特許第6354412号(P6354412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6354412
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】コイル巻取装置
(51)【国際特許分類】
   B21C 47/34 20060101AFI20180702BHJP
   B21C 47/02 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   B21C47/34 A
   B21C47/02 E
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-146211(P2014-146211)
(22)【出願日】2014年7月16日
(65)【公開番号】特開2016-22485(P2016-22485A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】倉原 尚良
(72)【発明者】
【氏名】栗山 進吾
(72)【発明者】
【氏名】立石 康博
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 満
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−068423(JP,A)
【文献】 特開2009−082987(JP,A)
【文献】 特開昭49−122865(JP,A)
【文献】 特開2010−099722(JP,A)
【文献】 特開昭58−032521(JP,A)
【文献】 特表2009−541056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 47/02,47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間圧延設備で圧延された鋼帯を巻き取ってコイルにするコイル巻取装置であって、
前記鋼帯の通板路の上側に位置される押下ロールと、
前記押下ロールの下流側に配置され、前記鋼帯を送り出すピンチロールと、
前記ピンチロールから送り出された鋼帯をコイル状に巻き取るマンドレルと、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記押下ロールと前記鋼帯との間に間隙が形成される押下ロールギャップを設けて前記押下ロールを配置し、前記鋼帯の先端部がピンチロールを通過する際に前記ピンチロールの上流側において鋼帯の浮き上がりを抑制するように構成されていることを特徴とするコイル巻取装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコイル巻取装置であって、
前記押下ロールを前記鋼帯に向かって進退させる押下ロール位置調整手段を備え、
前記制御部は、
前記押下ロール位置調整手段により前記押下ロールを進退させて、前記押下ロールの位置を調整するように構成されていることを特徴とするコイル巻取装置。
【請求項3】
請求項2に記載のコイル巻取装置であって、
前記制御部は、
前記鋼帯の材質、板厚、温度に基づいて、前記押下ロールの位置を調整するように構成されていることを特徴とするコイル巻取装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のコイル巻取装置であって、
前記ピンチロールのギャップを調整するピンチロールギャップ調整手段を備え、
前記制御部は、
前記ピンチロールギャップ調整手段により、前記ピンチロールのギャップを前記ピンチロールを通過する鋼帯の板厚に基づいて調整するように構成されていることを特徴とするコイル巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油輸送や天然ガス輸送用パイプラインにスパイラル鋼管が使用されるケースが増加している。このようなスパイラル鋼管は、熱延コイルから巻きほどいた鋼帯を、スパイラル造管機によってスパイラル状にまき直して溶接することにより製造されている。スパイラル鋼管に用いられる鋼帯は、板厚が比較的大きくかつ高強度のものが望まれ、所定形状のスパイラル鋼管を製造するためには、高品質な熱延コイルが要求される。
【0003】
熱延コイルは、周知のように、熱間圧延設備の後段に設置されたコイル巻取装置により圧延された鋼帯(熱延板)を巻き取って製造される。図9は、コイル巻取装置の一例を示す概略図である。
【0004】
コイル巻取装置100は、例えば、図9に示すように、ピンチロール102と、マンドレル105と、ラッパロール106と、オーバガイド107と、シュート108とを備えており、熱間圧延された鋼帯111をマンドレル105により巻き取って熱延コイルを製造するようになっている。
【0005】
