記枢着機構5として、上記取付枠3の中央杆3bに上部支持杆3cを後方に向けて突設し、下部杆3aの左右端底部にそれぞれ下部支持杆3d・3dを後方に向けて突設し、下部支持杆3d・3d間に底支持杆3eを架設し、上記機枠4は、上部杆4aの左右両側に縦杆4b・4bを垂設して門型形状に形成すると共に縦杆4b・4bの内側面に左右支持杆4c・4cを後方に向けて固定突設し、左右支持杆4c・4cの前端部間に前支持杆4dを架設し、左右支持杆4c・4cの後端部間に後支持杆4eを架設し、上記取付枠3の上部支持杆3cと機枠4の上部杆4aとを上側の旋回縦軸5aにより枢着すると共に上記取付枠3の底支持杆3eと機枠4の前支持杆4dとを下側の旋回縦軸5bにより枢着し、これにより上記機枠4を取付枠3に上下一対の旋回縦軸5a・5bからなる枢着機構5により水平旋回E自在に連結して構成している。
【0014】
6は穿入ビーム、7は揺振機構であって、この場合、図2図3図4図6図7の如く、機枠4に揺動アーム8の中程部を支点軸9により揺振動作D自在に枢着すると共に機枠4に主軸10を軸受10a・10aにより回転自在に横設し、取付枠3の中央杆3bに軸受11aにより中間軸11を横設し、走行機体1の動力取出軸1aと中間軸11とを自在継手12により連結し、かつ、中間軸11と主軸10とを自在継手13により連結し、主軸10と揺動アーム8との間に偏心輪機構14を介装し、即ち、偏心輪機構14として、上記主軸10の軸受10a・10a間に主軸10の軸線Oに対する偏心量εの偏心筒軸14aを配置し、偏心筒軸14aに接続部材14bの上側の軸受14cを嵌合し、接続部材14bの下側の軸受14dに揺動アーム8の基軸8aを嵌挿し、揺動アーム8をガイドロール8b・8b及びガイド片3f・3fにより上下揺動案内し、主軸10の回転により偏心輪機構14を介して揺動アーム8を支点軸9を中心として上下揺振動作Dさせ、揺動アーム8の後端部に穿入ビーム6を上下方向に取付け、穿入ビーム6の前縁部に先細り勾配の刃部6aを形成して構成している。
【0015】
しかして、走行機体1の進行Qに伴い穿入ビーム6は進行方向に揺振動作Dしつつ土中Wに穿入して穿入跡溝Sを形成することになる。
【0016】
15は拡張部材、16は拡張機構であって、図3図4図10の如く、この拡張部材15は上記穿入ビーム6の進行方向後方位置に配設され、穿入ビーム6により土中Wの上下方向に延びて形成される穿入跡溝Sの一方側面を拡張して地表面Mに開口する縦口路Tを形成可能に設けられ、拡張機構16は、この拡張部材15を進行方向後方向きの非拡張位置Kから進行方向側方向き、この場合、進行方向後方向きから略70度振った側方向きの拡張位置Gに間欠的に強制拡張動作Rさせるように構成されている。
【0017】
この場合、上記拡張機構16は、図4図6図8図9図10の如く、上記機枠4の後部に軸受筒体17を縦設し、軸受筒体17に軸状体18を縦回り回動自在に縦設し、軸受筒体17に軸受片体19・19を形成し、軸状体18の下端部を軸受片体19・19により回動自在に軸受し、軸状体18に上下に延びる羽根板状の突状体15aを突設して拡張部材15に形成し、又、拡張機構16として、この場合、上記機枠4に減速機構20を取付け、減速機構20の入力軸20aと主軸10とを継手21により連結し、減速機構20の出力軸20bに旋回アーム22を取付け、旋回アーム22にカムロール状の拡張押動ロール23を植設し、軸状体18の上端部に拡張押動ロール23により押動される拡張カム部材24を水平突設し、しかして、上記揺振機構7及び上記拡張機構16の駆動源を上記走行機体1の動力取出軸1aとしてなり、上記走行機体1の動力取出軸1aから上記揺振機構7及び上記拡張機構16への動力伝動経路に取付枠3の水平旋回を許容する自在継手13を配設し、この場合、上記取付枠3と上記機枠4とを水平旋回E自在に連結する上下一対の旋回縦軸5a・5bを備えると共に上下一対の旋回縦軸5a・5bの上下方向の中間位置に上記自在継手13を配置して構成している。
【0018】
25は姿勢保持機構であって、図2図3の如く、上記機枠4の無負荷時姿勢を上記走行機体1の直進方向に保持可能に構成され、この場合、上記取付体3の下部杆3aの左右両端部と機枠4の縦杆4b・4bとの間にそれぞれ左右一対の姿勢保持用バネ25a・25aを架設して構成している。
【0019】
しかして、図3の如く、主軸10の回転により減速機構20の出力軸20bが回転し、出力軸20bの回転により旋回アーム22は水平旋回Eし、この旋回途中において、図10の如く、拡張機構16の拡張押動ロール23は拡張カム部材24を係合押動し、この押動により拡張部材15は進行方向後方向きの非拡張位置Kから進行方向側方向きの拡張位置Gに強制拡張動作Rし、この場合、進行方向後方向きから略70度振った側方向きの拡張位置Gに強制拡張動作Rし、拡張部材15により穿入跡溝Sの一方側面を拡張して地表面Mに開口する縦口路Tが拡張形成され、図3図10の如く、更なる回動により拡張押動ロール23が拡張カム部材24から離反して拡張部材15は不拘束状態となり、この不拘束状態により、拡張部材15は穿入跡溝Sの一方側面からの進行抵抗を受け、進行方向側方向きの拡張位置Gから進行方向後方向きの非拡張位置Kに復帰回動し、この旋回アーム22は回動を継続し、順次、穿入跡溝Sの側面を拡張して、地表面Mに縦口路Tを形成することになる。
【0020】
