【実施例】
【0068】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0069】
<アクリル樹脂の合成>合成例1 攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた500mlフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(80質量部)及び酢酸エチル(20質量部)を仕込み、115℃に昇温した。別の容器に、メタクリル酸メチル(22質量部)、ジメチルアクリルアミド(50質量部)、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート(20質量部)、サイラプレーンFM−0721(JNC株式会社製、8質量部)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(32質量部)、酢酸エチル(8質量部)及び、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル(0.75質量部)を加えて、溶解させることによって、モノマーの混合溶液(モノマー溶液)を調製した。調製したモノマー溶液を2時間かけて上記500mlフラスコに滴下し、攪拌しながら、115℃で3時間反応させた。
【0070】
さらに、プロピレングリコールモノメチルアセテート(4質量部)、酢酸エチル(1質量部)、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル(0.1質量部)及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル(0.1質量部)の混合液を、上記500mlフラスコに滴下し、攪拌しながら、115℃で1時間反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(4質量部)、酢酸エチル(1質量部)、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル(0.1質量部)及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル(0.1質量部)の混合液を更に滴下し2時間反応させて、固形分が40%であるアクリル樹脂((A)成分)を得た。
【0071】
合成例2〜12及び比較合成例1〜3 表1〜3に示す組成でモノマー溶液を調製したこと以外は、合成例1と同様の方法によって、合成例2〜12のアクリル樹脂((A)成分)及び比較合成例1〜3のアクリル樹脂((A)成分)を製造した。
【0072】
ここで、表1〜3に示される略称は以下の化合物を示し、数値は質量部を示す。DMAA:ジメチルアクリルアミド (興人フィルム&ケミカルズ株式会社製)DEAA:ジエチルアクリルアミド (興人フィルム&ケミカルズ株式会社製)AAEM:2−アセトアセトキシエチルメタクリレート (日本合成化学株式会社製)サイラプレーンFM−0711:片末端メタクリレート変性ポリジメチルシロキサン 分子量 1000(JNC株式会社製)サイラプレーン FM−0721:片末端メタクリレート変性ポリジメチルシロキサン 分子量5000(JNC株式会社製)マクロモノマー AK−32:片末端メタクリレート変性ポリジメチルシロキサン 分子量20000(東亞合成株式会社製)VPS501:ポリジメチルシロキサン系高分子重合開始剤(和光純薬株式会社製)MMA:メタクリル酸メチル(三菱レイヨン株式会社製)
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
赤外分光測定(IR測定) 得られたアクリル樹脂の赤外分光測定は、以下のようにして行った。まず、2枚のミニKBrプレート(ジャスコエンジニアリング株式会社製)の間に、合成例1のアクリル樹脂又は比較合成例1〜3のアクリル樹脂を適量挟んで圧縮し、測定用の試料を調製した。そして、上記試料を、FT−IR Microscope Spotlight 400フーリエ変換赤外分光光度計(パーキンエルマージャパン株式会社製)を用いて測定した。結果を
