特許第6354020号(P6354020)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 相原 雅彦の特許一覧

<>
  • 特許6354020-浮遊ゴミ収集器 図000002
  • 特許6354020-浮遊ゴミ収集器 図000003
  • 特許6354020-浮遊ゴミ収集器 図000004
  • 特許6354020-浮遊ゴミ収集器 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6354020
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】浮遊ゴミ収集器
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20180702BHJP
   A01K 63/04 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   A47K3/00 Z
   A01K63/04 B
   A01K63/04 F
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-43277(P2014-43277)
(22)【出願日】2014年2月16日
(65)【公開番号】特開2015-150411(P2015-150411A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】596098759
【氏名又は名称】相原 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】相原 雅彦
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−216038(JP,A)
【文献】 特開2013−111450(JP,A)
【文献】 特開2009−082675(JP,A)
【文献】 特開2005−118514(JP,A)
【文献】 実開昭55−115317(JP,U)
【文献】 実開昭50−157340(JP,U)
【文献】 米国特許第05122266(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の様に構成した事を特徴とする、浮遊ゴミ収集器。
1、上部が開口した容器の上縁部近傍に、回転軸を設け、容器を遥動自在に装置する。
2、回転軸は、容器の開口面に略平行で、容器の上縁部に沿う方向とする。上縁部に沿う方向とは、例えば開口部が円形の場合、概略、その接線方向と言う意味であり、開口部が多角形や異形の場合も同様の方向を言う。
3、回転軸の両端又は一端に、浮きを装置する。
4、以上の構成品を水面上に浮かべた時、回転軸は水面近傍に略静止し、容器の開口面は、水面に対して10度から90度の範囲で傾斜した状態となる様に装置する。尚、水面とは、水面、海水面、油面など、液体の表面を指す。
5、水面に浮いた容器は、回転軸の近傍で、上縁の一部が水没する構成とし、水没部から、水が少しずつ容器内に流れ込む様に装置する。尚、水とは前述の各液体を指す。
6、容器は、水の流入によって、回転軸を中心に徐々に回転し、開口面が水面と略水平になった時、即ち、容器内に水が満たされた時に停止し、そのまま浮遊状態を保持する様に装置する。
7、容器停止時、容器上縁は、水面から1mm以上出た状態で浮遊する様に装置する。
【請求項2】
以下のいずれか、又は以下のいずれか複数の特徴を有する、請求項1に記載の、浮遊ゴミ収集器。
1、容器の材質を、浮かべる液体の比重以下の材料とした。
2、容器又は回転軸の特定部位に、浮かべる液体の比重未満の浮きを取り付け、浮力を調整した。
3、容器又は回転軸の特定部位に、浮かべる液体の比重以上の重りを取り付け、浮力を調整した。
4、容器の側面形状、即ち、回転軸方向から見た形状を、下向き凸の略半円形とした。
5、上記の側面形状を、下向き凸の略半楕円形又はU形状とした。
6、容器の開口部形状を略長方形とし、回転軸は、その短辺に沿う様に装置した。
