特許第6354400号(P6354400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6354400無停電電源装置の保護方法および保護装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6354400
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】無停電電源装置の保護方法および保護装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   H02J9/06 120
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-140655(P2014-140655)
(22)【出願日】2014年7月8日
(65)【公開番号】特開2016-19363(P2016-19363A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】竹内 将雄
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−051928(JP,U)
【文献】 特開平05−199677(JP,A)
【文献】 実開昭56−083953(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から供給さる交流電力を直流電力に変換するコンバータと、直流電力を交流電力に変換して負荷へ供給するインバータと、前記コンバータと前記インバータとを接続する直流中間回路と、この直流中間回路に接続され直流電圧を平滑する直流コンデンサと、前記直流中間回路に接続されるバックアップ用のバッテリとを備え、前記交流電源が健全な状態ではこの交流電源から前記コンバータおよびインバータを介して負荷へ交流電力を供給し、前記交流電源が停電したときは、前記バッテリから前記インバータを介して負荷へ交流電力を供給するようにした無停電電源装置において、
前記交流電源の停電時に前記バッテリの電圧が放電終止電圧以下となって前記無停電電源装置全体が停止され放電終止停止状態にあるときに前記バッテリを直流中間回路から切り離すことを特徴とする無停電電源装置の保護方法。
【請求項2】
さらに前記バッテリと無停電電源装置とが接続されているときには、前記バッテリ電圧が、バッテリの最小放電電圧以下に低下したときに、前記バッテリを直流中間回路から切り離すことを特徴とする請求項1に記載の無停電電源装置の保護方法。
【請求項3】
交流電源から供給さる交流電力を直流電力に変換するコンバータと、直流電力を交流電力に変換して負荷へ供給するインバータと、前記コンバータと前記インバータとを接続する直流中間回路と、この直流中間回路に接続され直流電圧を平滑する直流コンデンサと、前記直流中間回路に接続されるバックアップ用のバッテリとを備え、前記交流電源が健全な状態ではこの交流電源から前記コンバータおよびインバータを介して負荷へ交流電力を供給し、前記交流電源が停電したときは、前記バッテリから前記インバータを介して負荷へ交流電力を供給するようにした無停電電源装置において、
前記無停電電源装置の直流中間回路と前記バッテリを接続する回路を開閉する保護スイッチと、前記交流電源が停電して前記バッテリから給電中に、バッテリ電圧がその放電終止電圧以下に低下したとき、前記無停電電源装置を放電終止停止状態にする手段と、無停電電源装置が放電終止停止状態にあるとき、前記バッテリと前記直流中間回路との接続状態を監視するバッテリ接続監視手段と、このバッテリ接続監視手段がバッテリの接続が切断されたことを検知したとき、前記保護スイッチに遮断指令を与える手段と、を備えることを特徴とする無停電電源装置の保護装置。
【請求項4】
さらに、前記バッテリ接続監視手段がバッテリ回路の接続を検知しているときに、前記バッテリの電圧が最小放電電圧に低下したことが検知されたとき前記保護スイッチに遮断信号を与える手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の無停電電源装置の保護装置。
【請求項5】
