特許第6353990号(P6353990)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6353990
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】接着剤組成物、封止シート、及び封止体
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/35 20180101AFI20180625BHJP
   C09J 7/10 20180101ALI20180625BHJP
   C09J 7/20 20180101ALI20180625BHJP
   C09J 7/22 20180101ALI20180625BHJP
   C09J 7/28 20180101ALI20180625BHJP
   C09J 123/26 20060101ALI20180625BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20180625BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20180625BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20180625BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20180625BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20180625BHJP
   B32B 27/38 20060101ALI20180625BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20180625BHJP
   H01L 31/048 20140101ALI20180625BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20180625BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   C09J7/35
   C09J7/10
   C09J7/20
   C09J7/22
   C09J7/28
   C09J123/26
   C09J163/00
   C09J11/08
   C09J11/06
   B32B27/00 M
   B32B27/32 101
   B32B27/38
   G02F1/1339 505
   H01L31/04 560
   H05B33/14 A
   H05B33/04
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-561978(P2017-561978)
(86)(22)【出願日】2017年9月7日
(86)【国際出願番号】JP2017032359
【審査請求日】2018年3月19日
(31)【優先権主張番号】特願2016-174661(P2016-174661)
(32)【優先日】2016年9月7日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-107482(P2017-107482)
(32)【優先日】2017年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-107484(P2017-107484)
(32)【優先日】2017年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108419
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 治仁
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 健太
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 樹
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/031342(WO,A1)
【文献】 特開2013−120804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
B32B
G02F 1/1339
H01L 31/048
H01L 51/50
H05B 33/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の剥離フィルムと、これらの剥離フィルムに挟持された接着剤層とからなる封止シートであって、
前記接着剤層が、下記の(A)成分、及び(B)成分を含有する接着剤組成物であって、その固形分について貯蔵弾性率を測定したときに、23℃における貯蔵弾性率が0.1〜600MPaであり、80℃における貯蔵弾性率が0.1MPa以下であることを特徴とする接着剤組成物を用いて形成されたものである封止シート。
(A)成分:変性ポリオレフィン系樹脂
(B)成分:多官能エポキシ化合物
【請求項2】
剥離フィルム、ガスバリア性フィルム、及び、前記剥離フィルムとガスバリア性フィルムに挟持された接着剤層からなり、
前記接着剤層が、下記の(A)成分、及び(B)成分を含有する接着剤組成物であって、その固形分について貯蔵弾性率を測定したときに、23℃における貯蔵弾性率が0.1〜600MPaであり、80℃における貯蔵弾性率が0.1MPa以下であることを特徴とする接着剤組成物を用いて形成されたものである封止シート。
(A)成分:変性ポリオレフィン系樹脂
(B)成分:多官能エポキシ化合物
【請求項3】
前記(A)成分が、酸変性ポリオレフィン系樹脂である、請求項1又は2に記載の封止シート。
【請求項4】
前記(B)成分の含有量が、前記(A)成分100質量部に対して25〜200質量部である、請求項1〜3のいずれかに記載の封止シート。
【請求項5】
前記接着剤組成物が、さらに、下記の(C)成分を含有するものである、請求項1〜のいずれかに記載の封止シート。
(C)成分:軟化点が80℃以上の粘着付与剤。
【請求項6】
前記(C)成分の含有量が、前記(A)成分100質量部に対して1〜200質量部である、請求項5に記載の封止シート。
【請求項7】
前記接着剤組成物が、さらに、下記の(D)成分を含有するものである、請求項1〜のいずれかに記載の封止シート。
(D)成分:イミダゾール系硬化触媒
【請求項8】
前記(D)成分の含有量が、前記(A)成分100質量部に対して0.1〜10質量部である、請求項7に記載の封止シート。
【請求項9】
前記接着剤組成物が、さらに、下記の(E)成分を含有するものである、請求項1〜のいずれかに記載の封止シート。
(E)成分:シランカップリング剤
【請求項10】
前記(E)成分の含有量が、前記(A)成分100質量部に対して0.01〜10質量部である、請求項に記載の封止シート。
【請求項11】
前記2枚の剥離フィルムは異なる剥離力を有するものである、請求項1、3〜10のいずれかに記載の封止シート。
【請求項12】
剥離フィルムと、ガスバリア性フィルムと、前記剥離フィルムとガスバリア性フィルムに挟持された接着剤層とからなる封止シートを製造することに用いられる、請求項1、3〜11のいずれかに記載の封止シート。
【請求項13】
前記ガスバリア性フィルムが、金属箔、樹脂製フィルム、又は薄膜ガラスである、請求項2〜12のいずれかに記載の封止シート。
【請求項14】
接着剤層の厚みが5〜25μmである、請求項1〜13のいずれかに記載の封止シート。
【請求項15】
有機EL素子、有機ELディスプレイ素子、液晶ディスプレイ素子、及び太陽電池素子からなる群から選ばれる一種以上の被封止物を封止することに用いられる、請求項1〜14のいずれかに記載の封止シート。
【請求項16】
被封止物が、請求項1〜15のいずれかに記載の封止シートで封止されてなる封止体。
