(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記集光部および前記底部の相対的な位置関係をそれぞれ、上および下、とするとき、前記通気孔の上から前記側壁の外側へ張り出し、かつ、前記通気孔の外側で下へ垂れる形状の庇部が形成されている請求項1に記載の太陽光発電モジュール。
前記側壁の内面に沿って内方へ張り出して設けられ、集光する太陽光が前記発電素子から外れた場合に、集光する太陽光から前記内面および前記通気孔を遮蔽する遮蔽板、が設けられた請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の太陽光発電モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態の要旨]
本発明の実施形態の要旨としては、少なくとも以下に列記するものが含まれる。
【0015】
(1)本発明の実施の形態に係る太陽光発電モジュールは、光を受けて発電する発電素子と、太陽光を集光するレンズが設けられた集光部、前記発電素子が配置される底部、および、前記底部の外枠を成し、前記集光部を支持する側壁、を有する閉鎖された筐体と、を備え、前記側壁は、樹脂で形成され、少なくとも1つの通気孔を有している。
【0016】
このような、筐体の側壁に通気孔が設けられる構成により、筐体内の温度を気温に近づけ、過度な温度上昇を抑制することができる。また、気温の変化に伴ってレンズの焦点距離が変化する場合、樹脂で形成されている側壁もまた気温の変化に伴って膨張または収縮して、レンズと発電素子との距離が変化する。このため、レンズの焦点距離が変化したとしても、発電素子に集光される太陽光の光量が大幅に低下することを防ぎ、太陽光発電モジュールの発電効率の低下を抑制することができる。
【0017】
(2)また、(1)の太陽光発電モジュールにおいて、前記集光部および前記底部の相対的な位置関係をそれぞれ、上および下、とするとき、前記通気孔の上から前記側壁の外側へ張り出し、かつ、前記通気孔の外側で下へ垂れる形状の庇部が形成されていてもよい。
この場合、上から落ちてくる塵埃、水滴、異物、その他通気孔には入れたくない物を、庇部によって排除することができる。
【0018】
(3)また、(2)の太陽光発電モジュールにおいて、前記庇部は、その上面が下り傾斜していてもよい。
この場合、付着した塵埃が滑り落ち易くなるので、塵埃が、庇部の上面に堆積しにくい。
【0019】
(4)また、(2)または(3)の太陽光発電モジュールにおいて、前記庇部は、前記通気孔の上側の一部を隠す形状であってもよい。
この場合、庇部が、通気孔を外側正面から全部隠す(但し、下方に隙間はある。)ことにならない。従って、庇部による塵埃等の排除と、通気孔の良好な通気性とを、両立させることができる。
【0020】
(5)また、(1)の太陽光発電モジュールにおいて、前記通気孔を介した前記筐体の内部空間への異物侵入を抑制する異物侵入抑制部を備え、当該異物侵入抑制部は前記通気孔のフィルタを含むものであってもよい。
このように、筐体の側壁に通気孔が設けられる構成により、筐体の上面または底面に通気孔が設けられる構成に比べて、雨水、水滴または虫などの異物の侵入を効果的に抑制することができる。さらに、異物侵入抑制部が設けられていることにより、空気の出入りを確保しながら異物の侵入をより確実に抑制することができる。従って、より優れた太陽光発電モジュールを提供することができる。
【0021】
(6)また、(5)の太陽光発電モジュールにおいて、たとえば、前記筐体はフレーム部材に固定され、前記フレーム部材に前記筐体が固定された状態において前記側壁が前記フレーム部材と対向し、前記異物侵入抑制部は、前記側壁と前記フレーム部材との隙間を含む。
このように、異物が筐体の側壁とフレーム部材との隙間を経由しない限り筐体内へ侵入しない構成であることにより、異物の侵入を一層抑制することができる。また、筐体の側壁とフレーム部材との隙間を異物侵入抑制部として利用することにより、新たな部材を別途用いることなく異物の侵入を抑制することができるため、低コストを実現することができる。
【0022】
(7)また、(6)の太陽光発電モジュールにおいて、たとえば、前記筐体は、前記フレーム部材に固定された状態において前記フレーム部材に接触するフランジを含み、前記異物侵入抑制部は、前記側壁と前記フランジと前記フレーム部材との隙間を含む。
このように、筐体のフランジがフレーム部材に接触することにより、筐体の側壁とフレーム部材との隙間の一部がフランジにより塞がれ、異物の侵入経路がさらに制限されるため、異物の侵入を一層抑制することができる。
【0023】
(8)他の観点から見た本発明の実施の形態に係る太陽光発電モジュールは、光を受けて発電する発電素子と、太陽光を集光するレンズが設けられた集光部、前記発電素子が配置される底部、および、前記底部の外枠を成し、前記集光部を支持する側壁、を有する閉鎖された筐体と、を備え、前記側壁は、樹脂で形成され、少なくとも1つの通気孔を有しており、前記筐体は、他の前記太陽光発電モジュールの前記筐体と嵌合可能な嵌合部を含む。
【0024】
このような構成により、複数の太陽光発電モジュールの嵌合部を互いに嵌め合うことでこれら複数の太陽光発電モジュールを連結することができるため、各太陽光発電モジュールの配置のための位置決めを容易に行うことができ、誤配置防止、および太陽光発電モジュールの連結のための施工時間の短縮を実現することができる。また、施工時間の短縮に伴い、施工のために要するコストを少なくすることができる。従って、より優れた太陽光発電モジュールを提供することができる。
