特許第6353976号(P6353976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353976
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】永久磁石同期モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20060101AFI20180625BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20180625BHJP
   H02K 21/14 20060101ALI20180625BHJP
   H02K 21/22 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   H02K1/27 501M
   H02K1/27 501K
   H02K1/27 502Z
   H02K1/22 A
   H02K21/14 M
   H02K21/22 M
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-513176(P2017-513176)
(86)(22)【出願日】2014年9月11日
(65)【公表番号】特表2017-528107(P2017-528107A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(86)【国際出願番号】US2014055049
(87)【国際公開番号】WO2016039746
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2017年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591057706
【氏名又は名称】ウィスコンシン・アルムニ・リサーチ・ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】WISCONSIN ALUMNI RESEARCH FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健介
(72)【発明者】
【氏名】福重 孝志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇
(72)【発明者】
【氏名】ローレンツ ロバート ディー
(72)【発明者】
【氏名】アタヴァーレ アプーヴァ
【審査官】 田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/027631(WO,A1)
【文献】 特開2013−150539(JP,A)
【文献】 特開2013−132124(JP,A)
【文献】 特開2008−148482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/00−1/34,15/03,21/00−21/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石同期モータであって、
固定子巻線を備えた固定子と、
前記固定子に対して回転可能な回転子コアを備え、前記固定子との間に空隙をもって該固定子に対し径方向内側又は径方向外側に配置される回転子と、
前記回転子コアに取り付けられた少なくとも1つの永久磁石を備えた磁気構造体と、
を備え、
前記磁気構造体は、磁気構造体の異なる磁極の間を流れる磁束を生成し、
前記磁束は、前記空隙及び前記固定子の前記固定子巻線を通過する主磁束経路と、前記回転子コア内における前記永久磁石の前記空隙寄りの端部周辺を通過する漏洩磁束経路と、を通過し、
さらに、前記固定子、前記回転子、及び前記磁気構造体は、以下の式
【数1】

【数2】

(ただし、Vsは前記固定子巻線の起磁力を表し、Vmは前記磁気構造体の起磁力を表し、Rgは前記空隙の磁気抵抗を表し、Rsは前記主磁束経路に沿う前記固定子の磁気抵抗を表し、Rrは前記主磁束経路に沿う前記回転子コアの磁気抵抗を表し、Rbは前記漏洩磁束経路に沿う前記回転子コアの磁気抵抗を表し、ηは、前記磁気構造体によって生成される全磁束に対する、前記漏洩磁束経路を通って流れる磁束としての漏洩磁束の比を表す)、
を満たすように構成される、
永久磁石同期モータ。
【請求項2】
請求項1に記載の永久磁石同期モータであって、
前記漏洩磁束経路は、1つの前記永久磁石の異なる磁極の間に延在する、
永久磁石同期モータ。
【請求項3】
請求項2に記載の永久磁石同期モータであって、
前記漏洩磁束経路の磁気経路幅及び磁気経路長に基づいて算出される磁気抵抗は、
1つの前記永久磁石の一の磁極と、前記永久磁石に隣接する隣接永久磁石における前記一の磁極とは異なる磁極と、の間に延在する磁気経路の磁気抵抗よりも小さい、
永久磁石同期モータ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の永久磁石同期モータであって、
前記回転子コアは、前記永久磁石と該永久磁石に隣接する隣接永久磁石との間に配置される磁気障壁と、円周方向において前記永久磁石の端部に隣接する側面開口部と、を有し、
前記漏洩磁束経路は、前記回転子コアにおける前記磁気障壁と前記側面開口部との間に延在する、
永久磁石同期モータ。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の永久磁石同期モータであって、
前記回転子コアは、円周方向に延在する周部分と、前記周部分から径方向に延在するラジアル部分と、を有し、
前記漏洩磁束経路は、前記回転子コアの前記周部分及び前記ラジアル部分に沿って延在し、
前記周部分に沿う前記漏洩磁束経路の磁気経路幅及び磁気経路長に基づいて算出される前記周部分の磁気抵抗は、前記ラジアル部分に沿う前記漏洩磁束経路の磁気経路幅及び磁気経路長に基づいて算出される前記ラジアル部分の磁気抵抗よりも小さい、
永久磁石同期モータ。
【請求項6】
請求項1に記載の永久磁石同期モータであって、
前記漏洩磁束経路は、1つの前記永久磁石の一の磁極と、前記永久磁石に隣接する隣接永久磁石における前記一の磁極とは異なる磁極と、の間に延在する、
永久磁石同期モータ。
【請求項7】
請求項6に記載の永久磁石同期モータであって、
前記回転子コアは、
前記漏洩磁束経路の磁気経路幅及び磁気経路長に基づいて算出される磁気抵抗が前記永久磁石の異なる磁極間に延在する磁気経路の磁気抵抗よりも小さくなるように、前記永久磁石と前記隣接永久磁石との間に延在する磁気障壁を有する、
永久磁石同期モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、永久磁石同期モータに関する。より具体的には、本発明は、永久磁石を有する回転子を備えた永久磁石同期モータに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車及びハイブリッド電気自動車(HEV)は、自動車用の駆動源として動作する電気モータを含む。完全な電気自動車では、電気モータは、ただ一つの駆動源として動作する。他方で、HEVは、電気モータ及び従来の燃焼エンジンを含み、これらは、当技術において理解されるような条件に基づいて、自動車用の駆動源として動作する。
【0003】
