特許第6353986号(P6353986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6353986自立型CVD多結晶ダイアモンド膜を製造する装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353986
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】自立型CVD多結晶ダイアモンド膜を製造する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/27 20060101AFI20180625BHJP
   C01B 32/26 20170101ALI20180625BHJP
   C23C 16/511 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   C23C16/27
   C01B32/26
   C23C16/511
【請求項の数】20
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-532642(P2017-532642)
(86)(22)【出願日】2015年12月11日
(65)【公表番号】特表2018-505304(P2018-505304A)
(43)【公表日】2018年2月22日
(86)【国際出願番号】US2015065228
(87)【国際公開番号】WO2016100115
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2017年8月16日
(31)【優先権主張番号】62/093,031
(32)【優先日】2014年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/093,128
(32)【優先日】2014年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515017142
【氏名又は名称】ツーシックス、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】II−VI INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100113365
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 雅晴
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・サベンズ
(72)【発明者】
【氏名】チャオ・リウ
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・ディー・タナー
(72)【発明者】
【氏名】ウェンチーン・シュイ
【審査官】 村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/087702(WO,A2)
【文献】 国際公開第2013/087706(WO,A1)
【文献】 特開2000−096246(JP,A)
【文献】 特表平10−508069(JP,A)
【文献】 特表2014−505363(JP,A)
【文献】 特開2004−244298(JP,A)
【文献】 特開平07−086385(JP,A)
【文献】 特開平02−110925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
C01B 32/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波プラズマアシスト化学蒸着によって多結晶ダイアモンド膜を成長させるためのマイクロ波プラズマ反応器であって、
電気伝導性材料製の共振チャンバと、
前記共振チャンバにマイクロ波を送り込むように結合された、マイクロ波発生器と、
共振チャンバ内部空間の一部を成し、前記共振チャンバの残りの部分からガス不透過性誘電体窓によって分離されている、プラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバ内にプロセスガスおよび冷却ガスを供給し、前記プラズマチャンバからガス状副生物を除去し、前記プラズマチャンバを前記共振チャンバの前記残りの部分よりも低いガス圧に維持するための、ガス制御システムと、
前記プラズマチャンバの底部に配設された、電気伝導性かつ冷却式の基板ホルダと、
前記基板ホルダとは反対側の前記基板の上面上にダイアモンド膜を成長させるための、電気伝導性基板と
を備え、前記基板が、前記プラズマチャンバ内に前記基板ホルダと平行に配設され、前記基板が、前記基板ホルダから、高さdを有する間隙によって離隔され、前記基板が、前記基板ホルダから電気的に絶縁され、前記ガス制御システムが、前記プロセスガスを前記プラズマチャンバ内に前記誘電体窓と前記基板との間で供給するように適合され、前記ガス制御システムが、前記冷却ガスを前記間隙内に供給するように適合される、マイクロ波プラズマ反応器。
【請求項2】
前記基板の1または複数の温度を測定するために位置付けられた、1つまたは複数の高温計と、
前記1つまたは複数の高温計によって測定された前記基板の温度に基づいて、次の、
(1)前記共振チャンバに送出されるマイクロ波電力のエネルギー、
(2)前記プラズマチャンバの内側の圧力、
(3)前記プラズマチャンバに入る前記プロセスガスの流量、
(4)前記プロセスガスを形成するガスの混合物、
(5)前記プロセスガスを形成する前記ガスの組成百分率、
(6)前記冷却ガスの流量、
(7)前記冷却ガスを形成するガスの混合物、および
(8)前記冷却ガスを形成する前記ガスの組成百分率、
のうちの2つ以上を制御するように動作可能な、プロセス制御システムと
をさらに含む、請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
前記基板が、前記基板ホルダから、電気非伝導性スペーサによって離隔される、請求項1または2に記載の反応器。
【請求項4】
各スペーサの端部が、円盤、長方形もしくは正方形、または三角形の形状を有する、請求項3に記載の反応器。
【請求項5】
最小で3つのスペーサがある、請求項3または4に記載の反応器。
【請求項6】
各スペーサの、前記基板ホルダに面する前記基板の底面と接触する面積が、前記基板の前記底面の総表面積の0.01%未満である、請求項3〜5のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項7】
前記スペーサの、前記基板ホルダに面する前記基板の底面と接触する総面積が、前記基板の前記底面の総表面積の1%未満である、請求項3〜6のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項8】
前記スペーサが分配され、その上で、前記基板ホルダと基板との間の前記間隙内を流れる冷却ガスが1未満のレイノルズ数を有し、したがって前記冷却ガス流が層流となる、請求項3〜7のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項9】
前記スペーサが、800℃のときに1×10オームcmを上回る電気抵抗率を有する材料製である、請求項3〜8のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項10】
前記スペーサがセラミック製である、請求項3〜9のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項11】
前記スペーサが酸化アルミニウム(Al)製である、請求項10に記載の反応器。
【請求項12】
前記スペーサが次の、酸化物、炭化物、および窒化物、のうちの少なくとも1つの群に属する材料製である、請求項3〜11のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項13】
前記スペーサが次の、
1〜50W/mK、
10〜40W/mK、または
25〜35W/mK、
のうちの1つの間の熱伝導率を有する、請求項3〜12のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項14】