【0025】
(9)また、(8)の太陽光発電モジュールにおいて、たとえば、前記筐体は、前記嵌合部として、前記筐体の上面または底面の延在方向に沿って延びるフランジを含み、前記フランジは、他の前記太陽光発電モジュールの前記筐体の前記フランジと嵌合可能である。
このような構成により、複数の太陽光発電モジュールを連結させる際、嵌合部を目視しながら施工を行うことができるため、連結作業を行いやすい。また、フランジに嵌合部を設けることにより、嵌合のための構造を比較的容易に作製することができる。
【0026】
(10)また、(9)の太陽光発電モジュールにおいて、前記フランジには、複数の前記太陽光発電モジュールが並んで取り付けられるフレーム部材に前記筐体を固定するための固定部が設けられ、前記フレーム部材に複数の前記筐体が固定された状態において、複数の前記フランジにそれぞれ設けられた複数の前記固定部が前記フレーム部材の延伸方向に沿って一列に並ぶ、という構成であってもよい。
このような構成により、複数の太陽光発電モジュールをフレーム部材に固定するための作業を効率良く行うことができる。
【0027】
(11)また、(8)〜(10)のいずれかの太陽光発電モジュールにおいて、たとえば、前記嵌合部は、前記筐体の上面および底面のいずれか一方を含む面に設けられている。
【0028】
上記(11)におけるいずれか一方が「上面」であるとすると、このような構成により、たとえば、フレーム部材に筐体を固定するための固定部が嵌合部に設けられている場合、筐体の上面に設けられるレンズを上に向けた状態すなわち使用状態のまま、筐体の上方から当該筐体をフレーム部材に対して固定する作業を行うことができる。このため、たとえば、複数の太陽光発電モジュールを連結した後にこれら複数の太陽光発電モジュールをまとめてフレーム部材に固定するような場合、連結された太陽光発電モジュールの向きを大きく変えることなく筐体をフレーム部材に対して固定する作業を行うことができるため、当該作業を容易に行うことができる。
【0029】
上記(11)におけるいずれか一方が「底面」であるとすると、このような構成により、たとえば、フレーム部材に筐体を固定するための固定部が嵌合部に設けられている場合、筐体の下方から当該筐体をフレーム部材に対して固定する作業を行うことができる。このため、たとえば、複数の太陽光発電モジュールを連結する前に太陽光発電モジュールをそれぞれフレーム部材に固定するような場合、筐体をフレーム部材に対して固定するための作業に用いられる工具が筐体の上面のレンズに接触するなどの可能性を低くすることができ、当該作業を容易に行うことができる。
【0030】
(12)また、(1)〜(11)のいずれかの太陽光発電モジュールにおいて、前記側壁の内面に沿って内方へ張り出して設けられ、集光する太陽光が前記発電素子から外れた場合に、集光する太陽光から前記内面および前記通気孔を遮蔽する遮蔽板、が設けられた構成であってもよい。
この構成によれば、集光する太陽光が発電素子から外れた場合に、遮蔽板によって、側壁の内面や、通気孔に設けられるフィルタの焼損を防止することができる。
【0031】
(13)また、本発明の実施の形態に係る太陽光発電パネルは、フレーム部材によって複数の区画に仕切られた受け皿状のパネル筐体と、前記区画に装着された複数の太陽光発電モジュールと、を備えるものであって、前記太陽光発電モジュールは、光を受けて発電する発電素子と、太陽光を集光するレンズが設けられた集光部、前記発電素子が配置される底部、および、前記底部の外枠を成し、前記集光部を支持する側壁、を有する閉鎖された筐体と、を備え、前記側壁は、樹脂で形成され、少なくとも1つの通気孔を有している。
【0032】
このような、筐体の側壁に通気孔が設けられる構成により、筐体内の温度を気温に近づけ、過度な温度上昇を抑制することができる。また、気温の変化に伴ってレンズの焦点距離が変化する場合、樹脂で形成されている側壁もまた気温の変化に伴って膨張または収縮して、レンズと発電素子との距離が変化する。このため、レンズの焦点距離が変化したとしても、発電素子に集光される太陽光の光量が大幅に低下することを防ぎ、太陽光発電モジュールの発電効率の低下を抑制することができる。
また、樹脂製の側壁を有する太陽光発電モジュールであっても、パネル筐体への装着により、十分な機械的強度を発揮する。
【0033】
[実施形態の詳細]
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。便宜上、説明したいポイントに沿って、第1部、第2部に分けて説明する。
【0034】
第1部は、主として、上述の(1)、(2)、(5)〜(11)、(13)に関連する。
第2部は、主として、上述の(1)〜(4)、(12)に関連する。
但し、第1部の構成、及び、第2部の構成は、相互に任意に組み合わせることができる。
【0035】
なお、各図中同一または相当部分には同一符号を付している。また、第1部、第2部のそれぞれにおいて、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0037】
(第1の実施の形態)
[太陽光発電装置の構成]
図1は、第1の実施の形態に係る太陽光発電装置の外観を示す斜視図である。また、
図2は、
図1に示す架台の構成を示す斜視図である。
