特許第6354022号(P6354022)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6354022
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】化粧料容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/00 20060101AFI20180702BHJP
   B05C 17/01 20060101ALI20180702BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   A45D34/00 510Z
   B05C17/01
   B65D83/00 J
   B65D83/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-258999(P2013-258999)
(22)【出願日】2013年12月16日
(65)【公開番号】特開2015-112449(P2015-112449A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】春山 陽
(72)【発明者】
【氏名】上原 佳章
【審査官】 大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−279870(JP,A)
【文献】 特表2011−518077(JP,A)
【文献】 特開2001−145514(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0101340(US,A1)
【文献】 特表2007−508086(JP,A)
【文献】 特開2012−231920(JP,A)
【文献】 米国特許第6905277(US,B2)
【文献】 国際公開第2007/100188(WO,A1)
【文献】 米国特許第5772347(US,A)
【文献】 国際公開第2007/037597(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/00
B05C 17/01
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性を有する化粧料を収容可能な収容室を備える容器本体と、
前記流動性を有する化粧料を塗布するための塗布部と、
前記収容室の前記流動性を有する化粧料を前記塗布部へ導くための誘導筒と、を備え、
前記誘導筒は、前記塗布部側の面が平坦面とされており、
前記収容室に連通する開口部と、
前記開口部から流入する前記流動性を有する化粧料を、当該誘導筒の軸線方向塗布部側に向かって流す流路と、
前記誘導筒の前記塗布部側の中央に位置し、前記流路の前記塗布部側を閉じ流れを堰き止め、その内面が前記塗布部側にへこみ凹状に構成された堰き止め部と、
前記流路の前記堰き止め部より前記開口部側の位置に開口され、前記塗布部に連通する領域に繋がる誘導口と、を有することを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
前記誘導口の大きさは、凹状の前記堰き止め部の開口より小さいことを特徴とする請求項記載の化粧料容器。
【請求項3】
前記誘導口を間に挟んだ前記堰き止め部と前記流路のうち、前記堰き止め部の前記誘導口側の内面位置は、前記流路の前記誘導口側の内面位置より径方向外側に位置していることを特徴とする請求項1又は2記載の化粧料容器。
【請求項4】
前記堰き止め部は、その内側と、その外側に位置し前記塗布部に連通する前記領域とを繋ぐ空気孔を有することを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料を被塗布部に塗布するための化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器内の例えば液状化粧料を始めとした流動性を有する化粧料を、流路を通じて塗布部へ送り塗布に供する化粧料容器にあっては、化粧料の一部が流動性の悪い化粧料になると、当該流動性の悪い化粧料により流路(吐出口を含む)が詰まってしまい、塗布に支障をきたす場合がある。
【0003】
