(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
人の歩行を補助する補助車において、複数の車輪を支持するフレームに固定された支柱の上端部と、片手で把持する把持部を備えたハンドルの略中央下端部とが回動可能に連結され、前記ハンドルの一端部が、接地可能なキャップを下端部に備えたシャフトの上端部と回動可能に連結され、他端部にバランスウエイトが装着されてなり、前記ハンドルの略中央下端部の連結部を支点にして、前記ハンドルの揺動作用で、前記キャップを備えたシャフトが上下に可動可能となり、前記ハンドルの操作で前記キャップの接地と、接地解除が交互にできる構造を特徴とする歩行補助車。
人の歩行を補助する補助車において、複数の車輪を支持するフレームに固定された支柱の上端部と、片手で把持する把持部を備えたハンドルの略中央下端部とが回動可能に連結され、前記ハンドルの一端部が、複数の固定輪に圧接可能な複数のブレーキシユウを下端部に備えたシャフトの上端部と回動可能に連結され、他端部にバランスウエイトが装着されてなり、前記ハンドルの略中央下端部の連結部を支点にして、前記ハンドルの揺動作用で、前記複数のブレーキシユウを備えたシャフトが上下に可動可能となり、前記ハンドルの操作で、前記複数のブレーキシユウが前記複数の固定輪の外周への圧接と、圧接解除が交互にできる構造を特徴とする歩行補助車。
前記ハンドルの略中央下端部の連結部の下方に、前記ハンドルの揺動作用による前記シャフトの可動を制限するストッパーが設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の歩行補助車。
前記ハンドルの把持部を把持した指の移動が停止できる滑り止め用の鍔が前記把持部の前後に設けられ、後方側の前記鍔の前方に、手の平に合わせた湾曲部が設けられた構造を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の歩行補助車。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係わる歩行補助車1は、
図1と、
図3に示す状態において、前輪11L,11R(自在輪)が前方で、後輪12L,12R(固定輪)側を後方とし、ハンドル3a,3bを上方として、二つの実施例について以下
図1〜
図8を参照して詳細に説明する。
【0018】
歩行補助車1は、左右どちら側でも使用可能な片手操作を基本とし、
図1〜4と
図6に示すフレーム2に取り付け具21a、21bと、軸受具22と取り付け板25が固着され、取り付け具21a、21bに前輪11U,11L(自在輪)が取り付けられ、軸受具22に後輪12U,12L(固定輪)が車軸13を介して取り付けられてフレーム2が支持され、取り付け具21a、又は、取り付け板25に固着された固定具24に固定された支柱23Uの上端部と、把持部31を備えたハンドル3a,3bの中央下端部がナックルジョイント35a(連結部材)の連結軸34aで回動可能に連結されて、連結軸34aを支点に、ハンドル3a,3bの揺動作用を利用し、第一実施例においては
図1と
図2に示す、把持部31の操作で、ハンドル3aの前端部に回動可能に連結されたシャフト4U,4Lを上下させて、シャフト4Lの下端部に固定されたキャップ41の接地と接地解除が交互に可能となる構成で、第二実施例は
図3と
図4に示す、把持部31の操作で、ハンドル3bの前端部に回動可能に連結されたシャフト5U,5Lを上下させて、シャフト5Lの下方の連結具54と連結された連結アーム53に保持体52で固定されたブレーキシュー51を後輪12R,12Lに圧接させて、制動と制動解除が交互に可能となる構成を基本とする。
【0019】
本実施形態の第一実施例について、歩行補助車1がハンドル3aの操作(揺動)で、キャップ41が接地して歩行補助車1が制動し、接地解除で歩行補助車1の走行が可能になる構成を、以下
図1と
図2と
図6と
図7を参照して詳細に説明する。
【0020】
フレーム2は
図1と
