(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コンデンサでは、ケース内に収納されたコンデンサ素子に対し、耐振動性を向上させるために、複数箇所に加締め処理が施される。加締め処理では、ケースの外周面を押圧して変形させてケース内部のコンデンサ素子の表面部分と一体化させるが、このときコンデンサ素子も押圧される。コンデンサ素子は、加締めにより過大な押圧力が加えられると、コンデンサ素子を形成する電極箔や、その周囲に積層されたセパレータが損傷するおそれがある。
【0006】
コンデンサは、加締めによる押圧力が小さい場合、コンデンサ素子とケース内面との接触圧力が小さくなり、ケースによるコンデンサ素子の固定力が低下して、コンデンサ素子の振動を抑えられないおそれがある。従って加締め処理では、適切な押圧力の設定が求められる。
【0007】
また、金属製の外部端子が配置される部分を加締めると、加締め処理の際の押圧力により外部端子の側面角部や先端部が電極箔やセパレータに強く押圧され、電極箔やセパレータが損傷する場合がある。そこで、外部端子の長さを短くし、複数の加締めの一部に外部端子を配置させないことで、電極箔やセパレータの損傷箇所を低減させ、損傷による短絡の可能性を低減させることがある。その場合、コンデンサ素子は、たとえばケースの高さ方向に対して外部端子を配置する箇所と配置しない箇所で素子径が一定でない場合がある。このときケース内部では、ケースの高さ方向への位置の相違によってケースの内壁面とコンデンサ素子との間に生じる隙間の間隔が異なる。
【0008】
コンデンサでは、この隙間の違いによって加締め処理によるコンデンサ素子への押圧力が異なり、加締め位置毎にコンデンサ素子の固定強度が異なってしまうおそれがある。このような固定強度が相違すると、コンデンサ素子全体に対して振動吸収性が低下するなどの課題がある。
【0009】
そこで、本発明のコンデンサおよびその製造方法の目的は、外装ケースとコンデンサ素子の固定力を安定化させて、耐振動性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本開示の技術の一側面は、コンデンサ素子と、前記コンデンサ素子を収納する収納部が形成されたケースと、一端側を前記コンデンサ素子内に挿入されて電極箔に接続される外部端子と、前記ケースの開口側に設置され、前記コンデンサ素子が収納された収納部を密閉する封口体とを備え、前記外部端子は、前記コンデンサ素子内部で電極箔に接続される接続部の長さが前記コンデンサ素子よりも短く形成されて配置しており、前記ケースには、前記収納部内の前記コンデンサ素子の側面周囲に対し、高さの異なる少なくとも2箇所に、外部から押圧して前記コンデンサ素子を固定する加締め部が形成され、前記加締め部は、前記外部端子と重なる位置に対する前記コンデンサ素子の素子径と前記外部端子が重ならない位置に対する前記コンデンサ素子の素子径との相違に応じて、前記ケースに対する加締め量を異ならせる。
【0011】
上記目的を達成するため、本開示の技術の他の一側面は、外部端子を電極箔と接続する工程と、前記電極箔とセパレータとが積層状態に巻回されたコンデンサ素子を形成する工程と、前記コンデンサ素子の少なくとも前記外部端子を配置した部分と、前記外部端子を配置していない部分を含め、高さの異なる複数の素子径を測定する工程と、前記コンデンサ素子をケースに収納する工程と、素子径を測定した位置と重なる前記ケースの位置に対し、素子径の相違量に応じて、それぞれ異なる加締め量が設定された加締め部を形成する工程を含む。
【0012】
上記コンデンサの製造方法において、測定した複数の素子径の差分を算出し、該差分に応じて、素子径が径小な部分に対する前記ケースへの加締め量を、径大な部分に対する前記ケースへの加締め量よりも多く設定して加締め処理を行う工程を含んでもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコンデンサまたはコンデンサの製造方法によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0014】
(1) ケースとコンデンサ素子との固定性を高め、外部からの振動に対してコンデンサ機能を維持させることができる。
【0015】
