(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6354967
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】発光モジュール、発光装置および照明装置
(51)【国際特許分類】
F21K 9/00 20160101AFI20180702BHJP
F21V 23/06 20060101ALI20180702BHJP
F21V 29/15 20150101ALI20180702BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20180702BHJP
F21V 15/04 20060101ALI20180702BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20180702BHJP
F21V 31/00 20060101ALI20180702BHJP
F21V 29/74 20150101ALI20180702BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20180702BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20180702BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20180702BHJP
【FI】
F21K9/00 100
F21V23/06
F21V29/15 100
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V19/00 450
F21V15/04
F21V29/503 100
F21V31/00 300
F21V29/74
F21V3/00 510
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
F21Y115:20
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-4201(P2017-4201)
(22)【出願日】2017年1月13日
(62)【分割の表示】特願2013-30910(P2013-30910)の分割
【原出願日】2013年2月20日
(65)【公開番号】特開2017-84819(P2017-84819A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2017年1月13日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142664
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100200159
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 仁志
(72)【発明者】
【氏名】石田 正純
(72)【発明者】
【氏名】木宮 淳一
(72)【発明者】
【氏名】松田 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 淳
(72)【発明者】
【氏名】松永 啓之
(72)【発明者】
【氏名】大塚 誠
【審査官】
鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−160600(JP,A)
【文献】
特開2014−067506(JP,A)
【文献】
特開2013−030401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00− 9/90
F21S 2/00−19/00
F21V 1/00−15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を有する発光部が設けられた基板と;
前記発光部に対向するガラスカバーと;
前記発光部周辺の前記基板上に実装され、前記発光部と電気的に接続されたコネクタと;
前記基板と前記ガラスカバーとの間に挟み込まれ、前記発光部と前記コネクタを仕切るように介在され、前記発光部と前記ガラスカバーとの間に間隙を形成する弾性体と;
を具備していることを特徴とする発光モジュール。
【請求項2】
前記基板を配置する放熱板と;
前記ガラスカバーに対向する開口部を有し、前記放熱板との間に請求項1記載の発光モジュールを挟み込んで収容するケースと;
を具備していることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
放熱体と;
前記放熱体に前記放熱板が接するように取り付けられる請求項2記載の発光装置と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光素子を用いた発光モジュール、発光装置および照明装置に関す。
【背景技術】
【0002】
従来、発光モジュールを有する発光装置と放熱体とを組み合わせて構成した照明装置がある。
【0003】
