(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
化石燃料を燃焼させて蒸気を生成するボイラからタービンに蒸気を供給して発電する発電設備を複数有する火力発電プラントに配置され、前記発電設備による発電を補助する発電補助システムであって、
複数の前記発電設備のタービンからボイラに接続される給水ラインのそれぞれに接続され、給水ラインをバイパスするバイパスラインと、
再生可能エネルギーに由来する熱を用いて蒸気を生成する蒸気生成部と、
前記蒸気生成部から供給される蒸気が流通する熱交換用蒸気供給ラインと、
前記熱交換用蒸気供給ラインに接続され、前記熱交換用蒸気供給ラインから導入される蒸気を用いて前記バイパスラインを流通する水を予熱する熱交換器と、
上流側が前記熱交換器に接続され、下流側が前記蒸気生成部に接続され、前記バイパスラインを流通する水を予熱した蒸気の復水を流通する復水ラインと、
前記熱交換器と再生可能エネルギーに由来する熱を用いて蒸気を生成する前記蒸気生成部との間の前記復水ラインに配置されるポンプと、
を備える発電補助システム。
複数の前記発電設備ごとに前記熱交換器を挟んで前記バイパスラインの上流側に設けられ、複数の前記発電設備のそれぞれから前記バイパスラインへの受入を制御する入口弁と、
複数の前記発電設備ごとに前記熱交換器を挟んで前記バイパスラインの下流側に設けられ、前記バイパスラインから複数の前記発電設備への払出を制御する出口弁と、
を更に備える請求項1から6のいずれか一項に記載の発電補助システム。
化石燃料を燃焼させて蒸気を生成するボイラからタービンに蒸気を供給して発電する発電設備を複数有する火力発電プラントに配置され、前記発電設備による発電を補助する発電補助システムであって、
複数の前記発電設備のタービンからボイラに接続される給水ラインのそれぞれに接続され、給水ラインをバイパスするバイパスラインと、
再生可能エネルギーに由来する熱を用いて蒸気を生成する蒸気生成部と、
前記蒸気生成部から供給される蒸気が流通する熱交換用蒸気供給ラインと、
前記熱交換用蒸気供給ラインに接続され、前記熱交換用蒸気供給ラインから導入される蒸気を用いて前記バイパスラインを流通する水を予熱する熱交換器と、
を備え、
前記バイパスラインは、複数の前記発電設備ごとに複数設けられ、
前記熱交換器は、前記バイパスラインごとに複数設けられる発電補助システム。
化石燃料を燃焼させて蒸気を生成するボイラからタービンに蒸気を供給して発電する発電設備を複数有する火力発電プラントに配置され、前記発電設備による発電を補助する発電補助システムであって、
複数の前記発電設備のタービンからボイラに接続される給水ラインのそれぞれに接続され、給水ラインをバイパスするバイパスラインと、
再生可能エネルギーに由来する熱を用いて蒸気を生成する蒸気生成部と、
前記蒸気生成部から供給される蒸気が流通する熱交換用蒸気供給ラインと、
前記熱交換用蒸気供給ラインに接続され、前記熱交換用蒸気供給ラインから導入される蒸気を用いて前記バイパスラインを流通する水を予熱する複数の熱交換器と、
前記熱交換用蒸気供給ラインから前記熱交換器への蒸気の供給流量をそれぞれ制御する機構と、
を備える発電補助システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、再生可能エネルギーから熱を生成する設備(以下、補助設備という)を発電設備とは別途設ける場合、補助設備の稼働率(設備利用率)を考慮する必要がある。例えば、発電設備が停止するとともに補助設備を停止する場合、補助設備の設備利用率が低下し、補助設備の経済性評価が低下する。特に、発電設備の点検等では長期間(例えば、半年間等)、発電設備が停止することがあり、補助設備も長期間停止することとなる。すると、補助設備の経済性評価が大きく低下する。そこで、補助設備の設備利用率を高めることが設置の上で重要となる。
【0005】
特許文献1に記載された蒸気タービンプラントでは、発電設備ごとに補助設備を設けており、発電設備が停止した場合、補助設備から供給される熱が余剰となる。このため、補助設備を有効に活用することができず、補助設備の設備利用率を向上することはできない。
【0006】