次の、
各スペーサが、前記基板の半径の50〜80%の間に位置付けられること、
前記スペーサが、前記基板の単一半径の円周に沿って分配されること、および
前記基板の中心と、前記基板と前記基板ホルダとの間にある各スペーサの位置との間で、前記間隙を通って流れる前記冷却ガスのレイノルズ数が次の、1未満、または0.1未満、または0.01未満、のうちの1つであること、
のうちの少なくとも1つである、請求項3〜13のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項15】
前記基板と前記基板ホルダとの間の前記間隙の前記高さdが、次の、基板直径の0.001%から1%の間、または基板直径の0.02%から0.5%の間、のうちの1つである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載のプラズマ反応器内でダイアモンド膜を成長させる方法であって、
(a)前記基板と前記基板ホルダとの間の前記間隙内に、前記冷却ガスを提供すること、
(b)前記プラズマチャンバ内に、前記プロセスガスを提供すること、
(c)前記共振チャンバに十分なエネルギーのマイクロ波を供給し、それによって、前記プロセスガスが前記プラズマチャンバ内にプラズマを形成し、前記プラズマが、前記基板の上面を750℃から1200℃の間の平均温度に加熱すること、および
(d)前記プラズマチャンバ内に前記プラズマが存在する状態で、前記基板の前記上面にわたる、かつ/または前記プラズマに応答して前記基板の前記上面上に成長しつつある前記ダイアモンド膜の成長表面にわたる温度分布を、前記温度分布が前記温度分布の最高温度と前記温度分布の最低温度との間の所定の温度差未満となるように、能動的に制御すること
を含む、方法。
【請求項17】
成長させたままのダイアモンド膜が、次の、
10%未満、5%未満、または1%未満の全厚さ変動(TTV)、および
0から100nm/cmの間、0から80nm/cmの間、0から60nm/cmの間、0から40nm/cmの間、0から20nm/cmの間、0から10nm/cmの間、または0から5nm/cmの間の複屈折、
のうちの少なくとも1つを有するように、前記温度分布が制御される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記温度分布を能動的に制御することが、次の、
(1)前記共振チャンバに送出されるマイクロ波電力のエネルギー、
(2)前記プラズマチャンバの内側の圧力、
(3)前記プラズマチャンバに入る前記プロセスガスの流量、
(4)前記プロセスガスを形成するガスのタイプ、
(5)前記プロセスガスを形成する前記ガスの組成百分率、
(6)前記冷却ガスの流量、
(7)前記冷却ガスを形成するガスのタイプ、および
(8)前記冷却ガスを形成するガスの組成百分率、
のうちの少なくとも2つを制御することを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
次の、
前記温度分布が、前記基板の前記上面の中心と縁部との間で、または前記成長しつつあるダイアモンド膜の前記成長表面の中心と縁部との間で、またはその両方で測定されること、ならびに
前記温度分布の前記最高温度と前記最低温度との間の前記所定の温度差が、前記基板の前記上面の前記中心および前記縁部で、または前記成長しつつあるダイアモンド膜の前記成長表面の前記中心と前記縁部との間で、またはその両方で測定されること、
のうちの少なくとも1つである、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記温度分布の前記最高温度と前記最低温度との間の前記所定の温度差が、10℃未満、5℃未満、または1℃未満である、請求項16〜19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2014年12月17日出願の「Method оf Manufacture of Free Standing CVD Polycrystalline Diamond Films with Low Birefringence」という名称の米国特許出願第62/093,128号、および2014年12月17日出願の「Method of Manufacture of Free Standing CVD Polycrystalline Diamond Films Exhibiting Low Thickness Variation」という名称の米国特許出願第62/093,031号の利益を主張するものであり、それらの両方が本明細書に参照により組み込まれる。
【発明の背景】
【0002】
発明の分野
本発明は、ダイアモンド膜のマイクロ波プラズマ化学蒸着成長のための方法および装置に関する。
【0003】
関連技術の説明
多結晶ダイアモンド膜は、長い間、その光学的特性の独特の組合せのため認識されてきた。
【0004】
現在、多結晶ダイアモンド膜は、化学蒸着(CVD)と呼ばれる技法を使用して、工業規模で成長させている。従来技術のCVD成長技法の例には、熱フィラメント、DCアークジェット、フレーム(flame)、およびマイクロ波プラズマがある。
【0005】
マイクロ波プラズマCVD(MPCVD)ダイアモンド膜成長の場合、(一例ではW、Mo、またはSi製の)ダイアモンド膜成長基板が成長チャンバ内に、基板とチャンバの基部との間に配設されたスタンドオフまたはスペーサによってチャンバの冷却プレート、例えば成長チャンバの水冷式基部に対して離隔された関係でロードされる。基板上でのダイアモンド膜の成長の間、その内部が真空ポンプによって10〜250トル(1.33〜40kPa)の間の圧力に保持される成長チャンバ内で、H中CH濃度が0.1〜5%の間の技術的ガスまたはプロセスガスと、任意でArやNeなど、微量の不活性ガスを流した状態で、成長チャンバに結合されたマイクロ波発生源によって、成長チャンバ内で基板の上にマイクロ波プラズマが発生する。マイクロ波発生源から供給されるマイクロ波エネルギーは、高電界領域および低電界領域のある、チャンバ内定在マイクロ波を生成する。成長チャンバの幾何形状は、ダイアモンド膜成長が行われる基板の表面に近接して定常の高電界ノードが形成するように構成されてよい。
【0006】
この高電界ノード内で、技術的ガスまたはプロセスガスのガス分子がマイクロ波エネルギーを吸収して、反応性ラジカルと原子に分解し、それによりプラズマが形成する。このプラズマ中で最も豊富な反応種は、原子状水素HおよびメチルラジカルCHである。これらのガス種は、気相にわたって拡散して基板表面に至り、基板表面(または基板表面上に成長しつつあるダイアモンド膜)上に吸着し、基板上でのダイアモンド膜の核形成およびCVD成長を引き起こすさまざまな反応に関与する。
【0007】
MPCVDダイアモンド膜成長の間、基板はプラズマによって摂氏700〜1200度の間の温度に加熱され、成長るつぼの内側の圧力は、10〜250トル(1.33〜40kPa)の間に維持される。この条件範囲内では、ダイアモンド膜相は準安定である。メチルおよび他のラジカルは、基板表面(または基板表面上に成長しつつあるダイアモンド膜)に付着すると、炭素間のダイアモンド膜様sp結合、黒鉛様sp結合、ならびにC−H結合を含むさまざまな結合を形成する。MPCVDダイアモンド膜60成長では、原子状水素は、成長しつつあるダイアモンド膜から引き抜きによって水素を取り去る、また炭素に結合して、非ダイアモンド膜結合を形成した炭素原子を成長しつつあるダイアモンド膜から取り去る、という2つの役割を果たす。
【0008】
均一なMPCVDダイアモンド膜成長を達成するための手段としての温度制御の一例が、基板の裏側に冷却ガスを流すというものである。
【0009】
スペーサの使用については、例えば米国特許第8859058号において論じられており、ここでスペーサは、「電気伝導性であってよく、かつ/またはスペーサ要素と基板ホルダとの間の良好な電気接触を確実にするのに有用であることが分かっているSilver DAGTMなどの電気伝導性接着剤を用いて定位置に固定されてよい」スペーサワイヤまたはスペーサ要素として説明されている。
【0010】
