(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持部材が複数個に分割され、分割された前記保持部材の1個当たりの長さは、前記表示パネルの外周縁の長さの1/50以上で、1/12以下の長さである、請求項1記載の表示装置。
前記表示パネルを前記対象物に密着させる際に、前記表示パネルを、前記保持部材の近傍から、前記保持部材と反対の方向に向って順次加圧する、請求項7に記載の取付方法。
前記対象物が自動車のフロントガラスであり、請求項4〜9のいずれか1項に記載の表示パネルの取付方法を用いて、前記フロントガラスに前記表示パネルを取付ける方法において、
前記表示パネルを所定の位置に密着させた後に、前記自動車の車室の天井部に配置されたコネクタと、前記表示パネルに接続された可撓性の配線板とを接続し、前記コネクタを覆う内装材を前記天井部に取付けることをさらに含む、自動車のフロントガラスに表示パネルを取付ける方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の表示パネルの取付方法及び自動車のフロントガラスに表示パネルを取付ける方法、並びにそのように取り付けられた表示装置の実施形態が説明される。なお、以下に説明される実施形態における各構成要素の材質、形状、大きさ、及び、それらの相対的な位置関係などは、あくまで例示に過ぎない。本発明の表示パネルの取付方法及び表示装置は、これらによって限定的に解釈されるものではない。
【0011】
本発明の第1実施形態の表示装置は、
図1A〜1Cに平面図と断面図が示されるように、平面又は曲面を有する対象物5と、周縁部のいずれかに凹部3a及び凸部の少なくとも1つを形成した表示パネル3と、対象物5の所定の位置に貼り付けられ、表示パネル3の凹部3a又は凸部に対応する凸部1a又は凹部を有しており、凸部1a又は凹部に表示パネル3の凹部3a又は凸部が嵌め合された保持部材1と、対象物5と表示パネル3とを密着させるべく、対象物5と表示パネル3との間に介在された弱粘着層6と、を含んでいる。
【0012】
図1Aに示される例では、表示パネル3の平面の方向に凹部3aが形成され、保持部材1の平面の方向に凸部1aが形成されているが、表示パネル3に凸部が形成され、保持部材1に凹部が形成されてもよい。しかし、表示パネル3に凹部3aが形成される方が、表示パネル3に出っ張りがないので、表示パネル3の取り扱い中に破損するのを防止しやすい。また、この凹凸は、
図1Aに示されるように平面の方向の凹凸に限定されるものではなく、後述される
図3Dに示されるように、表示パネル3の表面と垂直方向の凹凸でもよい。
【0013】
すなわち、前述したように、対象物5に直接表示パネル3を貼り付けると、表示パネル3を曲がって(回転して)貼り付けたり、思った位置とずれた位置に貼り付けたりし得る。そのような場合に剥がして貼り付け直そうとすると、接着剤などが対象物5に残ったり、表示パネル3を破損させたりし得る。さらに、対象物5として、例えば自動車のフロントガラスや窓ガラスなどに表示パネル3を貼り付けた場合、表示パネル3を観察しない場合には、目障りで邪魔になる場合があるが、従来は簡単に剥離したり、再度貼り付けたりすることが困難であった。
【0014】
そこで、本実施形態では、表示パネル3が対象物5の所定の位置に、しかも脱着容易に貼り付けられるように、保持部材1が対象物5に貼り付けられ、その保持部材1に表示パネル3が嵌め合される構造になっている。すなわち、弱粘着層6のない状態の表示パネル3(外形を合せたダミー品で可)と保持部材1とで位置決めをし、まず保持部材1を対象物5に貼り付け、その後に、表示パネル3の貼り付け面、又は対象物5の表示パネル3が貼り付けられる領域に弱粘着層6を設け、その後で表示パネル3を貼り付けることによって、
図1A〜1Cに示されるような表示装置が得られる。
【0015】
保持部材1は、例えば、PTFEなどのフッ素系樹脂、ポリアセタール樹脂、又はポリアミド樹脂などが用いられてもよい。しかし、表示パネル3の使用時にその動きを抑止する機能に鑑みて、適度な摩擦係数を有するシリコーン樹脂、又は、天然もしくは合成ゴムなどが保持部材1の材料として用いられてもよい。また、保持部材1は、表示パネル3のユーザに視認され難いように透光性の材料を用いて形成されてもよい。透光性の材料を用いることは、被取付面5aを有する対象物5が透光性の材料(例えば、ガラス、透明ポリイミド、PETなど)で形成され、さらに表示パネル3が透光性を有する場合に特に有益である。この点において、保持部材1は、透明シリコーンゴム、アクリル樹脂などを用いて形成されるのが好ましく、ガラスを用いて形成されてもよい。保持部材1が透光性材料で形成されることによって、視界の邪魔になり難い。
【0016】
この保持部材1には、後述される表示パネル3の外周縁に形成された凹部3a又は凸部と嵌合し得る凸部1a又は凹部が形成されている。この凸部1aは、表示パネル3の横方向のずれや、後述される
図2Aに示されるような、表示パネル3の外形が円形などの回転し得る形状の場合に、表示パネル3が位置ずれしたり、回転したりして貼り付けられないように、表示パネル3と保持部材1との位置決めを確実に行うものである。従って、この凹部1aは、表示パネル3の凹部3aと嵌め合いができればよい。この凸部1aと凹部3aの嵌め合いは、表示パネル3の位置ずれや回転を防止することができればよく、多少の隙間があってもよい。