本発明は、設備利用率を向上することが可能な発電補助システム及び火力発電プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、化石燃料を燃焼させて蒸気を生成するボイラからタービンに蒸気を供給して発電する発電設備を複数有する火力発電プラントに配置され、前記発電設備による発電を補助する発電補助システムであって、複数の前記発電設備のタービンからボイラに接続される給水ラインのそれぞれに接続され、給水ラインをバイパスするバイパスラインと、再生可能エネルギーに由来する熱を用いて蒸気を生成する蒸気生成部と、前記蒸気生成部から供給される蒸気が流通する熱交換用蒸気供給ラインと、前記熱交換用蒸気供給ラインに接続され、前記熱交換用蒸気供給ラインから導入される蒸気を用いて前記バイパスラインを流通する水を予熱する熱交換器と、を備える発電補助システムに関する。
【0008】
また、前記バイパスラインは、複数の前記発電設備に跨って配置され、前記熱交換器を通る1つの熱交換用ラインと、複数の前記発電設備ごとに設けられ、前記熱交換用ラインの上流側と給水ラインの上流側とを接続する受入ラインと、複数の前記発電設備ごとに設けられ、前記熱交換用ラインの下流側と給水ラインの下流側とを接続する払出ラインと、を備えることが好ましい。
【0009】
また、前記バイパスラインは、複数の前記発電設備ごとに複数設けられ、前記熱交換器は、前記バイパスラインごとに複数設けられることが好ましい。
【0010】
また、前記熱交換器は複数設けられ、1つの前記熱交換用ラインは、複数の前記熱交換器に跨って配置されることが好ましい。
【0011】
また、発電補助システムは、前記熱交換用蒸気供給ラインから前記熱交換器への蒸気の供給をそれぞれ制御する流通弁を更に備え、前記熱交換用蒸気供給ラインは、複数の前記熱交換器に跨って配置される主蒸気供給ラインと、前記主蒸気供給ラインと前記熱交換器とを接続する副蒸気供給ラインと、を備えることが好ましい。また、蒸気の供給の制御は、流通弁に制限されず、取り外し可能な短管や閉止フランジなどを含む機構で制御しても良い。
【0012】
また、前記機構が、前記熱交換用蒸気供給ラインから前記熱交換器への蒸気の供給流量をそれぞれ制御することが好ましい。
【0013】
また、発電補助システムは、複数の前記発電設備ごとに前記熱交換器を挟んで前記バイパスラインの上流側に設けられ、複数の前記発電設備のそれぞれから前記バイパスラインへの受入を制御する入口弁と、複数の前記発電設備ごとに前記熱交換器を挟んで前記バイパスラインの下流側に設けられ、前記バイパスラインから複数の前記発電設備への払出を制御する出口弁と、を更に備えることが好ましい。
【0014】
また、前記出口弁が,前記バイパスラインから複数の前記発電設備のそれぞれへ払出する水の流量を制御することが好ましい。
【0015】
また、前記入口弁が,複数の前記発電設備のそれぞれから前記バイパスラインへ受入する水の流量を制御することが好ましい。
【0016】
また、前記入口弁及び前記出口弁は、対応する前記発電設備の運転状況に応じて開閉されることが好ましい。
【0017】
また、発電補助システムは、上流側が前記熱交換器に接続され、下流側が前記蒸気生成部に接続され、前記バイパスラインを流通する水を予熱した蒸気の復水を流通する復水ラインと、前記熱交換器と再生可能エネルギーに由来する熱を用いて蒸気を生成する前記蒸気生成部との間の前記復水ラインに配置されるポンプと、を更に備えることが好ましい。
【0018】
また、本発明は、蒸気発電補助システムと、発電補助システムに接続される複数の発電設備と、を備える火力発電プラントに関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、設備利用率を向上することが可能な発電補助システム及び火力発電プラントを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る発電補助システム及び火力発電プラントの各実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態に係る発電補助システム100及び火力発電プラント1について、
図1を参照して説明する。
火力発電プラント1は、
図1に示すように、複数の発電設備10(系統、号機)と、発電補助システム100と、を備える。火力発電プラント1は、化石燃料を燃焼させることで発生した熱を用いて蒸気を生成して発電する。また、火力発電プラント1は、再生可能エネルギー(例えば、風力、太陽光、地熱、RDF(廃棄物固形燃料、Refuse Derived Fuel)の燃焼熱等)に由来する熱を用いて蒸気となる水を予熱する。