(2) 複数の加締め部間でコンデンサ素子への押圧力を安定化でき、コンデンサ素子の固定強度を高めることができる。
【0016】
(3) コンデンサ素子への押圧力が一定となるので、電極箔やセパレータの破損を防止でき、コンデンサの信頼性を高められる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、一実施の形態に係るコンデンサ例を示している。このコンデンサは一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0020】
このコンデンサ2は、電解コンデンサや電気二重層コンデンサなどいずれのコンデンサであってもよい。コンデンサ2は、たとえば
図1に示すように、アルミニウムなどの金属で形成された外装ケース4にコンデンサ素子6が収納されている。外装ケース4は、本発明のケースの一例であり、内部にコンデンサ素子6を収納する収納部5が形成されたコンデンサ2の外装部材である。外装ケース4は、たとえば有底筒状であり、筒状部分にコンデンサ素子6のほか、図示しない電解液などが収納される。なお、外装ケース4はたとえばマンガンやマグネシウムが添加されたアルミニウム合金などの硬質材料であってもよい。硬質材料からなる外装ケース4を用いることで、高温度環境下でコンデンサ2を使用した場合においても、加締め部12B、12Cが緩むことはなく、固定力を維持できる。
【0021】
コンデンサ素子6は、収納部5の内部において、たとえば柱状の一端面が底部に配置され、開口部側に向けて配置された他端面も収納部5内部に配置される。収納部5の開口部側に配置されたコンデンサ素子6の端面には、外部端子8A、8Bが設置されている。この外部端子8A、8Bは、外部と接続するリード線をアルミニウム棒の一端に接続し、アルミニウム棒の他方端部側を押圧して電極箔と接続する平坦部があり、コンデンサ素子6の一端面から収納部5の外部に向けてリード線が突出されている。そして外部端子8A、8Bは、外装ケース4からの突出部分が図示しない基板上に形成された電子回路に、電気的に接続される。
【0022】
外装ケース4には、たとえば開口部側に、外装ケース4の収納部5を封止させる封口体10が設置される。さらに外装ケース4の開口部側に向けられた封口体10の端面は、収納部5の内部に配置される。この封口体10は、少なくとも側面周囲部分が弾性変形可能な樹脂性の材料で形成され、外装ケース4の内周面に密着して収納部5を封口する。
【0023】
封口体10の中央部分には、コンデンサ素子6の外部端子8A、8Bを貫通させる貫通孔9があり、その貫通孔9内で外部端子8A、8Bの一部が密着されて、外部から水分や異物の混入を阻止する。
【0024】
コンデンサ2は、外装ケース4を押圧することで、収納部5内に収納されたコンデンサ素子6の側面周囲側と外装ケース4の内周面とを一体化させる加締め処理が行われる。外装ケース4の側面には、複数の加締め部12がある。加締め部12Aは、外装ケース4の開口側に近い位置を加締めており、収納部5の内部に設置された封口体10の側面を押圧して外装ケース4と一体化させ、外装ケース4と封口体10の固定および、外装ケース4の密封性を確保する。
【0025】
また加締め部12B、12Cは、たとえば外装ケース4の中央側および底部側に近い位置の周縁部分に設定され、収納部5内のコンデンサ素子6の側面部分を加締めることで外装ケース4の内周面と一体化させている。コンデンサ素子6に対する加締め部12B、12Cの形成位置は、たとえばコンデンサ2やコンデンサ素子6の長さや荷重のバランス、またはコンデンサ2が設置される装置または設置環境などの条件に応じて設定すればよい。たとえば、コンデンサ素子6の上端側と下端側を加締め部とすることにより、コンデンサ素子6の収納部5内での振動抑制が期待できる。つまり、加締め部によるコンデンサ素子6を支持する箇所を集中させた場合、加締め部を支点にコンデンサ素子6が振動し、外部端子8A、8Bに振動により生じる応力が集中し、破断するおそれがある。しかしながら、コンデンサ素子6の上下端側を加締めることで、加締め部が離間し、コンデンサ素子6の収納部5内での振動の抑制が期待できる。このとき、加締め部12B、12Cは、コンデンサ2の重心を挟む位置にある。コンデンサ素子6の重心を挟む位置でコンデンサ素子6が外装ケース4によって固定されることで、外装ケース4内での振動防止が期待できる。これらの加締め部12B、12Cの位置により、外装ケース4内部でのコンデンサ素子6の支持強度などが決まる。また、加締め部12B、12Cは、外部端子8A、8Bの接続部20A、20B(