前記保護スイッチは、前記無停電電源装置内に設けられた、外部からトリップが可能なシャントトリップ機能付きの手動操作形の回路遮断器とすることを特徴とする請求項3又は4に記載の無停電電源装置の保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータと、このコンバータから供給される直流電力を交流電力に変換して負荷へ供給するインバータとを備え、前記コンバータとインバータとを接続する直流中間回路に前記交流電源の停電をバックアップするバッテリを接続して、交流電源が停電しても負荷への交流電力の供給を継続することのできる無停電電源装置に係り、そのバックアップ用のバッテリの保護に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムなどに安定した電源を供給する装置として無停電電源装置が使用される。
【0003】
このような無停電電源装置は、従来から、例えば特許文献1や特許文献2に示されるようによく知られているが、その一般的な構成は、図3に示すとおりである。
【0004】
この図3に示す無停電電源装置10は、一般に、商用交流電源等を使用した交流電源1が健全で、交流入力電圧が正常な場合には、交流電源1から供給される交流電力をコンバータ2で直流電力に変換し、インバータ3に供給する。インバータ3は、この直流電力を交流電力に変換して負荷8に供給する。コンバータ2とインバータ3とを接続する直流中間回路4には、直流電圧を平滑するための直流コンデンサ7が接続される一方、交流電源1の停電をバックアップするために、バッテリ5が回路遮断器9を介して接続される。回路遮断器9は、バッテリ5と直流中間回路との接続を開閉するとともに、バッテリ5に流れる電流が過大になったとき、このバッテリ電流を遮断してバッテリ5を過大電流から保護する働きをする。
【0005】
交流電源1が停電し、交流入力電圧が低下した場合は、コンバータ2の動作を停止して、バッテリ5からインバータ3に直流電力を供給し、この直流電力をインバータ3で交流電力に変換して負荷8へ供給することにより負荷8への給電を無停電で継続する。
【0006】
交流電源1の停電が長時間継続して、バッテリ5が放電し、その電圧VBが予め設定された放電終止電圧VF以下になるまで低下すると、バッテリ5を保護するため、無停電電源装置10全体の動作を停止して、負荷8への給電を停止する。このようにバッテリ5の電圧VBが放電終止電圧VF以下の電圧に低下することによって無停電電源装置10が負荷8への給電動作を停止することを、ここでは、放電終止停止と呼ぶことにする。
【0007】
無停電電源装置10は、放電終止停止状態にあるときに、交流電源1の停電が復旧して電圧が正常になると、コンバータ2およびインバータ3を自動的に再起動してバッテリ5への充電および負荷8への給電を再開する自動再起動機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭62‐012339号公報
【特許文献2】特許第54866404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような無停電電源装置10において自動再起動機能を働かせるためには、バッテリ5を直流中間回路4に接続した状態にしておく必要がある。無停電電源装置10の放電終止停止状態において、バッテリ5と直流中間回路4との接続が、例えば外部の回路遮断器9を誤って遮断操作するなどして切断されると、直流中間回路4への直流電力の供給がなくなるため、直流中間回路4の直流コンデンサ7が放電し、その電圧が次第に低下する。直流コンデンサ7が放電した後で、遮断器9が投入されて、バッテリ5が無停電電源装置10に再接続されると、バッテリ5から直流コンデンサ7に充電突入電流が流れるので、バッテリ5の電流が過大となって、バッテリ5が損傷するという問題ある。
【0010】
この発明は、このような問題を解消するために、バッテリの電圧が放電終止電圧VF以下に低下して無停電電源装置が放電終止停止状態なった後に、バッテリの再接続が行われたとき、バッテリにコンデンサを充電するための突入電流が流れるのを防止することのできる無停電電源装置の保護方法および保護装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を解決するため、第1の発明は、交流電源から供給さる交流電力を直流電力に変換するコンバータと、直流電力を交流電力に変換して負荷へ供給するインバータと、前記コンバータと前記インバータとを接続する直流中間回路と、この直流中間回路に接続され直流電圧を平滑する直流コンデンサと、前記直流中間回路に接続されるバックアップ用のバッテリとを備え、前記交流電源が健全な状態ではこの交流電源から前記コンバータおよびインバータを介して負荷へ交流電力を供給し、前記交流電源が停電したときは、前記バッテリから前記インバータを介して負荷へ交流電力を供給するようにした無停電電源装置において、