そこで、以下の特許文献1にあっては、例えば液状化粧料等の液体を射出する液体射出器において、ノズルに残留する液体を吸い戻すことで、残留液体の固化による目詰まりを防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4236748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1においては、液体が固化してしまった状態では、吸い戻すことができず、目詰まりが生じてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、流動性の悪い化粧料による詰まりを防止できると共に、流動性の良い化粧料による良好な塗布を可能とする化粧料容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による化粧料容器は、流動性を有する化粧料を収容可能な収容室を備える容器本体と、流動性を有する化粧料を塗布するための塗布部と、収容室の流動性を有する化粧料を塗布部へ導くための誘導筒と、を備え、誘導筒は、塗布部側の面が平坦面とされており、収容室に連通する開口部と、開口部から流入する流動性を有する化粧料を、当該誘導筒の軸線方向塗布部側に向かって流す流路と、誘導筒の塗布部側の中央に位置し、流路の塗布部側を閉じ流れを堰き止め、その内面が塗布部側にへこみ凹状に構成された堰き止め部と、流路の堰き止め部より開口部側の位置に開口され、塗布部に連通する領域に繋がる誘導口と、を有することを特徴としている。
【0008】
このような化粧料容器によれば、収容室の流動性を有する化粧料は、誘導筒の開口部を通して誘導筒内に流入し当該誘導筒内の流路を流れる。流動性の悪い化粧料は、誘導筒の流路の塗布部側を閉じた堰き止め部で堰き止められて溜められる。一方、流動性の良い化粧料は、堰き止め部に溜められている流動性の悪い化粧料から分離され、流路の堰き止め部より開口部側の位置に開口された誘導口に流入し、塗布部に連通する領域へと流れ、塗布部に送られる。このように、流動性の悪い化粧料を塗布部へ送ることを阻止でき、当該流動性の悪い化粧料による詰まりを防止できると共に、流動性の良い化粧料を塗布部へ送ることができ、当該流動性の良い化粧料による良好な塗布を行うことができる。
【0009】
ここで、堰き止め部は、塗布部側にへこみ凹状に構成されているため、当該堰き止め部に、流動性の悪い化粧料が好適に溜められる。
【0010】
また、誘導口の大きさは、凹状の堰き止め部の開口より小さいと、誘導口と凹状の堰き止め部の開口の大きさの違いに従い、流動性の悪い化粧料は、選択的に堰き止め部に堰き止められ、流動性の良い化粧料は、選択的に誘導口に流入することになる。
【0011】
また、誘導口を間に挟んだ堰き止め部と流路のうち、堰き止め部の誘導口側の内面位置は、流路の誘導口側の内面位置より径方向外側に位置していると、流動性の悪い化粧料は、誘導口に流入し難く、より好適に堰き止め部に堰き止められ、流動性の良い化粧料は、より好適に誘導口に流入し、このように、流動性の悪い化粧料と良い化粧料の分離性がより高められる。
【0012】
ここで、堰き止め部の内側に空気が溜まると、流動性の悪い化粧料が堰き止め部に溜まることが妨げられるようになる。そこで、堰き止め部は、その内側と、その外側に位置し塗布部に連通する領域とを繋ぐ空気孔を有しているのが好ましい。このような構成を採用した場合、堰き止め部の内側に溜まろうとする空気が、空気孔を通して、堰き止め部の外側に位置し塗布部に連通する領域に逃がされ、流動性が悪い化粧料を好適に堰き止め部に堰き止め溜めることができる。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明によれば、流動性の悪い化粧料による詰まりを防止できると共に、流動性の良い化粧料による良好な塗布を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る化粧料容器を示す側面図である。
図2図1に示す化粧料容器の平面図である。
図3図1のIII-III矢視図である。
図4図2のIV-IV矢視図である。
図5図3中の先筒及び誘導筒を示す縦断面図である。
図6図5中の誘導筒を斜め上方から見た斜視図である。
図7図5中の誘導筒を斜め下方から見た斜視図である。
図8図6及び図7に示す誘導筒の縦断面図である。
図9図8に直交する方向の縦断面図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る化粧料容器の先筒及び誘導筒を示す縦断面図である。