図2)の先端部を避けて加締め処理を施すことが好ましい。接続部20A、20Bの先端部は角部が多数あり、加締めることにより電極箔やセパレータが損傷するおそれがある。
【0026】
そのほか、コンデンサ2では、外装ケース4の開口部分から収納部5の内部に向けてカーリング処理が施され、外装ケース4の開口部の端部が封口体10の端面側を押圧している。このカーリング処理により、開口部から封口体10が離脱するのを防止するほか、収納部5内の電解液が蒸散しないように外装ケース4を封止させている。
【0028】
コンデンサ素子6は、たとえば
図2に示すように外部端子8A、8Bが接続された陽極側および陰極側の電極箔16にセパレータ14を介在させて柱状に巻回され、その外周部分に巻止めテープ18を巻回して円柱形状である。巻止めテープ18は、たとえば紙や絶縁性のテープなどであって、少なくとも電極箔16と同等の幅であり、電極箔16の周囲を覆い、巻回状態を維持させている。コンデンサ素子6に対する加締め部12B、12C(
図1)は、巻止めテープ18が巻き付けられた範囲内に設定されればよい。このようにすることで、巻止めテープ18が加締め処理によりコンデンサ素子6が押圧された場合の緩衝材となり、電極箔16やセパレータ14への影響を低減できる。なお、巻止めテープ18は複数周巻回されているとより好ましい。コンデンサ素子6の外周に巻止めテープ18層を形成することで、加締め部12B、12Cがコンデンサ素子6を押圧しても、巻止めテープ18層が緩衝材となり、電極箔16やセパレータ14への影響をより低減させることができる。巻止めテープ18層の厚さとしては、200〜600〔μm〕が好ましい。200〔μm〕未満の場合、加締め処理による押圧力からの緩衝作用の効果は低く、600〔μm〕を超えると、収納する外装ケース4を大きくしなければならず、小型化を阻害する。
【0029】
外部端子8A、8Bは、一端側に平坦状の接続部20A、20Bがそれぞれ陽極側または陰極側の電極箔16に対して冷間圧接やステッチ接続、超音波溶接などによって接続されている。接続部20A、20Bは、コンデンサ素子6の両端面間の長さよりも短く設定されており、一端面側から挿入された接続部20A、20Bの先端部分がコンデンサ素子6の中央側に配置される。
【0030】
コンデンサ素子6に対する加締め処理では、コンデンサ素子6の荷重や外部からの振動などによる負荷をバランス良く支持するために、たとえば2つの加締め部12B、12Cが高さ方向で離間して形成される。またコンデンサ素子6は、外部端子8A、8Bが基板などに接続することで、外部からの振動負荷を受けやすいため、外装ケース4と一体化して支持することが望ましい。従ってコンデンサ素子6には、接続部20A、20Bと重なる範囲に加締め部12Bがある。
【0031】
ここで、コンデンサ素子6は、円筒部分の高さ方向に対する位置によって素子径が異なっている。コンデンサ素子6は、たとえば外部端子8A、8Bが介在する上部側の部分の素子径W1が底部側の部分の素子径W2よりも大きくなっている。この素子径の相違は、たとえば幅W3の接続部20A、20Bの有無により生じる。
【0033】
外装ケース4は、たとえば収納部5の内径W4が一定の大きさで形成されている。そのためコンデンサ2では、
図3に示すように、コンデンサ素子6の素子径が一定でないため、外装ケース4の内壁とコンデンサ素子6との間の隙間の幅が、コンデンサ素子6の幅に応じて異なる。
【0034】
そのためコンデンサ2では、加締め位置におけるコンデンサ素子6の素子径に応じて加締め部12Bと加締め部12Cの加締め量を異ならせている。加締め量は、押圧により外装ケース4を内側に変形させる溝深さであり、加締め部12Bの加締め量L1と加締め部12Cの加締め量L2の値が異なる。すなわち、加締め部12Bは、コンデンサ素子6の径大部を加締める。また加締め部12Cは、コンデンサ素子6の高さ方向に対して加締め部12Bと異なる位置の径小部分を加締める。
【0035】
