(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記励起光入射光学系において、前記ミラー部材における複数の励起光反射面は、当該複数の励起光反射面の各々によって反射された励起光による光線束の中心軸間距離が、対応する励起光源の光軸間距離より小さくなるように配置されており、これにより、前記複数の励起光源の各々から出射された励起光による光線束の中心軸間距離が圧縮されることを特徴とする請求項1に記載の蛍光光源装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の蛍光光源装置の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の蛍光光源装置の構成の一例の概略を示す説明図である。
この蛍光光源装置10は、2つの励起光照射機構と、これらの2つの励起光照射機構の各々からの励起光を受けて蛍光を放射する蛍光板16を有する蛍光発光部材15とを備えたものである。2つの励起光照射機構は、各々、複数(図の例においては2つ)の励起光源22よりなる光源部21と、この光源部21からの励起光を蛍光板16の表面(
図1における上面)に入射させる励起光入射光学系20とを備えている。そして、2つの励起光照射機構は、蛍光発光部材15の配置位置を含む蛍光板16の表面に垂直な平面を対称面(以下、「励起光照射機構対称面」ともいう。)として、互いに対称の位置に配置されている。
この図の例において、2つの励起光照射機構の各々における励起光入射光学系20は、後述するように、コリメートレンズ38、集光光学系35、ミラー部材30、ダイクロイックミラー45および光学系26によって構成されている。
また、
図1においては、一方の励起光照射機構における複数の励起光源22出射された光(励起光)の光路が実線によって示されている。
【0014】
蛍光発光部材15は、四角形平板状の蛍光板16が、四角形平板状の放熱基板17の表面(
図1における上面)に配設されたものである。
この蛍光発光部材15において、蛍光板16の表面は、励起光入射面とされると共に蛍光出射面とされている。すなわち、蛍光板16は、励起光入射面と蛍光出射面とが同一面上に形成された反射型の蛍光板である。この蛍光板16からの放射光は、蛍光と共に励起光を含むものである。
また、蛍光発光部材15においては、蛍光板16の裏面(
図1における下面)に、銀(Ag)膜よりなる反射膜(図示省略)が、当該裏面に沿って延びるように設けられている。このように、蛍光板16は、反射膜が設けられることにより、裏面に反射機能を有する反射型のものとされている。更に、反射膜と放熱基板17との間には、接合部材(図示省略)が介在されており、当該接合部材によって蛍光板16が放熱基板17上に接合されている。接合部材としては、排熱性の観点から、半田、銀焼結材などが用いられる。
この図の例において、蛍光板16は、正方形平板状であり、放熱基板17は矩形平板状である。
【0015】
蛍光板16は、蛍光体が含有されて構成されたものである。この蛍光板16を構成する蛍光体は、無機蛍光体、具体的には希土類元素を発光イオン(賦活材)としてドープした無機化合物よりなるものである。
蛍光板16を構成する蛍光体の具体例としては、LuAG(Lu
3 Al
5 O
12):CeおよびYAG(Y
3 Al
5 O
12):Pr等の緑色蛍光体、CASN(CaAlSiN
3 ):Eu、S−CASN(SrCaAlSiN
3 )、YAG(Y
3 Al
5 O
12):SmおよびYAG:Pr等の赤色蛍光体、YAG(Y
3 Al
5 O
12):Ce等の黄色蛍光体などが挙げられる。このような蛍光板16において、賦活材のドープ量は、0.5mol%程度である。そして、これらの蛍光体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、蛍光板16の厚みは、蛍光変換効率および排熱性の観点から、0.05〜2.0mmであることが好ましい。
【0016】
放熱基板17としては、銅、モリブデンと銅の合金(Mo−Cu)およびタングステンと銅の合金(W−Cu)などの高熱伝導性金属よりなるものが用いられる。
また、放熱基板17は、排熱性の観点から、蛍光板16が配設される表面が、当該蛍光板16の裏面よりも縦横寸法が大きくて、大きな面積を有するものであることが好ましい。
また、放熱基板17の厚みは、例えば0.5〜1.0mmである。
この図の例において、放熱基板17は、蛍光板16の径(具体的には、
図2(b)における縦横寸法)よりも大きな径(具体的には、