【請求項17】
前記被封止物が、有機EL素子、有機ELディスプレイ素子、液晶ディスプレイ素子、又は太陽電池素子である、請求項15に記載の封止体。
【請求項18】
前記接着剤層を被封止物上に重ねた後、加熱することにより、封止シートの接着剤層と被封止物を接着させる工程を含む、請求項16又は17に記載の封止体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状に成形し易く、かつ、凹凸追従性に優れる接着剤組成物、この接着剤組成物を用いて形成された、凹凸追従性に優れる接着剤層を有する封止シート、及び被封止物が前記封止シートで封止されてなる封止体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL素子は、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な発光素子として注目されている。
しかし、有機EL素子には、時間の経過とともに、発光輝度や発光効率、発光均一性等の発光特性が低下し易いという問題があった。
この発光特性の低下の問題の原因として、酸素や水分等が有機EL素子の内部に浸入し、電極や有機層を劣化させることが考えられた。そのため、封止材を用いて有機EL素子を封止し、酸素や水分の浸入を防ぐことが行われてきた。
また、封止材を用いて有機EL素子を封止する場合、有機EL素子の微小な隙間や凹凸を埋め込む必要があることから、従来、低い粘度を有する封止材の開発が行われてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、特定のエポキシ樹脂、特定のエポキシ樹脂硬化剤、特定のマイクロカプセル、及び特定量のフィラーを含む樹脂組成物であって、E型粘度計により測定される、25℃、2.5rpmにおける粘度が0.5〜50Pa・sである組成物が記載されている。
特許文献1には、液状エポキシ樹脂と液状のエポキシ樹脂硬化剤とを用い、かつ、フィラーの含有量を調整することで、低粘度で、高い耐湿性を有する硬化物を与える樹脂組成物が得られることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2012/014499号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の組成物は、低粘度であるため、凹凸追従性に優れる。しかしながら、この組成物は、硬化反応を行う前は流動性を有するものであるため、このものを用いて有機EL素子を封止する際は、ディスペンサー等の特別な塗工装置を用いる必要がある。
したがって、シート状に成形し易く、かつ、凹凸追従性に優れる接着剤組成物や、凹凸追従性に優れる接着剤層を有する封止シートが要望されていた。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、シート状に成形し易く、かつ、凹凸追従性に優れる接着剤組成物、この接着剤組成物を用いて形成された、凹凸追従性に優れる接着剤層を有する封止シート、及び被封止物が前記封止シートで封止されてなる封止体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、変性ポリオレフィン系樹脂及び多官能エポキシ化合物を含有する接着剤組成物であって、その固形分について貯蔵弾性率を測定したときに、23℃における貯蔵弾性率が0.1〜600MPaであり、80℃における貯蔵弾性率が0.1MPa以下である接着剤組成物は、シート状に成形し易く、かつ、凹凸追従性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして本発明によれば、下記(1)〜(9)の接着剤組成物、(10)〜(13)の封止シート、及び(14)、(15)の封止体、が提供される。
(1)下記の(A)成分、及び(B)成分を含有する接着剤組成物であって、その固形分について貯蔵弾性率を測定したときに、23℃における貯蔵弾性率が0.1〜600MPaであり、80℃における貯蔵弾性率が0.1MPa以下であることを特徴とする接着剤組成物。
(A)成分:変性ポリオレフィン系樹脂
(B)成分:多官能エポキシ化合物
(2)前記(A)成分が、酸変性ポリオレフィン系樹脂である、(1)に記載の接着剤組成物。
(3)前記(B)成分の含有量が、前記(A)成分100質量部に対して25〜200質量部である、(1)又は(2)に記載の接着剤組成物。
(4)さらに、下記の(C)成分を含有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の接着剤組成物。
(C)成分:軟化点が80℃以上の粘着付与剤
(5)前記(C)成分の含有量が、前記(A)成分100質量部に対して1〜200質量部である、(4)に記載の接着剤組成物。
(6)さらに、下記の(D)成分を含有する、(1)〜(5)のいずれかに記載の接着剤組成物。
(D)成分:イミダゾール系硬化触媒
(7)前記(D)成分の含有量が、前記(A)成分100質量部に対して1〜10質量部である、(6)に記載の接着剤組成物。
(8)さらに、下記の(E)成分を含有する、(1)〜(7)のいずれかに記載の接着剤組成物。
(E)成分:シランカップリング剤
(9)前記(E)成分の含有量が、前記(A)成分100質量部に対して0.01〜10質量部である、(8)に記載の接着剤組成物。
(10)2枚の剥離フィルムと、これらの剥離フィルムに挟持された接着剤層とからなる封止シートであって、前記接着剤層が、(1)〜(9)のいずれかに記載の接着剤組成物を用いて形成されたものである封止シート。
(11)剥離フィルム、ガスバリア性フィルム、及び、前記剥離フィルムとガスバリア性フィルムに挟持された接着剤層からなる封止シートであって、前記接着剤層が、(1)〜(9)のいずれかに記載の接着剤組成物を用いて形成されたものである封止シート。
(12)前記ガスバリア性フィルムが、金属箔、樹脂製フィルム、又は薄膜ガラスである(11)に記載の封止シート。
(13)接着剤層の厚みが5〜25μmである、(10)〜(12)のいずれかに記載の封止シート。
(14)被封止物が、(10)〜(13)のいずれかに記載の封止シートで封止されてなる封止体。
(15)前記被封止物が、有機EL素子、有機ELディスプレイ素子、液晶ディスプレイ素子、又は太陽電池素子である、(14)に記載の封止体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シート状に成形し易く、かつ、凹凸追従性に優れる接着剤組成物、この接着剤組成物を用いて形成された、凹凸追従性に優れる接着剤層を有する封止シート、及び被封止物が前記封止シートで封止されてなる封止体が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を、1)接着剤組成物、2)封止シート、及び、3)封止体、に項分けして詳細に説明する。
【0011】
1)接着剤組成物
本発明の接着剤組成物は、下記の(A)成分、及び(B)成分を含有する接着剤組成物であって、その固形分について貯蔵弾性率を測定したときに、23℃における貯蔵弾性率が0.1〜600MPaであり、80℃における貯蔵弾性率が0.1MPa以下であることを特徴とする。
(A)成分:変性ポリオレフィン系樹脂
(B)成分:多官能エポキシ化合物
【0012】
(A)成分:変性ポリオレフィン系樹脂
本発明の接着剤組成物は、(A)成分として、変性ポリオレフィン系樹脂を含有する。
本発明の接着剤組成物は、変性ポリオレフィン系樹脂を含有することで、接着強度に優れたものとなる。また、変性ポリオレフィン系樹脂を含有する接着剤組成物を用いることで、比較的薄い接着剤層を効率よく形成することができる。
【0013】
変性ポリオレフィン系樹脂は、官能基が導入されたポリオレフィン樹脂である。