【0038】
図1を参照して、太陽光発電装置100は、複数の太陽光発電モジュール1と、架台2とを備える。架台2は、フレーム部材F1と、図示しない太陽方位計C1と、図示しない駆動部M1とを含む。太陽方位計C1は、太陽の位置を検知するためのセンサを含む。複数の太陽光発電モジュール1は、並べられた状態でフレーム部材F1に固定される。
【0039】
駆動部M1は、太陽方位計C1から出力される信号に基づいて太陽の位置を認識し、たとえば日の出から日没までの間、太陽光発電モジュール1の受光面が太陽と正対するように、フレーム部材F1の向きを変化させる。
【0040】
図2を参照して、架台2のフレーム部材F1は、複数の柱が縦方向および横方向に交差するように設けられ、このフレーム部材F1により形成される直方体(但し、上面なし、底面あり。)の各収容部E1に太陽光発電モジュール1が1つずつ挿入される。なお、
図2に示す収容部E1は直方体であるが、この収容部E1は立方体などであってもよい。
【0041】
複数の収容部E1を有するパネル筐体(フレーム全体)12は、フレーム部材F1によって複数の区画(収容部)に仕切られた受け皿状の形態となっている。なお、後述する太陽光発電モジュールの側壁は樹脂製であるが、このような太陽光発電モジュールであっても、パネル筐体12への装着により、十分な機械的強度を発揮する。
【0042】
[太陽光発電モジュールの構成]
図3は、第1の実施の形態に係る太陽光発電モジュールの外観を示す斜視図である。また、
図4は、第1の実施の形態に係る太陽光発電モジュールの平面図である。
【0043】
図3および
図4を参照して、太陽光発電モジュール1は、たとえば樹脂により形成された直方体または立方体の形状を有する筐体21を含む。筐体21は、底部23と、側壁24と、集光部22と、フランジ27とを有する。
【0044】
側壁24は、筐体21の側面に相当し、集光部22は、筐体21の上面に相当する。集光部22は、複数のフレネルレンズ22fを含む。フランジ27は、たとえば側壁24の長手方向に沿った集光部22側の部分に設けられている。
【0045】
集光部22において、フレネルレンズ22fは、たとえば正方格子状に配置されている。具体的には、各フレネルレンズ22fは、たとえば互いに隣接するフレネルレンズ22fの中心同士の距離が同じW1となるように配置されている。
【0046】
図5は、第1の実施の形態に係る太陽光発電モジュールにおける筐体の詳細な構成を示す斜視図である。
図5では、筐体21の内部の構成を説明するため、集光部22を図示していない。
【0047】
図5を参照して、太陽光発電モジュール1は、筐体21に加えて、さらに、複数の発電素子30と、複数のFPC(フレキシブルプリント基板:Flexible Printed Circuits)31とを備える。発電素子30およびFPC31は、筐体21の内部に収容される。また、筐体21の側壁24には、通気孔24hが形成されている。
【0048】
底部23は、たとえばアルミニウムにより形成されている。複数のFPC31は、底部23において互いに平行または略平行に並んで配置されており、各FPC31に複数の発電素子30が実装されている。各発電素子30は、各フレネルレンズ22fに対応する位置に設けられており、対応のフレネルレンズ22fによって集光された太陽光を受けて、受光量に応じた電力を発生する。
【0049】
以上のように、太陽光発電モジュール1は、光を受けて発電する発電素子30と、発電素子30を収容する閉鎖された筐体21とを備えている。筐体21は、太陽光を集光するレンズ(フレネルレンズ22f)が設けられた集光部22、発電素子30が配置される底部23、および、底部23の外枠を成し、集光部22を支持する側壁24を有する。
【0050】
ここで、太陽光発電装置100は、気温の高低差の大きい場所などで使用されることがあり、気温の変化によって底部23が膨張または収縮することにより、底部23に設けられた発電素子30と筐体21の上面に設けられたフレネルレンズ22fとの間の距離が変化することがある。
【0051】
そして、このように、発電素子30とフレネルレンズ22fとの間の距離が変化した場合、当該距離がフレネルレンズ22fの焦点距離に合わず、太陽光を効率良く集光することができない可能性がある。このため、気温の変化による底部23の膨張および収縮を防ぐことが求められる。
【0052】
これに対して、本実施の第1の形態に係る太陽光発電モジュール1では、側壁24に通気孔24hが形成されていることにより、筐体21内が密閉した空間になることを避けることができる。すなわち、筐体21内において空気の流れを発生させることにより、筐体21内の温度の大幅な変化を抑制することができるため、底部23の膨張および収縮を防ぐことできる。
このように、筐体21の側壁24に通気孔24hが設けられる構成により、筐体21内の温度を気温に近づけ、過度な温度上昇を抑制することができる。
【0053】
通気孔24hは、たとえば
図5に示すように、筐体21の各側壁24に1つずつ形成されている。なお、筐体21内において空気の流れが発生するように構成されていれば、通気孔24hの数および大きさは制限されず、たとえば、筐体21の側壁24のうち、いずれか1つの側壁24に通気孔24hが形成されていてもよい。
なお、筐体21全体で少なくとも2つの通気孔があれば、空気の入口と出口がある状態となるので好ましい。但し、筐体21全体で通気孔が1つであっても、筐体21内が密閉した空間になることは避けられ、筐体内と外気との圧力バランスを保つことができる。また、通気孔の開口面積や形状を工夫することで最低限の通気性は確保することができる。
