(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[発明の実施形態の説明]
最初に発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0012】
(1)本実施形態に係る蓄電デバイスモジュールは、それぞれが外部端子を有する2つ以上の蓄電デバイスを含む群(以下、デバイス群)と、蓄電デバイスの充放電を制御するための回路を含み、前記群の少なくとも一部に沿うように配された基板(以下、回路基板)と、デバイス群の温度を検知する温度検知センサとを具備する。デバイス群と回路基板との間には空間(以下、検温空間)が保持され、その空間に温度検知センサが配されている。
【0013】
小型化された蓄電デバイスモジュールの場合、蓄電デバイスおよび付属回路(特に蓄電デバイスに対する電力の出入力を制御するスイッチ機能を有する回路部分)の発熱による蓄電デバイスの温度上昇が顕著になりやすい。上記構成においては、回路基板がデバイス群の少なくとも一部に沿うように近接配置され、検温空間は、デバイス群および回路基板の両方と熱的に隣接している。よって、検温空間内の温度検知センサによれば、デバイス群の温度変化を迅速かつ正確に検知することができる。また、温度検知センサを蓄電デバイスの壁面に接触させる必要がなく、センサの取り付けの自由度が大きい。すなわち、本発明の上記局面によれば、小型化および大電流化の要請に応じつつ、温度検知センサの取り付けに対する構造上の制約が小さく、かつ蓄電デバイスの温度管理が容易な蓄電デバイスモジュールを提供することができる。更に、回路基板がデバイス群に近接配置されているため、蓄電デバイスモジュールの小型化も容易である。
【0014】
(2)上記蓄電デバイスモジュールは、更に、隣接する蓄電デバイスの外部端子同士を連結する接合部材を具備してもよい。すなわち、2つ以上の蓄電デバイスは、接合部材により、直列および/または並列に電気的に接続される。接合部材には、例えば金属板(バスバー(busbar))が用いられる。接合部材が検温空間に配される場合、温度検知センサは、接合部材を介して、デバイス群の温度を検知することが好ましい。これにより、温度検知センサの設置が容易になる。このとき、温度検知センサは、接合部材の温度を検知することにより、間接的にデバイス群の温度変化を検知する。検温空間に配されている接合部材は、デバイス群の温度変化を敏感に反映するため、各蓄電デバイスに温度検知センサを設置することなく、より迅速かつ正確にデバイス群の温度を検知することができる。
【0015】
(3)上記蓄電デバイスモジュールは、更に、前記群に対する電力の出入力のための一対の出入力端子を具備してもよく、前記一対の出入力端子が、前記群と前記基板とを連結してもよい。回路基板は、例えば、デバイス群に対する電力の出入力を制御するスイッチ機能を有する回路を具備する。出入力端子は、具体的には、蓄電デバイスの外部端子と、スイッチ機能を有する回路とに接続される。出入力端子は、デバイス群と回路基板との間の検温空間に配することが伝導経路の短縮の観点から好ましい。出入力端子が検温空間に配される場合、温度検知センサは、一対の出入力端子の少なくとも一方を介して、デバイス群の温度を検知してもよい。このとき、温度検知センサは、出入力端子の温度を検知することにより、間接的にデバイス群の温度変化を検知する。検温空間に配されている出入力端子は、デバイス群の温度変化を敏感に反映するとともに、通常のモジュール使用時において、最も高温になり易い部材でもある。よって、出入力端子を介してデバイス群の温度を検知することにより、デバイス群の異常温度をより迅速に検知することができる。よって、モジュール使用時の安全性が高められる。
なお、検温空間内に温度検知センサが配される限り、温度検知センサの数や設置場所は特に限定されない。
【0016】
(4)上記蓄電デバイスモジュールは、更に、2つ以上の蓄電デバイスを一体化する絶縁性を有するホルダーを具備してもよい。ここで、ホルダーは、デバイス群の一方の端部(以下、第1端部)と勘合する第1ケースと、デバイス群の第1端部と対向する他方の端部(以下、第2端部)と勘合する第2ケースとを具備することが好ましい。第1ケースは、デバイス群の第1端部と勘合する内側収容部と、内側収容部の反対側に配置された外側収容部とを具備することが好ましい。このとき、回路基板は、外側収容部を覆うように配することが好ましい。また、外側収容部は、外部端子および/または出入力端子、温度検知センサならびに接合部材を収容することが好ましい。すなわち、検温空間は、外側収容部により保持される。これにより、デバイス群の外部端子と回路基板との距離が近くなり、出入力端子と回路基板との接続構造を簡易かつ低抵抗にすることが容易となる。また、蓄電デバイスモジュールは、全体的に取り扱い易い形状となり、機械的もしくは構造的な強度が向上する。更に、ホルダーの存在により、蓄電デバイス同士を接合部材で接続する作業の安全性が向上する。複数の蓄電デバイスを2つの部品からなるホルダーで一体化できるため、組み立ても容易である。