図1〜4に示す。
【0077】
GC−MS 得られたアクリル樹脂のGC−MSは、以下のようにして行った。まず、合成例1のアクリル樹脂又は比較合成例1のアクリル樹脂をDoble−Shot Pyrolyzer PY−2020Dパイロライザー(フロンティア・ラボ株式会社製)を用いて、450℃で熱分解した。次に、熱分解したアクリル樹脂である試料をMass Selective Detector 5973Nガスクロマトグラフ質量分析装置(Agilent社製)を用いて検出した。結果を
図5及び6に示す。
【0078】
結果 合成例1のアクリル樹脂と比較合成例1のアクリル樹脂との比較において、IR測定では特徴的なピークは確認できなかった。しかし、GC−MSでは9.20分にAAEMに由来すると考えられる特徴的なピークを合成例1のアクリル樹脂において確認することが出来た。
【0079】
合成例1のアクリル樹脂と比較合成例2のアクリル樹脂との比較において、IR測定ではポリジメチルシロキサン特有の810cm
−1のピークが合成例1のアクリル樹脂において確認することが出来た。
【0080】
合成例1のアクリル樹脂と比較合成例3のアクリル樹脂との比較において、IR測定ではジアルキルアクリルアミド(DMAA)特有の1640
cm
−1のピークが合成例1のアクリル樹脂において確認することが出来た。
【0081】
<多官能性オリゴマーの合成>合成例13ポリグリセリン誘導体の合成 攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた500mlフラスコに、ポリグリセリン6量体PGL 06(株式会社ダイセル製、水酸基価959、45.4質量部)、2−アクリロイルエチルイソシアネート カレンズAOI(昭和電工株式会社製、54.6質量部)及びp−メトキシフェノール(和光純薬工業株式会社製、0.05質量部)を仕込み、攪拌した。さらに、ジブチル錫ラウレートTN−12(堺工業株式会社製)の1%メチルエチルケトン(MEK)溶液(1.0質量部)を上記フラスコに添加し、1時間室温で攪拌した。その後、50℃に昇温し、5時間反応させた。赤外分光法にてイソシアネートの消失とウレタン結合の生成とを確認して、アクリロイル基を導入したポリグリセリン誘導体を得た。
【0082】
<防曇用塗料組成物(塗料組成物)の作製>実施例1 合成例1で得られたアクリル樹脂(100質量部)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(7.4質量部)、ジアザビシクロウンデセン(0.47質量部)及びイソブタノール(50.5質量部)をビーカーに添加して攪拌することで、固形分が30%である防曇用塗料組成物を調製した。ポリエチレンテレフタラート(PET)(東洋紡株式会社製、商品名コスモシャインA−4300 #100)上にNo26のバーコーターを用いて上記防曇用塗料組成物を塗布した。その後、100℃、20分にて硬化させ、厚さが約10μmである、実施例1の硬化膜を得た。
【0083】
実施例2〜19 (A)成分の種類、(B)成分の種類、(B)成分の(メタ)アクリレートと(A)成分の製造に用いたAAEMとのモル比及び触媒量が、それぞれ表4〜6で示される通りになるように調製し、固形分が30%になるようにイソブタノールで希釈することで、実施例2〜19の防曇用塗料組成物を調製した。PET(東洋紡株式会社製、商品名コスモシャインA−4300 #100)上にNo26のバーコーターを用いて上記防曇用塗料組成物を塗布した。その後、100℃、20分にて硬化させ、厚さが約10μmである、実施例2〜19の硬化膜をそれぞれ得た。
【0084】
実施例20 (A)成分の種類、(B)成分の種類、(B)成分の(メタ)アクリレートと(A)成分の製造に用いたAAEMとのモル比及び触媒量が表5で示される通りになるように調製し、固形分30%になるように、イソブタノールで希釈することで、実施例20の防曇用塗料組成物を調製した。PET(東洋紡株式会社製、商品名コスモシャインA−4300 #100)上にNo26のバーコーターを用いて上記防曇用塗料組成物を塗布した。その後、100℃10分にて溶剤を揮発させた後、積算光量が500mJ/cm
