(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定手段は、前記予圧付与手段を前記軸方向に移動させるための操作リングであり、前記軸方向において前記予圧付与手段の後方に配置され、前記保持用ハウジングの外周と螺合して、回転により前記軸方向に移動することにより、前記予圧付与手段の軸方向の位置を調節可能であることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ構造。
【背景技術】
【0002】
マイクから入力される音声の記録が可能な音声記録装置が知られている(特許文献1参照)。音声記録装置は、例えば、録音した音声データが記録されるICメモリと、スピーカーを有しており、音声データの再生も可能である。こうした音声記録装置は、ICレコーダーなどと呼ばれる。音声記録装置には、内蔵マイクを有しているタイプもあれば、装置本体に着脱可能な外付けマイクを取り付け可能なタイプもある。外付けマイクが取り付け可能なタイプには、装置本体に外付けマイクを取り付けるためのコネクタが設けられる。
【0003】
コネクタの形式としては、例えば、特許文献2に記載されているようなプッシュオン方式が知られている。プッシュオン方式は、例えば、端子を有するコネクタ本体と、コネクタ本体に設けられる脱落防止用の係合爪と、コネクタ本体の軸方向に伸縮するコイルスプリングとを有している。コイルスプリングは、コネクタ本体の軸方向に、取り付け対象を押し込んで挿入した場合に、軸方向に圧縮して、取り付け対象に対して挿入方向とは反対方向の取り外し方向に付勢力を発生する。取り付け対象には、例えば、係合爪と係合する係合穴が設けられている。
【0004】
取り付け対象は、係合爪と係合穴が係合するまでコイルスプリングの付勢力に抗して挿入される。係合爪と係合穴が係合すると、取り付け対象とコネクタとの接続が完了する。この際に、取り付け対象は、コイルスプリングの付勢力による反発を受けて取り外し方向に移動する。これにより、係合爪と係合穴の隙間が無くなるように軸方向に予圧が付与される。
【0005】
このようにプッシュオン方式は、取り付け対象をコネクタに押し込むプッシュ操作だけで、係合爪による係合を完了させることができるため、簡単な接続が可能である。また、プッシュオン方式によれば、コイルスプリングの付勢力によって係合穴と係合爪に予圧が付与されるため、コネクタや取り付け対象の寸法誤差などに起因して発生するガタツキを防止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されているような音声記録装置に、外付けマイクとしてハンドマイクを取り付けることが検討されている。ハンドマイクは、一般的に、略円筒状のグリップ部を有しており、グリップ部の上端にはマイク本体が設けられ、グリップ部の下端には、ハンドマイクとケーブルを接続するためのコネクタ(以下、マイク側コネクタという)が設けられている。音声記録装置のコネクタ(以下、装置側コネクタという)として、特許文献2のようなプッシュオン方式のコネクタを採用すれば、ハンドマイクの簡単な取り付けが可能になる。
【0008】
また、上述のとおり、プッシュオン方式であれば、コイルスプリングの付勢力によってガタツキを防止することができる。ガタツキがあると、ハンドマイクの振動により、接触音や摩擦音が発生する。ガタツキが大きくなるほど、振動が大きくなり、接触音や摩擦音も大きくなる。音声記録装置にハンドマイクを取り付ける場合、ハンドマイクが接触音や摩擦音などのノイズを拾ってしまうため、ガタツキを確実に防止する必要性が高い。
【0009】
ところで、ハンドマイクのマイク側コネクタは、ハンドマイクの種類やメーカーによって、サイズのバラツキが大きい。特に、マイク側コネクタのピンタイプの端子を収容するコネクタハウジングの長さなど、マイク側コネクタの軸方向の長さのバラツキが大きい。マイク側コネクタの軸方向の長さは、装置側コネクタに対する押し込み量に影響する。プッシュオン方式は、装置側コネクタに対してマイク側コネクタを軸方向へ押し込むことによってコイルスプリングを圧縮しながら係合を行うものであるから、押し込み量が変化すると、コイルスプリングによる付勢力が変化する。
【0010】
マイク側コネクタの軸方向の長さが短い場合には、押し込み量が少ないため、コイルスプリングの圧縮量が少なくなり、付勢力が弱くなる。付勢力が弱いと、マイク側コネクタに対する予圧が小さくなり、ガタツキ防止効果が減退する。一方、マイク側コネクタの軸方向の長さが長い場合には、押し込み量が多くなるため、コイルスプリングの圧縮量が多くなり、付勢力が強くなる。付勢力が強いと、ガタツキ防止効果は向上するが、付勢力が強すぎると反発が大きく、取り付けにくいという問題が発生する。