【0017】
(5)好ましい形態において、蓄電デバイスは、発電要素または蓄電要素と、発電要素または蓄電要素を収容する角型ケースとを具備する。すなわち、蓄電デバイスは角型デバイスであることが好ましい。角型ケースは、一般に、角型の金属容器と、金属容器の開口を塞ぐ封口板とを具備する。通常、2つの外部端子は封口板に設けられている。この場合、2つ以上の蓄電デバイスの封口板は、第1端部に整列して配置される。外部端子の形状は特に限定されないが、例えば突起状であることが好ましい。これにより、接合部材で隣接する蓄電デバイスの外部端子同士を連結しやすくなる。
【0018】
封口板が互いに極性の異なる2つの外部端子を有する場合は、同じ極性の外部端子同士を連結することで、複数の蓄電デバイスを並列に接続することが可能である。また、隣接する蓄電デバイスの異なる極性の外部端子同士を連結することで、複数の蓄電デバイスを直列に接続することが可能である。
【0019】
封口板は、蓄電デバイスの内圧が上昇したときに作動するガス抜き弁を有してもよい。このとき、第1ケースは、ガス抜き弁と所定間隔を隔てて対向する蓋部を有することが好ましい。これにより、十分なガスの通路が確保される。また、外側収容部を覆うように配置されている回路基板を、ガスから保護することができる。
【0020】
角型蓄電デバイスを上記のように配置することにより、蓄電デバイスモジュールの構造的強度は一層高められる。ただし、蓄電デバイスの形状は、角型に限られず、円筒型および/またはラミネート型でもよく、これら以外の形状でもよい。また、異なる形状の蓄電デバイスを一体化させてモジュールにしてもよい。
【0021】
(6)第1ケースは、隣接する蓄電デバイス間に介在する第1仕切り部材を有し、同様に、第2ケースは、隣接する蓄電デバイス間に介在する第2仕切り部材を有することが好ましい。これにより、複数の蓄電デバイスは、ホルダー内に確実に位置決めされ、その状態で固定される。上記蓄電デバイスモジュールは、組み立てが更に容易であり、構造的強度も高い。また、構造が簡易であることから、モジュールの小型化、更には軽量化も容易である。
【0022】
第1仕切り部材および第2仕切り部材により、隣接する蓄電デバイス間には空間が保持される。これにより、蓄電デバイス間に空気が対流する空間を保持することができる。よって、優れた放熱性が得られると同時に、デバイス群と回路基板との間の検温空間の温度は、デバイス群の側面の温度を反映しやすくなる。また、衝撃および/または振動によって蓄電デバイス同士が接触して擦れる不具合も生じない。よって、蓄電デバイスの破損を防止することもできる。
【0023】
ホルダー(第1ケースおよび第2ケース)は、絶縁性を有するため、第1端部および第2端部に配された金属容器の一方および他方の端部の外側の面は、第1ケースおよび第2ケースと直に接触してもよい。これにより、蓄電デバイスを絶縁性の外装シートで覆う必要がなくなり、製造コストを抑えることができる。
【0024】
第1ケースと第2ケースとを連結することにより、第1ケースと第2ケースとでデバイス群を第1端部および第2端部から挟持してもよい。これにより、蓄電デバイスモジュールの構造的強度が更に高められる。
【0025】
外側収容部は、隣接する蓄電デバイスの外部端子のうち、接合部材により連結されない外部端子同士を電気的に絶縁する第3仕切り部材を有することが好ましい。これにより、必要な外部端子同士を接合部材で接合する際に、不要な電気的な誤接触を避けることができる。第3仕切り部材は、構造的強度の向上にも寄与する。
【0026】
外側収容部は、外部端子および接合部材を囲うように配されたリブを有することが好ましい。これにより、蓄電デバイスが全体的に更に取り扱い易い形状となり、構造的強度も更に向上する。このときリブの端面と第3仕切り部材の端面とが面一であることが好ましい。これにより、構造的強度が一層向上する。なお、同様の観点から、ガス抜き弁と対向する蓋部も、リブの端面および第3仕切り部材の端面と面一であることが好ましい。