2になるように紫外線(UV)を照射し、塗布した上記防曇用塗料組成物を硬化させることで、厚さが約10μmである実施例20の硬化膜を得た。
【0085】
比較例1〜3 (A)成分の種類、(B)成分の種類、(B)成分の(メタ)アクリレートと(A)成分の製造に用いたAAEMとのモル比及び触媒量が表6に示される通りになるように調製し、比較例1〜3の塗液(塗料組成物)を得た。PET(東洋紡株式会社製、商品名コスモシャインA−4300 #100)上にNo26のバーコーターを用いて上記塗液を塗布した。その後、100℃、20分にて硬化させることで、厚さが10μmである比較例2及び3の硬化膜をそれぞれ得た。比較例1については、十分硬化せず、硬化膜を得ることができなかった。
【0086】
なお、表4〜6に示される略称は以下の化合物を示す。A−DPH:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学株式会社製)NK−エステルA−TMPA−9Eo:ポリエチレングリコール変性トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学株式会社製)A−400:NK エステルA−400 ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学株式会社製)DBU:ジアザビシクロウンデセン(サンアプロ株式会社製)KOH:水酸化カリウムIBT:イソブタノール また、表4〜6に示されるモル比は、(B)成分の(メタ)アクリレートと(A)成分の製造に用いたAAEMとのモル比、すなわち、[(B)成分の(メタ)アクリロイル基のモル数]/[(A)成分中の(a−1)成分のモル数]であることを意味する。
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
<評価方法>必要硬化条件(必要硬化温度、必要硬化時間)の評価 PET(東洋紡株式会社製、商品名コスモシャインA−4300 #100)上にNo26のバーコーターを用いて、防曇用塗料組成物を塗布し、厚さが約10μmである撥水防曇層を作製した。その後、60℃、80℃又は100℃のいずれかの温度で10分、20分又は30分間のいずれかの時間にて熱硬化を行い、塗膜試験片を得た。 得られた塗膜試験片を、水でラビング試験(10往復)を行い、ラビングの後の溶解がない最小の硬化温度と最小の硬化時間とをそれぞれ、必要硬化温度及び必要硬化時間とした。 なお、必要硬化温度が100℃以下であって、必要硬化時間が20分以内であればより好ましく、10分以内であれば非常に好ましい。
【0091】
HAZE測定 試験片は、PET(東洋紡株式会社製、商品名コスモシャインA−4300 #100)上にNo26のバーコーターを用いて、防曇用塗料組成物を塗布し、100℃20分にて加熱硬化させた塗膜試験片を使用した。なお、以下に示す硬度試験、接触角測定、防曇性試験(呼気)、防曇性試験(スチーム試験)、水垂れ跡の評価、耐水性試験、油性インクハジキ性試験及び油性インク拭き取り性試験においても、同様の試験片を用いた。 厚み方向のHAZE[%]を、旧JIS規格K7105に準拠したヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、型式:TC−H3DPK)を用いて測定した。HAZE(%)=(拡散透過率/全光線透過率)×100
【0092】
硬度試験 鉛筆硬度試験は、ASTM D3363に準拠して測定した。JIS K5600−5−4の「鉛筆引っかき試験」に準じた。
【0093】
接触角測定 接触角計(協和界面科学株式会社製、「DropMaster DM700」)を用いて、上記にて作製した塗膜上の水(2μL)に対する接触角を測定した。
【0094】