図11】本発明の第3実施形態に係る化粧料容器の先筒及び誘導筒を示す縦断面図である。
図12】本発明の第4実施形態に係る化粧料容器の先筒及び誘導筒を示す縦断面図である。
図13】本発明の第5実施形態に係る化粧料容器の先筒及び誘導筒を示す縦断面図である。
図14】本発明の第6実施形態に係る化粧料容器の誘導筒を斜め上方から見た斜視図である。
図15図14に示す誘導筒の縦断面図である。
図16図15に直交する方向の縦断面図である。
図17】本発明の第7実施形態に係る化粧料容器の誘導筒を斜め上方から見た斜視図である。
図18図17に示す誘導筒の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による化粧料容器の好適な実施形態について図1図18を参照しながら説明する。図1図9は、本発明の第1実施形態を、図10は、本発明の第2実施形態を、図11は、本発明の第3実施形態を、図12は、本発明の第4実施形態を、図13は、本発明の第5実施形態を、図14図16は、本発明の第6実施形態を、図17及び図18は、本発明の第7実施形態を各々示すものである。
【0016】
先ず、図1図9に示す第1実施形態を説明する。図1及び図2は、第1実施形態に係る化粧料容器の各外観図、図3及び図4は、図1及び図2の各断面図、図5は、先筒及び誘導筒を示す縦断面図、図6図9は、誘導筒を示す各図であり、本実施形態の化粧料容器は、流動性を有する化粧料を被塗布部に塗布する際に用いられるものである。流動性を有する化粧料としては、例えば、美容液、洗浄液、マスカラ、アンチエイジング、ネールケア溶液、頭髪用化粧料等の液状化粧料を始めとして、ジェル状や練り状等の流動性を有する化粧料を利用できる。
【0017】
図1図4に示すように、化粧料容器100は、流動性を有する化粧料を収容する収容室1aを備えた本体筒(容器本体)1と、本体筒1の後部に回転自在に連結された操作筒2と、本体筒1の先端部に連結された誘導筒3と、誘導筒3の先端側に連結され先端に塗布部4aを有する先筒4と、を外形構成として具備し、本体筒1に対して操作筒2を使用者が一方向(繰り出し方向)に回転すると、容器内に構成された押出機構としての螺合機構5及び回り止め機構6並びに一方向の回転を許容するラチェット機構7に従って、収容室1aに配設されたピストン8が本体筒1の先端側(塗布部4a側)に向かって順次繰り出され、収容室1aの流動性を有する化粧料を本体筒1の先端側に向かって順次押し出す構成とされている。なお、押出機構は、ラチェット機構がなく、ピストン8が前進/後退可能な構成であっても良い。また、本体筒1の先端部に着脱可能に装着され塗布部4aを覆うキャップは、ここでは、省略されている。
【0018】
次に、本体筒1の先端部に連結された本実施形態の特徴を成す誘導筒3並びに先筒4について説明する。
【0019】
誘導筒3は、収容室1aの流動性を有する化粧料を先筒4の塗布部4aへ導くためのものであり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、その他のプラスチック材料より形成される。この誘導筒3は、本体筒1に装着されると共に先筒4を装着するホルダ部3aと、図6図9に示すように、ホルダ部3aに連設され先端側に向かって延びる誘導部3bと、を一体に備える。
【0020】
ホルダ部3aは、略有底円筒状を呈し、後端部に鍔部3cを備える。この鍔部3cには、円環状の凹部3dが、本体筒1の先端部の円環状の凸部1dに軸線方向に係合するためのものとして設けられる。また、ホルダ部3aの鍔部3cより上方の外周面には、円筒の半周側に2個の突起3e,3eが、先筒4の凹部に進入し係合するためのものとして設けられる。この2個の突起3e,3eは、軸線を挟んだ反対側にも設けられる。ホルダ部3aの底部3fは、本体筒1の収容室1aの蓋となり、後端側が末広になるように先端側に向かって略擂り鉢状にへこむ形状を呈している。この略擂り鉢状の底部3fには、収容室1aに連通する開口部3gが開口されている。開口部3gはホルダ部3aの軸心を通り側面視くの字を呈すように一方向に延在する長孔であり(図7参照)、収容室1aの流動性を有する化粧料を誘導部3bに導くためのものである。
【0021】