加締め量L1、L2の設定では、加締め部12Bの位置に配置されるコンデンサ素子6の素子径W1と、加締め部12Cの位置に配置されるコンデンサ素子6の素子径W2の差分値に基づいて決定される。加締め量は、外装ケース4の内壁までの隙間が小さい加締め部12Bが加締め部12Cよりも小さな値で設定される。加締め量の相違は、たとえば以下の式(1)で設定される。
(L2−L1)=(W1−W2)/2 ・・・(1)
ここで、加締め部12B、12Cは、加締め量が異なるが、コンデンサ素子6の外装面に対する外装ケース4の圧着量は同等に設定される。
【0037】
図4は、コンデンサ素子6の素子径の測定例を示している。
【0038】
加締め量の設定では、巻回されたコンデンサ素子6について、加締め位置に対応する位置の素子径を測定し、この測定値を利用して、収納部5内での隙間やコンデンサ素子6の側面側の変形量によって加締め量が設定される。
【0039】
コンデンサ素子6の加締め部12Bの位置では、たとえば
図4のAに示すように、電極箔16である陽極箔22および陰極箔24の両面側にセパレータ14を介在させて巻回されており、電極箔同士が接触しないように形成される。また陽極箔22および陰極箔24には、一部の面に角柱状に形成された接続部20A、20Bを含む外部端子8A、8Bが接続されている。接続部20A、20Bは、たとえば同等の大きさで形成されている。コンデンサ素子6は、接続部20A、20Bの短辺の幅W3と長辺の幅W5の影響を受けて断面が楕円状になっている。
【0040】
また加締め位置12Cの位置では、たとえば
図4のBに示すように、外部端子8A、8Bがコンデンサ素子6の内部に配置されていないので、断面が真円に近い形状になっている。
【0041】
素子径の測定では、たとえば素子径の複数の測定値に対して単純平均を行ってもよく、または接続部20A、20Bの幅や複数の位置や方向から測定した素子径同士の差分などを加味した算出方法を用いてもよい。
【0043】
加締め量の設定では、加締め位置毎に算出された素子径W1、W2の差分を算出し、たとえば素子径が大きい加締め部12Bでの加締め量L1を基準に、コンデンサ素子6の周方向に対して、算出した差分だけ加締め部12Cの加締め量L2を多くする。または、この加締め量の設定では、コンデンサ素子6の巻回部分に外部端子8A、8Bなどの部材が介在しない加締め部12Cの加締め量を基準にしてもよい。
【0044】
加締め部12Bでは、たとえば
図5のAに示すように加締め量L1に対して、コンデンサ素子6への押圧による変位量L3が設定される。この変移量L3は、たとえば算出した素子径W1に対する加締め後の内径W6を想定して設定すればよい。この内径W6は、加締めによるコンデンサ素子6への押圧力が過大とならない状態であるとともに、外装ケース4によるコンデンサ素子6の支持が発揮可能な大きさで設定される。
【0045】
また加締め部12Cでは、たとえば
図5のBに示すように加締め量L2に対して、コンデンサ素子6への押圧による変位量L4が設定される。この変位量L4は、加締め部12Bにおける変移量L3と同等に設定されている。すなわち、コンデンサ2では、素子径W1、W2の差分に基づいて加締め量L1、L2を設定することで、コンデンサ素子6と外装ケース4の内壁との隙間を吸収させ、外装ケース4からコンデンサ素子6に対する押圧力を一定にしている。このときの加締め部12Cの内径W7は、加締め量L2が加締め量L1よりも大きいことから、加締め部12Bの内径W6よりも狭くなる。
【0046】
素子径の測定や平均値の算出処理および加締め量の設定処理では、たとえば測定用のセンサなどの測定手段や、コンピュータによって平均値の算出や素子径の差分算出など行う演算処理部などを備えた測定装置を利用すればよい。また加締め処理は、この測定装置と連動して、加締め位置に対して設定した加締め量の加締め処理を行う加工装置を利用すればよい。
【0048】
図6および
図7は、コンデンサの製造例を示している。
図6および
図7に示す処理内容または処理手順は本開示のコンデンサの製造方法の一例であり、斯かる内容に本発明が限定されない。
【0049】
コンデンサの製造処理では、たとえば
図6に示すように、コンデンサ素子6の形成処理(S1)として、電極箔16に対してそれぞれセパレータ14を積層するとともに、陽極箔22および陰極箔24にそれぞれ外部端子8A、8Bを接続させて巻回する。このときコンデンサ素子6には、たとえば巻止めテープ18が巻回される。巻回されたコンデンサ素子6は、電解液の含浸処理が行われる(S2)。