ポリオレフィン樹脂は、オレフィン系単量体由来の繰り返し単位を含む重合体である。ポリオレフィン樹脂は、オレフィン系単量体由来の繰り返し単位の一種のみからなる単独重合体であっても、オレフィン系単量体由来の繰り返し単位の二種以上からなる共重合体であっても、オレフィン系単量体由来の繰り返し単位と、オレフィン系単量体と共重合可能な他の単量体(オレフィン系単量体以外の他の単量体)由来の繰り返し単位とからなる共重合体であってもよい。
【0014】
オレフィン系単量体としては、炭素数2〜8のα−オレフィンが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、又は1−ヘキセンがより好ましく、エチレン又はプロピレンがさらに好ましい。
オレフィン系単量体と共重合可能な他の単量体としては、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸の意味を表す(以下にて同じ)。
【0015】
ポリオレフィン樹脂としては、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、オレフィン系エラストマー(TPO)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
変性ポリオレフィン樹脂は、前駆体としてのポリオレフィン樹脂に、変性剤を用いて変性処理を施して得ることができる。
ポリオレフィン樹脂の変性処理に用いる変性剤は、分子内に、官能基、すなわち、後述する架橋反応に寄与し得る基を有する化合物である。
官能基としては、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、水酸基、エポキシ基、アミド基、アンモニウム基、ニトリル基、アミノ基、イミド基、イソシアネート基、アセチル基、チオール基、エーテル基、チオエーテル基、スルホン基、リン酸基、ニトロ基、ウレタン基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、水酸基、アンモニウム基、アミノ基、イミド基、イソシアネート基が好ましく、カルボン酸無水物基、アルコキシシリル基がより好ましく、カルボン酸無水物基が特に好ましい。
官能基を有する化合物は、分子内に2種以上の官能基を有していてもよい。
【0017】
変性ポリオレフィン系樹脂としては、酸変性ポリオレフィン系樹脂、シラン変性ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。なかでも、本発明のより優れた効果が得られる観点から、酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0018】
酸変性ポリオレフィン系樹脂とは、ポリオレフィン樹脂に対して酸でグラフト変性したものをいう。例えば、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸を反応させて、カルボキシル基を導入(グラフト変性)したものが挙げられる。なお、本明細書において、不飽和カルボン酸とは、カルボン酸無水物の概念を含み、カルボキシル基とは、カルボン酸無水物基の概念を含むものである。
【0019】
ポリオレフィン樹脂に反応させる不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸、アコニット酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物等が挙げられる。
これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、接着強度により優れる接着剤組成物が得られ易いことから、無水マレイン酸が好ましい。
【0020】
ポリオレフィン樹脂に反応させる不飽和カルボン酸の量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.2〜3質量部、さらに好ましくは0.2〜1.0質量部である。このようにして得られた酸変性ポリオレフィン系樹脂を含有する接着剤組成物は、接着強度により優れる。
【0021】
本発明においては、酸変性ポリオレフィン系樹脂として、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、アドマー(登録商標)(三井化学社製)、ユニストール(登録商標)(三井化学社製)、BondyRam(Polyram社製)、orevac(登録商標)(ARKEMA社製)、モディック(登録商標)(三菱化学社製)等が挙げられる。
【0022】
シラン変性ポリオレフィン系樹脂とは、ポリオレフィン樹脂に対して不飽和シラン化合物でグラフト変性したものをいう。シラン変性ポリオレフィン系樹脂は、主鎖であるポリオレフィン樹脂に不飽和シラン化合物がグラフト共重合した構造を有する。シラン変性ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されない。例えば、シラン変性ポリエチレン樹脂やシラン変性エチレン−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。なかでも、シラン変性低密度ポリエチレン、シラン変性超低密度ポリエチレン、シラン変性直鎖状低密度ポリエチレン等のシラン変性ポリエチレン樹脂が好ましい。
【0023】
上記ポリオレフィン樹脂に反応させる不飽和シラン化合物としては、ビニルシラン化合物が好ましい。ビニルシラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシラン等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和シラン化合物を主鎖であるポリオレフィン樹脂にグラフト重合させるときの条件は、公知のグラフト重合の常法を採用すればよい。
【0024】
ポリオレフィン樹脂に反応させる不飽和シラン化合物の量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、特に0.3〜7質量部であることが好ましく、さらには0.5〜5質量部であることが好ましい。反応させる不飽和シラン化合物の量が上記の範囲にあると、得られるシラン変性ポリオレフィン系樹脂を含有する接着剤組成物は、接着強度により優れるものとなる。
【0025】
本発明においては、シラン変性ポリオレフィン系樹脂として、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、リンクロン(登録商標)(三菱化学社製)等が挙げられ、中でも、低密度ポリエチレン系のリンクロン、直鎖状低密度ポリエチレン系のリンクロン、超低密度ポリエチレン系のリンクロン、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体系のリンクロンを好ましく使用することができる。
【0026】
変性ポリオレフィン系樹脂は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
変性ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量(Mn)は特に限定されないが、本発明のより優れた効果が得られる観点から、10,000〜2,000,000が好ましく、20,000〜1,500,000であることがより好ましい。
変性ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランを溶媒として用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィーを行い、標準ポリスチレン換算値として求めることができる。
【0028】
変性ポリオレフィン系樹脂の含有量は特に限定されないが、本発明のより優れた効果が得られる観点から、変性ポリオレフィン系樹脂と下記の(B)成分の合計量が、接着剤組成物の固形分を基準として、30質量%以上が好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