ピンチロール102は、互いに対応する上側ロール103と、下側ロール104とを備えており、熱間圧延設備(不図示)で圧延された鋼帯111を上側ロール103と下側ロール104によって挟んでマンドレル105に向かって送り出すようになっている。
【0006】
マンドレル105は、図示しない電動機によって回転駆動されていて、ピンチロール102から送り出された鋼帯111を、高速で巻き取って熱延コイル112を形成するようになっている。
【0007】
ラッパロール106は、円形ガイド106Bとともにマンドレル105の外周側に複数配置されていて、それぞれシリンダ106Aによってマンドレル105に向かって押圧するように構成されていて、巻き取られる鋼帯111の先端部をマンドレルの外周に沿って案内するとともに巻取り後のコイル112の捲きをタイトにするようになっている。
【0008】
オーバガイド107は、ピンチロール102とマンドレル105の間において、鋼帯111が通板される通板路の上側に配置されていて、通板される鋼帯111を上側から案内するようになっている。
【0009】
シュート108は、ピンチロール102とマンドレル105の間において、鋼帯111の通板路の下側に配置されていて、通板される鋼帯111を下側から案内するようになっている。
【0010】
図10は、従来のコイル巻取装置100における鋼帯111の巻き取り法を説明する図である。図10(A)に示すように、コイル巻取装置100に送り込まれた鋼帯11は、先端部が上反りしていてピンチロール102と衝突する可能性がある。図10(B)、(C)に示すように、ピンチロール102を通過した鋼帯11は上反りが残っていることから、マンドレル105に到達するまでに先端部がオーバガイド107等に衝突し易いという問題がある。
【0011】
さらに、図10(D)に示すように、マンドレル105に到達した鋼帯111は、先端部がラッパロール106と衝突する可能性がある。また、仮に先端部がラッパロール106を通過しても、その後円形ガイド106Bとの衝突や抵抗により、図10(E)に示すように、鋼帯11にたるみが発生する場合がある。
このように、鋼帯111が上反りしていると多くの支障が発生する原因となり、鋼帯111を安定して巻き取ることは容易ではない。
【0012】
このような巻き取りにおける支障は、スパイラル鋼管に用いられるような板厚が比較的大きくかつ高硬度の鋼帯では発生頻度が増加する。さらに、鋼帯の先端部がマンドレル105に沿って円形に変形していないと、その外周に巻き取られる鋼帯は、先端部の上を通過する際に、角ばった段差変形が発生する。この段差変形が発生した部分は、スパイラル鋼管を製造する場合に内周面が真円とならず材料として用いることができないために、材料歩留まりが低下してスパイラル鋼管の製造コストが増加するという問題がある。
【0013】
例えば、特許文献1には、ストリップの板厚などの条件に応じて、ホールドダウンロールとトップガイドとを使用可能としたピンチロール装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第3855424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1に記載されたピンチロール装置では、ピンチロールに噛み込む前のストリップを案内するためにホールドダウンロールを使用しているのであり、ピンチロールを通過したストリップの先端部がマンドレルに巻き取られる際の不具合を解決するものではない。
【0016】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、高品質の熱延コイルを安定して製造することが可能なコイル巻取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、熱間圧延設備で圧延された鋼帯を巻き取ってコイルにするコイル巻取装置であって、前記鋼帯の通板路の上側に位置される押下ロールと、前記押下ロールの下流側に配置され、前記鋼帯を送り出すピンチロールと、前記ピンチロールから送り出された鋼帯をコイル状に巻き取るマンドレルと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記押下ロールと前記鋼帯との間に間隙が形成される押下ロールギャップを設けて前記押下ロールを配置し、前記鋼帯の先端部がピンチロールを通過する際に前記ピンチロールの上流側において鋼帯の浮き上がりを抑制するように構成されていることを特徴とする。
【0018】
この発明に係るコイル巻取装置によれば、押下ロールと鋼帯との間に間隙が形成される押下ロールギャップを設けて押下ロールを配置し、鋼帯の先端部がピンチロールを通過する際にピンチロールの上流側において鋼帯の浮き上がりを抑制するので、ピンチロールを通過した鋼帯について、押下ロールによってピンチロールの上流側で鋼帯を押下げて、鋼帯に生じる浮き上がりを低減して鋼帯の先端部を下曲りにして走行させることにより、鋼帯の先端部がガイド等やラッパロールと衝突することが抑制される。その結果、安定して鋼帯を巻取ることができる。さらに、段差変形が少ない高品質な熱延コイルを製造することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコイル巻取装置であって、前記押下ロールを前記鋼帯に向かって進退させる押下ロール位置調整手段を備え、前記制御部は、前記押下ロール位置調整手段により前記押下ロールを進退させて、前記押下ロールの位置を調整するように構成されていることを特徴とする。