誘導部3bは、ホルダ部3aの先端側の面において開口部3g周りの位置に立設される。この誘導部3bは、扁平な略四角筒形状の長径側の端部を丸めた形状(以下扁平筒形状と呼ぶ)を呈し、その天部は閉じられている。そして、誘導部3bは、その扁平筒孔が、ホルダ部3aの長孔状の開口部3gに軸線方向に重なり連通するように設けられている。この誘導部3bの外周面とホルダ部3aの内周面は、誘導部3bの長径部分で繋がり一体とされる一方で(図3及び図6参照)、長径部分以外の部分にあっては、誘導部3bの外周面とホルダ部3aの内周面との間に、空間S1が形成されている(図4及び図6参照)。
【0022】
誘導部3bの扁平筒孔は、開口部3gから流入する流動性を有する化粧料を、誘導筒3の軸線方向先端側となる塗布部4a側に向かって流す流路3hを構成する。この流路3hを構成する誘導部3bの内面は、軸線方向途中から先端側に向かうに従い、その長径側が徐々に先細りとなる(対向する内面同士が接近していく)傾斜面とされ、その先端側である塗布部4a側は天部により閉じられている。そして、この天部を含む流路3hの先端側は、塗布部4a側にへこむ凹状を呈し、この凹状のへこみが、流動性を有する化粧料の流れを堰き止める堰き止め部3iとされる(詳しくは後述)。
【0023】
流路3hにおいて堰き止め部3iより開口部3g側の位置で、長径方向に離間する位置には、誘導部3bの軸線方向に直交する方向に向けて開口される誘導口3j,3jが対向するように設けられる。この誘導口3jは、流路3hの全幅(短径方向全体)に亘って設けられる(図9参照)。誘導口3jには、先端側へ向かう誘導路3kが連通し、この誘導路3kは、先端側に向かうに従い、長径側の開口が徐々に広がる傾斜口とされる。そして、この誘導路3kは、誘導部3bの天部を貫通し先筒4内と連通する。
【0024】
ここで、図8に示すように、誘導口3jの大きさは、凹状の堰き止め部3iの開口より小さくされている。また、ここでは、誘導口3jを間に挟んだ堰き止め部3iと流路3hのうち、堰き止め部3iの誘導口3j側の内面位置Pは、流路3hの誘導口3j側の内面位置Qより径方向内側に位置している。これは、誘導筒3の射出成形時において、先端側の金型で誘導路3kに対応する部分を有する金型と、後端側の金型で堰き止め部3iの内側部分(開口部3g側の部分)及び流路3hに対応する部分を有する金型を、それぞれ離れる方向に離型する際に、金型が無理抜きにならないようにするためである。そして、このような両金型の合わせ面(接触面)により成形される誘導口3jは、誘導部3bの軸線方向に直交する方向に向けて開口されたものとなる。
【0025】
先筒4は、例えば、エラストマー、シリコンゴム等の軟質弾性材より形成され、図4に示すように、外筒部4b及び内筒部4cを有する。外筒部4bは、その後部、具体的には、本体筒1の先端部に挿入される挿入部4dが円筒状に構成され、これより前側の外周面が、先端に行くに従い、図1及び図2に示すように、一方向(図2の上下方向)に長く、この一方向に直交する方向(図1の上下方向)に短い形状となるように、より具体的には、先筒4の先端が、略長方形形状の長径側の端部を丸めた形状となるように、徐々に狭まる構成とされる。挿入部4dの内周面には、誘導筒3のホルダ部3aの突起3eが進入し係合するための凹部が設けられている(図3及び図4においては断面から外れ隠れて見えない)。
【0026】
内筒部4cは、図3及び図4に示すように、扁平筒形状の誘導部3bを内挿する扁平筒形状を呈し先端側に延びている。この内筒部4cと外筒部4bは、図3に示すように、誘導部3bの長径部分では繋がり一体とされている一方で、長径部分以外の部分にあっては、図4に示すように、誘導筒3の空間S1に連通する空間S2が設けられている。空間S2は、先端側に延び、外筒部4bと内筒部4cが合流する先端部で閉じられている。この空間S2は、先筒4の肉厚の均一化を図ることで、射出成形時の肉ひけ(ボイドを含む)の発生を防止するためのものである。
【0027】
内筒部4cの扁平筒孔は、図3に示すように、誘導筒3の流路3h、誘導口3j、誘導路3kを介して流出してくる流動性を有する化粧料を、軸線方向塗布部4a側に向かって流し塗布部4aへ導くための流路4eを構成する。すなわち、流路4eは、塗布部4aに連通する領域を構成し、この領域に対して、誘導筒3の誘導口3jが繋がる構成とされている。
【0028】
そして、外筒部4bと内筒部4cが合流した先筒4の先端部には、流路4eに軸線方向に重なるように連通し当該流路4eと同形状の扁平形状の吐出口4fが開口される。この扁平形状の吐出口4fの周囲には、突起群4hが先筒4と一体に設けられ、これら吐出口4f及び突起群4hにより塗布部4aが構成される。