【0011】
本発明は、取り付け時の反発がなく、かつ、マイク側コネクタの軸方向の長さにバラツキがあってもガタツキを確実に防止できる、音声記録装置に使用されるコネクタ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、音声を記録する音声記録装置に使用され、音声記録装置に音声を入力するための外付けマイクを取り付けるためのコネクタ構造において、装置側コネクタと、予圧付与手段と、保持用ハウジングと、固定手段とを備えている。装置側コネクタは、音声記録装置に設けられ、外付けマイクのマイク側コネクタと接続する装置側コネクタであって、マイク側コネクタが有する筒形状のコネクタハウジング内に前端部が挿入される軸形状のコネクタ本体と、マイク側コネクタの脱落を防止するためにコネクタ本体に設けられ、コネクタ本体がコネクタハウジングに挿入された場合に、コネクタハウジングの第1係合部と係合する第2係合部とを有する。予圧付与手段は、第1係合部と第2係合部が係合した状態において、コネクタ本体の外周に位置するコネクタハウジングの後端面を、コネクタ本体の軸方向に押圧することにより、コネクタハウジングに対して予圧を付与する。保持用ハウジングは、コネクタ本体の後端部を収容可能な筒形状を有し、予圧付与手段を軸方向に移動自在に保持する。固定手段は、予圧付与手段を、軸方向の任意の位置で固定する。
【0013】
予圧付与手段は、コネクタ本体の一部を収容可能な筒形状の部材であることが好ましい。
【0014】
固定手段は、予圧付与手段を軸方向に移動させるための操作リングであり、軸方向において予圧付与手段の後方に配置され、保持用ハウジングの外周と螺合して、回転により軸方向に移動することにより、予圧付与手段の軸方向の位置を調節可能であることが好ましい。
【0015】
予圧付与手段には、コネクタハウジングの後端と当接する前端面に弾性部材が設けられていることが好ましい。
【0016】
第2係合部は、コネクタ本体の外周において突没自在に設けられており、コネクタ本体には、第2係合部の後方に配置され、第2係合部をコネクタ本体内に押し込んで第1係合部との係合を解除する解除操作部が設けられており、予圧付与手段は、外周面が、コネクタ本体の外周において突出した状態の解除操作部と同程度の高さとなる外径を有しており、かつ、解除操作部を操作可能に外部に露呈するために、外周の一部を前端側から切り欠いて形成され、解除操作部の前方以外の三方を取り囲む切り欠き部を有していることが好ましい。
【0017】
操作リングの回転量を規制する回転量規制機構を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、音声記録装置に使用されるコネクタ構造において、取り付け時の反発がなく、かつ、マイク側コネクタの軸方向の長さにバラツキがあってもガタツキを確実に防止できる、
【発明を実施するための形態】
【0020】
「第1実施形態」
図1及び
図2において、本発明のコネクタ構造10は、入力された音声の記録が可能な音声記録装置11に使用される。音声記録装置11には、音声を入力するための外付けマイクを取り付けることが可能であり、コネクタ構造10は外付けマイクを取り付けるためのものである。なお、音声記録装置11に内蔵マイクが設けられていてもよい。音声記録装置11は、例えば、携帯可能な小型のもので、本体12内に、入力された音声を記録するICメモリなどのデータストレージデバイス(図示せず)が設けられている。
【0021】
また、本体12にはイヤホンジャック(図示せず)なども設けられており、ICメモリに記録した音声データを再生することも可能である。なお、内蔵スピーカーが設けられていてもよい。本体12には、電源スイッチ12A、再生、録音などの操作を行う操作ボタン12B、再生中あるいは録音中などのステータスや録音時間などの各種表示を行うインジケータ12C、ボリューム調節ボタン12Dなどが設けられている。また、音声データを記録するためのメモリーカードを装着可能なスロット(図示せず)や、記録した音声データを外部に送信するためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタ(図示せず)なども設けられている。
【0022】