【0050】
コンデンサ素子6は、加締めの位置に対する加締め量の設定処理が行われる(S3)。コンデンサ素子6は、たとえば電極箔に電解液が含浸されることで素子径が変化するため、コンデンサ素子径の測定処理は、含浸処理の後に行われるのが望ましい。
【0051】
コンデンサ素子6は、外部端子8A、8B側に封口体10を装着した後、外装ケース4に対して封入される(S4)。外装ケース4は、封口体10が配置される位置に加締め処理が施される(S5)ほか、開口側のカーリング処理などが行われる。
【0052】
外装ケース4は、設定された位置および加締め量に基づいて、封入されたコンデンサ素子6に対する加締め処理が行われる(S6)。そのほか、コンデンサ2では、検品処理や端子部分の加工などが施される。
【0053】
加締め量の設定では、巻回されたコンデンサ素子6に対し加締め部12B、12Cの加締め位置が特定される(S11)。この加締め位置の特定処理では、たとえば接続部20A、20Bが配置される位置および配置されない位置が、コンデンサ素子6の底部側または上部側の端面からの距離などに基づいて設定される。そのほか、電極箔16の端面部分を回避するほか、接続部20A、20Bの先端部分などを回避するなどの条件を判断してもよい。電極箔16の端面部分を回避して加締め位置を設定することで、電極箔16を所定幅に裁断した際に裁断面に生じるバリに重なる位置を加締めるのを防止できる。これにより、加締め部12B、12Cによって押圧されたバリがセパレータ14を突き破り、電極箔16同士が短絡するのを回避できる。
【0054】
各加締め位置のコンデンサ素子6の素子径を測定し、加締め位置が特定されると、加締め部12B、12C間での素子径が比較され(S12)、素子径の差分が算出される。そして算出された差分に応じて、各加締め部12B、12C毎に加締め量L1、L2が設定される(S13)。
【0056】
(1) このコンデンサ2では、外装ケース4に封入されるコンデンサ素子6に対する複数の加締め量について、加締め位置における素子径の差分に応じて加締め量を異ならせることで、一部の過大な押圧力による電極箔16の損傷を防止できる。これによりコンデンサ2の信頼性が高められる。
【0057】
(2) 素子径の異なる加締め位置に対して加締め量を異ならせることで、外装ケース4によるコンデンサ素子6の押圧力が安定化し、外部からの力による振動に対し、コンデンサ素子6の固定強度が高められる。
【0058】
(3) 素子径の差分に基づいて外装ケース4に対する加締め量を異ならせることで、コンデンサ素子6への押圧による変位量L3、L4が確保され、コンデンサ素子6の支持状態を維持できる。
【0059】
(4) また、加締め量は、コンデンサ素子6と外装ケース4の内壁との隙間の相違量に応じた値が設定されるので、コンデンサ素子6の押圧力が安定化し、加締めによる支持力の不足または逆に過大な支持力となるのを防止できる。
【0060】
(5) コンデンサ素子6に対し離間した複数箇所で加締めることで、コンデンサ素子6が加締め部を軸として外装ケース4の側面方向に振動するのを防止できる。
【0061】
(6) 加締め部12B、12Cにおいてコンデンサ素子6への押圧力を一定にすることで、コンデンサ素子6の一部に捻れや撓みが生じるのを防止できるほか、固定力の弱い加締め部側に向けて振動による負荷が過大となるのを防止できる。
【0062】
(7) 複数の加締め部12B、12Cのいずれかによって外部端子8A、8Bに重なる位置を加締め、外部端子8A、8Bに対する押圧負荷の軽減が図れる。すなわち、コンデンサ2では、外部端子8A、8Bが加締め処理を施す加締め位置12B、12Cの全てに重ならない長さや位置となるように形成されるので、加締め処理に伴う押圧力によって外部端子8A、8Bが電極箔16やセパレータ14を損傷する可能性を低くできる。また、加締め部12B、12Cにおいて加締め量を異ならせてコンデンサ素子6に対する押圧力を一定にすることで、コンデンサ素子6の固定力向上に伴う耐振動性向上を図ることができる。
【0063】
