(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6354404
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】タイヤのユニフォミティ修正方法
(51)【国際特許分類】
G01M 1/30 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
G01M1/30
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-141092(P2014-141092)
(22)【出願日】2014年7月9日
(65)【公開番号】特開2016-17864(P2016-17864A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(72)【発明者】
【氏名】土肥 秀典
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠
【審査官】
島田 保
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−055766(JP,A)
【文献】
特開2002−116109(JP,A)
【文献】
特開2000−280264(JP,A)
【文献】
特開平11−020040(JP,A)
【文献】
特開2016−016703(JP,A)
【文献】
特開2013−257190(JP,A)
【文献】
特開2012−181072(JP,A)
【文献】
特開2013−006367(JP,A)
【文献】
米国特許第06740280(US,B1)
【文献】
特開平10−071653(JP,A)
【文献】
特開2002−079589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 1/30−1/38
G01M 17/02
B60C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの左側ビード部を内周側から保持する左側ドラム部と、右側ビード部を内周側から保持する右側ドラム部とを有し、この左側ドラム部および右側ドラム部はそれぞれタイヤ周方向に少なくとも4分割以上に分割されたセグメントにより構成され、それぞれのセグメントがタイヤ半径方向に移動することにより、前記左側ドラム部と前記右側ドラム部とは独立して拡縮し、前記セグメントの前記ビード部との当接面がそれぞれ加熱機構により独立して加熱制御されるユニフォミティ修正装置を用いたタイヤのユニフォミティ修正方法であって、
前記左側ビード部に前記左側ドラム部を挿通させ、前記右側ビード部に前記右側ドラム部を挿通させてタイヤをセットし、左側ドラム部および右側ドラム部のいずれか一方では、予め把握しているこのタイヤのLFV波形でのピークの位置に相当するタイヤ周方向位置およびその近傍範囲に対応するセグメントのみを前記加熱機構により所定温度範囲に加熱するとともに、左側ドラム部および右側ドラム部のいずれか他方では、前記左側ドラム部および右側ドラム部のいずれか一方において前記加熱機構により加熱されるセグメントとはタイヤ側面視で対角の位置にあるセグメントのみを前記加熱機構により所定温度範囲に加熱して、前記左側ドラム部および前記右側ドラム部を所定位置まで拡径した状態にして所定時間維持することを特徴とするタイヤのユニフォミティ修正方法。
【請求項2】
前記セグメントとして、タイヤ周方向に均等に分割されたセグメントを用いる請求項1に記載のタイヤのユニフォミティ修正方法。
【請求項3】
前記所定温度範囲を100℃〜180℃に設定する請求項1または2に記載のタイヤのユニフォミティ修正方法。
【請求項4】
前記左側ドラム部および前記右側ドラム部を所定位置まで拡径した状態に維持する前記所定時間を10分〜15分に設定する請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤのユニフォミティ修正方法。
【請求項5】
前記セグメントのタイヤ半径方向の移動範囲を、タイヤのビード部内径位置を基準にしてタイヤ半径方向外側および内側にそれぞれ5mm〜10mmに設定する請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤのユニフォミティ修正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤのユニフォミティ修正方法に関し、さらに詳しくは、タイヤのLateral Force Variation(以下、LFVという)を、精度よく適正範囲内に修正できるタイヤのユニフォミティ修正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの評価項目としてユニフォミティがある。タイヤのユニフォミティの程度を確認する際には主に、タイヤを転動させた際に発生するタイヤ半径方向の力の変動の大きさを示すRFVとタイヤ幅(タイヤ軸)方向の力の変動の大きさを示すLFVおよびタイヤを転動させた際のタイヤ幅(タイヤ軸)方向の力の偏位の大きさを示すCONを評価している。これらRFV、LFV、CONが適正範囲を超えていると、このタイヤを装着した車の乗り心地や操縦安定性等に悪影響が生じる。
【0003】
