(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記円筒部分の外径は対象となる鋼管杭の内径より小さく、前記鍔の外径は前記鋼管杭の内径より大きく、これによって、前記鋼管杭の穴の中に前記円筒部分を挿入させかつ前記鍔が前記鋼管杭の縁部に当接して前記円筒部分がそれ以上前記鋼管杭の穴の中に挿入することを阻止することを特徴とする請求項6記載の鋼管杭圧入装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−57214号公報
【特許文献2】特開2006−63711号公報
【特許文献3】特公平06−43224号公報
【0004】
〈従来の鋼管杭圧入方法〉
従来の鋼管杭圧入工法は、既存基礎下端に油圧ジャッキを設置し、建物自重を反力として鋼管杭先端を支持地盤まで圧入していた。
図9は従来の鋼管杭圧入方法を説明する図で、地中に立てた鋼管杭を地中に圧入し、さらに別の鋼管杭を継ぎ足して溶接するまでを説明する図である。
【0005】
〈ステップ1〉
図9(1)において、ビルディング等の重量のある建物(駆体)の基礎Bの下に油圧ジャッキJを逆向きにしてアンカーで固定する。
〈ステップ2〉
鋼管杭J1を
図9(1)の油圧ジャッキJの真下まで運搬し、立て起こした後、油圧ジャッキJのシリンダJsを
図9(2)のように伸張して鋼管杭K1を下方に押し込み、土中Gに圧入する。
〈ステップ3〉
鋼管杭K1を土中Gに圧入後、油圧ジャッキJのシリンダJsを元の位置に戻して、油圧ジャッキJと鋼管杭K1との間に隙間を作り、その隙間に調整材S1を挿入して
図9(3)のように鋼管杭K1の上に載置する。
〈ステップ4〉
図9(4)において、油圧ジャッキJのシリンダJsを伸張して調整材S1を下方に押し込むことにより、調整材S1の長さだけさらに鋼管杭K1を土中Gに圧入する。
〈ステップ5〉
図9(5)において、油圧ジャッキJのシリンダJsを元の位置に戻して、再び油圧ジャッキJと調整材S1との間に隙間を作る。
〈ステップ6〉
図9(6)において、調整材S1の上に別の調整材S2を載置する。
〈ステップ7〉
図9(7)において、油圧ジャッキJのシリンダJsを伸張して調整材S2を下方に押し込むことにより、調整材S2の長さだけさらに鋼管杭K1を土中Gに圧入する。
〈ステップ8〉
以後、これを繰り返す。すなわち、調整材S2の上に調整材S3を載置して調整材S3を下方に押し込んで、調整材S3の長さだけさらに鋼管杭K1を土中Gに圧入し、さらに調整材S3の上に調整材S4を載置して調整材S4を下方に押し込んで、調整材S4の長さだけさらに鋼管杭K1を土中Gに圧入する。
その後、調整材S1〜S4を油圧ジャッキJの下から除去して、新たな鋼管杭K2を鋼管杭K1の上に載置する。
図9(8)は、調整材S1〜S4を油圧ジャッキJの下から除去して、新たな鋼管杭K2を鋼管杭K1の上に載置しようとしている状態を示している。
〈ステップ9〉
鋼管杭K2と鋼管杭K1の繋ぎ目を溶接によって一体化した後、油圧ジャッキJのシリンダJsを伸張して鋼管杭K2を下方に押し込むことにより、鋼管杭K2と鋼管杭K1はシリンダJsのストローク分だけ土中Gに圧入される。
図9(9)は鋼管杭K2と鋼管杭K1をシリンダJsのストローク分だけ土中Gに圧入した状態を示している。
【0006】
〈ステップ10〉
以上説明したことと実質同じことがこの後も繰り返されるので、図示は割愛する。ステップ10では、
図9(9)の状態から油圧ジャッキJのシリンダJsを元の位置に戻すと、油圧ジャッキJと鋼管杭K2との間に隙間ができる。そこでステップ3のように、(