【0029】
なお、塗布部4aを構成するのは、突起群に限定されるものではなく、例えばブラシ等でも良く、さらには、突起群やブラシ等がなく、吐出口のみを有する単なる塗布面であっても良い。
【0030】
そして、図5に示すように、先筒4は誘導筒3に外挿され、その挿入部4dの後端面が、誘導筒3の鍔部3cの先端面に突き当たり、先筒4の凹部に誘導筒3のホルダ部3aの突起3e(図6及び図7参照)が進入し係合することで、誘導筒3に回転不能且つ軸線方向移動不能に装着され、一体とされる。
【0031】
このようにして一体とされた先筒4及び誘導筒3は、図3及び図4に示すように、本体筒1に内挿され、先筒4の段部4gが本体筒1の先端面に突き当てられ、誘導筒3の凹部3dが本体筒1の凸部1dに軸線方向に係合することで、本体筒1に軸線方向移動不能に装着される。
【0032】
このように構成された化粧料容器100によれば、使用者による本体筒1と操作筒2との回転操作に従ってピストン8が前進し収容室1aから流動性を有する化粧料が押し出され、この化粧料は、誘導筒3の開口部3gを通して誘導筒3内に流入し流路3hを流れる。
【0033】
ここで、流動性を有する化粧料の一部が流動性の悪い化粧料になると、誘導口3jより塗布部4a側に位置する堰き止め部3iで堰き止められて溜められる。一方、流動性の良い化粧料は、堰き止め部3iに溜められている流動性の悪い化粧料から分離されて誘導口3jに流入し、誘導路3kを流れて先筒4内に流出する。流出した流動性の良い化粧料は、先筒4の流路4eを流れて吐出口4fから吐出し、突起群4hによる塗布に供される。
【0034】
このように、本実施形態においては、堰き止め部3iにより、流動性の悪い化粧料を塗布部4aへ送ることを阻止でき、当該流動性の悪い化粧料による詰まりを防止できると共に、流動性の良い化粧料を塗布部4aへ送ることができ、当該流動性の良い化粧料による良好な塗布を行うことができる。
【0035】
また、本実施形態においては、堰き止め部3iは、塗布部4a側にへこみ凹状に構成されるため、当該堰き止め部3iに、流動性の悪い化粧料を好適に溜めることができる。
【0036】
また、誘導口3jの大きさは、凹状の堰き止め部3iの開口より小さいため、誘導口3jと凹状の堰き止め部3iの開口の大きさの違いに従い、流動性の悪い化粧料を、選択的に堰き止め部3iに堰き止めることができ、流動性の良い化粧料を、選択的に誘導口3jに流入させることができる。
【0037】
図10は、本発明の第2実施形態に係る化粧料容器の先筒及び誘導筒を示す縦断面図である。なお、この第2実施形態を含む以降の実施形態においては、他の実施形態と同一の要素又は同一の機能を果たすものには同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0038】
この第2実施形態が第1実施形態と違う点は、誘導筒3に代えて、誘導部3bの流路3hを先端側に延ばし、堰き止め部3iが先筒4の流路4eに突出する誘導筒13を用いた点である。
【0039】
この誘導筒13にあっては、誘導口3jが、先筒4の流路4eに突出している部分に開口されている。そして、このように、誘導口3jが、先筒4の流路4eに突出している部分に開口されているため、先筒4の流路4eに直接繋がる構成とされている。
【0040】
このような第2実施形態においても、第1実施形態とほぼ同様な効果を得ることができるのに加えて、第1実施形態の誘導路3kを不要にできるという利点がある。なお、誘導筒13は、先端側の金型で堰き止め部3iの外側部分(塗布部4a側の部分)に対応する部分を有する金型、及び、後端側の金型で堰き止め部3iの内側部分及び流路3hに対応する部分を有する金型を用いて成形され、誘導口3jは、軸線方向に直交する方向に短尺に延びるピン状の金型を別途用いることにより成形される。
【0041】
図11は、本発明の第3実施形態に係る化粧料容器の先筒及び誘導筒を示す縦断面図である。
【0042】
この第3実施形態が第1実施形態と違う点は、誘導筒3に代えて、別の誘導路14kを有すると共に第1実施形態の誘導路3kがない誘導筒14を用いた点である。
【0043】
誘導路14kは、第1誘導路14mと第2誘導路14nを有する。
【0044】
第1誘導路14mは、誘導口3jに連通すると共に軸線方向に直交する方向に向かって延び誘導部3bの外周面に開口される。
【0045】