【0020】
この発明に係るコイル巻取装置によれば、押下ロール位置調整手段により押下ロールを進退させて押下ロールの位置を調整することにより、鋼帯の浮き上がり量を制御して、鋼帯の先端部が、ピンチロールの下流側でガイド等やラッパロールと衝突するのを効率的に抑制することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のコイル巻取装置であって、前記制御部は、前記鋼帯の材質、板厚、温度に基づいて、前記押下ロールの位置を調整するように構成されていることを特徴とする。
【0022】
この発明に係るコイル巻取装置によれば、鋼帯の材質、板厚、温度に基づいて、押下ロールの位置を調整するので、それぞれの鋼帯ごとに浮き上がりを安定かつ確実に制御することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコイル巻取装置であって、前記ピンチロールのギャップを調整するピンチロールギャップ調整手段を備え、前記制御部は、前記ピンチロールギャップ調整手段により、前記ピンチロールのギャップを前記ピンチロールを通過する鋼帯の板厚に基づいて調整するように構成されていることを特徴とする。
【0024】
この発明に係るコイル巻取装置によれば、ピンチロールを鋼帯の先端部が通過する際に、ピンチロールのギャップを鋼帯の板厚に調整するので、ピンチロールの上流側において生じる鋼帯の浮き上がりを押下ロールで押さえて鋼帯の先端部を下曲りにすることができる。
その結果、例えば、鋼帯がオーバガイド等と衝突するのを抑制することができ、ひいては高品質の熱延コイルを効率的に製造することができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明に係るコイル巻取装置によれば、安定して鋼帯を巻取ることができる。
その結果、段差変形が少ない高品質な熱延コイルを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係るコイル巻取装置の一例を説明する概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係るコイル巻取装置の制御部の動作の一例を説明するフローチャートである。
図3】押下ロールが設置されていないコイル巻取装置における鋼帯の挙動を説明する概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係るコイル巻取装置における押下ロールの作用の一例を説明する概略図である。
図5】本発明の一実施形態に係るコイル巻取装置における押下ロールの作用の一例を説明する概略図である。
図6】本発明の一実施形態に係るコイル巻取装置における押下ロールの作用の一例を説明する概略図である。
図7】本発明の一実施形態に係るコイル巻取装置における押下ロールの作用の一例を説明する概略図である。
図8】本発明の一実施形態に係るコイル巻取装置における押下ロールの設定位置とギャップの適正範囲を概念的に示す図である。
図9】従来のコイル巻取装置の一例を示す概略図である。
図10】従来のコイル巻取装置により鋼帯を巻き取るまでの鋼帯の走行を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
そこで、発明者らは、コイル巻取装置によって鋼帯を熱延コイルに巻き取る際に、ピンチロールを通過した鋼帯の先端部が安定して走行する技術を鋭意研究した結果、ピンチロールを通過した鋼帯について、ピンチロールの上流側で生じる浮き上がりを抑制することが、鋼帯の先端部が安定して走行するうえで極めて重要であるとの知見を得た。そして、ピンチロールを通過した鋼帯について、ピンチロールの上流側を押下げて浮き上がりを抑制することで安定して走行させる技術を考案した。
【0028】
以下、図1図8を参照して、本発明の一実施形態に係るコイル巻取装置について説明する。
図1は、一実施形態に係るコイル巻取装置の概略構成を示す図であり、符号1はコイル巻取装置を示している。また、図2は、コイル巻取装置1の制御部の動作を説明するフローチャートである。
【0029】
一実施形態に係るコイル巻取装置1は、図1に示すように、熱間圧延設備90の後段に設置され、鋼帯11を巻き取って熱延コイル12(コイル)を形成するように構成されている。
【0030】