【0054】
なお、
図5では、フランジ27は、筐体21の側壁24の長手方向全体、すなわち側壁24の縁全体に亘って設けられているが、当該長手方向の一部に設けられていてもよい。
【0055】
図6は、第1の実施の形態に係る太陽光発電モジュールの筐体がフレーム部材に取り付けられた状態を説明するための断面図である。
【0056】
図6を参照して、太陽光発電モジュール1の筐体21がフレーム部材F1により形成される収容部E1に挿入された状態において、筐体21のフランジ27がフレーム部材F1の上面に接触する。そして、このような状態において、たとえばフランジ27に形成された取付穴28にボルト29が挿入されることにより、筐体21がフレーム部材F1に固定される。
【0057】
なお、取付穴28にボルト29が挿入されることにより筐体21がフレーム部材F1に固定される構成に限らず、他の方法で筐体21がフレーム部材F1に固定されてもよい。
【0058】
また、太陽光発電モジュール1は、さらに、通気孔24hを介して筐体21の内部へ雨水、水滴または虫などの異物が侵入することを抑制するための異物侵入抑制部140を備える。
【0059】
異物侵入抑制部140は、筐体21の外部側において通気孔24hの少なくとも一部を覆っている外部側カバー(カバー)141と、通気孔24hを覆い、かつ通気孔24hを介した空気の出入りを可能とする図示しないフィルタとを含む。
【0060】
また、筐体21がフレーム部材F1に固定された状態において互いに対向する側壁24とフレーム部材F1との間には、隙間E2が形成される。異物侵入抑制部140は、外部側カバー141およびフィルタに加えて、さらに、当該隙間E2を含む。
【0061】
当該隙間E2の幅は、通気孔24hを介した筐体21の内部への異物の侵入を抑制するために狭い方が好ましく、たとえば1mmである。なお、
図6では、隙間E2の上方がフランジ27により塞がれているが、当該隙間E2は必ずしもフランジ27により塞がれていなくてもよい。
【0062】
外部側カバー141は、たとえば、通気孔24hからの雨水の侵入を効果的に防止するために通気孔24hの上方から通気孔24hを塞ぐように設けられている。なお、外部側カバー141は、
図6に示すような形状に限らず、たとえば、ラビリンス構造、すなわち筐体21の外部から通気孔24hまでの経路が入り組むように複数の層が重なる形状に形成されていてもよい。外部側カバー141がこのような形状に構成されている場合、異物の侵入をより効果的に防止することができる。
【0063】
フィルタは、たとえば、通気孔24h全体を覆うように、筐体21の内部側から通気孔24hの周囲に融着される。これにより、比較的簡単な方法でフィルタを通気孔24hの周囲に密着させることができる。
【0064】
[通気孔の詳細な構成]
図7は、
図5に示す通気孔の拡大図である。
【0065】
図7を参照して、異物侵入抑制部140は、さらに、筐体21の内部側において通気孔24hの少なくとも一部を覆っているフィルタ142を含む。
【0066】
フィルタ142は、たとえば、メッシュ状に樹脂成型される。具体的には、フィルタ142は、耐薬品性および耐熱性に優れた四フッ化エチレン樹脂(PTFE)などが用いられた射出成型により筐体21の側壁24と一体成型される。
【0067】
なお、異物侵入抑制部140は、外部側カバー141およびフィルタ142のいずれか一方のみを含む構成であってもよいし、外部側カバー141およびフィルタ142の双方を含まず、隙間E2のみを含む構成であってもよい。
【0068】
ところで、特許文献3に記載の集光型太陽光発電ユニットでは、長尺上フレームの端部に設けられた通気孔から雨水または砂塵などの異物が長尺状フレームの内部へ侵入することを防止するため、通気孔を被覆する通気孔被覆部が設けられている。
【0069】
しかしながら、このような構成であっても、当該通気孔は長尺状フレームの底面に形成されており、上方からの異物の侵入を十分に防ぐことができない可能性がある。そして、異物が侵入することにより集光型太陽光発電ユニットの性能の劣化などを招く虞がある。
【0070】
これに対して、第1の実施の形態に係る太陽光発電モジュール1は、発電素子30と、発電素子30が収容される筐体21とを備える。また、筐体21の側壁24には通気孔24hが形成されている。さらに、太陽光発電モジュール1は、通気孔24hを介した筐体21の内部空間への異物侵入を抑制する異物侵入抑制部140を備える。
【0071】
このように、筐体21の側壁24に通気孔24hが設けられる構成により、筐体21の上面または底部23に通気孔が設けられる構成に比べて、雨水、水滴または虫などの異物の侵入を効果的に抑制することができる。さらに、異物侵入抑制部140が設けられていることにより、空気の出入りを確保しながら異物の侵入をより確実に抑制することができる。従って、より優れた太陽光発電モジュールを提供することができる。
【0072】
また、第1の実施の形態に係る太陽光発電モジュール1では、筐体21は、フレーム部材F1に固定される。また、フレーム部材F1に筐体21が固定された状態において、筐体21の側壁24がフレーム部材F1と対向し、異物侵入抑制部140は、筐体21の側壁24とフレーム部材F1との隙間E2を含む。
【0073】