7、容器上縁部近傍に、縦長スリット、又は溝、又は凹部、又は切り欠き、又は貫通孔を設け、水の流入部、即ち、水の吸い込み口とし、容器の上縁部が水没しない状態でも、スリット等から水が容器内に流入する様に装置した。
8、上記スリット等の流入部周辺のみを別部品とし、着脱交換可能とした。
9、流入部に、樋、又は溝付きの突起、又はリブを設け、流量の調整装置、又は流水方
向のガイドとした、又は、流入部の周囲を囲む、リブや凸形状を設けた。
10、流入部又は容器の上縁近傍の、外側又は内側に、ゴミ取り用のフィルタを設けた。又は、このゴミ取りフィルタを着脱自在に装置した。
11、浮きは、略直方体、略球体、略輪体、略長球体、略円柱、略多角柱とした。
12、浮きは、浮遊状態の平面視で、文字や図形などの意匠形状とした。
13、流入部近傍に水車を設け、水の流れを可視化した。
14、容器、又は浮き、又は回転軸に、取っ手、又はハンドル、又は掴み部、又は吊り下げ具を装置した。
15、上記7の流入部を、複数箇所とした。
16、回転軸を、浮かべる液体の比重未満の材料とし、浮きとした。
17、容器上縁部に浮かべる液体の比重未満の部材を取り付け、回転軸と浮きの代替とした。
18、浮きの回転軸取り付け位置、又は容器の回転軸取り付け位置、又はその両方を変更可能とし、水面に浮遊した際の回転軸の高さ、即ち水面からの距離を、調整可能とした。
19、流入部、又は、流入部の近傍に、逆止弁を設けた。
20、容器に排水口を設けた、又は、容器の上縁部に、排水用のクチバシ形状を設けた。
21、容器の上縁部に凹凸形状や脚を設け、容器を裏返して平板上に置いた時などに、排水性を向上させた。
22、容器の底部に吊下げ装置を設け、裏返した状態で吊下げ可能とした。
23、浮きと回転軸は着脱自在とし、容器内に収納可能とした。
24、容器の底に、略下向きに開口した凹部を設け、容器が回転軸を中心に回転しながら沈む際、凹部に空気を保持した状態となる様に装置した。
25、容器の側面に、略下向きに開口した凹部を設け、容器が回転軸を中心に回転しながら沈む際、凹部に空気を保持した状態となる様に装置した。
26、容器の上端部近傍に、手で握れる形状の取っ手を設け、回転軸と浮きを取り外した際、片手鍋、又は、お湯を汲む為の手桶として使用可能に装置した。
27、浮きを木材とした、又は、浮きを発泡樹脂とした、又は中空のボールとした。
28、浮きを上部が開口した容器とした、又は、浮きを上部の一部のみが開口した容器とした、又は、浮きを密閉された容器とした。
29、浮きを内部に気体を充填した密閉容器とした、又は、浮き内部に浮かべる液体の比重未満の物質を略密閉した容器とした。
30.回転軸と浮きは、締結部材、又は嵌め込み、又は圧入により、着脱自在とした。
31、容器と回転軸を、一体成形した。
32、浮きと回転軸を、一体成形した。
33、流入部をベルマウス形状とし、滑らかに水が流れる様に装置した。
【請求項3】
流入部を、単独で水面に浮遊可能な、水の吸い込み口を有する別体の部品とし、この部品が、以下のいずれか、又はいずれか複数の特徴を有する、請求項1又は請求項2に記載の、浮遊ゴミ収集器。
1、この部品と容器とを、樋、又はパイプで連結し、吸い込み口から入った水が、容器に流れ込む構成とした。
2、吸い込み口を複数箇所とし、それぞれ異なる吸い込み方向とした。
3、この部品と容器の回転軸を、支持部材で連結し、浮きを廃止した。即ち、この部品を浮きの代替として兼用した。
4、樋やパイプを、容器の自由回転を妨げない、しなやかな材料とした。
5、この部品を複数個とし、各部品から、樋やパイプで容器に水を導く構成とした。
6、この部品の吸い込み口近傍を、さらに別部品とし、交換する、又は、取り付け位置を変更する事により、水没深さを可変し、流入する水量を調整可能に装置した。
7、樋やパイプの中間部に、フィルターを設けた。
8、樋やパイプと、容器との当接部は、固着せず、着脱自在の係止構造とし、容器を引き上げると係止部が外れ、容器を単独で持ち上げる事が可能な構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液面に浮遊するゴミや油膜などを、動力も労力も使用せず、自動的に収集し、簡単に処分可能にした器具であり、主として、家庭の風呂や、熱帯魚の水槽などで使用する。