図9(3)では鋼管杭K1の上に調整材S1を載置したが)鋼管杭K2の上に調整材S1を載置し、ステップ4のように油圧ジャッキJのシリンダJsを伸張して調整材S1を下方に押し込み、ステップ5のように油圧ジャッキJのシリンダJsを元の位置に戻して、ステップ6のように調整材S2を調整材S1の上に載置し、ステップ7のように油圧ジャッキJのシリンダJsを伸張して調整材S2を下方に押し込む。最終的に、調整材S4を下方に押し込んで、調整材S4の長さだけ鋼管杭K2を土中Gに圧入した後、調整材S1〜S4を油圧ジャッキJの下から除去して、
図9(8)のように、新たな鋼管杭K3を鋼管杭K2の上に載置して、鋼管杭K3と鋼管杭K2の繋ぎ目を溶接した後、鋼管杭K3を下方に押し込み、溶接された鋼管杭K3、K2、K1の3本が1本の長い鋼管杭となって土中に圧入されたことになる。
ステップ10を1回繰り返す毎に、1本の鋼管杭が新たに圧入されることになるので、土中に圧入したい数の鋼管杭になるまでステップ10を繰り返すことで所望の数の鋼管杭を土中に圧入することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の作業はすべて人力で行われた。すなわち、建物の基礎に油圧ジャッキを取り付ける作業、横になっている鋼管杭にアンカーを取り付けてワイヤを掛けてチエーンブロックなどで起こして、油圧ジャッキの下まで運ぶ作業、建て込み位置に合わせるために微調整する作業、鋼管杭の上に調整部材を載置する作業、鋼管杭の上に別の鋼管杭を載置する作業はすべて人力で行なわれており、建物の大型化、労働力の減少等が懸念される中、安全作業と省人力化作業が求められた。また、従来工法では、油圧ジャッキの取り付けおよび取り外しに手間がかかるため多数の油圧ジャッキを用意して先行取り付けする必要があった。したがって、油圧ジャッキを簡単に取り外すことができないため、溶接時間中は油圧ジャッキを他の場所での圧入作業に流用することができないので、圧入作業は手待ち時間となる。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的は鋼管杭圧入施工の機械化を促進し、安全で効率良く鋼管杭を圧入できる装置と方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明(1)〜(11)は次のことを特徴としている。
(1)油圧ジャッキと、前記油圧ジャッキをシリンダを下向きにして取り付けるジャッキユニットと、を備えた鋼管杭圧入装置において、前記ジャッキユニット
は、車両系建設機械
が備えたリフトの爪に前記ジャッキユニットを取り付ける構造と、前記油圧ジャッキの伸長方向が鋼管杭圧入方向と同一になるように前記油圧ジャッキの角度を調整する全方位角度調整機構と、鋼管杭圧入方向に対して垂直な面上で前記車両系建設機械の進行方向に直交する方向に沿って前記油圧ジャッキの位置を調整する位置調整機構と、を備えたことを特徴とする鋼管杭圧入装置。
(
2)
前記ジャッキユニットを取り付ける構造は、前記爪が入り込む爪挿入穴であ
り、前記ジャッキユニットの底部に設けられることを特徴とする上記(
1)記載の鋼管杭圧入装置。
(3)前記全方位角度調整機構は、前記油圧ジャッキの円筒部を両側から挟みつけて把持している2つの油圧ジャッキ把持装置を備え、前記2つの油圧ジャッキ把持装置にはそれぞれ第1回転軸が固定されており、前記第1回転軸は、額縁状矩形枠の対向する2つの第1側面にそれぞれ取り付けられた第1軸受に回転可能に収容され、前記額縁状矩形枠の前記第1回転軸の取り付けられていない対向する残りの2つの第2側面には、それぞれ第2回転軸が固定されており、前記第2回転軸は、基台フレームの上部に取り付けられた第2軸受に回転可能に収容され、前記額縁状矩形枠の前記2つの第1側面は、鋼管杭圧入方向に対して垂直な面上で前記車両系建設機械の進行方向に直交する方向に沿って配置され、前記ジャッキユニットの上面視において、前記第1回転軸の軸線と前記第2回転軸の軸線が前記油圧ジャッキ上で直交することを特徴とする上記(1)または(2)記載の鋼管杭圧入装置。