図2(b)における縦横寸法)のものである(
図2(b)参照)。また、放熱基板17においては、当該放熱基板17の表面の中央部に、蛍光板16が配設されている。
【0017】
2つの励起光照射機構の各々において、光源部21を構成する複数の励起光源22は、蛍光発光部材15の側方(具体的には、
図1における右方および左方)の近傍位置に、励起光照射機構対称面および蛍光発光部材15の周側面(具体的には、
図1における右側面および左側面)に垂直な方向に並列配置されている。
この図の例において、複数の励起光源22は、各々、当該励起光源22を構成するレーザ素子23の裏面(
図1における下面)が、蛍光板16の裏面と同一平面上に位置するように配置されている。
【0018】
励起光源22としては、蛍光板16を構成する蛍光体を励起光することのできる光を放射するものであればよく、よって蛍光板16を構成する蛍光体の種類などに応じて適宜の波長の光を放射するものが用いられる。具体的には、例えば波長405〜465nmの光を放射するものが用いられる。
また、励起光源22は、平行光を出射するものであってもよく、または発散光を出射するであってもよい。
また、励起光源22としては、例えばレーザ素子よりなるレーザ光源などが用いられるが、その形態は、1つのレーザ光源を備えたものであってもよく、あるいは複数のレーザ光源を備え、これらの複数のレーザ光源の光軸方向前方に集光性レンズが配置されてなるものであってもよい。
ここに、励起光は、レーザ光源からの光に限定されるものではなく、LEDの光、および水銀、キセノン等が封入されたランプからの光であってもよい。なお、ランプやLEDのように放射波長に幅を持つ光源を利用した場合において、励起光の波長はランプ等から放射される主たる放射波長の領域である。ただし、本発明においては、これに限定されるものではない。
図の例において、複数の励起光源22は、各々、当該複数の励起光源22が並列する方向に直交する方向(
図1における紙面に垂直な方向)に伸びる長尺な矩形平板状の放熱基板24の表面(
図1における上面)に、複数のレーザ素子23が、当該放熱基板24の長手方向に沿って並列配置されたものである。また、これらの励起光源22は、発散光を出射するものである。また、複数の励起光源22の各々において、放熱基板24の裏面(
図1における下面)には、放熱フィン25が設けられている。
【0019】
また、2つの励起光照射機構において、これらの2つの励起光照射機構の各々を構成する励起光入射光学系20には、共通の光学系(以下、「共通光学系」ともいう。)26が設けられている。この共通光学系26は、蛍光板16に入射する励起光を集光する機能と蛍光板16から出射される光を平行光化する機能とを併有するものである。
また、共通光学系26は、光源部21からの励起光が蛍光発光部材15に至るまでの光路上(具体的には、一方の励起光入射光学系20に係る光源部21からの励起光が蛍光発光部材15に至るまでの光路、および他方の励起光入射光学系20に係る光源部21からの励起光が蛍光発光部材15に至るまでの光路上)における、蛍光光学部材15の近傍位置に配設されている。
【0020】
共通光学系26は、例えば凸レンズなどによって構成されており、当該共通光学系26の焦点が蛍光板16の表面上に位置するように配置されている。このように、共通光学系26は、焦点が蛍光板16の表面上に位置するように配置されていることにより、励起光源側(
図1における上面側)から入射される光については集光レンズ系として機能し、一方、蛍光発光部材側(
図1における下面側)から入射される光については、コリメートレンズ系として機能する。
この図の例において、共通光学系26は、複数の凸レンズ、具体的には、第1凸レンズ27、第2凸レンズ28および第3凸レンズ29によって構成されており、これらの複数の凸レンズは、励起光照射機構対称面上において、各々の光軸が、同軸上に位置する状態で、配置されている。また、第1凸レンズ27、第2凸レンズ28および第3凸レンズ29の共通の光軸、すなわち共通光学系26の光軸は、励起光照射機構対称面に含まれている。
また、
図1においては、共通光学系26の光軸が、二点鎖線によって示されている。
【0021】
また、励起光入射光学系20は、複数の励起光源22の各々から出射された励起光の進行方向を各々転換する複数(図の例においては、2つ)の励起光反射面31aを有するミラー部材30を備えている。このミラー部材30において、複数の励起光反射面31aによって進行方向が転換された励起光、すなわち反射された励起光は、発散性光とされる。