可変磁化特性を達成するための低保持力磁石を備えた回転子を含む電気モータ(以下、「可変磁化モータ」と記載する)が知られている(例えば、特許文献1を参照されたい)。例えば、図4に示されるように、可変磁化モータは、回転子コア102、複数の低保持力磁石103、及び複数の高保持力磁石104を有する回転子101を有する。この構成については、低保持力磁石103の磁化レベルは、固定子の固定子巻線における電流によって発生される磁界によって、変化させることが可能である。具体的には、モータの効率を改善するために、低保持力磁石103の磁化レベルは、モータの動作状態に応じて、d軸磁束によって変化させることが可能である。特に、磁化レベルは、モータによって発生されるトルクを増加させるために、増加させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−52156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、可変磁化モータについては、モータの磁化レベルを変化させるために、固定子巻線に印加される負荷電流の瞬時の増加が要求され、このことは、モータにおける銅損を増加させる。従って、可変磁化モータの効率は、従来のマシンと比較して改善されるものの、磁化状態の変化の間に起こる余分な銅損が、改善の程度を制限する。
【0006】
それ故に、可変磁化モータの磁化レベルを変化させることに伴う銅損を低減することによって、改善された効率を備えた、改善されたモータを提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
既知技術の状態を考慮して、永久磁石同期モータの一態様は、固定子巻線を備えた固定子と、固定子に対して回転可能な回転子コアを備えた回転子と、回転子コアに取り付けられた少なくとも1つの永久磁石を備えた磁気構造体とを含む。回転子は、固定子との間に空隙をもって該固定子に対し径方向内側又は径方向外側に配置される。磁気構造体は該磁気構造体の異なる磁極の間を流れる磁束を生成する。そして、磁束は、空隙及び固定子の固定子巻線を通過する主磁束経路と回転子コア内における永久磁石の空隙寄りの端部周辺を通過する漏洩磁束経路と、を通過する。さらに、固定子、回転子、及び磁気構造体は、次の式を満たすように構成される。
【0008】
【数1】
【0009】
【数2】
【0010】
ここで、Vsは固定子巻線の起磁力を表し、Vmは磁気構造体の起磁力を表し、Rgは空隙の磁気抵抗を表し、Rsは主磁束経路に沿う固定子の磁気抵抗を表し、Rrは主磁束経路に沿う回転子コアの磁気抵抗を表し、Rbは漏洩磁束経路に沿う回転子コアの磁気抵抗を表し、且つηは、磁気構造体によって生成される全磁束に対する、漏洩磁束経路を通って流れる磁束としての漏洩磁束の比である。
【0011】
本出願の開示の一部を構成する添付図面を今から参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態に従う永久磁石同期モータの概略部分断面図である。
図2図2は、第2実施形態に従う永久磁石同期モータの概略部分断面図である。
図3図3は、第3実施形態に従う永久磁石同期モータの概略部分断面図である。
図4図4は、可変磁化モータの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照しつつ、選択された実施形態を説明する。なお、以下の実施形態の説明は、例証のためだけに提供されるものであり、添付された請求項及びそれらの等価物によって定義される発明を制限する目的で提供されるものではない。このことは、本出願の開示から当業者にとって明らかであろう。
【0014】
[第1実施形態]
図1を参照すると、永久磁石同期モータ10(「内部永久磁石モータ」とも記載する)が、第1実施形態に従って例示されている。図1に示されるように、モータ10は、基本的に、回転子12及び固定子14を含む。モータ10は、自動車、トラック、SUVなどのような、任意のタイプの電気自動車又はHEVにおいて、及び当技術で理解されるような他の任意のタイプの装置において使用することが可能である。回転子12及び固定子14は、金属、又は当技術で理解されるような他の任意の適切な材料で形成することが可能である。
【0015】
例示された実施形態において、回転子12は、回転子コア16を有する。また、モータ10は、回転子コア16に固定される複数の磁石18を含む。回転子コア16は、固定子14に対してモータ10の中心回転軸O周りに回転可能である。また、回転子コア16は、固定子14との間に空隙20をもって該固定子14に対し径方向内側に配置される。回転子コア16は、一対の漏洩部分22、磁束障壁24、及び一対の側面開口部26をそれぞれ複数有するように構成される。回転子コア16は、基本的に、一体の単一部材として形成される。回転子コア16の構成を、以下で更に詳細に説明する。例示された実施形態において、回転子コア16は、固定子14との間に空隙20を介して該固定子14に対して径方向内側に配置される。しかしながら、当技術で理解されるように、回転子コア16を、固定子14との間に空隙20をもって該固定子14に対し径方向外側に配置しても良い。
【0016】
例示された実施形態において、固定子14は、回転子12に対し、モータ10の中心回転軸Oを中心とする同心円状に配列される。上記のように、固定子14は、回転子12との間に空隙20をもって該回転子12に対し径方向外側に配置される。特に、図1に例示されるように、空隙20は、回転子12の外側円周部28と、固定子14の内側円周部30との間に存在し、それによって、回転子12は、中心回転軸Oの周りに、制限無く又は実質的に制限無く、回転することが可能である。固定子14は、基本的に、複数の固定子ティース32、複数の固定子巻線34、及び従来の任意の態様で構成することが可能な他の部品を含む。例示された実施形態において、固定子ティース32は、当技術で既知であるような、幅広の固定子ティースとして構成される。しかしながら、固定子ティース32は、任意の適切なサイズを有することが可能である。また、固定子14は、本明細書で議論される実施形態を実現させるために、任意の数の固定子ティース32を含むことが可能である。この例では、固定子ティース32は、固定子14の内側円周部30に対して開放されているが、しかし要望に応じて、閉塞されていても良い。固定子巻線34は、固定子ティース32の周りに巻かれた銅線又はアルミニウム線から成る。しかしながら、固定子巻線34は、当技術で既知であるような、適切な任意のタイプの材料で形成することが可能である。例示された実施形態において、固定子14として、当技術で既知であるような、従来の固定子を使用することが可能である。従って、簡略化のため、詳細な説明は省略する。
【0017】