(4)前記位置調整機構は、前記額縁状矩形枠の前記2つの第1側面にそれぞれ取り付けられ、前記第1軸受を鋼管杭圧入方向に対して垂直な面上で前記車両系建設機械の進行方向に直交する方向に移動する直動装置を備え、前記直動装置を構成する矩形枠の内側底部に水平方向にレールが敷設されており、前記レールの上に前記第1軸受が載置されていることを特徴とする上記(3)記載の鋼管杭圧入装置。
(5)前記第1軸受には、鋼管杭圧入方向に対して垂直な面上で前記車両系建設機械の進行方向に直交する方向にネジ穴が貫通して切ってあり、前記ネジ穴に螺合し貫通するネジ軸が前記矩形枠の対向する2つの面で両持ち支持されてかつ回転可能に設けられていることを特徴とする上記(4)記載の鋼管杭圧入装置。
(6)円筒部分と
、前記円筒部分の
上端全周を囲む鍔と
、前記円筒部分の底とから成るシルクハットの形状をしたハット型ストローク調整材
の前記底を前記油圧ジャッキのシリンダの先端に固定したことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の鋼管杭圧入装置。
(7)前記円筒部分の外径は対象となる鋼管杭の内径より小さく、前記鍔の外径は前記鋼管杭の内径より大きく、これによって、前記鋼管杭の穴の中に前記円筒部分を挿入させかつ前記鍔が前記鋼管杭の縁部に当接して前記円筒部分がそれ以上前記鋼管杭の穴の中に挿入することを阻止することを特徴とする上記(6)に記載の鋼管杭圧入装置。
(8)爪付きリフトを有する車両系建設機械において、上記(
2)に記載の鋼管杭圧入装置の前記爪挿入穴に前記リフトの爪を差し込んで、前記鋼管杭圧入装置を上下移動させることができることを特徴とする鋼管杭圧入装置付き車両系建設機械。
(9)上記(6)または(7)に記載の鋼管杭圧入装置を用いて鋼管杭を建物の下の土中に圧入する鋼管杭圧入方法において、
前記油圧ジャッキの前記シリンダを伸張させて、前記シリンダの先端のハット型ストローク調整材の前記円筒部分を前記鋼管杭の穴の中に挿入して、前記鋼管杭を固定させるステップと、
対象とする建物の真下まで前記鋼管杭を運搬して、圧入位置に前記鋼管杭を立てるステップと、
前記シリンダを伸張させて、前記ハット型ストローク調整材の鍔で前記鋼管杭を土中に圧入するステップと、を備えることを特徴とする鋼管杭圧入方法。
(10)上記(9)に記載の鋼管杭圧入方法のステップに続いて、前記シリンダを元に戻して、前記圧入された鋼管杭の上に別の鋼管杭を載置して、両者を溶接するステップと、
前記シリンダを伸張させて前記ハット型ストローク調整材の前記鍔で、前記溶接された別の鋼管杭を土中に圧入するステップと、
によって、前記鋼管杭と前記別の鋼管杭を縦に繋げて土中に圧入することを特徴とする鋼
管杭圧入方法。
(11)上記(9)または(10)に記載の鋼管杭圧入方法における前記ハット型ストローク調整材の前記鍔で前記鋼管杭を土中に圧入するステップに続いて、
前記シリンダを元に戻して、前記圧入された鋼管杭の上に鉄板を載置するステップと、
前記シリンダを伸張させて、前記ハット型ストローク調整材の前記円筒部
分の下端で前記鉄板を下方に押しつけて、土中に圧入されていた前記鋼管杭を土中にさらに圧入するステップと、を含むことを特徴とする鋼管杭圧入方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の鋼管杭圧入装置によれば、重量物であるジャッキと鋼管材、ストローク調整材を汎用性の高い車両系建設機械に簡易に取り付け、全方位角度調整可能に圧入位置の調整を行い、精度高く施工を行える。従って、従来の工法に比して、重量物を人力で設置する必要もなく、ジャッキ、ストローク調整材、継ぎ足し鋼管材まで機械での設置が可能となり、更に、盛り替え作業の簡便化と溶接作業の低減も図ることが出来る。更に、安全作業で施工可能で省人力化も併せて図れる。