このように、異物が筐体21の側壁24とフレーム部材F1との隙間E2を経由しない限り筐体21内へ侵入しない構成であることにより、異物の侵入を一層抑制することができる。また、筐体21の側壁24とフレーム部材F1との隙間E2を異物侵入抑制部140として利用することにより、新たな部材を別途用いることなく異物の侵入を抑制することができるため、低コストを実現することができる。
【0074】
また、第1の実施の形態に係る太陽光発電モジュール1では、筐体21は、フレーム部材F1に固定された状態においてフレーム部材F1に接触するフランジ27を含む。また、異物侵入抑制部140は、筐体21の側壁24とフランジ27とフレーム部材F1との隙間E2を含む。
【0075】
このように、筐体21のフランジ27がフレーム部材F1に接触することにより、筐体21の側壁24とフレーム部材F1との隙間E2の一部がフランジ27により塞がれ、異物の侵入経路がさらに制限されるため、異物の侵入を一層抑制することができる。
【0076】
また、第1の実施の形態に係る太陽光発電モジュール1では、異物侵入抑制部140は、通気孔24hの少なくとも一部を覆う外部側カバー141,フィルタ142を含む。
【0077】
このような構成により、簡単かつより確実に異物の侵入を抑制することができる。
【0078】
また、第1の実施の形態に係る太陽光発電モジュール1では、筐体21の少なくとも一部は樹脂により形成されている。
【0079】
このような構成により、たとえば、射出成型などにより、通気孔24hが形成された筐体を低コストで作製することができる。
【0080】
次に、他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0081】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る太陽光発電モジュール1は、他の太陽光発電モジュール1の筐体21と嵌合可能な構成を含む。ここでは、上述した第1の実施の形態に係る太陽光発電モジュール1と異なる点について主に説明する。
【0082】
図8は、第1の実施の形態に係る太陽光発電モジュールにおける筐体の詳細な構成を示す斜視図である。
図9は、
図8に示す複数の太陽光発電モジュールが連結した状態を示す斜視図である。
図10は、第2の実施の形態に係る太陽光発電モジュールの筐体がフレーム部材に取り付けられた状態(その1)を説明するための断面図である。
【0083】
なお、
図8では、集光部22を図示していない。また、
図9では、通気孔24h、集光部22、発電素子30およびFPC31を図示していない。
【0084】
図8から
図10を参照して、太陽光発電モジュール1の筐体21は、上述した第1の実施の形態に係る筐体21と比較して、フランジ27の代わりに、他の太陽光発電モジュール1の筐体21と嵌合可能な嵌合部50を含む。具体的には、筐体21は、嵌合部50として、筐体21の上面の延在方向に沿って延びる複数のフランジ51を含む。
【0085】
フランジ51は、以下で説明する内容以外は、上述した第1の実施の形態に係る筐体21のフランジ27と同様の構成である。以下、フランジ51の説明として、フランジ27と異なる点について主に説明する。
【0086】
すなわち、筐体21は、自己の上面を含む面において、当該上面を介して横方向に対向する複数のフランジ51を含む。これら対向するフランジ51は、互いに非対称であって嵌合可能な形状を有する。
【0087】
たとえば、フランジ51のうち、
図8に示すz軸方向において手前側の側壁24に設けられたフランジ51Aは、筐体21の上面と平行または略平行な方向に沿って突出した2つの凸部52Aと、各凸部52Aの両側に設けられた3つの凹部53Bとを有する。また、フランジ51のうち、
図8に示すz軸方向において奥側の側壁24に設けられたフランジ51Bは、筐体21の上面と平行または略平行な方向に沿って突出した3つの凸部52Bと、各凸部52Bの間に設けられた2つの凹部53Bとを有する。
【0088】
そして、
図9に示すように、互いに隣接する複数の太陽光発電モジュール1のうち、たとえば、太陽光発電モジュール1Aのフランジ51Aにおける2つの凸部52Aと、太陽光発電モジュール1Bのフランジ51Bにおける2つの凹部53Bとが当接することにより、フランジ51Aとフランジ51Bとが嵌合し、太陽光発電モジュール1Aと太陽光発電モジュール1Bとが連結する。
【0089】
また、
図8に示すように、たとえば、フランジ51のうち、
図8に示すx軸方向において手前側の側壁24に設けられたフランジ51Cは、筐体21の上面と平行または略平行な方向に沿って突出した2つの凸部54Cと、各凸部54Aの両側に設けられた3つの凹部55Cとを有する。また、フランジ51のうち、
図8に示すx軸方向において奥側の側壁24に設けられたフランジ51Dは、筐体21の上面と平行または略平行な方向に沿って突出した3つの凸部54Dと、各凸部54Dの間に設けられた2つの凹部55Dとを有する。
【0090】
そして、互いに隣接する複数の太陽光発電モジュール1のうち、ある太陽光発電モジュール1のフランジ51Cにおける2つの凸部54Cと、他の太陽光発電モジュール1のフランジ51Dにおける2つの凹部55Dとが当接することにより、フランジ51Cとフランジ51Dとが嵌合し、これら複数の太陽光発電モジュール1が互いに連結する。
【0091】
なお、フランジ51の凸部52A,52B,54C,54Dおよび凹部53A,53B,55C,55Dは、たとえば、射出成型により筐体21の側壁24と一体成型される。