例示された実施形態において、磁石18は、回転子12の円周部の周辺において、隣接する対の磁束障壁24の間に一定間隔で配置される。図1に示されるように、磁石18の各々は、一対の永久磁石片18a又は18b(例えば、少なくとも1つの永久磁石)を有し、それによって、交互の極性を備えたモータ10のモータ磁極が画定される。例示された実施形態において、四対の磁石片18a及び四対の磁石片18bが、中心回転軸Oの周りの円周方向に交互に配列され、それによって、モータ10の8つのモータ磁極が画定される。具体的には、例示された実施形態において、例えば、磁石片18aのN極は、磁石片18aのS極に対して径方向外側に配列され、その一方で、磁石片18bのS極は、磁石片18bのN極に対して径方向外側に配列される。従って、例示された実施形態において、回転子12は、磁石片18a及び18bのペアを八対含み、これらの磁石片は、8つの磁束障壁24の間に位置決めされ、且つ中心回転軸Oの周りの円周方向に、45度の間隔で配置される。しかしながら、磁石片18a及び18bの数、又は磁石18の数は、磁束障壁24の数の変化に応じて、変えても良い。更に、各磁石18は、単一の磁石片として、又は2つ以上の磁石片として構成することが可能である。図1に示されるように、d軸は、各磁石18の中心を通過する。換言すれば、d軸は、対の磁石片18aの間又は対の磁石片18bの間を通過する。他方で、q軸は、各磁束障壁24を通過する。換言すれば、q軸は、磁石18の隣接する対の間、又は磁石片18a及び18bの隣接する対の間を通過する。しかしながら、本明細書で議論される実施形態を実現させるために、磁石18又は磁束障壁24は、d軸及びq軸に関して、任意の適切な場所に位置決めすることが可能である。例示された実施形態において、対の磁石片18aは、相互に円周方向に向かいつつ、径方向内方に伸長する。同様に、対の磁石片18bは、相互に円周方向に向かいつつ、径方向内方に伸長する。しかしながら、磁石片18a及び18bは、必要に応じて、且つ/又は要望に応じて、異なった態様で配列することが可能である。
【0018】
例示された実施形態において、磁石18は、磁束を作り出す磁気構造体を形成する。ここで該磁束は、磁石18の異なる磁極の間を、複数の第1の主磁束経路40、複数の第2の主磁束経路42、及び複数の漏洩磁束経路46を通って流れる。例示された実施形態において、図1に示されるように、第1の主磁束経路40の各々は、複数の磁石18のうちの1つの磁石における一方の磁極(例えば、磁石片18aのN極)から、この一つの磁石に隣接する磁石における他方の磁極(例えば、磁石片18bのS極)まで延在する。また、第1の主磁束経路40の各々は、空隙20を経由して、固定子14の固定子巻線34を通過する。その一方で、第2の主磁束経路42の各々は、複数の磁石18のうちの上記隣接する磁石における一方の磁極(例えば、磁石片18bのN極)から、複数の磁石18のうちの上記1つの磁石における他方の磁極(例えば、磁石片18aのS極)まで延在する。また、第2の主磁束経路42の各々は、回転子コア16を通過する。例示された実施形態において、一対の第1の主磁束経路40及び第2の主磁束経路42は、主磁束経路を形成するが、この主磁束経路は、空隙20を経由して、固定子14の固定子巻線34を通過する。他方で、漏洩磁束経路46の各々は、回転子コア16内において、磁石片18a及び18bのそれぞれの空隙20周辺の端部寄りに位置する。例示された実施形態において、漏洩磁束経路46の各々は、磁石片18aの相互に異なる磁極間及び磁石片18bの相互に異なる磁極間(例えば、磁石片18aのN極とS極の間、又は磁石片18bのN極とS極の間)において、回転子コア16の各漏洩部分22まで延在する。
【0019】
上記のように、回転子コア16は、漏洩部分22、磁束障壁24、及び側面開口部26を有する。図1には、モータ10の2つの磁石18又は2つのモータ磁極に対する二対の漏洩部分22及び二対の側面開口部26のみを示している。しかし、回転子コア16は、モータ10の8つの磁石18又は8つのモータ磁極に対応して、全部で八対の漏洩部分22、及び八対の側面開口部26を有する。同様に、図1には、モータ10の2つの磁石18又は2つのモータ磁極に対する1つの磁束障壁24全体及び2つの部分的な磁束障壁24のみを示している。しかしながら、回転子コア16は、八対の磁石18の隣接する対の間、又はモータ10の8つのモータ磁極の隣接する対の間に、全部で8つの磁束障壁24を有する。一方、回転子コア16は、モータ10が使用される環境に応じて好適と考えられる数の漏洩部分22、磁束障壁24、及び側面開口部26を含んでいても良い。例示された実施形態において、回転子コア16は、d軸及びq軸に対して、鏡像対称に構成される。
【0020】
図1に示されるように、漏洩部分22は、基本的に、磁石18の異なる磁極間に延在するU字型部分を含み、それによって、U字型部分内に漏洩磁束経路46をそれぞれ画定する。換言すれば、例示された実施形態において、漏洩磁束経路46は、それぞれ漏洩部分22を通って延在する。図1に示されるように、隣接する対の磁石18における各漏洩部分22は、磁束障壁24を介して円周方向において相互に向き合う。換言すれば、各磁束障壁24は、隣接する対の漏洩部分22の間に配置される。具体的には、磁束障壁24は、モータ10の磁石18の隣接する対の間に(例えば、磁石片18aと、磁石片18aに隣接する磁石片18bとの間に)、又はモータ磁極の隣接する対の間に配置される。例示された実施形態において、磁束障壁24は、漏洩部分22の隣接する対の間の空隙として構成される。従って、漏洩部分22上の漏洩磁束経路46の、磁気経路幅及び磁気経路長に基づいて算出される磁気抵抗は、磁束障壁24を通過して隣接対の磁石18の異なる磁極間に(例えば、磁石片18aのN極と、磁石片18aに隣接する磁石片18bのS極との間に)延在する磁気経路の磁気抵抗よりも小さい。例示された実施形態において、磁束障壁24は、径方向外側に開放しており、固定子14の内側円周部30に対向する。そして、磁束障壁24は、回転子12の外側円周部28から、側面開口部26の径方向内側の境界部よりも径方向内側の位置まで、径方向に沿って延在する。例示された実施形態において、磁束障壁24は、空隙として構成される。しかしながら、磁束障壁24は、当技術における従来のような、任意の適切なタイプの絶縁材料を含むことも可能である。側面開口部26は、磁石片18aの両端部及び磁石片18bの両端部に円周方向に隣接する。その結果、漏洩部分22は、それぞれ、磁束障壁24と側面開口部26との間に配置される。従って、漏洩部分22を通って延在する漏洩磁束経路46は、それぞれ、回転子コア16上で磁束障壁24と側面開口部26との間に延在する。
【0021】
例示された実施形態において、回転子12、固定子14、及び磁石18(例えば、磁気構造体)は、モータ10の1つのモータ磁極に対して、次の式(1)及び(2)を満足するように更に構成される。
【0022】
【数3】
【0023】
【数4】
【0024】
ここでVsは、モータ10の1つのモータ磁極に対する固定子巻線34の起磁力を表し、Vmは、モータ10の1つのモータ磁極に対する磁石18の起磁力を表す。Rgは、モータ10の1つのモータ磁極に対する空隙20の磁気抵抗を表し、Rsは、モータ10の1つのモータ磁極に対する第1の主磁束経路40に沿う固定子14の磁気抵抗を表し、Rrは、モータ10の1つのモータ磁極に対する第2の主磁束経路42に沿う回転子コア16の磁気抵抗を表す。Rbは、漏洩磁束経路46に沿う回転子コア16の磁気抵抗を表し、ηは、モータ10の1つのモータ磁極用に磁石18によって生成される全磁束に対する、漏洩磁束経路46を通って流れる磁束としての漏洩磁束の比を表す。特に、ηは、固定子14が無負荷である間(即ち、固定子巻線34の起磁力がゼロである間)、磁石18によって作り出される全磁束に対する、漏洩磁束経路46を通って流れる磁束としての漏洩磁束の比である。
【0025】
