(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ゲート電極を形成する工程では、前記ゲート電極の表面が、前記ゲート絶縁膜のうちの前記第3凹部の上面となる表面と同一平面もしくはそれ以下の位置とされるようにすることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
前記ゲート電極を形成する工程は、前記ゲート電極の表面を酸化することでキャップ酸化膜(9a)を形成する工程を含み、前記ゲート電極のうちの前記キャップ酸化膜の表面が、前記ゲート絶縁膜のうちの前記第3凹部の上面となる表面と同一平面もしくはそれ以下の位置となるようにすることを特徴とする請求項3に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0022】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態にかかるSiC半導体装置は、
図1に示すように、MOSFETが形成されたセル領域とセル領域を囲むように外周耐圧構造が形成された外周領域とを有して構成されている。
【0023】
SiC半導体装置には、主表面がSi面(つまり基板垂直方向が[0001]の方位)のSiCからなり、窒素等のn型不純物濃度が例えば1.0×10
19/cm
3で厚さ300μm程度とされたn
+型基板1が半導体基板として用いられている。このn
+型基板1の表面に窒素等のn型不純物濃度が例えば3.0〜10.0×10
15/cm
3で厚さ5〜15μm程度のSiCからなるn
-型ドリフト層2が形成されている。このn
-型ドリフト層2の不純物濃度は深さ方向において一定であっても良いが、濃度分布に傾斜を付け、n
-型ドリフト層2のうちn
+型基板1側の方がn
+型基板1から離れる側よりも高濃度となるようにすると好ましい。例えば、n
-型ドリフト層2のうちn
+型基板1の表面から3〜5μm程度の部分の不純物濃度が2.0×10
15/cm
3程度他の部分よりも高くなるようにすると良い。このようにすると、n
-型ドリフト層2の内部抵抗を低減できるため、オン抵抗を低減することが可能となる。
【0024】
このn
-型ドリフト層2の表層部にはp型ベース領域3が形成されていると共に、このp型ベース領域3の上層部分にn
+型ソース領域4およびp型ベース領域3のコンタクト用となるp
+型コンタクト層5が形成されている。
【0025】
p型ベース領域3は、ボロンもしくはアルミニウム等のp型不純物濃度が例えば5.0×10
15〜5.0×10
16/cm
3とされ、厚さ1.0〜2.0μm程度で構成されている。n
+型ソース領域4は、表層部におけるリン等のn型不純物濃度(表面濃度)が例えば1.0×10
21/cm
3とされ、厚さ0.3μm程度で構成されている。p
+型コンタクト層5は、例えば表層部におけるボロンもしくはアルミニウム等のp型不純物濃度(表面濃度)が例えば1.0×10
21/cm
3とされ、厚さ0.3μm程度で構成されている。
【0026】
n
+型ソース領域4は、後述するトレンチゲート構造の両側に配置されており、p
+型コンタクト層5は、n
+型ソース領域4を挟んでトレンチゲート構造と反対側に備えられている。また、n
+型ソース領域4は、トレンチゲート構造を構成するための後述するトレンチ6の入口側の角部において凹んだ形状とされた凹部4aを有している。
【0027】
また、凹部4aの底面から、p型ベース領域3およびn
+型ソース領域4を貫通してn
-型ドリフト層2に達し、例えば幅が0.3〜2.0μm、深さが1.0〜2.0μm以上となるようにトレンチ6が形成されている。このトレンチ6の側面と接するように上述したp型ベース領域3およびn
+型ソース領域4が配置されている。
【0028】
さらに、トレンチ6の表面はゲート絶縁膜としてのゲート酸化膜8で覆われており、さらにトレンチ6内におけるゲート酸化膜8の表面にドープドPoly−Siにて構成されたゲート電極9が形成されている。ゲート酸化膜8は、例えばトレンチ6の内壁表面を熱酸化することで形成されており、ゲート酸化膜8の厚みはトレンチ6の側面側と底部側共に例えば100nm程度となっている。また、ゲート酸化膜8は、n
