特許第6353967号(P6353967)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6353967
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】巻き付け健康具
(51)【国際特許分類】
   A61N 2/08 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   A61N2/08 Z
   A61N2/08 H
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-202948(P2017-202948)
(22)【出願日】2017年10月19日
【審査請求日】2017年11月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515310962
【氏名又は名称】岡村 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 村 一 夫
【審査官】 藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−169611(JP,A)
【文献】 特開2011−078524(JP,A)
【文献】 特開2004−255198(JP,A)
【文献】 特開2013−002512(JP,A)
【文献】 特開2016−168334(JP,A)
【文献】 実開昭61−154956(JP,U)
【文献】 実開昭62−033852(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3081787(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3034673(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3042173(JP,U)
【文献】 特開2006−006389(JP,A)
【文献】 実開昭54−063485(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の長さ方向に伸びる糸を網目状に編んだ樹脂製又は布製の糸材からなるメッシュチューブが、可撓性の樹脂チューブと一体化されることにより形成された内側チューブと、
前記内側チューブの全長に亘って内側チューブ内に挿入され複数の磁石片と、
柔軟性樹脂によって形成され、前記内側チューブが内部に挿入される外側チューブと、
前記内側チューブの両端部に取り付けられて内側チューブの両端部を封鎖すると共に隣接する磁石片が離れないように磁石片を長さ方向に相互に押し付けるキャップと、を備え、
前記磁石片は前記外側チューブが手指、手首、腕程度の太さの身体部位に複数回巻き付け可能な巻き付け径となる長さに形成され、
前記キャップは前記外側チューブの径方向に突出しない径に形成されていることを特徴とする巻き付け健康具。
【請求項2】
前記磁石片は前記内側チューブ内で回転可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の巻き付け健康具。
【請求項3】
前記内側チューブは前記メッシュチューブが前記樹脂チューブに埋め込まれて一体化されていることを特徴とする請求項1に記載の巻き付け健康具。
【請求項4】
前記内側チューブは前記メッシュチューブが前記樹脂チューブの内側に接着されることにより一体化されていることを特徴とする請求項1に記載の巻き付け健康具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁石の磁力を利用することにより身体部位に巻き付けて用いられる巻き付け健康具に関する。
【背景技術】
【0002】
磁石の磁力が血管の血行を促進する作用があることから磁石を身体部位に接触させる構造の健康具が従来より開発されている。例えば、特許文献1には、電磁波を放射する燒結体に磁石を重ね合わせて多層磁性ブロックとし、この多層磁性ブロックをバンドに対し所定間隔で取り付けるバンド形式の健康具が記載されている。この健康具は、手首、腕等の身体部位にバンドを巻き付け、バンド両端のバンド金具を相互に係止することにより身体部位に装着して使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−86534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の健康具では、バンド金具を係止させることにより身体部位への巻き付けを行うものであり、着脱時にバンド金具への操作が必要であると共に身体部位の太さに合わせた径への調整を必要としている。このため着用や取り外しが面倒である問題を有している。
又、バンド金具や磁石が外側に突出しているため、これらが身体部位が接触して、身体部位が擦れたり傷付く危険性も有している。
さらには、バンドに加えて磁石、バンド金具等の部材が必要であり、外観が複雑のため、外観が低下して見た目だけで使用を憶する原因ともなっている。