例示された実施形態において、式(1)は、第1の主磁束経路40及び第2の主磁束経路42の磁気抵抗と、漏洩磁束経路46の磁気抵抗と、磁石18の起磁力と、固定子14に負荷電流が印加される固定子14の負荷状態の下における固定子14の起磁力との間の関係を表す。他方で、式(2)は、負荷電流が固定子14に印加されていない無負荷状態の下における関係を表す。
【0026】
モータ10が上記のように構成されることによって、モータ10は、隣接する対の磁石18の間に、固定子14によって誘起された磁束の磁束経路上で磁気障壁として働く磁束障壁24を有する。その結果、同じ磁石18の異なる磁極の間をつなぐ漏洩磁束経路46の磁気抵抗は、隣接する対の磁石18のそれぞれ異なる磁極の間をつなぐ磁束経路の磁気抵抗よりも小さい。モータ10はまた、磁石18の端部のあたりで側面開口部26を有する。この構成により、モータ10は、あるモータ特性を達成することが可能である。そのモータ特性では、最大負荷状態の下での従来のモータと同じレベルで、鎖交磁束が最大化され、その一方で、低負荷状態又は無負荷状態の下において従来のモータよりも低い鎖交磁束を維持するが、これは、式(1)及び(2)によって表される条件を満足するように、モータ10を構成することによって行われる。
【0027】
特に、例示された実施形態において、モータ10に関して、磁石18によって生成される全磁束の20%以上が、無負荷状態の下では、漏洩部分22上の漏洩磁束経路46を経由して漏洩する。更に、磁束障壁24及び側面開口部26によって、固定子14によって誘起された磁束は、主に漏洩磁束経路46を通って流れ、これによって、負荷状態の下では、漏洩磁束経路46上での漏洩磁束を相殺する。特に、漏洩磁束経路46は、q軸と交差結合するために、磁束障壁24の近くに位置される。これにより、負荷状態の下では、漏洩磁束経路46上の漏洩磁束は相殺される。その結果、モータ10については、鎖交磁束の量に関して高い可変磁束特性を期待することが可能である。例えば、トルク性能を失わせることなく、高速且つ低トルク動作で、20%以上の損失低減を期待することが可能である。また、最大負荷状態の下で、最大鎖交磁束を得ることが可能である。
【0028】
また、漏洩部分22は、回転子12の回転中に磁石18に及ぼされる遠心力を受け止める補強部材としても機能させることができる。例示された実施形態において、漏洩部分22の幅は、自然に、より大きくなる。その結果、モータ10は、従来のモータよりも高速で駆動することが可能であるか、又はモータ10は、モータ出力特性を低下させることなく従来のモータよりも大きな径を有することが可能である。
【0029】
それ故に、この構成によって、モータ10は、従来のモータのように永久磁石の磁化レベルを変化させることなく、固定子14によって誘起される磁束に応じて変化する固定子14とリンクした磁束特性を有することとなる。また、モータ10については、銅損の増加を抑制することが可能であり、従って、高速且つ低トルク動作におけるモータ効率を改善することが可能である。また、同じ最大鎖交磁束を最大負荷において得ることが可能であるため、モータサイズを増加させることなく、最大モータ出力トルク特性を維持することが可能である。
【0030】
例示された実施形態において、一態様に従うモータ10については、回転子12、固定子14、及び磁石18は、式(1)及び(2)を満足するように構成される。
【0031】
この構成により、磁石18による固定子14における鎖交磁束は、固定子14によって誘起される磁束が増加するにつれて増加する。従って、固定子14における鎖交磁束は、最大負荷状態において最大化される。更に、この構成については、モータ10の剛性は、従来の回転子と比較して増加する。従って、モータ10には、より大きな径の回転子を設けることが可能であるか、又はより高速の運転に耐えることが可能である。それ故に、この構成によって、最大出力を維持しながら、銅損の増加を抑制し、高速且つ低トルク動作における鉄損を減少させることが可能であり、モータ効率が改善する。また、q軸と高度に交差結合される漏洩磁束経路46を経由して磁束を漏洩させることによって、高い可変磁束特性を得ることが可能である。
【0032】
例示された実施形態において、一態様に従うモータ10については、漏洩磁束経路46は、同じ磁石片18a又は18bの異なる磁極間に延在する。特に、モータ10は、同じ磁石片18a又は18bの反対側の側面の間に漏洩磁束経路46を有する。
【0033】
この構成により、鎖交磁束は、固定子14によって誘起される磁束の変化に応じて変化させることが可能であるが、これは、磁石片18a又は18bの端部分のあたりに、小さな漏洩部分22を単に設けることによって行われる。従って、この構成については、モータ10のサイズにおける増加を抑制しながら、モータ効率を改善することが可能である。また、q軸と高度に交差結合される漏洩磁束経路46を経由して磁束を漏洩させることによって、より高い可変磁束特性を得ることが可能である。
【0034】
例示された実施形態において、一態様に従うモータ10については、漏洩磁束経路46に沿う、漏洩部分22の磁気経路幅及び磁気経路長に基づいて算出される磁気抵抗は、一対の隣接する磁石18(例えば、磁石片18a及び、磁石片18aに隣接する隣接磁石片18b)の異なる磁極間に延在する磁気経路の磁気抵抗よりも小さい。
【0035】
この構成については、固定子14によって誘起される磁束及び漏洩磁束は、交差結合させることが可能であり、固定子14における負荷電流の増加による鎖交磁束の変化量は、より大きくすることが可能である。従って、高速及び低トルク動作における鉄損は、減少させることが可能であり、これにより、モータ効率が改善する。
【0036】
例示された実施形態において、一態様に従うモータ10については、回転子コア16は、一対の隣接する磁石18(例えば、磁石片18aと、磁石片18aに隣接する隣接磁石片18b)と、磁石片18a又は18bの端部に対して円周方向に隣接する側面開口部26との間に配置される磁束障壁24(例えば、磁気障壁)を有する。漏洩磁束経路46は、磁束障壁24と側面開口部26との間の回転子コア16上に延在する。
【0037】
この構成によって、固定子14によって誘起される磁束及び漏洩磁束は、十分に交差結合させることが可能であり、固定子14における負荷電流の増加による鎖交磁束の変化量は、より大きくすることが可能である。従って、高速且つ低トルク動作における鉄損は、減少させることが可能であり、これにより、モータ効率が改善する。
【0038】
[第2実施形態]
図2を参照しながら、第2実施形態で例示される永久磁石同期モータ50(「内部永久磁石モータ」とも記載する)を説明する。第1実施形態と第2実施形態との間の類似性を考慮して、第1実施形態の部分と同一であるか、又は実質的に同一である第2実施形態の部分は、第1実施形態の部分と同じ参照符号を付す。また、第1実施形態の部分と同一である第2実施形態の部分は、簡潔さのために、省略する場合がある。具体的には、モータ50は、回転子52の構成を除いて、第1実施形態に従うモータ10と同一であるか、又は実質的に同一となり得る。従って、固定子14の詳細な説明は、簡潔さのために省略する。
【0039】
