特許第6354102号(P6354102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6354102
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】光コネクタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   G02B6/42
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-100850(P2013-100850)
(22)【出願日】2013年5月13日
(65)【公開番号】特開2014-222256(P2014-222256A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2016年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 直嗣
【審査官】 奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−171463(JP,A)
【文献】 特開2010−026345(JP,A)
【文献】 特開2006−154788(JP,A)
【文献】 特開2006−078644(JP,A)
【文献】 特開2009−145715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
G02B 6/255−6/27
G02B 6/30− 6/34
G02B 6/36− 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を有する発光側FOT(Fiber Optic Transceiver )と、
受光素子を有する受光側FOTと、
前記発光側FOT及び前記受光側FOTを並んだ状態に収容するFOT収容部を有するコネクタハウジングと、
前記発光側FOT及び前記受光側FOTの位置に合わせて前記コネクタハウジングに組み付けられる二つの導光部材と、
を含む光コネクタにおいて、
前記コネクタハウジングは、前記二つの導光部材を組み付け可能に形成される組み付け部分を備え、
該組み付け部分は、前記発光素子及び前記受光素子の位置に合わせて配置形成される二つの貫通孔を備え、
前記二つの導光部材は、前記発光側FOT用のレンズが形成される発光側導光部材と、前記受光側FOT用のレンズが形成される受光側導光部材とからなり、
前記発光側導光部材は、発光側の導光部と、発光側のフランジ部とを有してなり、前記発光側の導光部は、前記発光側のフランジ部の発光側の第一面から突出し前記二つの貫通孔のうち一方の貫通孔に挿通可能に形成される発光側の第一筒部と、前記発光側のフランジ部の発光側の第二面から突出する発光側の第二筒部と、前記発光側の第一筒部及び前記発光側の第二筒部の内側を充填するように形成される発光側のレンズとを有し、
前記発光側の第一筒部と前記発光側の第二筒部は、前記発光側のフランジ部を境にして非対称形状に形成され、前記発光側の第一筒部の外面には、側面視三角形状の発光側の長リブが一体に形成され、前記発光側の第二筒部の外面には、側面視三角形状の発光側の短リブが一体に形成されてなり、
前記受光側導光部材は、受光側の導光部と、受光側のフランジ部とを有してなり、前記受光側の導光部は、前記受光側のフランジ部の受光側の第一面から突出し前記二つの貫通孔のうち他方の貫通孔に挿通可能に形成される受光側の第一筒部と、前記受光側のフランジ部の受光側の第二面から突出する受光側の第二筒部と、前記受光側の第一筒部及び前記受光側の第二筒部の内側を充填するように形成される受光側のレンズとを有し、
前記受光側の第一筒部と前記受光側の第二筒部は、前記受光側のフランジ部を境にして非対称形状に形成され、前記受光側の第一筒部の外面には、側面視三角形状の受光側の長リブが一体に形成され、前記受光側の第二筒部の外面には、側面視三角形状の受光側の短リブが一体に形成されてなり、
前記発光側導光部材と前記受光側導光部材とからなる前記二つの導光部材は、前記発光側のフランジ部と前記受光側のフランジ部との間に空間を設け、弾力性を有するブリッジ形状の前記連結部により繋がれて1つの部品として一体化されてなり、
前記ブリッジ形状の前記連結部は、前記発光側導光部材と前記受光側導光部材との並び方向及び収容方向にそれぞれ直交する方向の一端側に位置するように配置され、さらに、前記空間は、前記連結部と前記発光側導光部材と前記受光側導光部材との配置により、前記一端の反対側となる他端側が開口するスリット形状に形成され
