(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)車両のインストルメントパネルの裏側に車両の幅方向に延びるように配設される長尺状のリインフォースメントの少なくとも一部に干渉抑制部材を取り付ける工程と、
(b)前記工程(a)の後で、前記干渉抑制部材を挟んで前記リインフォースメントに対向するようにワイヤーハーネスを配設する工程と、
を備え、
前記干渉抑制部材が、その幅寸法が前記リインフォースメントの幅寸法よりも大きい樹脂製のシート状部材を材料として形成されており、
(c)前記干渉抑制部材が前記リインフォースメントに取り付けられた状態で前記干渉抑制部材が前記リインフォースメントの周囲を囲う部分が形成されるように、前記シート状部材の少なくとも一部を曲げる工程をさらに備える、ワイヤーハーネスの組み付け方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電線が固定されたインパネ用リインフォースメントに、この電線の付近に配設された他の電線が接触することがある。この場合、他の電線にも保護部材が必要となる。
【0006】
しかしながら、インパネ用リインフォースメントに配線された複数の電線それぞれに保護部材を取り付ける必要があり、部品点数の増大及び組立て作業の煩雑化が懸念される。
【0007】
本発明は、インパネ用リインフォースメントの周辺に配設されるワイヤーハーネスを構成する部品点数の増大及び組立て作業の煩雑化を抑制できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の態様に係るワイヤーハーネスの組み付け方法は、(a)車両のインストルメントパネルの裏側に車両の幅方向に延びるように配設される長尺状のリインフォースメントの少なくとも一部に干渉抑制部材を取り付ける工程と、(b)前記工程(a)の後で、前記干渉抑制部材を挟んで前記リインフォースメントに対向するようにワイヤーハーネスを配設する工程と、を備える。
【0009】
また第1の態様に係るワイヤーハーネスの組み付け方法
において、前記干渉抑制部材が、その幅寸法が前記リインフォースメントの幅寸法よりも大きい
樹脂製のシート状部材を材料として形成されており、(c)前記干渉抑制部材が前記リインフォースメントに取り付けられた状態で前記干渉抑制部材が前記リインフォースメントの周囲を囲う部分が形成されるように、前記シート状部材の少なくとも一部を曲げる工程をさらに備える。
【0010】
第
2の態様に係るワイヤーハーネスの組み付け方法は、第
1の態様に係るワイヤーハーネスの組み付け方法であって、前記リインフォースメントにはその長手方向と交差する方向に延びる態様で少なくとも1つのブラケットが取り付けられ、(c1)前記干渉抑制部材に前記ブラケットが外部に延出する開口が形成されるように、前記シート状部材の幅方向端部において、前記シート状部材の長手方向に沿って前記ブラケットの幅寸法以上の間隔をあけて対向する一対の側面部相当部を曲げる工程をさらに備える。
【0011】
第
3の態様に係るワイヤーハーネスの組み付け方法は、第1
又は第2の態様に係るワイヤーハーネスの組み付け方法であって、前記リインフォースメントには取付孔が形成され、前記干渉抑制部材には前記取付孔に対応する位置に貫通孔が形成され、前記ワイヤーハーネスには前記取付孔に係合するクランプが設けられ、(b1)前記クランプを前記貫通孔に通したうえで前記取付孔に係合させることで、前記ワイヤーハーネスを前記リインフォースメントに固定する工程をさらに備える。
【0012】
第
4の態様に係る干渉抑制部材は、
樹脂製のシート状部材を材料として形成され、車両のインストルメントパネルの裏側に車両の幅方向に延びるように配設されるリインフォースメントに取り付けられる干渉抑制部材であって、前記リインフォースメントの長手方向に沿って延在する底部を備える。
【0013】
また第4の態様に係る干渉抑制部材
は、前記底部の幅方向端部が曲げられた側面部をさらに備える。
【0014】
第
5の態様に係る干渉抑制部材は、第
4の態様に係る干渉抑制部材であって、前記リインフォースメントには、その長手方向と交差する方向に延びる態様で少なくとも1つのブラケットが取り付けられ、前記干渉抑制部材の前記側面部には前記ブラケットが外部に延出可能となるように開口が形成されている。
【0015】
第
6の態様に係る干渉抑制部材は、第
5の態様に係る干渉抑制部材であって、前記干渉抑制部材は、前記ブラケットに被さるように前記開口の内周縁部から前記ブラケットの延出方向に延びる側方突出部をさらに備える。
【0016】
第
7の態様に係るワイヤーハーネスの組付構造は、車両のインストルメントパネルの裏側に車両の幅方向に延びるように配設される長尺状のリインフォースメントと、前記リインフォースメントに取り付けられる第