前記交流電源の停電時に前記バッテリの電圧が放電終止電圧VF以下にとなって前記無停電電源装置全体が停止され放電終止停止状態にあるときに、前記バッテリと無停電電源装置との接続が切断されているときに、前記バッテリを直流中間回路から切り離すことを特徴とするものである。
【0012】
第1の発明において、さらに前記バッテリと無停電電源装置とが接続されているときには、前記バッテリ電圧が、バッテリの最小放電電圧以下に低下したときに、前記バッテリを直流中間回路から切り離すようにするのがよい。
【0013】
第2の発明は、交流電源から供給さる交流電力を直流電力に変換するコンバータと、直流電力を交流電力に変換して負荷へ供給するインバータと、前記コンバータと前記インバータとを接続する直流中間回路と、この直流中間回路に接続され直流電圧を平滑する直流コンデンサと、前記直流中間回路に接続されるバックアップ用のバッテリとを備え、前記交流電源が健全な状態ではこの交流電源から前記コンバータおよびインバータを介して負荷へ交流電力を供給し、前記交流電源が停電したときは、前記バッテリから前記インバータを介して負荷へ交流電力を供給するようにした無停電電源装置において、
前記無停電電源装置の直流中間回路と前記バッテリを接続する回路を開閉する保護スイッチと、前記交流電源が停電して前記バッテリから給電中に、バッテリ電圧がその放電終止電圧以下に低下したとき、前記無停電電源装置を放電終止停止状態にする手段と、無停電電源装置が放電終止停止状態にあるとき、前記バッテリと前記直流中間回路との接続状態を監視するバッテリ接続監視手段と、このバッテリ接続監視手段がバッテリの接続が切断されたことを検知したとき、前記保護スイッチに遮断信号を与える手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第2の発明において、さらに、前記バッテリ接続監視手段がバッテリ回路の接続を検知しているときに、前記バッテリの電圧が最小放電電圧に低下したことが検知されたとき前記保護スイッチに遮断信号を与える手段を備えるようにするのがよい。
【0015】
第2の発明において、前記保護スイッチは、前記無停電電源装置内に設けられた、外部からトリップが可能なシャントトリップ機能付きの手動操作形の回路遮断器とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、無停電電源装置の放電終止停止状態において、バッテリと無停電電源装置の接続が切断されたことが検知されると、バッテリと直流中間回路との接続を遮断してバッテリを無停電電源装置から切り離すようにしている。この状態で、外部の回路遮断器が投入操作されてバッテリが無停電電源装置に再接続されることがあっても、バッテリは直流中間回路からは切り離されているので、直流コンデンサに突入電流が流れることがなく、バッテリを再接続時の過電流から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明による無停電電源装置の実施例を示すブロック構成図。
図2】この発明におけるバッテリ回路の保護スイッチの遮断処理工程を示すフロー図。
図3】従来の無停電電源装置の構成を示すブロック構成図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施の形態を図に示す実施例について説明する。
【0019】
図1は、この発明の実施例を示すブロック構成図である。
【0020】
図1における無停電電源装置10は、図3に示す従来装置と同じく、商用交流電源等で構成された交流電源1、この交流電源1から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータ2、直流電力を交流電力に変換して負荷8に供給するインバータ3、コンバータ2とインバータ3とを接続してコンバータ2からインバータ3へ直流電力を供給する直流中間回路4、この直流中間回路4における直流電圧を平滑する直流コンデンサ7を備える。
【0021】
さらに、無停電電源装置10の外部に設置された、交流電源1の停電をバックアップするためのバッテリ5が、外部回路遮断器9を介して直流中間回路4に接続される。回路遮断器9は、バッテリ5の直流中間回路4への接続を開閉するとともに、この回路に流れる電流が過大となると遮断してバッテリ5を過大電流から保護する機能を有する。
【0022】