コネクタ構造10は、外付けマイクとして、ハンドマイク13を取り付けるためのものである。ハンドマイク13は、略円筒状のグリップ部14を有しており、グリップ部14の上端にはマイク本体16が設けられ、グリップ部14の下端には、コネクタ(以下、マイク側コネクタという)17が設けられている。マイク側コネクタ17は、ケーブルに接続して、マイク本体16が集音した音声信号を出力するためのものであり、有線接続タイプのハンドマイク13には標準的に設けられているものである。コネクタ構造10は、このマイク側コネクタ17と接続可能な形態で構成される。
図2において、音声記録装置11にハンドマイク13を取り付けた状態を示す。
【0023】
図1及び
図3に示すように、マイク側コネクタ17は、コネクタ本体17Aと、コネクタハウジング17Bとで構成される。コネクタ本体17Aは、ピンタイプの端子17Cを複数本(例えば3本)有するオス型のものである。端子17Cは、グリップ部14の軸方向に沿って、ハンドマイク13の下端に向けて延びている。コネクタハウジング17Bは、端子17Cを保護するためのもので、略円筒形状をしており、端子17Cを含むコネクタ本体17Aを収容する長さを有している。コネクタハウジング17Bは、例えば、金属製である。コネクタハウジング17Bには、後端付近に、後述するコネクタ構造10の係合部と係合する係合穴17D(第1係合部に相当)が設けられている。
【0024】
マイク側コネクタ17は、寸法などの仕様が標準的な規格で定められているが、メーカーや種類によって寸法にはバラツキがある。特に、マイク側コネクタ17の外径や、コネクタハウジング17Bの軸方向の長さのバラツキが大きい。
【0025】
図1及び
図4に示すように、コネクタ構造10は、マイク側コネクタ17と接続する装置側コネクタ21、予圧付与部材22、操作リング23、及び保持用ハウジング24で構成される。装置側コネクタ21は、コネクタ本体26と、マイク側コネクタ17が有する係合穴17Dと係合する係合爪27とを有している。コネクタ本体26及び係合爪27は、金属製である。
【0026】
コネクタ本体26は、軸方向と直交する方向の断面が円形の軸形状を有しており、前端面26Aには、メス型の端子26Bが設けられている。コネクタ本体26は、マイク側コネクタ17のコネクタハウジング17Bに挿入されて、マイク側コネクタ17と接続される。コネクタ本体26の軸方向は、コネクタハウジング17Bへの挿入方向と平行な方向である。端子26Bは、マイク側コネクタ17の端子17Cが挿入されるピンホールタイプであり、各端子17Cと対応する位置に配置されている。
【0027】
係合爪27は、係合穴17Dとの係合によりマイク側コネクタ17の脱落を防止するための係合部であり、第2係合部に相当する。係合爪27は、コネクタ本体26の外周面から突出する突出位置と外周面内に没入する没入位置との間で突没自在に設けられている。係合爪27は、軸方向における縦断面が略三角形状をしており、軸方向において前方から後方に向かって高さが高くなるように上面が傾斜している(
図5も参照)。係合爪27は、突出位置において、コネクタハウジング17Bの内径以上の高さを有している。係合爪27は、コネクタ本体26内に設けられたバネ(図示せず)などによって突出位置に付勢されている。
【0028】
係合爪27は、コネクタ本体26の前端部26Cがコネクタハウジング17B内に挿入されると、端子17Cが端子26B内に挿入される。この際に、係合爪27もコネクタハウジング17B内に進入する。この際に、係合爪27は、上面がコネクタハウジング17Bの内周面と当接することにより、いったん没入位置に向かって沈み込む。そして、係合爪27が係合穴17Dの位置に到達すると、バネの付勢力により係合爪27が係合穴17D内に突出する。これにより、係合爪27と係合穴17Dが係合した状態となる。コネクタ本体26に対してマイク側コネクタ17を取り外し方向に引っ張ると、係合爪27の後端は係合穴17Dの後方の内周と当接する。このため、係合爪27と係合穴17Dが係合した状態においては、マイク側コネクタ17の脱落が防止される。
【0029】
係合爪27の後方には、解除操作部28が設けられている。解除操作部28は、係合爪27を突出位置から退避位置に押し込んで、係合穴17Dとの係合状態を解除する。解除操作部28は、例えば、係合爪27と一体に形成されている。解除操作部28は、コネクタ本体26の外周に突出しており、解除操作部28を押下操作すると、突出位置にある係合爪27が没入位置に移動する。解除操作部28も、係合爪27と同様に、軸方向の縦断面が略三角形状をしており、軸方向において前方から後方に向かって高さが高くなるように上面が傾斜している(
図5も参照)。解除操作部28のサイズは、係合爪27よりも大きく、コネクタ本体26からの径方向の突出量も、係合爪27よりも多い。
【0030】
