【実施例】
【0021】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。
図1は本発明の光コネクタの構成図である。また、
図2は送受一体型レンズの斜視図、
図3は
図2のA視方向から見た送受一体型レンズの図、
図4は送受一体型レンズの組み付けに係る説明図である。
【0022】
図1において、光コネクタは、プラグ側の光コネクタと、レセプタクル側の光コネクタ1とからなり、このレセプタクル側の光コネクタ1(以下、光コネクタ1と略記する)は、回路基板2に対し実装される。光コネクタ1は、発光側FOT(Fiber Optic Transceiver )3と、受光側FOT4と、コネクタハウジング5と、シールドケース6と、本発明の特徴部分となる送受一体型レンズ7とを含んで構成される。尚、
図1においては、発光側FOT3及び受光側FOT4が紙面垂直方向に並んで配置されるものとする。
【0023】
発光側FOT3及び受光側FOT4は、FOT本体8と、このFOT本体8からのびる複数本のリードフレーム9とを備えて構成される。発光側FOT3のFOT本体8には、図示しない発光素子(例えばLED)が内蔵される。一方、受光側FOT4のFOT本体8には、図示しない受光素子(例えばPD)が内蔵される。リードフレーム9は、回路基板2のスルーホール10に差し込まれ、この後に半田付けされると、所定の回路との電気的な接続が完了する。発光側FOT3及び受光側FOT4は、本実施例において公知のものが用いられるものとする。
【0024】
コネクタハウジング5は、箱形状となる樹脂製の一部品であって、この前側にコネクタ嵌合部11が形成され、後側にはFOT収容部12が形成される。FOT収容部12は、発光側FOT3及び受光側FOT4を並んだ状態に収容する部分として形成される。このようなFOT収容部12には、貫通孔13(
図4参照)が所定の間隔をあけて二つ形成される。二つの貫通孔13は、図示しない発光素子及び受光素子の位置に合わせて配置形成される。また、二つの貫通孔13は、コネクタ嵌合部11に連通するように形成される。
【0025】
コネクタハウジング5は、この下面から突出する固定ピン14を用いて回路基板2に固定される。具体的には、回路基板2のハウジング固定穴15に固定ピン14が差し込まれて固定される。
【0026】
シールドケース6は、箱形状となる金属製の一部品であって、本実施例においては発光側FOT3及び受光側FOT4を収容した状態のコネクタハウジング5を覆うことができる大きさに形成される(発光側FOT3及び受光側FOT4のみを覆うような形状であってもよいものとする)。このようなシールドケース6の下部には、ピン形状のグランド部16と、固定ピン17とが形成される。グランド部16は、回路基板2のスルーホール18に差し込まれて図示しないグランドに半田付けされる。一方、固定ピン17は、回路基板2の固定穴19に差し込まれて固定される。
【0027】
図2及び
図3において、送受一体型レンズ7は、光透過性を有する樹脂製の一部品(一つの部品)であって、発光側導光部材20と、受光側導光部材21と、連結部22と、空間23とを有し、例えば図示の形状に形成される(図示の全体形状は一例であるものとする)。
【0028】
発光側導光部材20は、導光部24と、この導光部24に一体化するフランジ部25とを有する。導光部24は、フランジ部25の第一面26から真っ直ぐ且つ長く突出する第一筒部27と、フランジ部25の第二面28から短く突出する第二筒部29と、第一筒部27及び第二筒部29の内側を充填するように形成されるレンズ30とを有して、略円筒状(略円柱状)となる形状に形成される。
【0029】
第一筒部27と第二筒部29は、フランジ部25を境にして非対称形状に形成される。第一筒部27の外面には、側面視三角形状の長リブ31が一体に形成される。また、第二筒部29の外面には、側面視三角形状の短リブ32が一体に形成される。長リブ31及び短リブ32は、送受一体型レンズ7の樹脂成形時における樹脂材料の流動性を向上させるための部分として形成される。長リブ31及び短リブ32により、第一筒部27及び第二筒部29の先端まで樹脂材料が流れるようになることから、成形精度を高めることができる(ショートショットを防止することができる)。第二筒部29の突出先端部には、調整部33が一体に形成される。
【0030】
尚、本実施例において、調整部33は発光側導光部材20にだけ形成されるものとする(形状の最適化を図るため、受光側導光部材21には形成されない)。
【0031】
レンズ30には、図示しない発光素子に対し最適形状となる非球面形状レンズ(図示省略)の部分と、その他の部分とが形成される。レンズ30は、発光側専用のレンズとして形成される。
【0032】
フランジ部25は、矩形板状となる形状に形成される。フランジ部25は、所定の肉厚にて形成される。フランジ部25の第二面28には、コ字状のFOT接触部34が一体に形成される(形状は一例であるものとする)。FOT接触部34は、発光側FOT3におけるFOT本体8の平面部に面接触する部分として形成される。FOT接触部34の形成により、組み付け時においては、例えばレンズ傾きを防止するすることができる。