【0029】
(B)成分:多官能エポキシ化合物
本発明の接着剤組成物は、(B)成分として、多官能エポキシ化合物を含有する。
本発明の接着剤組成物は多官能エポキシ化合物を含有するため、硬化前の貯蔵弾性率が低いものとなる。また、多官能エポキシ化合物を含有する接着剤組成物の硬化物は水蒸気遮断性に優れる。
【0030】
多官能エポキシ化合物とは、分子内に少なくともエポキシ基を2つ以上有する化合物のことをいう。
【0031】
エポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂(例えばフェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂)、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、2,2−ビス(3−グリシジル−4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、ジメチロールトリシクロデカンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
これらの多官能エポキシ化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
本発明の接着剤組成物は、(B)成分として、25℃において液体である多官能エポキシ化合物(B1)を含有することが好ましい。(B)成分は、接着剤組成物が高温になったときに、接着剤組成物の貯蔵弾性率を低下させる効果(以下、「貯蔵弾性率低下効果」ということがある。)を有する。このため、本発明の接着剤組成物を用いることで、凹凸追従性に優れる接着剤層を効率よく形成することができる。
【0033】
25℃において液体である多官能エポキシ化合物(B1)の重量平均分子量の下限は、好ましくは500、より好ましくは700である。多官能エポキシ化合物の分子量の上限は、好ましくは3,700、より好ましくは3,400である。多官能エポキシ化合物(B1)の重量平均分子量が700以上の接着剤組成物を用いることで、より低アウトガス性の封止材を形成することができる。多官能エポキシ化合物(B1)の重量平均分子量が3,700以下の接着剤組成物は流動性により優れ、被封止物の表面の凹凸や被封止物の厚みにより生じる凹凸を十分に埋めることができる。
【0034】
25℃において液体である多官能エポキシ化合物(B1)のエポキシ当量は、好ましくは100g/eq以上500g/eq以下、より好ましくは150g/eq以上300g/eq以下である。多官能エポキシ化合物(B1)のエポキシ当量が100g/eq以上500g/eq以下の接着剤組成物を用いることで、より低アウトガス性の封止材を形成することができる。
【0035】
本発明の接着剤組成物は、(B)成分として、25℃において固体である多官能エポキシ化合物(B2)を含有していてもよい。
(B2)成分の多官能エポキシ化合物は、(B1)成分の多官能エポキシ化合物とは異なり、貯蔵弾性率低下効果をほとんど有しないと考えられる。一方で、接着剤組成物が(B2)成分を含有することで、接着剤層がシート形状を維持する性能が向上する。
このような傾向が存在する結果、(B2)成分は、(B1)成分と組み合わせて用いた場合、(B1)成分が有する貯蔵弾性率低下効果をさらに高めることができる。(B2)成分が存在することで、接着剤層のシート形状を維持する性能を保ちつつ、接着剤組成物中の(B)成分の含有量を増やすことができる。そのため、接着剤組成物中で(A)成分と(B)成分とで形成される相分離構造において、(B)成分の連続相の領域の割合が増加する。このような接着剤組成物から形成される接着剤層を昇温すると、(B)成分の連続相の領域が軟化するため、高い貯蔵弾性率低下効果が発現される。
したがって、本発明の接着剤組成物は、(B2)成分を含有するものが好ましく、(B1)成分と(B2)成分の両方を含有することがより好ましい。
【0036】
25℃において固体である多官能エポキシ化合物(B2)の重量平均分子量の下限は、好ましくは3,800、より好ましくは4,000である。多官能エポキシ化合物(B2)の重量平均分子量の上限は、好ましくは8,000、より好ましくは7,000である。多官能エポキシ化合物(B2)の重量平均分子量が3,800以上の接着剤組成物を用いることで、より接着剤層のシート形状が維持されやすい。
【0037】
25℃において固体である多官能エポキシ化合物(B2)のエポキシ当量は、好ましくは600g/eq以上6,000g/eq以下、より好ましくは700g/eq以上5,500g/eq以下である。多官能エポキシ化合物(B2)のエポキシ当量が600g/eq以上6,000g/eq以下の接着剤組成物を用いることで、より接着剤層のシート形状が維持されやすい。
【0038】
本発明の接着剤組成物中における(B)成分である多官能エポキシ化合物の含有量は、前記(A)成分100質量部に対して、好ましくは25〜200質量部、より好ましくは50〜150質量部である。多官能エポキシ化合物の含有量がこの範囲内にある接着剤組成物の硬化物は水蒸気遮断性により優れる。
【0039】
本発明の接着剤組成物が(B1)成分および(B2)成分の両方を含有する場合、(B1)成分と(B2)成分の含有割合(質量比)は、〔(B1)成分:(B2)成分〕=100:1〜1:1であることが好ましく、10:1〜2:1であることがより好ましい。
(B1)成分に対する(B2)成分の量が増えるに従って、接着剤組成物をシート状に成形したときに一定の形状が保たれ易くなる傾向がある。
【0040】
本発明の接着剤組成物は、前記(A)成分、(B)成分以外の成分を含有してもよい。
(A)成分、(B)成分以外の成分としては、下記(C)成分、(D)成分、及び(E)成分が挙げられる。
(C)成分:軟化点が80℃以上の粘着付与剤
(D)成分:イミダゾール系硬化触媒
(E)成分:シランカップリング剤
【0041】
(C)成分:軟化点が80℃以上の粘着付与剤
上記のように、(A)成分及び(B)成分を含有する接着剤組成物は、硬化前の貯蔵弾性率が低く、凹凸追従性に優れる。しかしながら、そのような接着剤組成物は、一定の形状を保ちにくく、シート状に成形するのが困難な場合がある。このようなときは、(C)成分を含有することで、成形性を改善することができる。
【0042】
粘着付与剤としては、重合ロジン、重合ロジンエステル、ロジン誘導体等のロジン系樹脂;ポリテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂及びその水素化物、テルペンフェノール樹脂等のテルペン系樹脂;クマロン・インデン樹脂;脂肪族石油系樹脂、芳香族系石油樹脂及びその水素化物、脂肪族/芳香族共重合体石油樹脂等の石油樹脂;スチレン又は置換スチレンの低分子量重合体;α−メチルスチレン単一重合系樹脂、α−メチルスチレン/スチレン共重合系樹脂、スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合系樹脂、スチレン系モノマー/α−メチルスチレン/脂肪族系モノマー共重合系樹脂、スチレン系モノマー単一重合系樹脂、スチレン系モノマー/芳香族系モノマー共重合系樹脂等のスチレン系樹脂;等が挙げられる。これらの中でも、スチレン系樹脂が好ましく、スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合系樹脂がより好ましい。
これらの粘着付与剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
粘着付与剤の軟化点は80℃以上である。粘着付与剤の軟化点が80℃以上であることで、高温時における粘着性に優れる接着剤組成物が得られる。また、接着剤組成物をシート状に成形する際の作業性が向上する。
【0044】