装置側コネクタ21は、コネクタ本体26の後端部26Dが保持用ハウジング24に収容されて、音声記録装置11の本体12に取り付けられる。コネクタ本体26は、例えば、ビス29によって保持用ハウジング24に固定される。
【0031】
保持用ハウジング24は、コネクタ本体26を収容可能な略円筒形状をしている。保持用ハウジング24は、例えば、プラスチックで形成される。保持用ハウジング24は、予圧付与部材22及び操作リング23を保持する。保持用ハウジング24の外周面には後端側に、操作リング23と螺合するためのネジ溝24Aが形成されている。また、外周面には、ネジ溝24Aから前方に向かって軸方向に延びるガイド部24Bが形成されている。ガイド部24Bは、予圧付与部材22の内周と係合して予圧付与部材22の回転を規制するための溝である。また、保持用ハウジング24の外周面には、解除操作部28を収容するための切り欠き部24Cも形成されている。
【0032】
予圧付与部材22は、コネクタハウジング17Bに対して予圧を付与してガタツキを防止するためのものである。ガタツキを防止することで、装置側コネクタ21に対するマイク側コネクタ17の振動も防止されるので、接触音や摩擦音が発生することがない。これにより、ハンドマイク13が接触音や摩擦音をノイズとして集音することが防止される。予圧付与部材22は、予圧付与手段に相当する。
【0033】
予圧付与部材22は、コネクタ本体26の一部を収容可能な筒形状の部材であり、保持用ハウジング24の外周に嵌合して保持される。予圧付与部材22は、軸方向に沿って移動自在に設けられており、保持用ハウジング24に固定されるコネクタ本体26に対して相対的に移動可能である。予圧付与部材22は、内周に、ガイド部24Bと係合するガイド部22Aが設けられており、ガイド部24B、22Aの係合により軸周りに回転が規制される。
【0034】
係合穴17Dと係合爪27が係合した状態においては、コネクタ本体26の外周にコネクタハウジング17Bが位置する(
図5参照)。この状態において、予圧付与部材22は、前端面22Bで、コネクタハウジング17Bの後端面17E(
図3及び
図5参照)を軸方向に押圧することにより、コネクタハウジング17Bに対して予圧を付与する。
【0035】
すなわち、コネクタハウジング17Bを後方から前方に向けて押圧すると、係合穴17Dが係合爪27の後端に押しつけられて、係合穴17Dと係合爪27の隙間が無くなる。これにより、コネクタハウジング17Bは前方側の移動は係合爪27によって規制され、後方側は予圧付与部材22から押圧を受けるため、コネクタハウジング17Bは軸方向の移動が規制される。これにより、装置側コネクタ21に対するマイク側コネクタ17のガタツキが防止される。
【0036】
予圧付与部材22は、例えば、プラスチックで形成される。予圧付与部材22の前端面22Bには、ゴムなどの弾性シート(弾性部材に相当する)31が設けられている。弾性シート31は、予圧付与部材22がコネクタハウジング17Bに当接した際に弾性変形することにより、予圧付与部材22をコネクタハウジング17Bに対して安定した姿勢で当接させるためのものである。また、弾性シート31の摩擦力により、マイク側コネクタ17の不用意な回転を防止することができる。また、予圧付与部材22がプラスチックであるのに対して、コネクタハウジング17Bは金属であるため、弾性シート31は、予圧付与部材22の前端面22Bを保護するという機能も有する。
【0037】
予圧付与部材22は、外周面が、コネクタ本体26の外周において突出した状態の解除操作部28と同程度の高さとなる外径D(
図5参照)を有している。そして、予圧付与部材22は、解除操作部28を操作可能に外部に露呈するための切り欠き部22Cが設けられている。切り欠き部22Cは、予圧付与部材22の外周の一部を前端側から切り欠いて形成される。切り欠き部22Cは、解除操作部28の前方以外の三方(両側方と後方)を取り囲む。切り欠き部22Cは、解除操作部28の三方を取り囲むことにより、操作する指を切り欠き部22Cに入れにくくして、誤操作を防止している。
【0038】
操作リング23は、予圧付与部材22を軸方向に移動させるための操作部材である。操作リング23は、予圧付与部材22の軸方向の位置を調節可能であるとともに、予圧付与部材22を、軸方向の任意の位置で固定する固定手段としても機能する。操作リング23は、軸方向において予圧付与部材22の後方に配置され、保持用ハウジング24に保持される。
【0039】