この図の例において、ミラー部材30は、複数の折り返しミラー31を有するものであり、これらの複数の折り返しミラー31の反射面の各々によって励起光反射面31aが構成されている。複数の折り返しミラー31は
図1における紙面に垂直な方向に伸びる長尺な矩形平板状のものである。
【0022】
励起光入射光学系20にミラー部材30が設けられていることにより、複数の励起光源22の配置位置の自由度が大きくなり、よって光源部21の設計の自由度が大きくなる。そのため、
図1に示されているように、複数の励起光源22を、蛍光発光部材15の側方の近傍位置に配置することができる。その結果、蛍光光源装置10において、複数の励起光源22の光軸方向(
図1における上下方向)の寸法を小さくできることから、当該蛍光光源装置10を小型のものとすることができる。また、励起光源22(レーザ素子23)と蛍光発光部材15(蛍光板16)とを共通の冷却機構によって冷却することができるため、蛍光光源装置10の更なる小型化を図ることができる。
【0023】
そして、複数の励起光反射面31aにおいて反射された励起光が発散性光であることにより、励起光が蛍光板16の表面において過度に集光することがなく、よって蛍光板16の表面に対して、励起光が、高エネルギー密度で照射されることを防止することができる。
具体的に説明すると、蛍光光源装置10において、共通光学系26は、蛍光板16の表面上に焦点が位置するように配設されることにより、蛍光板16に入射する励起光を集光する機能と蛍光板16から出射される光を平行光化する機能とを併有するものとされている。そのため、
図2(a)において破線で示すように、共通光学系26(
図1参照)に入射される励起光が平行光Lpである場合には、共通光学系26によって集光され、第3凸レンズ29から出射された励起光(平行光Lp)は、蛍光板16の表面上における共通光学系26の焦点位置に過度に集光する。すなわち、共通光学系26による励起光(平行光Lp)の集光点は、蛍光板16の表面上に位置される。しかしながら、
図2(a)において実線で示すように、共通光学系26(
図1参照)に入射される励起光を発散性光Ldとすることによれば、共通光学系26によって集光され、第3凸レンズ29から出射された励起光(発散性光Ld)は、蛍光板16の表面上における共通光学系26の焦点位置に過度に集光することがない。ここに、共通光学系26に入射される励起光が発散性光Ldである場合において、共通光学系26における励起光(発散性光Ld)の集光点は、通常、蛍光板16の表面の配置位置よりも共通光学系26の光軸方向前方側(
図2における下方側)に位置される。その結果、励起光(発散性光Ld)が、共通光学系26によって、蛍光板16の表面上において過度に集光された状態となることがない。従って、共通光学系26に入射される励起光が発散性光(Ld)である場合には、
図2(b)に示されているように、共通光学系26に入射される励起光が平行光Lpである場合に比して、蛍光板16の表面における励起光入射領域が大きくなる。
図2(a)においては、第3凸レンズ29の光軸(共通光学系26の光軸)の光軸が、二点鎖線によって示されている。
また、
図2(b)においては、共通光学系26に入射される励起光が発散性光Ldである場合における蛍光板16の表面に形成される励起光入射領域の輪郭が、実線によって示されており、一方、共通光学系26に入射される励起光が平行光Lpである場合における蛍光板16の表面に形成される励起光入射領域の輪郭が、破線によって示されている。
【0024】
ミラー部材30において、複数の折り返しミラー31は、各々、励起光反射面31aが、対応する励起光源22に対向するように、当該対応する励起光源22の光軸に対して傾斜した姿勢とされている。
【0025】
また、ミラー部材30においては、
図1に示されているように、複数の折り返しミラー31が、並列配置された複数の励起光源22の列に対応して階段状に並ぶように配置されていることが好ましい。
複数の折り返しミラー31を複数の励起光源22の列に対応して階段状に並ぶように配置することにより、ミラー部材30を小型化することができる。
具体的に説明すると、複数の折り返しミラー31を階段状に配置することによれば、複数の励起光源22の各々から出射された励起光による光線束の中心軸間距離を圧縮することができる。すなわち、ミラー部材30における複数の折り返しミラー31を、複数の励起光反射面31aの各々によって反射された励起光による光線束の中心軸間距離(以下、「光線束中心間距離」ともいう。)D2が、対応する励起光源22の光軸間距離D1より小さくなるように配置することができる。その結果、ミラー部材30における、励起光源22の光軸方向(