【0027】
(7)上記蓄電デバイスモジュールを構成する蓄電デバイスの種類は、特に限定されないが、電池および/またはキャパシタ(もしくはコンデンサ)が挙げられる。電池の種類は特に限定されないが、非水電解質電池、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池などの化学電池が挙げられる。キャパシタ(もしくはコンデンサ)の種類も特に限定されないが、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、レドックスキャパシタなどが挙げられる。
【0028】
[発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態を以下に具体的に説明する。なお、本発明は、以下の内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0029】
図1に示すように、複数の蓄電デバイス100は、絶縁性を有するホルダーにより一体化され、デバイス群を形成している。
図2は、複数の蓄電デバイスからホルダー(第1ケースと第2ケース)を外した状態を示している。ホルダーは、デバイス群の上端部100aと勘合する第1ケース200と、デバイス群の下端部100bと勘合する第2ケース300とを具備する。なお、ホルダーを用いることは必須ではないが、ホルダーを用いることでデバイス群の構造的強度が高まり、取り扱いが容易となる。
【0030】
図3は、蓄電デバイス100の群を、更に頑丈な外装ケース500に収容する場合を示している。
図4は、外装ケース500に収容された蓄電デバイスの側面を、更に拘束プレート550で固定する場合を示している。外装ケース500および拘束プレート550を用いることは必須ではないが、例えば、車両に蓄電デバイスモジュールを載置する場合には、このような強度の高い外装ケース500や拘束プレート550を用いることが望ましい。
【0031】
蓄電デバイス100は、
図2に示すように、発電要素または蓄電要素と、その要素を収容する角型ケースとを具備する。角型ケースは、上部が開口した有底角型の金属容器101と、上部開口を塞ぐ封口板103とで構成されている。金属容器101の開口形状は、細長い長方形またはこれに近似した形状である。金属容器101は、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金製である。複数の蓄電デバイス100の封口板103は、デバイス群の上端部100aに整列して配置されている。
【0032】
封口板103の一方側寄りには、封口板を貫通する第1外部端子105が設けられ、封口板の他方側寄りには、封口板を貫通する第2外部端子107が設けられている。第1外部端子105と第2外部端子107とは逆極性を有し、いずれも突起状または柱状である。第1外部端子105と第2外部端子107は、蓄電デバイス100の対称な位置に対称な形状で配置されている。封口板103の中央には、蓄電デバイス100の内圧が上昇したときに、内部で発生したガスを放出するためのガス抜き弁109が設けられている。
【0033】
図5および
図6は、接合部材400と蓄電デバイス100の外部端子との接続関係を示している。ホルダー内には、複数の蓄電デバイス100が、第1外部端子105と第2外部端子107とが交互に隣り合うように収容されている。よって、全ての蓄電デバイス100を直列に電気的に接続する場合には、複数のバスバー401(蓄電デバイスの数がn個であれば(n−1)個のバスバー)を用いて、最近接する異なる極性の外部端子同士が、第1外部端子側と第2外部端子側とで交互に接続される。
【0034】
図示例では、外部端子105(107)が雄螺子となり、バスバー401、401Xをナット403により固定する場合を示している。接合部材400は、バスバー401、401Xとナット403とを包含する。バスバー401、401Xは、板状の導電性材料であり、蓄電デバイス100の外部端子を貫通させる2つの端子用孔を有する。
【0035】