【0023】
複数の発電設備10のそれぞれは、ボイラ11と、発電用蒸気供給ライン12と、タービン13と、発電機14と、復水器15と、給水ライン16と、給水加熱器17と、抽気ライン18と、を備える。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、径路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0024】
ボイラ11は、化石燃料を燃焼させて発生した熱を用いて水から蒸気を生成する。具体的には、ボイラ11は、化石燃料の燃焼熱を用いて発電用の過熱蒸気を生成する。
【0025】
発電用蒸気供給ライン12は、一端がボイラ11に接続される。発電用蒸気供給ライン12には、ボイラ11で生成された過熱蒸気が流通する。
【0026】
タービン13は、発電用蒸気供給ライン12の他端に接続される。本実施形態において、タービン13は蒸気タービンである。タービン13は、ボイラ11から供給される過熱蒸気により、回転軸(図示せず)を軸心として回動する。具体的には、タービン13は、発電用蒸気供給ライン12から流入した過熱蒸気が膨張することで発生する軸動力により、回転軸(図示せず)を軸心として回転する。
【0027】
発電機14は、タービン13に接続される。具体的には、発電機14は、タービン13の回転軸に接続される。発電機14は、タービン13の回転軸の回動によって発電する。
【0028】
復水器15は、タービン13の出口に配置される。復水器15には、タービン13を回転させたタービン排気(蒸気)が流入する。復水器15は、冷却水(図示せず)でタービン排気を冷却して復水を生成する。また、復水器15は、後述するドレン水を復水に合流させてボイラ11に供給される水を生成する。
【0029】
給水ライン16は、一端が復水器15に接続され、他端がボイラ11に接続される。給水ライン16には、復水器15により生成された水がボイラ11に向けて流通する。
【0030】
抽気ライン18は、一端がタービン13に接続される。抽気ライン18には、タービン13に流入した蒸気の一部から抽気された蒸気が流通する。
【0031】
給水加熱器17は、給水ライン16に配置される。また、給水加熱器17には、抽気ライン18の他端が接続され、抽気された蒸気が内部に流入する。給水加熱器17は、給水ライン16を流通する水と抽気された蒸気との間で熱交換して給水ライン16を流通する水を予熱する。給水加熱器17は、抽気された蒸気が熱交換により凝縮したドレン水をドレン水流通ライン19を介して復水器15に送る。
【0032】
発電補助システム100は、発電設備10による発電を補助するシステムであり、複数の発電設備10に並設される。具体的には、発電補助システム100は、給水ライン16を流通する水を予熱することで、再生可能エネルギーに由来する熱を発電設備10に供給するシステムである。発電補助システム100は、バイパスライン110と、蒸気生成部120と、熱交換用蒸気供給ライン130と、熱交換器140と、復水ライン150と、ポンプ160と、入口弁170と、出口弁180と、を備える。
【0033】
バイパスライン110は、複数の発電設備10の給水ライン16のそれぞれに接続され、給水ライン16をバイパスする。即ち、バイパスライン110は、給水ライン16の上流側から水を受入して、給水ライン16の下流側に払出するラインである。バイパスライン110は、1つの熱交換用ライン111と、複数の受入ライン112と、複数の払出ライン113と、を備える。
【0034】
熱交換用ライン111は、複数の発電設備10に跨って配置される。換言すると、熱交換用ライン111は、複数の発電設備10に共通のラインとして配置される。熱交換用ライン111は、複数の発電設備10から受入された水が流通するラインである。熱交換用ライン111は、後述する熱交換器140を通る。
【0035】
受入ライン112は、複数の発電設備10ごとに設けられ、熱交換用ライン111の上流側と給水ライン16の上流側とを接続する。具体的に、受入ライン112の上流側端部は、発電設備10の給水ライン16の上流側に接続され、受入ライン112の下流側端部は、熱交換用ライン111に接続される。
【0036】