コイル巻取装置1は、例えば、図1に示すように、押下ロール2と、押下ロール用油圧シリンダ(押下ロール位置調整手段)22と、ピンチロール3と、ピンチロール用油圧シリンダ(ピンチロールギャップ調整手段)33と、マンドレル4と、ラッパロール5と、オーバガイド6と、シュート7と、制御部8とを備え、熱間圧延設備90で圧延された鋼帯11をマンドレル4によって熱延コイル12に巻き取るようになっている。
【0031】
押下ロール2は、熱間圧延設備90とピンチロール3の間に位置されて、予め設定した鋼帯11の通板路(例えば、圧延ロールとピンチロール3の通過位置を結ぶ線分)の上側に配置されていて、押下ロール用油圧シリンダ22によって通板路とのギャップ(通板路との相対的な位置)G1が調整可能とされている。
【0032】
また、押下ロール2は、押下ロール用油圧シリンダ22により押下力P1が調整可能とされていて、熱間圧延設備90で圧延された鋼帯11を通板路に向かって押下げるようになっている。
また、押下ロール2の上流側には、押下ロール入側ガイド13が配置されていて、鋼帯11の先端部が押下ロール2と衝突するのと抑制するようになっている。
【0033】
ピンチロール3は、下側ロール31と、上側ロール32とを備え、押下ロール2の下流側に配置されている。
また、ピンチロール3は、熱間圧延設備90で圧延された鋼帯11を下側ロール31と上側ロール32によって挟んで、マンドレル4に向かって送り出すようになっている。
また、ピンチロール3は、ピンチロール3とマンドレル4の間を走行する鋼帯11に張力を付与することにより、マンドレル4が鋼帯11を巻き取る際にゆるみが発生するのを抑制するようになっている。
【0034】
下側ロール31と上側ロール32は、それぞれの回転軸線が互いに平行に配置されていて、上側ロール32はピンチロール用油圧シリンダ33に接続されてピンチロール3のギャップ(下側ロール31と上側ロール32との間隔)G2が調整可能とされている。
また、上側ロール32は、ピンチロール用油圧シリンダ33により押圧力P2が調整可能とされている。
【0035】
マンドレル4は、図示しない電動機によって回転駆動されていて、ピンチロール3から送り出された鋼帯11を、高速で巻き取って熱延コイル12を形成するようになっている。
【0036】
ラッパロール5は、マンドレル4の外周側に複数(この実施形態では4つ)配置され、それぞれのラッパロール5の後側には、円形ガイド5Bが配置されている。また、それぞれのラッパロール5及び円形ガイド5Bは、シリンダ5Aによってマンドレル4に向かって押圧され、熱延コイル12の外周面を押圧することにより、鋼帯11の先端部をマンドレル4の外周に沿って案内するとともに巻付け後コイル12をタイトに捲くようになっている。
【0037】
オーバガイド6は、ピンチロール3からマンドレル4に向かう鋼帯11の走行経路の上側に配置されていて、ピンチロール3とマンドレル4の間において走行する鋼帯11の上側を案内するようになっている。
【0038】
シュート7は、ピンチロール3からマンドレルに向かう鋼帯11の走行経路の下側に配置されていて、ピンチロール3とマンドレル4の間において走行する鋼帯11の下側を案内するようになっている。
【0039】
制御部8は、例えば、入力部81と、巻取制御部82と、押下ロール制御部83と、ピンチロール制御部84と、マンドレル制御部85と、熱間圧延設備90から送り出された鋼帯11の温度を検出する温度検出器86とを備えている。
【0040】
入力部81は、例えば、温度検出器86と、生産指示情報信号(例えば、鋼帯11の材質、板厚、板幅)を出力する電子計算機95と、巻取制御部82と接続されていて、温度検出器86から出力された鋼帯11の温度検出信号及び電子計算機95から出力された生産指示情報信号が入力されるとともに、これら信号を巻取制御部82に出力するように構成されている。
【0041】
巻取制御部82は、例えば、押下ロール制御部83、ピンチロール制御部84、マンドレル制御部85と接続され、温度検出器86から入力された鋼帯11の温度検出信号、電子計算機95から入力された生産指示情報信号に基づいて、鋼帯11の断面二次モーメントI、熱間強度(熱間温度と対応するヤング率)Eを算出するように構成されている。
なお、巻取制御部82における算出は、例えば、入力された温度検出信号、生産指示情報信号をデータベース(不図示)と参照することによりおこなわれるが、例えば、数式等により算出してもよい。
【0042】
また、巻取制御部82は、算出した鋼帯11の断面二次モーメントI、熱間強度Eに基づいて、押下ロール2のギャップG1及び押下力P1を算出して、算出結果を押下ロール制御部83に出力するようになっている。
【0043】
また、巻取制御部82は、算出した鋼帯11の断面二次モーメントI、熱間強度Eに基づいて、ピンチロール3のギャップG2及び押圧力P2を算出して、算出結果をピンチロール制御部84に出力するようになっている。
【0044】
また、巻取制御部82は、鋼帯11を検出する鋼帯検出器(不図示)から入力された信号に基づいて、押下ロール2、ピンチロール3及びマンドレル4の駆動タイミングを算出して、押下ロール制御部83、ピンチロール制御部84、マンドレル制御部85に対して、それぞれの駆動タイミングに応じて指示信号を出力するように構成されている。