第2誘導路14nは、誘導部3bの外周面に凹設されて軸線方向に延在しその一端が第1誘導路14mに連通すると共に、その他端が流路4eに開口される溝14pを設けることで、当該溝14pとこの溝14pに対面する先筒4の内周面との間に形成される。溝14pは、ここでは、例えば矩形断面又は略半円断面等の断面形状を有する溝とされる。
【0046】
このような第3実施形態においても、流動性の悪い化粧料は、堰き止め部3iで堰き止められ、流動性の良い化粧料は、誘導口3j、誘導路14kを通り流路4eに流入して、塗布部4aへ送ることができ、第1実施形態とほぼ同様な効果を得ることができる。なお、誘導筒14は、先端側の金型で溝14pに対応する部分を有する金型、及び、後端側の金型で堰き止め部3iの内側部分及び流路3hに対応する部分を有する金型を用いて成形され、誘導口3j及び第1誘導路14mは、軸線方向に直交する方向に長尺に延びるピン状の金型を別途用いることにより成形される。
【0047】
図12は、本発明の第4実施形態に係る化粧料容器の先筒及び誘導筒を示す縦断面図である。
【0048】
この第4実施形態が第3実施形態と違う点は、誘導筒14に代えて、溝14pがない誘導筒15を用いると共に、先筒4に代えて、溝14pを誘導筒14から移し替えた先筒24を用いた点である。
【0049】
ここで、先筒24の溝14pは、その一端が第1誘導路14mに連通し、その他端が流路4eに開口される構成とされ、この溝14pと当該溝14pに対面する誘導筒15の誘導部3bの外周面との間に、第2誘導路24nが形成される。そして、第1誘導路14mと第2誘導路24nにより、誘導路24kが構成される。
【0050】
このような第4実施形態においても、流動性の悪い化粧料は、堰き止め部3iで堰き止められ、流動性の良い化粧料は、誘導口3j、誘導路24kを通り流路4eに流入して、塗布部4aへ送ることができ、第3実施形態とほぼ同様な効果を得ることができる。なお、誘導筒15は、先端側の金型、及び、後端側の金型で堰き止め部3iの内側部分及び流路3hに対応する部分を有する金型を用いて成形され、誘導口3j及び第1誘導路14mは、軸線方向に直交する方向に長尺に延びるピン状の金型を別途用いることにより成形される。
【0051】
図13は、本発明の第5実施形態に係る化粧料容器の先筒及び誘導筒を示す縦断面図である。
【0052】
この第5実施形態が第1実施形態と違う点は、誘導筒3に代えて、堰き止め部16iをさらに有する誘導筒16を用いた点である。
【0053】
この誘導筒16にあっては、流路3hを構成する誘導部3bの内面(正確には誘導口3jより開口部3g側の内面)を先端側に折り曲げることで、誘導路3kより外側の位置、すなわち堰き止め部3iの両側方に、凹状の堰き止め部16i,16iが設けられている。
【0054】
このような第5実施形態においても、第1実施形態とほぼ同様な効果を得ることができるのに加えて、堰き止め部16i,16iにおいても流動性の悪い化粧料を堰き止め溜めることができるため、流動性の悪い化粧料による詰まりを一層防止できると共に、流動性の良い化粧料による一層良好な塗布を行うことができる。なお、誘導筒16は、先端側の金型で誘導路3kに対応する部分を有する金型と、後端側の金型で堰き止め部3iの内側部分及び流路3hに対応する部分を有する金型を用い、両金型をそれぞれ離れる方向に離型することで成形できる。
【0055】
ここで、上記第1、第5実施形態においては、前述したように、成形時に先端側及び後端側の金型のみを用いて無理抜きしないようにしている。具体的な構成としては、誘導口3jを間に挟んだ堰き止め部3iと流路3hのうち、堰き止め部3iの誘導口3j側の内面位置Pを、流路3hの誘導口3j側の内面位置Qより径方向内側に位置するようにしているが、次の第6実施形態においては、金型を無理抜きすることなく、堰き止め部3iの誘導口3j側の内面位置Pを、流路3hの誘導口3j側の内面位置Qより径方向外側に位置するようにしている。
【0056】
図14は、本発明の第6実施形態に係る化粧料容器の誘導筒を斜め上方から見た斜視図、図15は、図14に示す誘導筒の縦断面図、図16は、図15に直交する方向の縦断面図である。
【0057】
この第6実施形態が第1実施形態と違う点は、誘導筒3を、2分割の誘導筒17に代えた点である。
【0058】
誘導筒17は、その誘導部3bが、堰き止め部3iを含む天部を備えた有天扁平筒形状の蓋部17aと、これより開口部3g側の部分、具体的には、流路3h、誘導口3j及び誘導路3k等を含む扁平筒形状部分17bとに分割され、この扁平筒形状部分17bに蓋部17aが被さる構成とされている。