本発明の接着剤組成物が、(C)成分である軟化点が80℃以上の粘着付与剤を含有する場合、その含有量は、前記(A)成分100質量部に対して、好ましくは1〜200質量部、より好ましくは10〜150質量部である。軟化点が80℃以上の粘着付与剤が少な過ぎると、接着剤組成物をシート状に成形することが困難になるおそれがある。一方、軟化点が80℃以上の粘着付与剤が多過ぎると、接着剤層が脆くなるおそれがある。
【0045】
(D)成分:イミダゾール系硬化触媒
イミダゾール系硬化触媒は、イミダゾール骨格を有する化合物であって、接着剤組成物の硬化反応を触媒する作用を有するものである。
イミダゾール系硬化触媒としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。これらの中でも、2−エチル−4−メチルイミダゾールが好ましい。
これらのイミダゾール系硬化触媒は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
本発明の接着剤組成物がイミダゾール系硬化触媒を含有する場合、その含有量は、前記(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.2〜5質量部である。イミダゾール系硬化触媒の含有量がこの範囲内にある接着剤組成物の硬化物は高温時においても優れた接着性を有する。
【0047】
(E)成分:シランカップリング剤
シランカップリング剤は、分子内に有機材料と反応結合する官能基、および無機材料と反応結合する官能基(加水分解性基)を同時に有する有機ケイ素化合物である。
シランカップリング剤としては、公知のシランカップリング剤を用いることができ、なかでも、分子内にアルコキシシリル基を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物が好ましい。
【0048】
シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物;3−クロロプロピルトリメトキシシラン;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン;等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
シランカップリング剤を含有する接着剤組成物を用いることで、常温(15℃〜30℃)及び高温(40℃〜100℃)環境下における接着強度により優れた硬化物が得られ易くなる。
【0050】
本発明の接着剤組成物がシランカップリング剤を含有する場合、接着強度にさらに優れた硬化物が得られる観点から、その含有量は、前記(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.02〜5質量部である。
【0051】
本発明の接着剤組成物は、溶媒を含有してもよい。
溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
これらの溶媒は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶媒の含有量は、塗工性等を考慮して適宜決定することができる。
【0052】
本発明の接着剤組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、紫外線吸収剤、帯電防止剤、光安定剤、酸化防止剤、樹脂安定剤、充填剤、顔料、増量剤、軟化剤等の添加剤が挙げられる。
これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の接着剤組成物がこれらの添加剤を含有する場合、その含有量は、目的に合わせて適宜決定することができる。
【0053】
本発明の接着剤組成物は、所定の成分を、常法に従って適宜混合・攪拌することにより調製することができる。
【0054】
本発明の接着剤組成物は、その固形分について貯蔵弾性率を測定したときに、23℃における貯蔵弾性率が0.1〜600MPaであり、0.2〜500MPaが好ましく、0.2〜100MPaがより好ましい。
23℃における貯蔵弾性率が0.1MPa以下の接着剤組成物は、シート状に成形するのが困難である。一方、23℃における貯蔵弾性率が600MPaを超える接着剤組成物を用いて形成された接着剤層は脆くなる傾向があり、封止性に劣る。
本明細書において、固形分とは、接着剤組成物から溶剤等の揮発する成分を除いた固形部分をいう。
【0055】
本発明の接着剤組成物は、その固形分について貯蔵弾性率を測定したときに、80℃における貯蔵弾性率の上限は0.1MPa、好ましくは0.05MPaである。80℃における貯蔵弾性率が0.1MPa以下である接着剤組成物は、凹凸追従性に優れる。
また、80℃における貯蔵弾性率の下限は1kPaが好ましく、5kPaがより好ましい。80℃における貯蔵弾性率が1kPa以上である接着剤組成物は、ハンドリング性により優れる。
【0056】
本発明の接着剤組成物の固形分の貯蔵弾性率は、例えば、本発明の接着剤組成物を塗工し、乾燥させることにより得られるシート状接着剤を試験片として用いて、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0057】
上記の特性を有する接着剤組成物は、(B)成分の量や、必要に応じて用いられる(C)成分の量を最適化することにより効率よく得ることができる。
具体的には、(B)成分を加えることで、23℃及び80℃における貯蔵弾性率は低下する傾向がある。一方、(B)成分を加えすぎると、シート状に成形するのが困難になる。この場合、適量の(C)成分を加えると、成形性が向上するとともに、80℃における貯蔵弾性率を低下させることができる。
【0058】
本発明の接着剤組成物は、シート状に成形し易く、かつ、凹凸追従性に優れる。このため、本発明の接着剤組成物は、封止材を形成する際に好適に用いられる。
【0059】
2)封止シート
本発明の封止シートは、下記の封止シート(α)又は封止シート(β)である。
封止シート(α):2枚の剥離フィルムと、これらの剥離フィルムに挟持された接着剤層とからなる封止シートであって、前記接着剤層が、本発明の接着剤組成物を用いて形成されたものであることを特徴とするもの
封止シート(β):剥離フィルムと、ガスバリア性フィルムと、前記剥離フィルムと前記ガスバリア性フィルムに挟持された接着剤層とからなる封止シートであって、前記接着剤層が、本発明の接着剤組成物を用いて形成されたものであることを特徴とするもの
なお、これらの封止シートは使用前の状態を表したものであり、本発明の封止シートを使用する際は、通常、剥離フィルムは剥離除去される。
【0060】
〔封止シート(α)〕
封止シート(α)を構成する剥離フィルムは、封止シート(α)の製造工程においては支持体として機能するとともに、封止シート(α)を使用するまでの間は、接着剤層の保護シートとして機能する。
【0061】
剥離フィルムとしては、従来公知のものを利用することができる。例えば、剥離フィルム用の基材上に、剥離剤により剥離処理された剥離層を有するものが挙げられる。
剥離フィルム用の基材としては、グラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材;これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のプラスチックフィルム;等が挙げられる。
剥離剤としては、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
【0062】
封止シート(α)における2枚の剥離フィルム同士は同一であっても、異なっていてもよいが、2枚の剥離フィルムは異なる剥離力を有するものが好ましい。2枚の剥離フィルムの剥離力を異なるようにすることで、最初に剥離フィルムを剥離する工程をより効率よく行うことができる。
【0063】
封止シート(α)の接着剤層の厚みは特に限定されないが、5〜25μmであることが好ましく、10〜20μmであることがより好ましい。
