【0024】
本発明の高炉主樋スラグライン用流し込み耐火物には、添加剤として、硬化材、分散剤、硬化時間調整剤、爆裂防止剤、酸化防止剤等を使用することができる。添加剤の配合割合は、炭化珪素原料、アルミナ原料及び炭素質原料から構成される基材100質量%に対して外掛けで1〜6質量%、好ましくは2〜5質量%の範囲内である。
硬化材には、例えば、アルミナセメント、粘土質原料等の常温硬化材や、珪酸塩や燐酸塩等の周知の熱硬化性結合材等を使用することができる。
分散剤には、例えば、アルカリ金属燐酸塩、アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属フミン酸塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリカルボン酸ナトリウム等の不定形耐火物に一般的に使用される物質や、これらと同様の効果が得られる物質を使用することができる。また、複数種の分散剤を併用することもできる。
硬化時間調整剤には、硬化促進剤と硬化遅延剤とが含まれる。硬化促進剤には、例えば、消石灰、塩化カルシウム、アルミン酸ソーダ、炭酸リチウム等を使用することができ、複数種の硬化促進剤を併用することもできる。硬化遅延剤には、例えば、ホウ酸、シュウ酸、クエン酸、グルコン酸、炭酸ソーダ、砂糖等を使用することができ、複数種の硬化遅延剤を併用することもできる。
爆裂防止剤には、例えば、金属アルミニウム、乳酸アルミ、有機繊維等を使用することができ、複数種の爆裂防止剤を併用することもできる。また、酸化防止剤には、例えば、炭化ホウ素を使用することができる。
【実施例】
【0026】
以下の表1〜4に記載する配合割合にて、本発明の高炉主樋スラグライン用流し込み耐火物及び比較品を説明するが、本発明は以下の例示に限定されるものではないことを理解されたい。
表1〜4では、表中に示す配合割合で原料を配合、混練することにより調製した流し込み耐火物の特性を評価した。なお、混練は、JIS R 2521に準じた試験方法によるタップフロー値が135〜145になるように調整した混練水量で、ミキサーにより実施した。
なお、炭化珪素の純度は97質量%であった。アルミナの純度は99質量%であった。カーボンブラックは、熱分解法で製造されたもので、平均粒径80nm、DBP吸収量が29cm
3/100gのものである。ピッチAは、軟化点が110℃、固定炭素割合が60質量%のコールタールピッチである。ピッチBは、軟化点が300℃、固定炭素割合が83質量%のコールタールピッチである。メソフェーズピッチは、軟化点が350℃、固定炭素割合が85質量%のものを用いた。金属コバルトは純度95質量%のものを用いた。
また、各種添加剤として、硬化材であるアルミナセメント、分散剤である燐酸ナトリウム及びナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩、酸化防止剤である炭化ほう素を添加した。ここでは、各種添加剤におけるアルミナセメントの割合は2質量%、燐酸ナトリウムの割合は0.05質量%、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の割合は0.05質量%、炭化ほう素の割合は0.9質量%とした。
【0027】
得られた本発明品及び比較品の流し込み耐火物について、流動性、耐食性、耐爆裂性、耐酸化性を評価し、表1〜4に併記する。評価方法は下記の通りである。
(1)流動性の評価
JIS R 2521に準じた試験方法によるタップフロー値が135〜145になるように調整する際の、必要水分割合で判断した。すなわち、必要水分割合が少ないほど流し込み耐火物の流動性が優れていることを示している。流動性が悪い材料では、施工体を得ようとすると多量の水分が必要となり、乾燥後に気孔が多くなり耐食性が劣る。必要水分割合が外掛けで5.9質量%未満の流し込み耐火物を◎、5.9〜6.5質量%の流し込み耐火物を○、6.5質量%より多い流し込み耐火物を×と評価した。
【0028】
(2)耐食性の評価
本発明品及び比較品の各流し込み耐火物を流し込み成形し、30℃で24時間養生して40mm×40mm×160mmの供試体を得、回転ドラム法によるスラグ侵食試験を実施した。侵食剤としてC/S(CaO/SiO
2質量比)≒1.2の高炉スラグを1時間あたり1kg使用し、1600℃で5時間にわたり試験を行った。高炉スラグは1時間ごとに排出し、新しい高炉スラグと交換した。加熱方法はアーク加熱で行った。試験終了後、供試体の溶損深さを測定し、表3に示す比較品11の溶損深さを100として指数表示した。すなわち、耐食性指数は、数値が小さいほど溶損量が少なく、耐食性に優れていることを示している。溶損指数が、100未満の流し込み耐火物を◎、100〜115の流し込み耐火物を○、115より大きい流し込み耐火物を×と評価した。
【0029】
(3)耐爆裂性の評価
本発明品及び比較品の各流し込み耐火物を、直径80mm及び高さが80mmの円柱状の型枠に流し込み、30℃で24時間養生して供試体を作成した。得られた供試体を所定温度に保持した電気炉の中に入れ、20分間保持し、爆裂の有無を目視で確認する。そして爆裂が発生しなかった最高温度を爆裂限界温度とした。すなわち、爆裂限界温度が高いものほど、耐爆裂性に優れていることを示している。試験は上限を800℃として100℃毎に実施した。爆裂限界温度が、700℃より高い流し込み耐火物を◎、600℃より高く、700℃以下の流し込み耐火物を○、600℃以下の流し込み耐火物を×と評価した。