発光モジュールは、基板に発光素子が実装されて発光部が形成され、発光部周辺に発光素子と電気的に接続されたコネクタが実装され、この基板を透光性のカバーで覆っている。コネクタは外部電源とケーブル等で接続され、外部電源からの電力を発光素子へ供給する。そして、発光部が発する光は、カバーを透過して照明空間に照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−30401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガラスカバーは、樹脂材料よりも光透過率が高く、カバーの外部に光を取り出せる光取出効率が向上するが、外力が加わった場合に、外力をカバー自体で受けてしまうと、割れて飛散するおそれがある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、
光取出効率を向上できるとともにガラスカバーを保護できる発光モジュール、発光装置および照明装置を提供することであ
る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の発光モジュールは、基板、
ガラスカバー、コネクタおよび弾性体を備える。基板には、発光素子を有する発光部と発光部周辺にコネクタを設ける。ガラスカバーは、発光部に対向する。弾性体は、基板とガラスカバーとの間に挟み込まれ、発光部とコネクタを仕切るように介在され、発光部とガラスカバーとの間に間隙を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、弾性体は、基板と
ガラスカバーとの間に挟み込まれ、発光部とコネクタを仕切るように介在され、発光部と
ガラスカバーとの間に間隙を形成する。さらに、発光部とコネクタが弾性体により区切られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態を示す発光モジュールおよび発光装置の断面図である。
【
図2】同上発光モジュールおよび発光装置の斜視図である。
【
図3】同上発光装置を用いた照明装置の斜視図である。
【
図4】同上発光モジュールの積算光束通過率のグラフである。
【
図5】第2の実施形態を示す発光モジュールおよび発光装置の断面図である。
【
図6】第3の実施形態を示す発光モジュールおよび発光装置の断面図である。
【
図7】第4の実施形態を示す発光モジュールおよび発光装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1の実施形態を、
図1ないし
図4を参照して説明する。
【0011】
図3に照明装置を示す。照明装置10は、放熱体11、およびこの放熱体11に着脱可能に取り付けられる発光装置12を備えている。
【0012】
放熱体11は、例えば天井などに設置される器具本体の一部を構成するものである。放熱体11は、例えばアルミニウムなどの金属材料によって形成され、下面には発光装置12を熱的に接続した状態に取り付ける平面状の取付面15が形成され、上面には複数の放熱フィン16が突設されている。
【0013】
図1および
図2に示すように、発光装置12は、発光モジュール20、発光モジュール20を熱的に接続する放熱板21、発光モジュール20を収容するケース22、および放熱板21に取り付けられる放熱シート23を備えている。
【0014】
発光モジュール20は、発光体26、発光体26を覆うガラスカバー27、および発光体26とガラスカバー27との間に挟み込まれた弾性体28を備えている。
【0015】
発光体26は、基板31、およびこの基板31の一面(以下、一面を前面と呼ぶ)である実装面に設けられた発光部32を備えている。基板31は、例えば金属、セラミックスあるいは樹脂などの熱伝導性に優れた材料で平板状に形成され、実装面には配線パターンが形成されている。なお、基板31が金属の場合には基板31と配線パターンとの間に絶縁層が形成される。
【0016】
発光部32は、基板31に実装された複数の発光素子33、複数の発光素子33の周囲を囲む壁部34、および壁部34の内側で複数の発光素子33を一体に封止する封止樹脂35を有している。すなわち、発光部32にはCOB(Chip On Board)方式が採用されており、封止樹脂35の表面が円形の発光面36として形成されている。発光素子33には青色光を発するLED素子が用いられ、封止樹脂35には青色光によって励起されて黄色光を発する蛍光体を含有した例えばシリコーン樹脂などの透光性を有する樹脂材料が用いられている。発光部32の光出力は、2000lm以上の高出力である。なお、発光素子としては、SMD(Surface Mount Device)パッケージを用いてもよいし、あるいはLED素子に限らず、EL(Electro Luminescence)素子などを用いてもよい。
【0017】
ガラスカバー27は、可視光の透光性を有し、耐熱温度が100℃以上のガラス材料で、発光部32および基板31より大径の平円板状に形成されている。
【0018】