+型ソース領域4のうちトレンチ6の内壁面を構成する部分やトレンチ6の入口側の凹部の内壁表面からトレンチ6および凹部4aの外側に至るまで形成されている。このため、ゲート酸化膜8のうち凹部4a上に形成された部分にも凹部8aが引き継がれた状態になっている。
【0029】
そして、ゲート電極9の表層部が部分的に酸化されることで、ゲート電極9の表面がキャップ酸化膜9aによって覆われている。キャップ酸化膜9aは、その表面がn
+型ソース領域4に凹部4aによって構成されるゲート酸化膜8の凹部8aの底面と同一平面となるように形成されている。
【0030】
このようにして、トレンチゲート構造が構成されている。このトレンチゲート構造は、
図1の紙面垂直方向を長手方向としてライン状に延設されている。そして、複数のトレンチゲート構造が
図1中の左右方向において互いに平行に並べられた構造とされている。また、上述したn
+型ソース領域4およびp
+型コンタクト層5もトレンチゲート構造の長手方向に沿って延設された構造とされている。
【0031】
さらに、n
-型ドリフト層2のうちp型ベース領域3よりも下方位置において、トレンチゲート構造におけるトレンチ6の側面から所定距離離間するようにp型ディープ層10が備えられている。p型ディープ層10は、トレンチ6の底部よりも深くされており、p型ベース領域3の底部からの深さが例えば0.6〜1.0μmとされている。このp型ディープ層10におけるボロンもしくはアルミニウム等のp型不純物濃度は、1.0×10
17/cm
3〜1.0×10
19/cm
3、例えば5.0×10
17/cm
3とされている。このp型ディープ層10は、トレンチゲート構造の長手方向に沿って複数本平行に並べられることでストライプ状に配置されている。
【0032】
また、n
+型ソース領域4およびp
+型コンタクト層5の表面やゲート電極9の表面には、ソース電極11やゲート配線層(図示せず)が形成されている。ソース電極11およびゲート配線層は、複数の金属(例えばNi/Al等)にて構成されており、少なくともn型SiC(具体的にはn
+型ソース領域4やnドープの場合のゲート電極9)と接触する部分はn型SiCとオーミック接触可能な金属で構成されている。また、ソース電極11およびゲート配線層は、少なくともp型SiC(具体的にはp
+型コンタクト層5やpドープの場合のゲート電極9)と接触する部分はp型SiCとオーミック接触可能な金属で構成されている。
【0033】
これらソース電極11およびゲート配線層は、層間絶縁膜12上においてパターニングされることで電気的に絶縁されている。そして、層間絶縁膜12に形成されたコンタクトホールを通じてソース電極11はn
+型ソース領域4およびp
+型コンタクト層5と電気的に接触させられ、ゲート配線層はゲート電極9と電気的に接触させられている。
【0034】
層間絶縁膜12は、酸化膜などによって形成されており、例えば0.7μmの厚みとされている。上記したように、ゲート酸化膜8に凹部8aが形成されており、かつ、キャップ酸化膜9aが凹部8aの底面と同一平面とされていることから、これらの表面が凹んだ状態となっている。層間絶縁膜12は、このゲート酸化膜8およびキャップ酸化膜9aの表面の凹み内に入り込むように形成されており、凹み内に入り込んでいる分、層間絶縁膜12の表面高さ、つまりn
+型ソース領域4の最表面からの高さを低くすることが可能となっている。このため、n
+型ソース領域4およびp
+型コンタクト層5を露出させるためのコンタクトホールの段差を小さくすることができ、その上に形成されるソース電極11の表面の凹凸を低減することを可能としている。
【0035】
そして、n
+型基板1の裏面側にはn
+型基板1と電気的に接続されたドレイン電極13が形成されている。このような構造により、nチャネルタイプの反転型のトレンチゲート構造のMOSFETが構成されている。
【0036】
一方、セル領域を囲んでいる外周領域は、次のように構成されている。
【0037】
外周領域では、セル領域に形成されていたp型ベース領域3より深く、n