操作リング23には、内周面にネジ溝24Aが形成されており、操作リング23は、ネジ溝23Aが保持用ハウジング24の外周のネジ溝24Aとの係合により、保持用ハウジング24に螺合する。この螺合により、操作リング23を回転操作すると、操作リング23が軸方向に移動する。操作リング23が軸方向の前方に移動すると、操作リング23が予圧付与部材22を後方から押圧して、予圧付与部材22が前方に移動する。操作リング23の回転量を調節することにより、予圧付与部材22の移動量が調節される。操作リング23の外周には、指掛かりとしても機能する、凹凸による滑り止め23Bが形成されている。
【0040】
以下、上記構成による作用について、
図5を参照しながら説明する。音声記録装置11にハンドマイク13を取り付ける場合には、装置側コネクタ21のコネクタ本体26の前端部26C(
図4参照)をコネクタハウジング17Bに挿入して、マイク側コネクタ17の端子17Cをコネクタ本体26の端子26Bに挿入する。この際に、
図5(A)に示すように、コネクタハウジング17B内に係合爪27が進入して、係合爪27と係合穴17Dが係合する。
【0041】
図5(A)に示すように、係合爪27と係合穴17Dが係合した状態において、コネクタハウジング17Bの内径とコネクタ本体26の外径に差があると、ガタツキが発生する。係合爪27の後端と係合穴17Dの間にも、マイク側コネクタ17の寸法のバラツキによって隙間C1が生じる。この状態で、操作リング23を回転操作して、予圧付与部材22を前方(矢印Fで示す方向)に移動させると、予圧付与部材22は、コネクタ本体26に対して移動可能であるため、前方への移動により、コネクタ本体26に係合しているコネクタハウジング17Bに接近する。そして、予圧付与部材22の前端面22Bがコネクタハウジング17Bの後端と当接して、コネクタハウジング17Bを前方に押圧する。
【0042】
係合爪27と係合穴17Dの間に隙間C1がある場合には、隙間C1が無くなるまで、コネクタハウジング17Bが前方に移動する。これにより、
図5(B)に示すように、係合穴17Dが係合爪27の後端に押しつけられて、コネクタハウジング17Bの前方への移動が規制される。コネクタハウジング17Bは、後方からは予圧付与部材22によって押圧されているため、後方への移動も規制される。これにより、コネクタハウジング17Bに予圧が付与されて、マイク側コネクタ17と装置側コネクタ21のガタツキが防止される。
【0043】
予圧付与部材22は、コネクタ本体26に対して移動自在であるため、マイク側コネクタ17のコネクタハウジング17Bの軸方向の長さにバラツキがあっても、バラツキに応じて予圧付与部材22の移動量を調節することができる。また、予圧付与部材22の移動量を調節することにより、コネクタハウジング17Bに対して適切な予圧を付与することができる。
【0044】
また、コネクタ構造10では、従来のプッシュオン方式のコネクタのように、コイルスプリングが設けられていない。そのため、取り付け時のコイルスプリングによる反発がない。また、コイルスプリングが無いため、マイク側コネクタ17の軸方向の長さのバラツキに起因してコイルスプリングの付勢力が変化することも無い。そのため、マイク側コネクタの軸方向の長さにバラツキがあっても、バラツキに応じた適切な予圧を付与することができるため、ガタツキを確実に防止することができる。
【0045】
また、予圧付与部材22は、予圧を付与する際には、コネクタ本体26に対して前方へ移動する。そのため、
図5(A)に示す予圧を付与していない状態と比較して、
図5(B)に示すように、切り欠き部22Cと解除操作部28の後端との隙間C2が減少する。解除操作部28は、切り欠き部22Cによって前方以外の三方が取り囲まれているので、隙間C2の減少によって切り欠き部22Cに指が入りにくくなり、解除操作部28の押し込み量が規制される。これにより予圧を付与していない状態と比較して、誤操作を防止する効果が向上する。
【0046】
音声記録装置11にハンドマイク13を取り付けた状態で、録音が開始されると、ハンドマイク13から入力された音声がICメモリなどに記録される。ハンドマイク13のガタツキが無いため、接触音や摩擦音などのノイズが発生しないため、録音された音声データにノイズが混入することを防止できる。
【0047】
「第2実施形態」
図6〜
図8に示す第2実施形態のコネクタ構造10は、操作リング23の回転量を規制する回転量規制機構33を設けたものである。それ以外の点は、第1実施形態と同様であるので、同一部材については同一符号を付し、説明を省略して、相違点を中心に説明する。
【0048】
予圧付与部材22がコネクタハウジング17Bに予圧を付与すると、係合穴17Dから係合爪27に荷重がかかる。操作リング23は螺合によって進退するため、回転量が多すぎると、係合爪27に荷重が掛かりすぎてしまうおそれがある。回転量規制機構33は、これを防止するためのものである。