【0092】
また、たとえば、フランジ51の凸部52A,52B,54C,54Dには、筐体21をフレーム部材F1に固定するための取付穴(固定部)56が形成されている。そして、
図10に示すように、複数の太陽光発電モジュール1の各フランジ51がフレーム部材F1の上面に接触した状態において、各フランジ51の凸部52A,52B,54C,54Dにそれぞれ形成されている複数の取付穴56にボルト57が挿入されることにより、各太陽光発電モジュール1の筐体21が架台2のフレーム部材F1に固定される。
【0093】
そして、このように筐体21がフレーム部材F1に固定された状態において、
図9に示すように、たとえば、フランジ51Aにおける凸部52Aの取付穴56と、フランジ51Bにおける凸部52Bの取付穴56とが、フレーム部材F1の延伸方向D1に沿って交互に一列に並ぶ。
【0094】
図11は、第2の実施の形態に係る太陽光発電モジュールの筐体がフレーム部材に取り付けられた状態(その2)を説明するための断面図である。
【0095】
筐体21は、自己の上面を含む面に設けられるフランジ51の代わりに、自己の底部23を含む面において、当該底部23を介して対向する複数のフランジ51を嵌合部50として備える構成であってもよい。
【0096】
このような構成の場合、
図11に示すように、たとえば、複数の太陽光発電モジュール1の各フランジ51がフレーム部材F1の下面に接触した状態において、各フランジ51の凸部52A,52B,54C,54Dにそれぞれ形成されている複数の取付穴56にボルト57が挿入される。これにより、各太陽光発電モジュール1の筐体21が架台2のフレーム部材F1に固定される。
【0097】
その他の構成は上述した第1の実施の形態に係る太陽光発電装置100と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0098】
ところで、特許文献4に記載の集光型太陽発電装置では、複数の集光型発電モジュールを受台の上に並べて配置するが、各集光型発電モジュールの配置位置が明確ではなく、配置のための作業に多くの時間を要したり、集光型発電モジュールの誤配置を招いたりする虞がある。
【0099】
これに対して、第2の実施の形態に係る太陽光発電モジュール1は、発電素子30と、発電素子30が収容される筐体21とを備える。また、筐体21は、他の太陽光発電モジュール1の筐体21と嵌合可能な嵌合部50を含む。
【0100】
このような構成により、複数の太陽光発電モジュール1の嵌合部50を互いに嵌め合うことでこれら複数の太陽光発電モジュール1を連結することができるため、各太陽光発電モジュール1の配置のための位置決めを容易に行うことができ、誤配置防止、および太陽光発電モジュール1の連結のための作業時間の短縮を実現することができる。また、作業時間の短縮に伴い、施工のために要するコストを少なくすることができる。従って、より優れた太陽光発電モジュールを提供することができる。
【0101】
また、第2の実施の形態に係る太陽光発電モジュール1では、筐体21は、嵌合部50として、筐体21の上面または底部23の延在方向に沿って延びるフランジ51を含む。また、フランジ51は、他の太陽光発電モジュール1の筐体21のフランジ51と嵌合可能である。
【0102】
このような構成により、複数の太陽光発電モジュール1を連結させる際、嵌合部50を目視しながら施工を行うことができるため、連結作業を行いやすい。また、フランジ51に嵌合部50を設けることにより、嵌合のための構造を比較的容易に作製することができる。
【0103】
また、第2の実施の形態に係る太陽光発電モジュール1では、筐体21は直方体または立方体である。また、筐体21において対向するフランジ51は、互いに嵌合可能な形状を有する。
【0104】
このような構成により、他の太陽光発電モジュール1にそれぞれ設けられたフランジ51同士を嵌合させることで、複数の太陽光発電モジュール1を一列に並べて連結することができる。
【0105】
また、第2の実施の形態に係る太陽光発電モジュール1では、フランジ51には、複数の太陽光発電モジュール1が並んで取り付けられるフレーム部材F1に筐体21を固定するための取付穴56が形成されている。また、フレーム部材F1に複数の筐体21が固定された状態において、複数のフランジ51にそれぞれ設けられた複数の取付穴56がフレーム部材F1の延伸方向に沿って一列に並ぶ。
【0106】
このような構成により、複数の太陽光発電モジュール1をフレーム部材F1に固定するための作業を効率良く行うことができる。
【0107】
また、第2の実施の形態に係る太陽光発電モジュール1では、筐体21の少なくとも一部は樹脂により形成されている。
【0108】
このような構成により、たとえば、射出成型などにより、筐体21の側壁24および当該筐体21に含まれる嵌合部50を低コストで一体成型することができる。
【0109】
また、第2の実施の形態に係る太陽光発電モジュール1では、嵌合部50は、筐体21の上面を含む面に設けられている。
【0110】
このような構成により、たとえば、フレーム部材F1に筐体21を固定するための取付穴56が嵌合部50に形成されている場合、筐体21の上面に設けられるレンズを上に向けた状態すなわち使用状態のまま、筐体21の上方から当該筐体21をフレーム部材F1に対して固定する作業を行うことができる。このため、たとえば、複数の太陽光発電モジュール1を連結した後にこれら複数の太陽光発電モジュール1をまとめてフレーム部材F1に固定するような場合、連結された太陽光発電モジュール1の向きを大きく変えることなく筐体21をフレーム部材F1に対して固定する作業を行うことができるため、当該作業を容易に行うことができる。