バスバー401Xには、温度検知電センサ402を固定するための螺子穴401bが設けられている。蓄電デバイス100の壁面に温度検知センサ402を固定することは困難である一方、バスバー401Xに温度検知センサ402を固定することは容易である。複数のバスバーを用いる場合、全てのバスバーが、検温空間内において、デバイス群と電気的および熱的に接続される。よって、バスバー間の温度は大きく異なることがなく、全てのバスバーに温度検知センサを設置する必要はない。少なくとも1つのバスバー(図示例の場合はバスバー401X)に温度検知センサ402を設置すれば十分である。
【0036】
バスバー401、401Xは、電気伝導性および熱伝導性に優れる金属材料により形成することが好ましい。例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などを用いて、バスバーを形成することが好ましい。これにより、デバイス群の温度を迅速かつ正確に検知することが更に容易となる。
【0037】
温度検知センサの種類は特に限定されない。例えば、温度変化に対して電気抵抗が大きく変化する抵抗体(サーミスタ)、ペルチェ素子などを、温度検知センサとして用いることができる。
図6に示す温度検知センサ402は、サーミスタであり、温度検知センサ402には、螺子402bを通す螺子穴402aが設けられている。
【0038】
図10は、温度検知センサ402が接続されるバスバー401Xの斜視図である。バスバー401Xは、2つの端子用孔401aに加え、温度検知センサ402を固定するための螺子穴401bを有する。螺子穴401bは、バスバー401Xの2つの端子用孔401aの間に設けてもよいが、2つの端子用孔401aの間の電気伝導経路を外れる位置に設けることが望ましい。図示例のバスバー401Xは、2つの端子用孔401aを有する長方形の電気伝導領域401Aと、これに隣接する長方形の検温領域401Bとを有し、検温領域401Bに螺子穴401bが設けられている。検温領域401bには、温度検知センサ402を螺子で固定するときに温度検知センサ402の回転を抑制する突起401cを設けてもよい。
【0039】
温度検知センサ402のバスバー401Xへの取り付けは、温度検知センサ402の螺子穴402aと検温領域401Bの螺子穴401bとを同軸になるように位置合わせし、螺子402bを両螺子穴に挿入し、締結することにより行われる。これにより、温度検知センサ402をバスバー401Xにしっかりと固定することができる。よって、振動により温度検知センサ402がバスバー401Xから外れることを防止することができる。
【0040】
なお、温度検知センサは、上記のようなバスバー401Xに限らず、接合部材400のいずれに固定してもよい。例えば、他のバスバー401、ナット403もしくはワッシャに温度検知センサを接続してもよい。接合部材400(特にバスバー401、401X、ナット403)には、接触電気抵抗の低減、腐食防止などの観点から、めっきを施してもよい。これにより、接合部材400による蓄電デバイス同士の接続を安定化させることができる。
【0041】
デバイス群の最も外側に配置される2つの蓄電デバイス100の一方の第1外部端子105Xおよび他方の第2外部端子107Yは、蓄電デバイスモジュールの出入力端405として機能する特別な接続部品と接続される。
【0042】
図7は、外装ケース500に収容された蓄電デバイスモジュールと、カバープレート570との関係を示している。カバープレート570により、外的要因による外部端子間の短絡が防止され、外部端子間の絶縁がより確実に確保される。ただし、外部端子間の絶縁が確保される構造であれば、カバープレート570を用いることは必須ではない。
【0043】
図8に示すように、外装ケース500に収容された蓄電デバイスのカバープレート570上には、蓄電デバイス100の充放電を制御する制御回路を具備する回路基板600を配置することができる。すなわち、回路基板600は、矩形のデバイス群の封口板側の面に沿うように配される。これにより、デバイス群および回路基板600の両方と熱的に隣接する検温空間580(
図9B、
図9C参照)が形成される。回路基板600の最下面と蓄電デバイス100の封口板103の最上面との距離(すなわち検温空間580の厚み)は、例えば5〜25mmである。これにより、温度検知の正確性を確保しつつ、検温空間580内に過度に熱が籠ることを抑制することができる。よって、蓄電デバイスモジュールの放熱性が向上する。
【0044】
図9Aに、回路基板600を具備する蓄電デバイスモジュール700の一例の外観を示す。
図9Bには、蓄電デバイス100の外部端子107Yと回路基板600との出入力端子405を介した接続構造を示す。
図9Bは、
図9AのB−B線矢視図である。