4から第6のいずれか1つの態様に係る干渉抑制部材と、前記干渉抑制部材を挟んで前記リインフォースメントに対向するように配設されるワイヤーハーネスと、を備える。
【発明の効果】
【0017】
各態様に係るワイヤーハーネスの組み付け方法によると、車両のインストルメントパネルの裏側に車両の幅方向に延びるように配設される長尺状のリインフォースメントの少なくとも一部に、干渉抑制部材を取り付ける工程(a)が、干渉抑制部材を挟んでリインフォースメントに対向するようにワイヤーハーネスを配設する工程(b)の前に行われるため、インパネ用リインフォースメントの周辺に配設されるワイヤーハーネスを構成する部品点数の増大及び組立て作業の煩雑化を抑制できる。
【0018】
また各態様に係るワイヤーハーネスの組み付け方法によると、干渉抑制部材がその幅寸法がリインフォースメントの幅寸法よりも大きいシート状部材からなり、干渉抑制部材がリインフォースメントに取り付けられた状態で干渉抑制部材がリインフォースメントの周囲を囲う部分が形成されるように、シート状部材の少なくとも一部を曲げる工程(c)をさらに備えるため、より広範囲での電線とリインフォースメントとの干渉を容易に抑制できる。
【0019】
特に、第
2の態様に係るワイヤーハーネスの組み付け方法によると、干渉抑制部材にブラケットが外部に延出する開口が形成されるように、シート状部材の幅方向端部において、シート状部材の長手方向に沿ってブラケットの幅寸法以上の間隔をあけて対向する一対の側面部相当部を曲げる工程(c1)をさらに備えるため、ブラケットを回避してシート状部材を曲げることができる。これにより、より広範囲での電線とリインフォースメントとの干渉を容易に抑制できる。
【0020】
特に、第
3の態様に係るワイヤーハーネスの組み付け方法によると、クランプを貫通孔に通したうえで取付孔に係合させることで、ワイヤーハーネスをリインフォースメントに固定する工程(b1)をさらに備えるため、干渉抑制部材も合わせてリインフォースメントに固定される。この際、干渉抑制部材のうち貫通孔の周辺部分がワイヤーハーネスとリインフォースメントとによって挟まれることで干渉抑制部材のがたつきが抑えられる。
【0021】
各態様に係る干渉抑制部材によると、リインフォースメントの長手方向に沿って延在する底部を備えるため、ワイヤーハーネスより先に干渉抑制部材をリインフォースメントに取り付けることで、インパネ用リインフォースメントの周辺に配設されるワイヤーハーネスを構成する部品点数の増大及び組立て作業の煩雑化を抑制できる。
【0022】
また各態様に係る干渉抑制部材によると、干渉抑制部材が側面部を備えるため、干渉抑制部材がリインフォースメントの周囲を囲うことができる。これにより、リインフォースメントとワイヤーハーネスとが干渉することをより確実に抑制することができる。
【0023】
特に、第
5の態様に係る干渉抑制部材によると、干渉抑制部材の側面部にはブラケットが外部に延出可能となるように開口が形成されているため、側面部がブラケットを回避してリインフォースメントを囲うことができる。
【0024】
特に、第
6の態様に係る干渉抑制部材によると、干渉抑制部材は、ブラケットに被さるように開口の内周縁部からブラケットの延出方向に延びる側方突出部をさらに備えるため、ブラケットがワイヤーハーネスを構成する電線と干渉することを抑制することができる。
【0025】
第
7の態様に係るワイヤーハーネスの組付構造によると、車両のインストルメントパネルの裏側に車両の幅方向に延びるように配設される長尺状のリインフォースメントと、リインフォースメントに取り付けられる第
4から第6のいずれか1つの態様に係る干渉抑制部材と、干渉抑制部材を挟んでリインフォースメントに対向するように配設されるワイヤーハーネスと、を備えるため、ワイヤーハーネスより先に干渉抑制部材をリインフォースメントに取り付けることで、インパネ用リインフォースメントの周辺に配設されるワイヤーハーネスを構成する部品点数の増大及び組立て作業の煩雑化を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
{実施形態}
以下、実施形態に係るワイヤーハーネスの組み付け方法について説明する。実施形態に係るワイヤーハーネスの組み付け方法は、車両のインストルメントパネルの裏側に車両の幅方向に延びるように配設されるリインフォースメント(インパネ用リインフォースメント)に、干渉抑制部材を取り付けた後に、ワイヤーハーネスを配設するものである。
【0028】
ここで、実施形態に係るワイヤーハーネスの組み付け方法に用いる各部材について説明する。
【0029】
<リインフォースメント>
図1は、車両80におけるリインフォースメント40の配設箇所を示す説明図である。
図2は、リインフォースメント40を示す斜視図である。
【0030】