図1における上下方向)の寸法を小さくすることができる。
ここに、光線束中心間距離D2は、互いに隣接する励起光反射面31aの各々によって反射された励起光による光線束の中心軸(以下、「光線束中心軸」ともいう。)の間の距離である。また、光軸間距離D1は、互いに隣接する励起光源22の各々の光軸の間の距離である。
この図の例において、複数の折り返しミラー31は、互いに隣接する折り返しミラー31のうちの蛍光発光部材15からより離間して位置する励起光源22に対応する折り返しミラー31が、当該励起光源22により近接した状態とされている。また、複数の折り返しミラー31は、励起光反射面31aの光線束中心軸が互いに平行となるように配置されている。
【0026】
そして、励起光入射光学系20においては、
図1に示されているように、光源部21とミラー部材30との間に、当該光源部21の近接位置に、集光光学系35が配設されていることが好ましい。この集光光学系35は、光源部21を構成する複数の励起光源22から出射された励起光の各々を、対応する励起光反射面31aの各々に対して、集光した状態で入射させる集光機能を有するものである。
具体的に、集光光学系35は、複数の集光レンズ36によって構成されており、これらの集光レンズ36の各々は、ミラー部材30における複数の励起光反射面31aに対応して配設されている。すなわち、複数の励起光源22と、当該複数の励起光源22の各々に対応する折り返しミラー31との間には、各々、励起光源22の近接位置に、集光レンズ36が配設されている。
光源部21とミラー部材30との間に集光光学系35が配設されていることによれば、励起光源22から出射される励起光を高い効率で利用することができる。
この図の例において、集光光学系35を構成する複数の集光レンズ36は、各々、当該集光レンズ36の光軸が、対応する励起光源22の光軸と一致する状態で配置されている。また、複数の励起光源22と複数の集光レンズ36との間には、各々、コリメートレンズ38が配設されている。これらのコリメートレンズ38は、各々、当該コリメートレンズ38の光軸が、対応する励起光源22および集光レンズ36の光軸と一致する状態で配置されている。
【0027】
光源部21とミラー部材30との間に集光光学系35が配設されることにより、複数の励起光反射面31aの各々において反射された励起光が発散性光とされる。
しかも、光源部21とミラー部材30との間に集光光学系35が配設されることによれば、ミラー部材30における複数の励起光反射面31aの各々には、複数の励起光源22から出射された励起光の各々が集光した状態で入射される。そのため、励起光反射面31aにおける励起光入射領域が小さくなることから、当該励起光反射面31aの小面積化を図ることができる。そして、励起光反射面31aを小面積化することによれば、ミラー部材30を構成する複数の折り返しミラー31を、励起光反射面31aの光線束中心軸に垂直な方向(
図1における上下方向)において、互いに近接した状態で配設することができる。すなわち、複数の励起光反射面31aにおける光線束中心間距離D2を短縮化することができる。よって、複数の折り返しミラー31を、光線束中心間距離D2が、対応する励起光源22の光軸間距離D1に比してより小さくなるように、配置することができる。すなわち、複数の励起光源22の各々から出射された励起光による光線束の中心軸間距離をより一層圧縮することができる。その結果、ミラー部材30をより小型化できることから、蛍光光源装置10のより一層の小型化を図ることができ、しかも、共通光学系26に対して、複数の励起光源22から出射された励起光を、第1凸レンズ27の励起光入射面(
図1における上面)の中心部に接近した位置(光軸近傍位置)に入射させることができるため、蛍光板16に対する励起光入射効率を高めることができる。
【0028】
集光光学系35を構成する複数の集光レンズ36は、各々、当該集光レンズ36の結像点が、対応する励起光反射面31a上に位置するものであることが好ましい。ここに、集光レンズ36の結像点は、集光レンズ36に入射される励起光が平行光である場合には、集光レンズ36の焦点と一致する。
本明細書中において、「集光レンズの結像点が、対応する励起光反射面上に位置する」とは、集光レンズの結像点が、集光レンズの光軸方向における励起光反射面の近傍位置に位置する場合を含む概念である。すなわち、集光レンズ36の結像点が、実質上、対応する励起光反射面上に位置することを示している。