図6に示す、パイプ(例えば直径16〜19程度が望ましい)が使用され、長方形の前方が略半円状で後方の二隅が小円弧状に形成され、前方に取り付け具21aが、後方に軸受具22が固着されて、取り付け具21aには前輪11L,11R(ねじ込み式自在輪キャスター)がナット62で固定され、後方の軸受具22に、後輪12L,12R(単品キャスター)を支持した車軸13が固定されている。
【0021】
フレーム2の左右に配置された前輪11L,11Rは基本的には自在輪で、段差等の乗り上げを考慮して外径100ミリ以上が望ましく、後輪12L,12Rは固定輪で、前輪11L,11Rと同様段差乗り上げを考慮して外径100ミリ以上が望ましい。前輪11L,11Rと、後輪12L,12Rの材質は、一般的には合成ゴムが使用されるが、合成樹脂等でも良く比較的軽量で、身体を支えるための十分な強度が確保されればよい。
【0022】
図1と
図2に示す取り付け具21aは鋼板がシャフト4U,4L及び支柱23U,23Lの斜め配置に合わせて曲折形成されて、固定具24の固着と、前輪11L,11Rと、シャフトガイド42が固定されている。
【0023】
フレーム2のパイプ(例えば直径16〜19程度)、取り付け具21a、軸受具22は金属が使用されているが、取り付け具21a、軸受具22、固定具24も含め、形状が変更されて合成樹脂による一体成型も可能である。この場合は、フレーム2のパイプ及び、パイプと組み合わされた部品等と同等の強度が必要である。
【0024】
図1と
図2と
図6に示す支柱23U,23Lは、パイプ状で、金属製又は合成樹脂で、上端部にナックルジョイント35a(連結部材)が固定され、ハンドル3aの操作と歩行補助車1を走行させるに十分な強度を備え、ナックルジョイント35aは、フレーム2の略中心部(前後の車輪間)の上方に位置した状態で、支柱23Lの最下端部が固定具24に固定されている。
図1と
図2に示す、支柱23U,23Lは、シャフト4U,4Lの位置関係と把持部31の高さと位置関係から後傾状態で固定されているが特に制限されるものではない。
【0025】
ナックルジョイント35aは、ハンドル3aを回動可能に連結するための連結軸34aがセットされている。ハンドル3aとの連結は、ナックルジョイント35aにこだわることなく、専用に形成された連結具でもよい。
【0026】
図1に示す支柱23Uには、把持部31を把持した時に、身体を支え易い高さの位置に調整する為、高さ調節孔27aが複数個(例えば5〜8個程度)設けられ、支柱23Lは、支柱23Uより細く、上端部にばね圧でとび出す高さ調節ピン26aが設けられて、支柱23Uの内径側に緩挿され、高さ調節孔27aに高さ調節ピン26aが緩挿して支柱23Uの外周にとび出し、支柱23Uの上下スライドを係止させて、把持部31の高さが位置決めされる。
【0027】
図1と
図2と
図6に示すハンドル3aは、金属板で略コの字状に形成され、片手で把持して操作可能な把持部31が中央上部に設けられ、把持部31の略中央の下方で、中央下端部の位置に連結軸34aが挿入される軸孔が設けられ、該軸孔を基準に下方に向けストッパー36a,36bが設けられて、前端部にナックルジョイント35bの連結軸34bが挿入される軸孔が設けられ、把持部31の後部にウエイト装着部37が設けられて、バランスウエイト38が一個又は複数個がボルト61で装着されている。
ハンドル3aは、金属板で形成されているが、キャップ41の接地時の圧接力と走行時の歩行補助車1を押し進める力(段差を乗り上げる時の抵抗力)と操作に十分耐える強度が確保できれば把持部31と、ストッパー36a36bも含めた合成樹脂による一体成型も可能である。
【0028】
図1に示す把持部31は、中央の部分断面に示す、円形に近い楕円形状で、前端部と、後端部に把持部31を握った手の指が、歩行補助車1の走行と制動時に、前後どちらかへ滑っても防ぐことのできる滑り止め用の鍔33が設けられて安全が確保され、さらに、把持部31の後端部上方の鍔33のサイズを若干大きくし、把持部31を押し下げた走行状態時に、手の平の後部を当てて安定させるための湾曲部32が、把持部31側から後端部の鍔33の最上部までの間に設けられている。