【背景技術】
【0002】
電動ポンプで水流を発生させ、流れの途中にフィルターを設けた装置は存在する。また、テニスのラケットを小型化した形状のネットで、ゴミを掬い取る器具も市販されている。しかし、どちらも欠点が多く、実用的では無かった。
誰かが入った後の風呂には、水面上に、ゴミ、髪の毛、脂肪分による油膜などが浮いている事がある。これを電動ポンプで吸い取る場合、ポンプの吸い込み口は必ず水面下にある為、浮遊するゴミを吸い取る事はできない。結局、強い水流でかき混ぜ、大量の水といっしょに沈んできたゴミを吸い取るしかなく、ゴミを含まない水まで流す為、極めて効率が悪い。また、湿度が極めて高い風呂場で使用する為、感電の恐れがあり、乾電池を使用する場合は密閉する必要があり、コストも非常に高くなる。
ネットを使用し、手作業で掬い取る器具では、作業中に水を撹拌してしまうので、浮遊していたゴミが沈んでしまい、完全にゴミ等を取り去る事が難しい上、油膜の除去はできない。さらに、ネットに絡みついたゴミを除去する為、両手を使った清掃作業が必要となる。
洗面器を利用し、ゆっくりと水面付近の水を掬い取る方法が一般的に行われているが、洗面器を水面と略同一高さに合わせながら、ずっと保持するのは難しく、一気に大量の水を掬ってしまうなど、作業効率もゴミ取り精度も極めて悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特願2000−064889
【特許文献2】 特願2004−204018
【特許文献3】 特願平11−213402
【特許文献4】 特願平07−187731
【特許文献5】 特願平06−323725
【特許文献6】 特願平06−260886
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液面に浮遊するゴミや油膜を、簡単かつ確実に除去可能で、低価格の商品を提供する。一般の家庭において、風呂の浮遊ゴミを取る為だけに、数千円単位の出費は許容されない。通常は、「あれば便利」と言う程度の用途なので、100円均一ショップで販売可能な製品にしなければ、普及は望めない。従って、所定の機能を確保しつつ、極めて低コストで製造可能な構成を提供する事が、本発明の最重要課題と言える。
具体的には、以下の全ての要求を、完全に解決する事が、本発明の課題である。
1、略静止した液面上に浮遊する、ゴミ、ホコリ、髪の毛、油膜を、確実に捕獲できる事。
2、捕獲したゴミや油膜などは、片手で簡単に捨てられる事。
3、捕獲したゴミや油膜などに触れずに、衛生的に処分できる事。
4、家庭用電源や乾電池などの、有償エネルギーを使用しない事。
5、ゴミや油膜などは、装置を水面上に置くだけで、自動的に、収集される事。
6、水を汚さない事。また、水を汚す可能性が皆無である事。
7、半永久的に、繰り返し使用が可能な事。
8、部品点数が5点以下程度で構成される事。また、それでも所定の機能を発揮する事。
9、一般家庭の風呂用として、数百円程度で市販可能な、低コスト作れる事。
10、物流時は、複数の製品を重ねる、又は組み合せ、容積を小さくできる事。
11、ゴミを収集している状態を、目視確認できる事。
12、使用後は、内部の水分を簡単に除去し、乾燥できる事。
13、熱帯魚などの水槽に浮いているゴミや油膜も除去できる事。具体的には、水槽のサイズに合せて小さく、又は大きく作った場合でも、所定の機能を発揮する事。
14、既存の風呂桶・風呂釜・水槽などを、改造しない事。
尚、前述の先行技術文献は全て、動力を使用する物、浴槽そのものを改造する物、排水口と直結する物であり、本発明の課題を解決する事など、到底不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決する為には、本発明の請求項1から請求項3のいずれかに記載された構成を1つ、又は複数選択して採用する。その内容は、概略、以下の構成を指す。
1、浮きによって水面近傍に支持された回転軸に、容器の上縁部を遥動自在に取り付ける。
2、風呂に浮遊させた時、表層水が容器内に徐々に流れ込む様に構成する。