払出ライン113は、複数の発電設備10ごとに設けられ、熱交換用ライン111の下流側と給水ライン16の下流側とを接続する。具体的に、払出ライン113の上流側端部は、熱交換用ライン111の下流側に接続され、払出ライン113の下流側端部は、発電設備10の給水ライン16の下流側に接続される。
【0037】
蒸気生成部120は、再生可能エネルギーに由来する熱を用いて熱交換用(予熱用)の蒸気を生成する。蒸気生成部120は、再生可能エネルギー(例えば、太陽光、地熱、風力、又はRDFの燃焼等)に由来する熱を用いて蒸気を生成する。本実施形態において、蒸気生成部120は、一例としてRDFを燃焼するボイラ11であり、RDFの燃焼熱を用いて蒸気を生成する。
【0038】
熱交換用蒸気供給ライン130は、一端が蒸気生成部120に接続される。熱交換用蒸気供給ライン130には、蒸気生成部120から供給される蒸気が流通する。
【0039】
熱交換器140は、熱交換用蒸気供給ライン130の他端に接続される。また、熱交換器140には、バイパスライン110の一部が内部に配置される。具体的には、熱交換器140には、熱交換用ライン111の上流側と下流側の間の一部が内部に配置される。熱交換器140は、熱交換用蒸気供給ライン130から供給される蒸気を用いてバイパスライン110(熱交換用ライン111)を流通する水を予熱する。具体的には、熱交換器140は、熱交換用蒸気供給ライン130から内部に導入される蒸気をバイパスライン110(熱交換用ライン111)に接触させることで、導入した蒸気とバイパスライン110(熱交換用ライン111)を流通する水との間で熱交換する。
【0040】
復水ライン150は、一端(上流側)が熱交換器140に接続され、他端(下流側)が蒸気生成部120に接続される。復水ライン150には、バイパスライン110を流通する水を予熱した蒸気の復水が流通する。即ち、復水ライン150には、熱交換器140において熱交換した蒸気の復水が流通する。
【0041】
ポンプ160は、復水ライン150に設けられる。具体的には、ポンプ160は、熱交換器140と再生可能エネルギーに由来する熱を用いて蒸気を生成する蒸気生成部120との間の復水ライン150に配置される。ポンプ160は、熱交換器140においてバイパスライン110を流通する水と熱交換した蒸気の復水を蒸気生成部120へ送る。
【0042】
入口弁170は、複数の発電設備10ごとに設けられ、熱交換器140を挟んでバイパスライン110の上流側に設けられる。本実施形態において、入口弁170は、給水ライン16と受入ライン112の連絡部のそれぞれに設けられ、給水ライン16と受入ライン112との連絡を開閉する。入口弁170は、受入ライン112との連絡部を開閉することで、複数の発電設備10のそれぞれからバイパスライン110(熱交換用ライン111)への水の受入を制御する。
【0043】
出口弁180は、複数の発電設備10ごとに複数設けられ、熱交換器140を挟んでバイパスライン110の下流側に設けられる。本実施形態において、出口弁180は、払出ライン113のそれぞれに設けられ、払出ライン113を開閉する。出口弁180は、払出ライン113を開閉することで、複数の発電設備10への水の払出を制御する。
【0044】
次に、発電補助システム100の動作について説明する。
まず、蒸気生成部120で生成された蒸気を用いてバイパスライン110を流通する水を予熱する動作について説明する。
蒸気生成部120において、再生可能エネルギーに由来する熱を用いて蒸気が生成される。蒸気生成部120で生成された蒸気は、熱交換用蒸気供給ライン130を流通して熱交換器140に供給される。
【0045】
熱交換器140に供給された蒸気は、熱交換器140の内部に導入される。熱交換器140の内部に導入された蒸気は、バイパスライン110(熱交換用ライン111)を流通する水との間で熱交換して冷却される。冷却された蒸気は、復水(ドレン水)となり、熱交換器140から復水ライン150に排出される。
復水ライン150に排出された復水は、ポンプ160により加圧され、蒸気生成部120に還流する。
【0046】
次に、入口弁170及び出口弁180の動作について説明する。
複数の発電設備10のそれぞれに対応して配置された入口弁170及び出口弁180が開放されることで、複数の発電設備10の給水ライン16から水が受入ライン112を通って熱交換用ライン111に受入される。熱交換用ライン111に受入された水は、熱交換器140を通って予熱され、払出ライン113を通ってそれぞれの発電設備10の給水ライン16に払出される。
【0047】