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、磁石の磁力を血行促進のために用いるだけでなく、身体部位への巻き付けのためにも使用する構造とすることにより身体部位への装着を簡単に行うことができるばかりでなく、突出部分をなくして安全に使用することができ、さらには簡単な外観とすることができる巻き付け健康具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の巻き付け健康具は、複数の長さ方向に伸びる糸を網目状に編んだ樹脂製又は布製の糸材からなるメッシュチューブが、可撓性の樹脂チューブと一体化されることにより形成された内側チューブと、前記内側チューブの全長に亘って内側チューブ内に挿入され複数の磁石片と、柔軟性樹脂によって形成され、前記内側チューブが内部に挿入される外側チューブと、前記内側チューブの両端部に取り付けられて内側チューブの両端部を封鎖すると共に隣接する磁石片が離れないように磁石片を長さ方向に相互に押し付けるキャップと、を備え、前記磁石片は前記外側チューブが手指、手首、腕程度の太さの身体部位に複数回巻き付け可能な巻き付け径となる長さに形成され、前記キャップは前記外側チューブの径方向に突出しない径に形成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、前記磁石片は前記内側チューブ内で回転可能に設けられていることを特徴とする。又、前記内側チューブは前記メッシュチューブが前記樹脂チューブに埋め込まれて一体化されていることを特徴とする。さらに、前記内側チューブは前記メッシュチューブが前記樹脂チューブの内側に接着されることにより一体化されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、磁石片の磁気吸引力によって身体部位へ巻き付いて装着され、且つ磁石片の磁気吸引力によって身体部位への巻き付き状態が保持されるため、巻き付け状態を保持するためのバンドや金具が不要となり、装着を簡単に行うことができる。バンドや金具が不要となるため、スッキリした外観となって外観が向上し、使用意欲を増進させることができる。又、身体部位の太さに合わせた径への調整も容易であるため操作性が向上する。さらには、キャップが外側に突出していないため、使用時にキャップが身体部位を擦ることがない。このため身体部位を傷付けることがなく、安全に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の巻き付け健康具を示す断面図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3】要部を示す部分破断斜視図である。
図4】(A及び(Bは使用形態を示す斜視図である。
図5】本発明の別の実施形態の巻き付け健康具を示す断面図である。
図6図5のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図4は、本発明の一実施形態であり、図1及び図2は断面図、図3は要部の部分破断斜視図、図4は使用手順を示す斜視図である。この実施形態の巻き付け健康具1は図1図3に示すように、内側チューブ2と、複数の磁石片3と、外側チューブ4と、キャップ5とを備えている。
【0011】
内側チューブ2はメッシュチューブ7と樹脂チューブ6とを一体化することにより形成される。メッシュチューブ7は樹脂製や布製の糸材を網目状に編んだもの、アルミニウム等の軽量金属の細線を網目状に編んだものを使用することができる。樹脂チューブはポリエチレン等のポリオレフィンやポリアミド等の可撓性樹脂をチューブ状に形成したものが使用される。
【0012】
この実施形態における内側チューブ2はメッシュチューブ7を樹脂チューブ6内に埋め込むことによりこれらが一体化された構造のチューブとなっている。メッシュチューブ7を備えることにより強度が付与されるため、内側チューブ2(すなわち巻き付け健康具1)が伸びることを抑制できると共に、内部の磁石片3の間に隙間ができても内側チューブ2が破断することを抑制することができる。このため、一定の品質を長期間保持することができる。
【0013】
磁石片3は複数が内側チューブ2の全長に亘って内側チューブ2の内部に挿入される。磁石片3は円柱形状に成形された短尺なものが使用される。磁石片3は横並び状となって内側チューブ2の内部に挿入される。内側チューブ内に挿入された状態において、隣接する磁石片3は相互に離れないようになっている。これは、健康具1の両端部の後述するキャップ5によってなされる。
【0014】
各磁石片3においては、N極とS極とが円柱の反対側の外周面に位置している。そして隣接する磁石片3においては、N極とS極とが互い違いの向きに配置される。すなわち一の磁石片3のN極に対し、隣接する磁石片3はS極が位置し、この隣でさらに隣接する磁石片3はN極が位置するように配置される。これにより巻き付け健康具1を複数巻きしたとき、健康具の重なり部分で磁石片3がお互いに磁気吸引力を作用させるため、複数巻きの状態を保持することができる。
これに限らず、複数の磁石片3を内側チューブ2内で回転可能としても良い。磁石片3を回転可能とすることにより、巻き付け健康具1を複数巻きしたとき磁気の斥力が作用する健康具の重なり部分では、磁石片3が回転して磁気吸引力が作用する磁極同士が向き合うようになる。これにより複数巻きの状態を保持することができる。
【0015】
磁石片3としてはフェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石を使用することができる。フェライト磁石は保磁力が高く減磁しにくく、酸化物であるため錆びることがない特性を有し、サマリウムコバルト磁石は磁力が強く、耐腐食性を有し、ネオジム磁石は磁束密度が高く、強い磁力を有しており、いずれも巻き付け健康具1の複数巻きの状態を強固に保持することができる。
【0016】
磁石片3の長さLは、巻き付け健康具1が身体部位の太さに合わせた巻き付け径を保持するように設定される。例えば、手指に巻き付けるタイプの場合には、巻き付け時に巻き付け健康具1が1.5〜2.5cm程度の径となるように磁石片3の長さLが設定され、手首に巻き付けるタイプの場合には、巻き付け時に3〜6cm程度の径となるように磁石片3の長さLが設定され、腕に巻き付けるタイプの場合には、巻き付け時に10〜20cm程度の径となるように磁石片3の長さLが設定される。その他の身体部位においては、その部位に対して複数巻き可能となるように磁石片3の長さLが設定されるものである。
【0017】