【0045】
押下ロール制御部83は、巻取制御部82から出力された制御信号により、押下ロール用油圧シリンダ22を駆動して、押下ロール2の位置を調整することにより押下ロール2のギャップG1を調整するとともに、押下ロール2の押下力P1を調整するように構成されている。
なお、押下ロール制御部83は、図示しないセレクトスイッチにより使用、不使用を選択可能とされている。
【0046】
ピンチロール制御部84は、巻取制御部82から出力された制御信号により、ピンチロール用油圧シリンダ33を駆動して、上側ロール32の位置を調整することによりピンチロール3のギャップG2を調整するとともに、ピンチロール用油圧シリンダ33の押圧力P2を調整するように構成されている。
【0047】
温度検出器86は、例えば、周知の赤外線温度検出装置により構成されていて熱間圧延設備90の出口近傍もしくはコイル巻取装置1の入側近傍に配置されている。そして、熱間圧延設備90から搬出された高熱の鋼帯11の温度を計測して、制御部8に出力するようになっている。
【0048】
以下、図2に示すフローチャートを参照して、制御部8による押下ロール2、ピンチロール3及びマンドレル4の駆動手順の一例について概略を説明する。
(1)まず、制御部8は、熱間圧延設備90で圧延した鋼帯11の生産指示情報を電子計算機95から取得する(S1)。
S1を実行したらS2に移行する。
(2)次に、制御部8は、熱間圧延設備90から鋼帯11が搬出された信号を取得する(S2)。
S2を実行したらS3に移行する。
(3)次いで、制御部8は、温度検出器86が検出した鋼帯11の温度検出信号を取得する(S3)。
S3を実行したらS4に移行する。
(4)次に、制御部8は、巻取制御部82において、例えば、温度検出信号、生産指示情報に基づいて、鋼帯11の断面二次モーメント、熱間強度(ヤング率)を算出する。
S4を実行したらS5に移行する。
(5)次いで、制御部8は、算出された鋼帯11の断面二次モーメント、熱間強度(ヤング率)から、押下ロール2のギャップG1及び押下力P1及びピンチロール3のギャップG2及び押圧力P2を算出する(S5)。
S4を実行したらS5に移行する。
(6)次いで、制御部8は、巻取制御部82で算出した押下ロール2のギャップG1及び押下力P1に基づく制御信号、ピンチロール3のギャップG2及び押圧力P2に基づく制御信号、マンドレル4の駆動信号を、それぞれのタイミングに応じて、押下ロール制御部83、ピンチロール制御部84、マンドレル制御部85を介して、押下ロール2、ピンチロール3、マンドレル4に出力する(S6)。
S6を実行したらS7に移行する。
(7)制御部8は、マンドレル4による巻き取りが終了したらマンドレル4を停止する(S7)。
【0049】
以下、図3図4を参照して、一実施形態に係るコイル巻取装置1における押下ロール2の作用、効果について説明する。
図3は、押下ロールが設置されていないコイル巻取装置における鋼帯の挙動を説明する概略図であり、図4はコイル巻取装置1における押下ロール2の作用による鋼帯の挙動の一例を説明するシミュレーション結果を示す概略図である。
【0050】
図3図4において、例えば、押下ロール2及びピンチロール3は、油圧シリンダにより押圧されていて、鋼帯11:板厚20〜25.4(mm)、板幅1000〜1500(mm)、板温度:450〜550℃、鋼帯11の上反り長:200〜400(mm)、上反り高さ:0〜150(mm)、押下ロール:直径500(mm)、ピンチロールギャップG2:25.4(mm)、ピンチロール押圧力P2:150(ton)、ピンチロール噛込み速度:150〜250mpmである。
また、押下ロール設置位置(ピンチロールからの距離)L:500〜2000(mm)、押下ロールギャップG1:50〜100(mm)とされている。
【0051】
押下ロールが設置されていないコイル巻取装置では、鋼帯11は、図3(A)〜図3(F)のような挙動を示す。
まず、図3(A)に示すように、熱間圧延された鋼帯11が走行してくる。鋼帯11の先端部はピンチロール3の上流側から上反り状態となっている。
次に、図3(B)に示すように、鋼帯11は、先端部がピンチロール3に噛み込まれる。
鋼帯11の先端部がピンチロール3に噛み込まれると、鋼帯11の先端部が上反りしているので、鋼帯11の先端部は通板路と平行になって、鋼帯11の後側(熱間圧延設備側)は通板路より高くなり浮き上がりが生じる。
ピンチロール3に噛み込まれた鋼帯11は、図3(C)に示すように、ピンチロール3の下流側に上反りが矯正される。しかしながら、鋼帯11の後側が浮き上がりによって逃げることで、鋼帯11はピンチロール3によって充分な下反り矯正がされにくくなる。
その結果、鋼帯11は、図3(D)に示すように、下反りが不十分なままの先端部がオーバガイド6と接触したまま進行する。