【0030】
(4)耐酸化性
本発明品及び比較品の各流し込み耐火物を、40mm×40mm×160mmの型枠に流し込み、30℃で24時間養生後脱枠し、110℃で24時間乾燥して供試体を得た。得られた供試体を、コークスブリーズ中で1500℃−3時間の加熱・自然冷却を1回行った後に質量を測定した。その後、追加で4回加熱・自然冷却を繰り返し行った後の供試体の質量を測定した。1回加熱後から5回加熱後の質量増加率で耐酸化性を評価した。すなわち、コークスブリーズ中で加熱しているためにCは酸化しないが、式(3)に従ってSiCはCOガスとの反応によって酸化されて、質量増加が起こる。従って、質量増加率の小さいものほど、SiCが酸化しておらず、耐酸化性に優れていることを示している。質量増加率が、0.6未満の流し込み耐火物を◎、0.6〜0.7の流し込み耐火物を○、0.7より大きい流し込み耐火物を×と評価した。
【0031】
総合評価
総合評価は、各評価項目のうち一番悪い評価のものとした。◎は、最適、○は、許容範囲、×は、不適とした。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
表1〜4から理解できるように、本発明品11〜21では、比較品1〜11に比べて流動性、耐食性、耐爆裂性、耐酸化性が優れている。
以下、表1〜4に示す流し込み耐火物について簡単に説明する。
比較品1は、炭化珪素の配合割合を40質量%とした配合である。本発明品1〜5は炭化珪素の配合割合を50〜90質量%の範囲内とした配合である。比較品2は、炭化珪素の配合割合を95質量%、アルミナの配合割合を0.5質量%とした配合である。比較品1では炭化珪素の配合割合が50質量%未満であるために、耐食性に劣る。また、比較品2では炭化珪素の配合割合が90質量%より多く、アルミナの配合割合が1質量%未満であるために、流動性に劣る。
比較品3は、アルミナの配合割合を48質量%とした配合である。比較例3ではアルミナの配合割合が41質量%より多いために、耐食性に劣る。
比較品4は、カーボンブラックの配合割合を0.1質量%とした配合である。比較品5は、カーボンブラックの配合割合を10質量%とした配合である。比較品4ではカーボンブラックの配合割合が0.3質量%未満であるために、耐食性に劣る。また、比較品5ではカーボンブラックの配合割合が9質量%より多いために、流動性に劣る。
比較品6は、ピッチの配合割合を0.1質量%とした配合である。比較品7は、ピッチの配合割合を6質量%とした配合である。比較品6ではピッチの配合割合が0.3質量%未満であるために、耐酸化性に劣る。また、比較品7ではピッチの配合割合が5質量%より多いために、耐爆裂性に劣る。
比較品8は、メソフェーズピッチの配合割合を0.1質量%とした配合である。比較品9は、メソフェーズピッチの配合割合を8質量%とした配合である。比較品8ではメソフェーズピッチの配合割合が0.3質量%未満であるために、耐爆裂性に劣る。また、比較品9ではメソフェーズピッチの配合割合が7質量%より多い為に、流動性に劣る。
比較品10は、炭化珪素の配合割合を15質量%とした配合である。比較品10では炭化珪素の配合割合が50質量%未満であるために、耐食性に劣る。
比較品11は、炭素質原料としてカーボンブラックとピッチのみを使用した配合である。比較品11ではメソフェーズピッチ原料が無添加であるために耐爆裂性に劣る。
本発明品22は、本発明品1の配合において、ピッチAをピッチBに置換したものである。本発明品22ではピッチBの軟化点が300℃と高いために、耐酸化性が若干劣る。
比較品12は、特許文献3に開示されている金属コバルトを酸化防止剤として使用した配合である。比較品12では金属コバルトを配合しているために耐食性に劣る。ここで、特許文献3では、金属コバルトの添加は、短時間且つ低温(1000℃−3時間)での酸化防止に有効であるとされているが、本発明者らの実験では、実際の高炉主樋の使用状況に近似させたCOガス雰囲気下、高温、長時間で耐酸化性を評価しており、金属コバルトの添加により耐酸化性が悪化していた。これは、以下のような理由によるものと考えられる。即ち、金属コバルトが酸化して酸化コバルトが生成するが、この酸化コバルトとSiOガスが反応して珪酸コバルトを生成させ、そのために供試体中のSiO分圧が低下し、SiCからさらにSiOガスが発生し、その結果、SiCの酸化がより促進させるものと推測される。
比較品13は、炭素質原料としてカーボンブラックのみを使用した配合である。比較品13ではピッチ及びメソフェーズピッチを併用していないために耐酸化性及び耐爆裂性に劣る。
比較品14は、炭素質原料としてピッチのみを使用した配合である。比較品14ではカーボンブラック及びメソフェーズピッチを併用していないために耐食性及び耐爆裂性に劣る。
比較品15は、炭素質原料としてメソフェズピッチのみを使用した配合である。比較品15ではカーボンブラック及びピッチを併用していないために耐食性及び耐酸化性に劣る。
比較品16は、炭素質原料としてカーボンブラック及びピッチを使用した配合である。比較品16ではメソフェーズピッチを併用していないために耐爆裂性に劣る。
比較品17は、炭素質原料としてカーボンブラック及びメソフェーズピッチを使用した配合である。比較品17ではピッチを併用していないために耐酸化性に劣る。
比較品18は、炭素質原料としてピッチ及びメソフェーズピッチを使用した配合である。比較品18ではカーボンブラックを併用していないために耐食性に劣る。
以上のように、本発明品の優位性は明らかである。