また、ジャッキユニットは全方位角度調整機構により油圧ジャッキを全方位に角度調整することができるので、車両系建設機械が傾いても、また建物の基礎が傾いていても、常に鋼管杭を鉛直に保持できるようになる。また、ジャッキユニットは位置調整機構により油圧ジャッキを鋼管杭圧入方向に対して垂直な面上で車両系建設機械の進行方向に直交する方向に沿って位置調整することができるので、車両系建設機械が所定の圧入位置から車両系建設機械の横幅方向に若干ずれて停車した場合、ジャッキユニットを所定の位置に調整することができるため、車両系建設機械の面倒な幅寄せをし直さなくても良い。
本発明の鋼管杭圧入方法によれば、重量物であるジャッキと鋼管材、ストローク調整材を汎用性の高い車両系建設機械に簡易に取り付け、全方位角度調整可能に圧入位置の調整を行い、精度高く施工を行える。従って、従来の工法に比して、重量物を人力で設置する必要もなく、ジャッキ、ストローク調整材、継ぎ足し鋼管材まで機械での設置が可能となり、更に、盛り替え作業の簡便化と溶接作業の低減も図ることが出来る。更に、安全作業で施工可能で省人力化も併せて図れる。
また、鋼管杭を圧入するには、従来は「油圧ジャッキの高さ」と「鋼管杭の高さ」の和以上のスペースが建物基礎と地面との間に必要であったが、本発明ではストローク調整材と鉄板を用いることで、「油圧ジャッキの高さー鋼管杭の中に入り込むストローク調整材の長さ」と「鋼管杭の高さ」の和だけの狭いスペースで圧入作業ができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る鋼管杭圧入装置について、
図1〜
図2を基に説明する。
図1は本発明に係る鋼管杭圧入装置の斜視図、
図2は本発明に係るハット型調整材付き鋼管杭圧入装置の三面図である。
【0012】
〈本発明に係るハット型調整材付き鋼管杭圧入装置1〉
図1において、本発明に係るハット型調整材付き鋼管杭圧入装置1は、鋼管杭圧入装置10とハット型調整材40とから構成される。
【0013】
〈鋼管杭圧入装置10〉
鋼管杭圧入装置10は、油圧ジャッキ20と、この油圧ジャッキ20を把持するジャッキユニット30とから構成される。
鋼管杭圧入装置10によれば以下に説明するジャッキユニット30を備えているので、重量物の油圧ジャッキ20と鋼管杭K1、ハット型ストローク調整材40を汎用性の高い車両系建設機械(フォークリフトやバックホーなど)50に簡易に取り付けることができ、また、鋼管杭圧入装置10の全方位角度調整可能に圧入位置の調整を行い、精度高く施工を行なうことができる。
【0014】
〈油圧ジャッキ20〉
ここで使用する油圧ジャッキ20は、油圧ポンプから油圧ホースを介してジャッキ本体内に作動油を送ってシリンダ20Sを伸張させる構造のものであれば何でもよいが、特に複動型油圧ジャッキが推奨される。その理由は、本件のように油圧ジャッキを逆さ使いにしてかつハット型調整材のようにある程度重量のあるものを付けた場合、伸長側の圧を抜いても内蔵のスプリングの力だけでは戻らない可能性がある。そこで、シリンダーの戻し側にも油を送り、油圧によりシリンダーを戻すタイプのジャッキである複動型油圧ジャッキはこの場合に最適である。
【0015】
〈ジャッキユニット30〉
ジャッキユニット30は本発明により全方位角度調整機構とX方向位置調整機構とを備えている。以下、全方位角度調整機構とX方向位置調整機構について説明する。
【0016】
《ジャッキユニット30の全方位角度調整機構》
油圧ジャッキ20の円筒部を両側から挟みつけて把持している2つの油圧ジャッキ把持装置31、31にはそれぞれ回転軸31A、31Aが固定されており、その回転軸31A、31Aは額縁状矩形枠32の対向する2つの側面にそれぞれ取り付けられた軸受32A、32Aに回転可能に収容されている。