このように接着剤層は非常に薄いものであるが、この接着剤層は本発明の接着剤組成物により形成されるものであるため、凹凸追従性に優れ、被着体の凹凸を十分に埋めることができる。
【0064】
封止シート(α)の接着剤層は熱硬化性を有するものが好ましい。熱硬化性を有する接着剤層は、硬化後において、接着強度に極めて優れる。
接着剤層を熱硬化させる際の条件は特に限定されない。
加熱温度は、通常、80〜200℃、好ましくは90〜150℃である。
加熱時間は、通常、30分から12時間、好ましくは1〜6時間である。
【0065】
硬化処理後の接着剤層の23℃における引き剥がし接着強度は、通常、1〜100N/25mm、好ましくは、10〜50N/25mmであり、85℃における引き剥がし接着強度は、通常、1〜100N/25mm、好ましくは、5〜50N/25mmである。
硬化処理後の接着剤層の水蒸気透過率は、通常、0.1〜200g/m/day、好ましくは1〜150g/m/dayである。
【0066】
封止シート(α)の製造方法は特に限定されない。例えば、公知のキャスト法を用いて、封止シート(α)を製造することができる。より具体的には、公知の方法を用いて、本発明の接着剤組成物を剥離フィルムの剥離処理面に塗工し、得られた塗膜を乾燥することで、剥離フィルム付接着剤層を製造し、次いで、もう1枚の剥離フィルムを接着剤層上に重ねることで、封止シート(α)を得ることができる。
【0067】
接着剤組成物を塗工する方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
塗膜を乾燥するときの乾燥条件は特に限定されない。例えば、乾燥温度が80〜150℃、乾燥時間が30秒から5分間である。
【0068】
〔封止シート(β)〕
封止シート(β)を構成する剥離フィルムと接着剤層は、それぞれ、封止シート(α)を構成する剥離フィルムと接着剤層として示したものと同様のものが挙げられる。
封止シート(β)を構成するガスバリア性フィルムは、水分遮断性を有するフィルムであれば特に限定されない。
【0069】
ガスバリア性フィルムは、温度40℃、相対湿度90%(以下、「90%RH」と略記する。)の環境下における水蒸気透過率が0.1g/m/day以下であることが好ましく、0.05g/m/day以下であることがより好ましく、0.005g/m/day以下であることがさらに好ましい。
ガスバリア性フィルムの温度40℃、90%RHの環境下における水蒸気透過率が0.1g/m/day以下であることで、透明基板上に形成された有機EL素子等の素子内部に酸素や水分等が浸入し、電極や有機層が劣化することを効果的に抑制することができる。
ガスバリア性フィルムの水蒸気等の透過率は、公知のガス透過率測定装置を使用して測定することができる。
【0070】
ガスバリア性フィルムとしては、金属箔、薄膜ガラス、樹脂製フィルム等が挙げられる。これらの中でも、樹脂製フィルムが好ましく、基材とガスバリア層とを有するガスバリア性フィルムがより好ましい。
【0071】
金属箔の金属としては、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属材料;ステンレス又はアルミニウム合金等の合金材料;等が挙げられる。
【0072】
薄膜ガラスの成分・組成は特に限定されないが、より安定なフレキシブル性が得られる点で、無アルカリのホウケイ酸ガラスが好ましい。
薄膜ガラスは、薄膜ガラスを単体として用いてもよいが、アルミ箔等の金属箔や樹脂フィルムを、薄膜ガラスに積層あるいはラミネートしたものを用いてもよい。
また、薄膜ガラスとしては、厚みが10〜200μm程度のフレキシブル性を有するものが好ましい。
【0073】
ガスバリア性フィルムの基材を構成する樹脂成分としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族系重合体、ポリウレタン系ポリマー等が挙げられる。
基材の厚みは、特に制限はないが、取り扱い易さの観点から、好ましくは0.5〜500μm、より好ましくは1〜200μm、さらに好ましくは5〜100μmである。
【0074】
ガスバリア層は、所望のガスバリア性を付与することができれば、材質等は特に限定されない。ガスバリア層としては、無機膜や、高分子化合物を含む層に改質処理を施して得られる層等が挙げられる。
【0075】
これらの中でも、厚みが薄く、ガスバリア性に優れる層を効率よく形成できることから、ガスバリア層は、無機膜からなるガスバリア層、及び高分子化合物を含む層に改質処理を施して得られるガスバリア層が好ましい。
【0076】
無機膜としては、特に制限されず、例えば、無機蒸着膜が挙げられる。
無機蒸着膜としては、無機化合物や金属の蒸着膜が挙げられる。
無機化合物の蒸着膜の原料としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等の無機酸化物;窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン等の無機窒化物;無機炭化物;無機硫化物;酸化窒化ケイ素等の無機酸化窒化物;無機酸化炭化物;無機窒化炭化物;無機酸化窒化炭化物等が挙げられる。
金属の蒸着膜の原料としては、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、及びスズ等が挙げられる。
【0077】
無機膜の形成方法としては、真空蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、ラミネート法、プラズマ気相成長法(CVD法)などが挙げられる。
無機膜の厚みは、無機材料の種類や構成により適宜選択されるが、好ましくは、1〜500nm、より好ましくは、2〜300nmである。
【0078】
高分子化合物を含む層(以下、「高分子層」ということがある)にイオン注入して得られるガスバリア層において、用いる高分子化合物としては、ポリオルガノシロキサン、ポリシラザン系化合物等のケイ素含有高分子化合物、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族系重合体等が挙げられる。これらの高分子化合物は1種単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。
これらの中でも、優れたガスバリア性を有するガスバリア層を形成できる観点から、ケイ素含有高分子化合物が好ましく、ポリシラザン系化合物がより好ましい。
【0079】
ポリシラザン系化合物は、分子内に−Si−N−結合(シラザン結合)を含む繰り返し単位を有する高分子化合物である。具体的には、式(1)
【0080】
【化1】
【0081】
で表される繰り返し単位を有する化合物が好ましい。また、用いるポリシラザン系化合物の数平均分子量は、特に限定されないが、100〜50,000であるのが好ましい。
【0082】
前記式(1)中、nは任意の自然数を表す。
Rx、Ry、Rzは、それぞれ独立して、水素原子、無置換若しくは置換基を有するアルキル基、無置換若しくは置換基を有するシクロアルキル基、無置換若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換若しくは置換基を有するアリール基又はアルキルシリル基等の非加水分解性基を表す。これらの中でも、Rx、Ry、Rzとしては、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。前記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリシラザン系化合物としては、Rx、Ry、Rzが全て水素原子である無機ポリシラザン、Rx、Ry、Rzの少なくとも1つが水素原子ではない有機ポリシラザンのいずれであってもよい。
【0083】