そこで、従来、ユニフォミティを適正範囲内に修正する方法として、タイヤの一部をグラインダ等で研削することによりタイヤの重量バランスを変化させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法ではタイヤ表面に研削痕が残るのでタイヤの外観品質が低下するという問題がある。
【0004】
ユニフォミティを適正範囲内に修正する別の方法として、タイヤの左右両側のビード部に挿通する円筒状のドラムを用いた方法がある。この方法で用いる円筒状のドラムは、上下二分割された2つのセグメントにより構成されている。そして、それぞれのセグメントが半径方向に移動することによりドラムが拡縮し、上側のセグメントのみが加熱される構成になっている。ユニフォミティを修正する際には、このドラムに左右両側のビード部を挿通させてタイヤを所定位置に位置決めした後、ドラムを拡径して左右両側のビード部を同時に押圧した状態で上側のセグメントを加熱する。これにより、拡径移動させたセグメントにより押圧されつつ加熱された部分のビード部内周側ゴムが圧縮変形(永久変形)する。この部分の圧縮変形によってタイヤ半径方向のバランスが変化するのでRFVを適正範囲内に修正することが可能になる。しかしながら、この方法では、ドラムが上下二分割されたセグメントで構成されていて、左右両側のビード部を拡径したセグメントにより同時に押圧するので、LFVを適正範囲内に修正することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−55766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、タイヤのLFVを、精度よく適正範囲内に修正できるタイヤのユニフォミティ修正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明のタイヤのユニフォミティ修正方法は、タイヤの左側ビード部を内周側から保持する左側ドラム部と、右側ビード部を内周側から保持する右側ドラム部とを有し、この左側ドラム部および右側ドラム部はそれぞれタイヤ周方向に少なくとも4分割以上に分割されたセグメントにより構成され、それぞれのセグメントがタイヤ半径方向に移動することにより、前記左側ドラム部と前記右側ドラム部とは独立して拡縮し、前記セグメントの前記ビード部との当接面がそれぞれ加熱機構により独立して加熱制御されるユニフォミティ修正装置を用いたタイヤのユニフォミティ修正方法であって、前記左側ビード部に前記左側ドラム部を挿通させ、前記右側ビード部に前記右側ドラム部を挿通させてタイヤをセットし、左側ドラム部および右側ドラム部のいずれか一方では、予め把握しているこのタイヤのLFV波形でのピークの位置に相当するタイヤ周方向位置およびその近傍範囲に対応するセグメントのみを前記加熱機構により所定温度範囲に加熱するとともに、左側ドラム部および右側ドラム部のいずれか他方では、前記左側ドラム部および右側ドラム部のいずれか一方において前記加熱機構により加熱されるセグメントとはタイヤ側面視で対角の位置にあるセグメントのみを前記加熱機構により所定温度範囲に加熱して、前記左側ドラム部および前記右側ドラム部を所定位置まで拡径した状態にして所定時間維持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タイヤ周方向に4分割以上に分割されたセグメントによって、タイヤの左側ビード部、右側ビード部をそれぞれ独立して内周側から外周側に向かって押圧することができる。しかも、それぞれのセグメントを加熱機構により独立して加熱制御することができる。それ故、そのタイヤのLFV波形の状態に応じて、左側ドラム部のセグメントによって加熱圧縮変形させるビード部の範囲と、右側ドラム部のセグメントによって加熱圧縮変形させるビード部の範囲とをタイヤ側面視で対角の位置にすることで、LFVを精度よく適正範囲内に修正することができる。
【0009】
ここで、例えば、前記セグメントとして、タイヤ周方向に均等に分割されたセグメントを用いる。この場合、タイヤビード部をタイヤ周方向でばらつきを小さくして均等に押圧し易くなる。
【0010】
ビード部内周側ゴムを過不足なく加熱圧縮変形させるには例えば、前記所定温度範囲を100℃〜180℃に設定し、前記ドラムを所定位置まで拡径した状態に維持する前記所定時間を10分〜15分に設定する。また、前記セグメントのタイヤ半径方向の移動範囲をタイヤのビード部内径位置を基準にしてタイヤ半径方向外側および内側にそれぞれ5mm〜10mmに設定する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のタイヤのユニフォミティ修正方法に用いる修正装置を、一部を縦断面視にして例示する説明図である。
【
図2】
図1の修正装置を側面視で例示する説明図である。
【
図3】タイヤを外した状態の
図2のユニフォミティ修正装置を例示する説明図である。
【
図4】左側ビード部においてユニフォミティが修正される原理を例示する説明図であり、
図4(A)はセグメントを拡径移動させた状態、
図4(B)は修正後にリム組みした場合の左側ビード部の位置を示す。
【
図5】右側ビード部においてユニフォミティが修正される原理を例示する説明図であり、
図5(A)はセグメントを拡径移動させた状態、
図5(B)は修正後にリム組みした場合の右側ビード部の位置を示す。
【
図6】タイヤのLFVを修正する工程を例示し、
図6(A)はタイヤ左側面側、
図6(B)はタイヤ右側面側を例示する説明図である。
【