電気伝導性スペーサワイヤを使用する欠点には、(1)スペーサワイヤおよび/または接着剤の電気伝導性が基板を接地し、成長速度/材料品質の変動を招くプラズマの不均一性を生じさせるおそれがある、(2)電気伝導性材料製のスペーサワイヤは、スペーサのすぐ上の基板の局所的な冷却を生じさせ得るのに十分なほど高い熱伝導率のものであり、その結果、スペーサの上で局所的に高応力で低成長率のダイアモンド膜材料となる、また(3)スペーサワイヤが、成長基板に対して電気バイアスを印加できる可能性を奪うことによって、成長チャンバのフレキシビリティを低下させる、という3つの面がある。
【発明の概要】
【0011】
プラズマチャンバから成る共振チャンバから構成されるMPCVD反応器内で、(一例ではW、Mo、またはSi製の)電気伝導性ダイアモンド成長基板が、(一例では冷却流体、例えば水によって、またはペルチェ効果による1つもしくは複数の熱電冷却器によって)意図的に冷却される電気伝導性基板ホルダから、均一な空間または間隙によって分離される。一例では、3つの、例えば、チャンバ底部または基部上に接着剤なしで径方向に120度離れて配置されてよい絶縁スペーサの使用によって、この均一な間隙が維持される。3つの均等に隔てられたスペーサによって形成される円の直径は、冷却間隙上での成長基板のたわみの影響を最小限に抑えるものが選択される。各スペーサの、成長基板の底面と接触する直径(または最大寸法)が、成長基板の直径の0.1%から2%の間であってよい。一例では、各スペーサが、同じまたは異なる直径を有してよい。
【0012】
別の例では、チャンバ底部上に接着剤なしで径方向に(360度/X)離れて配置される、X個の絶縁スペーサの使用によって、均一な間隙が維持され、ただしXは3以上の整数である。
【0013】
一例では、絶縁スペーサの材料としてセラミックが選択され、というのもセラミックは電気絶縁体であるとともに低熱伝導率を有し、それにより成長基板、したがって成長しつつあるダイアモンドが、金属スペーサを通じた熱損失またはアークによる局所的な加熱による温度不均一性を被ることが最小限に抑えられるためである。
【0014】
そのようなスペーサを用いて成長させた、結果として得られるダイアモンド膜は、基板全体にわたって90%を上回る、または95%を上回る、または97%を上回る、または99%を上回る厚さ均一性(測定された全ての点の標準偏差を平均厚さで割った商を1から引いたものとして定義される)を呈し、それにより、より良好な、(最小成長速度変動の50%の低減を通じた)プロセス予測可能性、歩留まり、およびスループットが可能になる。
【0015】
さらに、次の、(1)共振チャンバに送出されるマイクロ波電力のエネルギー、(2)プラズマチャンバの内側の圧力、(3)プラズマチャンバに入るプロセスガスの流量、(4)プロセスガスを形成するガスの混合物、(5)プロセスガスを形成するガスの組成百分率、(6)冷却ガスの流量、(7)冷却ガスを形成するガスの混合物、および(8)冷却ガスを形成するガスの組成百分率、のうちの2つ以上を組み合わせたものを能動的に制御することによって、成長しつつあるダイアモンドの中心と縁部との間の温度分布または温度プロファイルが、基板上でのダイアモンド膜の成長全体の間、一定または実質的に一定に(一例では5℃以下、3℃以下、または1℃以下に)維持され得る。
【0016】
一例では、上記の(1)〜(8)のうちの2つ以上を制御することによって、基板(または基板上に成長しつつあるダイアモンド膜)にわたる温度変動が、ダイアモンド膜成長の間、1%以内に低減または維持され得、成長させたダイアモンド膜の厚さが、5%未満しか変動し得ない。一例では、温度変動は、1つまたは複数の光高温計によって測定されてよい。
【0017】
一例では、MPCVDダイアモンド膜成長サイクル全体を通じて、基板(または基板上に成長しつつあるダイアモンド膜)にわたる均一な温度分布を達成し維持することにより、空間的に均一な低複屈折を含む空間的に均一な特性をもつ、自立型多結晶ダイアモンド膜がもたらされる。一例では、本明細書で説明する原理に従って成長させた自立型ダイアモンド膜は、次の、0から100nm/cm、0から80nm/cm、0から60nm/cm、0から40nm/cm、0から20nm/cm、0から10nm/cm、または0から5nm/cmのうちの少なくとも1つの間の範囲内の、測定された複屈折を有し得る。
【0018】
一例では、本明細書で説明する原理に従って成長させた自立型ダイアモンド膜は、クラックフリーとなり得、120mm以上、または140mm以上、または160mm以上、または170mm以上の直径を有し得、150μmから約3.3mmの間の厚さを有し得る。
【0019】
さらに、本明細書で説明する原理に従って成長させた自立型ダイアモンド膜は、後成長(post−growth)処理の間に変形することが少なくなる低残留応力を呈し得る。本発明で説明する原理に従って成長させた自立型ダイアモンド膜は、70mmから160mmの間の直径および100μmから3.0mmの間の厚さをもつ、研磨した高品質光学窓の製作に適切となり得る。
【0020】
ここで、本発明の好ましくかつ非限定的なさまざまな例または態様について説明し、以下の番号付き項に記述する。
【0021】
項1:マイクロ波プラズマアシスト化学蒸着によってダイアモンド膜を成長させるためのマイクロ波プラズマ反応器が、電気伝導性材料製の共振チャンバと、共振チャンバにマイクロ波を送り込むように結合された、マイクロ波発生器と、共振チャンバ内部空間の一部を成し、共振チャンバの残りの部分からガス不透過性誘電体窓によって分離されている、プラズマチャンバと、プラズマチャンバ内にプロセスガスおよび冷却ガスを供給し、プラズマチャンバからガス状副生物を除去し、プラズマチャンバを共振チャンバの残りの部分よりも低いガス圧に維持するための、ガス制御システムと、プラズマチャンバの底部に配設された、電気伝導性かつ冷却式の基板ホルダと、基板ホルダとは反対側の基板の上面上にダイアモンド膜を成長させるための、電気伝導性基板とを備え、基板が、プラズマチャンバ内に基板ホルダと平行に配設され、基板が、基板ホルダから、高さdを有する間隙によって離隔され、基板が、基板ホルダから電気的に絶縁され、ガス制御システムが、プロセスガスをプラズマチャンバ内に誘電体窓と基板との間で供給するように適合され、ガス制御システムが、冷却ガスを間隙内に供給するように適合される。
【0022】
項2:基板の1または複数の温度を測定するために位置付けられた、1つまたは複数の高温計と、1つまたは複数の高温計によって測定された基板の温度に基づいて、次の、(1)共振チャンバに送出されるマイクロ波電力のエネルギー、(2)プラズマチャンバの内側の圧力、(3)プラズマチャンバに入るプロセスガスの流量、(4)プロセスガスを形成するガスの混合物、(5)プロセスガスを形成するガスの組成百分率、(6)冷却ガスの流量、(7)冷却ガスを形成するガスの混合物、および(8)冷却ガスを形成するガスの組成百分率、のうちの2つ以上を制御するように動作可能な、プロセス制御システムとをさらに含む、項1に記載の反応器。
【0023】
項3:基板ホルダが、プラズマチャンバの底部の一部を成しているか、またはプラズマチャンバの底部から離れている、項1または2に記載の反応器。
【0024】
項4:ガス制御システムが、プロセスガスの供給源と、プラズマチャンバを共振チャンバの残りの部分よりも低いガス圧に維持するための、真空の供給源と、冷却ガスの供給源とを備える、項1〜3のいずれかに一項に記載の反応器。
【0025】
項5:次の、プロセスガスが、ガス状CHとガス状Hとの混合物を含むこと、ならびに冷却ガスが、次のガス、H、He、Ar、およびXe、のうちの1つまたは複数を含むこと、のうちの少なくとも1つである、項1〜4のいずれか一項に記載の反応器。
【0026】
項6:基板が、基板ホルダから、電気非伝導性スペーサによって離隔される、項1〜5のいずれか一項に記載の反応器。
【0027】
項7:各スペーサの端部が、円盤、長方形もしくは正方形、または三角形の形状を有する、項1〜6のいずれか一項に記載の反応器。
【0028】
項8:最小で3つのスペーサがある、項1〜7のいずれか一項に記載の反応器。
【0029】
項9:各スペーサの、基板ホルダに面する基板の底面と接触する面積が、基板の底面の総表面積の0.01%未満である、項1〜8のいずれか一項に記載の反応器。