ポリシラザン系化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、ポリシラザン系化合物として、ポリシラザン変性物を用いることもできる。また、本発明においては、ポリシラザン系化合物としては、ガラスコーティング材等として市販されている市販品をそのまま使用することもできる。
【0084】
前記高分子層は、上述した高分子化合物の他に、本発明の目的を阻害しない範囲で他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、硬化剤、他の高分子、老化防止剤、光安定剤、難燃剤等が挙げられる。
高分子層中の高分子化合物の含有量は、より優れたガスバリア性を有するガスバリア層が得られることから、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
【0085】
高分子層の厚みは特に制限されないが、好ましくは50〜300nm、より好ましくは50〜200nmの範囲である。
本発明においては、高分子層の厚みがナノオーダーであっても、充分なガスバリア性を有する封止シートを得ることができる。
【0086】
高分子層を形成する方法としては、例えば、高分子化合物の少なくとも1種、所望により他の成分、及び溶剤等を含有する層形成用溶液を、スピンコーター、ナイフコーター、グラビアコーター等の公知の装置を使用し、塗布し、得られた塗膜を適度に乾燥して形成する方法が挙げられる。
【0087】
高分子層の改質処理としては、イオン注入処理、プラズマ処理、放射線照射処理、熱処理等が挙げられ。高分子層の結合構造を変化させる処理が好ましい。これらの処理は、1種類を単独で行うこともできるが、2種類以上を組み合わせて行うこともできる。
イオン注入処理は、後述するように、高分子層にイオンを注入して、高分子層を改質する方法である。
プラズマ処理は、高分子層をプラズマ中に晒して、高分子層を改質する方法である。例えば、特開2012−106421号公報に記載の方法に従って、プラズマ処理を行うことができる。
放射線照射処理は、高分子層に放射線を照射して高分子層を改質する方法である。放射線は、高分子層の結合構造を変化させる効果の高い短波長のものが好ましく、紫外線、特に真空紫外光を用いることが好ましい。例えば、特開2013−226757号公報に記載の方法に従って、真空紫外光改質処理を行うことができる。
これらの中でも、高分子層の表面を荒らすことなく、その内部まで効率よく改質し、よりガスバリア性に優れるガスバリア層を形成できることから、イオン注入処理が好ましい。
【0088】
高分子層に注入されるイオンとしては、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスのイオン;フルオロカーボン、水素、窒素、酸素、二酸化炭素、塩素、フッ素、硫黄等のイオン;
メタン、エタン等のアルカン系ガス類のイオン;エチレン、プロピレン等のアルケン系ガス類のイオン;ペンタジエン、ブタジエン等のアルカジエン系ガス類のイオン;アセチレン等のアルキン系ガス類のイオン;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系ガス類のイオン;シクロプロパン等のシクロアルカン系ガス類のイオン;シクロペンテン等のシクロアルケン系ガス類のイオン;金属のイオン;有機ケイ素化合物のイオン;等が挙げられる。
これらのイオンは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、より簡便にイオンを注入することができ、特に優れたガスバリア性を有するガスバリア層が得られることから、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスのイオンが好ましい。
【0089】
イオンを注入する方法としては、特に限定されない。例えば、電界により加速されたイオン(イオンビーム)を照射する方法、プラズマ中のイオン(プラズマ生成ガスのイオン)を注入する方法等が挙げられ、簡便にガスバリア層が得られることから、後者のプラズマイオンを注入する方法が好ましい。プラズマイオン注入法は、例えば、プラズマ生成ガスを含む雰囲気下でプラズマを発生させ、イオンを注入する層に負の高電圧パルスを印加することにより、該プラズマ中のイオン(陽イオン)を、イオンを注入する層の表面部に注入して行うことができる。
【0090】
封止シート(β)の製造方法は特に限定されない。例えば、先に説明した封止シート(α)の製造方法において、剥離フィルムの1枚をガスバリア性フィルムに置き換えることで封止シート(β)を製造することができる。
また、封止シート(α)を製造した後、その1枚の剥離フィルムを剥離し、露出した接着剤層とガスバリア性フィルムとを貼着することにより、封止シート(β)を製造することもできる。この場合、封止シート(α)が、異なる剥離力を有する2枚の剥離フィルムを有する場合には、取扱い性の観点から、剥離力の小さい方の剥離フィルムを剥離するのが好ましい。
【0091】
上記のように、本発明の封止シートの接着剤層は、凹凸追従性に優れる。このため、接着剤層が薄くても、被封止物の表面の凹凸や被封止物の厚みにより生じる凹凸を十分に埋めることができる。例えば、被封止物の表面の凹凸や被封止物の厚みにより生じる凹凸が10μmである場合に、接着剤層の厚みが1倍超(10μm超)、2倍以下(20μm以下)であっても、本発明の封止シートであれば、これを埋めることが容易である。
【0092】
3)封止体
本発明の封止体は、被封止物が、本発明の封止シートで封止されてなるものである。
本発明の封止体としては、例えば、透明基板と、該透明基板上に形成された素子(被封止物)と、該素子を封止するための封止材とを備えるものであって、前記封止材が、本発明の封止シートの接着剤層であるものが挙げられる。
【0093】
透明基板は、特に限定されるものではなく、種々の基板材料を用いることができる。特に可視光の透過率が高い基板材料を用いることが好ましい。また、素子外部から浸入しようとする水分やガスを阻止する遮断性能が高く、耐溶剤性や耐候性に優れている材料が好ましい。具体的には、石英やガラスなどの透明無機材料;ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化ビニリデン、アセチルセルロース、ブロム化フェノキシ、アラミド類、ポリイミド類、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリスルホン類、ポリオレフィン類などの透明プラスチック、前述したガスバリア性フィルム;が挙げられる。
透明基板の厚さは特に制限されず、光の透過率や、素子内外を遮断する性能を勘案して、適宜選択することができる。
【0094】
被封止物としては、有機EL素子、有機ELディスプレイ素子、液晶ディスプレイ素子、太陽電池素子等が挙げられる。
【0095】
本発明の封止体の製造方法は特に限定されない。例えば、本発明の封止シートの接着剤層を被封止物上に重ねた後、加熱することにより、封止シートの接着剤層と被封止物を接着させる。
次いで、この接着剤層を硬化させることにより、本発明の封止体を製造することができる。
【0096】
封止シートの接着剤層と被封止物を接着させる際の接着条件は特に限定されない。接着温度は、例えば、23〜100℃、好ましくは40〜80℃である。この接着処理は、加圧しながら行ってもよい。
接着剤層を硬化させる際の硬化条件としては、先に説明した条件を利用することができる。
【0097】
本発明の封止体は、被封止物が、本発明の封止シートで封止されてなるものである。
したがって、本発明の封止体においては、長期にわたって被封止物の性能が維持される。
【実施例】
【0098】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例になんら限定されるものではない。
各例中の部及び%は、特に断りのない限り、質量基準である。また、変性ポリオレフィン系樹脂及び多官能エポキシ化合物の重量平均分子量(Mw)は、以下の方法により測定した値である。