リインフォースメント40は、車両80のインストルメントパネル82の裏側に車両80の幅方向に延びるように配設される。リインフォースメント40は、長尺状(ここでは、長尺な円筒状)に形成されている。ここでは、リインフォースメント40には、取付孔42,43が形成されている。また、ここでは、リインフォースメント40には、ブラケット50が取り付けられている。
【0031】
取付孔42,43は、ワイヤーハーネス60をリインフォースメント40に固定するためのものである。詳しくは後述するが、ここでは、ワイヤーハーネス60にクランプ70が設けられ、当該クランプ70が筒状のリインフォースメント40の外面から内面にかけて貫通する貫通孔状に形成された取付孔42,43に挿入されることでワイヤーハーネス60がリインフォースメント40に固定されている。
【0032】
また、ここでは、取付孔42,43は、一対形成されている。一対の取付孔42,43のうちの一方の取付孔43は楕円状に形成され、その長軸方向がリインフォースメント40の延在方向と平行となるように設定されている。これにより、ワイヤーハーネス60に設けられた一対のクランプ70の間隔の寸法公差を吸収することができる。
【0033】
ブラケット50は、リインフォースメント40の長手方向に沿って少なくとも1つ取り付けられている。ブラケット50は、例えば、溶接等によりリインフォースメント40に取り付けられる。ここでは、2つのブラケット50が互いに反対方向に延びるようにリインフォースメント40に取り付けられている。
【0034】
ブラケット50にも、貫通孔状の取付孔52が形成されている。ブラケット50の取付孔52は、リインフォースメント40を車体に固定するために用いられる。また、ワイヤーハーネス60をリインフォースメント40に固定するために用いられる場合もあり得る。
【0035】
なお、ここでは、リインフォースメント40は、長尺な円筒状に形成されているものとしたが、リインフォースメント40の形状はこれに限られるものではない。例えば、リインフォースメントは、その断面が角形状に形成されていてもよい。また、例えば、リインフォースメントは、柱状に形成されていてもよい。また、ここでは、リインフォースメント40は、直線状に延びているものとして説明するが、リインフォースメントは、二次元状又は三次元状に延びているものであってもよい。
【0036】
<干渉抑制部材10>
図3は、曲げられる前の干渉抑制部材10を示す斜視図である。
図4は、曲げられた後の干渉抑制部材10を示す斜視図である。
【0037】
図3に示すように、ここでは、干渉抑制部材10は、シート状の部材を材料として形成されている。干渉抑制部材10は、
図3のようにシート状のまま、このまま、若しくは、
図4のように曲げられた状態で、リインフォースメント40に取り付けられる。以降、干渉抑制部材10がシート状である場合と、シート状を曲げたものである場合とを区別する必要が有る場合、前者をシート状干渉抑制部材14と称し、後者を立体状干渉抑制部材30と称する。また、両者を区別する必要がない場合は、単に干渉抑制部材10とする。
【0038】
干渉抑制部材10を構成する材料は、樹脂等、リインフォースメント40とワイヤーハーネス60を構成する電線との干渉を抑制できるものであれば何であってもよい。好ましくは、リインフォースメント40よりも柔らかいものであって、ブラケット50を溶接することによって生じるバリまたはエッジ等でひび割れ等の傷がつきにくいものであるとよい。より好ましくは、不織布、又は、中空板材90であるとよい。ここでは、干渉抑制部材10は、中空板材90で形成されているものとして説明する。
【0039】
ここで、このような中空板材90の構成について先に説明する。
図5は、中空板材90の一例を示す部分切欠き斜視図である。
【0040】
この中空板材90は、複数(ここでは2つ)の板状部92と、複数の板状部92に挟込まれた介在部94とを備える。
【0041】
複数の板状部92及び介在部94を形成する材質は特に限定されない。複数の板状部92及び介在部94は、紙によって形成されていてもよいし、樹脂によって形成されていてもよいし、また、これらの組み合わせによって構成されていてもよい。複数の板状部92及び介在部94の少なくとも1つを紙によって形成する場合には、その表面に撥水処理等を施すことが好ましい。
【0042】
板状部92は、平板状に形成されている。複数の板状部92が介在部94を介して間隔をあけた状態で連結されている。
【0043】
ここでは、複数の板状部92の間に、複数の介在部94が相互間に間隔をあけた並列状態で設けられている。
【0044】
各介在部94は、細長い板状に形成されており、両側の板状部92に対して直交する姿勢で、当該板状部92に対して繋がっている。
【0045】
このため、中空板材90を、介在部94の延在方向に対して直交する面で切断すると、一対の板状部92の間に複数の介在部94が並列状に存在するはしご状断面を示す。
【0046】