さらに、前記ブリッジ形状の前記連結部は、
前記発光側導光部材と前記受光側導光部材それぞれの中心軸が略平行に配置された状態で前記発光側導光部材と前記受光側導光部材とがこの並び方向において互いに近づいて前記発光側導光部材と前記受光側導光部材とのピッチが前記一方の貫通孔と前記他方の貫通孔とのピッチと合致するように撓むことができるとともに、前記発光側導光部材と前記受光側導光部材それぞれの中心軸が略平行に配置された状態で前記発光側導光部材と前記受光側導光部材とがこの並び方向において互いに離れて前記発光側導光部材と前記受光側導光部材とのピッチが前記一方の貫通孔と前記他方の貫通孔とのピッチと合致するように撓むことができるように形成され
ことを特徴とする光コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の光コネクタにおいて、
前記ブリッジ形状の前記連結部は、持ち手部分としても形成される
ことを特徴とする光コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信分野で用いられる光コネクタに関し、詳しくはFOT(Fiber Optic Transceiver )と相手側との間に導光部材が配置される光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、OA、FA、車載機器等の光通信には光コネクタが用いられる。光コネクタは、プラグ側の光コネクタと、レセプタクル側の光コネクタとからなる(例えば、下記特許文献1参照)。プラグ側の光コネクタは、ハウジング(光コネクタハウジング)を有し、このハウジングには、光ファイバ端末に設けられたフェルールが収容保持される。
【0003】
一方、レセプタクル側の光コネクタは、機器に内蔵された回路基板に対し実装されるものであって、プラグ側の光コネクタが嵌合するハウジング(光コネクタハウジング)と、発光側FOT(Fiber Optic Transceiver )及び受光側FOTと、これら発光側FOT及び受光側FOTを覆うシールドケースと、二つのスリーブ及び二つの導光部材とを備えて構成される。
【0004】
レセプタクル側の光コネクタのハウジングは、回路基板上に載置固定される箱形状の樹脂部品であって、この前側にコネクタ嵌合部が形成され、後側にはFOT収容部が形成される。FOT収容部は、発光側FOT及び受光側FOTを並んだ状態に収容する部分として形成される。このようなFOT収容部には、真っ直ぐな貫通孔が所定の間隔をあけて二つ形成される。二つの貫通孔は、発光素子及び受光素子の位置に合わせて配置され、コネクタ嵌合部に連通するように形成される。二つの貫通孔には、スリーブがそれぞれ挿入される。
【0005】
二つのスリーブには、FOT収容部側から導光部材がそれぞれ挿入される。また、二つのスリーブには、コネクタ嵌合部側からプラグ側の光コネクタのフェルールがそれぞれ挿入される。二つの導光部材は、発光素子及び受光素子と、フェルール端面に露出する光ファイバとの間に介在するように配置される。二つの導光部材は、光透過性を有し、下記特許文献1ではレンズとして機能する部分を有する。二つの導光部材は、小さな部品であり、共に同じ形状に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−215273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来のレセプタクル側の光コネクタにあっては、導光部材が上記の如く小さな部品であることから、次のような問題点を有する。
【0008】
すなわち、組み付けに係る作業性が悪くなってしまうという問題点を有する。また、導光部材には挿入方向に制約があり、十分に気を付けていないと誤挿入が生じてしまうという問題点や、そのために作業性が悪くなってしまうという問題点を有する。
【0009】
この他、小さな部品であることから、レンズとして機能する部分を発光側FOT及び受光側FOTに対し個々に最適化することができないという問題点を有する。これは、仮に最適化をしたとしても、両者のレンズを外観上区別することができないからである。また、そのために誤組み付けの原因にもなってしまうからである。従って、レンズとして機能する部分は、形状の最適化を図ることができず、共通形状(同じ形状)に形成される。