そして、図3(E)に示すように、先端部がオーバガイド6と接触したまま進行し、マンドレル4に近づくと、第1、第2ラッパロール間の通板抵抗により鋼帯11にたるみが発生して速度が低下する。
次いで、図3(F)に示すように、マンドレル4で巻き取られる際に、巻ゆるみが発生する。
【0052】
これに対して、押下ロール2が設けられた一実施形態に係るコイル巻取装置1では、ピンチロール3を通過した後の鋼帯11は安定して走行し、進行し反りが矯正され、マンドレル4で巻き取られる際の巻ゆるみが解消される。
以下、図4を参照して、コイル巻取装置1における押下ロール2の作用による鋼帯11の挙動について説明する。
図4は、コイル巻取装置における押下ロールの作用の一例を説明する概略図である。
図4では、押下ロール設置位置:700(mm)、押下ロールギャップG1:50(mm)とされている。
【0053】
まず、図4(A)に示すように、熱間圧延された鋼帯11が押下ロール2の下を通過する。押下ロール2は、上反りした鋼帯11よりも高い位置に配置されていて、鋼帯11が衝突しないようになっている。なお、押下ロール2のギャップG1、押下力P1は、図2に示す手順で設定されてもよい。
次に、図4(B)に示すように、鋼帯11の先端部がピンチロール3に噛込む。なお、ピンチロール3のギャップG2、押圧力P2は、図2に示す手順によって設定されてもよい。
鋼帯11がピンチロール3に噛込まれた際に、上反りの影響で後側が上方に浮き上がろうとするが、押下ロール2によって押下げられ浮き上がりはほとんど発生しない。
鋼帯11に浮き上がりが発生しないと、鋼帯11はピンチロール3によって下向きに充分に矯正されて下反りする。
ピンチロール3で充分に矯正されて下反りした鋼帯11は、図4(C)に示すように、先端部がシュート7側に下反りしてシュート7と接触する。
鋼帯11の先端部は、図4(D)に示すように、下反り効果が継続されてシュート7と接触したまま進行する。
そして、図4(E)に示すように、マンドレル4に近づいたところで浮き上がってオーバガイド6と接触する。矯正により下反りされているので、第1、第2ラッパロール間の通板抵抗が低減される。
その結果、図4(F)に示すように、マンドレル4で巻き取られる際の巻ゆるみが発生せず、良好なコイル形状が得られる。
【0054】
以下、図5図8を参照して、一実施形態に係るコイル巻取装置1の作用及び押下ロール2の設置位置及びギャップG1の適正範囲について説明する。ここで、押下ロール2の設置位置とは、押下ロール2のピンチロール3との設置間隔Lであり、具体的には、ピンチロール3の下側ロール31の回転軸心から押下ロール2の回転軸心までの水平距離Lにより表される。
【0055】
図5図7はコイル巻取装置1における押下ロール2の作用による鋼帯の挙動の一例を説明するシミュレーション結果を示す概略図であり、図8は、コイル巻取装置1における押下ロール2の設置位置とギャップG1との関係を概念的に示す図である。
【0056】
図5図7において、押下ロール2及びピンチロール3は、鋼帯11の板厚、板幅、板温度、鋼帯11の上反り長、上反り高さ、押下ロールの直径、ピンチロールギャップG2、ピンチロール押圧力P2、ピンチロール噛込み速度は図4と同様とされている。
また、押下ロール設置位置(ピンチロールからの距離):700(mm)又は900(mm)、押下ロールギャップG1:100(mm)又は50(mm)である。
【0057】
次に、図5を参照して、押下ロール2及びピンチロール3の効果について説明する。
図5では、押下ロール設置位置:700(mm)、押下ロールギャップG1:100(mm)とされている。
【0058】
まず、図5(A)に示すように、熱間圧延された鋼帯11が押下ロール2の下を通過する。押下ロール2の入側にはガイドが設置されており、鋼帯11が押下ロール2に直接衝突しないようになっている。
次に、図5(B)に示すように、鋼帯11の先端部がピンチロール3に噛込む。
鋼帯11がピンチロール3に噛込まれた際に、上反りの影響で後側が上方に浮き上がろうとするが、押下ロール2によって押下げられ浮き上がりはほとんど発生しない。
鋼帯11に浮き上がりが発生しないと、鋼帯11はピンチロール3によって下向きに充分に矯正されて下反りする。
鋼帯11の先端部は、図5(C)に示すように、シュート7側に下反りしているが、押下ロール2のギャップG1が50(mm)から100(mm)に増加していて、図4の場合と比較すると下反り矯正の効果が減少し、鋼帯11の先端部はシュート7と接触することなく進行する。
鋼帯11は、図5(D)に示すように、先端部がマンドレル4に近づくと、下反り効果によりシュート7と接触して進行する。
そして、図5(E)に示すように、マンドレル4に近づいたところで浮き上がってオーバガイド6と接触する。矯正により下反りされているので、第1、第2ラッパロール間の通板抵抗が低減される。
次いで、図5(F)に示すように、マンドレル4で巻き取られる際の巻ゆるみが発生せず、良好なコイル形状が得られる。
【0059】