3、傾斜して浮遊していた容器が徐々に水平になり、内部が水で満たされると停止する。
4、容器を持ち上げ、ゴミが入った水又は湯を、捨てる。
尚、既に空圧式の水流発生装置を所有している場合は、請求項4に記載の構成を採用しても、相当の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の、請求項1から請求項3のいずれかに記載された構成を複数採用すれば、前述の課題を、全て完璧に解決する事ができる。
特に、回転軸を貫通させる為の孔を設けた容器と、回転軸と、左右2個の浮きで構成した場合は、たった4点の構成部品で所定の機能を発揮する事ができるので、極めて低コストでの製造が可能となる。また、複数の容器を積み重ね、浮きと回転軸を内部に収納すれば、容積が小さくなるので、物流や保管時のコストも低減できる為、100円での販売も十分に可能となる。
請求項4の構成においては、既存の水流発生装置に連結する為の容器とパイプだけなので、これも、十分に低コストとなり、100円での販売が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】 本発明の、平面図を表す。
図2】 本発明品を水面に浮かべた時の、正面図を表す。
図3】 本発明品の左側面図を表す。
図4】 ゴミの収集が完了した本発明品の、正面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施し、課題を解決する為の形態や構成は、請求項1から請求項3、又は請求項4に詳述された通りであり、そのいずれか、又はいずれか複数を選択すれば良い。その構成の一例を、図を使用して説明する。
【実施例】
【0009】
図1は、本発明の平面図である。略長方形の開口部を有する容器1の上縁部近傍に、回転軸3が貫通し、その両端には、浮き4が取り付けられている。容器1には、内部に水を導入させる為の、縦長スリット2と、吸い込んだゴミを含む水を捨てる際、本体を持ち上げる為の取っ手5が取り付けられている。
尚、製品化する際は、容器1の左右に突起を設け、回転軸3の代替としたり、浮き4と回転軸3を一体成形するなどのコストダウンが可能である。
【0010】
図2は、本発明品を水面6に浮かべた状態を表す。この時、スリット2の一部分が水没する様に、各部の浮力と自重を調整しておく。
スリット2からは、水面6近傍の水が、浮遊ゴミといっしょに容器1の中に流れ込む。この状態で、容器1は、水の流入によって徐々に沈むが、浮き4が沈まない為、回転軸3を中心に、回転しながら、水を吸い込み続ける事になる。
【0011】
図3は、本発明の左側面図であり、容器1の内部が水でほぼ満たされた状態を表す。この図が示す通り、スリット2は、常に水面6と一定の位置関係を保持しながら、少しづつ水面に浮遊するゴミを吸い取る。
図4は、図3の状態を正面から見た図である。容器1の重量と浮力の調整により、この状態で作動が止まる、即ち水の流入が止まるので、取っ手5を使って本体を持ち上げ、ゴミを含む水を捨てれば良い。以上の構成により、動力を使わず、極めて簡単な構造で、水面に浮遊するゴミや
【0012】
浮力の調整は、発泡スチロールなどの軽量素材を貼り付けても良いが、容器1の底に、下向きの凹部を一体成形しておけば、回転して沈む時に空気を取り込んで保持するので、特別に浮きを装置しなくても、浮力の調整ができる。
【0013】
以上の通り、本発明の構成によれば、前述の課題を全て完璧に解決する事が可能となり、一般家庭に、低価格で高機能なゴミ取り器を提供する事ができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の、請求項1から請求項3、又は請求項4の、いずれかに記載された構成を、1つ又は複数選択して採用すれば、前述の課題を全て解決する事が可能で、高機能な商品を、極低価格で販売する事により、広く一般家庭に普及可能となる。即ち、日用品産業の活性化を図る事ができる。
【符号の説明】
【0015】
1、容器
2、吸い込み口となる、スリット
3、回転軸
4、浮き
5、取っ手
6、水面
図1
図2
図3
図4