【0017】
保持部材1は、
図1Aに示されるように、表示パネル3の下側に嵌め合される構造であれば、表示パネル3の位置決めのみならず、表示パネル3の支持部材としても機能する。また、
図1Cに明示されるように、表示パネル3の下部が挿入し得る溝1bが形成されている。この溝1bの深さは、1〜2mm程度である。この溝1bは、保持部材1が表示パネル3の下部に設けられる場合に限らず、後述される
図6A〜6Bに示されるように、表示パネル3の上部に保持部材1が設けられる場合でも、溝1bが形成される方が表示パネル3の支持に寄与する。
【0018】
保持部材1は1本で形成されてもよいし、複数個に分割して貼り付けられてもよい。すなわち、凹凸の嵌合部を有する部分と凹凸が形成されないで、表示パネル3を保持するだけの部分で構成されてもよい。複数個に分割されれば、1個当たりの長さを短くすることができ、目立ちにくくて、表示パネル3を保持する効果は大きくなる。1個で形成する場合、この保持部材1の長さLは、長いほど表示パネル3を支持しやすいので好ましい。しかし、表示パネル3を貼り付ける対象物5が、例えば自動車のフロントガラスや、建物の窓ガラスの場合のように、その前方の風景を観察し得る場合には、表示パネル3を使用しない場合に、視界の邪魔になることを考慮すると、短い方が好ましい。その観点から、この保持部材1の長さLは、表示パネル3の外周縁の全体の長さ(外周縁に形成される凹凸部がないとした長さ)の1/12以上で、1/3以下であることが好ましく、さらに好ましくは、1/4以下である。複数個に分割して設けられる場合は、1個当たりの長さは、表示パネル3の外周縁の全体の長さの1/50以上で、1/12以下であることが好ましい。この保持部材1の形状は、複数個に分割される場合は、その複数個全体として、1個の場合はその1個で表示パネル3の嵌め合せ部分の外形に合される。すなわち、
図1Aに示される例では、嵌合部が平面状であり、
図2A〜2Bに示さる例では嵌合部が曲面状に形成される。
【0019】
この保持部材1は、表示パネル3の位置を考慮した位置決めをした後に対象物5の被取付面5aに接着される。保持部材1の対象物5の被取付面5aへの接着手段は特に限定されないが、例えば、保持部材1は、接着剤8(
図1C参照)を用いて被取付面5aに接着される。必要な場合は、接着剤8の硬化のために加熱処理が行われる。接着剤8は、保持部材1における被取付面5aとの接合面、及び被取付面5aのいずれか又は両方に塗布されてもよく、枠状のシートの形態に成型されたうえで、保持部材1と被取付面5aとの間に配置されてもよい。
【0020】
この接着剤8は、保持部材1を安定して対象物5の被取付面5aに接合できる接着強度を発現し得るものであれば特に限定されない。任意のエポキシ系接着剤やアクリル系接着剤が接着剤8に用いられ得る。好ましくは、透光性の接着剤8が保持部材1の接着に用いられる。前述のように保持部材1が透光性の材料を用いて形成されている場合、透光性の接着剤8を用いることは特に好ましい。例えば、光学透明接着剤(OCA:Optical Clear Adhesive)や光学透明樹脂(OCR:Optical Clear Resin)などと呼ばれる、フィルム状やペースト状のアクリル系やシリコーン系又はウレタン系などの任意の接着剤が、接着剤8に用いられ得る。接着剤8によって得られる保持部材1と被取付面5aとの間の接着強度は、例えば、5.0N/10mmよりも大きく、10N/10mm以下である。
【0021】
表示パネル3としては、有機EL表示パネルや液晶表示パネルが例示される。しかし、表示パネル3は、これらに限定されない。表示パネル3は、マトリクス状に配置された複数の画素31を備えている。また、本実施形態の表示装置は、可撓性を有する表示パネル3を用いて形成されてもよく、透明有機EL表示パネルのような透光性を有する材料で形成された表示パネル3が用いられてもよい。前述した対象物5が、自動車のフロントガラスや、窓ガラスなどである場合に、その先の風景を視認しやすいし、被取付面5aが曲面であっても容易に貼着し得るからである。表示パネル3が透光性であれば、表示パネル3を使用しない場合に、表示パネル3を脱着しなくても、前方の風景を観賞し得る。
【0022】
表示パネル3の外周縁には、前述した保持部材1の凹凸部に対応する凹部3a又は凸部が形成されている。保持部材1の嵌合部に凸部が形成されている場合には、表示パネル3の対応する外周縁に凹部3aが形成される。表示パネル3の基板がポリイミドなどの樹脂フィルムで形成されている場合には、基板の外周縁がレーザ光などによって切断されるときに、外周縁の保持部材1と嵌合させる部分に凹部3aや凸部を形成することができる。表示パネル3の基板がガラスの場合には、水平方向に凸部を延ばすような付属物を貼り付けてもよい。表示パネル3の垂直方向に凸部を形成する場合も凸状物を貼り付けることができる。なお、表示パネル3の基板がガラスの場合でも、矩形に切断後に、レーザ光などによって凹部3aを形成し得る。なお、表示パネル3には、凹部3aが形成された方が、前述したように、搬送や取付の際に嵌合部を破損し難いので好ましい。
【0023】
表示パネル3の外形は、
図1Aに示される矩形状には限られない。例えば
図2Aに示される円形の外形のように、外縁に曲線部を有する表示パネル3でもよい。この場合、前述した保持部材1も、この表示パネル3の外形に合せた曲面状に形成される。このように表示パネル3の外形が曲面状であっても、