このような中空板材90は、例えば、前記はしご状断面に応じた押出孔から樹脂を押出す押出成型装置によって、連続的に製造することができ、これにより、板材を容易に低コストで製造することができる。或は、並列状態に配設される複数の介在部94の両側部に、2つ板状部92を熱溶着、接着剤等で接合することによっても、中空板材90を製造することができる。
【0047】
中空構造を有する板材の例は上記例に限られない。例えば、板材は、複数の板状部の間に、山部と谷部とが波状に連続する介在部が挟込まれた構成であってもよい。或は、板材は、複数の板状部の間に存在する介在部が三角柱等の多角柱状の中空形状を形成するものであってもよく、特に、ハニカム構造を形成するものであってもよい。
【0048】
これらの中空構造を有する板材のうち樹脂によって形成されたものは、プラスチックダンボールと呼ばれることもある。
【0049】
中空板材を材料として干渉抑制部材10を形成することにより、以下の利点を得ることができる。即ち、中空板材90は、複数の介在部94が間隙を設けて並列に配置されているため、介在部94の延在方向に沿って曲がり難い反面、介在部94の並列方向に沿って曲がり易い。また、中空構造を形成する構造体によって、中空板材90の強度は優れたものとなっている。さらに、中空板材90は、中空構造を有するため、強度の割に比較的軽量である。また、中空板材90に使用される材料も、強度の割に少ない。このため、材料費を抑えることができる。
【0050】
図3及び
図4に戻って、シート状干渉抑制部材14及び立体状干渉抑制部材30について説明する。ここでは、説明の便宜上、立体状干渉抑制部材30から先に説明する。
【0051】
立体状干渉抑制部材30は、
図4に示されるように、底部32と、側面部34とを備える。さらにここでは、立体状干渉抑制部材30は、側方突出部36,37を備える。
【0052】
底部32は、リインフォースメント40の延在方向に沿って延出し、リインフォースメント40に対して1方向から覆う部分である。底部32には、少なくとも1つの貫通孔が点在するように形成されている。ここでは、リインフォースメント40に一対の取付孔42,43が設けられているため、底部32には、一対の貫通孔12,13が間隔をあけて形成されている。
【0053】
貫通孔12,13は、底部32がリインフォースメント40を覆った状態で、リインフォースメント40に設けられた取付孔42,43に対応する位置に設けられる。貫通孔12,13は、干渉抑制部材10を挟んでリインフォースメント40に対向するように配設されたワイヤーハーネス60のクランプ70の係合片73を取付孔42,43に嵌める際に、干渉抑制部材10を挿通できるように設けられている。具体的には、貫通孔12,13は取付孔42,43と同じかそれよりも大きく(ここでは、若干大きく)形成されている。また、一方の取付孔43が楕円状に形成されているため、一方の取付孔43に対応する位置に形成されている貫通孔13も楕円状に形成されている。
【0054】
側面部34は、底部32の幅方向端部に立設され、リインフォースメント40に対して底部32とは異なる方向から覆う部分である。これにより、底部32と側面部34とでリインフォースメント40の周囲を囲っている。より具体的には、ここでは、側面部34は、底部32の幅方向に直交する方向に立設されている。もっとも、側面部34は、底部32の端部と湾曲状に連なるように立設されていてもよい。底部32の幅方向両端にそれぞれ側面部34が立設されることで、立体状干渉抑制部材30は、樋状をなしている。ここでは、側面部34には、開口38が形成されている。当該開口38により側面部34は、第1側面部34aと第2側面部34bとに隔てられている。別の見方をすると、開口38を挟んで対向するように第1側面部34aと第2側面部34bとが設けられている。
【0055】
開口38は、ブラケット50が外部に延出することを可能にするように形成されている。ここでは、開口38として、側面部34のうち底部32とつながる側とは反対側の端部から、底部32に向かって凹む凹部が形成されている。凹部の幅寸法はブラケット50の幅寸法と同じかそれよりも大きく(ここでは、若干大きく)設定されている。もっとも、開口38として凹部が形成されることは必須ではなく、開口38として側面部34を貫く貫通孔が形成されていてもよい。
【0056】
側方突出部36,37は、開口38の内周縁部から延びるように形成されている。側方突出部36,37は、ブラケット50を覆う部分である。より具体的には、ここでは、凹部が底部32に達するまで形成されており、側方突出部36,37は、凹部の内周縁部のうち底部32から延出している。
【0057】
次に、シート状干渉抑制部材14について説明する。上記立体状干渉抑制部材30をシート状干渉抑制部材14から得るため、シート状干渉抑制部材14は、
図3に示されるように、シート状の基材15を備え、基材15には、折り目16とスリット18,19とが設けられている。ここでは、当該基材15として、中空板材90が用いられている。