【0030】
項10:スペーサの、基板ホルダに面する基板の底面と接触する総面積が、基板の底面の総表面積の1%未満である、項1〜9のいずれか一項に記載の反応器。
【0031】
項11:スペーサが分配され、その上で、基板ホルダと基板との間の間隙内を流れる冷却ガスが1未満のレイノルズ数を有し、したがって冷却ガス流が層流となる、項1〜10のいずれかに記載の反応器。本明細書では、また当技術分野で知られているように、レイノルズ数は、任意の流体、流体速度、および空洞サイズについて、流れのプロファイルを予測するのに使用される無次元変数である。レイノルズ数は、慣性力(流量、チャンバ寸法)と粘性との間の比として定義される。本明細書では、レイノルズ数が1未満であると、基板と基板ホルダとの間の間隙内での冷却ガスの流れが、スペーサの周りを通過するときに摂動されないままであることが確実になる。
【0032】
項12:スペーサが、800℃のときに1×10オームcmを上回る電気抵抗率を有する材料製である、項1〜11のいずれか一項に記載の反応器。
【0033】
項13:スペーサがセラミック製である、項1〜12のいずれか一項に記載の反応器。
【0034】
項14:スペーサが次の、酸化物、炭化物、および窒化物、のうちの少なくとも1つから成る群に属する材料製である、項1〜13のいずれか一項に記載の反応器。
【0035】
項15:スペーサが酸化アルミニウム(Al)製である、項1〜14のいずれか一項に記載の反応器。
【0036】
項16:スペーサが次の、1〜50W/mK、10〜40W/mK、または25〜35W/mK、のうちの1つの間の熱伝導率を有する、項1〜15のいずれか一項に記載の反応器。
【0037】
項17:次の、各スペーサが、基板の半径の50〜80%の間に位置付けられること、スペーサが、基板の単一半径の円周に沿って分配されること、および基板の中心と、基板と基板ホルダとの間にある各スペーサの位置との間で、間隙を通って流れる冷却ガスのレイノルズ数が次の、1未満、または0.1未満、または0.01未満、のうちの1つであること、のうちの少なくとも1つである、項1〜16のいずれか一項に記載の反応器。
【0038】
項18:スペーサが、基板の断面積の1%未満、または0.1%未満、または0.01%未満の総断面積を有する、項1〜17のいずれか一項に記載の反応器。
【0039】
項19:基板と基板ホルダとの間の間隙の高さdが、次の、基板直径の0.001%から1%の間、または基板直径の0.02%から0.5%の間、のうちの1つである、項1〜18のいずれか一項に記載の反応器。
【0040】
項20:項1〜19のいずれか一項に記載のプラズマ反応器内でダイアモンド膜を成長させる方法であって、(a)基板と基板ホルダとの間の間隙内に、冷却ガスを提供すること、(b)プラズマチャンバ内に、プロセスガスを提供すること、(c)共振チャンバに十分なエネルギーのマイクロ波を供給し、それによって、プロセスガスがプラズマチャンバ内にプラズマを形成し、そのプラズマが、基板の上面を750℃から1200℃の間の平均温度に加熱すること、および(d)プラズマチャンバ内にプラズマが存在する状態で、基板の上面にわたる、かつ/またはプラズマに応答して基板の上面上に成長しつつあるダイアモンド膜の成長表面にわたる温度分布を、温度分布が温度分布の最高温度と温度分布の最低温度との間の所定の温度差未満となるように、能動的に制御することを含む、方法。
【0041】
項21:成長させたままのダイアモンド膜が、次の、10%未満、5%未満、または1%未満の全厚さ変動(TTV)、および0から100nm/cmの間、0から80nm/cmの間、0から60nm/cmの間、0から40nm/cmの間、0から20nm/cmの間、0から10nm/cmの間、または0から5nm/cmの間の複屈折、のうちの少なくとも1つを有するように、温度分布が制御される、項20に記載の方法。複屈折は、632.8nmの波長において測定されてよい。
【0042】
項22:温度分布を能動的に制御することが、次の、(1)共振チャンバに送出されるマイクロ波電力のエネルギー、(2)プラズマチャンバの内側の圧力、(3)プラズマチャンバに入るプロセスガスの流量、(4)プロセスガスを形成するガスのタイプ、(5)プロセスガスを形成するガスの組成百分率、(6)冷却ガスの流量、(7)冷却ガスを形成するガスのタイプ、および(8)冷却ガスを形成するガスの組成百分率、のうちの少なくとも2つを制御することを含む、項20または21に記載の方法。
【0043】
項23:次の、温度分布が基板の上面の中心と縁部との間で、または成長しつつあるダイアモンド膜の成長表面の中心と縁部との間で、またはその両方で測定されること、ならびに温度分布の最高温度と最低温度との間の所定の温度差が、基板の上面の中心および縁部で、または成長しつつあるダイアモンド膜の成長表面の中心と縁部との間で、またはその両方で測定されること、のうちの少なくとも1つである、項20〜22のいずれか一項に記載の方法。
【0044】
項24:温度分布の最高温度と温度との間の所定の温度差が1℃未満である、項20〜23のいずれか一項に記載の方法。
【0045】
項25:温度分布の最高温度と温度との間の所定の温度差が5℃未満である、項20〜24のいずれか一項に記載の方法。
【0046】
項26:温度分布の最高温度と最低温度との間の所定の温度差が10℃未満である、項20〜25のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】反応器の基部を成す流体冷却式基板ホルダを含む、第1の例示的MPCVD反応器を示す図である。
図2】反応器の基部によって支持される流体基板ホルダを含む、第2の例示的MPCVD反応器を示す図である。
図3】反応器の基部を成す熱電モジュール冷却式基板ホルダを含む、第3の例示的MPCVD反応器を示す図である。
図4】反応器の基部によって支持される熱電モジュール冷却式基板ホルダを含む、第4の例示的MPCVD反応器を示す図である。
図5図1図4のいずれか1つに示す基板の想像図(phantom view)の下に位置付けられた3つのスペーサの単独平面図(isolated plan view)である。
図6A図1図4のいずれか1つにおける基板と基板ホルダとの間に位置付けられてよい、ある形状のスペーサの斜視図である。
図6B図1図4のいずれか1つにおける基板と基板ホルダとの間に位置付けられてよい、異なる形状のスペーサの斜視図である。
図6C図1図4のいずれか1つにおける基板と基板ホルダとの間に位置付けられてよい、異なる形状のスペーサの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
ここで、非限定的なさまざまな例について、同様の参照番号が同様の要素または機能的に等価な要素に対応する添付の図を参照して説明する。
【0049】
図1図4はそれぞれ、第1から第4の例示的MPCVD反応器2であり、この場合、図2図4にそれぞれ示す第2から第4の例示的MPCVD反応器2は、図1に示す第1の例示的MPCVD反応器2に大部分の点で類似している。したがって、以後論じるように、第1から第4の例示的MPCVD反応器2の間の差異をハイライトする以外、以下の説明は、(1)図1に示す第1の例示的MPCVD反応器2に特に即したものであるとともに(2)図2図4にそれぞれ示す、第2から第4の例示的MPCVD反応器2に等しく当てはまり、また(3)図2図4に示す第2から第4の例示的反応器2の同様の要素または機能的に等価な要素の具体的な説明については、不必要な冗長性を避けるために記載しない。
【0050】
一般に、MPCVD成長の間、温度均一性の精密な制御は、一例では100〜180mmの範囲の直径と、一例では上面と底面の両方上で±2.5μmの範囲内の表面平坦性とをもつ、例えばW、Mo、またはSi製の成長基板の使用を通じて確実になり得る。成長基板の上面と底面はまた、一例では±5μmの厚さ変動を伴って平行であってよい(基板全体にわたって上面と底面との間で測定される距離の変動)。均一な熱容量(thermal mass)、基板全体にわたる均一な冷却速度、またはその両方を確実にするために、成長基板はチャンバ底部から、絶縁(例えば限定しないがセラミック)スペーサによって、その全体にわたって一例では±5μmの変動のある基板/チャンバ底部間隙を伴って、精密にオフセットされてよい。