図2Aに示されるように、外周縁に凹部3aが形成されている。このように、保持部材1との接合部が円形の場合、特に表示パネル3が回転してもそのまま入りやすいので、凹部3aがその威力を発揮する。すなわち、表示パネル3の外形が円形であっても、例えば時計表示や画像表示など上下関係が重要な場合が多い。回転して取り付けられると表示パネル3の画像を観察しにくくなる。そのため、本実施形態では、その上下をはっきりさせるべく、例えば表示パネル3の下辺部に凹部3aが形成され、対応する保持部材1に凸部1aが形成されていることによって、表示パネル3の上下関係が正確に確保される。勿論、保持部材1の取付位置によって表示パネル3の凹凸部の形成は、その保持部材1の位置に合される。
【0024】
この凹部3aは複数個であってもよいが、例えば歯車のように等間隔で複数個形成されると、回転に対する位置決めができなくなるので、好ましくない。そのため、凹部3aが複数個形成される場合には、その間隔を異ならせることが好ましい。しかし、1個あれば、その位置決めができるので、その数は少ない方が製造工数的に好ましい。なお、保持部材1に形成される溝1bも表示部材3の外形の円弧に沿って形成される。
【0025】
表示パネル3の外形は、このような円形に限らず、
図2Bに示されるように、一部が円弧状で、他の部分が直線状でもよい。また、湾曲部分は真円の円弧状に限らず、楕円状などの他の湾曲形状でもよい。表示パネル3の外形に合せた形状の保持部材1が形成されればよい。また、表示パネル3が
図2Bに示されるような外形を有していても、湾曲部を保持部材1によって保持する必要はなく、表示パネル3の直線部を保持する構造でもよい。すなわち、保持部材1による表示パネル3の保持は、表示パネル3の下部とは限らず、表示パネル3の側部又は上部でも構わない。弱粘着層6によって対象物5に接着されているので、支障はない。
【0026】
さらに、前述したように、凹凸は表示パネル3の水平方向に形成されないで、垂直方向に形成されてもよい。その例が
図2Cに、保持部1と表示パネル3とを嵌合させる前の図で示されている。すなわち、表示パネル3の表面に出っ張るような凸部3cが形成され、保持部1に、その凸部3cと嵌合する凹部1cが形成されている。このような凹凸でも構わない。凹凸の関係が逆でも構わない。
【0027】
また、
図1Aに示されるように、表示パネル3には配線板9が接続されている。配線板9は、表示パネル3に駆動信号を供給するドライバ(図示せず)と表示パネル3とを電気的に接続する。配線板9としては、ポリイミドやポリエチレンテレフタレートなどの樹脂によって形成された可撓性のフィルムと、このフィルム上に銅などの導電体によって形成された配線パターンとを有するフレキシブル配線基板(FPC)が例示される。配線板9は、その一端において表示パネル3に接続されている。配線板9のこの一端は、表示パネル3の表示面32上に設けられた接続パッド(図示せず)に、異方性導電フィルム(ACF)などを用いて接続されている。なお、配線板9に代えて複数のケーブルが用いられ、そのケーブルの一端が表示パネル3に接続されていてもよい。
【0028】
表示パネル3と被取付面5aとの間には弱粘着層6が介在している。弱粘着層6が有する粘着性によって、好ましくは略隙間の無い状態で、表示パネル3と被取付面5aとが密着される。
【0029】
弱粘着層6は、例えば、アクリル系、シリコーン系又はウレタン系の樹脂を単独で、又は複数組み合せて主成分として含む粘着剤から構成される。なお「弱粘着」は、被着体にぴったり付着するものの、剥離方向に力を加えられるだけで、被着体を破損させることなく、また、糊などを付着面に残さずに容易に剥離し得る程度の付着を意味している。弱粘着層6を形成することによって、表示パネル3と対象物5の被取付面5aが略確実に密着される。従って、表示パネル3の浮きや、表示パネル3と被取付面5aとの界面への気泡の巻き込みなどが防止される。しかも、必要に応じて、過度なダメ−ジを表示パネル3や対象物5に与えることなく、表示パネル3を容易に取り外すことができる。
【0030】
アクリル系の樹脂は、対候性及び耐熱性に優れ、しかも透明性にも優れている。表示パネル3が透明有機EL表示パネルであり、かつ、透明な任意の対象物5に表示パネル3が取付けられる場合、透明性の高い弱粘着層6が、透光性に影響し難い点で好ましい。シリコーン系の樹脂も耐候性及び透明性に優れ、さらに耐熱性に特に優れていて黄変し難いため、弱粘着層6の材料として好ましい。
【0031】
また、弱粘着層6は、好ましくは、常圧では粘着性を示さずに加圧されることによって粘着性を発現する粘着剤を用いて形成される。ここで、「粘着性を示さない」は、被取付面5a又は表示パネル3に形成された弱粘着層6の露出面とその周囲の物体とが接触した状態において、その物体に対する摺動を阻害する程度の粘着性を弱粘着層6が有さないことを意味している。そのように弱粘着層6が形成されると、表示パネル3を保持部材1に向けて移動させる際に、弱粘着層6と、表示パネル3(弱粘着層6が表示パネル3に形成されている場合は被取付面5a)とが接触する場合でも、支障なく表示パネル3を移動させることができる。そして、表示パネル3の移動完了後に表示パネル3を被取付面5aに向かって押すことによって、弱粘着層6に粘着性を発現させて弱粘着層6を表示パネル3と密着させることができる。加圧されることによって粘着性を発現する粘着剤としては、一般的な感圧型粘着剤を用いることができる。例えば、感圧型粘着剤によって形成された弱粘着膜を備えた両面粘着テープが、弱粘着層6として用いられる。