図2に示されるように、回転子52は、回転子コア56を有する。また、モータ50は回転子コア56に固定される複数の磁石58を含む。回転子コア56は、モータ50の中心回転軸Oの周りで、固定子14に対して回転可能であり、固定子14との間に空隙60をもって固定子14に対し径方向内側に配置される。回転子コア56は、一対の漏洩部分62、磁束障壁64、及び一対の側面開口部66をそれぞれ複数含むように構成される。回転子コア56は、基本的に、一体の単一部材として形成される。回転子コア56の構成を、以下でさらに詳細に説明する。
【0040】
例示された実施形態において、固定子14は、回転子52に対して、モータ50の中心回転軸Oを中心に同心円状に配列される。上記のように、固定子14は、回転子52との間に空隙60をもって回転子52に対し径方向外側に配置される。特に、図2に例示されるように、空隙60は、回転子52の外側円周部68と、固定子14の内側円周部30との間に存在し、それによって、回転子52が、中心回転軸Oの周りで、制限無く又は実質的に制限なく回転可能である。
【0041】
例示された実施形態において、磁石58は、回転子52の円周部の周辺において、磁束障壁64の隣接する対の間に配置される。図2に示されるように、磁石58の各々は、一体の単一部材として形成され、それによって、交互の極性を備えたモータ50の各モータ磁極を画定する。例示された実施形態において、8つの磁石58は、中心回転軸Oの周りに、円周方向に交互に配列され、それによって、モータ50の8つのモータ磁極を画定する。具体的には、例示された実施形態において、磁石58は、その長手方向が径方向に直交する方向、又は実質的に直交する方向に沿うように延在し、その結果、例えば、磁石58の一方の磁極は、磁石58の他方の磁極に対して径方向外側に配列される。従って、例示された実施形態において、回転子52は8つの磁石58を含み、これら8つの磁石は、8つの磁束障壁64の間に位置決めされ、且つ中心回転軸Oの周りに、円周方向に45度間隔で配置される。しかしながら、磁石58の数は、磁束障壁64の数の変化に応じて変えることが可能である。さらに、各磁石58は、複数の磁石片として構成することが可能である。図2で示されるように、d軸は、各磁石58の中心を通過する。他方で、q軸は、各磁束障壁64を通過する。換言すれば、q軸は、隣接する磁石58の対の間を通る。しかしながら、本明細書で議論される実施形態を実現させるために、磁石58又は磁束障壁64は、d軸及びq軸に関して、任意の適切な場所に位置決めすることが可能である。また、磁石58は、必要に応じて、且つ/又は要望に応じて、異なった態様で配列することが可能である。
【0042】
例示された実施形態において、磁石58は磁気構造体を形成し、この磁気構造体は、複数の第1の主磁束経路40、複数の第2の主磁束経路42、及び複数の漏洩磁束経路46を通って、複数の磁石58の相互に異なる磁極の間を流れる磁束を作り出す。例示された実施形態において、図2に示されるように、第1の主磁束経路40の各々は、1つの磁石58における一方の磁極から、これに隣接する磁石58における他方の磁極まで延在し、空隙60を経由して固定子14の固定子巻線34を通過する。その一方で、第2の主磁束経路42の各々は、上記隣接する磁石58における一方の磁極から、上記1つの磁石58の他方の磁極まで延在し、且つ回転子コア56を通過する。例示された実施形態において、一対の第1の主磁束経路40及び第2の主磁束経路42は、空隙60を介して固定子14の固定子巻線34を通過する主磁束経路を形成する。他方で、漏洩磁束経路46の各々は、回転子コア56内において、磁石58のそれぞれの空隙60周辺の端部寄りに位置する。例示された実施形態において、漏洩磁束経路46の各々は、磁石58のそれぞれの異なる磁極の間において、回転子コア56の漏洩部分62のうちの一つまで延在する。
【0043】
上記のように、回転子コア56は、漏洩部分62、磁束障壁64、及び側面開口部66を有する。モータ50の2つの磁石58又は2つのモータ磁極に対して、二対の漏洩部分62だけ、及び二対の側面開口部66だけが図2に示されてはいる。しかし、回転子コア56は、モータ50の8つの磁石58又は8つのモータ磁極に対応して、全部で八対の漏洩部分62及び八対の側面開口部66を有する。同様に、モータ50の2つの磁石58又は2つのモータ磁極に対して、1つの完全な磁束障壁64及び2つの部分的磁束障壁64だけが図2に示されてはいる。しかしながら、回転子コア56は、八対の磁石58の隣接する対の間、又はモータ50の8つのモータ磁極の隣接する対の間に、全部で8つの磁束障壁64を有する。しかしながら、回転子コア56は、モータ50が使用される環境に応じて好適と考えられる数の漏洩部分62、磁束障壁64、及び側面開口部66を含んでいても良い。例示された実施形態において、回転子コア56は、d軸及びq軸に関して、鏡像対称に構成される。
【0044】
図2に示されるように、漏洩部分62は、基本的に、正方形のU字型部分を含み、このU字型部分は、磁石58の異なる磁極の間に延在する。それによって、U字型部分の範囲内に漏洩磁束経路46がそれぞれ画定される。換言すれば、例示された実施形態において、漏洩磁束経路46は、それぞれ、漏洩部分62を通って延在する。より具体的には、図2に示されるように、漏洩部分62の各々は、主に、外側周部分62a(例えば、周部分)、ラジアル部分62b、及び内側周部分62c(例えば、周部分)を含む。外側周部分62aは、磁石58のそれぞれの磁石から離れるように、円周方向に延在する。ラジアル部分62bは、外側周部分62aから放射状に、且つ内側に延在する。例示された実施形態において、ラジアル部分62bは、外側周部分62aに対して、垂直に又は実質的に垂直に延在する。ラジアル部分62bは、外側周部分62aに対して放射状に、且つ内側に配置され、且つラジアル部分62bから磁石58のそれぞれの磁石に向けて、円周方向に延在する。例示された実施形態において、内側周部分62cは、ラジアル部分62bに対して、垂直に又は実質的に垂直に延在する。この構成については、漏洩部分62は、漏洩部分の範囲内に長方形の側面開口部66を、それぞれ画定する。
【0045】
例示された実施形態において、図2に示されるように、漏洩磁束経路46は、外側周部分62a、ラジアル部分62b、及び内側周部分62cに沿って延在する。具体的には、図2に示されるように、外側周部分62a及び内側周部分62cは、漏洩磁束経路46に対して磁気経路幅l1を有し、その一方で、ラジアル部分62bは、漏洩磁束経路46に対して、磁気経路幅l1よりも小さい磁気経路幅l2を有する(l1>l2)。また、図2に示されるように、外側周部分62a及び内側周部分62cは、漏洩磁束経路46に沿って磁気経路長l3を有するが、この磁気経路長l3はまた、長方形の側面開口部66の一辺の寸法を定義する。例示された実施形態において、漏洩部分62は、周部分の磁気抵抗が、ラジアル部分62bの磁気抵抗よりも小さくなるように構成される。ここで、周部分の磁気抵抗は、外側周部分62a及び内側周部分62cに沿う漏洩磁束経路46の磁気経路幅(l1)及び磁気経路長(l3)に基づいて算出される。また、ラジアル部分62bの磁気抵抗は、ラジアル部分62bに沿う漏洩磁束経路46の磁気経路幅(l2)及び(外側周部分62aと内側周部分62cとの間の)磁気経路長に基づいて算出される。特に、例示された実施形態において、漏洩部分62は、外側周部分62a及び内側周部分62cの磁気抵抗が、ラジアル部分62bの磁気抵抗よりも小さくなるように構成される。ここで、外側周部分62a及び内側周部分62cの磁気抵抗は、磁気経路長(l3)と磁気経路幅(l1)の比を用いて算出される。また、ラジアル部分62bの磁気抵抗は、(外側周部分62aと内側周部分62cとの間の)磁気経路長と磁気経路幅(l2)の比を用いて算出される。特に、例示された実施形態において、漏洩部分62は、外側周部分62a及び内側周部分62cの全磁気抵抗が、ラジアル部分62bの磁気抵抗よりも小さくなるように構成される。しかしながら、漏洩部分62は、外側周部分62aの磁気抵抗及び内側周部分62cの磁気抵抗の少なくとも一方が、ラジアル部分62bの磁気抵抗よりも小さくなるように構成されても良い。