この他に、この発明にしたがって無停電電源装置10を制御する制御装置20が設けられている。この制御装置20は、無停電電源装置10の全体の制御を行うシーケンス制御部21、交流電源1の電圧を検出する交流電源電圧検出器22、バッテリ5の電圧を検出するバッテリ電圧検出器23、バッテリ回路の遮断器9の開閉動作状態を検出する遮断器動作検出部24およびバッテリ5の放電の許される最小放電電圧を設定する最小放電電圧設定器25で構成される。そして、バッテリ5と直流中間回路4とを接続する回路中には、シーケンス制御部21からの指令によって接点を開放してバッテリ回路を遮断しバッテリ5を保護する、保護スイッチ6が設けられている。
【0023】
次に、このようなこの発明の無停電電源装置10の動作を説明する。
【0024】
保護スイッチ6は、通常は接点が閉じられているので、バッテリ5は直流中間回路4に接続されている。
【0025】
交流電源1が健全で正常な電圧にある状態では、無停電電源装置10は、従来装置と同様に、交流電源1から供給される交流電力をコンバータ2により直流電力に変換して直流中間回路4を介してインバータ3およびバッテリ5に供給する。この直流電力は、インバータ3で交流電力に変換されて負荷8へ供給されるとともに、バッテリ5に充電される。
【0026】
そして、交流電源1が停電し、その電圧が低下すると、シーケンス制御部21が交流電源電圧検出器22の出力からこれを検出し、停電の発生を検知する。シーケンス制御部21は、交流電源1の停電を検知すると、直ちに、コンバータ2に動作停止指令I2を与えて、コンバータ2の動作を停止する。これにより直流中間回路4にはバッテリ5から直流電力が供給され、インバータ3がこの直流電力を交流電力に変換して負荷8へ供給するので、交流電源1が停電しても負荷8へは無停電で給電を継続することができる。
【0027】
このように交流電源1が停電して、バッテリ5からインバータ3を介して負荷8へ給電している状態になると、バッテリ5の充電電力が時間の経過とともに放電されるので、バッテリ5の電圧が次第に低下する。シーケンス制御部21は、バッテリ電圧検出器23を介してこのようなバッテリ5の電圧低下を監視している。
【0028】
バッテリ5の電圧が、バッテリの放電を終止する電圧として予め設定された放電終止電圧VFに達すると、バッテリ5はこれ以上の負荷への給電に耐えられなくなるので、シーケンス制御部21は、直ちにインバータ3に動作停止指令I3を与えて、インバータ3の動作を停止して装置全体の動作を停止する。これにより、負荷8への給電が停止される。
【0029】
この状態では、まだバッテリ5が、遮断器9および保護スイッチ6を介して無停電電源装置10の直流中間回路4に接続されているので、この直流中間回路4のコンデンサ7にバッテリ5から電圧が加えられ、コンデンサ7の充電電圧はバッテリ5の電圧に保持される。
【0030】
しかし、バッテリ回路の遮断器9が誤って操作されるなどして遮断されると、バッテリ5が直流中間回路4から切断されることにより、コンデンサ7の充電電源がなくなるため、コンデンサ7は放電し、充電電圧が時間とともに低下し、終には、ゼロとなる。コンデンサ7の電荷が放電され、充電電圧がゼロまで低下した後で、無停電電源装置10の自動再起動等のために、遮断器9を再投入すると、バッテリ5からコンデンサ7を充電するための過大な突入電流が流れ、この過大電流によりバッテリ5が損傷を受けることになる。
【0031】
この発明においては、バッテリ5をこのようなコンデンサへの過大な充電突入電流から保護するために、シーケンス制御部21で、バッテリ電圧検出器23を介してバッテリ電圧VBを監視するとともに、ブレーカ動作検出部24を介してブレーカ9の動作状態を監視し、図2に示す保護スイッチ6の遮断条件の判定処理を行う。
【0032】
シーケンス制御部21は、バッテリ電圧検出器23により検出したバッテリ電圧が放電終止電圧VF以下に低下したことを検出したとき、シーケンス制御部21がコンバータ2およびインバータ3に動作停止指令I2、I3を与え、無停電電源装置10を放電終止停止状態にする。そして、このとき、シーケンス制御部21は、無停電電源装置10が放電終止停止状態にあることを示すフラグを立て、これを記憶保持する。
【0033】
シーケンス制御部21は、図2に示す保護スイッチ遮断判定処理が開始されると、まず、ステップS1で、シーケンス制御部21の内部に保持された図示しない無停電電源装置10が放電終止停止状態であることを示すフラグの内容を読み取り、無停電電源装置10が放電終止停止状態であるかどうかを判定する。この結果、無停電電源装置10が放電終止停止状態になければ、No分岐から判定処理を一旦終了して、またスッテプS1に戻る。