複数の発電設備10のうち、1台が点検等により停止する場合、停止される発電設備10に対応する入口弁170及び出口弁180が閉止される。これにより、閉止される発電設備10の給水ライン16からバイパスライン110(熱交換用ライン111)への水の受入及び払出は停止する。一方、他の発電設備10に対応する入口弁170及び出口弁180が閉止されないことで、他の発電設備10の給水ライン16からバイパスライン110(熱交換用ライン111)への水の受入及び払出は継続される。また、複数系統が点検等により停止する場合であっても、他の発電設備10の給水ライン16からバイパスライン110(熱交換用ライン111)への水の受入及び払出は継続される。
【0048】
以上のような第1実施形態に係る発電補助システム100及び火力発電プラント1によれば、以下の効果を奏する。
(1)発電補助システム100を、複数の発電設備10のタービン13からボイラ11に接続される給水ライン16のそれぞれに接続され、給水ライン16をバイパスするバイパスライン110と、再生可能エネルギーに由来する熱を用いて蒸気を生成する蒸気生成部120と、蒸気生成部120から供給される蒸気が流通する熱交換用蒸気供給ライン130と、熱交換用蒸気供給ライン130に接続され、熱交換用蒸気供給ライン130から導入される蒸気を用いてバイパスライン110を流通する水を予熱する熱交換器140と、を含んで構成した。これにより、バイパスライン110を介して、再生可能エネルギーに由来する熱を用いて予熱した水を給水ライン16に供給することができる。これにより、抽気ライン18からの抽気を減らすことができ、発電効率を向上することができる。また、再生可能エネルギーに由来する熱を用いてボイラ11に供給される水を予熱できるので、化石燃料の使用量を減らすことによる二酸化炭素の削減や、経済性を向上することができる。また、複数の発電設備10の一部が停止した場合であっても、他の発電設備10の給水ライン16からバイパスライン110へ受入できるので、蒸気生成部120を運転させ続けることができる。蒸気生成部120を停止させずともよいので、発電補助システム100の設備利用率を向上することができる。
【0049】
(2)バイパスライン110を、複数の発電設備10に跨って配置され、熱交換器140を通る1つの熱交換用ライン111と、複数の発電設備10ごとに設けられ、熱交換用ライン111の上流側と給水ライン16の上流側とを接続する受入ライン112と、複数の発電設備10ごとに設けられ、熱交換用ライン111の下流側と給水ライン16の下流側とを接続する払出ライン113と、を含んで構成した。これにより、複数の発電設備10の給水ライン16から受入した水を1つの熱交換器140で予熱することができるので、熱効率を高めることができる。
【0050】
(3)発電補助システム100を更に、複数の発電設備10ごとに熱交換器140を挟んでバイパスライン110の上流側に設けられ、複数の発電設備10のそれぞれからバイパスライン110への受入を制御する入口弁170と、複数の発電設備10ごとに熱交換器140を挟んでバイパスライン110の下流側に設けられ、バイパスライン110から複数の発電設備10への払出を制御する出口弁180と、を含んで構成した。これにより、給水ライン16からバイパスライン110に水を受入する発電設備10を選択的に変更できる。従って、運転している発電設備10に対して蒸気生成部120の熱を分散して効率良く供給できる。
【0051】
(4)入口弁170及び出口弁180を、対応する発電設備10の運転状況に応じて開閉するようにした。これにより、運転中の発電設備10に対して蒸気生成部120で生成された熱を効率よく振り分けることができ、発電効率を向上することができる。
【0052】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る発電補助システム100aについて、
図2及び
図3を参照して説明する。第2実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第2実施形態に係る発電補助システム100aでは、
図2に示すように、バイパスライン110aが、複数の発電設備10ごとに複数設けられる点等で、第1実施形態と異なる。第2実施形態に係る発電補助システム100aは、ポンプ160に代えて、複数のポンプ160aを備える。また、第2実施形態に係る発電補助システム100aは、複数の流通弁190を備える。なお,