密着試験 試験片は、ポリカーボネート(PC)板上にアプリケーターにて防曇用塗料組成物を塗布し、100℃20分間にて熱硬化させた塗膜試験片を使用した。 塗膜がある面(塗膜面)にカッターナイフを用いて、ポリカーボネート板に達する互いに平行な11本の切り傷を前後方向及び左右方向にそれぞれつけ、100個の碁盤目を作製した。その後、塗膜の碁盤目の部分にセロハンテープを強く圧着させ、セロハンテープの端を、塗膜の面に対して45°の角度で一気に引き剥がし、碁盤目の状態を評価した(JIS K5600 に準ずる)。評価基準を以下に示す。○と評価した試験片を、密着性が良好であると判断した。 ○:はがれた升目の数/100=0/100〜30/100 ×:はがれた升目の数/100=31/100〜100/100
【0095】
吸湿率試験 ポリプロピレン板にアプリケーターにて約40μmの厚さに、防曇用塗料組成物の塗膜を形成し、100℃20分熱硬化させた。その後、ポリプロピレン板から、7.5cm×7.5cmのサイズで硬化した塗膜のみをはがし、得られた塗膜を試験サンプルとした。上記試験サンプルを、24℃、湿度98%の条件下で24時間静置し、十分に水分を吸湿させた。加熱乾燥式水分計(株式会社エー・アンド・ディー製、加熱乾燥式水分計MX−50)を用いて、乾燥前の質量(イ)と乾燥後の質量(ロ)とを測定し、下記式にて飽和吸湿率を算出した。飽和吸湿率(%)=100×{乾燥前の試験サンプルの質量(イ)−乾燥後の試験サンプルの質量(ロ)}/乾燥後の試験サンプルの質量(ロ) なお、試験サンプルを150℃まで加熱し、水分を十分に乾燥させてから、乾燥後の試験サンプルの質量を測定した。
【0096】
防曇性試験(呼気) 上記塗膜試験片の塗膜面に呼気を10秒間拭きかけ、室温にて曇りの有無を評価した。評価基準を以下に示す。◎:まったく曇らない。○:一瞬曇るが、曇りがすぐ消える。□:呼気を吹きかけた一部が曇るがすぐに消える。△:呼気を吹きかけた一部にのみ曇りが認められる。×:広い範囲で曇りが認められる。
【0097】
防曇性試験(スチーム試験) 60℃に保った温水浴の水面から5cmの高さの所に、上記塗膜試験片を、塗膜面が上記水面側を向くように設置した。その後、温水浴からのスチームを上記塗膜に連続照射し、照射から60秒後の曇りの有無を目視によって次の5段階で評価した。なお、評価が△以上であれば実用上問題なく、○であればより好ましく、◎であれば非常に好ましい。◎:30秒後曇りがまったく認められないが、60秒後曇りが認められる。○:10秒後曇りがまったく認められないが、30秒後曇りが認められる。□:スチーム照射直後は曇らないが、10秒後曇りが認められる。△:スチーム照射直後、一部に曇りが認められる。×:スチーム照射直後、すぐに全体に曇りが認められる。
【0098】
水垂れ跡の評価 60℃に保った温水浴の水面から5cmの高さの所に、塗膜試験片を塗膜面が上記水面側を向くように設置した。温水浴からのスチームを上記塗膜に60秒間連続照射した後、試験片を垂直に立てた状態で室温にて1時間乾燥させた。乾燥後に塗膜面における水垂れ跡の有無を目視によって次の3段階で評価した。なお、評価が△以上であれば実用上問題ない。○:水垂れ跡がまったく認められない。△:水垂れ跡は認められないが、わずかに塗膜表面が荒れた状態である。×:水垂れ跡が認められる。
【0099】
耐水性試験 塗膜試験片を50℃の温水に240時間浸漬し、室温にて1時間乾燥した。その後、室温で呼気を10秒間吹きかけ、曇りの有無を目視によって評価した。さらに、目視によって塗膜の状態を評価した。なお、評価が△以上であれば実用上問題なく、◎又は○であればより好ましい。◎:全く曇らない。○:一瞬わずかに曇るがすぐに曇りが晴れる。△:塗膜に一部ふくれがみられるが、全く曇らない。×:硬化不足のため、塗膜が剥がれ落ちる。
【0100】
油性インクハジキ性試験 油性マーカー(寺西化学工業株式会社製、商品名、黒マジックインキ)にて、塗膜試験片の塗膜面に線を引き、油性インクに対するハジキ性を評価した。◎:とても良くハジク。○:良くハジク。□:ハジク。△:ややハジク。×:まったくはじかない。
【0101】