【0058】
折り目16は、基材15の幅方向中間部分に基材15の長手方向に沿って延びる基準線Lの位置に設けられている。ここでは、基準線L及び折り目16は、一対設けられている。一対の基準線L及び折り目16の間の間隔は、リインフォースメント40の幅寸法と同じでもよいし、異なっていてもよい。上記立体状干渉抑制部材30において側面部34が底部32に直交するように立設されるため、一対の基準線L及び折り目16の間隔は、リインフォースメント40の幅寸法と同じかそれよりも大きく(ここでは、若干大きく)設定されている。なお、ここでは、シート状干渉抑制部材14を曲げて立体状干渉抑制部材30を形成する際に、後述する側方突出部相当部26,27は曲げないため、側方突出部相当部26,27と底部相当部22との間には折り目16は設けられていない。このため、基材15の長手方向に沿って折り目16が途切れる部分がある。
【0059】
中空板材90の介在部94の延在方向を基材15の長手方向と一致させると、当該折り目16を介在部94の延在方向に沿って設けることができる。これにより、基材15が折り目16に沿って曲がりやすくなる。
【0060】
ここでは、基材15のうち当該一対の基準線Lの間に位置する部分が、立体状干渉抑制部材30の底部32を構成する底部相当部22である。また、基材15のうち底部相当部22の側方に位置する部分(基準線Lを挟んで底部相当部22の反対側に位置する部分)が立体状干渉抑制部材30の側面部34を構成する側面部相当部24及び立体状干渉抑制部材30の側方突出部36,37を構成する側方突出部相当部26,27である。
【0061】
スリット18,19は、基材15にその幅方向端部から幅方向中心に向かって延びるように形成されている。ここでは、基材15のうち底部相当部22の両側方に位置する部分にそれぞれ一対のスリット18,19が設けられている。一対のスリット18,19の間の間隔は、ブラケット50の幅寸法と同じかそれよりも大きく(ここでは、若干大きく)設定されている。また、ここでは、スリット18,19は、底部相当部22に達するまで設けられている。
【0062】
底部相当部22の側方に位置する部分のうち一対のスリット18,19の間に位置する部分が、側方突出部相当部26,27である。そして、底部相当部22の側方に位置する部分のうち基材15の幅方向から見て側方突出部相当部26,27の両側方に位置する部分が、側面部相当部24であり、このうち一方を第1側面部相当分24aとし、他方を第2側面部相当分24bとする。このため、側方突出部相当部26,27を挟んで対向する一対の側面部相当部24a,24bは、ブラケット50の幅寸法以上の間隔をあけて対向しているととらえることができる。
【0063】
そして、側方突出部相当部26,27は曲げずに残して、一対の側面部相当部24a,24bを折り目16に沿って曲げることで、シート状干渉抑制部材14から立体状干渉抑制部材30が形成される。この際、側方突出部相当部26,27が曲げられないことによって、一対の側面部相当部24a,24bが曲げられてなる一対の側面部34a,34bの間の部分に立体状干渉抑制部材30の開口38が形成される。
【0064】
もっとも、干渉抑制部材10がシート状部材を材料として形成されていることは必須ではない。干渉抑制部材10は、例えば、立体状干渉抑制部材30と同様の形状を有するように樹脂成形により形成されていてもよい。しかしながら、干渉抑制部材10がシート状部材を材料として形成されていると、後に立体状に曲げる場合であっても、搬送時には、シート状のままで搬送することで、搬送に係るコストを抑えることができる。また、干渉抑制部材10として、立体状の干渉抑制部材を採用する場合、立体状の干渉抑制部材を、シート状部材を曲げて形成することで、樹脂成形により形成する場合に比べて、金型等の製造コストを抑えることができる。
【0065】
また、立体状干渉抑制部材30が樋状に形成されることは必須ではない。例えば、立体状干渉抑制部材30はその断面がL字状又はV字状等に形成されていてもよい。この場合、シート状干渉抑制部材14には、折り目16が1本だけ設けられる。また、例えば、立体状干渉抑制部材30は、底部32とつながる側とは反対側の端部で側面部34同士がつながることで、一部で筒状に形成されていることもあり得る。
【0066】
また、側方突出部36,37が底部32から突出することは必須ではなく、側方突出部は、側面部34から突出していてもよい。この場合、シート状干渉抑制部材の段階で基材15の幅方向端部から側面部の中間位置まで第1スリットを入れるとともに、当該第1スリットの先端から基材15の長手方向に沿って第2スリットを入れ、第2スリットの先端から基材の幅方向端部までを折り目とすることで、基材15のうち第2スリットと基材15の幅方向端部との間の部分が側方突出部相当部となる。これにより、シート状干渉抑制部材から側面部から側方突出部が延びている立体状干渉抑制部材を形成することができる。