-型ドリフト層2に達する深さ、かつ、トレンチ6よりも底面(最深部)の深さが浅い凹部にて構成されたメサ構造部14が形成されている。セル領域と外周領域との境界部にも、メサ構造部14の段差部を跨いでp型ベース領域3の下部からメサ構造部14の底面に至るようにセル領域の外周を囲むp型リサーフ層15が形成されている。また、p型リサーフ層15の周囲を囲むように複数のp型ガードリング層16が形成されている。これらp型リサーフ層15およびp型ガードリング層16を構成するp型層により、外周耐圧構造が構成されている。
【0038】
なお、図示しないが、p型リサーフ層15およびp型ガードリング層16の周囲を囲むようにn
+型層やn
+型層に電気的に接続される同電位リング電極などを形成し、これらと共に外周耐圧構造を構成することもできる。
【0039】
p型リサーフ層15は、セル領域と外周領域との境界部からセル領域外側に向かって例えば20μm程度張り出すように形成されている。一方、p型ガードリング層16は、最も内周側に位置するものがp型リサーフ層15から例えば0.5μm離れて形成され、径方向の幅が2μm、間隔が1μmとされて例えば6層が順に形成されている。これにより、ガードリング部が構成されている。
【0040】
p型リサーフ層15およびp型ガードリング層16の底部、つまり最も深い位置の深さは、p型ディープ層10の底部の深さと同じとされており、これらのp型不純物濃度もp型ディープ層10と同じとされている。このような構造により、本実施形態にかかるSiC半導体装置が構成されている。
【0041】
このような構成のSiC半導体装置に備えられた反転型のトレンチゲート構造のMOSFETは、以下のように動作する。
【0042】
まず、ゲート電極9に閾値以上のゲート電圧を印加する前の状態では、p型ベース領域3のうちトレンチ6の側面に位置する部分にチャネル領域が形成されない。このため、ドレイン電極13に正の電圧を加えたとしても、n
-型ドリフト層2とp型ベース領域3およびn
+型ソース領域4によるPNP接合構造によって電子が移動できず、ソース電極11とドレイン電極13との間に電流が流れない。
【0043】
次に、オン時(例えば、ゲート電圧=20V、ドレイン電圧=1V、ソース電圧=0V)には、ゲート電極9に閾値以上のゲート電圧として20Vが印加されるため、トレンチ6の側面においてp型ベース領域3が反転してチャネル領域が形成される。このため、ソース電極11から注入された電子はn
+型ソース領域4からp型ベース領域3におけるチャネル領域を通った後、n
-型ドリフト層2に到達する。これにより、ソース電極11とドレイン電極13との間に電流を流すことができる。
【0044】
そして、オフ時(例えば、ゲート電圧=0V、ドレイン電圧=650V、ソース電圧=0V)には、ドレイン電極13に電圧を加えても逆バイアスになる。このため、p型ディープ層10とn
-型ドリフト層2との接合部分、および、p型リサーフ層15とn
-型ドリフト層2との接合部分等に、空乏層が広がる。このとき、本実施形態では、p型ディープ層10やp型リサーフ層15の不純物濃度がn
-型ドリフト層2の不純物濃度よりも十分に高くされているため、空乏層はほとんどn
-型ドリフト層2側に伸びる。
【0045】
また、p型ディープ層10とp型リサーフ層15の深さが同じになっているため、p型ディープ層10とn
-型ドリフト層2との接合部分、および、p型リサーフ層15とn
-型ドリフト層2との接合部分に広がる空乏層が容易につながり、p型ガードリング層16まで伸びていく。同様に、空乏層中の等電位線も、p型ディープ層10やp型リサーフ層15の下方において基板平面にほぼ水平となり、p型ガードリング層16側において終端させられる。これにより、p型ディープ層10ではなくp型ガードリング層16側においてブレークダウンさせることが可能となり、高耐圧な素子とすることが可能となる。
【0046】
次に、本実施形態にかかる反転型のトレンチゲート構造のMOSFETを備えたSiC半導体装置の製造方法について説明する。
【0047】
〔
図2(a)に示す工程〕
まず、SiCからなるn
+型基板1を用意したのち、このn
+型基板1の表面にSiCからなるn