【0111】
また、第2の実施の形態に係る太陽光発電モジュール1では、嵌合部50は、筐体21の底面を含む面に設けられていてもよい。
【0112】
このような構成により、たとえば、フレーム部材F1に筐体21を固定するための取付穴56が嵌合部50に形成されている場合、筐体21の下方から当該筐体21をフレーム部材F1に対して固定する作業を行うことができる。このため、たとえば、複数の太陽光発電モジュール1を連結する前に太陽光発電モジュール1をそれぞれフレーム部材F1に固定するような場合、筐体21をフレーム部材F1に対して固定するための作業に用いられる工具が筐体21の上面のレンズに接触するなどの可能性を低くすることができ、当該作業を容易に行うことができる。
【0113】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
発電素子と、
前記発電素子が収容される筐体とを備え、
前記筐体の側壁には通気孔が形成され、
さらに、
前記通気孔を介した前記筐体の内部空間への異物侵入を抑制する異物侵入抑制部を備え、
前記筐体の上面にはフレネルレンズが設けられ、前記筐体の底面には前記発電素子が設けられ、
前記筐体の前記側壁は樹脂により形成され、前記通気孔は、射出成型により前記筐体の前記側壁と一体成型される、太陽光発電モジュール。
【0114】
[付記2]
発電素子と、
前記発電素子が収容される筐体とを備える太陽光発電モジュールであって、
前記筐体は、他の前記太陽光発電モジュールの前記筐体と嵌合可能な嵌合部を含み、
前記筐体の上面にはフレネルレンズが設けられ、前記筐体の底面には前記発電素子が設けられ、
前記筐体の前記側壁は樹脂により形成され、前記嵌合部は、射出成型により前記筐体の前記側壁と一体成型される、太陽光発電モジュール。
【0116】
図12は、通気孔24h周辺の構成を、さらに詳細に示す斜視図である。集光部22および発電素子30の構成は第1部と同様であり、ここでは図示を省略している。
すなわち、第1部と同様に、太陽光発電モジュール1は、光を受けて発電する発電素子30と、発電素子30を収容する閉鎖された筐体21とを備えている。筐体21は、太陽光を集光するレンズ(フレネルレンズ22f)が設けられた集光部22、発電素子30が配置される底部23、および、底部23の外枠を成し、集光部30を支持する側壁24を有する。
【0117】
側壁24の外側には、樹脂製の庇部60が、側壁24と一体に形成されている。なお、製造上は側壁24と一体に形成するのが簡単であるが、必ずしも一体でなくてもよい。この庇部60は、第1部で説明した外部側カバー141と同様な形状であり、また、同様の機能を有するが、後述のバリエーションをも含めて、以後、「庇部」と称する。
【0118】
すなわち、庇部60の形状とは、通気孔24hの上から側壁24の外側へ張り出す張り出し部60aと、張り出した先端側から、通気孔24hの外側に沿って下へ垂れる垂下部60bとを有する形状である。ここで、「上」とは、底部23から見た集光部22(図示せず)の方向、「下」とはその逆の方向である。フィルタ142は、通気孔24hの内面側の外縁部に溶着される。このフィルタ142は、
図7に登場したフィルタ142とは異なり、側壁24と別体であり、たとえば、溶着により、側壁24に取り付けられる。フィルタ142の材質は、たとえば、四フッ化エチレン樹脂の網状体である。
【0119】
このような庇部60を設けることにより、上から落ちてくる塵埃、水滴、異物、その他通気孔24hには入れたくない物(以下、塵埃等という。)を、庇部60によって排除することができる。
【0120】
次に、
図13は、庇部60の形態の第2例を示す斜視図である。庇部60の形状以外は、
図12と同様である。
図13において、この庇部60は、通気孔24hの上から側壁24の外側へ張り出す張り出し部60aと、張り出した先端側から、通気孔24hの外側に沿って下へ垂れる垂下部60bとを有する形状である。
【0121】
ここで、張り出し部60aは、下り傾斜して形成されている。垂下部60bは、若干、下へ行くほど通気孔24hから離れるように傾斜している。従って、庇部60は、その上面全体が下り傾斜している。但し、垂下部60bは真下(鉛直)であってもよく、要するに、全体として平坦(水平)な部分や上向きになっている部分が無ければよい。
【0122】
このような庇部60の形態は、付着した塵埃が滑り落ち易くなるので、塵埃等が、庇部の上面に堆積しにくいという利点がある。
【0123】
次に、
図14は、庇部60の形態の第3例を示す斜視図である。庇部60の形状以外は、
図12と同様である。
図14において、この庇部60は、通気孔24hの上から側壁24の外側へ張り出し、かつ、通気孔24hの外側で下へ垂れる滑らかに連続した形状である。
【0124】
このような庇部60は、その上面全体が滑らかに下り傾斜している。
このような庇部60の形態は、
図13の形態よりもさらに、付着した塵埃が滑り落ち易くなるので、塵埃等が、庇部の上面に堆積しにくいという利点がある。
【0125】
次に、
図15は、庇部60周辺の形態の第4例を示す斜視図である。この庇部60の形状は、
図14と同様であり、同様の作用効果を有する。