【0034】
ステップS1で、無停電電源装置10が放電終止状態にあると判定された場合は、Yes分岐からステップS2のバッテリ5が直流中間回路4に接続されているか否かの判定処理へ進む。ステップS2では、遮断器動作態検出部24の状態を読み取り、遮断器9の開閉状態を検知し、遮断(開成)状態であることが判定された場合は、バッテリ5と直流中間回路4との接続が遮断され、バッテリ5が、無停電電源装置10から切り離された状態であるので、No分岐からステップS4へ進んで、保護スイッチ6を遮断する処理が行われる。
【0035】
ステップS4の保護スイッチ6の遮断処理では、シーケンス制御部21から無停電電源装置10内の保護スイッチ6に遮断指令I6を与えて保護スイッチ6を遮断する処理が行われる。保護スイッチ6は、このように遮断指令I6を受け取ると、接点を開成して、バッテリ5と直流中間回路4との接続回路を遮断する。これにより、バッテリ5と直流中間回路4との接続が遮断されると、無停電電源装置10が放電終止停止状態に置かれている状態で、遮断されている遮断器9が誤って操作され再投入されたとしてもバッテリ5が直流中間回路4に再接続されることがないので、バッテリ5からコンデンサ7に充電突入電流が供給されることはない。したがってバッテリ5をコンデンサ7への過大な充電突入電流から保護することができる。このようなスッテプS4の処理が終わると判定処理が終了する。
【0036】
スッテプS2で、遮断器開閉状態検出部24から読み取った結果により、遮断器9が投入(閉成)された状態にあり、バッテリ5が直流中間回路4に接続されていると判定された場合は、Yes分岐化からバッテリ電圧の判定処理を行うステップS3へ進む。
【0037】
スッテプS3のバッテリ電圧判定処理は、その都度、バッテリ電圧検出部23から読み取ったバッテリ電圧VBと制御装置20に設けたバッテリ最小放電電圧設定器25に設定されたバッテリの最小放電設定電圧Vminと比較して、バッテリ電圧VBが最小放電電圧Vmin以下かどうかの判定処理を行う。
【0038】
バッテリ電圧VBが最小放電設定電圧Vminより大きい場合は、No分岐から処理終了となる。
【0039】
また、バッテリ電圧VBが最小放電設定電圧Vmin以下である場合は、分岐YesからステップS4の保護スイッチ6の遮断処理へ進んで、保護スイッチ6を遮断する処理を行う。
【0040】
この結果、保護スイッチ6が遮断されることにより、遮断器9が投入(オン)されていてもバッテリ5と直流中間回路4との接続は遮断される。交流電源1が停電し、無停電電源装置10が長時間放電終止停止状態に置かれると、無停電電源装置10が動作していなくとも、バッテリ5の充電電力は、直流中間回路4を通し放電されるのでバッテリ電圧VBは、放電終止電圧VFからさらに次第に低下する。そして、バッテリ電圧VBが、最小放電設定電圧Vmin以下に低下するまでバッテリ5が放電されるとバッテリは過放電となり、バッテリの寿命を縮めることになるので、このようなバッテリ5の過放電は防止する必要がある。
【0041】
この発明によれば、前記のようにシーケンス制御部21で、バッテリ5が投入状態にある遮断器9を通して無停電電源装置10の直流中間回路に接続された状態で、バッテリ電圧VBが最小放電電圧Vmin以下に低下したとき、保護スイッチ6を遮断して、バッテリを無停電電源装置10から切り離すようにしているので、バッテリ5のこれ以上の放電が防止され、バッテリ5の過放電による損耗を抑制することができ、バッテリの寿命を長く維持することができるようになる。
【0042】
なお、この発明において、無停電電源回路10のバッテリ5と直流中間回路4と接続する回路を開閉する保護スイッチ6としては、一般には電磁リレーを使用すればよいが、これに代えて、予め無停電電源装置10に備わった、外部からトリップが可能なシャントトリップ機能付きの手動操作形の回路遮断器を使用するようにしてもよい。この場合は、シーケンス制御部21からの遮断指令I6をこのシャントトリップ機能付き回路遮断器にトリップ指令として与える。
【符号の説明】
【0043】
10:無停電電源装置
1:交流電源
2:コンバータ
3:インバータ
4:直流中間回路
5:バッテリ
6:保護スイッチ
7:直流コンデンサ
8:負荷
20:制御装置
21:シーケンス制御部
22:交流電源電圧検出器
23:バッテリ電圧検出器
24:遮断器動作検出部
25:バッテリ最小放電電圧設定器
図1
図2
図3