【0046】
図2に示されるように、磁石58の隣接する対の漏洩部分62は、磁束障壁64を介して、それぞれ円周方向において相互に対向する。換言すれば、磁束障壁64は、漏洩部分62の隣接する対の間に配置される。具体的には、磁束障壁64は、モータ50の磁石58の隣接する対の間に、又はモータ磁極の隣接する対の間に配置される。例示された実施形態において、磁束障壁64は、漏洩部分62の隣接する対の間の空隙として構成される。従って、漏洩部分62上の漏洩磁束経路46の磁気経路幅及び磁気経路長に基づいて算出される磁気抵抗は、磁束障壁64を通って磁石58の隣接する対の異なる磁極の間に延在する磁気経路の磁気抵抗よりも小さい。例示された実施形態において、磁束障壁64は、径方向外側に開放している。これによって、磁束障壁64は、固定子14の内側円周部30と対向する。そして、磁束障壁64は、回転子52の外側円周部68から、磁石58又は漏洩部分62の径方向内側の境界部よりも径方向内側の位置まで、径方向に沿って延在する。例示された実施形態において、磁束障壁64は、空隙として構成される。しかしながら、磁束障壁64は、当技術において従来からあるような、適切な任意のタイプの絶縁材料で構成されても良い。側面開口部66は、円周方向において磁石58の端部に隣接している。その結果、漏洩部分62は、磁束障壁64と側面開口部66との間にそれぞれ配置される。従って、漏洩部分62を通って延在する漏洩磁束経路46は、回転子コア56上で磁束障壁64と側面開口部66との間にそれぞれ延在する。
【0047】
例示された実施形態において、回転子52、固定子14、及び磁石58(例えば、磁気構造体)は、モータ50の1つのモータ磁極に対して、以下の式(1)及び(2)を満足するように更に構成される。
【0048】
【数5】
【0049】
【数6】
【0050】
ここで、Vsは、モータ50の1つのモータ磁極に対する固定子巻線34の起磁力を表し、且つVmは、モータ50の1つのモータ磁極に対する磁石58の起磁力を表す。Rgは、モータ50の1つのモータ磁極に対する空隙60の磁気抵抗を表し、Rsは、モータ50の1つのモータ磁極に対する第1の主磁束経路40に沿う固定子14の磁気抵抗を表し、Rrは、モータ50の1つのモータ磁極に対する第2の主磁束経路42に沿う回転子コア56の磁気抵抗を表し、Rbは、漏洩磁束経路46に沿う回転子コア56の磁気抵抗を表し、ηは、モータ50の1つのモータ磁極用に磁石58によって生成される磁束の総和に対する、漏洩磁束経路46を通って流れる磁束としての漏洩磁束の比を表す。特に、ηは、固定子14が無負荷である間に(即ち、固定子巻線34の起磁力がゼロである間に)、磁石58によって作り出される全磁束に対する、漏洩磁束経路46を通って流れる漏洩磁束としての漏洩磁束の比を表す。
【0051】
例示された実施形態において、式(1)は、第1の主磁束経路40及び第2の主磁束経路42の磁気抵抗及び漏洩磁束経路46の磁気抵抗と、磁石58の起磁力と、固定子14に負荷電流が印加される固定子14の負荷状態下における固定子14の起磁力との間の関係を表す。他方で、式(2)は、固定子14に負荷電流が印加されない無負荷状態下における関係を表す。
【0052】
モータ50が上記のように構成されることによって、モータ50は、基本的に、第1実施形態に従うモータ10と同じ利点を有する。更に、例示された実施形態において、漏洩部分62の各々は、外側周部分62a、内側周部分62c、及びラジアル部分62bを有し、且つ漏洩磁束経路46は、外側周部分62a、ラジアル部分62b、及び内側周部分62cに沿って延在する。また、漏洩磁束経路46に沿う、外側周部分62a及び内側周部分62cの磁気抵抗は、漏洩磁束経路46に沿う、ラジアル部分62bの磁気抵抗よりも小さい。従って、モータ50は、あるモータ特性を達成することが可能である。そのモータ特性においては、低負荷状態又は無負荷状態の下において従来のモータのものよりも低い鎖交磁束を維持しつつ、鎖交磁束が、最大負荷状態の下にある従来のモータと同じレベルで最大化される。さらに、固定子14によって誘起される磁束の増加に伴う突極比の瞬時変化を抑制することが可能である。突極比は、d軸方向におけるインダクタンスとq軸方向におけるインダクタンスの比によって定義される。一般に、突極性に基づく回転子位置感知方法については、突極性の変動が、検出精度に大きな影響を及ぼす。しかしながら、モータ50については、検出精度を大幅に改善することが可能である。その結果、この構成については、モータ効率を改善しながら、回転子位置センサを除去することによって、製造コストを下げることが可能である。
【0053】
例示された実施形態において、一態様に従うモータ50については、回転子コア56は、円周方向に延在する外側周部分62a及び内側周部分62cと、外側周部分62aと内側周部分62cとの間で径方向に延在するラジアル部分62bとを有する。漏洩磁束経路46は、回転子コア56の外側周部分62a、ラジアル部分62b、及び内側周部分62cに沿って延在する。外側周部分62a及び内側周部分62cに沿う漏洩磁束経路46の磁気経路幅l1及び磁気経路長l3に基づいて算出される外側周部分62a及び内側周部分62cの磁気抵抗は、ラジアル部分62bに沿う漏洩磁束経路46の磁気経路幅l2及び磁気経路長に基づいて算出されるラジアル部分62bの磁気抵抗よりも小さい。
【0054】
この構成により、固定子14によって誘起される磁束の増加による回転子位置感知特性の低下を抑制することが可能である。従って、モータ効率を改善しながら、回転子位置センサを除去することによって、製造コストを下げることが可能である。
【0055】
また、モータ50によれば、漏洩磁束経路46は、漏洩部分62に沿った磁石58の端部周辺において長方形の形状を有する。これにより、可変鎖交磁束と自己感知特性が均衡する。さらに、モータ50によれば、外側周部分62a及び内側周部分62cの磁気経路幅l1は、ラジアル部分62bの磁気経路幅l2よりも大きいので、これによっても自己感知特性が改善される。
【0056】
[第3実施形態]
以下では、図3を参照しながら、永久磁石同期モータ70(第2実施形態に従って例示される「内部永久磁石モータ」も参照される)について説明する。第1実施形態から第3実施形態の間の類似性を考慮して、第1実施形態及び第2実施形態の部分と同一であるか、又は実質的に同一である第3実施形態の部分は、第1実施形態及び第2実施形態の部分と同じ参照符号を付す。また、第1実施形態及び第2実施形態の部分と同一である第3実施形態の部分の説明は、簡潔さのために、省略する場合がある。具体的には、モータ70は、回転子72の構成を除いて、第1実施形態に従うモータ10と同一であるか、又は実質的に同一となり得る。従って、固定子14の詳細な説明は、簡潔さのために省略する。