図の例において、集光光学系35を構成する複数の集光レンズ36は、励起光反射面31a上に結像点が位置するもの、または集光レンズ36の光軸方向における励起光反射面31aの近傍位置に結像点が位置するものである。すなわち、複数の集光レンズ36は、結像点が、実質上、対応する励起光反射面31a上に位置するものである。また、集光レンズ36の結像点は当該集光レンズ36の焦点と一致している。
【0029】
集光レンズ36が、対応する励起光反射面31a上に結像点が位置するものであることにより、集光レンズ36によって集光された励起光は、励起光反射面31a上における集光レンズ36の結像点位置に集光する。すなわち、集光レンズ36による励起光の集光点が、励起光反射面31a上に位置される。そのため、励起光反射面31aにおける励起光入射領域が極めて小さくなることから、蛍光光源装置10のより一層の小型化を図ることができ、また蛍光板16に対する励起光入射効率をより一層高めることができる。
【0030】
集光レンズ36の具体例としては、
図3(a)に示すような円筒レンズ41、
図3(b)に示すようなシリンドリカルレンズ42、
図3(c)に示すような平凸レンズ43Aと平凹レンズ43Bとを組み合わせた合成レンズ43、および
図3(d)に示すような平凸レンズ44などが挙げられる。ここに、円筒レンズ41は、一端(
図3(a)における上端)に凹部41aを有し、他端(
図3(a)における下端)に凸部41bを有する円筒型のレンズである。
図1の蛍光光源装置10において、集光レンズ36は、一端に凹部36aを有すると共に他端に凸部36bを有する円筒レンズによって構成されている。
【0031】
また、励起光入射光学系20には、ミラー部材30と共通光学系26との間に、ダイクロイックミラー45が配設されている。このダイクロイックミラー45は、ミラー部材30における複数の励起光反射面31aおよび共通光学系26を介して蛍光板16の表面に対向するように、複数の励起光反射面31aの光線束中心軸および共通光学系26の光軸に対して傾斜した姿勢で配置されている。また、ダイクロイックミラー45は、光源部21からの励起光を反射し、蛍光板16からの蛍光を透過するものである。
【0032】
このような構成の蛍光光源装置10においては、複数の励起光源22が一斉に点灯状態とされることにより、これらの複数の励起光源22から、励起光が、当該励起光源22の光軸方向前方(
図1における上方)に向かって出射される。この複数の励起光源22から出射された励起光は、各々、コリメートレンズ38および集光レンズ36を介してミラー部材30における複数の励起光反射面31aの各々に入射して反射されることにより、その進行方向が転換され、ダイクロイックミラー45に向かって進行する。そして、ダイクロイックミラー45に入射した励起光は、当該ダイクロイックミラー45に反射されることによって進行方向が転換された後、共通光学系26によって集光され、その集光光が蛍光発光部材15における蛍光板16の表面(励起光入射面)に照射され、当該蛍光板16に入射する。その蛍光板16においては、当該蛍光板16を構成する蛍光体が励起されることにより、蛍光板16から蛍光が放射される。この蛍光は、蛍光体に吸収されずに蛍光板16の裏面において反射された励起光と共に蛍光板16の表面(蛍光出射面)から外部に出射される。このようにして蛍光板16の表面(蛍光出射面)から出射された光は、共通光学系26によって平行化され、ダイクロイックミラー45を透過した光、すなわち蛍光のみが、蛍光光源装置10の外部に出射される。
【0033】
而して、蛍光光源装置10においては、励起光入射光学系20が、ミラー部材30を備えた構成とされている。そのため、複数の励起光光源22から出射された励起光が、蛍光板16の表面上に焦点が位置するように配設された共通光学系26によって集光されて蛍光板16に入射するものの、その励起光は蛍光板16の表面(励起光入射面)に過度に集光された状態とならない。その結果、蛍光板16において局所的に温度が上昇することが抑制されることから、蛍光板16において温度消光が生じることが抑制される。
しかも、蛍光光源装置10においては、ミラー部材30における折り返しミラー31(励起光反射面31a)の配置位置を調整することによって、複数の励起光源22の各々から出射された励起光による光線束の中心軸間距離を圧縮し、よって蛍光板16に対する励起光入射効率を高めることができる。そのため、複数の励起光源22から出射された励起光を有効に利用して、蛍光を得ることができる。具体的には、例えば励起光入射光学系を、ミラー部材30に代えて拡散板を備えた構成のものとした場合に比して、高い励起光入射効率を得ることができる。