【0059】
蓋部17aには、扁平筒形状部分17bの誘導路3kに軸線方向に重ねるように連通する導出口17kが開口される。
【0060】
扁平筒形状部分17bにあっては、流路3hの誘導口3j側の部分が、誘導口3jより扁平筒形状部分17bの軸心に向かって突出する突出部3rとされている。この突出部3rは、その先端がさらに先端側に向かうように折曲されている。このように、第6実施形態においては、堰き止め部3iの誘導口3j側の内面位置Pが、流路3hの誘導口3j側の内面位置Qより径方向外側に位置している。そして、扁平筒形状部分17bに蓋部17aを被せることにより、蓋部17aの堰き止め部3iの端部と扁平筒形状部分17bの突出部3rとの間に、誘導口3jが形成される。
【0061】
このような第6実施形態においても、第1実施形態とほぼ同様な効果を得ることができるのに加えて、堰き止め部3iの誘導口3j側の内面位置Pが、流路3hの誘導口3j側の内面位置Qより径方向外側に位置しているため、流動性の悪い化粧料は、誘導口3jに流入し難く、より好適に堰き止め部3iで堰き止めることができると共に、流動性の良い化粧料は、より好適に誘導口3jに流入させることができ、その結果、流動性の悪い化粧料と良い化粧料の分離性をより高めることができる。加えて、この実施形態では、突出部3rの先端が、先端側に向かうように折曲されているため、流動性の悪い化粧料は誘導口3jに一層流入し難く、流動性の悪い化粧料と良い化粧料の分離性をより一層高めることができる。
【0062】
また、上記P,Qの位置関係にあっても、誘導筒17の誘導部3bは、蓋部17aと扁平筒形状部分17bに2分割されているため、離型の際に、金型が無理抜きにならないようになっている。
【0063】
図17は、本発明の第7実施形態に係る化粧料容器の誘導筒を斜め上方から見た斜視図、図18は、図17に示す誘導筒の縦断面図である。
【0064】
この第7実施形態が第1実施形態と違う点は、堰き止め部3iに、その内側(開口部3g側)と、その外側(塗布部4a側)に位置し塗布部4aに連通する領域である流路4eとを繋ぐ空気孔3tを設けた点である。
【0065】
ここで、空気孔3tは小径の空気孔であり、当該空気孔3tを通して流動性の悪い化粧料が通過しない大きさに設定されている。
【0066】
このような第7実施形態においても、第1実施形態とほぼ同様な効果を得ることができるのに加えて、堰き止め部3iの内側に溜まろうとする空気が、空気孔3tを通して、流路4eに逃がされ、流動性が悪い化粧料を好適に堰き止め部3iに堰き止め溜めることができる。
【0067】
なお、この空気孔3tは、第2〜第6実施形態の堰き止め部3iに対しても適用可能である。
【0068】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に、流動性の悪い化粧料を堰き止め溜めることができるとして、堰き止め部3iを、凹状に構成しているが、平板に近い形状であっても良い。
【0069】
また、上記実施形態においては、特に好適であるとして、誘導口3jを2個、この誘導口3jに連通する誘導路を2個としているが、それぞれ1個以上であれば良い。
【0070】
また、上記実施形態においては、誘導路3kを、誘導筒の軸線方向に延びるように構成しているが、軸線方向に対して傾斜した傾斜路であっても良い。従って、誘導口3jも、軸線方向に直交する方向に開口されるものに限定されず、軸線方向に直交する方向に対して傾斜して開口されていても良い。
【0071】
また、上記実施形態においては、螺子による押出機構を有する回転式の化粧料容器100に対する適用を述べているが、例えばノック式の化粧料容器に対しても適用でき、さらには、本体筒1及び操作筒2を例えばチューブやソフトボトル等の単純なスクイーズ式の容器(容器本体)に代えた化粧料容器に対しても適用できる。
【符号の説明】
【0072】
1…本体筒(容器本体)、1a…収容室、3,13,14〜17…誘導筒、3g…開口部、3h…流路、3i…堰き止め部、3j…誘導口、3k,14k,24k…誘導路、3t…空気孔、4,24…先筒、4a…塗布部、4e…先筒の流路(塗布部に連通する領域)、100…化粧料容器。
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