【0010】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、作業性の向上を図ることが可能な、また、形状の最適化を図ることも可能な光コネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明は、発光素子を有する発光側FOT(Fiber Optic Transceiver )と、
受光素子を有する受光側FOTと、
前記発光側FOT及び前記受光側FOTを並んだ状態に収容するFOT収容部を有するコネクタハウジングと、
前記発光側FOT及び前記受光側FOTの位置に合わせて前記コネクタハウジングに組み付けられる二つの導光部材と、
を含む光コネクタにおいて、
前記コネクタハウジングは、前記二つの導光部材を組み付け可能に形成される組み付け部分を備え、
該組み付け部分は、前記発光素子及び前記受光素子の位置に合わせて配置形成される二つの貫通孔を備え、
前記二つの導光部材は、前記発光側FOT用のレンズが形成される発光側導光部材と、前記受光側FOT用のレンズが形成される受光側導光部材とからなり、
前記発光側導光部材は、発光側の導光部と、発光側のフランジ部とを有してなり、前記発光側の導光部は、前記発光側のフランジ部の発光側の第一面から突出し前記二つの貫通孔のうち一方の貫通孔に挿通可能に形成される発光側の第一筒部と、前記発光側のフランジ部の発光側の第二面から突出する発光側の第二筒部と、前記発光側の第一筒部及び前記発光側の第二筒部の内側を充填するように形成される発光側のレンズとを有し、
前記発光側の第一筒部と前記発光側の第二筒部は、前記発光側のフランジ部を境にして非対称形状に形成され、前記発光側の第一筒部の外面には、側面視三角形状の発光側の長リブが一体に形成され、前記発光側の第二筒部の外面には、側面視三角形状の発光側の短リブが一体に形成されてなり、
前記受光側導光部材は、受光側の導光部と、受光側のフランジ部とを有してなり、前記受光側の導光部は、前記受光側のフランジ部の受光側の第一面から突出し前記二つの貫通孔のうち他方の貫通孔に挿通可能に形成される受光側の第一筒部と、前記受光側のフランジ部の受光側の第二面から突出する受光側の第二筒部と、前記受光側の第一筒部及び前記受光側の第二筒部の内側を充填するように形成される受光側のレンズとを有し、
前記受光側の第一筒部と前記受光側の第二筒部は、前記受光側のフランジ部を境にして非対称形状に形成され、前記受光側の第一筒部の外面には、側面視三角形状の受光側の長リブが一体に形成され、前記受光側の第二筒部の外面には、側面視三角形状の受光側の短リブが一体に形成されてなり、
前記発光側導光部材と前記受光側導光部材とからなる前記二つの導光部材は、前記発光側のフランジ部と前記受光側のフランジ部との間に空間を設け、弾力性を有するブリッジ形状の前記連結部により繋がれて1つの部品として一体化されてなり、
前記ブリッジ形状の前記連結部は、前記発光側導光部材と前記受光側導光部材との並び方向及び収容方向にそれぞれ直交する方向の一端側に位置するように配置され、さらに、前記空間は、前記連結部と前記発光側導光部材と前記受光側導光部材との配置により、前記一端の反対側となる他端側が開口するスリット形状に形成され
さらに、前記ブリッジ形状の前記連結部は、
前記発光側導光部材と前記受光側導光部材それぞれの中心軸が略平行に配置された状態で前記発光側導光部材と前記受光側導光部材とがこの並び方向において互いに近づいて前記発光側導光部材と前記受光側導光部材とのピッチが前記一方の貫通孔と前記他方の貫通孔とのピッチと合致するように撓むことができるとともに、前記発光側導光部材と前記受光側導光部材それぞれの中心軸が略平行に配置された状態で前記発光側導光部材と前記受光側導光部材とがこの並び方向において互いに離れて前記発光側導光部材と前記受光側導光部材とのピッチが前記一方の貫通孔と前記他方の貫通孔とのピッチと合致するように撓むことができるように形成されることを特徴とする。
【0012】
このような特徴を有する本発明によれば、導光部材に関し、二つの小さな部品が連結部により繋がれて一体化することから、大きな一つの部品として用いることが可能なる。また、本発明によれば、一体化して一つの部品になることから、一方に発光側FOT用のレンズ、他方に受光側FOT用のレンズを形成することが可能になる。
【0014】