図14と異なるのは、通気孔24hに格子部24gが形成されている点である。このような格子部24gを設けることにより、内面側のフィルタ142を省略しても、塵埃等に対する一定の排除効を実現することができる。言い換えれば、この格子部24gも、一種の「フィルタ」である。すなわち、この格子部24gは、
図7に登場したフィルタ142と同様の物であり、同様の機能を有する。
【0126】
なお、この格子部24gは縦方向としたが、その他、横方向や、網状であってもよい。格子の開口寸法や開口率は、想定される塵埃等の大きさを考慮して適宜、設定することができる。
【0127】
次に、
図16は、庇部60の形態の第5例を示す斜視図である。また、
図17は、庇部60を外側から見た正面図である。
通気孔24hに格子部24gを設ける点は、
図15と同様であり、格子部24gは同様の作用効果を奏する。当該第5例が、
図15の第4例と異なるのは、庇部60が、通気孔24hの上側の一部を隠す形状である点である。言い換えれば、庇部60は、通気孔24hを外側正面から全部隠す(但し、下方に隙間はある。)ことにならない。従って、庇部60による塵埃等の排除と、通気孔24hの良好な通気性とを、両立させることができる。
【0128】
次に、
図18は、太陽光発電装置100の外観を示す側面図である。第1部では簡略に示した架台2(
図1)は、詳細には、
図18における台座2a、その上に鉛直に設けられる支柱2b、支柱2bに取り付けられる制御盤2c、支柱2bの上端に設けられる追尾機構2d、追尾気孔2dと太陽光発電パネル10とを繋ぐ追尾シャフト2e、及び、パネル筐体12とを備えている。
【0129】
太陽光発電パネル10は、複数の太陽光発電モジュール1が、パネル筐体12に収容されたものである。太陽光発電パネル10には、太陽の位置を検知するための太陽位置センサ(追尾センサ)11が取り付けられている。
追尾機構2dは、方位角及び仰角の2軸に駆動可能な機構を有し、制御盤2cに設けられた制御部(図示せず。)の制御によって、常に、太陽を追尾するように制御される。
【0130】
追尾動作が正確に行われている場合は、太陽光発電パネル10に対して法線方向から太陽光が当たる。すなわち、太陽光は、入射角0度若しくはその許容誤差範囲内(以下、単に入射角0度という。)で、太陽光発電パネル10に入射する。
【0131】
図19は、集光部22のフレネルレンズ22fに対して入射角0度で太陽光が入射する場合の光路を示す断面図である。底部23上には、FPC31が設けられ、その上に発電素子30が実装されている。フレネルレンズ22fによって集光した太陽光は、対応する発電素子30に入射する。
【0132】
次に、
図20は、追尾がずれている場合の、太陽光発電装置100と太陽光との関係を示す側面図である。この場合、太陽光は太陽光発電パネル10に対して法線方向ではない。
【0133】
図21は、集光部22のフレネルレンズ22fに対して入射角が0度より許容範囲外に大きくずれた状態で太陽光が入射する場合の光路を示す断面図である。この場合、左端のフレネルレンズ22fによって集光させられた光は、通気孔24hおよびそのまわりに当たる可能性がある。この場合、樹脂製の側壁24や、フィルタ142、通気孔24hの内壁、あるいは、格子部24gが焼損する可能性がある。
【0134】
図22は、
図21と同様に、集光部22のフレネルレンズ22fに対して入射角が0度より許容範囲外に大きくずれた状態で太陽光が入射する場合の光路を示す断面図である。但し、上記の可能性を想定して、遮蔽板70が設けられている。遮蔽板70は、側壁24の内面から支持腕部71により支えられ、内方へ張り出して設けられている。また、遮蔽板70は、側壁24の内面と概ね平行であり、通気孔24hを、側壁24の内面側から隠すように配置されている。但し、支持腕部71があるので、遮蔽板70が通気孔24hを塞ぐことはない。
【0135】
図23は、集光部22の図示を省略した筐体21における遮蔽板70の配置を示す概略の平面図である。図示のように、遮蔽板70は、側壁24の四辺の内面に沿ってそれぞれ設けられている。また、この例では、通気孔24hは、一対二組(4個)設けられている。
【0136】
図22に戻り、このように側壁24の内面に沿って内方へ張り出して設けられた遮蔽板70は、集光する太陽光が発電素子30から外れた場合に、集光する太陽光から側壁24の内面および通気孔24hを遮蔽する。この遮蔽によって、たとえば、側壁24の内面や、通気孔24hに設けられるフィルタ142、格子部24gの焼損を防止することができる。遮蔽板70は、側壁24と同じ樹脂で形成することができる。従って、遮蔽板70を側壁24と一体に形成することも可能である。
【0137】
同じ樹脂を用いても、遮蔽板70は焼損を免れることができる。その理由は、側壁24の内面より内方へ張り出して設けられていることによって、集光する太陽光を、集束しきらない比較的大きな光スポットの状態で受けることができるからである。
【0138】
また、遮蔽板70は、側壁24の四辺の内面に沿ってそれぞれ設けられているので、追尾ずれが方位角および仰角のいずれの場合にも、側壁24の内面や、通気孔24hに設けられるフィルタ142、格子部24g等の焼損を防止することができる。
【0139】
<補記>
なお、第1部、第2部のそれぞれにおいて、開示された実施の形態(実施例)はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。