【0051】
図1を参照すると、第1の例示的MPCVD反応器2は、電気伝導性材料製の共振チャンバ4を含んでよい。マイクロ波発生器6が、共振チャンバ4にマイクロ波を送り込むように結合されてよい。非限定的な一例では、マイクロ波発生器6は、共振チャンバ4の上部にマイクロ波を送り込むように結合されてよい。
【0052】
プラズマチャンバ8は、共振チャンバ4の内部空間の一部(一例では下部)を成し、この部分は、共振チャンバ4の残りの部分10(一例では上部)からガス不透過性誘電体窓12によって分離されている。非限定的な一例では、共振チャンバ4、したがって、プラズマチャンバ8は、直径Dをもつ円筒形であってよい。
【0053】
反応器2は、プラズマチャンバ8内にプロセスガス供給源16からプロセスガス14を、また冷却ガス供給源20から冷却ガス18を供給するための、ガス制御システムを含む。プロセスガス供給源16および冷却ガス供給源20はそれぞれ、プロセスガス14および冷却ガス20の流量を個別に制御できるようにするために、フローコントローラ17および21を含んでよい。
【0054】
プロセスガス14はプラズマチャンバ8内に、(1)プラズマチャンバ8の壁部内(図1に示す)に、かつ/または(2)誘電体窓12内(図1に図示せず)に配設された1つまたは複数のポート26を介して供給されてよい。一例では、1つまたは複数のポート26が、プロセスガス14をプラズマチャンバ8に直接送り込んでよい。別の例では、プラズマチャンバ8の内部が、プラズマチャンバ8の上部またはその付近に任意のガス分配マニホルド30を含み、それが1つまたは複数のポート26と流体連通状態で結合されてよい。ガス分配マニホルド30は、プロセスガス14をプラズマチャンバ8の内側で所望の方向に向ける、例えばプロセスガス14をプラズマチャンバ8の基部の方に向けるように配向された、1つまたは複数のノズルまたは開口32を含んでよい。非限定的な一例では、マニホルド30は環状形を有してよい。
【0055】
ガス制御システムは、プラズマチャンバ8に1つまたは複数のポート24を介して結合された、真空の供給源、すなわち機械式真空ポンプおよび/またはターボ分子真空ポンプなどの真空ポンプ22も含む。非限定的な一例では、1つまたは複数のポート24は、プラズマチャンバ8の基部を貫通してよい。動作の際には、真空ポンプ22が、当技術分野で知られている様式で、プラズマチャンバ8の内部を真空排気し、プラズマチャンバ8からガス状副生物28を除去し、プラズマチャンバ8を共振チャンバ4の残りの部分10および共振チャンバ4の外部よりも低いガス圧に維持するように働く。一例では、真空ポンプ22は、プラズマチャンバ8の内側の圧力が10トル(1.33kPa)から300トル(40kPa)の間の範囲内になるように制御するように働いてよい。
【0056】
反応器2はさらに、冷却式基板ホルダ36の上に間隙38によって離隔された、基板34を含む。一例では、1つもしくは複数のポート26および/またはマニホルド30が、プロセスガス14をプラズマチャンバ8に誘電体窓12と基板34との間で直接送り込んでよい。
【0057】
図1に示す第1の例示的反応器2では、基板ホルダ36が、プラズマチャンバ8の基部を成してよい。図2に示す第2の例示的反応器2では、基板ホルダ36が、プラズマチャンバ8の基部とは別の要素であってよく、(図示のように)プラズマチャンバ8の基部上に載っていてもよく、プラズマチャンバ8の基部からスタンドオフによって離隔されてもよい。図1および図2に示す第1および第2の例示的反応器2では、基板34の上面40上でのダイアモンド膜60の成長の間に基板ホルダ36を冷却するために、冷却流体供給源46が、適切な冷却流体44、例えば水を、基板ホルダ36の内部に供給する。
【0058】
図3および図4に示す第3および第4の例示的反応器2では、図1および図2に示す第1および第2の例示的反応器2内の冷却流体44および冷却流体供給源46が、DC電源50から1つまたは複数の熱電モジュール48にDC電力を印加するとペルチェ効果によって基板ホルダ36を冷却する1つまたは複数の熱電モジュール48と置き換えられてよい。
【0059】
基板34上でのダイアモンド膜60の成長の間、基板ホルダ36を冷却することは、基板34、したがって基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60から望ましくない熱を除去する助けとなる。この熱の除去が、高品質のダイアモンド膜60のCVD成長を促進する。
【0060】
一例では、基板34は、100mmから180mmの間の範囲内の直径、8mmから14mmの間の範囲内の厚さ、および基板34の上面40と底面42の両方上での±2.5μmの範囲内の平坦性を有してよい。基板34の上面40および底面42はまた、±5μmの範囲内で平行である(基板42の全体にわたって上面40と底面42との間で測定される距離の変動)。
【0061】
一例では、基板34は、基板ホルダ36の上に、50μmから1000μmの間の高さdをもつとともにその全体にわたって±5μmの変動のある固定の間隙38を伴って、位置付けられてよく、基板ホルダ36は、冷却流体44(図1および図2に示す第1および第2の例示的反応器2)または1つもしくは複数の熱電モジュール48(図3および図4に示す第3および第4の例示的反応器2)によって、所望の温度±2℃に保持されてよい。基板ホルダ36を冷却するために冷却流体44が使用される場合、基板ホルダ36から退出する冷却流体44の温度が測定されてよい。基板ホルダ36から退出する冷却流体44の測定された温度に基づいて、基板ホルダ36に供給される冷却流体44の体積および/または温度が、必要に応じて、基板ホルダ36を固定の温度に維持するように調整されてよい。
【0062】
非限定的な一例では、間隙38は、基板34と基板ホルダ36との間に一例ではそれらに直接接触して配設された、50μmから1000μmの間の厚さの、最小で3つの絶縁(例えばセラミック)スペーサ52によって達成されてよい。一例では、全てのスペーサ52の高さが、互いの2μm以内であってよい。一例では、スペーサ52が、800℃のときに1×10オームcmを上回る電気抵抗率を有する材料製であってよい。スペーサ52を作製するのに使用されてよい材料の一例が、セラミックである。別の例では、スペーサ52が次の、酸化物、炭化物、および窒化物、のうちの少なくとも1つの群に属する材料のものであってよい。別の例では、スペーサが酸化アルミニウム(Al)製であってよい。一例では、スペーサ52が次の、1〜50W/mK、10〜40W/mK、または25〜35W/mK、のうちの1つの間の熱伝導率を有してよい。
【0063】
別の例では、各スペーサ52が、基板34の半径の50〜80%の間に位置付けられてよく、かつ/またはスペーサ52が、基板34の単一半径の円周に沿って分配されてよく、かつ/または基板34の中心52と、基板34と基板ホルダ35との間にある各スペーサ52の位置との間で、間隙38を通って流れる冷却ガス18のレイノルズ数が次の、1未満、または0.1未満、または0.01未満、のうちの1つである。
【0064】
一例では、スペーサ52が、基板34の中心54から等距離離れたところに(距離x)配設されてよい(図5)。間隙38は、基板34と基板ホルダ36との間に接着剤なしで径方向に(360度/X個のスペーサ52)離れて配置される、X個のスペーサ52の使用によって維持されてよく、ただしX(スペーサ52)は3以上の整数である。一例では、X個のスペーサ52が設けられる場合、これらのX個のスペーサ52は、添付の図5に示すように、約360度/X±2度離れて、また一例では、基板34の中心54から等距離±2mmのところに配置されてよい。別の例では、各スペーサ52が、成長基板34の半径の等距離±2%のところに配置されてよい。別の例では、各スペーサ52が、成長基板34の半径の50%以上かつ成長基板34の半径の80%以内に配置されてよい。各スペーサ52は、断面において、円盤(図6A)、長方形もしくは正方形(図6B)、または三角形(図6C)の形状を有してよい。スペーサ52によって、基板34が、基板ホルダ36から電気的に絶縁され得る。
【0065】