図7】
図6の修正装置およびタイヤを縦断面視にして例示する説明図である。
【
図8】サンプルとなるタイヤのLFV波形を例示するグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のタイヤのユニフォミティ修正方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0013】
図1、
図2に例示する本発明のユニフォミティ修正装置1(以下、修正装置1という)は、タイヤ7の左右両側のビード部8、9を挿通してビード部8、9を内周側から保持してタイヤ半径方向に拡縮移動するドラム2と、ドラム2のそれぞれのビード部8、9との当接面(ドラム2の周面)を加熱する加熱機構5とを備えている。ドラム2は、左側ビード部8、右側ビード部9をそれぞれ内周側から保持する別々の左側ドラム部3と右側ドラム部4とを有している。左側ドラム部3および右側ドラム部4は円柱状に形成されていて、互いが連結部2aにより連結されている。連結部2aの軸方向一端側は右側ドラム部4よりも外側に突出していて、その一端部は立設された支柱2bに固定されている。本発明では、タイヤ(幅方向)左側、右側という用語を用いているが、タイヤ側面にセリアル番号が付されている側を左側とすれば、セリアル番号が付されていない側が右側となる。一方、タイヤ側面にセリアル番号が付されている側を右側とすれば、セリアル番号が付されていない側が左側となる。
【0014】
左側ドラム部3および右側ドラム部4はそれぞれタイヤ周方向に少なくとも4分割以上に分割されたセグメント3a〜3d、4a〜4dにより構成されている。それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dは周方向に均等に分割されていることが好ましい。この実施形態では、それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dは、側面視で同じ形状の扇形状になっている。左側ドラム部3および右側ドラム部4の分割数は4つに限らず、例えば4〜10の間で適切な数に設定する。この実施形態では、左側ドラム部3のセグメント3aと右側ドラム部4のセグメント4aとは周方向に同じ位置に配置され、セグメント3bと4b、3cと4c、3dと4dも周方向に同じ位置に配置されている。
【0015】
これらセグメント3a〜3d、4a〜4dは、1個単位でタイヤ半径方向に移動することにより、左側ドラム部3と右側ドラム部4とは独立して拡縮する。それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dのタイヤ半径方向移動量を別々にすることも、左側ドラム部3、右側ドラム部4毎に、セグメント3a〜3d、4a〜4dのタイヤ半径方向移動量を同じにして同期移動させることもできる。
【0016】
それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dは、加熱機構5により1個単位で独立して加熱制御される構成になっている。加熱機構5により加熱されるのは、少なくともビード部8、9と当接する部分(即ち、周面)でよい。その加熱の所定温度範囲は例えば、100℃〜180℃、さらに好ましくは160℃〜180℃である。この実施形態では、それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dは加熱機構5によって、互いに同じ任意の温度に加熱されることも、互いに異なる任意の温度に加熱されることも可能な構成になっている。それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dの拡縮移動および加熱機構5の作動は制御部6によって制御される。
【0017】
左側ドラム部3と右側ドラム部4とは、それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dの拡径移動具合を操作することにより、異なる外径の拡径状態で維持可能な構成になっている。即ち、左側ドラム部3と右側ドラム部4とを同じ外径に維持するだけでなく、左側ドラム部3を右側ドラム部4よりも大きな外径に維持する、或いは、右側ドラム部4を左側ドラム部3よりも大きな外径に維持することもできる。左側ドラム部3と右側ドラム部4との外径差を任意に設定できる。
【0018】
さらには、
図3に例示するように左側ドラム部3と右側ドラム部4とがドラム軸芯位置(連結部2a)を回転中心として相対的にタイヤ周方向に回転移動可能な構成になっている。この回転移動可能な角度は任意に設定することができる。左側ドラム部3と右側ドラム部4とが周方向に4分割されたセグメント3a〜3d、4a〜4dで構成されている場合は、最大で90°(=360°/4)回転移動できればよい。尚、左側ドラム部3と右側ドラム部4とがドラム軸芯位置(連結部2a)を回転中心として相対的にタイヤ周方向に回転しない構成でもよい。
【0019】
この修正装置1によってタイヤ7のユニフォミティを修正する原理を説明する。
【0020】
左側ビード部8について説明すると、
図4(A)に例示するようにセグメント3aを破線で示す位置から実線で示す所定位置まで拡径移動させるとともに、所定温度範囲に加熱する。このセグメント3aによって保持されているタイヤ7の左側ビード部8の対応範囲(ビード部内周側ゴム8b)は、外周側に押圧されつつ加熱される。この状態を所定時間(例えば10分〜15分)維持すると、押圧されたビード部内周側ゴム8bは、ビードリング8aとセグメント3aとに挟まれて、破線の状態から実線で記載した状態になって圧縮変形する。