また、額縁状矩形枠32の前記回転軸31A、31Aの取り付けられていない対向する残りの2つの側面には、それぞれ回転軸32A、32Aが固定されており、その回転軸32A、32Aは基台フレーム33、33の上部に取り付け部材33B、33Bでそれぞれ取り付けられた軸受33A、33Aに回転可能に収容されている。このように、油圧ジャッキ20は回転軸31Aを中心に回転可能であり、かつ回転軸32Aを中心に回転可能であるので、全方位角度調整可能となっている。
ジャッキユニット30は油圧ジャッキを自動的に全方位に角度調整することができるので、フォークリフト50が傾いても、また建物の基礎が傾いていても、常に鋼管杭を鉛直に保持できるようになる。
【0017】
《ジャッキユニット30のX方向位置調整機構》
回転軸31Aを回転可能に支持している軸受32Aは、額縁状矩形枠32の側面に設けられた次のような直動装置32Sによって水平方向に移動できるようになっている。すなわち、直動装置32Bを構成する矩形枠32Kの内側底部に水平方向にレール32Rが敷設されており、そのレール32Rの上に軸受32Aが載置されている。また、軸受32Aには水平方向にネジ穴32Hが貫通して切ってあり、そのネジ穴32Hに螺合し貫通する長尺のネジ軸32Nが矩形枠32Kの対向する2つの面で両持ち支持されてかつ回転可能に設けられている。また、軸受32Aにはネジ穴32Hに干渉しない部位にて回転軸31Aを回転可能に支持している。そこで、ネジ軸32Nを所定方向に回転することにより軸受32Aはレール32R上を一方向に移動し、また、ネジ軸32Nを逆方向に回転することにより軸受32Aはレール32Rを反対方向に移動するようになる。これに伴って軸受32A内に支持された回転軸31Aも移動し、油圧ジャッキ把持装置31も移動するようになる。ネジ軸32Nはジャッキユニット30の対向側面にそれぞれ設けられている。
このように、ジャッキユニット30は油圧ジャッキをジャッキユニット30のX方向に位置調整することができるので、フォークリフト50が所定の圧入位置からX方向(フォークリフト50の横幅方向)に若干ずれて停車した場合、ネジ軸32Nを回転することによりジャッキユニット30を所定の位置に調整することができるため、フォークリフト50の面倒な幅寄せをし直さなくても良い。。
【0018】
《ジャッキユニット30のY方向位置調整》
また、Y方向(フォークリフト50の進行方向)に若干ずれて停車した場合は、フォークリフト50を単に前進/後退させればよいので、簡単に調整できる。
【0019】
〈ハット型調整材40〉
鋼管杭圧入装置10の油圧ジャッキ20のシリンダ20Sの先端に、本発明に係るハット型ストローク調整材(以後、簡単に「ハット型調整材」と略称する)を採用している。ハット型調整材40は、円筒部分40Sとこの円筒部分40Sの先端周囲
(上端全周)を取り囲む鍔40T(つば)とから成るシルクハットの形状をしている。シルクハットの円筒部分40Sの外径は対象となる鋼管杭の内径より小さく、また、シルクハットの鍔40Tの外径は鋼管杭の内径より大きく選定されている。そして、シリンダ20Sの先端をシルクハットの円筒部
分(鞘管)に挿入し円筒部
分の底(帽子の天辺)にシリンダ20Sの先端をボルト固定し、鋼管杭の内径の中にシリンダ20Sの先端(すなわち、シルクハットの円筒部
分を)を挿入させて鋼管杭の頭を確保出来る形状とした。鞘管の後ろ端には鋼管杭の外径より大きい円形プレート(鍔40T)を設置したことで鋼管杭を圧入可能としている。
そこで、鋼管杭の穴の中にシルクハットの円筒部
分を没入させるとシルクハットの鍔40Tが鋼管杭の縁にぶつかってそれ以上の挿入が阻止される。
したがって、まず、鋼管杭にシルクハットの円筒部
分を挿入させてシルクハットの鍔40Tで鋼管杭を押し込み、次に、鋼管杭に鉄板を被(かぶ)せてシルクハットの円筒部