図3に示すようにポンプ160aは1台でも良い。また蒸気の供給を制御する機能を持つ流通弁190は熱交換器140a入口側でも良い。
【0053】
複数のバイパスライン110aのそれぞれは、発電設備10ごとに設けられる。即ち、バイパスライン110aは、発電設備10と一対に設けられる。バイパスライン110aのそれぞれは、発電設備10の給水ライン16をバイパスするラインとして設けられ、上流側端部が給水ライン16の上流側端部に接続され、下流側端部が給水ライン16の下流側端部に接続される。
【0054】
熱交換器140aは、複数のバイパスライン110aのそれぞれに配置される。即ち、熱交換器140aは、バイパスライン110aと一対に設けられる。
【0055】
入口弁170aは、複数のバイパスライン110aの上流側にそれぞれ配置される。
出口弁180aは、複数のバイパスライン110aの下流側にそれぞれ配置される。
【0056】
熱交換用蒸気供給ライン130aは、1つの主蒸気供給ライン131aと、複数の副蒸気供給ライン132aと、を備える。
主蒸気供給ライン131aは、複数の熱交換器140aに跨って配置される。換言すると、主蒸気供給ライン131aは、複数の熱交換器140aに対して共通のラインとして配置される。主蒸気供給ライン131aは、上流側の端部が蒸気生成部120に接続される。主蒸気供給ライン131aには、蒸気生成部120で生成された蒸気が流通する。
【0057】
複数の副蒸気供給ライン132aのそれぞれは、熱交換器140aに対応して配置され、上流側の端部が主蒸気供給ライン131aに接続される。複数の副蒸気供給ライン132aのそれぞれの下流側の端部は、熱交換器140aに接続される。即ち、副蒸気供給ライン132aは、熱交換器140aと一対に設けられる。
【0058】
復水ライン150は、複数の副復水ライン151aと、1つの主復水ライン152aと、を備える。
複数の副復水ライン151aの上流側の端部は、熱交換器140aにそれぞれ接続される。複数の副復水ライン151aのそれぞれの下流側の端部は、主復水ライン152aに接続される。即ち、副復水ライン151aは、熱交換器140aと一対に設けられる。副復水ライン151aには、熱交換器140aから排出される復水が流通する。
【0059】
ポンプ160aのそれぞれは、復水ライン150aに配置される。具体的には、ポンプ160aのそれぞれは、副復水ライン151aに配置される。即ち、ポンプ160aは、熱交換器140aと一対に設けられる。ポンプ160aは、熱交換器140aから排出された復水を加圧して、蒸気生成部120に送る。
【0060】
流通弁190は、復水ライン150に配置される。具体的には、流通弁190のそれぞれは、副復水ライン151aに配置され、ポンプ160aよりも下流側に配置される。即ち、流通弁190は、熱交換器140a及びポンプ160aと一対に配置される。流通弁190は、副復水ライン151aを開閉して、熱交換器140aから主復水ライン152aへの復水の流入を制御する。換言すると、複数の流通弁190のそれぞれは、熱交換用蒸気供給ライン130a(副蒸気供給ライン132a)から熱交換器140aへの蒸気の供給を制御する。具体的には、流通弁190は、熱交換用蒸気供給ライン130aから熱交換器への蒸気の供給流量をそれぞれ制御する。例えば、流通弁190は、一つの熱交換器140aに10t/hの蒸気を供給するように制御し、他の一つの熱交換器140aに20t/hの蒸気を供給するように制御する。
【0061】
主復水ライン152aは、下流側の端部が蒸気生成部120に接続される。主復水ライン152aには、複数の副復水ライン151aから流入した復水が流通する。
【0062】
ポンプ160aは、複数の副復水ライン151aのそれぞれに配置される。ポンプ160aは、熱交換器140aから排出された復水を加圧して、蒸気生成部120に送る。
【0063】
次に、本実施形態に係る発電補助システム100a及び火力発電プラント1の動作を説明する。
まず、蒸気生成部120で生成された蒸気を用いてバイパスライン110aを流通する水を予熱する動作について説明する。
蒸気生成部120において、再生可能エネルギーに由来する熱を用いて蒸気が生成される。蒸気生成部120で生成された蒸気は、主蒸気供給ライン131aを流通して、複数の副蒸気供給ライン132aに分岐する。分岐した蒸気は、それぞれの熱交換器140aに供給される。