【0067】
<ワイヤーハーネス60>
ワイヤーハーネス60(
図7参照)は、複数の電線が、幹線部62から少なくとも1つの枝線部64が分岐する態様で束ねられている。複数の電線は、例えば、テープまたは結束バンド等の結束部材で束ねられている。また、ここでは、ワイヤーハーネス60には、クランプ70が設けられている。
【0068】
電線は、芯線の外周に樹脂が押出被覆等されることで被覆部が形成された構成とされている。電線の端部にはコネクタが設けられ、車両80等の配設対象箇所に配設された状態で、車両80等に搭載された各種電気機器同士を電気的に接続するものとして用いられる。なお、ワイヤーハーネス60には、光ファイバ等が電線に沿って配設されていてもよい。
【0069】
クランプ70は、ワイヤーハーネス60を固定するための部材である。クランプ70は、取付孔42,43に係合可能な係合部72を含む。ワイヤーハーネス60にクランプ70が設けられ、クランプ70の係合部72がリインフォースメント40に設けられた取付孔42,43に係合することで、ワイヤーハーネス60がリインフォースメント40に固定される。ここでは、クランプ70として、バンド部76と一体成形されたバンドクランプ70が採用され、結束部材としての役割も兼ねている。
【0070】
バンドクランプ70は、係合部72に加えて、帯状に形成されたバンド部76と、電線の周囲に巻回されたバンド部76の先端を係止可能なバンド係止部78とをさらに含む。ここでは、バンドクランプ70は、幹線部62に一対取り付けられている。また、ここでは、係合部72は、取付孔42,43に挿通可能で、挿通後に係止可能な係合片73と、皿バネ状に形成され、係合片73が取付孔42,43に係止した状態で取付孔42,43の縁部を押さえる皿部74とを含む。また、ここでは、バンド係止部78は係合片73の内部に形成されている(
図10参照)。
【0071】
なお、ここでは、クランプ70として、係合片73の内部にバンド係止部78が形成されたバンドクランプ70が採用されているが、クランプ70として他の種類のクランプ70が採用されていてもよい。他の種類のクランプ70としては、例えば、バンド係止部が皿部の下に設けられたバンドクランプ、又は皿部の下に固定板が設けられ、固定板と電線とをテープ巻等で固定するタイプのクランプ等が考えられる。
【0072】
<組み付け方法>
次に、ワイヤーハーネスの組み付け方法について説明する。
図6〜
図8は、それぞれ、実施形態に係るワイヤーハーネスの組み付け方法の一工程を示す図である。
図9は、
図8のIX−IX線に沿って切断した断面図である。
図10は、
図8のX−X線に沿って切断した断面図である。なお、
図8は、ワイヤーハーネスの組付構造100を示す斜視図でもある。
【0073】
まずは、
図6にあるように、車両80のインストルメントパネル82の裏側に車両80の幅方向に延びるように配設される長尺状のリインフォースメント40の少なくとも一部に、干渉抑制部材10を取り付ける(工程(a))。
【0074】
具体的には、ここでは、立体状干渉抑制部材30をリインフォースメント40に取り付けている。より詳細には、底部32がリインフォースメント40に沿うとともに、底部の両端にそれぞれ設けられた側面部34の間にリインフォースメント40が位置するように立体状干渉抑制部材30を配設する。また、開口38からブラケット50が延出し、側方突出部36,37がブラケット50を覆うように立体状干渉抑制部材30を配設する。
【0075】
もっとも、この段階で取り付ける干渉抑制部材10としては、シート状干渉抑制部材14であってもよい。また、スリット18,19及び折り目16の設けられていないシート状の基材15そのまま、或いは、立体状干渉抑制部材30のような外形を有する樹脂成形品を干渉抑制部材10としてリインフォースメント40に取り付けてもよい。
【0076】
干渉抑制部材がシート状の基材15そのままの場合、底部のうちブラケット50が伸びる部分のリインフォースメント40を覆っている部分が側方に張出して、ブラケット50を覆うように形成されていることもあり得る。
【0077】
次に、
図7にあるように、工程(a)の後で、干渉抑制部材10を挟んでリインフォースメント40に対向するようにワイヤーハーネス60を配設する(工程(b))。
【0078】
具体的には、ここでは、幹線部62を立体状干渉抑制部材30の底部32を挟んでリインフォースメント40と対向するように配設する。また、枝線部64をその基端部が側方突出部37を挟んでブラケット50と対向するように配設している。
【0079】
この際、ここでは、リインフォースメント40には取付孔42,43が形成されるとともに、干渉抑制部材10には取付孔42,43に対応する位置に貫通孔12,13が形成されている。また、ワイヤーハーネス60には取付孔42,43に係合するクランプ70が設けられている。そして、クランプ70を貫通孔12,13に通したうえで取付孔42,43に係合させることで、ワイヤーハーネス60をリインフォースメント40に固定する(工程(b1))。