(8) コンデンサ2は、外部端子8A、8Bの電極箔16に載置する部分がコンデンサ素子6の高さよりも短く形成され、コンデンサ2の高さ方向において、コンデンサ素子6の内部に外部端子8A、8Bが介在しない部分が形成されている。この外部端子8A、8Bが介在しない部分の断面形状は、真円に近くなり、加締め処理による押圧力がより一定になりやすい。このような真円部分を加締めたコンデンサ2は、固定支持力が向上するとともに、コンデンサ2全体において耐振動性が向上する。
【0065】
(1) 素子径の測定では、予め測定を行う方向を設定し、各加締め部12B、12Cにおいて同等な方向から測定した素子径を利用して加締め量が設定されればよい。加締め量の設定では、たとえば各加締め部12B、12Cにおける素子径の測定方向を設定し、この測定方向毎に加締め部12B、12C間の素子径の差分を算出して加締め量を設定する。そして、加締め処理では、測定方向毎に加締め量を変化させてもよい。
【0066】
斯かる構成によれば、電極箔16内に挿入されている接続部20A、20Bについて、縦方向の幅W3および横方向の幅W5に応じて、コンデンサ素子6の周方向に対して詳細な加締め量が設定でき、コンデンサ素子6の支持安定性が高められる。
【0067】
また、コンデンサ2の製造処理では、コンデンサ素子6の素子径に合せて加締め深さを設定する場合に限られず、たとえば管理幅としてコンデンサ素子6の幅(素子径)が所定の大きさの範囲内にあるか否かを判断してもよい。そして、加締め処理では、管理幅に該当するコンデンサ素子6に対し、管理幅に合せて予め設定された加締め深さで加締め部12B、12Cを形成してもよい。これにより加締め処理では、段階的な加締め深さの設定が可能となり、コンデンサ2の製造処理の迅速化が図れるとともに、管理幅の種類によって、コンデンサ素子6の素子径に対する加締め量の設定精度を高める効果が期待できる。
【0068】
(2) コンデンサ2では、加締め部12B、12Cが1つずつ設定される場合に限られない。加締め部は、コンデンサ素子6に対して3つ以上の加締め部があってもよい。この場合、加締め量の設定では、たとえば1の加締め部の素子径を基準とし、他の加締め部の素子径に対する差分を算出すればよい。
【0069】
(3) このコンデンサ2は、電解コンデンサや電気二重層コンデンサのみ限られず、固体コンデンサなどの各種のコンデンサや蓄電機能を重視する蓄電素子にも適用することができる。
【0070】
(4) 加締め部12B、12Cのコンデンサ素子6を押圧する部分が平坦面であってもよい。このようにコンデンサ素子6の押圧部の形状を平坦面にすることで、コンデンサ素子6への押圧力が部分的に集中させず、均一状態に付与でき、電極箔やセパレータの破損が生じにくくなる。また、コンデンサ素子6の押圧面が広いため、コンデンサ素子6を支持する面積が大きく、固定性も向上する。
【0071】
(5) 上記実施の形態では、巻止めテープ18の幅を電極箔16と同等としたが、これに限らない。巻止めテープ18は、コンデンサ素子6の加締め部12B、12Cが形成される部分に配置していればよいので、その幅はたとえば、巻止めテープ18を加締め部12B、12Cの幅以上として、コンデンサ素子6の加締め部12B、12Cに相当する部分のみに分割して配置してもよい。このようにすれば、巻止めテープ30の幅をコンデンサ素子6の長さによって変える必要がなく、様々な長さのコンデンサ素子6に対応することができるし、巻止めテープ18の使用量の削減など、材料費の削減効果も期待できる。
【0072】
(6) 上記実施の形態では、加締め位置12Bでのコンデンサ素子6の素子形状が接続部20A、20Bの介在により楕円状になっており、また加締め位置12Cでのコンデンサ素子6の素子形状が真円に近い形状となっているが、これに限らない。接続部20A、20Bを介在させることでコンデンサ素子6の形状が変わることに基づき、コンデンサ素子6は、楕円状に巻き始め、接続部20A、20Bを介在させることで真円になるよう巻回させてもよい。これによりコンデンサ素子6は、素子径が大きくなる接続部20A、20Bが配置される部分の素子形状を外装ケース4と同様に真円またはそれに近い形状にできるため、外装ケース4に対するコンデンサ素子6の体積効率の向上を期待できる。
【0073】
以上説明したように、本発明のコンデンサおよびその製造方法の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。