一例では、各スペーサの、基板ホルダ36に面する基板34の底面42と接触する面積が、基板34の底面42の総表面積の0.01%未満である。一例では、全てのスペーサ52の、基板ホルダ36に面する基板34の底面42と接触する総面積が、基板34の底面42の総表面積の1%未満である。別の例では、スペーサ52の、基板34と基板ホルダ36との間の総断面積が、基板34の断面積の1%未満、または0.1%未満、または0.01%未満であってよい。
【0066】
一例では、全てのスペーサ52が、基板34と基板ホルダ36との間に分配され、間隙38内を流れる冷却ガス18が、基板34と基板ホルダ36との間の間隙38内を流れる冷却ガス18が1未満のレイノルズ数を有し、したがって間隙38内での冷却ガスの流れが層流となる結果になるように、制御される。
【0067】
一例では、基板34と基板ホルダ36との間の間隙38の高さdが、次の、基板34の直径の0.001%から1%の間、または基板34の直径の0.02%から0.5%の間、のうちの1つであってよい。
【0068】
図から理解できるように、ダイアモンド膜60のCVD成長が行われるプラズマチャンバ8は、共振チャンバ4のサブセットであり、共振チャンバ4は、マイクロ波発生器6によって供給されるマイクロ波の周波数と協働して、ダイアモンド膜60成長が行われる基板34の上面40に近接して定常の高電界ノードを形成するように構成されている。したがって、ダイアモンド膜60の成長の間、真空ポンプ22によってプラズマチャンバ8内に生成される低圧に晒されない共振チャンバ4の残りの部分10内に、マイクロ波が存在してよい。プラズマチャンバ8を共振チャンバ4のサブセットにする利点には、限定しないが、次の、(1)プラズマチャンバ8の容積を、ダイアモンド膜60の成長に合わせて最適化可能、(2)プラズマチャンバ8内でのプロセスガス14の流れおよび/もしくは分布に対するより良好な制御、(3)間隙38内での冷却ガス18の流れおよび/もしくは分布に対するより良好な制御、(4)ダイアモンド膜60の成長の間の、プラズマチャンバ8の内側での圧力のより良好な制御、ならびに/または(5)共振チャンバ4の容積を、ダイアモンド膜60成長が行われる基板34の上面40に近接して定常の高電界ノードを形成するように最適化可能であると同時に、プラズマチャンバ8の容積を、他の何らかの理由、例えば上記の利点(1)〜(4)のうちのいずれか1つもしくは複数に合わせて最適化可能、のうちの1つまたは複数が含まれ得る。
【0069】
ここで、図1図4に示す第1〜第4のプラズマ反応器2のうちの1つ内でダイアモンド膜を成長させる方法について説明する。
【0070】
この方法では、基板34と基板ホルダ36との間の間隙38に冷却ガス18が提供されてよく、プラズマチャンバ8にプロセスガス14が提供されてよい。適切なかつ/または所望の電力および周波数のマイクロ波が共振チャンバ4に導入され、そのマイクロ波により、プロセスガス14がプラズマチャンバ8内にプラズマ56を形成し、そのプラズマ56が、基板34の上面40を750℃から1200℃の間の平均温度に加熱してよい。プラズマチャンバ8内にプラズマ56が存在する状態で、基板34の上面40にわたる、かつ/またはプラズマ56に応答して基板34の上面上に成長しつつあるダイアモンド膜60の成長表面にわたる温度分布が、温度分布が温度分布の最高温度と温度分布の最低温度との間の所定の温度差未満となるように、制御されてよい。一例では、温度分布の最高温度と温度との間の所定の温度差が、10℃未満、5℃未満、または1℃未満であってよい。
【0071】
成長させたままのダイアモンド膜60が、次の、10%未満、5%未満、もしくは1%未満の全厚さ変動(TTV)、および/または0から100nm/cmの間、0から80nm/cmの間、0から60nm/cmの間、0から40nm/cmの間、0から20nm/cmの間、0から10nm/cmの間、もしくは0から5nm/cmの間の複屈折、のうちの少なくとも1つを有し得るように、温度分布が制御されてよい。一例では、複屈折は、632.8nmの波長において測定されてよい。
【0072】
温度分布を能動的に制御するステップは、次の、(1)共振チャンバに送出されるマイクロ波電力のエネルギー、(2)プラズマチャンバの内側の圧力、(3)プラズマチャンバに入るプロセスガスの流量、(4)プロセスガスを形成するガスのタイプ、(5)プロセスガスを形成するガスの組成百分率、(6)冷却ガスの流量、(7)冷却ガスを形成するガスのタイプ、および(8)冷却ガスを形成するガスの組成百分率、のうちの少なくとも2つを制御することを含んでよい。
【0073】
温度分布は、基板34の上面40の中心および縁部もしくはそれらの間で、成長しつつあるダイアモンド膜60の、膜60が基板34の上面40上で成長するときの成長表面の中心および縁部もしくはそれらの間で、またはその両方で測定されてよい。温度分布の最高温度と最低温度との間の所定の温度差は、基板34の上面40の中心および縁部で、または成長しつつあるダイアモンド膜60の、膜60が基板34の上面40上で成長するときの成長表面の中心と縁部との間で、またはその両方で測定されてよい。
【0074】
より具体的には、適切な時点において、ダイアモンド膜60のMPCVD成長用のプラズマチャンバ8内で適切な成長条件が確立および維持されてよい。そのような適切な成長条件の例には、プラズマチャンバ8を例えば10トル(1.33kPa)から300トル(40kPa)の間の所望のダイアモンド膜60成長圧力に真空排気している真空ポンプ22が存在する状態で、プロセスガス14および冷却ガス18をプラズマチャンバ8に導入することがある。非限定的な一例では、プロセスガス14は、水素と0.1から2%の間のメタン、および微量の不活性ガス、一例ではArまたはNeから成ってよい。プラズマチャンバ8に導入されるプロセスガス14の総流量は、1200から2500sccmの間であってよい。基板34の上面40の上でプロセスガス14からプラズマ56を形成するために、300MHzから1500MHzの間の範囲内の単一周波数、および10kWから30kWの間の送出電力をもつマイクロ波が、マイクロ波発生器6によって共振チャンバ4に導入されてよい。
【0075】
冷却ガス18は、基板34の上面40上、または基板34の上面40上に成長しつつあるダイアモンド膜60の成長表面上、またはその両方上での(例えば750℃から1200℃の間の)適切な成長温度を目標とすべく、間隙38内に導入される冷却ガス18の所望の熱伝導率に基づいて制御される、さまざまな割合のH、He、Ar、および/またはNeから成るガス混合物であってよい。基板34の上面40上でのダイアモンド膜60のCVD成長の間、真空ポンプ22は、プラズマチャンバ8を所望のダイアモンド膜60成長圧力に維持するように働く。
【0076】
基板34の上面40および/または上面40上に成長しつつあるダイアモンド膜60の温度は、反応器2の1つまたは複数の窓62、および誘電体窓12を介して、1つまたは複数の高温計58によって測定されてよい。一例では、1つの高温計58が、基板34の上面40の中心またはその付近の、またダイアモンド膜60の成長の間は、基板34の上面40の中心またはその付近で成長しつつあるダイアモンド膜60の部分またはその付近の、温度を測定してよい。一例では、別の高温計58が、基板34の上面40の縁部またはその付近の、またダイアモンド膜60の成長の間は、基板34の上面40の縁部またはその付近で成長しつつあるダイアモンド膜60の部分またはその付近の、温度を測定してよい。
【0077】
図1図4に示す例示的反応器2のうちの1つを使用した基板34上でのダイアモンド膜60の成長の間、基板34および/または基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60の中心温度と縁部温度との間の差は、5℃以下、3℃以下、または1℃以下の範囲内に制御されてよい。より具体的には、図1図4に示す各例示的反応器2は、例えば、限定しないが、例えばRockwell Automation of Milwaukee、Wisconsin、USAから商業的に入手可能なプログラマブルロジックコントローラ(plc)など、ソフトウェア制御されるコンピュータまたはマイクロプロセッサベースのプロセス制御システム64を含んでよい。プロセス制御システム64は、1つまたは複数の高温計58によって測定された、基板34および/または基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60の1または複数の温度に基づいて、次の、(1)マイクロ波発生器6によって共振チャンバ4に送出されるマイクロ波電力のエネルギー、(2)プラズマチャンバ8の内側のガス圧、(3)プラズマチャンバ8に入るプロセスガス14の流量、(4)プロセスガス14を形成するガスの混合物、(5)プロセスガス14を形成するガスの組成百分率、(6)間隙38内の冷却ガス18の流量、(7)冷却ガス18を形成するガスの混合物、および(8)冷却ガス18を形成するガスの組成百分率、のうちの2つ以上を制御するように動作可能であってよい。