また、このような特徴を有する本発明によれば、連結部が弾力性を有するブリッジ形状に形成され、発光側導光部材と受光側導光部材との間の空間がスリット形状に形成されることから、発光側導光部材と受光側導光部材とのピッチがコネクタハウジングの組み付け部分のピッチに対し厳密に合致してなくとも、撓みにより吸収することが可能になる。
【0015】
請求項に記載の本発明は、請求項に記載の光コネクタにおいて、前記ブリッジ形状の前記連結部は、持ち手部分としても形成されることを特徴とする。
【0016】
このような特徴を有する本発明によれば、連結部を持ちながらコネクタハウジングへの組み付けが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された本発明によれば、導光部材に関し、二つの小さな部品から大きな一つの部品にすることから、作業性の向上を図ることができるという効果を奏する。また、上記の如く一つの部品にすることから、誤挿入や誤組み付けを防止して作業性の向上を図ることができるという効果を奏する。さらに、本発明によれば、導光部材に関し、形状の最適化を図ることができるという効果も奏する。
【0018】
請求項2に記載された本発明によれば、更に作業性の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の光コネクタの構成図である。
図2】送受一体型レンズの斜視図である。
図3図2のA視方向から見た送受一体型レンズの図である。
図4】送受一体型レンズの組み付けに係る説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
回路基板に対し実装される光コネクタは、発光側FOT(Fiber Optic Transceiver )と、受光側FOTと、コネクタハウジングと、シールドケースと、送受一体型レンズとを含んで構成される。送受一体型レンズは、発光側FOT用のレンズが形成される発光側導光部材と、受光側FOT用のレンズが形成される受光側導光部材とを連結部により繋いで一体形成される。連結部は、発光側導光部材と受光側導光部材とのピッチを狭めたりすることが可能な弾力性を有するブリッジ形状に形成される。発光側導光部材と受光側導光部材との間には、これらを近づけるような撓みを許容する空間が形成される。
【実施例】
【0021】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。図1は本発明の光コネクタの構成図である。また、図2は送受一体型レンズの斜視図、図3図2のA視方向から見た送受一体型レンズの図、図4は送受一体型レンズの組み付けに係る説明図である。
【0022】
図1において、光コネクタは、プラグ側の光コネクタと、レセプタクル側の光コネクタ1とからなり、このレセプタクル側の光コネクタ1(以下、光コネクタ1と略記する)は、回路基板2に対し実装される。光コネクタ1は、発光側FOT(Fiber Optic Transceiver )3と、受光側FOT4と、コネクタハウジング5と、シールドケース6と、本発明の特徴部分となる送受一体型レンズ7とを含んで構成される。尚、図1においては、発光側FOT3及び受光側FOT4が紙面垂直方向に並んで配置されるものとする。
【0023】
発光側FOT3及び受光側FOT4は、FOT本体8と、このFOT本体8からのびる複数本のリードフレーム9とを備えて構成される。発光側FOT3のFOT本体8には、図示しない発光素子(例えばLED)が内蔵される。一方、受光側FOT4のFOT本体8には、図示しない受光素子(例えばPD)が内蔵される。リードフレーム9は、回路基板2のスルーホール10に差し込まれ、この後に半田付けされると、所定の回路との電気的な接続が完了する。発光側FOT3及び受光側FOT4は、本実施例において公知のものが用いられるものとする。
【0024】
コネクタハウジング5は、箱形状となる樹脂製の一部品であって、この前側にコネクタ嵌合部11が形成され、後側にはFOT収容部12が形成される。FOT収容部12は、発光側FOT3及び受光側FOT4を並んだ状態に収容する部分として形成される。このようなFOT収容部12には、貫通孔13(図4参照)が所定の間隔をあけて二つ形成される。二つの貫通孔13は、図示しない発光素子及び受光素子の位置に合わせて配置形成される。また、二つの貫通孔13は、コネクタ嵌合部11に連通するように形成される。
【0025】
コネクタハウジング5は、この下面から突出する固定ピン14を用いて回路基板2に固定される。具体的には、回路基板2のハウジング固定穴15に固定ピン14が差し込まれて固定される。