【0049】
図6及び
図7に示すように、回転量規制機構33は、操作リング23に取り付けられた突起部33Aと、予圧付与部材22に設けられた規制溝33Bとからなる。突起部33Aは、操作リング23の前端から、軸方向の前方に位置する予圧付与部材22の規制溝33Bに向かって突出する。突起部33Aは、操作リング23の回転により回転する。規制溝33Bは、突起部33Aと係合して、操作リング23の回転量を規制する。
図6において、突起部33Aの移動は実線で示す位置と波線で示す位置の間の範囲に規制される。
【0050】
規制溝33Bは、予圧付与部材22の後端において、周方向に形成される。規制溝33Bが形成される角度範囲は、例えば120°である。突起部33Aは規制溝33Bの範囲で移動が可能であるので、回転量規制機構33により、操作リング23の回転量は120°に規制される。
図8に示すように、回転量規制機構33は、操作リング23及び予圧付与部材22の周方向において、左右対称位置に2つ設けられている。これにより、予圧付与部材22の傾きが防止されて、安定した姿勢で予圧を付与することができる。
【0051】
本例では、回転量が規制される角度範囲を120°としているが、もちろん、これは例示であり、120°以上でもよいし120°以下でもよい。また、回転量規制機構33は、周方向に1つだけ設けてもよいし、3つ以上設けてもよい。複数個設ける場合には、傾きが抑制されるように、等間隔で設けることが好ましい。回転量規制機構33を1つだけ設ける場合には、例えば、最大で320°程度まで角度範囲を広げることが可能である。
【0052】
また、
図9に示す回転量規制機構36のように、規制溝36Bにテーパを付けてもよい。突起部36Aなど、他の構成は回転量規制機構33と同様である。規制溝36Bは、周方向において幅が変化するようにテーパが設けられている。突起部36Aが規制溝36Bの範囲内で最大限移動した場合には、突起部36A及び予圧付与部材22の規制溝36Bは、実線で示す位置から、二点鎖線で示す位置に移動する。規制溝36Bを有する回転量規制機構36によれば、
図6に示す回転量規制機構33のように、周方向において規制溝33Bの幅が一定の場合と比較して、操作リング23の単位回転量(突起部36Aの単位移動量)に対する予圧付与部材22の軸方向の単位移動量が増加する。このため、
図6に示す回転量規制機構33と比較して、規制溝36Bの周方向の角度範囲を大きくすることなく、予圧付与部材22の軸方向の移動量を増加させることができる。
【0053】
上記実施形態では、予圧付与部材22と予圧付与部材22を移動させるための操作リング23を別部材としているが、予圧付与部材22と操作リング23とを一体にしてもよい。しかし、予圧付与部材22と操作リング23を一体にすると、予圧を付与する際に予圧付与部材22が回転してコネクタハウジング17Bに当接することになる。そのため、予圧付与部材22の姿勢が乱れたり、コネクタハウジング17B及び係合爪27などに対して無用な回転負荷を与えることになる。また、解除操作部28と干渉しないようにするために、切り欠き部22Cの幅を広くしなければならないため、誤操作の防止効果が低下することになる。上記実施形態のように、予圧付与部材22と操作リング23を別部材にしておけば、このような懸念が無いため、好ましい。
【0054】
上記実施形態では、操作リング23を設けて、操作リング23によって予圧付与部材22を軸方向に移動させる例で説明したが、操作リング23を設けなくてもよく、操作リング23の代わりに、予圧付与部材22を、軸方向の位置で固定する固定手段が設けられていればよい。例えば、操作リング23以外の固定手段の形態としては、
図4に示すビス29のような形態が考えられる。この場合、予圧付与部材22を任意の位置に移動して、その状態でビス止めを行うことで、位置を固定することができる。もちろん、ビスによる方法と比較して、操作リング23の方が好ましい。操作リング23は、螺合によって移動位置で固定されるため、ビス止めなどの位置を固定するための専用の操作が不要であるので、操作性が良いからである。
【0055】
上記実施形態では、マイク側コネクタに設けられる第1係合部を係合穴とし、装置側コネクタに設けられる第2係合部を係合爪とした例で説明したが、係合穴と係合爪は逆でもよい。
【0056】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態や変形例の組み合わせなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。