分が鋼管杭の穴の中に挿入しないようにして、シルクハットの円筒部
分で鋼管杭を押し込むことで、シリンダ20Sの2回のストローク分の長さの鋼管杭を押し込むことができ、従来の調整材の盛り替え回数の低減と鋼管杭長を2ストローク分の長さまで長くすることが可能となり、長い鋼管杭を用いることができるので、従来の短い鋼管杭をたくさん繋ぎ合わせるための溶接箇所を低減することができ、さらに調整材の盛り替え回数の低減が図られる。
また、前述のように別途調整材を接続すれば、さらに、盛替回数を低減できる。
【0020】
〈ジャッキユニット30を車両系建設機械に取り付け〉
本発明によりフォークリフトやハンドリフターの爪が入り込める爪挿入穴30Nをジャッキユニット30の下方に設けているので、鋼管杭圧入位置に油圧ジャッキ20を設置する際、各種の車両系建設機械であるフォークリフト50やパワーショベル、ハンドリフターのいずれにもに取り付けることのできる汎用性の高いアタッチメント方式となっている。
パワーショベルに対してはショベルの先端の爪50N、またはショベルを外して代わりにジャッキユニット30をアーム先端に取り付けるようにしてもよい。
ジャッキユニット30はフォークリフト50の先端の爪50Nに挿入固定され、フォークリフト50の移動で圧入位置まで運ばれる。
以下では、フォークリフト50に載置した例で説明する。
【0021】
〈フォークリフト50〉
図3は本発明に係るハット型調整材付き鋼管杭圧入装置1をフォークリフト50に載置した例を示している。ハット型調整材付き鋼管杭圧入装置1には、ジャッキユニット30の下方にフォークリフト50の爪50Nが入り込める爪挿入穴30Nを設けている。この爪挿入穴30Nにフォークリフト50の爪50Nを貫通させることで、フォークリフト50にハット型調整材付き鋼管杭圧入装置1が取り付けられ、フォークリフト50は鋼管杭の横積みされている場所と建物の下とを自由に往復移動して、鋼管杭K1を簡単に建物の下に運ぶことができる。
このように本発明に係るハット型調整材付き鋼管杭圧入装置1を車両系建設機械に載置した場合、継ぎ足しされる鋼管杭K1を平置き状態から建て入れ状態まで建てこみ作業と圧入ジャッキ設置が同時に施工することが可能となるので、便利である。
また、重量物を人力で設置する必要もなくなり、油圧ジャッキ、ストローク調整材、継ぎ足し鋼管材まで機械での設置が可能となり、更に、盛り替え作業の簡便化と溶接作業の低減も図ることが出来る。
従来工法では、油圧ジャッキを建物の基礎に固定しているため、溶接の間は圧入作業は行われないので、手待ち時間となる。本発明では溶接の間は油圧ジャッキを別の圧入箇所へ移動させ、溶接中も他の場所での圧入作業を稼働可能とした。このことより、少ない台数の油圧ジャッキでも複数の鋼管杭の施工が可能となる。さらに、油圧ジャッキのストロークを長くすることが可能となり、調整材の使用回数も低減できる。
上に示したように、本発明によれば、鋼管杭の建て込み時おいてハット型調整材40を付加することにより次鋼管杭の建て込み作業の効率化と省力を図ることができ、しかも安全作業を行う事ができる。
【0022】
〈本発明に係る鋼管杭圧入装置10の用い方〉
以下、
図4〜
図8を基に本発明に係るハット型調整材付き鋼管杭圧入装置1を用いて、複数本の鋼管杭を圧入する手順を説明する。
【0023】
図4(1)において、
図3に示すようにフォークリフト50の爪50Nをハット型調整材付き鋼管杭圧入装置1の爪挿入孔に差し込んでハット型調整材付き鋼管杭圧入装置1を取り付けたフォークリフト50を運転して鋼管杭K1の横積みされた場所に移動して、フォークリフト50の爪50Nを上下移動させ、かつハット型調整材付き鋼管杭圧入装置1を旋回させて、ハット型調整材40を鋼管杭K1の穴に差し込む。なお、以下の図では、ハット型調整材付き鋼管杭圧入装置1の動きを見やすくするため、フォークリフト50の図示は省略している。