【0033】
受光側導光部材21は、発光側導光部材20と同様に、導光部35と、この導光部35に一体化するフランジ部36とを有する(構成は発光側導光部材20と基本的に同じであるが、最適化されて細部の構造は若干異なる)。
【0034】
導光部35は、フランジ部36の第一面37から真っ直ぐ且つ長く突出する第一筒部38と、フランジ部36の第二面39から短く突出する第二筒部40と、第一筒部38及び第二筒部40の内側を充填するように形成されるレンズ41とを有して、略円筒状(略円柱状)となる形状に形成される。
【0035】
第一筒部38と第二筒部40は、フランジ部36を境にして非対称形状に形成される。第一筒部38の外面には、側面視三角形状の長リブ42が一体に形成される。また、第二筒部40の外面には、側面視三角形状の短リブ43が一体に形成される。長リブ42及び短リブ43は、上記長リブ31及び短リブ32と同様に、送受一体型レンズ7の樹脂成形時における樹脂材料の流動性を向上させるための部分として形成される。第二筒部40は、発光側導光部材20の第二筒部29よりも若干短く形成される。
【0036】
レンズ41には、図示しない受光素子に対し最適形状となる非球面形状レンズ(図示省略)の部分と、その他の部分とが形成される。レンズ41は、受光側専用のレンズとして形成される。
【0037】
フランジ部36は、矩形板状となる形状に形成される。フランジ部36は、所定の肉厚にて形成される。フランジ部36の第二面39には、コ字状のFOT接触部44が一体に形成される(形状は一例であるものとする)。FOT接触部44は、受光側FOT4におけるFOT本体8の平面部に面接触する部分として形成される。FOT接触部44の形成により、組み付け時においては、例えばレンズ傾きを防止するすることができる。FOT接触部44は、上記FOT接触部34に対して同一平面になるように形成される。フランジ部36は、空間23が介在した状態で、発光側導光部材20のフランジ部25と並ぶような位置に配置される。
【0038】
連結部22は、発光側導光部材20と受光側導光部材21とを繋ぐ部分として形成される。具体的には、空間23をあけてフランジ部25とフランジ部36とを繋ぐように形成される。
【0039】
尚、図中の矢印Pを発光側導光部材20と受光側導光部材21との並び方向、矢印Qをコネクタハウジング5に対する発光側導光部材20と受光側導光部材21の収容方向、矢印Rを上記各方向に直交する方向とすると、連結部22は矢印Rの方向の一端側に位置するように配置される。
【0040】
連結部22は、弾力性を有するような形状に形成される。具体的には、フランジ部25の一側部45及びフランジ部36の一側部46から外側へ突出するようなブリッジ形状(略コ字状の形状)に形成される。また、連結部22は、コネクタハウジング5への組み付け時に作業者が手で持つことができる、持ち手部分47となるような形状にも形成される。
【0041】
空間23は、スリット形状に形成される。具体的には、矢印Rの方向の他端側、すなわち連結部22の形成位置の反対側が開口するようなスリット形状に形成される。
【0042】
以上、
図1ないし
図3を参照しながら説明してきたように、光コネクタ1は上記構成及び構造の送受一体型レンズ7を含み、この送受一体型レンズ7に関しては、次のような効果を奏する。
【0043】
すなわち、送受一体型レンズ7は、発光側導光部材20と受光側導光部材21とを有し、これらが連結部22により繋がれて一体化することから、大きな一つの部品として用いることができる。本発明によれば、発光側導光部材20自身、及び、受光側導光部材21自身が小さくても、連結部22にて一体化すれば、大きな一つの部品として用いることができる。従って、コネクタハウジング5への組み付けに係る作業性を向上させることができるという効果を奏する。
【0044】
また、送受一体型レンズ7は、上記の一体化により一つの部品になることから、一方に発光側FOT3用のレンズ30を、他方に受光側FOT4用のレンズ41をそれぞれ形成しても、これらを区別することなく、また、コネクタハウジング5に対し誤挿入することなく組み付けをすることができる。従って、作業性を向上させることができるという効果を奏する。
【0045】
また、送受一体型レンズ7は、上記の一体化により一つの部品になることから、一方に発光側FOT3用のレンズ30を、他方に受光側FOT4用のレンズ41をそれぞれ形成することができる。従って、光学部品としての形状の最適化を図ることができるという効果を奏する。
【0046】
また、
図4に示す如く、送受一体型レンズ7は、連結部22が弾力性を有するブリッジ形状に形成され、発光側導光部材20と受光側導光部材21との間の空間23がスリット形状に形成されることから、発光側導光部材20と受光側導光部材21とのピッチP1がコネクタハウジング5の組み付け部分48のピッチP2に対し厳密に合致してなくとも、撓みにより吸収することができる。従って、送受一体型レンズ7をコネクタハウジング5に確実に組み付けることができ、以て作業性を向上させることができるという効果を奏する。
【0047】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。