【0045】
蓄電デバイス100の外部端子105Xまたは107Yと、回路基板600とは、出入力端子405を介して接続される。出入力端子405は、デバイス群の温度変化に敏感であり、かつ最も高温になり易いため、出入力端子405を介してデバイス群の温度を検知してもよい。
図9Cは、
図9Bの実施形態の変形例であり、出入力端子405に温度検知センサ402が固定されている。
図9Cの実施形態においては、バスバー401、401Xなどに温度検知センサを固定する必要はない。
【0046】
図11に示すように、出入力端子405は、外部端子105X(107Y)が貫通する孔405aを有し、ナット403と加締められる板状部405bと、孔405aと間隔を隔てて板状部405bから上方に延びる柱状部405cとを有する。柱状部405cの先端付近には、中空部405dを設けてもよく、中空部405dの内壁に螺子溝を形成して柱状部405cを雌螺子としてもよい。なお、
図11に例示する出入力端子405には温度検知センサ402が固定されているが(
図9C参照)、バスバー401、401Xなどに温度検知センサが固定されている場合には、出入力端子405に温度検知センサ402を固定する必要はない。
【0047】
出入力端子405の柱状部405cは、カバープレート570に設けられた貫通孔571を通過して回路基板600に到達する高さを有する。貫通孔571には、カバープレート570と柱状部405cとを絶縁性するガイド部品575を介在させてもよい。柱状部405cの先端は、例えば平坦面になっている。柱状部405cの先端の平坦面は、回路基板600の下面に露出する端子電極601と当接させることができる。この状態で、雄螺子590を柱状部405cの雌螺子に勘合させることにより、柱状部405cの先端の平坦面と回路基板600の端子電極601とが強固に面接触し、電気的接続が達成される。柱状部405cの先端と端子電極601との接触面積は20mm
2以上であることが望ましい。これにより、出入力端子405と回路基板600との接続抵抗が低くなり、大電流による充放電に有利となる。
【0048】
次に、デバイス群を固定するホルダーの一例について説明する。
図12A〜
図12Eに、各方向から見た第1ケース200の外観を示す。
図13A〜図 13Dに、各方向から見た第2ケース300の外観を示し、
図13Eは、
図13Bの一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。第1ケースおよび第2ケースは、それぞれ隣接する蓄電デバイス100間に介在する板状の仕切り部材201、301を有する(
図2参照)。これにより、各ケースには、各蓄電デバイス100の上端部または下端部に勘合する仕切り構造が形成されるとともに、隣接する蓄電デバイス100間には空間102が保持される。これにより、優れた放熱性が確保される。
【0049】
各蓄電デバイス100の配列は、仕切り構造により規制される。よって、第2ケース300に、その仕切り構造に合わせて、各蓄電デバイス100を下端部100bから挿入することにより、複数の蓄電デバイス100が整列した状態で第2ケース300に収容される(
図2参照)。その後、第1ケース200を、第2ケース300に収容されたデバイス群の上端部100aに勘合させることにより、第1ケース200の仕切り構造によってデバイス群が固定される。よって、隣接する蓄電デバイス100間の空間102が安定的に保持される。すなわち、簡易な作業で、複数の蓄電デバイスを一体化でき、かつ得られる構造の安定性も優れている。
【0050】
隣接する蓄電デバイス100間に定常的に空間が保持されるため、振動および/または衝撃により蓄電デバイス100同士が接触することも防止される。よって、蓄電デバイス同士の電気的な絶縁が確実に確保でき、蓄電デバイスの擦れによる破損も防止される。
【0051】
第1ケース200および第2ケース300は、それぞれ絶縁性を有し、かつ軽量性に優れる樹脂製部品であることが好ましい。第1ケース200および第2ケース300は、例えば、ポリオレフィンおよび/またはこれを含む樹脂組成物の成形品であることが好ましい。ポリオレフィンとしては、耐熱性に優れるポリプロピレン(PP)が好ましい。
【0052】
第1ケース200は、蓄電デバイス100の上端部と両サイド200a、200bが接触するとともに中央にガス抜き弁109と対向する蓋部205を有する天面板210と、蓋部205を除く天面板210の周囲から上方に立ち上がる外リブ230と、蓋部205を除く天面板210の周囲から下方に立ち下がる内リブ250と、天面板210を等分するように天面板から立ち下がる板状の第1仕切り部材201(