従って、蛍光光源装置10によれば、蛍光を高い効率で放射することができる。
【0034】
また、蛍光光源装置10においては、ミラー部材30が設けられていることにより、複数の励起光源22の配置位置および励起光入射光学系20に大きな設計の自由度が得られることから、光源部21および励起光入射光学系20の小型化を容易に図ることができる。その上、蛍光板16が反射型のものとされると共に、励起光入射光学系20が、蛍光板16に入射する励起光を集光する機能と蛍光板16から出射される光を平行光化する機能とを併有する共通光学系26を備えた構成とされていることにより、蛍光板16に入射する励起光を集光する機能を有する光学系と、蛍光板16から出射される光を平行光化する機能を有する光学系とを、別個に配設する必要がない。
従って、蛍光光源装置10によれば、簡単な構成で小型の装置を構成することができる。
【0035】
更に、蛍光光源装置10においては、複数の励起光源22の各々から出射された励起光による光線束の中心軸間距離を圧縮することによって、より一層の小型化が図られていると共に、蛍光板16に対する励起光入射効率が高められている。
ここに、蛍光光源装置10は、共通光学系26の光軸方向(
図1における上下方向)の寸法が90mmであって、当該光軸に垂直な方向(
図1における左右方向)の寸法が200mmの小型のものとされている。
【0036】
また、蛍光光源装置10は、共通光学系26の焦点が蛍光板16の表面上に位置していることから、蛍光板16から出射された蛍光が、共通光学系26によって十分に平行化されるため、プロジェクタ装置の光源として使用したときには、蛍光について高い光の利用率が得られる。
【0037】
以上において、本発明の蛍光光源装置を具体的な例を用いて説明したが、本発明の光源装置はこれに限定されるものではない。
例えば、集光光学系を構成する複数の集光光学部材は、集光レンズに限定されず、励起光源から出射された励起光を集光する機能を有するものであれば、種々のものを用いることができる。具体的には、
図4に示すように、集光光学部材として、例えば凹面鏡51などを用いることができる。この凹面鏡51は、当該凹面鏡51の反射面が、励起光源22および折り返しミラー31における励起光反射面31aに対向するように配設されている。この凹面鏡51を備えた蛍光光源装置は、
図1に係る蛍光光源装置10において、集光光学部材として凹面鏡51が用いられており、複数の励起光源22の配置位置が異なること以外は、当該蛍光光源装置10と同様の構成を有するものである。
図4においては、励起光源22から出射された励起光の進行方向が矢印で示されている。
【0038】
また、励起光入射光学系は、ミラー部材を備えており、当該ミラー部材を構成する複数の励起光反射面において反射された光が発散性光とされるものであればよく、その全体構造は、
図1に示すものに限定されず、種々の構成を採用することができる
。
なお、図5には、複数の励起光源と集光光学系との間にコリメートレンズが配設されていない構成の励起光入射光学系が示されている。この励起光入射光学系を備えた蛍光光源装置は、
図1に係る蛍光光源装置10において、コリメートレンズが設けられていないこと以外は、当該蛍光光源装置10と同様の構成を有するものである。
図5においては、励起光源22から出射された励起光の進行方向が矢印で示されている。
【0039】
また、蛍光光源装置は、当該蛍光光源装置の外部に出射される光が、蛍光と共に、蛍光板に入射されたものの、蛍光体に吸収されずに蛍光体の裏面において反射された励起光を含有する構成のものであってもよい。このような構成の蛍光光源装置の具体例としては、
図1に係る蛍光光源装置10において、ダイクロイックミラー45に代えて、偏光特性を利用するミラー部材を用いた構成のものが挙げられる。この偏光特性を利用するミラー部材は、誘電体多層膜がストライプ状に形成されており、誘電体多層膜が形成されていない領域に多層反射防止膜が形成されてなるものである。このミラー部材においては、誘電体多層膜によってダイクロイックミラーが構成されている。
【0040】
また、蛍光板は、表面に、複数の凸部が周期的に配列されてなる周期構造が形成されたものであってもよい。ここに、波長変換部材板の表面の周期構造は、例えば略錐形状(具体的には、錐状または錐台状)の凸部が密集した状態で二次元周期的に配列されてなるものである。