把持部31の材質は一般的には合成樹脂が使用されるが、木材、金属等でもよく、必要強度が確保され、高齢者が使用するため、滑りにくく、軽量のものが望ましい。
【0029】
図1と
図2に示すウエイト装着部37は、六角長ナット、又は、円柱状で中心部が雌ねじ加工された部品がハンドル3aに固着され、円筒状、又は、円板状のバランスウエイト38がボルト61で装着されている。バランスウエイト38を複数個装着することによりハンドル3aの揺動作用を自由にコントロールすることができる。
例えば、バランスウエイト38がシャフト4U,4Lの重量より軽ければ、
図1に示す、キャップ41の接地状態で、把持部31の水平状態が保たれて、制動状態が維持され、シャフト4U,4Lの重量よりバランスウエイト38が重くなれば
図2に示す、把持部31が後方へ下がった斜め状が保たれ、走行可能状態が維持される。バランスウエイト38の形状は特に円板にこだわる必要はなく、複数の装着による重量調整が可能であればよい。
【0030】
図1と
図2に示すハンドル3aのストッパー36a,36bは、ハンドル3aの揺動作用によるシャフト4U,4Lの上下可動の範囲を定める為に設けられ、連結軸34aを挿入するハンドル3aの連結孔を基準にして、ナックルジョイント35aの外周の前後に係止する接触面が下方へ略ハの字状に形成され、支柱23Uのナックルジョイント35aの前後に配置されている。
【0031】
ハンドル3aの中央下端部が、支柱23Uに固定されたナックルジョイント35aが連結軸34aで回動可能に連結され、連結軸34aを支点にハンドル3aの揺動作用が可能となり、前端部のナックルジョイント35bと後端部のバランスウエイト38が交互に上下可動し、ハンドル3aの操作で、
図2に示す、ストッパー36aがナックルジョイント35aの外周後部で係止して後端部のバランスウエイト38の下方への可動が停止し、ハンドル3aの操作、又は、把持部31の開放で、
図1に示す、ストッパー36bがナックルジョイント35aの外周前部に係止する直前でキャップ41が接地する。
【0032】
図1に示すハンドル3aは、シャフト4Lの下端部に固着されたキャップ41が接地した状態で把持部31が略水平となり、ナックルジョイント35aの外周前部と、ストッパー36bの係止部分との間に約2〜3mmの隙間が設定され、ハンドル3aの前端部の下方への可動に余裕を持たせ、凹みのある接地面においても十分な接地と制動を可能にしている。さらに、ストッパー36bは、把持部31を握って歩行補助車1を持ち上げた時シャフト4U,4Lが下方に下り過ぎない状態で制止し、把持部31を持ち上げて歩行補助車1(約5〜7kg)を容易に運搬することができる。
【0033】
図2に示すストッパー36aは、把持部31の後部が押し下げられ、キャップ41が接地解除されて上方へ移動した走行時に前輪11L,11Rが段差を乗り上げる際キャップ41の先端が段差に接触して急停止することのない、前輪11L,11Rの外周の内側まで引き上げられた状態で、ストッパー36aがナックルジョイント35aの外周後部で係止する設定がなされている。
【0034】
図2に示す、ストッパー36aがナックルジョイント35aの外周後部で係止された状態時の把持部31の後端部の位置関係は、連結軸34aを基点に、水平状態を基準として後方へ、約15°から20°傾斜した状態が、把持部31の湾曲部32を手の平の後部で押さえ易く操作も容易となり、把持部31を押し下げた状態を維持し易く、身体も支え易
い。
【0035】
図1と
図2に示すシャフト4U,4Lは、パイプ状の軽金属製又は合成樹脂で、一般的に高齢者が利用する杖と同程度の重量と強度を有し、シャフト4Lの最下端部にキャップ41(ゴム製又は摩擦係数の高い合成樹脂)が固着されている。シャフト4Lの下方が若干曲げられてキャップ41の底部の接地面が均等に接地可能になるよう固着されている。
【0036】
シャフト4Uの上端部に固定されたナックルジョイント35bと、ハンドル3aの下方前端部の軸孔が連結軸34bで回動可能に連結され、連結軸34aを支点にハンドル3aの揺動作用で、連結軸34bを介してシャフト4U,4Lが上下に可動し、キャップ41の接地と接地解除が交互に可能となる。