【0080】
具体的には、
図10のように、クランプ70の係合部72の係合片73を干渉抑制部材10の貫通孔12(13)に通したうえで、リインフォースメント40の取付孔42(43)に係合させている。この際に、
図10では、クランプ70の皿部74が干渉抑制部材10と接しているが、このことは必須ではない。皿部74も貫通孔12,13を通過し、皿部74がリインフォースメント40と接していてもよい。この場合、干渉抑制部材10は、貫通孔12,13の縁部周辺で電線とリインフォースメント40とに挟み込まれる。
【0081】
もっとも、工程(b1)が行われることは必須ではなく、例えば、干渉抑制部材10が両面テープによりリインフォースメント40に固定されるとともに、ワイヤーハーネス60のクランプ70が干渉抑制部材10のないところで取付孔に係合している場合など、干渉抑制部材10とワイヤーハーネス60とがそれぞれ別々にリインフォースメント40に固定されていることもあり得る。
【0082】
以上のように、リインフォースメント40に干渉抑制部材10及びワイヤーハーネス60を取り付けることで、
図8に示されるワイヤーハーネスの組付構造100が完成となる。
【0083】
なお、リインフォースメント40に干渉抑制部材10を取り付ける工程(a)においては、リインフォースメント40に干渉抑制部材10を固定してもよいし、固定しなくてもよい。固定する場合としては、例えば、テープ(片面テープでもよいし、両面テープでもよい)、接着剤、又は、干渉抑制部材にリインフォースメント40またはブラケットの取付孔に挿通される突部を別途設けるなどが考えられる。また、固定しない場合は、工程(b)でワイヤーハーネス60を配設することで、干渉抑制部材10が位置決めされることが好ましい。この場合、干渉抑制部材10は、ワイヤーハーネス60を配設することで位置決めされるまで、例えば、自重により静止している、又は、作業者の手で押さえられていることが考えられる。
【0084】
上述したように、ここでは、工程(a)において、リインフォースメント40にシート状干渉抑制部材14を曲げてなる立体状干渉抑制部材30を取り付けている。即ち、ここでは、干渉抑制部材10が、その幅寸法がリインフォースメント40の幅寸法よりも大きいシート状部材を材料として形成されている。そして、干渉抑制部材10及びワイヤーハーネス60がリインフォースメント40に取り付けられた状態で干渉抑制部材10がリインフォースメント40の周囲を囲う部分が形成されるように、工程(a)の前に、シート状部材の少なくとも一部を曲げている(工程(c))。
【0085】
さらに、ここでは、リインフォースメント40にはその長手方向と交差する方向に延びる態様で少なくとも1つのブラケット50が取り付けられている。そして、干渉抑制部材10にブラケット50が外部に延出する開口38が形成されるように、シート状部材の幅方向端部において、シート状部材の長手方向に沿ってブラケット50の幅寸法以上の間隔をあけて対向する一対の側面部相当部24a,24bを曲げる(工程(c1))。
【0086】
具体的には、折り目16に沿ってシート状干渉抑制部材14の側面部相当部24を曲げる。この際、ここでは、シート状干渉抑制部材14を屈曲状に曲げているが、湾曲状に曲げてもよい。また、ここでは、側方突出部相当部26,27を残して、側方突出部相当部26,27を挟んで対向する一対の側面部相当部24a,24bを曲げる。これにより、一対の側面部相当部24a,24bが曲げられてなる一対の側面部34a,34bの間にブラケット50が外部に延出する開口38が形成される。
【0087】
なお、工程(c)が工程(a)の前に行われることは必須ではない。工程(c)は、工程(a)と工程(b)との間に行われてもよいし、工程(b)の後に行われてもよい。また、工程(a)、(b)のいずれかと同時であっても構わない。つまり、工程(c)はどの段階で行われても構わない。
【0088】
具体的には、シート状干渉抑制部材14のままリインフォースメント40に取り付ける際または取り付けた後に、シート状干渉抑制部材14を曲げて立体状干渉抑制部材30としてもよい。この際、シート状干渉抑制部材14を曲げて立体状干渉抑制部材30となすのは、ワイヤーハーネス60がリインフォースメント40に配設される前であってもよいし、後であってもよい。また、同時であってもよい。
【0089】
実施形態に係るワイヤーハーネスの組み付け方法によると、車両80のインストルメントパネル82の裏側に車両80の幅方向に延びるように配設される長尺状のリインフォースメント40の少なくとも一部に、干渉抑制部材10を取り付ける工程(a)が、干渉抑制部材10を挟んでリインフォースメント40に対向するようにワイヤーハーネス60を配設する工程(b)の前に行われるため、インパネ用リインフォースメント40の周辺に配設されるワイヤーハーネス60を構成する部品点数の増大及び組立て作業の煩雑化を抑制できる。