【0032】
弱粘着層6と表示パネル3及び被取付面5aのいずれか又は両方との密着強度は、例えば、0.02N/10mm以上、5.0N/10mm以下であり、好ましくは、1.5N/10mm以上、2.0N/10mm以下である。この範囲の密着強度が得られていれば、表示パネル3が意図せずに被取付面5aから剥離する可能性は低いと考えられる。そして、表示パネル3を被取付面5aから取り外す際には、単に表示パネル3を適度な力で引っ張るだけで容易に両者を分離することができると考えられる。
【0033】
このように、本実施形態の表示装置10における表示パネル3は弱粘着層6で接合されながら保持部材1によって保持されているので、被取付面5aに取付けられた表示パネル3は、その使用時における被取付面5aからの遊離や被取付面5a上での顕著な位置ずれを抑止され得る。すなわち、本実施形態において、接着剤などを用いて被取付面5aに表示パネル3を固着させることは必ずしも必要ではない。その一方で、本実施形態の表示装置10の表示パネル3は、被取付面5aから容易に取り外すことができる。その結果、被取付面5aが窓ガラスの表面である場合、窓ガラスが割れたときには、表示パネル3を被取付面5aから取り外して再利用することができる。また、表示パネル3が動作不良となったときは、その表示パネル3を新たな表示パネル3と容易に交換することができる。すなわち、表示パネル3と、被取付面5aを有する任意の対象物5とのいずれか一方に瑕疵や機能不全が生じただけであるにも拘らず、それら両方の廃棄を迫られるような事態を回避することができる。
【0034】
また、例えば前述した自動車のフロントガラスや窓ガラスなどに表示パネル3を接合したときでも、表示パネル3を使用しない場合には、表示パネル3を容易に剥離することができ、正面の視界を遮ることもなくなる。脱着を繰り返すことによって、接着力が弱くなった場合には、弱粘着層6を取り替えることによって、しっかりと表示パネル3を貼り付けることができる。
【0035】
図1A〜1Cに基づいて、本実施形態の表示装置について、さらに詳細に説明される。
図1A〜1Cには、対象物5の被取付面5aに表示パネル3が、保持部材1と共に示されている。表示パネル3を被取付面5aに取付けることによって、表示パネル3、保持部材1、及び、被取付面5aを有する対象物5を少なくとも含む表示装置10が生産されている。なお、
図1Bは、
図1Aに示されるIB−IB線での断面を示し、
図1CはIC−IC線での断面を示している。
図1A〜1Cに示されるように、棒状の保持部材1は接着剤8を用いて被取付面5aに接着されている。保持部材1は、対象物5との接着面に表示パネル3の周縁部の一部を挿入し得る溝1bと前述の凸部1aを含んでいる。表示パネル3は、マトリクス状に配置された複数の画素31を備え、保持部材1によって被取付面5a上に保持されている。表示パネル3には配線板9が接続され、配線板9は、表示パネル3の上方に引き出されている。
【0036】
被取付面5aは、前述のように、
図1A〜1Cの例のような平面であってもよいし、曲面であってもよい。被取付面5aを一つの表面に有する対象物5は、その表面(被取付面5a)に表示パネル3が取付けられ得る任意の部材、物品又は構造物であり得る。対象物5は、ガラス、金属、及び合成樹脂などの任意の材料を用いて形成され得る。表示パネル3が可撓性を有する場合は、対象物5が、表示パネル3を適切に支持し得る剛性を有していることが好ましい。すなわち、対象物5は、所定の剛性を有し、外部からの機械的ストレスに対する耐性を表示パネル3に付与するケース、カバー、又は筐体などと称される外装材であってもよい。また、対象物5の(主に被取付面5a以外の)表面には、所望の装飾が施されていてもよく、表示パネル3が使用される状況に適した形状を対象物5が有していてもよい。従って、表示パネル3が所定の平面又は曲面に取付けることによって、表示パネル3及び外装材を備え、所望の剛性、装飾性、及び、取り扱いの容易性などを有する表示装置10が生産され得る。また、対象物5は、表示パネル3以外の各種の装置、機器、用具又は構造物を構成する任意の部材又はその一部であってもよい。例えば、対象物5は、住居の窓やショーウィンドウ又は展示用ケースなどに用いられているガラス板であってもよく、各種機器の筐体や、建造物の内壁や外壁を構成する部材であってもよい。
【0037】
そして、対象物5は自動車のフロントガラスであってもよく、被取付面5aはフロントガラスにおける車室に向けられた表面であってもよい。本実施形態の表示パネルの取付方法を用いて表示パネルを所定の平面又は曲面に取付けることによって、表示パネルを備えた任意の装置及び機器などが生産され得る。
【0038】
次に、
図1Aに示される表示装置10の表示パネル3の取付方法が
図3A〜3Dを参照しながら詳細に説明される。なお、
図3A〜3Dにおいて、前述の
図1A〜1Cに示される構成要素と同様の構成要素については、
図1Aなどと同じ符号が付され、それらについての重複となる説明は適宜省略される。
【0039】