【0026】
シールドケース6は、箱形状となる金属製の一部品であって、本実施例においては発光側FOT3及び受光側FOT4を収容した状態のコネクタハウジング5を覆うことができる大きさに形成される(発光側FOT3及び受光側FOT4のみを覆うような形状であってもよいものとする)。このようなシールドケース6の下部には、ピン形状のグランド部16と、固定ピン17とが形成される。グランド部16は、回路基板2のスルーホール18に差し込まれて図示しないグランドに半田付けされる。一方、固定ピン17は、回路基板2の固定穴19に差し込まれて固定される。
【0027】
図2及び図3において、送受一体型レンズ7は、光透過性を有する樹脂製の一部品(一つの部品)であって、発光側導光部材20と、受光側導光部材21と、連結部22と、空間23とを有し、例えば図示の形状に形成される(図示の全体形状は一例であるものとする)。
【0028】
発光側導光部材20は、導光部24と、この導光部24に一体化するフランジ部25とを有する。導光部24は、フランジ部25の第一面26から真っ直ぐ且つ長く突出する第一筒部27と、フランジ部25の第二面28から短く突出する第二筒部29と、第一筒部27及び第二筒部29の内側を充填するように形成されるレンズ30とを有して、略円筒状(略円柱状)となる形状に形成される。
【0029】
第一筒部27と第二筒部29は、フランジ部25を境にして非対称形状に形成される。第一筒部27の外面には、側面視三角形状の長リブ31が一体に形成される。また、第二筒部29の外面には、側面視三角形状の短リブ32が一体に形成される。長リブ31及び短リブ32は、送受一体型レンズ7の樹脂成形時における樹脂材料の流動性を向上させるための部分として形成される。長リブ31及び短リブ32により、第一筒部27及び第二筒部29の先端まで樹脂材料が流れるようになることから、成形精度を高めることができる(ショートショットを防止することができる)。第二筒部29の突出先端部には、調整部33が一体に形成される。
【0030】
尚、本実施例において、調整部33は発光側導光部材20にだけ形成されるものとする(形状の最適化を図るため、受光側導光部材21には形成されない)。
【0031】
レンズ30には、図示しない発光素子に対し最適形状となる非球面形状レンズ(図示省略)の部分と、その他の部分とが形成される。レンズ30は、発光側専用のレンズとして形成される。
【0032】
フランジ部25は、矩形板状となる形状に形成される。フランジ部25は、所定の肉厚にて形成される。フランジ部25の第二面28には、コ字状のFOT接触部34が一体に形成される(形状は一例であるものとする)。FOT接触部34は、発光側FOT3におけるFOT本体8の平面部に面接触する部分として形成される。FOT接触部34の形成により、組み付け時においては、例えばレンズ傾きを防止するすることができる。
【0033】
受光側導光部材21は、発光側導光部材20と同様に、導光部35と、この導光部35に一体化するフランジ部36とを有する(構成は発光側導光部材20と基本的に同じであるが、最適化されて細部の構造は若干異なる)。
【0034】
導光部35は、フランジ部36の第一面37から真っ直ぐ且つ長く突出する第一筒部38と、フランジ部36の第二面39から短く突出する第二筒部40と、第一筒部38及び第二筒部40の内側を充填するように形成されるレンズ41とを有して、略円筒状(略円柱状)となる形状に形成される。
【0035】
第一筒部38と第二筒部40は、フランジ部36を境にして非対称形状に形成される。第一筒部38の外面には、側面視三角形状の長リブ42が一体に形成される。また、第二筒部40の外面には、側面視三角形状の短リブ43が一体に形成される。長リブ42及び短リブ43は、上記長リブ31及び短リブ32と同様に、送受一体型レンズ7の樹脂成形時における樹脂材料の流動性を向上させるための部分として形成される。第二筒部40は、発光側導光部材20の第二筒部29よりも若干短く形成される。
【0036】
レンズ41には、図示しない受光素子に対し最適形状となる非球面形状レンズ(図示省略)の部分と、その他の部分とが形成される。レンズ41は、受光側専用のレンズとして形成される。
【0037】