【0037】
シャフト4U,4Lと支柱23U,23Lは、
図1に示す略平行状態が望ましく、キャップ41が前輪11L,11Rの後方に位置し、
図7に示すフレーム2の左右幅の中心部に配置されたシャフトガイド42で位置決めされて、左右どちら側でも同条件で使用可能に構成されている。
【0038】
図1に示すキャップ41はゴム又は摩擦係数の高い合成樹脂で最下端部となる底部の接地面が平面状で上部に装着部が形成され、シャフト4Lの下端部に装着されている。キャップ41は円形が望ましいが、特に形状にこだわることはなく、接地面に溝等を設けて接地時の制動効果を向上させることも可能である。
【0039】
シャフト4U,4Lには、高さ調節孔27bが複数個(例えば5〜8個程度)設けられ、シャフト4Lは、シャフト4Uより細く、上端部にばね圧でとび出す高さ調節ピン26bが設けられて、シャフト4Uの内径側に緩挿し、高さ調節孔27bに高さ調節ピン26bが緩挿してシャフト4Uの外周にとび出し、シャフト4Uの上下スライドを係止させている。
【0040】
図1と、
図3に示す高さ調節孔27a,27bは、支柱23U側に27aと、シャフト4U側に27bが設けられ、歩行補助車1が制動状態の時において、略水平状態の配置となり、調節孔27a,27b双方が同じ間隔の形成により、把持部31の高さ調節時は、高さ調節ピン26a,26bを同じ様に上下させれば、把持部31が常に略水平状態を保つことができる。
【0041】
図1と
図2と
図7に示すシャフトガイド42は、シャフト4Lの位置決めと、上下の可動と、制動時に歩行補助車1の横方向へかかる圧力を受け止め支持する部材で、摺動性が良く、制動時の圧力に耐える強度を有した合成樹脂製で形成され、ガイド孔43に、シャフト4Lが挿入されて、フレーム2に固着された取り付け具21aにボルト61とナット62で固定されている。ガイド孔43は、シャフト4Lの外径とガイド孔43の隙間は大きながたがなく、シャフト4Lがスムースに摺動可能な0.2mmから0.3mmが望ましい。
【0042】
図7に示す、取り付け具21aの抜き孔28は、シャフト4Lの外径に対し、2mmから3mm大きく、シャフト4Lが接触しない大きさに形成されている。
【0043】
シャフト4U,4Lとキャップ41の自重と、バランスウエイト38の関係は、バランスウエイト38より、シャフト4U,4Lとキャップ41の自重が重い場合は、その自重で
図1に示す、キャップ41が自動的に接地して歩行補助車1にブレーキが掛かる状態となり、シャフト4U,4Lとキャップ41の自重が軽く、バランスウエイト38が重い場合は、
図2に示す、キャップ41の接地解除状態となり、どちらもバランスウエイト38の増減で選択可能である。従って、歩行補助車1の走行時と制動時のハンドル3aの操作が使用者の好みに合わせて自由に変更可能となる。
【0044】
図5と
図6に示す荷物入れ14(荷物保持用の枠)、及びフック15は、線材でフレーム2の横幅(左右)のサイズで枠が構成され、レジ袋の引っ掛け、買い物袋、トートバック等が入るサイズに形成されて、支柱23U,23Lの後部に位置し、フレーム2の上部に固着されている。
荷物入れ14及びフック15は、線材が望ましく、買い物袋、トートバック等を入れて保持可能であれば、形状は変更も可能である。さらに、荷物入れ14としての強度が確保されれば合成樹脂による成型も可能である。
【0045】
歩行補助車1の第一実施例の使用例は、
図1と、
図6に示す、ハンドル3aの把持部31が略水平状態のキャップ41とシャフト4U,4Lの自重でキャップ41が自動で接地して歩行補助車1の制動状態から、把持部31の湾曲部32に手の平の後部を当てて、ハンドル3aのストッパー36aが、
図2に示すナックルジョイント35aの外周後部で停止するまで押し下げて、キャップ41の接地を解除した状態が維持されて身体を支え、歩行補助車1を前方へ押し出し発進させる。常にハンドル3aのバランスウエイト38側が押し下げられた杖を突いたと同様の状態が維持されて、歩行補助車1を支えに歩行することとなる。この場合、把持部31から手を放せばキャップ41とシャフト4U,4Lの自重でキャップ41が接地して自動的に歩行補助車1が制動される。