そして、フォークリフト50で鋼管杭K1を立てながらハット型調整材40を穴の中に差し込んでいくと、最終的に鋼管杭K1は直立して、ハット型調整材40の鍔40Tが鋼管杭K1の上端に当接する。この状態でハット型調整材40の鍔40Tと鋼管杭K1の上端とを動かないように固定する。
【0024】
図4(2)において、鋼管杭K1をハット型調整材40で固定したままフォークリフト50で圧入現場まで移動する。
【0025】
フォークリフト50は圧入現場に到着し、
図4(3)において、圧入する位置で、鋼管杭K1をハット型調整材40で固定したまま、油圧ジャッキの上端を基礎に接触させる。鋼管杭K1は地面に接近した状態にある。
【0026】
この状態で、シリンダ20Sを伸張すると、油圧ジャッキは建物の自重を反力として加圧して、鋼管杭K1を土中に順次圧入させていくので、シリンダ20Sの伸張分はすべて鋼管杭K1の圧入に使われ、シリンダ20Sの1ストロークで鋼管杭K1が1ストローク分地中に圧入される。
例えば、油圧ジャッキの1ストロークが50cmであり、鋼管杭K1の長さが1mだとすれば、
図4(4)のように、1ストロークで鋼管杭K1は50cm、つまり鋼管杭K1の半分が地中に圧入される。
もちろん、本発明において、油圧ジャッキの1ストロークが100cmのものを用いれば、1ストロークで1mの鋼管杭K1は全部が地中に圧入されることができるが、油圧ジャッキ自体の重量が過大となるので大型のフォークリフトが必要となり、あまり推奨できない。そこで、本発明では次のような工夫をしている。
【0027】
図5(5)において、油圧ジャッキのシリンダ20Sを後退させて、ハット型調整材40と鋼管杭K1との間に若干の隙間を作る。
【0028】
図5(6)において、ハット型調整材40と鋼管杭K1との隙間に鉄板を挿入する。
【0029】
この状態で、シリンダ20Sを伸張すると、鉄板を介して鋼管杭K1が土中に圧入される。かくして、50cmだけ圧入されていた鋼管杭K1は、さらに油圧ジャッキの1ストローク、50cmだけさらに圧入されるので、
図5(7)のように、鋼管杭K1全体が土中に圧入されることとなる。
このように、ハット型調整材40と鉄板を用意して、まず(ハット型調整材40の先端
(円筒部分の下端)を鋼管杭K1の中に挿入してハット型調整材40の先端
(円筒部分の下端)を使わずに)ハット型調整材40の鍔40Tで鋼管杭K1を押すことにより鋼管杭K1の半分を押し下げ、次にハット型調整材40の先端
(円筒部分の下端)で鉄板を押すことによりさらに鋼管杭K1の半分を押し下げることで、(1ストロークが100cmの油圧ジャッキを用いなくても)鋼管杭K1の全体を圧入できることになる。
【0030】
次に、シリンダ20Sを戻すと、
図5(8)のように、鋼管杭K1の上に鉄板が残る。
【0031】
そこで、鉄板を除去すると、
図6(9)のように、ハット型調整材40の鍔40Tと鋼管杭K1との間に別の鋼管杭K2が入る間隙ができる。
【0032】
そこで、再び
図4(1)〜(3)に戻って、フォークリフト50で次の鋼管杭K2を取りに行き、ハット型調整材40で固定したままフォークリフト50で圧入現場まで戻り、
図6(10)のように、鋼管杭K1の真上に別の鋼管杭K2を置き、油圧ジャッキの上端を基礎に接触させる。
【0033】
この状態で、シリンダ20Sを若干伸張させて、
図6(11)のように、鋼管杭K1の上に鋼管杭K2を載置する。この状態で接触面を溶接すると、鋼管杭K1と鋼管杭K2は一体となる。
【0034】
この状態で、再びシリンダ20Sを伸張すると、ハット型調整材40の鍔40Tで鋼管杭K2を押すことになり、シリンダ20Sの伸張分はすべて鋼管杭K2の圧入に使われ、シリンダ20Sの1ストロークで鋼管杭K2が半分だけ地中に圧入されて、
図6(12)のようになる。