-型ドリフト層2をエピタキシャル成長させる。続いて、n
-型ドリフト層2の表面にLTOなどで構成されるマスク20を形成したのち、フォトリソグラフィ工程を経て、p型ディープ層10やp型リサーフ層15およびp型ガードリング層16の形成予定領域においてマスク20を開口させる。そして、マスク20上からp型不純物(例えばボロンやアルミニウム)のイオン注入を行うことで、p型ディープ層10およびp型ガードリング層16を形成する。この後、マスク20を除去する。
【0048】
〔
図2(b)に示す工程〕
n
-型ドリフト層2の表面に、p型不純物層をエピタキシャル成長させることにより、p型ベース領域3を形成する。
【0049】
〔
図2(c)に示す工程〕
p型ベース領域3の上に、p型ベース領域3よりも高濃度なp型不純物層をエピタキシャル成長させることにより、p
+型コンタクト層5を形成する。
【0050】
〔
図2(d)に示す工程〕
p型ベース領域3の上にマスク21を形成したのち、フォトリソグラフィ工程を経て、n
+型ソース領域4の形成予定領域、つまりトレンチゲート構造の形成予定領域よりも広い幅の領域においてマスク21を開口させる。そして、マスク21を用いて所定深さエッチングすることでp
+型コンタクト層5およびp型ベース領域3の一部を除去する。これにより、凹部22が形成される。この凹部22の深さは、p型ベース領域3の底部よりも浅く、かつ、後工程で形成されるn
+型ソース領域4の底部と同じ深さとされている。また、凹部22の幅は、トレンチ6の幅よりも広ければ良いが、本実施形態では、トレンチ6の両側面に形成されるn
+型ソース領域4のうちトレンチ6と反対側の端同士の間の距離分に設定してある。この後、マスク21を除去する。
【0051】
〔
図3(a)に示す工程〕
凹部22内を含めてp
+型コンタクト層5の表面上に高濃度なn型不純物層23を所定厚さエピタキシャル成長させる。
【0052】
〔
図3(b)に示す工程〕
CMP(Chemical Mechanical Polishing)などにより、セル領域および外周領域において、n型不純物層23のうちp
+型コンタクト層5の表面上に形成された部分、つまり凹部22内以外の部分を除去する。これにより、凹部22内に形成されたn型不純物層23が残ることでn
+型ソース領域4が形成される。このとき、n
+型ソース領域4の表面に凹部4aが残るようにする。
【0053】
〔
図3(c)に示す工程〕
n
+型ソース領域4およびp
+型コンタクト層5の上に、エッチングマスク24を成膜したのち、トレンチ6やメサ構造部14を構成する凹部の形成予定領域においてエッチングマスク24を開口させる。そして、エッチングマスク24を用いた異方性エッチングを行うことで、トレンチ6および凹部にて構成されるメサ構造部14を同時に形成する。この後、エッチングマスク24を除去する。
【0054】
このように、トレンチ6およびメサ構造部14を同時に形成していることから、これらの形成工程を共通化でき、製造工程の簡略化を図ることが可能になる。また、トレンチ6を形成する際に、n
+型ソース領域4に凹部4aが形成されていることから、トレンチ6をメサ構造部14よりも深い位置まで形成できる。
【0055】
したがって、セル領域において、トレンチ6のp型ベース領域3からn
-型ドリフト層2側への突き出し量を確保しつつ、外周領域では、メサ構造部14の底面に形成されるp型リサーフ層15やp型ガードリング層16を必要以上に削らなくても済むようにできる。つまり、トレンチ6を所定深さにしつつ、メサ構造部14を深くし過ぎないようにできる。したがって、細かな深さ制御を行う必要がなくなり、プロセスマージンを広く取ることが可能となる。
【0056】
〔
図3(d)に示す工程〕
必要に応じて犠牲酸化等のトレンチ内表面の改質工程を行ったのち、熱酸化等によるゲート酸化膜8の形成工程を行うことにより、トレンチ6内を含む基板表面全面に所定厚さのゲート酸化膜8を形成する。これにより、n
+型ソース領域4上においては、ゲート酸化膜8にも凹部4aの形状が引き継がれ、凹部8aが形成されることになる。
【0057】
〔
図4(a)に示す工程〕