次に、図6を参照して、押下ロール2及びピンチロール3の効果について説明する。
図6では、押下ロール設置位置:900(mm)、押下ロールギャップG1:50(mm)とされている。
【0060】
まず、図6(A)に示すように、熱間圧延された鋼帯11が押下ロール2の下を通過する。押下ロール2の入側にはガイドが設置されており、鋼帯11が押下ロール2に直接衝突しないようになっている。
次に、図6(B)に示すように、鋼帯11の先端部がピンチロール3に噛込む。
鋼帯11がピンチロール3に噛込まれた際に、上反りの影響で後側が上方に浮き上がろうとするが、押下ロール2によって押下げられ浮き上がりはほとんど発生しない。
鋼帯11に浮き上がりが発生しないと、鋼帯11はピンチロール3によって下向きに充分に矯正されて下反りする。
鋼帯11の先端部は、図6(C)に示すように、シュート7側に下反りしているが、図5と比較すると、押下ロール2のギャップG1は100(mm)から50(mm)と減少しているが、押下ロール2の設置位置Lは700(mm)から900(mm)に増加しており、図5の場合とほぼ同等の下反り矯正がなされて、鋼帯11の先端部はシュート7と接触することなく進行する。
鋼帯11の先端部は、図6(D)に示すように、先端部がマンドレル4に近づくと、下反り効果によりシュート7と接触して進行する。鋼帯11先端部のシュート7との接触は、図5とほぼ同程度である。
そして、図6(E)に示すように、マンドレル4に近づいたところで浮き上がってオーバガイド6と接触する。矯正により下反りされているので、第1、第2ラッパロール間の通板抵抗が低減される。
次いで、図6(F)に示すように、マンドレル4で巻き取られる際の巻ゆるみが発生せず、良好なコイル形状が得られる。
【0061】
次に、図7を参照して、押下ロール2及びピンチロール3の効果について説明する。
図7では、押下ロール設置位置:900(mm)、押下ロールギャップG1:100(mm)とされている。
【0062】
まず、図7(A)に示すように、熱間圧延された鋼帯11が押下ロール2の下を通過する。押下ロール2の入側にはガイドが設置されており、鋼帯11が押下ロール2に直接衝突しないようになっている。
次に、図7(B)に示すように、鋼帯11の先端部がピンチロール3に噛込む。
鋼帯11がピンチロール3に噛込まれた際に、上反りの影響で後側が上方に浮き上がろうとするが、押下ロール2によって押下げられ浮き上がりはほとんど発生しない。
鋼帯11に浮き上がりが発生しないと、鋼帯11はピンチロール3によって下向きに充分に矯正されて下反りする。
鋼帯11の先端部は、図7(C)に示すように、シュート7側に下反りしているが、押下ロール2のギャップG1が50(mm)から100(mm)に増加していて下反り矯正の効果が減少し、鋼帯11の先端部はシュート7と接触することなく進行する。
鋼帯11の先端部は、図7(D)に示すように、下反りの程度が適切であまり大きくならないので、マンドレル4に近づくと比較的早くオーバガイド6と接触する。
そして、図7(E)に示すように、マンドレル4に近づくまでオーバガイド6との接触が継続される。矯正により下反りされているので、第1、第2ラッパロール間の通板抵抗が低減される。
その結果、図7(F)に示すように、マンドレル4で巻き取られる際の巻ゆるみが発生せず、良好なコイル形状が得られる。
【0063】
次に、図8を参照して、コイル巻取装置1における押下ロール2の設置位置とギャップG1の適正範囲について説明する。
図8は、コイル巻取装置1における押下ロール2の設置位置とギャップG1の適正範囲を概念的に示す図である。
【0064】
図8において、破線で示す部分の外側は、図3において、押下ロール2無しの場合と同様であり、ピンチロール3により鋼帯11を挟んで上反りを矯正しようとしても、鋼帯11の後側に浮き上がりが発生して鋼帯11が矯正できる程度に拘束されない場合には上反りを充分に矯正することはできない。具体的には、押下ロール2が設置されていてもギャップG1と設置位置Lの少なくともいずれかがある程度小さい必要があることを示している。
【0065】
図4(G1:50(mm)、L:700(mm))では、下反りが比較的大きく、鋼帯11の先端がシュート7に比較的早く接触して、その後、鋼帯11の先端とシュート7の接触が維持される。
【0066】
図5(G1:100(mm)、L:700(mm))、図6(G1:50(mm)、L:900(mm))は、鋼帯11の挙動が比較的似ており、シュート7からオーバガイド6に移動してシュート7やオーバガイド6との接触が適度に抑制されている点で好適であるといえる。
【0067】
図7(G1:100(mm)、L:900(mm))では、下反りが比較的小さく、鋼帯11の先端がオーバガイド6に比較的早く接触して、その後、鋼帯11の先端とオーバガイド6の接触が維持される。
【0068】
以上のように、鋼帯11の後側の浮き上がりが抑制されても、ピンチロール3による下反り矯正が大きい場合は鋼帯11の先端部はシュート7と接触し易くなり、下反りが小さい場合はオーバガイド6と接触し易くなることから、図8に示す「適正範囲」を設定することができる。