【0021】
所定時間経過後、
図4(B)に例示するようにセグメント3aを縮径移動させて押圧を止めてもビード部内周側ゴム8bの圧縮変形はそのまま残って永久変形となる。したがって、このタイヤ7をリム組みすると、左側ビード部8は修正前の当初の位置(破線で示す位置)よりも半径方向内側に若干移動した状態になり矯正されることになる。
【0022】
右側ビード部9について説明すると、
図5(A)に例示するようにセグメント4cを破線で示す位置から実線で示す所定位置まで拡径移動させるとともに所定温度範囲に加熱する。このセグメント4cによって保持されているタイヤ7の右側ビード部9の対応範囲(ビード部内周側ゴム9b)は、上述と同様に、押圧されたビード部内周側ゴム9bは、ビードリング9aとセグメント4cとに挟まれて、破線の状態から実線で記載した状態になって圧縮変形する。
【0023】
所定時間経過後、
図5(B)に例示するようにセグメント4cを縮径移動させて押圧を止めてもビード部内周側ゴム9bの圧縮変形はそのまま残って永久変形となる。したがって、このタイヤ7をリム組みすると、右側ビード部9は修正前の当初の位置(破線で示す位置)よりも半径方向内側に若干移動した状態になり矯正されることになる。尚、ビード部内周側ゴム8b、9bがタイヤ半径方向外側に押圧される実際の押圧代は例えば1mmに満たない程度である。
【0024】
このように本発明では、そのタイヤ7のユニフォミティの状態に応じて、左側ドラム部3のセグメント3a〜3dによって加熱圧縮変形させる左側ビード部8(ビード部内周側ゴム8b)の範囲と、右側ドラム部4のセグメント4a〜4dによって加熱圧縮変形させる右側ビード部9(ビード部内周側ゴム9b)の範囲とをタイヤ側面視で対角の位置にすることで、LFVを精度よく適正範囲内に修正することができる。また、グラインダ等によってタイヤ7の表面を研削することもないので外観品質を低下させることもない。
【0025】
タイヤ周方向に均等に分割されたセグメント3a〜3d、4a〜4dを用いると、ビード部8、9をタイヤ周方向でばらつきを小さくして均等に押圧し易くなる。
【0026】
ビード部内周側ゴム8b、9bを過不足なく加熱圧縮変形させるには例えば、所定温度範囲を100℃〜180℃、さらに好ましくは160℃〜180℃に設定し、左側ドラム部3および右側ドラム部4を所定位置まで拡径した状態に維持する所定時間を10分〜15分に設定するとよい。また、セグメント3a〜3d、4a〜4dのタイヤ半径方向の移動範囲を、ビード部内径位置を基準にしてタイヤ半径方向外側および内側にそれぞれ5mm〜10mmに設定するとよい。
【0027】
次に、測定したLFV波形のピークに相当する位置が
図6、
図7に示す符号Xの位置にあるタイヤ7のLFVを修正する場合の具体的手順の一例を説明する。
【0028】
このタイヤ7の場合、
図6(A)に例示するように左側ドラム部3のセグメント3aと3bの間に符号Xが位置するようにタイヤ7を修正装置1にセットする。次いで、それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dを半径方向外側に移動させて、左側ドラム部3および右側ドラム部4を所定位置まで拡径するとともに、セグメント3a、3b、4c、4dのみを所定温度範囲に加熱する。即ち、左側ドラム部3と右側ドラム部4とでタイヤ側面視で対角にある位置のセグメント3a、3b、4c、4dだけを所定温度範囲に加熱する。この状態を所定時間維持すると、タイヤ左側では符号Xの位置およびその近傍範囲を含むタイヤ周方向半分部分のビード部内周側ゴム8bが永久変形する。タイヤ右側では符号Xとは対角の位置(
図6(B)では符号Yの位置)およびその近傍範囲含むタイヤ周方向半分部分のビード部内周側ゴム9bが永久変形する。これにより、このタイヤ7のLFVは適正範囲内に修正されることになる。
【実施例】
【0029】
一般的な乗用車用タイヤに対して本発明を用いてユニフォミティを修正した。修正したサンプルは、測定したLFV波形が
図8に例示した同等形状となる4本のタイヤ(サンプル1〜4)である。
図8中の縦軸はLFVの反力(N)、横軸はタイヤ周方向位置(deg)である。それぞれのサンプルは
図6、
図7に例示した方法と同様の方法で修正を行った。それぞれのセグメントのタイヤ半径方向外側への移動量はビード部内径位置を基準にして約0.5mm、加熱したセグメントの加熱温度は約170℃、ビード部を加熱圧縮状態に維持した時間は約10分であった。それぞれのサンプルについて、修正前と修正後のそれぞれにおけるLFV波形の反力の最大値と最小値との差異およびその低減効果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1の結果から、本発明によればサンプル1〜4のいずれの場合についてもLFV波形の反力の値を十分低減させてユニフォミティを改善できることが分かる。
【符号の説明】
【0032】
1 修正装置
2 ドラム
2a 連結軸
2b 支柱
3 左側ドラム部
3a〜3d セグメント
4 右側ドラム部
4a〜4d セグメント
5 加熱機構
6 制御部
7 タイヤ
8 左側ビード部
8a ビードリング
8b ビード部内周側ゴム
9 右側ビード部
9a ビードリング
9b ビード部内周側ゴム