図12C参照)とを有する。天面板210は、平面視では矩形であり、蓋部205は外リブ230の端面230aと面一である。
【0053】
上記のように、第1ケース200は、天面板210と内リブ250とで区画された内側収容部207を有するとともに、内側収容部207の反対側に、天面板210と外リブ230とで区画された外側収容部209を有する。
【0054】
外リブ230は、金属容器101の開口の長辺と平行な第1側壁231と、金属容器101の開口の短辺(すなわちデバイス群の積層方向)と平行な第2側壁233とを有する。同様に、内リブ250は、金属容器101の開口の長辺と平行な第1側壁251と、金属容器101の開口の短辺(すなわちデバイス群の積層方向)と平行な第2側壁253とを有する。
【0055】
内側収容部207は、内リブ250および第1仕切り部材201により、更に複数の区画203に分割されている。各区画203には、蓄電デバイスの上端部が1つずつ勘合する。天面板210には、
図12Cに明確に示されるように、区画毎に各蓄電デバイスの2つの外部端子に対応する開口211が設けられている。すなわち、内側収容部207と外側収容部209とは、外部端子を外側収容部209側に露出させる複数の開口211により連通している。
【0056】
外側収容部209には、
図5、
図6に示すように、蓄電デバイス100の突起状の外部端子105(107)と、隣接する端子間を接続する接合部材400とが収容される。一方、接合部材400(バスバー401、401X)により連結されない外部端子同士は、外側収容部209に設けられた第3仕切り部材202により互いに隔絶される。外リブ230の端面230aと第3仕切り部材202の端面202aとは面一である。
【0057】
第3仕切り部材202は、一部の外部端子同士をバスバーのような接合部材400で接続する作業の安全性を確保するのに役立つ。バスバーおよび/または工具類が接続対象ではない外部端子に誤接触すると、蓄電デバイス100が短絡し、蓄電デバイス100が破損したり、作業の安全性が低下したりする。第3仕切り部材202は、このような誤接触を防止する。
【0058】
外側収容部209は、接続部材と勘合する凹凸形状を有してもよい。これにより、接合部材の配置が規制されるため、接続するべき外部端子を間違わずに選択することができ、誤接続が防止される。外側収容部209は、カバープレート570により覆われ、外部端子および接続構造は外部から隔絶される。
【0059】
第2ケース300は、蓄電デバイス100の底面と接触する矩形の底面板310と、底面板の周囲から上方に立ち上がるリブ330と、底面板を等分するように底面板から立ち上がる板状の第2仕切り部材301とを有する。リブ330は、金属容器101の開口の長辺と平行で、中央が凹んだ第1側壁331(
図13B参照)と、金属容器101の開口の短辺(すなわちデバイス群の積層方向)と平行な第2側壁333(
図13B参照)とを有する。
【0060】
第2ケース300は、リブ330および第2仕切り部材301により、複数の区画303に分割され、各区画303に蓄電デバイスが1つずつ挿入される。底面板310には、
図13Cに明確に示されるように、区画毎に開口311が設けられ、開口311により蓄電デバイス100の底面からの放熱を促している。
【0061】
第1ケース200は、第2側壁233(253)の対称な複数箇所に、第2ケース300の第2側壁333まで延びる第1係合部材270を有する。一方、第2ケース300は、第1係合部材270に対応する複数箇所に、第1係合部材270と勘合する第2係合部材370を有する。第1係合部材270と第2係合部材370とを勘合させることにより、第1係合部材270に張力が働き、第1ケース200と第2ケース300とでデバイス群が挟持される。これにより、デバイス群が更に強固に固定される。
【0062】
具体的には、第1係合部材270は、
図12Eに示すように、第2側壁233(253)から下方に向かって延びるリング状部材として形成されている。一方、第2係合部材370は、
図13D、
図13Eに示すように、第2側壁333の上端付近に、上端から下方に向かってテーパー状に厚みが大きくなる突起として形成されている。リング状部材の先端を突起に係合させることにより、第1ケース200と第2ケース300とが連結される。