【0035】
油圧ジャッキのシリンダ20Sを後退させて、
図7(13)のように、ハット型調整材40と鋼管杭K1との間に若干の隙間を作る。
【0036】
図7(14)において、ハット型調整材40と鋼管杭K2との隙間に鉄板を挿入する。
【0037】
この状態で、シリンダ20Sを伸張すると、鉄板を介して鋼管杭K2が土中に圧入される。かくして、2本の鋼管杭K1、K2が、
図7(15)のように、土中に圧入されることとなる。
【0038】
次に、シリンダ20Sを戻すと、
図7(16)のように、鋼管杭K2の上に鉄板が残る。そこで鉄板を除去すると、ハット型調整材40の鍔40Tと鋼管杭K2との間に別の鋼管杭が入る間隙ができるので、フォークリフト50で次の鋼管杭K3を取りに行き、ハット型調整材40で固定して戻り、
図8(17)のように、鋼管杭K2の真上にさらに別の鋼管杭K3を置き、両者の接触面を溶接すると、鋼管杭K2と鋼管杭K3も一体となる。そこで油圧ジャッキの上端を基礎に接触させる。
【0039】
この状態で、シリンダ20Sを若干伸張させると、
図8(18)のように、ハット型調整材40の鍔40Tで鋼管杭K3を押すことになり、シリンダ20Sの伸張分はすべて鋼管杭K3の圧入に使われ、シリンダ20Sの1ストロークで鋼管杭K3が半分だけ地中に圧入される。このとき、ハット型調整材40の先端は鋼管杭K3の中に挿入しており、今回の圧入には寄与していない。
【0040】
そこで、油圧ジャッキのシリンダ20Sを後退させて、ハット型調整材40と鋼管杭K3との隙間に鉄板を挿入し、シリンダ20Sを伸張すると、鉄板を介して鋼管杭K3が土中に圧入される。かくして、3本の鋼管杭K1、K2、K3が、
図8(19)のように、土中に圧入される。
以上のことを繰り返すことで、必要とする本数の鋼管杭を土中に圧入することができる。
【0041】
この作業を繰り返して、所定深さまで鋼管杭を圧入した後、鋼管杭の先端が支持地盤に到着したことを確認し、
図8(20)のように、油圧ジャッキのシリンダ20Sを後退させて、ハット型調整材付き油圧ジャッキをフォークリフト50が現場から運び去って、次工程へと移行する。
【0042】
〈変形例〉
以上の実施形態では、フォークリフトの爪を利用して、ジャッキユニットに爪挿入穴を設けることで、ジャッキユニットを簡単にフォークリフトに取り付けるようにしていたが、爪を持たないバックホー(油圧ショベル)等のような車両系建設機械の場合には接続部に応じたアタッチメント(接続用治具)を適宜作成して、これに本発明に係るジャッキユニットを接続するようにすればよい。
【0043】
〈まとめ〉
1)本発明の鋼管杭圧入装置によれば、重量物であるジャッキと鋼管材、ストローク調整材を汎用性の高い車両系建設機械に簡易に取り付け、全方位角度調整可能に圧入位置の調整を行い、精度高く施工を行える。従って、従来の工法に比して、重量物を人力で設置する必要もなく、ジャッキ、ストローク調整材、継ぎ足し鋼管材まで機械での設置が可能となり、更に、ハット型調整材の効果により盛り替え作業の簡便化と溶接作業の低減も図ることが出来る。更に、安全作業で施工可能で省人力化も併せて図れる。
2)本発明の鋼管杭圧入方法によれば、重量物であるジャッキと鋼管材、ストローク調整材を汎用性の高い車両系建設機械に簡易に取り付け、全方位角度調整可能に圧入位置の調整を行い、精度高く施工を行える。従って、従来の工法に比して、重量物を人力で設置する必要もなく、ジャッキ、ストローク調整材、継ぎ足し鋼管材まで機械での設置が可能となり、更に、ハット型調整材の効果により盛り替え作業の簡便化と溶接作業の低減も図ることが出来る。更に、安全作業で施工可能で省人力化も併せて図れる。
3)また、鉄板を用いるだけで小さいストロークのシリンダを有する油圧ジャッキであっても、そのストロークの2倍の長さの鋼管杭を圧入することができるようになる。