<変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量(Mw)>
変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC−8320」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレンの重量平均分子量に換算した値を用いた。
(測定条件)
・測定試料:変性ポリオレフィン系樹脂濃度1質量%のテトラヒドロフラン溶液
・カラム:「TSK gel Super HM−H」を2本、「TSK gel Super H2000」を1本(いずれも東ソー株式会社製)、順次連結したもの
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:0.60mL/min
<多官能エポキシ化合物の重量平均分子量(Mw)>
多官能エポキシ化合物の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC−8320」)を用いて、下記の条件下で測定し、複数観察されるピークのうち、面積が最大であるもののピークトップの保持時間に対応する標準ポリスチレンの重量平均分子量に換算したものである。
(測定条件)
・測定試料:多官能エポキシ化合物濃度1質量%のテトラヒドロフラン溶液
・カラム:「TSK gel Super HM−H」を2本、「TSK gel Super H2000」を1本(いずれも東ソー株式会社製)、順次連結したもの
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:0.60mL/min
【0099】
〔実施例1〕
酸変性ポリオレフィン系樹脂(α−オレフィン重合体、三井化学社製、商品名:ユニストールH−200、重量平均分子量:52,000)100部、多官能エポキシ化合物(1)(水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、共栄社化学社製、商品名:エポライト4000、25℃において液体、エポキシ当量215〜245g/eq、重量平均分子量:800)100部、粘着付与剤(スチレン系モノマー脂肪族系モノマー共重合体、軟化点95℃、三井化学社製、商品名:FTR6100)50部、及び、イミダゾール系硬化触媒(四国化成社製、商品名:キュアゾール2E4MZ、2−エチル−4−メチルイミダゾール)1部をメチルエチルケトンに溶解し、固形分濃度30%の接着剤組成物1を調製した。
この接着剤組成物1を剥離フィルム(リンテック社製、商品名:SP−PET382150)の剥離処理面上に塗工し、得られた塗膜を100℃で2分間乾燥し、厚みが12μmの接着剤層を形成し、その上に、もう1枚の剥離フィルム(リンテック社製、商品名:SP−PET381031)の剥離処理面を貼り合わせて封止シート1を得た。
【0100】
〔実施例2〕
実施例1において、多官能エポキシ化合物として、多官能エポキシ化合物(2)(ADEKA社製、商品名:アデカレジン、EP−4080E、25℃において液体、エポキシ当量215g/eq、重量平均分子量:800)を使用したことを除き、実施例1と同様にして封止シート2を得た。
【0101】
〔実施例3〕
実施例1において、多官能エポキシ化合物として、多官能エポキシ化合物(3)(三菱化学社製、商品名:YX8000、25℃において液体、エポキシ当量205g/eq、重量平均分子量:1,400)を使用したことを除き、実施例1と同様にして封止シート3を得た。
【0102】
〔実施例4〕
実施例1において、多官能エポキシ化合物として、多官能エポキシ化合物(4)(三菱化学社製、商品名:YX8034、25℃において液体、エポキシ当量270g/eq、重量平均分子量:3,200)を使用したことを除き、実施例1と同様にして封止シート4を得た。
【0103】
〔実施例5〕
第1表に記載の配合量に変更したことを除き、実施例1と同様にして封止シート5を得た。
【0104】
〔実施例6〕
酸変性ポリオレフィン系樹脂(酸変性α−オレフィン重合体、三井化学社製、商品名:ユニストールH−200、重量平均分子量:52,000)100部、多官能エポキシ化合物(3)100部、多官能エポキシ化合物(5)(水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学社製、商品名:YX8040、25℃において固体、エポキシ当量:1100g/eq、重量平均分子量:4,200)25部、イミダゾール系硬化触媒(四国化成社製、商品名:キュアゾール2E4MZ、2−エチル−4−メチルイミダゾール)1部、及び、シランカップリング剤(信越化学工業社製、商品名:KBM4803)0.1部をメチルエチルケトンに溶解し、固形分濃度25%の接着剤組成物2を調製した。
この接着剤組成物2を剥離フィルム(リンテック社製、商品名:SP−PET382150)の剥離処理面上に塗工し、得られた塗膜を100℃で2分間乾燥し、厚みが12μmの接着剤層を形成し、その上に、もう1枚の剥離フィルム(リンテック社製、商品名:SP−PET381031)の剥離処理面を貼り合わせて封止シート6を得た。
【0105】
〔比較例1〕
変性ポリオレフィン系樹脂(α−オレフィン重合体、三井化学社製、商品名:ユニストールH−200、数平均分子量:47,000)のみを用いて、封止シート7を作製した。
【0106】
〔比較例2〕
第1表に記載の配合量に変更したことを除き、実施例1と同様にして封止シート8を得た。
【0107】
実施例1〜6、比較例1、2で得た封止シート1〜8について、以下の試験を行った。
〔貯蔵弾性率の測定〕
実施例又は比較例で得た封止シートの接着剤層を重ねて、ヒートラミネーターを用いて60℃で加熱し、厚み1mmの積層体を得た。この積層体をサンプルとして用いて、Anton Paar社製の測定装置(Physica MCR301)により、周波数1Hz、23〜150℃の温度範囲で硬化前の接着剤層の貯蔵弾性率を測定した。
23℃、80℃における貯蔵弾性率を第1表に示す。
【0108】
〔凹凸埋め込み性評価〕
【0109】
実施例又は比較例で得た封止シートの接着剤層と厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを重ね、PET付き接着剤層を得た。
一方で、ガラス基板上に厚み10μmのポリエチレンテレフタレートの小片(疑似デバイス)を静置した。ガラス基板上の疑似デバイスが完全に覆われるように、PET付き接着剤層をガラス基板に重ね、ヒートラミネーターを用いて80℃で封止し、次いで80℃、0.5MPaの環境下で20分間加圧処理を施し、さらに、100℃、2時間の条件で硬化させた。
このものを光学顕微鏡で観察し、凹凸に対する浮きの有無を調べ、凹凸埋め込み性を以下の基準で評価した。
○:浮きが無い。
×:浮きがある。
評価結果を第1表に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
第1表から以下のことがわかる。
実施例1〜6の封止シートは、凹凸埋め込み性に優れる。
一方、比較例1、2の封止シートは、80℃における貯蔵弾性率が大きく、凹凸埋め込み性に劣っている。
【要約】
本発明は、(A)成分:変性ポリオレフィン系樹脂、及び(B)成分:多官能エポキシ化合物を含有する接着剤組成物であって、その固形分について貯蔵弾性率を測定したときに、23℃における貯蔵弾性率が0.1〜600MPaであり、80℃における貯蔵弾性率が0.1MPa以下であることを特徴とする接着剤組成物、この接着剤組成物を用いて形成された接着剤層を有する封止シート、及び被封止物が前記封止シートで封止されてなる封止体である。本発明によれば、シート状に成形し易く、かつ、凹凸追従性に優れる接着剤組成物、この接着剤組成物を用いて形成された、凹凸追従性に優れる接着剤層を有する封止シート、及び被封止物が前記封止シートで封止されてなる封止体が提供される。