【0090】
また、干渉抑制部材10及びワイヤーハーネス60がリインフォースメント40に取り付けられた状態で干渉抑制部材10がリインフォースメント40を囲う部分が形成されるように、シート状部材の少なくとも一部を曲げる工程(c)をさらに備えるため、より広範囲での電線とリインフォースメント40との干渉を容易に抑制できる。
【0091】
また、干渉抑制部材10にブラケット50が外部に延出する開口38が形成されるように、シート状部材の幅方向端部において、シート状部材の長手方向に沿ってブラケット50の幅寸法以上の間隔をあけて対向する一対の側面部相当部24a,24bを曲げる工程(c1)をさらに備えるため、ブラケット50を回避してシート状部材を曲げることができる。これにより、より広範囲での電線とリインフォースメント40との干渉を容易に抑制できる。
【0092】
また、クランプ70を貫通孔12,13に通したうえで取付孔42,43に係合させることで、ワイヤーハーネス60をリインフォースメント40に固定する工程(b1)をさらに備えるため、ワイヤーハーネス60をリインフォースメント40に固定する際に干渉抑制部材10も合わせてリインフォースメント40に固定される。また、この際、干渉抑制部材10のうち貫通孔12,13の周辺部分がワイヤーハーネス60とリインフォースメント40とによって挟まれることで干渉抑制部材10のがたつきが抑えられる。
【0093】
また、実施形態に係る干渉抑制部材10及びワイヤーハーネスの組付構造100によると、干渉抑制部材10がリインフォースメント40の長手方向に沿って延在する底部32を備えるため、ワイヤーハーネス60より先に干渉抑制部材10をリインフォースメント40に取り付けることで、インパネ用リインフォースメント40の周辺に配設されるワイヤーハーネス60を構成する部品点数の増大及び組立て作業の煩雑化を抑制できる。
【0094】
また、立体状干渉抑制部材30が、底部32の幅方向端部が曲げられた側面部34をさらに備えるため、立体状干渉抑制部材30がリインフォースメント40の周囲を囲うことができる。これにより、ワイヤーハーネス60とリインフォースメント40との干渉をより確実に抑制することができる。
【0095】
また、立体状干渉抑制部材30の側面部34にはブラケット50が外部に延出可能となるように開口38が形成されているため、側面部34がブラケット50を回避してリインフォースメント40を囲うことができる。
【0096】
また、立体状干渉抑制部材30は、ブラケット50に被さるように開口38の内周縁部からブラケット50の延出方向に延びる側方突出部36,37をさらに備えるため、ブラケット50がワイヤーハーネス60を構成する電線と干渉することを抑制することができる。
【0097】
{変形例}
図11は、変形例に係る干渉抑制部材10Aを示す斜視図である。
図12は、ワイヤーハーネス60及び変形例に係る干渉抑制部材10Aがリインフォースメント40に取り付けられた様子を示す斜視図である。なお、
図11は、シート状干渉抑制部材14Aを示す図であり、
図12は、立体状干渉抑制部材30A及びワイヤーハーネスの組付構造100Aを示す図でもある。また、本変形例の説明において、実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0098】
変形例に係るシート状干渉抑制部材14Aは、基材15の幅方向一方側端部に位置する一対の側面部相当部24a,24bの間に凹部20が形成されている点で実施形態に係るシート状干渉抑制部材14とは異なる。つまり、変形例に係るシート状干渉抑制部材14Aの基材15の幅方向一方側端部には、側方突出部相当部26が設けられていない。これにより、変形例に係る立体状干渉抑制部材30Aでは、一方の開口38において開口38の内周縁部から突出する側方突出部36が設けられていない。
【0099】
このような干渉抑制部材10Aは、例えば
図12のように、リインフォースメント40にブラケット50が取り付けられ、ワイヤーハーネスの組付構造100Aをなすが、ワイヤーハーネス60の幹線部62及び枝線部64が当該ブラケット50に沿って配設されない場合などに適用されるとよい。
【0100】
変形例に係る干渉抑制部材10A及びワイヤーハーネスの組付構造100Aによると、シート状干渉抑制部材14Aにおける側方突出部相当部26及び立体状干渉抑制部材30Aにおける側方突出部36が設けられていないことで、シート状干渉抑制部材14A及び立体状干渉抑制部材30Aを軽量化できる。
【0101】
なお、上記実施形態及び変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【0102】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。