【0064】
それぞれの熱交換器140aに供給された蒸気は、熱交換器140aの内部に導入される。熱交換器140aの内部に導入された蒸気は、バイパスライン110aを流通する水との間で熱交換して冷却される。冷却された蒸気は、復水(ドレン水)となり、それぞれの熱交換器140aから副復水ライン151aに排出される。副復水ライン151aに排出された復水は、それぞれのポンプ160aにより加圧され、主復水ライン152aに流入する。主復水ライン152aで合流した復水は、蒸気生成部120に還流する。
【0065】
次に、入口弁170a、出口弁180a、ポンプ160a、及び流通弁190の動作について説明する。
複数のバイパスライン110aのそれぞれに配置された入口弁170a及び出口弁180aが開放されることで、複数の発電設備10のそれぞれの給水ライン16からバイパスライン110aに水が受入される。また、流通弁190のそれぞれが開放され、ポンプ160aのそれぞれが動作することで、副蒸気供給ライン132aを流通する蒸気が熱交換器140aに導入される。バイパスライン110aを流通する水は、バイパスライン110aごとに配置された熱交換器140aを通って予熱され、それぞれの発電設備10の給水ライン16に払出される。
【0066】
複数の発電設備10のうち、1台が点検等により停止される場合、停止される発電設備10に接続されたバイパスライン110aの入口弁170a及び出口弁180aが閉止される。これにより、停止される発電設備10の給水ライン16からバイパスライン110aへの水の受入が停止される。また、受入が停止されたバイパスライン110aを流通する水を予熱する熱交換器140aへの蒸気の供給も停止される。具体的には、熱交換器140aに接続されている副復水ライン151aに配置された流通弁190が閉止され蒸気の供給が停止される。なお,閉止された流通弁190が配置されている副復水ライン151aと同じ副復水ライン151aに配置されたポンプ160aの動作も停止される。以上により、停止される発電設備10の給水ライン16からバイパスライン110aへの水の受入及び払出が停止する一方、他の発電設備10からバイパスライン110aへの水の受入及び払出は継続される。また、複数台が点検等により停止する場合であっても、他の発電設備10の給水ライン16からバイパスライン110aへの水の受入及び払出が継続される。
【0067】
以上のような第2実施形態に係る発電補助システム100a及び火力発電プラント1によれば、上記(1)の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0068】
(5)機構を、熱交換用蒸気供給ラインから熱交換器への蒸気の供給量をそれぞれ制御するように構成した。これにより、熱交換器140aのそれぞれに供給される蒸気量を異ならせることができる。従って、バイパスライン110を流通する水の量や、予熱に必要な熱量等に応じて熱交換器140aごとに適切な蒸気量を供給することができる。
【0069】
(6)バイパスライン110aを、複数の発電設備10ごとに複数設け、熱交換器140aを、バイパスライン110aごとに複数設けた。これにより、バイパスライン110aや熱交換器140aの一部を点検等により停止したとしても、他のバイパスライン110aや熱交換器140aを用いて他の発電設備10に供給される水を予熱することができるので、発電効率を向上することができる。また、冗長性が高まるので、信頼性を向上できる。
【0070】
(7)発電補助システム100aを更に、熱交換用蒸気供給ライン130aから熱交換器140aへの蒸気の供給をそれぞれ制御する流通弁190を含んで構成した。また、熱交換用蒸気供給ライン130aを、複数の熱交換器140aに跨って配置される主蒸気供給ライン131aと、主蒸気供給ライン131aと熱交換器140aとを接続する副蒸気供給ライン132aと、を含んで構成した。主蒸気供給ライン131aから副蒸気供給ライン132aを介して、複数の熱交換器140aに蒸気を供給することができる。また、流通弁190を開閉することで、熱交換器140aのそれぞれへの蒸気の供給を制御することができる。従って、発電設備10の運転状況に応じて熱交換器140aへの蒸気の供給を切り換えることができるので、再生エネルギーに由来する熱を効率的に用いることができる。
【0071】