【0057】
例示された実施形態において、回転子72は、回転子コア76を有する。また、モータ70は、回転子コア76に固定される複数の磁石78を含む。回転子コア76は、固定子14に対してモータ70の中心回転軸Oの周りに回転可能であり、固定子14との間に空隙80をもって固定子14に対して径方向に内側に配置される。回転子コア76は、漏洩部分82、磁束障壁84、及び一対の側面開口部86をそれぞれ複数含むように構成される。回転子コア76は、基本的に、一体の単一部材として形成される。回転子コア76の構成を、以下でさらに詳細に説明する。
【0058】
例示された実施形態において、固定子14は、回転子72に対して、モータ50の中心回転軸Oを中心に同心円状に配列される。上記のように、固定子14は回転子72との間に空隙80をもって回転子72に対し径方向外側に配置される。特に、図3に例示されるように、空隙80が、回転子72の外側円周部88と固定子14の内側円周部30との間に存在し、これによって、回転子72が、中心回転軸Oの周りで、制限無く又は実質的に制限無く回転可能である。
【0059】
例示された実施形態において、磁石78は、回転子72の円周部の周辺において、磁束障壁84の隣接する対の間に配置される。図3に示されるように、磁石78の各々は、一対の永久磁石片78a又は78b(例えば、少なくとも1つの永久磁石)を有し、それによって、交互の極性を備えたモータ70の各モータ磁極を画定する。例示された実施形態において、四対の磁石片78a及び四対の磁石片78bは、中心回転軸Oの周りに、円周方向に交互に配列され、それによって、モータ70の8つのモータ磁極を画定する。具体的には、例示された実施形態において、例えば、磁石片78aのN極は、磁石片78aのS極に対して径方向外側に配列される。その一方で、磁石片78bのS極は、磁石片78bのN極に対して径方向外側に配列される。従って、例示された実施形態において、回転子72は、八対の磁石片78a及び78bを含み、これらの磁石片は、8つの磁束障壁84の間に位置決めされ、且つ中心回転軸Oの周りで、円周方向に45度間隔で配置される。しかしながら、磁石片78a及び78bの数、又は磁石78の数は、の変化に応じて変えることが可能である。更に、各磁石78は、単一の磁石片、又は2つ以上の磁石片として構成することが可能である。図3に示されるように、d軸は、各磁石78の中心を通過する。換言すれば、d軸は、対の磁石片78aの間又は対の磁石片78bの対の間を通過する。他方で、q軸は、各磁束障壁84を通過する。換言すれば、q軸は、磁石78の隣接する対の間、又は磁石片78a及び78bの隣接する対の間を通過する。しかしながら、磁石78又は磁束障壁84は、d軸及びq軸に関して、適切な任意の場所に位置決めすることが可能であり、それによって、本明細書で議論される実施形態を実現する。例示された実施形態において、対の磁石片78aは、相互に円周方向に向かいつつ、径方向内方に伸長する。同様に、対の磁石片78bは、相互に円周方向に向かいつつ、径方向内方に伸長する。しかしながら、磁石片78a及び78bは,必要に応じて、且つ/又は要望に応じて、異なった態様で配列することが可能である。
【0060】
例示された実施形態において、磁石78は磁気構造体を形成する。この磁気構造体は、複数の第1の主磁束経路40、複数の第2の主磁束経路42、及び複数の漏洩磁束経路46を通って、磁石78の異なる磁極の間を流れる磁束を作り出す。例示された実施形態において、図3に示されるように、第1の主磁束経路40の各々は、複数の磁石78のうちの1つの磁石における一方の磁極(例えば、磁石片78aのN極)から、この一つの磁石に隣接する磁石における他方の磁極(例えば、磁石片78bのS極)まで延在する。また、第1の主磁束経路40の各々は、空隙80を経由して固定子14の固定子巻線34を通過する。その一方で、第2の主磁束経路42の各々は、複数の磁石78のうちの上記隣接する磁石における一方の磁極(例えば、磁石片78bのN極)から、複数の磁石78のうちの上記1つの磁石における他方の磁極(例えば、磁石片78aのS極)まで延在する。また、第2の主磁束経路42の各々は、回転子コア76を通過する。例示された実施形態において、一対の第1の主磁束経路40及び第2の主磁束経路42は、空隙80を経由して固定子14の固定子巻線34を通過する主磁束経路を形成する。他方で、漏洩磁束経路46の各々は、回転子コア76内において、磁石片78a及び78bのそれぞれの空隙80周辺の端部寄りに位置する。例示された実施形態において、漏洩磁束経路46の各々は、磁石78の隣接する対の異なる磁極の間(例えば、磁石片78aのN極と磁石片78bのS極との間)において、回転子コア76の漏洩部分82まで延在する。
【0061】
上記のように、回転子コア76は、漏洩部分82、磁束障壁84、及び側面開口部86を有する。図3には、モータ70の2つの磁石78又は2つのモータ磁極に対する1つの漏洩部分82全体及び2つの部分的な漏洩部分82のみを示している。しかしながら、回転子コア76は、全部で8つの磁石78に対応して、8つの漏洩部分82及び8つの磁束障壁84を有する。同様に、図3には、モータ70の2つの磁石78又は2つのモータ磁極に対する二対の側面開口部86のみを示している。しかしながら、回転子コア76は、全部でモータ70の8つの磁石78又は8つのモータ磁極に対応して、八対の側面開口部86を有する。一方、回転子コア76は、モータ70が使用される環境に応じて好適と考えられる数の漏洩部分82、磁束障壁84、及び側面開口部86を有していても良い。例示された実施形態において、回転子コア76は、d軸及びq軸に関して、鏡像対称に構成される。
【0062】
図3に示されるように、漏洩部分82は、基本的に、磁石78の隣接する対の異なる磁極の間にそれぞれ延在し、それによって、漏洩部分内の漏洩磁束経路46をそれぞれ画定する。換言すれば、例示された実施形態において、漏洩磁束経路46は、それぞれ、漏洩部分82を通って延在する。図3に示されるように、漏洩部分82は、径方向において、空隙80を介して固定子14の内側円周部30と対向する。具体的には、漏洩部分82の各々は、磁束障壁84のそれぞれの磁束障壁の径方向外側の境界部と、回転子72の外側円周部88との間に存在する。また、漏洩部分82は、磁石78の隣接する対の間で、円周方向に延在する。従って、例示された実施形態において、漏洩磁束経路46は、磁石78の隣接する対の異なる磁極の間に(例えば、磁石片78aと、磁石片78aに隣接する磁石片78bとの間に)、それぞれ延在する。また、図3に示されるように、磁束障壁84は、隣接する磁石78の対の間で、又は隣接する側面開口部86の対の間で、円周方向に沿って配置される。具体的には、磁束障壁84は、モータ70の隣接する磁石78の対の間に、又は隣接するモータ磁極の対の間に(例えば、磁石片78aと、磁石片78aに隣接する磁石片78bとの間に)配置される。例示された実施形態において、磁束障壁84は、隣接する磁石78の対の間の(磁石片78aと、磁石片78aに隣接する磁石片78bとの間の)空隙として構成される。その結果、漏洩磁束経路46の磁気経路幅及び磁気経路長に基づいて算出される磁気抵抗は、同じ磁石78の異なる磁極の間(例えば、磁石片78aのN極と同じ磁石片78aのS極との間)において磁束障壁84まで延在する磁気経路の磁気抵抗よりも小さい。例示された実施形態において、磁束障壁84は、空隙として構成される。しかしながら、磁束障壁84は、当技術において従来のような、任意の適切なタイプの絶縁材料を含むことも可能である。側面開口部86は、磁石片78aの両端部及び磁石片78bの両端部に対して、円周方向に隣接する。