ゲート酸化膜8の表面にn型不純物をドーピングしたPoly−Si層を成膜したのち、エッチバック工程等を行うことにより、トレンチ6内にゲート酸化膜8およびゲート電極9を残す。このとき、ゲート電極9の表面がゲート酸化膜8の凹部8aの底面と同一平面となるようにしている。これにより、ゲート電極9を形成した後においても、ゲート酸化膜8に凹部8aが残った状態となる。
【0058】
〔
図4(b)に示す工程〕
熱酸化により、ゲート電極9の表層部を酸化する。これにより、ゲート電極9の表面がキャップ酸化膜9aによって覆われる。このとき、ゲート電極9の表面が凹部8aの底面と同一平面とされており、さらに、今回の熱酸化によるキャップ酸化膜9aの厚みとゲート酸化膜8の酸化膜増加分がほぼ同じになることから、キャップ酸化膜9aの表面もほぼ凹部8aの底面と同一平面となる。このようにして、トレンチゲート構造が構成される。
【0059】
〔
図4(c)に示す工程〕
ゲート酸化膜8やゲート電極9の上に層間絶縁膜12を成膜する。例えば、化学的気相(CVD:Chemical Vapor Deposition)成長法を用いて、厚さ0.7μm程度で層間絶縁膜12を成膜している。このとき、ゲート酸化膜8の表面に凹部8aが残されていることから、トレンチゲート構造の上においては、層間絶縁膜12が部分的に沈められた状態になる。
【0060】
〔
図4(d)に示す工程〕
図示しないエッチングマスクを用いて層間絶縁膜12をパターニングする。これにより、層間絶縁膜12に対してn
+型ソース領域4およびp
+型コンタクト層5を部分的に露出させるコンタクトホールを形成すると共に、別断面においてゲート電極9の引き出し部分を部分的に露出させるコンタクトホールを形成する。
【0061】
この後の工程に関しては、従来と同様であるため図示しないが、コンタクトホール内を埋め込むように電極材料を成膜したのち、これをパターニングすることでソース電極11やゲート配線層を形成する。そして、n
+型基板1の裏面側にドレイン電極13を形成する。これにより、
図1に示したSiC半導体装置が完成する。
【0062】
以上のように形成されるSiC半導体装置では、ゲート酸化膜8に凹部8aを形成していることから、その上に形成される層間絶縁膜12が凹部8a内に沈み込む分、他の部分よりも高さが低くなる。このため、パターニング後にトレンチゲート構造の位置に層間絶縁膜12が残されたときに、層間絶縁膜12の突き出し量(層間絶縁膜12とその周囲との段差の高さ)を凹部8aが形成されていない場合と比較して小さくできる。層間絶縁膜12をパターニングした後にリフロー処理によって層間絶縁膜12の丸め処理を行うこともできるが、その場合でも、層間絶縁膜12のうち凹部8aの外に突き出している部分の体積を少なくできているため、上記突き出し量を小さくできる。
【0063】
したがって、層間絶縁膜12の上に配置されるソース電極11やゲート配線層を形成するための電極材料の表面の平坦性を向上させられ、これらのパターニング精度を向上させることが可能となる。
【0064】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対してゲート電極9の構造を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0065】
図5に示すように、本実施形態では、ゲート電極9のキャップ層9aの表面をゲート酸化膜8の表面(凹部8aの上面)と同一平面としている。このような構造のSiC半導体装置は、次のようにして製造される。
【0066】
まず、第1実施形態で説明した
図2(a)〜(d)および
図3(a)〜(d)に示す工程を行った後、
図6(a)〜(d)に示す工程を行う。
【0067】
具体的には、
図6(a)に示す工程では、
図4(a)に示す工程と同様の工程を行いつつ、エッチバック時に、ゲート電極9の表面がゲート酸化膜8の表面と同一平面となるようにする。例えば、エッチング装置にて、エッチング表面への信号照射を行うことでエッチングのエンドポイント制御を行う場合、エッチングされる表面からの反射信号に基づいてエンドポイント制御を行っている。ゲート電極9の表面をゲート酸化膜8の表面と同一平面となるようにする場合、ゲート酸化膜8の表面が露出したときに、ゲート電極9の構成材料となるPoly−Si層の表面積が大幅に減少し、エッチングされる表面からの反射信号が変化する。このため、エッチングされる表面からの反射信号の変化に基づいてエッチバックを終了するようにすれば、ゲート電極9の表面をゲート酸化膜8の表面と同一平面となるようにできる。