【0046】
把持部31の押し下げ力はバランスウエイト38で調整し、シャフト4U,4L側が約100〜150グラム程度重く設定されれば、把持部31に軽く手を乗せた程度で押し下げできるので手にかかる負担は極めて少ない。この場合でもキャップ41の接地による摩擦力で制動させることができる。
【0047】
歩行補助車1を止めたい時、又は、歩行をしない場合は、把持部31を握った状態で、把持部31を水平に戻し、把持部31の前部を下へ押すことにより、杖を突いたと同様の状態でキャップ41を接地させ、ブレーキを掛けることができる。さらに、前部を下へ押した状態で、把持部31を把持した手に体重を掛ければさらに強くブレーキが掛かる。この動作は通常の使い慣れた杖を突いたと同様で違和感なく操作可能であり、ブレーキレバーを握って歩行補助車1を停止させる場合に比べ、手首を少し動かすのみの動作で、素早く僅かな力で確実に停止できる。
【0048】
ハンドル3aを押し下げた状態を維持したままの走行を好まない場合は、バランスウエイト38の重量を増加させ、キャップ41を上げて接地解除状態を自動的に維持させて走行させる方法も可能であるが、把持部31から手を放した場合、自動的にキャップ41が接地せず、歩行補助車1の制動ができないので、ハンドル3aの操作で制動させる必要がある。このように、バランスウエイト38の増減によりハンドル3aの操作を自由に変更することができる。
【0049】
歩行補助車1の特徴は、高齢者が通常使用する杖を突いたと同様に把持部31を握って身体を支えた状態を維持して走行ができ、停止したいときは、身体を支えた状態のまま把持部31を握った手首を少し動かすのみで瞬時に杖を突いたと同様な体制でキャップ41を接地させて、停止が可能となるので、身体の向きを変更することなく走行と停止ができ、カーブで曲がるときは、把持部31を押し下げた状態を維持したまま手首を左右に動かすことにより、前輪11L,11Rの向きを自在に変更できるので、任意の方向に走行ができる。さらに、荷物入れ14と、フック15で買い物台車も兼ねることができる。
【0050】
本実施形態の第二実施例について、歩行補助車1の後輪12L,12Rにブレーキシユウ51が圧接して制動し、圧接解除で走行が可能になる構成について、以下
図3と
図4と
図8を参照して詳細に説明する。
基本的な部分であるフレーム2と、支柱23U,23Lと、ハンドル3bについての構成は、第一実施例と類似しており、異なる部分となる後輪12L,12Rにブレーキシユウ51が圧接する部分を重点に説明する。
【0051】
図3と、
図4に示す、歩行補助車1のフレーム2と前輪11L,11Rと後輪12L,12Rの配置は、第一実施例の段落0020と、0021と、0023と同様のため省略する。
【0052】
図3に示す取り付け具21bが鋼板で形成され、フレーム2の前部に固着され、取り付け板25が鋼板で曲折形成されてフレーム2の後部と軸受具22に固着され、取り付け具21bに前輪11L,11Rが固定され、取り付け板25に固定具24が支柱23U,23Lの傾斜角に合わせた状態で固着されている。
【0053】
図3と
図4に示す支柱23U,23Lは、パイプ状で、金属製又は合成樹脂製で、ハンドル3bの操作と歩行補助車1を走行させる十分な強度が確保されて、上端部にナックルジョイント35a(連結部材)が固定され、フレーム2の後部から前斜状態となり、ナックルジョイント35aがフレーム2の略中心部の上方に位置した状態に配置されて、支柱23Lの最下端部がフレーム2の後部の固定具24に固定されている。
【0054】
ナックルジョイント35aは、ハンドル3bと回動可能に連結するための連結軸34aがセットされている。ハンドル3bとの連結は、回動可能で強度が確保されればナックルジョイント35aにこだわることなく、専用に形成された連結具でもよい。
【0055】
支柱23Uとシャフト5Uに設けられた高さ調節孔27a,27bと高さ調節ピン26a,26bは第一実施例の段落0026と、0039と、0040と同様のため省略する。