以上、本発明の発電補助システム及び火力発電プラントの好ましい各実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0072】
例えば、第1実施形態において、熱交換器140を1つとしたが、これに制限されない。例えば、熱交換器140が複数設けられ、熱交換用ライン111が複数の熱交換器140を通るように配置されてもよい。これにより、一部の熱交換器140をメンテナンス等で停止したとしても、発電補助システム100を継続して動作させることができる。従って、発電補助システム100の設備利用率を向上することができる。また、熱交換用ライン111、熱交換用蒸気供給ライン130、及び復水ライン150の少なくとも1つを複数ライン(系統)として、冗長性を高めるようにしてもよい。
また例えば,熱交換を行う温度域毎に複数の熱交換器を使い分けても良い。各温度においてコストミニマムな材料を、それぞれ選定する事で、より低価格なシステムとすることができる。
【0073】
また、第2実施形態において、発電設備10の給水ライン16をバイパスするバイパスライン110aを各発電設備10に個別に設けることとしたが、第1実施形態の熱交換器140を通る1つの熱交換用ライン111を,第2実施形態における複数の熱交換器140aに跨って設け,複数の前記発電設備10のバイパスライン110aを,複数の熱交換器140aへ接続しても良い。即ち、発電設備10の給水ライン16をバイパスするバイパスライン110aを各発電設備10に個別に設けることにしたが、これに制限されない。例えば、複数設けられる熱交換器140aに対して、第1実施形態の1つの熱交換用ライン111を採用してもよい。この場合、1つの熱交換用ライン111は、複数の熱交換器140に跨って配置され、複数の熱交換器140aを通るように設けられて良い。そして、各発電設備10(のバイパスライン110a)は、1つの熱交換用ライン111に接続されて良い。
また、主蒸気供給ライン131aを1つとしたが、これに制限されない。例えば、主蒸気供給ライン131aを複数系統にして、冗長性を高めるようにしてもよい。また、主復水ライン152aを複数系統にして、冗長性を高めるようにしてもよい。
【0074】
また、上記各実施形態において、入口弁170及び出口弁180の開閉について、停止する発電設備10に対応する入口弁170及び出口弁180を閉止することとしたが、これに制限されない。発電設備10のそれぞれが許容可能な熱エネルギーと、発電補助システム100,100aが提供可能な熱エネルギーとに応じて、閉止又は開放する入口弁170及び出口弁180を決定してもよい。例えば、複数の発電設備10のうち、許容可能な熱エネルギーが大きい発電設備10の入口弁170及び出口弁180を開放し、許容可能な熱エネルギーの小さい発電設備10の入口弁170及び出口弁180を閉止してもよい。これにより、火力発電プラント1全体の熱効率を向上することができる。
【0075】
また、上記各実施形態において、入口弁170は、複数の発電設備10のそれぞれからバイパスライン110へ受入する水の流量を制御してもよい。また、出口弁180は、複数のバイパスライン110から発電設備10のそれぞれへ払出する水の流量を制御してもよい。具体的には、入口弁170は、発電設備10のそれぞれから異なる量の水を受入するように制御されてよく、出口弁180は、発電設備10のそれぞれに異なる量の水を払出すように制御されてよい。例えば、入口弁170は、一つの発電設備10から20t/hの水を受入するように制御され、他の一つの発電設備10から5t/hの水を受入するように制御されてもよい。また、出口弁180は、一つの発電設備10に20t/hの水を払出すように制御され、他の一つの発電設備10に5t/hの水を払出すように制御されてよい。これにより、発電設備10ごとに、バイパスライン110を流通する水の量を変化させることができ、発電設備10ごとの状況に即した制御を実現することができる。
発電補助システム100は、複数の発電設備10のタービン13からボイラ11に接続される給水ライン16のそれぞれに接続され、給水ライン16をバイパスするバイパスライン110と、再生可能エネルギーに由来する熱を用いて蒸気を生成する蒸気生成部120と、蒸気生成部120から供給される蒸気が流通する熱交換用蒸気供給ライン130と、熱交換用蒸気供給ライン130に接続され、熱交換用蒸気供給ライン130から導入される蒸気を用いてバイパスライン110を流通する水を予熱する熱交換器140と、を備える。