【0063】
例示された実施形態において、回転子72、固定子14、及び磁石78(例えば、磁気構造体)は、モータ70の1つのモータ磁極に対して、次の式(1)及び(2)を満足するように更に構成される。
【0064】
【数7】
【0065】
【数8】
【0066】
ここでVsは、モータ70の1つのモータ磁極に対する固定子巻線34の起磁力を表し、Vmは、モータ70の1つのモータ磁極に対する磁石78の起磁力を表す。Rgは、モータ70の1つのモータ磁極に対する空隙80の磁気抵抗を表し、Rsは、モータ70の1つのモータ磁極に対する第1の主磁束経路40に沿う固定子14の磁気抵抗を表し、Rrは、モータ70の1つのモータ磁極に対する第2の主磁束経路42に沿う回転子コア76の磁気抵抗を表す。Rbは、漏洩磁束経路46に沿う回転子コア76の磁気抵抗を表し、ηは、モータ70の1つのモータ磁極のための磁石78によって生成される全磁束に対する、漏洩磁束経路46を通って流れる磁束である漏洩磁束の比を表す。特に、ηは、固定子14が無負荷である間に(即ち、固定子巻線34の起磁力がゼロの間に)、磁石78によって作り出される全磁束に対する、漏洩磁束経路46を通って流れる磁束としての漏洩磁束の比を表す。
【0067】
例示された実施形態において、式(1)は、第1の主磁束経路40及び第2の主磁束経路42の磁気抵抗及び漏洩磁束経路46の磁気抵抗と、磁石78の起磁力と、固定子14に負荷電流が印加される固定子14の負荷状態下における固定子14の起磁力との間の関係を表す。他方で、式(2)は、固定子14に負荷電流が印加されない無負荷状態下における関係を表す。
【0068】
モータ70が上記のように構成されることによって、モータ70は、基本的に、第1実施形態に従うモータ10と同じ利点を有する。更に、例示された実施形態において、図3に示されるように、モータ70は、磁石78の隣接する対の異なる磁極の間に(例えば、磁石片78aのN極と、磁石片78aに隣接する磁石片78bのS極との間に)延在する漏洩磁束経路46を有する。さらに、モータ70は、式(1)及び(2)によって表される条件を満足するように構成される。
【0069】
図3に示されるように、モータ70は、同じ磁石78(例えば、磁石片78a又は78b)の異なる磁極の間に、磁気障壁としての磁束障壁84を有し、その結果、磁石78の隣接する対の異なる磁極の間に(例えば、磁石片78a及び磁石片78bの異なる磁極の間に)延在する漏洩磁束経路46の磁気抵抗は、同じ磁石78の異なる磁極の間に延在する磁気経路の磁気抵抗よりも小さい。この構成により、固定子14によって誘起される磁束の磁束経路上に、大きな磁気障壁を設ける必要はない。従って、突極比をより大きくしてリラクタンストルクを増加させることができ、且つ負荷状態下で、モータの高い動力係数を維持することが可能である。従って、この構成により、銅損の増加を抑制することが可能となり、高速且つ低トルク動作におけるモータ効率を改善することができる。また、同じ最大鎖交磁束を、最大負荷において得ることが可能なので、モータのサイズを増加させることなく、最大モータ出力トルク特性を維持することが可能である。
【0070】
例示された実施形態において、一態様に従うモータ70によれば、漏洩磁束経路46は、磁石78の隣接する対の異なる磁極の間に延在する。
【0071】
この構成により、空隙80の周辺に小さな漏洩部分82を設けるだけで、固定子14によって誘起される磁束の変化に応じて、鎖交磁束を変化させることが可能である。従って、この構成によれば、モータのサイズにおける増加を抑制しながら、モータ効率を改善することが可能である。また、この構成により、高いq軸インダクタンスを維持して高い動力係数を得ることができる。
【0072】
例示された実施形態において、一態様に従うモータ70によれば、回転子コア76は、磁石78の隣接する対の間に延在する磁気障壁84を有し、その結果、漏洩磁束経路46の磁気経路幅及び磁気経路長に基づいて算出される磁気抵抗は、同じ磁石78の異なる磁極の間に延在する磁気経路の磁気抵抗よりも小さい。
【0073】
この構成により、固定子14によって誘起される磁束の磁束経路上に、大きな磁気障壁を設ける必要がなく、また、リラクタンストルクを増加させることが可能である。従って、モータ出力の降下を抑制しつつ、負荷状態下におけるモータの動力係数、及びモータ効率を改善することが可能である。
【0074】
また、モータ70によれば、q軸方向におけるインダクタンスがより高くなることで、自己漏洩型の構造と比べて、同一トルクを保ちつつより高い動力係数を得ることが可能である。
【0075】
[用語の一般的解釈]
本発明の範囲を理解する上で、本明細書で使用される用語「備える(comprising)及びその派生語は非制限的用語であり、この非制限的用語は、述べられた特徴、要素、構成部分、グループ、整数、及び/又はステップの存在を明示するが、しかし、述べられていない他の特徴、要素、構成部分、グループ、整数、及び/又はステップの存在を排除するものではない。前述のことは、用語「含む(including)」、「有する(having)」、及び他の派生語のような類似的意味を有する単語にも適用される。また、単数形で使用される場合、用語「部分(part)」、「部分(section)」、「部分(portion)」、「部材(member)」、又は「要素(element)」は、単一の部分又は複数の部分の二重の意味を有することが可能である。本明細書で使用される、「実質的に(substantially)」、「およそ(about)」、及び「ほぼ(approximately)」のような程度を表す用語は、最終結果が著しく変化されないように、修飾された用語からの無理のない程度のずれを意味する。
【0076】
本発明を例示するために、選択された実施形態だけが選ばれてきたが、添付された請求項に定義されるような本発明の範囲から外れることなく、様々な変形及び変更が本明細書においてなされ得ることは、当業者にとって、本明細書の開示から明らかであろう。例えば、様々な構成部分のサイズ、形状、場所、又は方位は、必要に応じて、且つ/又は要望に応じて、変化させることが可能である。直接接続される、又は互いに接触することが示される構成部分は、それらの構成部分の間に配置される中間構造体を有することが可能である。1つの要素の機能は、2つの要素によって実施することが可能であり、逆もまた成り立つ。1つの実施形態の構造及び機能は、別の実施形態において採用することが可能である。全ての利点が、特定の実施形態において、同時に存在する必要はない。単独であれ、他の特徴との組み合わせであれ、先行技術には他に類を見ないあらゆる特徴もまた、そのような特徴によって具現化される構造的概念及び/又は機能的概念を含めて、出願人による発明の他の説明と考えられるべきである。従って、本発明による実施形態の前述の説明は、例示のためだけに提供されるものであり、添付された請求項及びそれらの等価物によって定義されるような本発明を、制限することを目的としたものではない。
図1
図2
図3
図4