図3Aに示されるように、凸部1a及び溝1bが形成された保持部材1が溝1bが上になり、表示パネル3を装着し得るスペースを空けた状態で対象物5の被取付面5aに接着剤8(
図1C参照)によって接着される。
【0040】
保持部材1は、被取付面5aにおいて表示パネル3(
図3B参照)が取付けられるべき被取付領域Aを確保する位置に接着される。すなわち、
図3Aに示される例では、被取付領域Aの下端部に沿うように位置付けられる。例えば、被取付領域Aが矩形(すなわち表示パネル3の正面形状が矩形)である場合、被取付領域Aの下辺の外側に、その一辺に沿って保持部材1が位置づけられる。なお、表示パネル3は、対象物5の一つの表面である被取付面5aにおいて任意の位置に取付けられ得る。従って保持部材1も、被取付面5aにおいて任意の位置に接着され得る。
【0041】
図3Aの例では、表示パネル3が取り付けられた状態で、表示パネル3の上端が対象物5の上面(上縁部)とほぼ近接する位置になるように保持部材1が接着されている。対象物5は、表示パネル3の使用時に、重力方向に対して任意の向きに方向付けられる。例えば、対象物5は、
図3Aの例において矢印Yで示される方向に重力が作用する向きで設置される。
【0042】
次に、
図3B及び
図3Bの側面図である
図3Cに示されるように、表示パネル3の下端部が、保持部材1の溝1b内にはまるように導入される。その前に、好ましくは、被取付面5aに、粘着剤を用いて弱粘着層6が形成される。弱粘着層6は、被取付面5aの上ではなく、
図3Cに二点鎖線で示されるように表示パネル3における被取付面5aに向けられる面に形成されてもよい。弱粘着層6は、例えば粘着剤を所定の形状に成形することによって形成された弱粘着シートを、被取付面5aの上、又は、表示パネル3における被取付面5aに向けられる面の上に配置することによって形成される。
【0043】
また、本実施形態の表示パネルの取付方法は、
図3Cに示されるように、弱粘着層6の形成に加えて、弱粘着層6の粘着力以上の粘着力を有している強粘着層7を、弱粘着層6と表示パネル3との間に設けることをさらに含んでいてもよい。弱粘着層6が被取付面5a上に形成される場合には、強粘着層7は、弱粘着層6と被取付面5aとの間に形成され得る。強粘着層7は、弱粘着層6と被取付面5a又は表示パネル3との密着強度よりも強い密着強度で、表示パネル3又は弱粘着層6と密着し得る。このように弱粘着層6と接合された強粘着層7が形成されると、表示パネル3又は被取付面5aのいずれか所望の方に確実に弱粘着層6を残した状態で、表示パネル3を被取付面5aから取り外すことができる。その結果、表示パネル3の取り外しや交換の作業が容易になることがある。
【0044】
強粘着層7と表示パネル3との密着強度、及び、強粘着層7と被取付面5aとの密着強度は、例えば、2.5N/10mm以上、20N/10mm以下であり、好ましくは、5.0N/10mm以上、20N/10mm以下である。このような密着強度が得られていれば、弱粘着層6を確実に所望の要素(表示パネル3又は被取付面5a)に付着させた状態で、表示パネル3を取り外すことができる。強粘着層7もアクリル系、シリコーン系又はウレタン系の樹脂を主成分として含み得る材料を用いて形成され得る。また、弱粘着層6と強粘着層7は、ポリエチレンテレフタレートなどを用いて形成されるフィルム材を介して積層されてもよい。
【0045】
本実施形態の表示パネルの取付方法を用いて取付けられる表示パネル3としては、前述のように有機EL表示パネルや液晶表示パネルなどが例示されるが、表示パネル3はこれらに限定されない。表示パネル3には、前述のようにACFを用いた熱圧着などによって配線板9が接続されている。配線板9と表示パネル3とは、図示されないコネクタを用いて接続されていてもよい。
【0046】
なお、本実施形態の方法では、被取付面5aと表示パネル3との両者の界面への水分の浸透が確実に防止されることが、両者の密着状態の維持の観点において好ましい。従って、表示パネル3の内部への水分の浸入を防ぐために、表示パネル3の被取付面5aへの取付けに先立って、非透湿性の材料を用いてバリア膜33(
図3C参照)が表示面32に形成されてもよい。非透湿性の材料としては、窒化ケイ素、酸化ケイ素及び酸窒化ケイ素などが例示される。バリア膜33として、窒化ケイ素膜、酸化ケイ素膜、及び酸窒化ケイ素膜のうちの一つが形成されてもよく、これらの膜のうちのいずれか二つ以上が積層状態で形成されてもよい。また、これら無機材料を用いて形成される膜に加えて、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などを用いて形成される有機膜を含むバリア膜33が形成されてもよい。窒化ケイ素膜などの無機材料を用いて形成される膜は、PECVD法やスパッタリング法などを用いて形成され得る。有機膜はインクジェットプリンタを用いた印刷法などを用いて形成され得る。
【0047】
続いて、表示パネル3が、保持部材1の溝1b内に挿入される。
図3A〜
図3Dの例では、表示パネル3は、保持部材1に当接するように装着される。
図3Dに示されるように、表示パネル3を被取付面5aに向けて押すことによって弱粘着層6を介して表示パネル3と被取付面5aとを密着させてもよい。表示パネル3の装着完了後に弱粘着層6と表示パネル3又は被取付面5aとが接触していない場合には、このような表示パネル3の押し込み作業を行うことが好ましい。また、前述のように、加圧されることによって粘着性を発現する粘着剤を用いて弱粘着層6が形成されている場合、このような表示パネル3の押し込み作業を行うことによって、表示パネル3と被取付面5aとを弱粘着層6を介して密着させることができる。