弾性体28は、弾性を有する例えばシリコーン樹脂などの樹脂材料で、発光部32より大径でかつ基板31より小径または同径の円環状に形成されている。弾性体28は、基板31の実装面で発光部32の周囲に配設され、基板31とガラスカバー27との間に介在されて基板31とガラスカバー27とにそれぞれ密着した状態に接着されている。弾性体28により、基板31とガラスカバー27との間に所定の空間をあける間隙を形成するとともにその間隙を保持し、発光体26とガラスカバー27との間の内側空間を密閉している。発光部32とガラスカバー27との間の間隔は、弾性体28の弾性変形範囲内での変形では発光部32とガラスカバー27とが接触しない間隔とされている。また、弾性体28の形成方法としては、例えば、基板31上に硬化する前の流動性を有する状態の樹脂材料を塗布し、ガラスカバー27を樹脂材料に押し付けて密着させた後、樹脂材料を硬化させることで弾性体28を形成する。
【0019】
また、放熱板21は、例えばヒートスプレッダであり、基板31およびガラスカバー27より大径の平円板状に形成されている。放熱板21の前面に基板31の実装面とは反対側の裏面が接触される。
【0020】
また、ケース22は、例えば樹脂材料によって形成され、前面には円形の開口部38が形成され、前面とは反対側の裏面には放熱板21との間に発光モジュール20を収容する円形の収容部39が開口されている。開口部38の直径は収容部39の直径より小さく、開口部38と収容部39との間に段部40が形成されている。開口部38の直径は、ガラスカバー27の直径より小さい寸法に形成されている。
【0021】
また、放熱シート23は、熱伝導性に優れた材料によって形成されている。
【0022】
そして、ケース22の収容部39に発光モジュール20が収容され、ケース22の裏面側に放熱板21が取り付けられて発光装置12が形成されている。基板31が放熱板21に面接触して熱的に接続され、ガラスカバー27がケース22の段部40に当接され、放熱板21とケース22の段部40との間で発光モジュール20が挟み込まれて保持されている。
【0023】
また、
図3に示すように、発光装置12の放熱板21が放熱シート23を介して放熱体11の取付面15に面接触する状態に取り付けられることにより、発光装置12の放熱板21が放熱体11に熱的に接続される。なお、放熱体11を含む器具本体側には電源装置が配置されており、この電源装置と発光装置12とがケーブルなどの接続手段によって電気的に接続される。
【0024】
そして、電源装置から、複数の発光素子33を発光させる電力を発光モジュール20に供給する。発光装置12の複数の発光素子33が発光すると、発光部32の発光面36から出射する光が、ガラスカバー27に入射し、ガラスカバー27の前面から照明空間に放射される。
【0025】
ガラスカバー27は、樹脂材料よりも透過率が高い(ポリカーボネートの透過率が89%程度なのに対して、ガラスの透過率は92%)特性を有する。そのため、ガラスカバー27を透過する発光部32からの光束が増加し、発光装置12の光取出効率を向上させることができる。
【0026】
さらに、発光装置12は、ケース22の開口部38の径(または弾性体の内径)をA、発光部32(発光面36)とガラスカバー27との間の間隔をBとすると、tan-1(2B/A)>70°の関係を有する。
【0027】
図4には、発光部32の発光面36の中心から出射した光束がガラスカバー27を通じてケース22の開口部38から外部に通過する割合である積算光束通過率を示す。そして、tan-1(2B/A)>70°の関係を有することにより、94%以上の積算光束通過率を得ることができ、十分な光束を発光装置12外へ出射することができる。
【0028】
さらに、発光装置12は、ケース22の開口部38の径(または弾性体の内径)をA、発光部32(発光面36)とガラスカバー27との間の間隔をB、発光部32(発光面36)の径をCとすると、tan-1(2B/A)>70°、C/A>0.8の関係を有することが好ましい。
【0029】
発光装置12は、電源装置および放熱機構を別としているため、発光装置12の外形を小さくし、小形のダウンライトやスポットライトなどの照明装置10へ適用することが可能となっている。発光装置12を小形にするためには、ケース22の開口部38の径Aに対する発光部32の径Cの割合をできるだけ大きくとって光取出効率を確保することが必要になるが、一般的には発光部32の径Cの割合を小さくしたほうが、光取出効率を良くすることができる。そのため、tan-1(2B/A)>70°の関係を保持しながら、C/A>0.8とすることにより、小形で光取出効率がよい発光装置12を提供することができる。
【0030】
また、複数の発光素子33が発生する熱は、主に、基板31、放熱板21および放熱シート23を経て放熱体11に熱伝導され、放熱体11から大気中に放熱される。
【0031】
ガラスカバー27は、樹脂部材よりも熱伝導率が高い(ポリカーボネートの熱伝導率が0.19W/mKなのに対して、ガラスの熱伝導率は0.55〜0.75W/mK)特性がある。そのため、発光部32からの輻射熱をガラスカバー27が吸収してガラスカバー27の前面から大気中に放熱する放熱性が高くなり、発光モジュール20の発光効率を向上できる。
【0032】