【0078】
以後、別段の指示がない限り、または本開示から別段明らかでない限り、((i)プロセスガス14の流量および/もしくは組成百分率、ならびに/または(ii)冷却ガス18の流量および/もしくは組成百分率、ならびに/または(iii)送出マイクロ波電力および/もしくは周波数を含む)適切な成長条件が、プラズマチャンバ8内で確立され、基板34上でのダイアモンド膜60の成長が開始したものと仮定される。より具体的には、別段の指示がない限り、または本開示から別段明らかでない限り、その成長条件が確立され、したがって中心と縁部との間の所望の温度分布または温度プロファイルを確立する、基板34および基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60の中心および縁部の温度が設定されたものと仮定される。一例では、基板34および基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60の中心と縁部との間の所望の温度分布または温度プロファイルは、5℃以下、3℃以下、または1℃以下の範囲内に設定される。
【0079】
一例では、プロセス制御システム64は、1つまたは複数のポート26を介して送出されるプロセスガス14の流量を、基板34および基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60の中心および縁部の、(それぞれ高温計58によって決定される)温度、特に温度差に基づいて、基板34の中心と縁部との間の所望の温度分布または温度プロファイルを5℃以下、3℃以下、または1℃以下の範囲内に維持するように調整してよい。例えば、プラズマ56が、基板34または基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60の中心をその縁部よりも多く加熱している場合、プロセス制御システム64は、ポート26を介して送出されるプロセスガス14の流量を、中心の温度を低下させ、したがって中心と縁部との間の温度差を低減させ、または最小限に抑えるように、自動的に調整してよい(増加させてよい)。
【0080】
別の例では、プロセス制御システム64が、1つまたは複数の高温計58によって、基板34または基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60の中心がその縁部よりも低温であると判定した場合、プロセス制御システム64は、1つまたは複数のポート26を介して送出されるプロセスガス14の流量を、中心の温度を上昇させ、したがって中心と縁部との間の温度差を低減させ、または最小限に抑えるように、調整してよい(低減させてよい)。
【0081】
より具体的な一例では、プロセス制御システム64は、(1つまたは複数の高温計58によって)基板34または基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60の中心温度および縁部温度を連続的または周期的に監視し、前記監視された中心温度および縁部温度に応答して、1つまたは複数のポート26を介して送出されるプロセスガス14の流量を、中心と縁部との間の温度差を低減させ、または最小限に抑えるように、動的に調整または変更してよい。一例では、基板34および/または基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60の中心および/または縁部の温度のどんなシフトも元に戻すために、1つまたは複数のポート26を介して送出されるプロセスガス14は、ステップ関数または連続ランプ(continuous ramp)の形で変更されてよい(増加および/または減少させてよい)。
【0082】
以後、基板34または基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60に具体的に言及せずに、中心温度および縁部温度に言及する場合、基板34の、またダイアモンド膜60が基板34上に成長するときは成長しつつあるダイアモンド膜60の、中心温度および縁部温度として理解されたい。
【0083】
一般化した一例では、プロセスガス14の流量を低減させると、中心温度に比べて縁部温度が低下し、プロセスガス14の流量を増加させると、中心温度に比べて縁部温度が上昇する。より具体的には、プロセスガス14の流量を低減させると、中心温度および縁部温度が上昇するが、縁部温度のほうが、中心温度よりも小さな程度に上昇する。反対に、プロセスガス14の流量を増加させると、中心温度および縁部温度が低下するが、縁部温度のほうが、中心温度よりも小さな程度に低下する。
【0084】
さらに、送出されるマイクロ波電力の大きさを調整すると、基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60の中心の温度に影響を及ぼし得る。一例では、送出されるマイクロ波電力の大きさを低減させると、中心温度に比べて縁部温度が上昇し、送出されるマイクロ波電力の大きさを増加させると、中心温度に比べて縁部温度が低下する。より具体的には、送出されるマイクロ波電力の大きさを低減させると、縁部温度および中心温度が低下するが、縁部温度のほうが、中心温度よりも大きな程度に低下する。反対に、送出されるマイクロ波電力の大きさを増加させると、縁部温度および中心温度が上昇するが、縁部温度のほうが、中心温度よりも大きな程度に上昇する。
【0085】
別の例では、プロセス制御システム64は、(1つまたは複数の高温計58によって)中心温度および縁部温度を連続的また周期的に監視し、前記監視された中心温度および縁部温度に応答して、送出されるマイクロ波電力の大きさを、中心と縁部との間の温度差を低減させ、または最小限に抑えるように、動的に調整または変更してよい。
【0086】
2つの光高温計58の使用については上記で、基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60の中心および縁部の温度を測定する目的で説明している。しかしこれは、次に論じる理由のため、限定的な意味に解釈すべきではない。
【0087】
さらに別の例では、一旦、中心温度および縁部温度が確立され、したがって基板34および/または基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60の中心と縁部との間の温度分布またはプロファイルが確立されれば、中心(または縁部)の温度、したがって温度分布または温度プロファイルは、中心(または縁部)温度のみを監視および制御することによって一定または実質的に一定に維持され得ることが観察されている。この点に関して、(1)マイクロ波発生器6によって共振チャンバ4に送出されるマイクロ波電力のエネルギー、(2)プラズマチャンバ8の内側のガス圧、(3)プラズマチャンバ8に入るプロセスガス14の流量、(4)プロセスガス14を形成するガスの混合物、(5)プロセスガス14を形成するガスの組成百分率、(6)間隙38内の冷却ガス18の流量、(7)冷却ガス18を形成するガスの混合物、および(8)冷却ガス18を形成するガスの組成百分率、のうちの1つまたは複数のわずかな変更が、中心(または縁部)温度を変更すると同時に、中心と縁部との間の温度分布または温度プロファイルを一定または実質的に一定に維持し得ることが観察されている。
【0088】