【0068】
この後、
図6(b)〜(d)に示す工程では、第1実施形態で説明した
図4(b)〜(d)に示す工程と同様に、キャップ酸化膜9aの形成工程、層間絶縁膜12の形成工程、コンタクトホールの形成工程などを行う。これにより、
図5に示した本実施形態のSiC半導体装置が完成する。
【0069】
このように、ゲート電極9を形成する際にPoly−Si層をエッチバックするとき、ゲート電極9の表面がゲート酸化膜8と同一平面となるようにしている。このため、この後の
図6(b)に示す工程においてキャップ酸化膜9aを形成したときにも、キャップ酸化膜9aの表面がゲート酸化膜8の表面とほぼ同一平面となる。したがって、その後の素子形成工程の際に凹凸を少なくできることから、パターニング時に発生し得る残渣などをより少なくでき、より微細化に対応することが可能となる。
【0070】
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
【0071】
例えば、
図3(a)に示す工程において、凹部22内を含めてp
+型コンタクト層5の表面上に高濃度なn型不純物層23を所定厚さエピタキシャル成長させ、これを凹部22内にのみ残すことでn
+型ソース領域4を形成した。しかしながら、これはn
+型ソース領域4の形成工程の一例を示したに過ぎず、他の工程によってn
+型ソース領域4を形成しても良い。
【0072】
例えば、
図2(d)に示す工程で凹部22まで形成した後、n
+型ソース領域4の形成予定領域が開口するマスクを配置し、この上からn型不純物をイオン注入することでn
+型ソース領域4を形成しても良い。また、
図2(d)で用いた凹部22の形成用のエッチングマスクをイオン注入用のマスクとしても用い、n型不純物を斜めイオン注入することでn
+型ソース領域4を形成しても良い。このようにすれば、n
+型ソース領域4が凹部22に対して自己整合的に形成されることになる。なお、n
+型ソース領域4がイオン注入によって形成される場合、n
+型ソース領域4の凹部4aと
図2(d)に示す工程で形成される凹部22とは同じ物となる。
【0073】
また、p
+型コンタクト層5についても、
図2(c)に示す工程でエピタキシャル成長によって形成したが、p型ベース領域3の表面にp型不純物をイオン注入することで形成しても良い。その場合、n
+型ソース領域4の形成前にp
+型コンタクト層5を形成する必要は無く、n
+型ソース領域4の形成後にp
+型コンタクト層5を形成しても良い。
【0074】
また、上記各実施形態では、ゲート電極9の表面を酸化することでゲート電極9の一部をキャップ酸化膜9aとした例を挙げたが、キャップ酸化膜9aとせずに、ゲート電極9の表面と層間絶縁膜12とが接した構造とされていても良い。
【0075】
また、上記各実施形態では、ゲート絶縁膜としてのゲート酸化膜8を熱酸化によって形成する例を挙げたが、熱酸化ではなく、CVD法などによって絶縁膜を成膜しても良い。
【0076】
また、上記実施形態では、第2導電型不純物層としてp型リサーフ層15やp型ガードリング層16を共に形成する場合を例に挙げて説明したが、少なくとも一方が形成される場合について、本発明を適用できる。
【0077】
また、上記各実施形態では、第1導電型をn型、第2導電型をp型としたnチャネルタイプのMOSFETを例に挙げて説明したが、各構成要素の導電型を反転させたpチャネルタイプのMOSFETに対しても本発明を適用することができる。さらに、上記説明では、トレンチゲート構造のMOSFETを例に挙げて説明したが、同様のトレンチゲート構造のIGBTに対しても本発明を適用することができる。IGBTは、上記各実施形態に対してn
+型基板1の導電型をn型からp型に変更するだけであり、その他の構造や製造方法に関しては上記各実施形態と同様である。