フランジ部36は、矩形板状となる形状に形成される。フランジ部36は、所定の肉厚にて形成される。フランジ部36の第二面39には、コ字状のFOT接触部44が一体に形成される(形状は一例であるものとする)。FOT接触部44は、受光側FOT4におけるFOT本体8の平面部に面接触する部分として形成される。FOT接触部44の形成により、組み付け時においては、例えばレンズ傾きを防止するすることができる。FOT接触部44は、上記FOT接触部34に対して同一平面になるように形成される。フランジ部36は、空間23が介在した状態で、発光側導光部材20のフランジ部25と並ぶような位置に配置される。
【0038】
連結部22は、発光側導光部材20と受光側導光部材21とを繋ぐ部分として形成される。具体的には、空間23をあけてフランジ部25とフランジ部36とを繋ぐように形成される。
【0039】
尚、図中の矢印Pを発光側導光部材20と受光側導光部材21との並び方向、矢印Qをコネクタハウジング5に対する発光側導光部材20と受光側導光部材21の収容方向、矢印Rを上記各方向に直交する方向とすると、連結部22は矢印Rの方向の一端側に位置するように配置される。
【0040】
連結部22は、弾力性を有するような形状に形成される。具体的には、フランジ部25の一側部45及びフランジ部36の一側部46から外側へ突出するようなブリッジ形状(略コ字状の形状)に形成される。また、連結部22は、コネクタハウジング5への組み付け時に作業者が手で持つことができる、持ち手部分47となるような形状にも形成される。
【0041】
空間23は、スリット形状に形成される。具体的には、矢印Rの方向の他端側、すなわち連結部22の形成位置の反対側が開口するようなスリット形状に形成される。
【0042】
以上、図1ないし図3を参照しながら説明してきたように、光コネクタ1は上記構成及び構造の送受一体型レンズ7を含み、この送受一体型レンズ7に関しては、次のような効果を奏する。
【0043】
すなわち、送受一体型レンズ7は、発光側導光部材20と受光側導光部材21とを有し、これらが連結部22により繋がれて一体化することから、大きな一つの部品として用いることができる。本発明によれば、発光側導光部材20自身、及び、受光側導光部材21自身が小さくても、連結部22にて一体化すれば、大きな一つの部品として用いることができる。従って、コネクタハウジング5への組み付けに係る作業性を向上させることができるという効果を奏する。
【0044】
また、送受一体型レンズ7は、上記の一体化により一つの部品になることから、一方に発光側FOT3用のレンズ30を、他方に受光側FOT4用のレンズ41をそれぞれ形成しても、これらを区別することなく、また、コネクタハウジング5に対し誤挿入することなく組み付けをすることができる。従って、作業性を向上させることができるという効果を奏する。
【0045】
また、送受一体型レンズ7は、上記の一体化により一つの部品になることから、一方に発光側FOT3用のレンズ30を、他方に受光側FOT4用のレンズ41をそれぞれ形成することができる。従って、光学部品としての形状の最適化を図ることができるという効果を奏する。
【0046】
また、図4に示す如く、送受一体型レンズ7は、連結部22が弾力性を有するブリッジ形状に形成され、発光側導光部材20と受光側導光部材21との間の空間23がスリット形状に形成されることから、発光側導光部材20と受光側導光部材21とのピッチP1がコネクタハウジング5の組み付け部分48のピッチP2に対し厳密に合致してなくとも、撓みにより吸収することができる。従って、送受一体型レンズ7をコネクタハウジング5に確実に組み付けることができ、以て作業性を向上させることができるという効果を奏する。
【0047】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0048】
1…光コネクタ、 2…回路基板、 3…発光側FOT、 4…受光側FOT、 5…コネクタハウジング、 6…シールドケース、 7…送受一体型レンズ、 8…FOT本体、 9…リードフレーム、 10、18…スルーホール、 11…コネクタ嵌合部、 12…FOT収容部、 13…貫通孔、 14…固定ピン、 15…ハウジング固定穴、 16…グランド部、 17…固定ピン、 19…固定穴、 20…発光側導光部材、 21…受光側導光部材、 22…連結部、 23…空間、 24、35…導光部、 25、36…フランジ部、 26、37…第一面、 27、38…第一筒部、 28、39…第二面、 29、40…第二筒部、 30、41…レンズ、 31、42…長リブ、 32、43…短リブ、 33…調整部、 34、44…FOT接触部、 45、46…一側部、 47…持ち手部分、 48…組み付け部分
図1
図2
図3
図4