特許第6354953号(P6354953)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6354953
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】コンロ装置
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20180702BHJP
   F23D 14/72 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   F24C3/12 X
   F23D14/72
   F24C3/12 S
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-68153(P2015-68153)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-188714(P2016-188714A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2016年12月21日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】黒田 紳司
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−181729(JP,A)
【文献】 特開2014−190559(JP,A)
【文献】 特開2004−293953(JP,A)
【文献】 特開平4−118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C3/00−3/14
F24C7/00
F24C7/04−7/06
F24C9/00−15/14
H05B6/12
F23D14/00−14/18
F23D14/26−14/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が天板で覆われており、その天板にガスを燃料とするコンロバーナが設けられたコンロ装置において、ジェスチャーセンサを天板に設け、このジェスチャーセンサの検知エリアとして、検知エリアの全域における天板からの高さが予め設定された一定の高さになる所定の大きさの立体的な検知エリアを設定し、その検知エリアに侵入物が侵入した場合、侵入物の天板からの高さ、侵入方向、および侵入量をジェスチャーセンサで検知し、これらの検知結果に基づいてコンロバーナの火力を絞るようにしたことを特徴とするコンロ装置。
【請求項2】
上記ジェスチャーセンサを、上記コンロバーナの左右の少なくとも一方に並設したことを特徴とする請求項1に記載のコンロ装置。
【請求項3】
上記天板には2個のコンロバーナが左右に並べて設けられており、両コンロバーナの間に両コンロバーナ兼用の1個のジェスチャーセンサを設け、両コンロバーナのいずれか一方が燃焼状態の場合に、この兼用のジェスチャーセンサの検知エリアを、燃焼中のコンロバーナ側にシフトして設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンロ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板にコンロバーナを備えたコンロ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上面を覆う天板にガスを燃料とするコンロバーナを設けたコンロ装置が知られている。このコンロバーナを囲繞するように五徳を設け、鍋などの調理器具を五徳上に載置すると、調理器具とコンロバーナとの間に適度の距離が確保され、コンロバーナから放射状に形成される炎によって調理器具の底面が加熱されるように構成されている。
【0003】
また、このようなコンロ装置では、コンロバーナの炎の大きさを大小変化させる火力調節部が設けられており、コンロバーナの火力を弱火から強火の間で調整できるように構成されている。
【0004】
このようなコンロ装置では、調理器具が小さい場合や火力を強火にした場合には、調理器具の周囲から炎や熱気が溢れる状態になり、その溢れた炎や熱気に手や衣服が触れると不都合が生じるため、上記天板の奥側に近接センサを設け、手が五徳に近づいた場合にコンロバーナの火力を絞り、あるいは消火させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。なお、このものでは、近接センサに温度検知機能を持たせ、衣服の表面温度が高温になると、同じくコンロバーナの火力を絞り、あるいは消火するように構成されている。
【0005】
また、コンロ装置の上方に設置される排気用のレンジフードに、コンロ装置を上方から撮像するカメラを設け、そのカメラによる撮像データを画像処理することにより、手や衣服がバーナに近接することを検知して警報を出力するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−293953号公報(請求項2、請求項3)
【特許文献2】特開2013−190190号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載のものでは、近接センサを用いて手の接近を検知し、手が五徳に近づいた場合に火力を絞っているが、手を近づければ本人が手の感覚から炎に近づいていることを知るので、ことさら近接センサで検知する必要はなく、逆に五徳に手が近づいただけで火力が絞られると、調理中に調理器に手を近づけただけで火力が絞られることになり、コンロ装置の使用勝手が悪くなる。
【0008】
また、近接センサに温度検知機能を持たせて衣服の表面温度を検知しているが、近接センサと衣服との間にはコンロバーナが位置しており、炎による高温のため衣服の表面温度を検知しづらいという不具合が生じる。さらに、炎と衣服との間に調理器具が位置するので、衣服が調理器具の陰になり衣服の表面の温度を検知しづらい。
【0009】
上記特許文献2に記載のものでは、レンジフードに取り付けたカメラで撮像しているが、油煙などがレンジフードに集まるので、カメラのレンズが油煙などで汚れやすいという不具合が生じる。また、上方から撮像しているので、上下方向の位置関係を検知しづらく、手がコンロバーナから上方に遠く離れていても警報を発するおそれがある。