【0056】
図3と
図4に示すハンドル3bは、金属板で略長方形で四隅が円弧状で中央部が抜き孔状に開放されて形成され、片手で把持して操作可能な把持部31が中央上部に設けられ、該把持部31の略中央の下方で、中央下端部の位置に連結軸34aが挿入される軸孔と、該軸孔から下方に向けストッパー36a,36bが設けられて、連結軸34a,34bと
軸支部57a,57bが等間隔になるようシャフト4U,4Lのナックルジョイント35bの連結軸34bの軸孔部分が若干下方に伸びた状態で形成されている。
ハンドル3bは、金属板で形成されているが、ブレーキシユウ51が後輪12L,12Rへの圧接力と走行時の歩行補助車1を押し進める力(段差を乗り上げる時の抵抗力)と操作に十分耐える強度が確保できれば把持部31、ストッパー36a36bも含めた合成樹脂による一体成型も可能である。
【0057】
ハンドル3bの把持部31は第一実施例の段落0028と、ハンドル3bを制止させるストッパー36a,36bは、第一実施例の段落0030と同様の為、省略する。
【0058】
図3と
図4に示すウエイト装着部37は、六角長ナット、又は、円柱状で中心部が雌ねじ加工された部品がハンドル3bに固着され、円筒状、円板状のバランスウエイト38がボルト61で装着されている。バランスウエイト38を複数個装着することによりハンドル3bの揺動作用をコントロールすることができる。
例えば、バランスウエイト38がシャフト5U,5Lの重量より軽ければ、
図3に示すブレーキシユウ51が後輪12L,12Rに圧接し、把持部31は水平状態が保たれて、制動状態が維持され、シャフト5U,5Lの重量よりバランスウエイト38が重くなれば
図4に示す、把持部31が後方へ下がった斜め状態で保たれて、走行可能状態が維持される。バランスウエイト38の形状は特に円板にこだわる必要はなく、複数の装着による重量調整が可能であればよい。第一実施例のハンドル3aと同様の形状にすることも可能である。
【0059】
図3と
図4に示すシャフト5U,5Lは、パイプ状の軽金属製又は合成樹脂製で、一般的に高齢者が利用する杖と同程度のもので、ブレーキシユウ51が後輪12L,12Rへの圧接圧力に耐える強度を有し、シャフト5Lの中央部と、支柱23Lの中央部がリンク片56により、シャフト5U,5Lと、支柱23U,23Lが略並行に位置した前傾状態で上下に可動可能に軸支部57a,57bで連結されている。
【0060】
シャフト5Uの上端部は、ナックルジョイント35bが固定され、ハンドル3bの下方前端部の軸孔が連結軸34bで回動可能に連結され、ハンドル3bが連結軸34aを支点に上下の揺動作用で、シャフト5U,5Lが上下に可動し、ブレーキシユウ51が後輪12L,12Rの外周上部への圧接と圧接解除が交互に可能となる。
【0061】
図3と、
図8に示すブレーキシユウ51は、連結アーム53の両サイドに固着された保持具52に固着され、連結アーム53は中心部が、シャフト5Lの下端部に固着された連結具54の下部と、支軸55で揺動可能に連結されている。
【0062】
支軸55で揺動可能に連結された連結アーム53の上面と接触する連結具54の下部面との間に、
図8に示す隙間58が設定されており、該隙間58は、連結アーム53が支軸55を支点に、水平状態を基準にして上下に2°から4°フリーに揺動する設定となり、後輪12L,12Rの外周上部にブレーキシユウ51を左右均等の圧力で圧接させることができる。
【0063】
ブレーキシユウ51は、ゴム又は摩擦係数大の合成樹脂で形成され、保持具52、連結アーム53、連結具54と、リンク片56は、金属で形成されているが、ブレーキシユウ51が後輪12L,12Rの外周上部に圧接した時の強度確保ができれば合成樹脂成型も可能である。
【0064】
シャフト5U,5Lとブレーキシユウ51の自重と、バランスウエイト38の関係は、バランスウエイト38より、シャフト5U,5Lとブレーキシユウ51の関連部品の自重が重い場合は、その自重で
図3に示す、ブレーキシユウ51が自動的に後輪12L,12Rの外周上部に圧接して歩行補助車1にブレーキが掛かり、シャフト5U,5Lとブレーキシユウ51の関連部品の自重が軽い場合は、