なお、ガラスカバー27の外郭側である前面側に、微小な凹凸を形成するようにしてもよい。このように、ガラスカバー27の前面側に微小な凹凸を形成することにより、ガラスカバー27から出射する光を拡散し、光むらの発生を抑制することができ、また、ガラスカバー27の表面積を拡大し、放熱性を良好にすることができる。
【0033】
そして、このように構成された発光装置12では、発光モジュール20の基板31とガラスカバー27との間に弾性体28を挟み込んで、発光部32とガラスカバー27との間に間隙を形成しているため、ガラスカバー27の前面から外力が加わった際にその外力を弾性体28が弾性変形することで吸収することができる。そのため、ガラスカバー27を用いて光取出効率を向上できるとともに、外力に対してガラスカバー27を保護することができる。
【0034】
また、発光部32とガラスカバー27との間の間隔は、弾性体28の弾性変形範囲内での変形では発光部32とガラスカバー27とが接触しない間隔としているため、ガラスカバー27が発光部32に接触するのを防止できる。そのため、ガラスカバー27の接触によって発光部32に負荷が加わり、発光部32に損傷を与えるのを防止できる。
【0035】
また、弾性体28がシリコーン樹脂材料で発光部32の周囲に環状に形成されているため、基板31とガラスカバー27との間の内側空間を密閉でき、その内側空間への塵埃や虫、あるいは水などの侵入を防止でき、光取出効率を維持できる。
【0036】
また、ケース22の開口部38の寸法は、ガラスカバー27の外形より小さいため、仮にガラスカバー27が発光モジュール20から外れたとしても、ガラスカバー27がケース22の開口部38から脱落するのを防止できる。
【0037】
次に、
図5に第2の実施形態を示す。なお、第1の実施形態と同じ構成および作用効果については同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0038】
弾性体28の内周の前後方向(厚み方向)の中間にガラスカバー27の周縁部が嵌合する溝部45が形成され、弾性体28が断面略コ字形に形成されている。弾性体28の後面側が基板31に接着固定されている。そして、発光モジュール20をケース22に組み込んだ際に、弾性体28の前面側がケース22の段部40に接し、ケース22と放熱板21との間で弾性体28を挟み込んで発光モジュール20を保持する。
【0039】
このように、弾性体28がガラスカバー27の周囲に嵌合されることにより、弾性体28でガラスカバー27を保持でき、弾性体28からガラスカバー27が外れるのを防止できる。さらに、発光モジュール20をケース22に組み込んだ際に、ケース22と放熱板21との間で弾性体28を挟み込んで発光モジュール20を保持することにより、弾性体28の弾性によって基板31を放熱板21に押し付け、基板31と放熱板21との熱伝導性を向上できる。
【0040】
次に、
図6に第3の実施形態を示す。なお、各実施形態と同じ構成および作用効果については同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0041】
発光モジュール20の基板31は、セラミックス板で形成されている。基板31の実装面の中央域には発光部32を構成する発光素子33として複数のSMDパッケージ55が実装され、周辺部には実装面の配線パターンを通じて複数のSMDパッケージ55と電気的に接続されたコネクタ56が実装されている。
【0042】
SMDパッケージ55は、パッケージ内にLED素子が配置され、パッケージ前面に光が出射するドーム形の発光面55aが形成されている。
【0043】
コネクタ56は、発光モジュール20をケース22に収容した状態でケース22の側面の切り欠かれた部分から外方に露出され、照明装置10の電源回路からケーブルをコネクタ接続できるようになっている。
【0044】
一般にセラミックス板は、厚み方向への熱伝導は良好であるが、厚み方向と交差する面方向への熱伝導は良好ではない。そのため、基板31がセラミックスであることにより、発光素子33が発生する熱を基板31から放熱板21に良好に伝達することができるとともに、コネクタ56への熱伝導を抑制してコネクタ56の熱的影響を軽減できる。
【0045】
なお、セラミックス板で構成される基板31の発光部32には、SMDパッケージ55に限らず、上述したCOB方式を用いてもよい。
【0046】
次に、
図7に第4の実施形態を示す。なお、各実施形態と同じ構成および作用効果については同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0047】
弾性体28として、金属製の板ばね60が用いられる。板ばね60は、例えば、環状に形成された基部の複数個所から押え部が切り起こされ、基板31とガラスカバー27との間に挟み込まれて、基板31とガラスカバー27との間に所定の空間をあける間隙を形成している。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
10 照明装置
11 放熱体
12 発光装置
20 発光モジュール
21 放熱板
22 ケース
27 ガラスカバー
28 弾性体
31 基板
32 発光部
33 発光素子
38 開口部