【0010】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、衣服などのコンロバーナへの接近を適切に検知してコンロバーナの火力を減少させることのできるコンロ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明によるコンロ装置は、上面が天板で覆われており、その天板にガスを燃料とするコンロバーナが設けられたコンロ装置において、ジェスチャーセンサを天板に設け、このジェスチャーセンサの検知エリアとして、検知エリアの全域における天板からの高さが予め設定された一定の高さになる所定の大きさの立体的な検知エリアを設定し、その検知エリアに侵入物が侵入した場合、侵入物の天板からの高さ、侵入方向、および侵入量をジェスチャーセンサで検知し、これらの検知結果に基づいてコンロバーナの火力を絞るようにしたことを特徴とする。
【0012】
ジェスチャーセンサを用いれば、手が侵入物としてコンロバーナに対して単純に接近してきただけを検知するのではなく、上記検知エリアへの侵入方向や進入量を検知できるので、衣服がコンロバーナの炎や熱気によって過熱される状態を適切に検知することができる。なお、ここでコンロバーナの火力を絞るとは、文字通り火力を弱火へと絞るほか、消火することも含めた概念である。また、ジェスチャーセンサとしては、いずれのものを用いてもよいが、例えば、シャープ株式会社製の型番「GP2AP052A00F」として知られているものを用いることができる。
【0013】
ジェスチャーセンサの設置位置は適宜選択することができるが、上記ジェスチャーセンサを、上記コンロバーナの左右の少なくとも一方に並設することが望ましい。
【0014】
また、上記天板には2個のコンロバーナが左右に並べて設けられており、両コンロバーナの間に両コンロバーナ兼用の1個のジェスチャーセンサを設け、両コンロバーナのいずれか一方が燃焼状態の場合に、この兼用のジェスチャーセンサの検知エリアを、燃焼中のコンロバーナ側にシフトして設定することが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明から明らかなように、本発明は、ジェスチャーセンサを用いてコンロバーナへの手の接近を検知するようにしたので、衣服などのコンロバーナへの接近を適切に検知してコンロバーナの火力を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明によるコンロ装置の一例を示す外観図
図2】ジェスチャーセンサの検知エリアを示す図
図3】検知エリアの切替を示す図
図4】検知エリアへの手の侵入状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照して、1は本発明によるコンロ装置の一例である。このコンロ装置は上面が天板11で覆われており、その天板11には3つのコンロバーナ1R,1B,1Lが設けられている。なお、本図では左側のコンロバーナ1L上に調理器具である鍋Pを載置している。そして、後述するジェスチャーセンサをR,C,Lで示す3個所に設置した。
【0018】
これら各ジェスチャーセンサは各々一体のモジュールとなっており、赤外線を照射する発光部と、照射された赤外線が非検知物で反射した赤外線を受光する受光部とが設けられている。そして、受光部での受光位置から非検知物の位置を特定する。従って、ジェスチャーセンサは各ジェスチャーセンサ毎に設定された3次元の検知エリア内への侵入物の高さ、侵入方向、および侵入量を検知することができる。なお、天板11が金属製の場合には、発光部および受光部が露出するように天板11に窓穴を形成して、その窓穴に発光部および受光部が下方から臨むようにジェスチャーセンサを設ける。また、天板11が透光性の有するガラス製の場合には、天板11に窓穴を設けることなく、天板11の下面側にジェスチャーセンサを配置する。
【0019】
図2を参照して、ER,EC,ELは各ジェスチャーセンサに設定された検知エリアである。これら3個所の検知エリアの内、中央のERは両コンロバーナ1R,1L兼用のものであり、ERはコンロバーナ1R専用のものであり、ELはコンロバーナ1L専用のものである。
【0020】
図3の(a)に示すように、左側のコンロバーナ1Lのみが燃焼している状態では、検知エリアERは作動させず、検知エリアEC,ELのみを作動させる。ただし、中央の検知エリアECは両コンロバーナ1R,1Lが共に燃焼状態であれば左右均等に設定するが、(a)に示すように、左側のコンロバーナ1Lのみが燃焼状態の時には左側に偏って設定する。
【0021】
逆に、右側のコンロバーナ1Rのみが燃焼状態の場合には、(b)に示すように、左側の検知エリアELは設定せず、中央の検知エリアECと右側の検知エリアERとを作動させる。そして、その際には中央の検知エリアECは右側に偏って設定する。
【0022】
これら検知エリアよりも上方に手を差し伸べてもジェスチャーセンサはその手を検知しないのは当然である。検知エリアが検知する高さで手を差し伸べた場合の作動について、図4を参照して説明する。
【0023】
図4は左側のコンロバーナ1Lのみが燃焼状態の場合を示している。この状態で、中央の検知エリアECに手前側から奥に向かって手が侵入する場合、H1に示すように、手の先端が検知エリアECに侵入したことを検知しても、コンロバーナ1Lの火力を変更しない。そして、H1の状態から手がさらに進んでH2に示す状態、すなわち、検知エリアECを貫通するように手が侵入すると、図示しない制御部は自動的にコンロバーナ1Lの火力を弱火に絞る。なお、検知エリアECから手が退出すれば、コンロバーナ1Lの火力を元の状態に戻す。
【0024】
左側の検知エリアELについても手前側から奥に向かって手が検知エリアELに侵入した場合には、同様の火力調節が行われるが、さらに、左側から手が検知エリアELに侵入してくる場合、手の先端だけが侵入しただけでは火力調節は行わないが、H3に示す状態から腕の部分が侵入してH4に示す状態、すなわち、手が検知エリアELを貫通している状態になれば、上記と同様の火力調節を行う。
【0025】
このように、本発明ではジェスチャーセンサを用いているので、手がコンロバーナに単に近づいたことで火力調節を行うのではなく、検知エリアに対する侵入量や侵入方向に基づいて、衣服が過熱されるおそれのある場合に火力を絞るように火力調節をするようにした。
【0026】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0027】
1 コンロ装置
1L コンロバーナ
1R コンロバーナ
11 天板
EL 検知エリア
EC 検知エリア
ER 検知エリア
図1
図2
図3
図4