【0069】
その結果、図8において示すように、「巻き取り不安定傾向(先端下曲げ矯正不足)」及び「巻き取り不安定傾向(先端下曲げ矯正過剰)」の部分も効果が適切とはいえず、図8において「適正範囲」とした部分で、巻ゆるみが発生せず、良好な熱延コイルを得ることができる。
【0070】
コイル巻取装置1によれば、鋼帯11をピンチロール3の上流側で押下ロール2によって鋼帯11の浮き上がりを押下げるので、ピンチロール3により鋼帯11を充分に矯正することができる。
その結果、鋼帯11の先端部の向きが安定して、ピンチロール3の下流側において鋼帯11が安定して走行するので、オーバガイド6やシュート7との衝突を抑制することができる。
【0071】
また、コイル巻取装置1によれば、押下ロール用油圧シリンダ22により押下ロール2を進退させて押下ロール2の位置を調整するので、鋼帯11の上反りが大きい場合でも押下ロール2を即座に退避することができる。
【0072】
また、押下ロール2の押下量を、鋼帯11の浮き上がり量に応じて効率的に制御して、鋼帯11の先端部の向きを調整することができる。
その結果、鋼帯11の先端部の外向きに変形が生じるのが抑制されて、角ばった段差変形が少ない高品質な熱延コイル12を製造することができる。
【0073】
また、コイル巻取装置1によれば、鋼帯11の材質、板厚、温度に基づいて、押下ロール2の位置(G1)を調整するので、それぞれの鋼帯11ごとに浮き上がりを安定かつ確実に制御することができる。
【0074】
また、コイル巻取装置1によれば、それぞれの鋼帯11に応じて、ピンチロール3のギャップG2を調整するとともにピンチロール3の押圧力P2を調整するので、ピンチロール3に送られた鋼帯11の先端部の上反りを効率的に矯正することができる。
【0075】
また、鋼帯11の上反りが矯正されて小さくなることにより、ピンチロール3の下流側における鋼帯11の先端部の衝突を抑制することができる。
【0076】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、押下ロール2が鋼帯11の材質、板厚、温度に基づいて位置調整されて、通板路とのギャップG1が調整される場合について説明したが、押下ロール2の位置調整を行うかどうか、押下ロール2の位置調整を鋼帯11の材質、板厚、温度に基づいて調整するかどうかは任意に設定してもよい。
【0077】
また、上記実施の形態においては、押下ロール2のギャップG1及び押下力P1を押下ロール用油圧シリンダ22により調整する場合について説明したが、ギャップG1だけを調整してもよい。また、例えば、押下ロール用油圧シリンダ22に代えて、他のアクチュエータや機械的ネジ機構等、他の位置調整手段によって押下ロール2のギャップG1や押下力P1を調整する構成としてもよい。
【0078】
また、対象とする鋼帯11の板厚、板幅、板温度、鋼帯11の上反り長、上反り高さ、押下ロール2の直径、ピンチロール3の構成(直径等)、ピンチロールギャップG2、ピンチロール押圧力P2、ピンチロール噛込み速度、押下ロール設置位置L、押下ロールギャップG1については、適宜変更が可能である。
【0079】
また、上記実施の形態においては、ピンチロール3のギャップG2及び押圧力P2を上側ロール32に接続されたピンチロール用油圧シリンダ33により調整する場合について説明したが、ピンチロール用油圧シリンダ33に代えて、例えば、その他のアクチュエータや機械的ネジ機構等、他のピンチロールギャップ調整手段によって調整する構成としてもよい。
また、上側ロール32に代えて又は上側ロール32とともに下側ロール31を用いて、ピンチロール3のギャップG2、押圧力P2を調整する構成としてもよい。
【0080】
また、上記実施の形態においては、コイル巻取装置1が、オーバガイド6及びシュート7を備える場合について説明したが、オーバガイド6及びシュート7を備えるかどうかは任意に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
この発明に係るコイル巻取装置によれば、ピンチロールを通過した鋼帯に生じる浮き上がりを低減して鋼帯の先端部を安定して走行させることにより、鋼帯の先端部に外向きの変形が生じるのを抑制することができるので、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 コイル巻取装置
2 押下ロール
3 ピンチロール
4 マンドレル
5 ラッパロール
6 オーバガイド
7 シュート
8 制御部
11 鋼帯
12 熱延コイル(コイル)
13 押下ロール入側ガイド
22 押下ロール用油圧シリンダ(押下ロール位置調整手段)
33 ピンチロール用油圧シリンダ(ピンチロールギャップ調整手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10