【0048】
図3Dは、表示パネル3が押圧部材101によって押し込まれる例を示している。押圧部材101は、表示パネル3を被取付面5aに向って押す際に、保持部材1の近傍から、上端部に向って動かされてもよい。このように表示パネル3を押すことによって、弱粘着層6と表示パネル3又は被取付面5aとの界面における気泡となり得る空気を外部へと排出することができる。その結果、弱粘着層6と表示パネル3又は被取付面5aとをほぼ確実に密着させることができる。押圧部材101は、表示パネル3に圧力を加え得るものであれば、特に限定されない。押圧部材101が移動される場合は、表示パネル3に与えるストレスの軽減の観点から、ローラーなどの転動可能な部材が、押圧部材101として好ましい。
【0049】
表示パネル3として用いられる有機EL表示パネルの構造を、その一例を拡大して示す
図4を参照して説明する。
図4に示されるように、表示パネル3は、基板30と、基板30の上に形成された複数の発光素子34を含んでいる。基板30としては、ポリイミド樹脂を用いて形成された樹脂フィルム、又は、ガラス板が例示される。例えば、ポリイミド樹脂などを用いてスロットダイコーティング法などによって形成された可撓性の基板30の上に、複数の有機EL発光素子(発光素子34)がマトリックス状に形成される。各発光素子34は、TFT(薄膜トランジスタ)35と、TFT35に接続された第1電極36と、第1電極36上に蒸着された有機材料によって形成されていて光を発する有機層37と、有機層37の上に形成された第2電極38と、を有している。各発光素子34は、絶縁性樹脂やSiO
2などを用いて形成された絶縁バンク39によって分離されている。第1電極36及び絶縁バンク39は、TFT35を覆う平坦化膜40の上に形成されている。
【0050】
TFT35は、スパッタリングなどによる成膜、フォトレジストの露光及び現像、並びにエッチングによるパターニングなどを実施して、多結晶シリコンなどからなるチャネル層、絶縁膜、及び各電極を形成することによって形成され得る。あるいは、チャネル層として透明アモルファスシリコンなどを用いてもよい。第1電極36は、例えば、ITO膜などの透光性を備えた導電性材料を用いて成膜及びパターニングにより形成される。そして、絶縁バンク39が樹脂膜の形成及びパターニングなどによって形成され、絶縁バンク39に囲まれた区画内に、マスクを用いた真空蒸着法、又はインクジェット法などを用いて有機層37が形成される。
図4では有機層37が一層で示されているが、実際には、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層などが順に真空蒸着法などによって形成され、多層構造を有する有機層37が形成される。有機層37の各層は周知の材料を用いて形成され得る。そして、第2電極38が、例えばMg−Ag合金層やアルミニウム、又はアルカリ金属やアルカリ土類金属のような仕事関数の小さな金属を用いて真空蒸着などの手法を用いて、透明性を有するように光の波長よりも十分薄く形成される。さらに、第2電極38の表面に、例えばSi
3N
4などからなる保護膜41が形成される。前述したバリア膜33(
図3C参照)が、保護膜41として形成されてもよい。なお、
図4に示される断面構造は一例に過ぎず、表示パネル3を構成する有機EL表示パネルの構造、ならびに各構成要素の材料及びその形成方法は、ここで説明された構造、材料及び形成方法に限定されない。
【0051】
図示されていないが、表示パネル3が液晶表示パネルである場合は、表示パネル3は、ガラス板などを用いて形成された第1基板と、第1基板と離間して配置された第2基板と、第1及び第2の基板の間の液晶層とを含んでいる。表示パネル3は、第1基板上に形成されたTFTと、このTFTに接続される画素電極と、画素電極上に形成された第1配向膜とを備え得る。また、表示パネル3は、第2基板上に順に設けられた、カラーフィルタ、共通電極、及び液晶層側に第2配向膜を備え得る。液晶層は、第1及び第2の配向膜の間に充填された液晶材料によって構成される。第1及び第2の基板の液晶層を向く面と反対面それぞれには、偏光膜が備えられる。表示パネル3として液晶表示パネルが形成される場合、液晶表示パネルを構成する各電極や配向膜及び偏光膜ならびに液晶層は周知の方法を含む任意の方法で形成され得る。従って、その詳細な説明は省略する。
【0052】
有機EL表示パネル又は液晶表示パネルによって構成される表示パネル3は、好ましくは、複数個の表示パネル3が配列され得るサイズを有する基板(例えば基板30)を用いて複数個同時に形成される。そして、表示パネル3を構成する各要素の形成後、その複数個の基板上に連結状態で形成された複数の表示パネル3は、切断によって分離される。この切断分割の際に、前述の凹部3aなどを形成することができる。
【0053】
図5Aには、第2実施形態の表示パネルの取付方法によって自動車のフロントガラスに取付けられた表示パネル3の一例が示されている。
図5Aの例では、車室を向く面として被取付面5aを有する自動車のフロントガラスに、本実施形態の表示パネル3が取り付けられている。すなわち、保持部材1が、被取付面5a(フロントガラスにおける車室を向く面)に接着されており、表示パネル3が保持部材1によって保持されている。また、