外側チューブ4は内側チューブ2が挿入されるものであり、この挿入により磁石片3も内側チューブ2と共に外側チューブ4に挿入される。外側チューブ4は最も外側に位置しており、これにより外側チューブ4は身体部位と接触したり干渉する。このため外側チューブ4は柔軟性樹脂によって形成される。柔軟性樹脂を用いることにより、身体部位と接触、干渉しても身体部位が擦れたり、身体部位が傷付くことを防止することができる。柔軟性樹脂として、熱可塑性ポリエステル(TPP)、ポリウレタン、発泡ポリエチレン等を選択することができるが、熱可塑性ポリエステルが良好である。
【0018】
キャップ5は巻き付け健康具1の両端部を封鎖するように取り付けられる。キャップ5はアルミニウム等の防錆性を有し且つ軟質の軽金属によって成形される。キャップ5は内側チューブ2の両端部に挿入される凸部5aと、外側チューブ4を封鎖する円板状の蓋部5bとによって形成されており、蓋部5bが外側チューブ4を封鎖する際に凸部5aは内側チューブ2を封鎖する。外側チューブ4の両端部を封鎖した後、キャップ5は外側チューブ4に接着或いは加締めによって固定される。
【0019】
キャップ5の蓋部5bの径Dは外側チューブ4の径と同等か、それよりも幾分小さい径となるように設定される。これによりキャップ5を巻き付け健康具1の両端部に取り付けた状態では、キャップ5が外側チューブ4の径方向に突出することがない。このようにキャップ5が外側チューブ4の径方向に突出しないことにより、巻き付け健康具1の使用時にキャップ5が身体部位を擦ることがない。このため身体部位を傷付けることがなく安全に使用することができる。
【0020】
キャップ5は内側チューブ2の両端部を封鎖することにより、内側チューブ2の両端部に位置している磁石片3に当接し、この当接により磁石片3が長さ方向に相互に押し付けられた状態となる。このように磁石片3が押し付けられた状態では、磁石片3が内側チューブ2で相互に離れることがない。すなわち磁石片3と隣接する磁石片3との間に大きな隙間が発生することがない。磁石片3の間に隙間が発生しないため、巻き付け健康具1を螺旋状に巻いたときに内側チューブ2や外側チューブ4が隙間に入り込んで窪むことがなくなる。これによりこれらのチューブ2、4の破断を防止することができる。
【0021】
図4は、巻き付け健康具1の使用例を示す。この例では、巻き付け健康具1を装着する身体部位が手指(人差し指)10であり、まず同図(A)で示すように、巻き付け健康具1を螺旋状に複数回巻いた状態として手指10を差し入れる。手指10の根元部分まで差し込んだ後、根元部分に巻き付くように縮径させる。その後、フリー状態とすると、同図(B)で示すように、磁石片3の磁気吸引力によって巻き付け健康具1の全体が螺旋状で手指に巻き付いた装着状態となる。この装着により、磁石片3の磁力が手指の血管の血行を促進するため、手指10が温かくなり手指10の健康増進に寄与することができる。手指10への巻き付き状態はゴムやバンド等の締め付け力ではなく、磁石片3の磁気吸引力によってなされるため、過度の締め付け力が作用しない。このため手指10への過度の負荷がなく無理のない装着が可能となる。
【0022】
このような巻き付け健康具1では、磁石片3の磁気吸引力によって身体部位へ巻き付いて装着され、且つ磁石片3の磁気吸引力によって身体部位への巻き付き状態が保持される。このため巻き付け状態を保持するためのバンドや金具が不要となり、装着を簡単に行うことができる。バンドや金具が不要となるため、スッキリした外観となって外観が向上し、使用意欲を増進させることができる。
又、身体部位の太さに合わせた径への調整も容易であるため操作性が向上する。さらには、キャップ5が外側に突出していないため、使用時にキャップ5が身体部位を擦ることがない。このため身体部位を傷付けることがなく、安全に使用することができる。
【0023】
図5及び図6は、本発明の別の実施形態の巻き付け健康具1Aを示す。この実施形態では、内側チューブ2を変更する以外は、図1図4の実施形態と同様である。
【0024】
この実施形態の巻き付け健康具1Aの内側チューブ2では、メッシュチューブ7と樹脂チューブ6とが別体となっており、メッシュチューブ7を樹脂チューブ6の内部に配置すると共にメッシュチューブ7を樹脂チューブ6に接着するものであり、この接着によってメッシュチューブ7が樹脂チューブ6に一体化されている。
【0025】
このように接着による一体化においても、内側チューブ2がメッシュチューブ7を備えて強度が付与される。このため、内側チューブ2(すなわち巻き付け健康具1)が伸びることを抑制できると共に、内部の磁石片3の間に隙間ができても内側チューブ2が破断することを抑制することができ、一定の品質を長期間保持することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 1A 巻き付け健康具1A
2 内側チューブ
3 磁石片
4 外側チューブ
5 キャップ
6 樹脂チューブ
7 メッシュチューブ
10 手指(身体部位)
【要約】
【課題】磁石を身体部位への巻き付けのために使用して身体部位への装着を簡単に行い、突出部分をなくして安全に使用することができ、簡単な外観とすることができる巻き付け健康具を提供する。
【解決手段】メッシュチューブ7が樹脂チューブ6と一体化された内側チューブ2と、内側チューブ2内に挿入された複数の磁石片3と、内側チューブ2が内部に挿入される外側チューブ4と、内側チューブ2の両端部を封鎖すると共に隣接する磁石片3が離れないように押し付けるキャップ5とを備える。磁石片3は外側チューブ4が手指、手首、腕程度の太さの身体部位に複数回巻き付け可能な巻き付け径となる長さに形成され、キャップ5は外側チューブ4の径方向に突出しない径に形成される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6