26は溝切円盤であって、図2図7の如く、上記機枠4に取付片26a・26aを穿入ビーム6の前方位置にして突設し、取付片26a・26aの下部間に車軸26bにより溝切円盤26を回転自在に取り付け、穿入ビーム6の進行方向前方位置において穿入条溝Fを形成するように構成している。
【0021】
27は転輪であって、図2図3の如く、上記機枠4の左右両側位置に取付アーム27a・27aを高さ調節機構27b・27bにより高さ調節自在に配置し、田面等の地表面Mに転輪27を接地させ、機枠4の安定走行及び縦口路Tの表面からの形成高さの設定を図るように構成している。
【0022】
28は形成体であって、図2の如く、弾丸状に形成され、上記穿入ビーム6の下端部にフック状の連結材29を取り付け、連結材29に形成体28を連結し、連結材29により暗渠Hを形成するように構成している。
【0023】
30は犂体であって、図4の如く、上記穿入ビーム6の下端部に形成されている。
【0024】
この実施の形態例は上記構成であるから、図12の如く、走行機体1の進行Qに伴い、溝切円盤26は土中Wに穿入して穿入条溝Fを形成し、穿入条溝F位置において、穿入ビーム6は進行方向に揺振動作Dしつつ土中Wに穿入して穿入跡溝Sを形成し、穿入跡溝S位置において、拡張部材15は拡張機構16により進行方向後方向きの非拡張位置Kから進行方向側方向きの拡張位置Gに強制拡張動作Rして土中Wの上下方向に延びて形成された穿入跡溝Sの一方側面を拡張して地表面Mに開口する縦口路Tを形成し、これにより地表面Mに開口する縦口路Tを点在形成することになり、時間の経過により穿入跡溝Sの両対向面が近接して狭まって閉塞されたとしても縦口路Tが維持され、縦口路Tの存在により圃場Pの排水性及び通気性を良好に保持することができる。
【0025】
この場合、上記機枠4を上記取付枠3に枢着機構5により水平旋回E自在に連結し、上記走行機体1の動力取出軸1aから上記揺振機構7及び上記拡張機構16への動力伝動経路に取付枠3の水平旋回を許容する自在継手13を配設し、上記枢着機構5として、上記取付枠3と上記機枠4とを水平旋回E自在に連結する上下一対の旋回縦軸5a・5bを備えると共に上下一対の旋回縦軸5a・5bの上下方向の中間位置に上記自在継手13を配置して構成しているから、図3図11の如く、旋回縦軸5a・5bにより取付枠3と機枠4との連結を容易に行うことができると共に構造を簡素化することができ、上記圃場P面の略全面に亘って走行機体1を回り走行し、穿入ビーム6及び拡張部材15により縦口路Tの形成作業を行うに際し、図11図12の如く、走行機体1を舵取運転して走行機体1の進行方向を折曲変向しても、機枠4は枢着機構5及び自在継手13により水平旋回Eしながら走行機体1に牽引され、したがって、圃場P面の内周角部近接位置においても、走行機体1を停止したり、停止状態において、取付枠3及び機枠4を上昇させたり、下降動作させたりすることがなくなり、走行機体1を連続的に回り走行して連続的に形成作業を行うことができ、それだけ、作業能率を向上することができると共に穿入跡溝Sは連続的に形成され、圃場Pの排水性及び通気性を良化することができる。
【0026】
この場合、上記穿入ビーム6の下端部に圃場P土中Wに暗渠Hを形成可能な形成体28を配設しているから、走行機体1の進行Qに伴い、形成体28は穿入跡溝Sに暗渠Hを形成することができ、縦口路T及び暗渠Hの存在により圃場Pの排水性及び通気性を良化することができ、又、この場合、上記穿入ビーム6の下端部に犂体30を配設しているから、穿入ビーム6の土中Wへの穿入を良化することができ、穿入跡溝Sの形成を円滑に行うことができる。
【0027】
又、この場合、上記機枠4の無負荷時姿勢を図3に示す上記走行機体1の直進方向に保持可能な姿勢保持機構25を配設してなるから、非縦口路形成作業状態等における機枠4の無負荷時姿勢を直進方向に保持することができ、例えば、機枠4を圃場P面から離反上昇して機枠4が自由状態のとき、上記機枠4の直進方向としての中央位置を境とする不測の左右方向の振れ回りを抑制することができ、安全性を高めることができ、又、この場合、上記姿勢保持機構25として、上記取付枠3と上記機枠4との間に左右一対の姿勢保持用バネ25a・25aを架設してなるから、姿勢保持機構25の構造を簡素化することができると共に、機枠4が左右方向に振れ回りをしたとき、左右一対の姿勢保持用バネ25a・25aのいずれか一方の姿勢保持用バネ25aが上記機枠4の姿勢を上記走行機体1の進行方向に強制的に復元旋回させることになり、枢着機構5の存在による上記機枠4の不測の左右方向の振れ回りを抑制することができる。
【0028】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、枢着機構5の構造等は適宜変更して設計されるものである。
【0029】
以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0030】
W 土中
S 穿入跡溝
M 地表面
T 縦口路
H 暗渠
D 揺振動作
E 水平旋回
R 強制拡張動作
P 圃場
1 走行機体
1a 動力取出軸
2 連結機構
3 取付枠
4 機枠
5 枢着機構
5a 旋回縦軸
5b 旋回縦軸
6 穿入ビーム
7 揺振機構
13 自在継手
15 拡張部材
16 拡張機構
28 形成体
30 犂体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12