油性インク拭き取り性試験 油性マーカー(寺西化学工業株式会社製、商品名、黒マジックインキ)にて、塗膜試験片の塗膜面に線を引き、ティッシュペーパーにて拭き取り、油性インクに対する拭き取り性を以下の基準にて評価した。また、接触角が90度以上であって、拭き取り性が×以外の評価である塗膜を、撥水性が良好であると評価した。◎:軽い力でふき取れ、跡が残らない○:ふき取れ、跡が残らない□:強い力で拭き取れ、跡が残らない△:ふき取れるが、跡が残る×:全くふき取れない
【0102】
<試験結果>
【表7】
【0103】
【表8】
【0104】
【表9】
【0105】
<防曇性被膜が形成された物品の作製> 実施例1の防曇用塗料組成物を、保護メガネ(商品名「JIS安全メガネ」、型番No.337)にスプレー塗装し、100℃で20分間熱硬化させるか、又は、室温に10分間静置し溶剤を揮発させた後、積算光量が500mJ/cm
2になるように紫外線(UV)を照射し硬化させることで、
膜厚が約14μmである防曇性被膜が形成された防曇性物品(製造例1及び2)を得た。
【0106】
<評価方法> 上述した方法と同様の方法にて、HAZE試験、硬度試験、接触角測定、防曇性試験(呼気)、防曇性試験(スチーム試験)、水垂れ跡の評価、耐水性試験、油性インクハジキ性試験及び油性インク拭き取り性試験を行った。
【0107】
【表10】
【0108】
<まとめ及び考察>AAEMの量 比較例1と実施例1との結果から、AAEMを用いないと塗膜が硬化しないことが分かった。 実施例1、5、8、12及び13の結果を比較すると、AAEMの共重合量が少ないと、防曇性が向上する一方で、必要硬化時間の増加又は必要硬化温度の上昇が観察された。また、AAEMの共重合量が多いと、熱硬化性が向上する一方で、架橋密度が高くなる傾向があった。以上のことから、アクリル樹脂を基準として、AAEMの量は5質量%〜55質量%であることが好ましいと結論づけた。
【0109】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)の分子量 実施例1、7及び9の結果を比較すると、分子量が1000であるPDMS(FM−0711)を使用すると、分子量が5000以上であるPDMS(FM−0721又はAK−32)を使用した場合と比較して、油性インクハジキ性、及び油性インク拭き取り性が低下する傾向があった。以上のことから、PDMSの分子量は5000以上であることが好ましいと結論づけた。
【0110】
PDMSの量 比較例2と実施例1、8及び14との結果を比較すると、PDMSが1質量%以上入っていれば、撥水性を示し、油性インクハジキ性、及び油性インク拭き取り性が向上することが分かった。以上のことから、アクリル樹脂を基準として、PDMSの量は1質量%〜30質量%であることが好ましいと結論づけた。
【0111】
ジアルキルアクリルアミドの種類 実施例1及び7の結果を比較すると、DMAAとDEAAとでは、DMAAの方が、優れた防曇性を有する傾向があった。
【0112】
ジアルキルアクリルアミドの量 比較例3と実施例1、6、7、10及び11との結果の比較から、DMAAの量が多いほど吸湿率が高く、防曇性が向上する傾向があった。また、DMAAの量が多いほど、耐水性が低下する傾向があった。以上のことから、防曇性を発揮するには、アクリル樹脂を基準として、ジアルキルアクリルアミドの量は30質量%〜75質量%程度であることが好ましいと結論づけた。
【0113】
多官能性モノマーの影響 実施例6と実施例16〜19との結果を比較すると、エチレングリコールの誘導体及び、ポリグリセリンの誘導体を使用すると、吸湿率が高く、防曇性が向上する傾向があった。
【0114】
AAEMとアクリレートとの比率(モル比)の影響 実施例1〜4の結果から、アクリレート/AAEMの比(モル比)が0.5〜3であるとき、塗膜が十分に硬化することが分かった。
【0115】
触媒 実施例1及び22の結果を比較すると、DBUだけでなく、他のアルカリ触媒でも熱硬化することが分かった。KOHでは樹脂との相溶性が十分ではなく、得られる塗料組成物が濁る傾向があった。
【0116】
紫外線照射(UV照射)による硬化 実施例1及び23の結果を比較すると、本発明に係る塗料組成物は、触媒なしで、UV等の活性エネルギー線の照射によっても硬化することが分かった。