図5Aの例における表示パネル3は、透光性の材料を用いて形成された透明有機EL表示パネルであり、表示パネル3の右側の領域では、画素31(
図1A参照)における発光が停止されている。そのため、信号機S1や各種の道路標識S2などを含むフロントガラス越しの前方の景色が、表示パネル3の右側の領域を通して視認される。一方、表示パネル3の左側の領域には、画素31を駆動することによって、ナビゲーションシステムによる画像が表示されている。なお、表示パネル3は、
図5Aの例のように、その表示画面において部分的に画像を表示し得るものであってもよく、そのような部分的な表示を為し得ないものであってもよい。
【0054】
自動車のフロントガラスは、その上縁を車室に向けて傾けて自動車に設置されることが多い。そのようなフロントガラスにおける車室を向く面に表示パネル3を取付ける作業は仰向きの状態で行われることとなり、そのような状態で表示パネル3を所定の位置に正確に位置づけるのは非常に困難である。そして、そのように困難な状態での作業では、一度の作業で正確な位置に表示パネル3が取付けられずに、位置の修正や取付け作業のやり直しが必要になることがある。そのため、それらの付加的な作業を通じて表示パネル3を破損させるおそれがある。しかし、本実施形態の表示パネルの取付方法を用いることにより、自動車のフロントガラスにも、容易に、かつ、所定の位置に正確に表示パネル3を取付けることができる。
【0055】
図5Aの例では、保持部材1は、運転席の前方におけるフロントガラスの上縁部付近に接着されているが、保持部材1はフロントガラスの任意の位置に取付けられ得る。また、フロントガラスに複数の保持部材1が接着され、複数の表示パネル3が取付けられてもよい。
【0056】
また、
図5Aの例において、保持部材1は、自動車の通常の使用時に重力方向において表示パネル3の下方の位置でフロントガラスに接着されている。従って、重力作用によって下方に向かう表示パネル3の動きは、保持部材1によって制限され得る。しかし、後述されるように、この位置関係には制限されない。
【0057】
また、
図5Aの例では、配線板9は、フロントガラスの上縁において車室の天井部の内装と自動車のルーフとの間へと延びている。配線板9は、天井部の内装と自動車のルーフとの間に配置されているコネクタ21に挿入されている。コネクタ21は、表示パネル3に駆動信号を供給するドライバ(図示せず)に連結されていてもよい。このような配置にすることによって、配線板9の長さを短くすることができる。さらに、本実施形態の表示パネル3の取付方法を用いれば、表示パネル3を正確に所定の位置に取付けることができるため、配線板9における表示パネル3からコネクタ21までの長さの過不足が発生し難い。従って、車室の内部における配線板9の露出を少なくできることがある。
【0058】
図5Bには、本実施形態の表示パネル3が自動車のフロントガラスに取付けられる場合に、
図5Aに例示される形態を得るために行われる追加のステップが示されている。
図5Bに示されるように、本実施形態の方法を用いてフロントガラスに表示パネルを取付ける方法は、表示パネル3を所定の位置に装着した後に、自動車の車室の天井部に配置されたコネクタ21と、表示パネル3に接続された可撓性の配線板9とを接続するステップを含んでいてもよい。その後、コネクタ21を覆う内装材24が、車室の天井部に取付けられてもよい。
図5Bの例では、ロックレバー21aを備えたコネクタ21は、表示パネル3に駆動信号を供給するドライバ(図示せず)が実装された基板22に実装されている。コネクタ21は、車室の天井部においてルーフ23と内装材24との間に確保される空間における所定の位置に配置されている。ルーフ23の端部における車両の外側を向く表面にフロントガラス(対象物5)の車室を向く面(被取付面5a)の上端部が接着剤26を用いて接着されている。なお、符号25は、ルーフ23と内装材24との間に配置された遮音材を示している。
【0059】
前述の例では、保持部材1が表示パネル3の下端部に形成されていたが、保持部材1の位置は表示パネル3の下端部とは限らない。表示パネル3の側縁又は上縁に配置されても構わない。表示パネル3は弱粘着層6によって対象物5に接着されているからである。前述の凹凸部が表示パネル3の側縁に形成されていれば、その凹凸部によってもある程度表示パネル3は支持され得る。また、表示パネル3の上部に保持部材1が設けられていても、保持部材1の溝1b内に表示パネル3の一部が挿入されるので、保持部材1によってもある程度支持される。
【0060】
このような表示パネル3の上部に保持部材1が設けられる例が
図6A〜6Bに示されている。
図6Aは、例えば自動車のフロントガラス(対象物5)の上縁に、保持部材1が溝1bを下方に向けて接着され、その保持部材1に表示パネル3が装着される状態を示す平面図であり、
図6Bは、装着後の断面図を示している。各部品は、前述の例と同じであり、同じ部分には同じ符号を付してその説明は省略される。なお、この場合には、表示パネル3の凹部3a(又は凸部)は、当然のことながら、表示パネル3の上縁部に形成されている。
【0061】