図4に示す、ブレーキシユウ51の圧接解除状態となり、どちらもバランスウエイト38の増減により選択可能である。従って、歩行補助車1の走行時と制動時のハンドル3bの操作が使用者の好みに合わせて自由に変更可能となる。
シャフト5U,5Lとブレーキシユウ51の関連部品の自重とバランスウエイト38の重量バランスの関係は、第一実施例のシャフト4U,4Lとキャップ41の自重とバランスウエイト38の重量バランスと同様である。
【0065】
第二実施例での荷物入れ(荷物保持用の枠)は、第一実施例の
図5と
図6に示す荷物入れ14及びフック15と同様の枠が前後逆向きとなり、
図3のシャフト5U,5Lの前方のフレーム2の上部に固着される。その他、形状等は第一実施例と同様でもよく、又は、形状変更も可能である。
【0066】
歩行補助車1の第二実施例の使用例は、前記第一実施例のキャップ41の接地と、第二実施例の後輪12R,12Lへのブレーキシュー51の圧接の違いのみで他の操作は、前記第一実施例の段落0045から0048までと同様である為省略する。
【0067】
歩行補助車1の第二実施例の特徴は、高齢者が通常使用する杖を突いて身体を支えた状態をそのまま維持した走行で歩行ができ、停止したいときは、身体を支えた状態でそのまま把持部31を握った手の手首を少し動かすのみで瞬時にブレーキシユウ51を後輪12L,12Rに圧接させて、停止が可能となるので身体の向きを変更することなく走行と停止ができ、把持部31を握った手の力加減でハンドル3bを操作して、ブレーキシユウ51を後輪12L,12R上で滑らしながら制動力をコントロールすることが可能となる。
【0068】
以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変は可能である。
例えば、本実施例では前輪11L,11Rは自在輪で、後輪12L,12Rは固定輪の4輪で説明したが、取り付け具21a,21bと、軸受具22の改変により、前輪、又は、後輪が何れかが1輪となる三輪も可能であり、さらに、前輪が4輪、後輪が4輪等の多数輪にすることも可能である。
【0069】
また、本発明の実施の形態では、第一実施例のシャフト4U,4Lはシャフトガイド42のガイド孔43で位置決めと支持がなされてキャップ41の接地が可能になる例について説明したが、シャフト4U,4Lの位置決めは、シャフトガイド42を廃止して、第二実施例で述べたリンク片56を利用し、
図2に示す、支柱23Lとシャフト4Lの中央部に、
図3に示す、軸支部57aと57bで連結し、シャフト4Lの下端部にキャップ41を固定して接地させることも可能である。
【0070】
また、第二実施例のシャフト5U,5Lの下端部に設けられたブレーキシユウ51は、リンク片56により支柱23Uの中央部と、シャフト5Lの中央部を軸支部57aと57bで連結されて、後輪12L,12Rに圧接が可能になる例について説明したが、第一実施例で述べた、シャフト5U,5Lは、シャフトガイド42のガイド孔43で位置決めされて支えられる構成も可能である。
【0071】
また、支柱23U、23Lとシャフト4U,4Lが後傾構成、支柱23U、23Lとシャフト5U,5Lを前傾構成で説明したが、把持部31が前輪11L,11R、後輪12L,12Rの軸間(ホイールベース)上の配置であれば、垂直姿勢にすることも可能である。
歩行補助車1は、前輪11L,11Rと、後輪12L,12Rがフレーム2で支持され、把持部31を備えたハンドル3aの中央下端部が支柱23Uとナックルジョイント35aで連結され、前端部がシャフト4Uとナックルジョイント35bで連結されて、把持部31の後端部に装着されたバランスウエイト38で重量バランスが保たれ、連結軸34aを支点に、ハンドル3aの揺動作用で、シャフト4U,4Lが上下に可動し、キャップ41の接地と解除が交互に可能となり、シャフト4U,4Lとキャップ41の自重でキャップ41が接地して歩行補助車1が制動し、把持部31を押し下げ、キャップ41の接地を解除した状態を維持して身体を支え、歩行補助車1を走行させる構造である。