一例では、基板34上でのダイアモンド膜60の成長の間に中心(または縁部)の温度が低下するとそれに応答して、プロセスガス14の流量を増加させることによって、中心(または縁部)の温度が一定または実質的に一定になるように制御され得、したがって中心と縁部との間の温度分布または温度プロファイルが一定または実質的に一定になるように制御され得る。本明細書では、温度または温度分布もしくは温度プロファイルは、摂氏温度単位で最高温度の±2%以内にある場合、「実質的に一定」である。
【0089】
一例では、プロセス制御システム64は、冷却ガス18を形成するガスの流量および/または組成百分率を、基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60のベースライン温度を変更するように調整してよい。一例では、冷却ガス18は、そのそれぞれが異なる圧力および温度において異なる熱伝導率を有する次のガス、H、He、Ar、およびNe、のうちの2つ以上の混合物から成る。したがって、特定の温度および圧力における冷却ガス18の熱伝導率は、冷却ガス18を形成するガスの混合百分率(percent mixture)に基づく。冷却ガス18を形成するガスの混合物を選択的に調整することによって、プロセス制御システム64は、冷却ガス18の熱伝導率、したがって基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60のベースライン温度を調整し得る。
【0090】
一例では、冷却ガス18の流量が、基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60のベースライン温度を調整するように調整されてよく、例えば、冷却ガス18の流量の高化が、ベースライン温度の低化に等しく、一方、冷却ガス18の流量の低化が、ベースライン温度の高化に等しい。言うまでもなく、ベースライン温度を制御するために、冷却ガス18を形成するガスの混合物の調整と冷却ガス18の流量の調整とを組み合わせることが、想定される。
【0091】
冷却ガス18の流量および/または熱伝導率の調整が、中心温度に比べて縁部温度をわずかな程度引き上げ、または引き下げ得ることが観察されている。一例では、冷却ガス18の流量および/または熱伝導率の調整が、主として、ダイアモンド膜60の経時的成長、プロセスガス14の流量の変化、および/または送出されるマイクロ波電力の変化など、他の変化に対する応答として、温度分布または温度プロファイル全体を温度の面で上方または下方にシフトさせるのに使用される。
【0092】
別の例では、中心温度および縁部温度、したがって、成長しつつあるダイアモンド膜60の温度分布または温度プロファイルを制御するために、(1)マイクロ波発生器6によって共振チャンバ4に送出されるマイクロ波電力のエネルギー、(2)プラズマチャンバ8の内側のガス圧、(3)プラズマチャンバ8に入るプロセスガス14の流量、(4)プロセスガス14を形成するガスの混合物、(5)プロセスガス14を形成するガスの組成百分率、(6)間隙38内の冷却ガス18の流量、(7)冷却ガス18を形成するガスの混合物、および(8)冷却ガス18を形成するガスの組成百分率、のうちの2つ以上が一斉に調整されてよい。
【0093】
一例では、プロセスガス14の流量を増加させるとそれに応答して、中心温度のほうが縁部温度よりもかなりの大きさだけ低下した状態で、縁部温度および中心温度が低下する。中心温度のほうが縁部温度よりもかなりの大きさだけ低下してしまうことを補償するために、例えば冷却ガスのAr分圧を引き上げることによって、冷却ガスの熱伝導率が低下されてよく、その結果、中心温度のほうが縁部温度よりもかなりの大きさだけ上昇した状態で、縁部温度および中心温度が上昇する。この例における、プロセスガス14の流量を増加させ、かつ冷却ガス18の熱伝導率を低下させることのもつ正味の効果は、実際の縁部温度および/または中心温度、ならびに成長しつつあるダイアモンド膜60の縁部と中心との間の温度分布または温度プロファイルの、効果的な制御を行うというものである。一例では、プロセスガス14の流量を増加させ、かつ冷却ガス18の熱伝導率を低下させることのもつ正味の効果は、プロセスガス14の流量を変更し、かつ冷却ガス18の熱伝導率を変更するにも関わらず、実際の縁部温度および中心温度を一定または実質的に一定に維持し、したがって、成長しつつあるダイアモンド膜60の縁部と中心との間の温度分布または温度プロファイルを一定または実質的に一定に維持するというものである。
【0094】
本明細書で説明する原理に従って図1に示す第1の例示的反応器2内で成長させたダイアモンド膜60は、基板全体にわたって90%を上回る、または95%を上回る、または97%を上回る、または99%を上回る厚さ均一性(測定された全ての点の標準偏差を平均厚さで割った商を1から引いたものとして定義される)を呈した。厚さ変動が小さいことにより、粗研磨時間が短縮して、ダイアモンド膜60の後成長製作におけるスループットが改善し得る。
【0095】
さらに、本明細書で説明する原理に従って図1に示す第1の例示的反応器2内で成長させた、成長させたままのダイアモンド膜60を、目視検査し、直径1mmから170mmの範囲の直径をもつサンプルを採取するためのサイトを選択した。選択されたサイトは、Nd−YAGレーザを使用して切断され、切断部品質についてさらに検査される。このサンプルを次いで、0から1.5フリンジの間の平坦度、および0nmから10nmの間の粗さを伴う所望の厚さに粗研磨および研磨した。このサンプルを次いで清浄にし、複屈折を含む材料特性について検査した。一例では、632.8nmの波長において測定されたサンプルの複屈折は、0から100nm/cmの間、0から80nm/cmの間、0から60nm/cmの間、0から40nm/cmの間、0から20nm/cmの間、0から10nm/cmの間、または0から5nm/cmの間であった。
【0096】
理解できるように、(本明細書で説明する原理に従って)MPCVDダイアモンド膜60成長サイクル全体を通じて、絶縁スペーサ52によって基板ホルダ36から離隔された基板34(または基板34上に成長しつつあるダイアモンド膜60)にわたる均一な温度分布を達成し維持することにより、小さな厚さ変動および空間的に均一な低複屈折を含む空間的に均一な特性をもつ、自立型多結晶ダイアモンド膜60がもたらされ得る。
【0097】
一例では、本明細書で説明する原理に従って成長させた自立型ダイアモンド膜60は、クラックフリーとなり得、120mm以上、または140mm以上、または160mm以上、または170mm以上の直径、および150μmから約3.3mmの間の厚さを有し得る。
【0098】
さらに、本明細書で説明する原理に従って成長させた自立型ダイアモンド膜60は、後成長処理の間に変形することが少なくなる低残留応力を呈し得る。本明細書で説明する原理に従って成長させた自立型ダイアモンド膜60は、70mmから160mmの間の直径および100μmから3.0mmの間の厚さをもつ、研磨した高品質光学窓の製作に使用され得る。
【0099】
図1に示す第1の例示的反応器内での基板34上でのダイアモンド膜60の成長の間、温度分布または温度プロファイルを中心と縁部との間で一定または実質的に一定になるように自動的に制御することによって、成長させたダイアモンド膜60が、例えば0から100nm/cmの間、または0から80nm/cmの間、または0から40nm/cmの間、または0から20nm/cmの間、または0から10nm/cmの間の低複屈折を有し得ることが観察された。
【0100】
電気的かつ熱的な絶縁スペーサ52の使用により、アークの可能性、したがってダイアモンド膜60の成長の間の基板34と基板ホルダ36との間のホットスポットが、回避または排除されるとともに、スペーサ52との物理的な接触を通じた熱損失(コールドスポット)が低減される。各スペーサ52の、基板34および基板ホルダ36と接触する部分(端部)は、基板34と基板ホルダ36とを間隙38によって離隔するのに使用されるスペーサにわたる±1μmの均一な厚さ変動を確実にするように研磨されてよい。
【0101】
以上、諸実施形態について、さまざまな例に即して説明してきた。他の当業者には、前述の例を読み理解すれば修正形態および改変形態が想到されるであろう。したがって、前述の例は本開示を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C