この構造にすることによって、保持部材1が、たとえ自動車のフロントガラスに貼り付けられていても、殆ど目立たない。そのため、表示パネル3を使用しないときは取り外すことによって、全く違和感なく正面の風景を観賞することができる。なお、前述したように、表示パネル3が透明部品で形成されていれば、表示パネル3を取り外さなくても、前方の風景を観賞し得る。
【0062】
(まとめ)
(1)本発明の第1実施形態に係る表示装置は、平面又は曲面を有する対象物と、周縁部のいずれかに凹部及び凸部の少なくとも1つを形成した表示パネルと、前記対象物の所定の位置に貼り付けられ、前記表示パネルの前記凹部又は凸部に対応する凸部又は凹部を有しており、該凸部又は凹部に前記表示パネルの凹部又は凸部が嵌め合された保持部材と、前記対象物と前記表示パネルとを密着させるべく、前記対象物と前記表示パネルとの間に介在された弱粘着層と、を含んでいる。
【0063】
第1実施形態の表示装置によると、保持部材と表示パネルに嵌合し得る凹凸が形成されているので、表示パネルの貼り付けの位置や方向は保持部材によって特定される。従って、保持部材を非常に小さくすることができ、窓ガラスや自動車のフロントガラスなどに取り付けられても全く違和感を生じさせない。しかも、弱粘着層によって貼り付けられているので、簡単に剥離をすることができ、表示パネルを使用しない場合には、脱着することができ、保持部材はそのままにしておくことによって、表示パネルを使用する場合も簡単に表示パネルを装着し得る。
【0064】
(2)前記保持部材は、前記表示パネルの外周縁の長さの1/12以上で、1/3以下の長さであり、透明な材料で形成されていることによって、表示パネルを正確な位置及び方向で保持しながら、保持部材が非常に小さいので、何ら違和感を生じさせない。
【0065】
(3)前記保持部材が複数個に分割され、分割された前記保持部材の1個当たりの長さは、前記表示パネルの外周縁の長さの1/50以上で、1/12以下の長さであることが好ましい。
【0066】
(4)本発明の第2実施形態の表示パネルの取付方法は、周縁部のいずれかに凹部及び凸部の少なくとも1つを形成した表示パネルを用意し、前記表示パネルの前記凹部又は凸部に対応する凸部又は凹部を有する保持部材を用意し、前記保持部材を所定の平面又は曲面を有する対象物に接着し、前記対象物の前記表示パネルの装着領域、又は前記表示パネルにおける前記対象物に向けられる面に、粘着剤を用いて弱粘着層を形成し、前記表示パネルの凹部又は凸部と前記保持部材の凸部又は凹部とを嵌め合せながら、前記保持部材に前記表示パネルを結合すると共に、前記弱粘着層によって前記表示パネルを前記対象物に密着させることを含んでいる。
【0067】
第2実施形態の取付方法によれば、保持部材と表示パネルに嵌合し得る凹凸が形成されているので、非常に短い保持部材でも、保持部材に対して表示パネルを正確に取り付けることができる。また、保持部材は、表示パネルを取り付けない状態で位置合せをして保持部材だけをまず対象物に接着することができるので、表示パネルを接着して位置が悪いといって剥がす必要がなく、非常に正確に、かつ、効率よく所定の位置で所定の向きに取り付けることができる。
【0068】
(5)前記保持部材に前記表示パネルの下端部を挿入し得る溝が形成され、前記溝に前記表示パネルの下端部を挿入することによって、短い保持部材であっても、保持を強めることができ、保持部材を表示パネルのサイドや上部に設けることもできる。
【0069】
(6)前記保持部材が透光性部材を用いて形成され、前記表示パネルが透光性基板に形成された有機EL表示パネルであることによって、保持部材や表示パネルが取り付けられたままの状態でも、その先の風景を観察することができるので好ましい。
【0070】
(7)前記弱粘着層が、加圧されることによって粘着性を発現する粘着剤を用いて形成されることによって、表示パネルを装着する際に対象物に接着することなく、保持部材と嵌め合せた後に、加圧することでしっかりと貼り付けられるので好ましい。
【0071】
(8)前記表示パネルを前記対象物に密着させる際に、前記表示パネルを、前記保持部材の近傍から、前記保持部材と反対の方向に向って順次加圧することによって、気泡を巻き込むことなく貼り付けられるので好ましい。
【0072】
(9)前記保持部材が、前記対象物の外縁の近傍で、かつ、前記対象物の外縁に沿って接着されることが、窓ガラスや自動車のフロントガラスに貼り付けられる場合に、保持部材が殆ど目立たなく、表示パネルを取り外せば、全く違和感を生じさせないので好ましい。
【0073】
(10)上記(4)〜(9)のいずれかの表示パネルの取付方法を用いて、前記フロントガラスに前記表示パネルを取付ける方法において、前記表示パネルを所定の位置に密着させた後に、前記自動車の車室の天井部に配置されたコネクタと、前記表示パネルに接続された可撓性の配線板とを接続し、前記コネクタを覆う内装材を前記天井部に取付けることをさらに含むことが、配線板が目立たなくなるので好ましい。
平面又は曲面を有する対象物(5)と、周縁部のいずれかに凹部(3a)及び凸部の少なくとも1つを形成した表示パネル(3)と、対象物(5)の所定の位置に貼り付けられ、表示パネル(3)の凹部又は凸部に対応する凸部(1a)又は凹部を有しており、凸部(1a)又は凹部に表示パネル(3)の凹部(3a)又は凸部が嵌め合された保持部材(1)と、対象物(5)と表示パネル(3)とを密着させるべく、対象物(5)と表示パネル(1)との間に介在された弱粘着層と、を含んでいる。